(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6292094
(24)【登録日】2018年2月23日
(45)【発行日】2018年3月14日
(54)【発明の名称】記録計用拡張ユニット
(51)【国際特許分類】
G01D 15/00 20060101AFI20180305BHJP
H05K 7/14 20060101ALI20180305BHJP
【FI】
G01D15/00 Z
H05K7/14 P
【請求項の数】2
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2014-187980(P2014-187980)
(22)【出願日】2014年9月16日
(65)【公開番号】特開2016-61599(P2016-61599A)
(43)【公開日】2016年4月25日
【審査請求日】2017年4月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006507
【氏名又は名称】横河電機株式会社
(72)【発明者】
【氏名】原 峻士
【審査官】
菅藤 政明
(56)【参考文献】
【文献】
特開2014−149265(JP,A)
【文献】
特開2003−133765(JP,A)
【文献】
特開昭64−45199(JP,A)
【文献】
特開2009−298408(JP,A)
【文献】
特開2006−223027(JP,A)
【文献】
特開2007−26943(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01D 15/00
H05K 7/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録計の拡張スロットに挿入する記録計用拡張ユニットであって、
左右側面の挿入先端から中央部にかけて形成された両端支持梁構造のスナップフィット部を備え、
前記スナップフィット部は、
側面に沿って突起したリブ構造のガイド部と、
前記ガイド部の上方に形成された、挿入方向側になだらかな傾斜の第1ラッチ部と、
前記ガイド部上に前記第1ラッチ部と前後ずらして形成された、挿入方向側になだらかな傾斜の第2ラッチ部とを備えていることを特徴とする記録計用拡張ユニット。
【請求項2】
前記第1ラッチ部および第2ラッチ部は、前記ガイド部の挿入側先端部よりも外側に突起していることを特徴とする請求項1に記載の記録計用拡張ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録計の拡張スロットに挿入する記録計用拡張ユニットの外装構造に関する。
【背景技術】
【0002】
記録計は、各種産業プラントにおいてそのプロセスの温度・圧力・流量などを記録する装置であり、製品の製造工程における管理記録等に用いられる。記録計は、種々のタイプが製品化され、それぞれ種々の機能が実装されている。
【0003】
例えば、
図7(a)に示すように、前面に拡張スロット320を設け、拡張ユニット400を挿入することができる記録計300が製品化されている。拡張スロット320は、前面ドア301を開くことで前方に露出するようになっている。
【0004】
拡張ユニット400は、例えば、
図7(b)に示すように、拡張スロット320に挿入した状態でケーブル410と接続可能になっていて、ケーブル410の他端をPCと接続することで、記録計300のCPUとPCとを通信可能とする。
【0005】
一般に、ケーブル410は常時接続するものではなく、また、接続した状態では前面ドア301が閉まらないため、拡張ユニット400は容易に取り外すことができる構造としている。このため、拡張ユニット400は、ロック機構を有さず、軽く引くことで記録計300から抜き出すことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2002−342717号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
近年、SDカード等の可搬型の記録媒体が広く用いられるようになっており、記録計が収集したデータや設定情報等を可搬型の記録媒体に記録したいという要望がある。この場合、可搬型の記録媒体にアクセスするための拡張ユニットを開発し、拡張スロットに挿入することで実現することができる。
【0008】
ところで、可搬型記録媒体の拡張ユニットであれば、一旦拡張スロットに取り付けると取り外す必要性はほとんどなく、取り付けた状態でも前面ドア301の開閉に影響はない。逆に、容易に取り外し可能とするとアクセス中に通信遮断が発生して、記録媒体に悪影響を与えるおそれがある。このため、可搬型記録媒体の拡張ユニットは、ラッチ等によるロック機構を備えることが望ましい。
【0009】
しかしながら、記録計300の拡張スロット320は、ロック機構を想定していないため、専用のラッチ受けは形成されていない。このため、ラッチ受けとしては予定せずに形成されている凹部や隙間をラッチ受けに流用する必要がある。
【0010】
可搬型記録媒体の拡張ユニットは、拡張スロット320を有する複数種類の記録計300に汎用的に使用できることが望ましいが、このような凹部や隙間は、本来的なものではないため、設計上の都合等により、記録計300の種類毎に位置が異なる。このため、通常のラッチ機構では複数機種に対応することはできない。
【0011】
また、ラッチ機構を備える拡張ユニットを拡張スロットに挿入する際には、ラッチ機構が確実に働くように、拡張ユニットが傾いた状態で押し込まれることを防止するガイド機構を備えることが望ましい。この場合、ある程度の強度を有さないとガイド機構としての機能が十分発揮できない。
【0012】
そこで、本発明は、内部形状の異なる複数種の拡張スロットに対応したラッチ機構と十分な強度のガイド機構とを有する記録計用拡張ユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するため、本発明の記録計用拡張ユニットは、左右側面の挿入先端から中央部にかけて形成された両端支持梁構造のスナップフィット部を備え、前記スナップフィット部は、側面に沿って突起したリブ構造のガイド部と、前記ガイド部の上方に形成された、挿入方向側になだらかな傾斜の第1ラッチ部と、前記ガイド部上に前記第1ラッチ部と前後ずらして形成された、挿入方向側になだらかな傾斜の第2ラッチ部とを備えていることを特徴とする。
ここで、前記第1ラッチ部および第2ラッチ部は、前記ガイド部の挿入側先端部よりも外側に突起していることが望ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、内部形状の異なる複数種の拡張スロットに対応したラッチ機構と十分な強度のガイド機構とを有する記録計用拡張ユニットを提供される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】記録計と本実施形態の記録計用拡張ユニットとを示す図である。
【
図4】記録計の前面ドアを開けた状態を示す図である。
【
図5】記録計用拡張ユニットを拡張ユニットに挿入した状態を示す図である。
【
図6】記録計用拡張ユニットを拡張ユニットに挿入した状態を示す図である。
【
図7】記録計と従来の記録計用拡張ユニットとを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
図1は、本実施形態に係る記録計用拡張ユニット100を示す図である。本図に示すように、記録計用拡張ユニット100は、薄い矩形のカード状の外形をしており、記録計300の拡張スロット320に挿入される。
【0017】
本実施形態の記録計用拡張ユニット100は、SDカード200を装着可能であり、記録計300がSDカード200を読み書きできるように機能拡張するものである。ただし、記録計用拡張ユニット100は、無線通信、USBコントローラ等の他の用途の拡張ユニットであってもよい。記録計用拡張ユニット100は、ケーブルを有さず、奥行きも十分短いため、挿入状態で前面ドア301の開閉に影響を与えない。
【0018】
図2は、記録計用拡張ユニット100の斜視図である。本図は、挿入側から見た図である。本図に示すように、記録計用拡張ユニット100は、左右両側面にスナップフィット部110が形成され、上面に記録計300と電気的に接続するためのコネクタ120と、挿入時のストッパとなる突起部121とを有している。
【0019】
スナップフィット部110は、挿入側の先端から記録計用拡張ユニット100の中程まで形成され、挿入側先端部110aと中間根元部110bの両端で支えられた梁構造となっている。スナップフィット部110の挿入側先端部110aは、本体の先端部122よりも突き出している。このため、挿入時には、スナップフィット部110の挿入側先端部110aが最初に記録計の拡張スロット320に入ることになる。
【0020】
スナップフィット部110は、挿入側先端部110aと中間根元部110bの両端で記録計用拡張ユニット100本体と固定されているため、左右側面から押されると内側方向に撓むようになっている。なお、スナップフィット部110は左右側面とも対称に形成されているため、以下では一方の側面を例に説明する。
【0021】
スナップフィット部110を含め、記録計用拡張ユニット100の両側面の下部には、凸状に突起したリブ構造のガイド部101が挿入側先端から挿入側後端に渡って形成されている。記録計用拡張ユニット100の挿入時において、ガイド部101は、上面が上から押さえられることで、記録計用拡張ユニット100が上下方向に傾くのを防ぎ、側面が横から押さえられることで、記録計用拡張ユニット100が左右方向に傾くことを防ぐ。
【0022】
スナップフィット部110の中間部分には、第1ラッチ部111と第2ラッチ部112とが外側方向に突起した状態で形成されている。第1ラッチ部111と第2ラッチ部112とも挿入方向側になだらかな傾斜が形成され、反対側は側面にほぼ垂直に形成されており、記録計用拡張ユニット100が記録計300の拡張スロット320に挿入されると、いずれかのラッチ部(111、112)が拡張スロット320内の凹部や隙間のエッジに嵌って容易に抜けないようになっている。
【0023】
第1ラッチ部111と第2ラッチ部112とは上下にずらして形成されており、本実施形態では、第1ラッチ部111は、ガイド部101よりも上方に形成され、第2ラッチ部112は、ガイド部101上に形成されている。いずれのラッチ部(111、112)ともガイド部先端101aよりも外側に頂上がはみ出るようになっている。第2ラッチ部112はガイド部101上に形成されているため、ガイド部としての機能も担っている。
【0024】
また、第1ラッチ部111と第2ラッチ部112とは前後にずらして形成されており、本実施形態では、第2ラッチ部112よりも挿入側に形成されている。ただし、拡張スロット320の形状によっては、第1ラッチ部111と第2ラッチ部112との前後関係は逆であってもよい。
【0025】
このような第1ラッチ部111と第2ラッチ部112との位置関係により、本実施形態の記録計用拡張ユニット100では、第1ラッチ部111は、拡張スロット320内の比較的上側で挿入奥側に形成された凹部や隙間のエッジ部分に嵌り、第2ラッチ部112は、それよりも下側で手前側に形成された凹部や隙間のエッジ部分に嵌るようになっている。
【0026】
図3は、記録計用拡張ユニット100の六面図を示している。すなわち、上面図、前面図、背面図、左側面図、右側側面図、下面図である。本図では、
図2における挿入側から見た図を背面図としている。なお、本図では細部は簡略化している。
【0027】
図4は、記録計300の前面ドア301を開けた状態を示し、
図4(a)は全体図、
図4(b)は拡張スロット320部分の拡大図を示している。
図4(b)に示すように、拡張スロット320は、下辺部が左右広がった凸形状をしており、下辺部の広がった溝部321に記録計用拡張ユニット100のガイド部101の側面と上面とを合わせるようになっている。ただし、記録計300の種類によっては溝部321が形成されていない場合もある。この場合は、ガイド部101の側面を拡張スロット320の側面に合わせればよい。
【0028】
図4(b)に示すような左右に溝部321を有する凸形状をした拡張スロット320に記録計用拡張ユニット100を挿入する場合は、まず、スナップフィット部110の挿入側先端部110aに位置するガイド部先端101aを溝部321に差し込む。このとき、スナップフィット部110の挿入側先端部110aは、根元のみの片端支持ではなく、両端支持としているため、十分な強度を有しているため、挿入位置決めのガイドとしての機能を発揮する。
【0029】
ガイド部101が拡張スロット320の溝部321に嵌った状態のまま、記録計用拡張ユニット100を押し込んでいくと、拡張スロット320の側壁から押され、スナップフィット部110が撓んでいく。すなわち、第1ラッチ部111、第2ラッチ部112が最も外側に突起しているため、少なくとも一方のラッチが拡張スロット320の側壁に接して、スナップフィット部110を撓ませることになる。
【0030】
第2ラッチ部112は、ガイド部101上に形成され、ガイド部101よりも外側に突起しているため、スナップフィット部110が内側に撓んだとしても、第2ラッチ部112が拡張スロット320の溝部321に残ることになり、ガイドとしての機能を維持することができる。
【0031】
さらに挿入すると、第1ラッチ部111、第2ラッチ部112のいずれかが拡張スロット320内の凹部や隙間のエッジ部分とかみ合い、スナップフィット部110の撓みがなくなってロック状態となる。
【0032】
図5は、第1ラッチ部111が拡張スロット320の壁322と奥側の空間との間のエッジ部分をラッチ受けとして利用した場合を示している。壁322は、下部に空間を有しているため第2ラッチ部112の側面には接触しない。また、挿入方向には突起部121がストッパとなっている。この場合、挿入時には、第1ラッチ部111が壁322と接触することで、スナップフィット部110が撓み、第1ラッチ部111が壁322を越えた段階で、スナップフィット部110の撓みが解消し、ロック状態となる。
【0033】
図6は、
図5に示した拡張スロット320とは別形状の拡張スロット320に記録計用拡張ユニット100を挿入した場合を示している。本例では、第2ラッチ部112が拡張スロット320の壁323と奥側の空間との間のエッジ部分をラッチ受けとして利用した場合を示している。この場合、挿入時には、第1ラッチ部111および第2ラッチ部112が壁323と接触することで、スナップフィット部110が撓み、第1ラッチ部111が壁323を越え、さらに第2ラッチ部112が壁323を越えた段階で、スナップフィット部110の撓みが解消し、ロック状態となる。
【0034】
このように、本実施形態の記録計用拡張ユニット100は、上下方向および前後方向にずらして形成された第1ラッチ部111と第2ラッチ部112とを備えているため、内部形状の異なる複数種の拡張スロットに対応することができる。
【0035】
また、挿入側先端部110aと中間根元部110bの両端で支えられた梁構造となったスナップフィット部110にガイド部101が形成されているため、片梁構造にガイド部101を形成した場合と比べてガイド部111が十分な強度を有することになる。
【0036】
さらに、第2ラッチ部112は、ガイド部101上に形成されているため、ガイド部101が内側に撓んだ状態でも、拡張スロット320の溝部321に第2ラッチ部112が残り、ガイド機能を維持することができる。
【符号の説明】
【0037】
100…記録計用拡張ユニット、101…ガイド部、110…スナップフィット部、111…第1ラッチ部、112…第2ラッチ部、120…コネクタ、121…突起部、122…本体先端部、200…SDカード、300…記録計、301…前面ドア、320…拡張スロット、321…溝部、322…壁、323…壁