特許第6292018号(P6292018)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6292018
(24)【登録日】2018年2月23日
(45)【発行日】2018年3月14日
(54)【発明の名称】点灯装置および照明器具
(51)【国際特許分類】
   H05B 37/02 20060101AFI20180305BHJP
【FI】
   H05B37/02 J
【請求項の数】2
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2014-100238(P2014-100238)
(22)【出願日】2014年5月14日
(65)【公開番号】特開2015-219954(P2015-219954A)
(43)【公開日】2015年12月7日
【審査請求日】2017年2月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】390014546
【氏名又は名称】三菱電機照明株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100082175
【弁理士】
【氏名又は名称】高田 守
(74)【代理人】
【識別番号】100106150
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 英樹
(74)【代理人】
【識別番号】100142642
【弁理士】
【氏名又は名称】小澤 次郎
(72)【発明者】
【氏名】中井 智之
(72)【発明者】
【氏名】前田 貴史
【審査官】 安食 泰秀
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−118130(JP,A)
【文献】 特開2013−233033(JP,A)
【文献】 特開2012−142216(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 37/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御端子を有するスイッチング素子を含むコンバータ回路と、
一端が前記制御端子に接続した抵抗と、
前記抵抗の他端に駆動信号を供給する駆動回路と、
前記駆動回路に前記コンバータ回路の出力を制御するためのパルス信号を供給する制御回路と、
を備え、
前記制御回路は、予め定めたダミーオン幅を前記スイッチング素子の目標オン幅に加算することで、前記パルス信号のオン幅を決定し、
前記駆動回路は、前記パルス信号の立ち上がりに同期して立ち上がりかつ前記パルス信号の立下りに同期して立下るように前記駆動信号を生成し、
前記抵抗を介して前記駆動信号の立ち上がりを鈍らせた信号を前記制御端子に与え
前記制御回路は、前記駆動信号において前記スイッチング素子のターンオン閾値電圧以上となる期間が前記目標オン幅と一致するように前記ダミーオン幅を加算し、
前記ダミーオン幅が、前記駆動信号を生成するために前記駆動回路へ入力されるパルスが有すべき最小のオン幅である最小入力パルス幅以上である点灯装置。
【請求項2】
光源と、
前記光源を点灯させる点灯装置と、
を備え、
前記点灯装置は、
制御端子を有するスイッチング素子を含むコンバータ回路と、
一端が前記制御端子に接続した抵抗と、
前記抵抗の他端に駆動信号を供給する駆動回路と、
前記駆動回路に前記コンバータ回路の出力を制御するためのパルス信号を供給する制御回路と、
を備え、
前記制御回路は、予め定めたダミーオン幅を前記スイッチング素子の目標オン幅に加算することで、前記パルス信号のオン幅を決定し、
前記駆動回路は、前記パルス信号の立ち上がりに同期して立ち上がりかつ前記パルス信号の立下りに同期して立下るように前記駆動信号を生成し、
前記抵抗を介して前記駆動信号の立ち上がりを鈍らせた信号を前記制御端子に与え、
前記制御回路は、前記駆動信号において前記スイッチング素子のターンオン閾値電圧以上となる期間が前記目標オン幅と一致するように前記ダミーオン幅を加算し、
前記ダミーオン幅が、前記駆動信号を生成するために前記駆動回路へ入力されるパルスが有すべき最小のオン幅である最小入力パルス幅以上である照明器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、点灯装置および照明器具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、特開2013−118131号公報に開示されているように、調光比を複数に分けてなる区間ごとに異なる制御モードを割り当てた点灯装置が知られている。この公報における段落0025には、第1〜3の制御モードが記載されている。第1の制御モードでは、制御回路は、いわゆる連続モードとなるように、予め決められている発振周波数およびオン時間(1周期当たりのオン時間)でスイッチング素子をオンオフ動作させる。第2の制御モードでは、制御回路は、調光比の同一区間内においてスイッチング素子の発振周波数を略固定とし、スイッチング素子のオン時間を変化させる。第3の制御モードでは、制御回路は、第2の制御モードとは逆に、調光比の同一区間内においてスイッチング素子のオン時間を略固定とし、スイッチング素子の発振周波数を変化させる。区間ごとに第1〜3の制御モードを割り当てることにより、オン時間が短くなってちらつきを生じることを抑制し、調光範囲を広げることを図っている。
【0003】
この公報における段落0067では、PWM信号のデューティ比が5〜30%の区間に第2の制御モードが割り当てられている。また、PWM信号のデューティ比が30〜80%の区間には、第3の制御モードが割り当てられている。つまり、デューティ比が相対的に小さい区間では、スイッチング素子の発振周波数を固定し、かつオン時間を略変化させている。その一方で、デューティ比が相対的に大きい区間では、スイッチング素子の発振周波数を変化させ、かつオン時間は略固定としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2013−118131号公報
【特許文献2】特開2013−118133号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
点灯装置において、制御回路が駆動回路にパルス信号を入力し、駆動回路がこのパルス信号から駆動信号を生成し、スイッチング素子の制御端子に駆動信号が供給されるという回路構成を備えるものがある。この駆動回路には高耐圧集積回路(いわゆるHVIC)が用いられる。この種の駆動回路の入出力特性には、「最小入力パルス幅」という制限がある。最小入力パルス幅とは、駆動回路が入力パルスから出力パルスを生成するために入力パルスが有すべき最小のオン幅を意味している。調光を深くしていくと(つまり調光率を小さくして発光素子に流れる電流を低減していくと)スイッチング素子を駆動するためのパルス信号のオンデューティが小さくなり、やがて駆動回路に入力されるパルス信号のオン幅が、上述した最小入力パルス幅よりも小さくなることがある。最小入力パルス幅よりも狭い入力パルスが駆動回路に入力されても、駆動回路にとってそのオン幅は狭すぎるので出力パルスを発することができない。その結果、スイッチングが安定せず、ちらつきの原因となる。このように、従来の技術では、目標オン幅が最小入力パルス幅より狭くなるほどに深い調光率を実現しようとすると、ちらつきが発生するという問題があった。
【0006】
本発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、目標オン幅が最小入力パルス幅より狭くなるような深い調光を実現することのできる点灯装置および照明器具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の発明にかかる点灯装置は、制御端子を有するスイッチング素子を含むコンバータ回路と、一端が前記制御端子に接続した抵抗と、前記抵抗の他端に駆動信号を供給する駆動回路と、前記駆動回路に前記コンバータ回路の出力を制御するためのパルス信号を供給する制御回路と、を備え、前記制御回路は、予め定めたダミーオン幅を前記スイッチング素子の目標オン幅に加算することで、前記パルス信号のオン幅を決定し、前記駆動回路は、前記パルス信号の立ち上がりに同期して立ち上がりかつ前記パルス信号の立下りに同期して立下るように前記駆動信号を生成し、前記抵抗を介して前記駆動信号の立ち上がりを鈍らせた信号を前記制御端子に与え、前記制御回路は、前記駆動信号において前記スイッチング素子のターンオン閾値電圧以上となる期間が前記目標オン幅と一致するように前記ダミーオン幅を加算し、前記ダミーオン幅が、前記駆動信号を生成するために前記駆動回路へ入力されるパルスが有すべき最小のオン幅である最小入力パルス幅以上である。
【発明の効果】
【0010】
第1の発明によれば、ダミーオン幅を加算することで駆動回路が確実に駆動信号を生成できるようにし、そのダミーオン幅により余分に拡大したオン幅を抵抗による立ち上がり遅延により差し引くことで、最小入力パルス幅より狭いオン幅でもスイッチング素子をオンさせることができる。これにより、目標オン幅が最小入力パルス幅より狭くなるような深い調光を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の実施の形態1にかかる点灯装置を示す回路図である。
図2】本発明の実施の形態1にかかる点灯装置の信号波形を示す図である。
図3】本発明の実施の形態1にかかる点灯装置の信号波形を示す図である。
図4】本発明の実施の形態2にかかる点灯装置を示す回路図である。
図5】本発明の実施の形態2にかかる点灯装置の信号波形を示す図である。
図6】本発明の実施の形態2にかかる点灯装置の制御テーブルを示す図である。
図7】調光を深くしたときのHVICの問題点を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態にかかる点灯装置1を示す回路図である。図1には、点灯装置1を備えた照明器具100も図示している。照明器具100は、複数のLED26を備えるLEDモジュール27と、点灯装置1と、調光器28とを備えている。点灯装置1は、昇圧チョッパ回路2、バックコンバータ回路3、調光信号インターフェイス(I/F)回路4、HVIC39、およびマイコン40を備えている。
【0015】
昇圧チョッパ回路2は、力率改善に用いられる昇圧コンバータ回路である。昇圧チョッパ回路2は、整流回路8と、コンデンサ9と、インダクタ(コイル)10と、スイッチング素子Q1と、ダイオード14と、コンデンサ17と、抵抗15、16が直列接続した分圧回路を備えている。また、昇圧チョッパ回路2はゲート抵抗Rg1、抵抗R11、およびダイオードD11からなる回路を備えており、この回路は後述するようにスイッチング素子Q1の制御端子とHVIC39との間に介在する。
【0016】
整流回路8は、交流電源7と接続している。コンデンサ9は、整流回路8の出力端子に並列に接続する。インダクタ(コイル)10は、一端が整流回路8の高電位側に接続される。スイッチング素子Q1は、第1端子(本実施形態ではドレイン)、第2端子(本実施形態ではソース)および第1、2端子間をスイッチングするための制御端子(本実施形態ではゲート)を備え、インダクタ10の他端に第1端子が接続されるMOSFETである。ダイオード14は、アノードがスイッチング素子Q1の第1端子とインダクタ10の他端との接続点に接続される。コンデンサ17は、このダイオード14のカソードに正極が接続され整流回路8の低電位側に負極が接続される電解コンデンサからなる。抵抗15、16が直列接続した分圧回路は、このコンデンサ17に並列に接続される。コンデンサ17の両端電圧が抵抗15、16を用いて分圧されマイコン40に入力される。
【0017】
スイッチング素子Q1の制御端子には、ゲート抵抗Rg1の一端が接続している。ゲート抵抗Rg1の他端は、HVIC39と接続している。ゲート抵抗Rg1とスイッチング素子Q1の接続点には、ダイオードD11のアノードが接続する。ダイオードD11のカソードは、抵抗R11の一端に接続している。抵抗R11の他端はゲート抵抗Rg1の他端とHVIC39の接続点に接続している。
【0018】
バックコンバータ回路3は、スイッチング素子Q2と、ダイオード21と、インダクタ(チョークコイル)22と、コンデンサ23と、検出抵抗24を備えている。また、バックコンバータ回路3はゲート抵抗Rg2、抵抗R21、およびダイオードD21からなる回路を備えており、この回路が後述するようにスイッチング素子Q2の制御端子とHVIC39との間に介在する。
【0019】
スイッチング素子Q2とダイオード21からなる直列回路が、昇圧チョッパ回路2のコンデンサ17と並列に接続されている。スイッチング素子Q2は、本実施形態ではMOSFETであり、第1端子(本実施形態ではドレイン)、第2端子(本実施形態ではソース)および第1、2端子間をスイッチングするための制御端子(本実施形態ではゲート)を備え、ダイオード21のカソードに第2端子が接続される。インダクタ22、コンデンサ23、および検出抵抗24が直列回路を形成しており、この直列回路がダイオード21に並列に接続している。検出抵抗24は、LEDモジュール27に流れるLED電流を検出するためのものである。
【0020】
スイッチング素子Q2の制御端子には、ゲート抵抗Rg2の一端が接続している。ゲート抵抗Rg2の他端は、HVIC39と接続している。ゲート抵抗Rg2とスイッチング素子Q2の接続点には、ダイオードD21のアノードが接続する。ダイオードD21のカソードは、抵抗R21の一端に接続している。抵抗R21の他端はゲート抵抗Rg2の他端とHVIC39の接続点に接続している。
【0021】
検出抵抗24は、バックコンバータ回路3に設けられており、LED電流を検知する。LED電流を検出する検出抵抗24からの検出電圧が、マイコン40に入力される。マイコン40は、この検出電圧に基づいて、LEDモジュール27に流れる電流が一定電流になるようにバックコンバータ回路3のスイッチング素子Q2をオンオフする。
【0022】
デジタル電源用の制御装置として提供される駆動ICおよびマイコンは既に各種のものが公知であるため、それら公知の部品をHVIC39およびマイコン40にそれぞれ使用することができる。HVIC39は、高耐圧集積回路であり、スイッチング素子Q1、Q2それぞれをスイッチングするPWM信号を出力する。本実施の形態で一例として図1に示すマイコン40は、記憶部43、A/D変換回路44、および処理装置45を備えている。記憶部43は、例えば不揮発性メモリなどからなり、処理装置45で実行すべき演算プログラムおよび演算に用いられる各種データを記憶している。記憶部43に対して外部からデータの書き込みおよび読み出しが行われる。処理装置45は、スイッチング素子Q1、Q2のスイッチング制御におけるオン時間などを算出する。マイコン40には、抵抗15,16で分圧された電圧、および検出抵抗24で検知したLED電流に応じた電圧が入力される。A/D変換回路44でこれらの電圧値がデジタル値に変換され、このデジタル値を用いて処理装置45により演算処理が行われる。マイコン40には、調光信号I/F回路4を介して調光器28からの調光指令値が入力されている。LED電流がこの調光指令値に基づいて決定される目標電流に一致するように、マイコン40は、検出抵抗24で検知したLED電流に基づいてスイッチング素子Q2のオン幅を調整することで定電流制御を行っている。
【0023】
HVIC39の入出力特性には、最小入力パルス幅という制限がある。最小入力パルス幅とは、HVIC39が入力パルスから出力パルスを生成するために入力パルスが有すべき最小のオン幅を意味している。一例として、HVIC39の最小入力パルス幅は1.0マイクロ秒(us)である。しかしながら、最小入力パルス幅よりも狭い例えばオン幅0.5usなどの入力パルスがHVIC39に入力されても、HVIC39にとってそのオン幅は狭すぎるので、出力パルスが生成されないという問題がある。
【0024】
この問題点について更に詳しく説明する。図7は調光を深くしたときのHVICの問題点を示す図である。本願発明者は、いわゆるフルデジタルLED電源にて、調光を深くした際に(つまり調光率を小さくしてLED電流を低減した際に)、ちらつきが発生するという問題を見出している。すなわち、調光を深くしていく際、マイコン40から出力されるスイッチング素子Q2駆動用信号のオンデューティが小さくなり、やがてHVIC39に入力されるパルス信号HVIC_inのオン幅が最小入力パルス幅よりも小さくなる。その結果、図7の下段のように、パルス信号HVIC_inの立ち上がりに対して、駆動信号HVIC_outが立ち上がらずにローに保持されてしまう。このようにHVIC39からパルス出力されなくなることで、ちらつきの原因になる。
【0025】
より具体的には、下記(a1)〜(a9)の一連の事象がランダムな周期で繰り返し発生することで、ちらつきが発生する。
(a1)マイコン40が出力するパルス信号のオン幅が減少する。
(a2)オン幅が小さすぎて、HVIC39から駆動信号が出力されない。
(a3)LED電流が減少する。
(a4)LED電流フィードバックにてLED電流を増加する指示が出される。
(a5)マイコン40が出力するパルス信号のオン幅が増加する。
(a6)HVIC39から駆動信号が出力されるようになる。
(a7)LED電流が増加する。
(a8)LED電流フィードバックにてLED電流を減少させる指示が出される。
(a9)マイコン40が出力するパルス信号のオン幅が減少し、上記(a1)に戻る。
HVIC39を最小入力パルス幅の狭い高性能なHVICにすることでこの問題を解決する方法もあるが、部品単価アップおよび部品入手性が悪化するという問題がある。
【0026】
そこで、実施の形態1では、上記の問題点を解決するために、まず、スイッチング素子Q2のゲート抵抗Rg2に大きな抵抗値を持たせる。ゲート抵抗Rg2の抵抗値を大きくすることで、ゲート抵抗Rg2の抵抗値およびスイッチング素子Q2内部の寄生容量により決まる遅延時間Tが大きくなる。ターンオン時におけるゲート電圧波形の上昇が十分に緩やかになる程度にゲート抵抗Rg2を大きくすることで、駆動信号HVIC_outが立ち上がった後、スイッチング素子Q2が閾値電圧Vthに達してターンオンするまでの時間(遅延時間T)を長くすることができる。ターンオンまでの遅延時間Tに相当するオン幅をパルス信号HVIC_inに予め加算しておくことで、HVIC39に対しては最小入力パルス幅よりもオン幅の大きいパルスを入力しつつ、実際にスイッチング素子Q2がオンする期間を所望値に制御することができる。これにより、調光を深くしていったときにHVIC39の入力パルス幅を最小入力パルス幅より広げることができる。
【0027】
図2および図3は、本発明の実施の形態1にかかる点灯装置1の信号波形を示す図である。図2は調光が浅い時の波形を示しており、図3は調光が深いときの波形を示している。図2および図3の最上段に示すように、マイコン40は、バックコンバータ回路3の出力を制御するためのパルス信号HVIC_inをHVIC39に供給する。マイコン40は、目標オン幅P0を算出する処理とともに、予め定めたダミーオン幅P1をスイッチング素子Q2の目標オン幅P0に加算する処理を実行することで、パルス信号HVIC_inのオン幅を決定する。目標オン幅P0は、上述したように定電流フィードバック制御により算出される。ダミーオン幅P1は、予め決定されて記憶部43に記憶されており、必要に応じて読み出される。
【0028】
次に、図2および図3の上から2段目に示す波形図のように、HVIC39は、駆動信号HVIC_outを生成する。駆動信号HVIC_outは、パルス信号HVIC_inの立ち上がりに同期して立ち上がり、かつパルス信号HVIC_inの立下りに同期して立下る。
【0029】
HVIC39は、ゲート抵抗Rg2の他端に駆動信号HVIC_outを供給する。これに応じて、スイッチング素子Q2の制御端子の印加電圧波形が、図2および図3の上から3段目に示す波形MOSFET_G−Sのように、駆動信号HVIC_outの立ち上がりを鈍らせた信号となる。スイッチング素子Q2のターンオンは、駆動信号HVIC_outの立ち上がりから実際には遅延時間Tだけ遅れる。遅延時間Tは、ゲート抵抗Rg2の抵抗値およびスイッチング素子Q2内部の寄生容量により決まる。本実施形態ではゲート抵抗Rg2の抵抗値を意図的に大きくしているので、遅延時間Tも大きくなる。駆動信号HVIC_outのうちのダミーオン幅P1が遅延時間Tにより差し引かれるので、図2および図3の最下段に示す波形MOSFET_D−Sのように、スイッチング素子Q2が実際に駆動する時間が目標オン幅P0に相当する時間になる。
【0030】
ダミーオン幅P1は、駆動信号HVIC_outにおいてスイッチング素子Q2のターンオン閾値電圧以上となる期間(つまり駆動信号HVIC_outから遅延時間Tを差し引いた期間)が目標オン幅P0と一致するように設定されることが好ましい。ダミーオン幅P1は適宜に設定することができるが、例えば最小入力パルス幅以上の幅に設定してもよく、最小入力パルス幅と同じ幅に設定してもよい。
【0031】
以上説明したように、目標オン幅P0にダミーオン幅P1を加算することでHVIC39が確実に駆動信号を生成できるようにし、そのダミーオン幅P1により余分に拡大したオン幅を、ゲート抵抗Rg2で立ち上がりを遅延させることで差し引くことができる。これにより、HVIC39が有する最小入力パルス幅に制限されずに、短いオン幅でスイッチング素子Q2をオンさせることができるようになる。
【0032】
実施の形態2.
図4は、本発明の実施の形態2にかかる点灯装置201を示す回路図である。図4には、点灯装置201を備えた照明器具200も図示している。照明器具200は、実施の形態1にかかる照明器具100のうち、点灯装置1を点灯装置201に置換したものである。実施の形態2にかかる点灯装置201は、ゲート抵抗Rg2がゲート抵抗Rg22に置換されている点、および後述するようにマイコン40の制御処理内容が異なる点を除き、実施の形態1にかかる点灯装置1と同様の回路構成を備えている。ゲート抵抗Rg22の抵抗値は、ゲート抵抗Rg2に比べて小さく設計されている。以下の説明では実施の形態1と同一または相当する構成については同一の符号を付して説明を行うとともに、実施の形態1との相違点を中心に説明し、共通事項は説明を簡略化ないしは省略する。
【0033】
上記実施の形態1ではゲート抵抗Rg2の抵抗値を大きくしているので、スイッチング素子Q2がターンオンする時のスイッチング損失が増加する。このためノイズに対しては有利になると考えられるが、スイッチング損失により素子温度が上昇すると考えられる。そこで、実施の形態2では、ゲート抵抗Rg22の抵抗値を大きくせずに、下記の制御によって深い調光を実現する。
【0034】
実施の形態2において、マイコン40は、実施の形態1と同様に、バックコンバータ回路203の出力を制御するためのパルス信号HVIC_inを生成する。ただし、実施の形態2では目標オン幅P0に対してダミーオン幅P1を加算する処理は実行しない。HVIC39は、パルス信号HVIC_inの立ち上がりに同期して立ち上がり、かつその立下りに同期して立下るように、スイッチング素子Q2を駆動するための駆動信号HVIC_outを生成する。
【0035】
マイコン40は、パルス信号HVIC_inの周波数、オン幅、およびオフ幅についての制御内容が異なる2つの制御を実行することができ、これらを可逆的に切り替えることができる。この2つの制御のうち、第1の制御は「周波数固定制御」であり、第2の制御は「オン幅固定制御」である。周波数固定制御は、パルス信号HVIC_inの周波数を固定とし、パルス信号HVIC_inのオン幅およびオフ幅を可変とするものである。オン幅固定制御は、パルス信号HVIC_inの周波数を可変とし、パルス信号HVIC_inのオン幅を固定しかつそのオフ幅を可変とするものである。
【0036】
図5は、本発明の実施の形態2にかかる点灯装置201の信号波形を示す図である。浅い調光時には、図5の上段の2つの波形図のように、マイコン40からの出力は周波数固定、オン幅可変、オフ幅可変によりオンデューティを制御する。調光を深くしていくと、マイコン40からの出力はオンデューティを小さくする方向となるので、オン幅がHVIC39の最小入力パルス幅に近付く。上記制御にてHVIC39の最小入力パルス幅となった後、さらに深い調光率が指定された場合は、オン幅固定制御へと処理が切り替わる。これにより、図5の下段の2つの波形図のように、周波数可変、オン幅固定、オフ幅可変によりオンデューティを制御する。実施の形態2では、パルス信号HVIC_inのオン幅は最小入力パルス幅(例えば1.0us)に固定するものとする。これによりパルス信号HVIC_inをHVIC39の最小入力パルス幅以上に維持したまま、調光をより深くすることができる。
【0037】
図6は、本発明の実施の形態2にかかる点灯装置201の制御テーブルを示す図である。図6に示す制御テーブルが、予めマイコン40の記憶部43に記憶されている。一例としてHVICの最小入力パルス幅が1.0usだった場合には、図6に示すように制御テーブルを設定すればよい。本実施形態では、図6の制御テーブルに示すように、調光率ごとの周波数、オン幅、オフ幅、およびオンデューティを次のように設定している。100%点灯のときは、50.0kHz、10.0us、10.0us、50.0%とそれぞれ設定し、50%点灯のときは、50.0kHz、5.0us、15.0us、25.0%とそれぞれ設定している。また、10%点灯のときは、50.0kHz、1.0us、19.0us、5.0%とそれぞれ設定し、8%点灯のときは、40.0kHz、1.0us、24.0us、4.0%とそれぞれ設定し、5%点灯のときは、25.0kHz、1.0us、39.0us、2.5%とそれぞれ設定している。最小入力パルス幅1.0usを境とし、オン幅が1.0us以上の調光率範囲である10%点灯以上の調光率では、周波数固定制御が実施されている。オン幅が1.0usより小さい調光率範囲に属する調光率(例えば5%点灯および8%点灯)では、オン幅固定制御が実施されている。
【0038】
上記の動作を実現するためにマイコン40が実行する処理は予め記憶部43に記憶され、処理装置45により実行される。以下、その具体的処理の一例を説明する。
(処理S1)まず、マイコン40は、検出抵抗24から検出したLED電流と、調光器28からの調光信号により決まる目標電流値とから、目標オンデューティおよび目標オン幅P0を算出する処理を実行する。
(処理S2)次に、目標オン幅P0を予め定めた判定値Pjと比較する。ここでは判定値PjをHVIC39の最小入力パルス幅つまり1.0usとする。この処理S2の結果に応じて、下記の処理S3,S4のいずれかの処理が実行される。
(処理S3)目標オン幅P0が判定値Pj(例えば最小入力パルス幅)以上である場合には、マイコン40は、上記算出した目標オン幅P0および目標オンデューティを実現するようにパルス信号HVIC_inを生成し、周波数固定制御を実施する。
(処理S4)逆に、判定値Pjよりも目標オン幅P0が小さい場合には、マイコン40は、オン幅固定制御を実施するために制御テーブルを参照する。マイコン40は、上記算出した目標デューティに対応付けて設定された固定オン幅および可変に設定されたオフ幅とを有するパルス信号HVIC_inを生成する。例えば、図6の制御テーブルでは、目標デューティが4.0%と算出されている場合、オン幅は1.0usに定められており、オフ幅は24usに定められている。
これらの処理S1〜S4が実行されることで、目標オン幅P0が1.0us以上の例えば5.0usあるいは10.0usであるときには、周波数固定制御が実施される。一方、目標オン幅P0が1.0usより小さい例えば0.5usなどであるときには、オン幅固定制御が実施される。
【0039】
なお、上記の具体的処理S1〜S4は一例であり、本発明はこれに限られるものではない。例えば処理S2のような判定処理およびこれに基づく分岐処理を行わなくともよい。その場合には、図6に示す制御テーブルのように調光率を複数の範囲に区分したテーブルが作成され、区分した範囲に所望の周波数、オン幅、オフ幅、およびオンデューティの値などが設定される。例えば、調光率100%〜10%までは、周波数が固定値とされ、オン幅、オフ幅、オンデューティの値がそれぞれ可変に設定される。調光率10%未満の調光率範囲については、オン幅が例えば1.0usに固定され、周波数、オフ幅、オンデューティの値がそれぞれ可変に設定される。マイコン40が調光率に応じてこのテーブルを参照し、このテーブルに定められた規則に従ってパルス信号HVIC_inを生成、出力するようにしてもよい。
【0040】
周波数固定制御とオン幅固定制御の制御切替のための比較判定に用いる数値は、目標オン幅P0そのものに限定されない。ほかにも、調光率が予め定めた所定調光率(図6の制御テーブルでは10%点灯)以上か否かを比較判定したり、目標オンデューティが予め定めた所定デューティ(図6の制御テーブルでは5.0%)以上か否かを比較判定したりすることで、目標オン幅P0が最小入力パルス幅以上か否かに応じて制御が切り替わるようにしてもよい。
【0041】
また、上記の処理S2では、最小入力パルス幅を境に第2制御が開始されるように判定値Pjを設定している。これにより、HVIC39が出力可能な範囲で可能な限り周波数固定制御を実施することができる。しかしながら、本発明は必ずしもこれに限られるものではない。処理S2で用いる判定値Pjを例えば最小入力パルス幅よりもある程度大きな値(例えば1.1us、1.2us・・・2.0us或いはそれ以上)に設定してもよい。この場合には、調光率が深くなり、最小入力パルス幅より若干大きな判定値Pjに目標オン幅P0が達した段階で、早期にオン幅固定制御が開始される。このようにすることでも「目標オン幅P0が最小入力パルス幅よりも小さい場合にオン幅固定制御が実施される」という動作が実現され、前記第2の発明を実施することができる。
【0042】
なお、浅い調光の時もオン幅固定制御とすると、例えば5%点灯と100%点灯で周波数が大幅に変わってしまうので、ノイズの問題が生ずると考えられる。この点、実施の形態2によれば浅い調光時には周波数固定制御に切り替えることができる。また、100%点灯(つまりLED電流が大きい)時に周波数が高くなるのでスイッチング損失が大きくなり、スイッチング素子Q2の電流が大きくなるので温度が高くなりやすいという問題もある。この観点からも、浅い調光の時は周波数固定が望ましい。なお、周波数の可変範囲は100kHz〜30kHzがより望ましい。ただし、20kHz以上としてもよく、これにより周波数を可聴領域外とすることができる。
【0043】
実施の形態3.
実施の形態3にかかる照明器具および点灯装置は、実施の形態2にかかる照明器具200および点灯装置201と同様の回路構成を備えている。以下の説明では実施の形態2と同一または相当する構成については同一の符号を付して説明を行うとともに、実施の形態2との相違点を中心に説明し、共通事項は説明を簡略化ないしは省略する。
【0044】
マイコン40は、昇圧チョッパ回路2の出力を制御するための昇圧パルス信号と、バックコンバータ回路203の出力を制御するための降圧パルス信号を、それぞれ生成する。この降圧パルス信号は、すなわち実施の形態1、2におけるパルス信号HVIC_inである。HVIC39は、スイッチング素子Q1を駆動するための駆動信号を生成し、この駆動信号は昇圧パルス信号の立ち上がりに同期して立ち上がり、かつ立下りに同期して立下る。また、HVIC39は、スイッチング素子Q2を駆動するための駆動信号(すなわち実施の形態1、2における駆動信号HVIC_out)を生成し、この駆動信号は降圧パルス信号HVIC_inの立ち上がりに同期して立ち上がり、かつ立下りに同期して立下る。
【0045】
実施の形態3では、マイコン40は、調光信号に応じて昇圧チョッパ回路2の出力を下げるように昇圧パルス信号のオン幅を小さくする。具体的には、実施の形態3では、スイッチング素子Q2の目標オン幅P0が所定値以上であるか否かに応じて、下記の2つの制御を可逆的に切り替える。
【0046】
まず、マイコン40は、スイッチング素子Q2の目標オン幅P0が所定値以上であるときは、昇圧パルス信号についてはオン幅固定とし、降圧パルス信号HVIC_inを調整することでバックコンバータ回路3の出力を制御する。また、マイコン40は、スイッチング素子Q2の目標オン幅P0が所定値より小さいときは、降圧パルス信号HVIC_inについてはオン幅固定とするとともに、昇圧パルス信号のオン幅を調整して昇圧チョッパ回路2の昇圧電圧を下げることでバックコンバータ回路3の出力を制御する。この所定値は、具体的にはHVIC39の最小入力パルス幅に等しい値としてもよく、あるいは最小入力パルス幅よりも大きな値に定めてもよい。
【0047】
上記の制御を実現する具体的処理としては、例えば、実施の形態2で述べた処理S2のような判定処理を行うことで、分岐させてもよい。あるいは図6のように調光率を複数の範囲に区分した制御テーブルに昇圧パルス信号および降圧パルス信号の内容を設定しておき、マイコン40がこれに従って昇圧パルス信号および降圧パルス信号を生成、出力してもよい。
【0048】
以上説明した実施の形態3によれば、調光時にPFC昇圧電圧を下げることで調光を深くすることができる。
【0049】
なお、実施の形態3の回路構成は実施の形態2と共通であるものとして説明したが、本発明はこれに限られない。実施の形態3は実施の形態2とは別個独立に実施してもよい。
【符号の説明】
【0050】
1、201 点灯装置、2 昇圧チョッパ回路、3、203 バックコンバータ回路、4 調光信号I/F回路、7 交流電源、8 整流回路、9、17、23 コンデンサ、10、22 インダクタ、14、21、D11、D21 ダイオード、15,16、R11、R21 抵抗、24 検出抵抗、26 LED、27 LEDモジュール、28 調光器、39 HVIC、40 マイコン、43 記憶部、44 A/D変換回路、45 処理装置、100、200 照明器具、200 照明器具、201 点灯装置、203 バックコンバータ回路、Q1、Q2 スイッチング素子、Rg1、Rg2、Rg22 ゲート抵抗
図1
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