【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、以下の発明を包含する。
(1)合成樹脂からなる基材部と、エラストマからなる軟質部とを備え、前記基材部は、ハンドル基材と、前記ハンドル基材の先端部に設けた細長い軸状の芯部とを有し、前記軟質部は、前記芯部を被覆する清掃用軟質部を有し、前記ハンドル基材で持ち手としてのハンドル部を構成し、前記芯部と清掃用軟質部とで歯間清掃用の清掃部を構成した歯間清掃具であって、前記ハンドル基材は、ハンドル基材本体と、該ハンドル基材本体の先端部に連設した先細基材部とを有する細長い扁平な棒状に形成され、前記先細基材部はハンドル基材本体の幅方向に湾曲形成され、前記先細基材部の先端部に直線状の細長い軸状の芯部が連設されている、ことを特徴とする歯間清掃具。
【0009】
(2)前記ハンドル基材の全周にわたって環状に形成したエラストマからなる滑り止め部と、前記滑り止め部と清掃用軟質部とを連結するエラストマからなる複数の連結部とを有する(1)記載の歯間清掃具。
【0010】
(3)前記
連結部がハンドル基材の幅広な両面の幅方向の中央部に対応させて、該ハンドル基材の長さ方向に沿って形成されている(2)記載の歯間清掃具。
【0011】
(4)前記清掃用軟質部の基部に全周にわたって連なるように、前記ハンドル基材の先端部にエラストマからなる環状の挿入規制部を設けた(1)〜(3)のいずれかに記載の歯間清掃具。
【0012】
(5)前記芯部をその先端側へ行くにしたがって縮径するテーパ形状に形成し、前記芯部の長さ方向に対する該テーパ形状のなす角度を、前記芯部の先端側へ行くにしたがって連続的或いは段階的に小さくなるように設定した(1)〜(4)のいずれかに記載の歯間清掃具の製造方法。
【0013】
(6)前記清掃用軟質部は、前記芯部を被覆する被覆部と、該被覆部に長さ方向に間隔をあけて外方へ突出状に形成した複数の突起部とを有する(1)〜(5)のいずれかに記載の歯間清掃具。
【0014】
(7)前記基材部に合成樹脂材料節減用の凹部又は貫通孔が形成されている(1)〜(6)のいずれかに記載の歯間清掃具。
【0015】
(8)前記基材部を構成する合成樹脂材料と、前記軟質部を構成するエラストマ材料とが相溶性を有する材料からなる(1)〜(7)のいずれかに記載の歯間清掃具。
【0016】
本発明に係る歯間清掃具の製造方法は、合成樹脂からなる基材部と、エラストマからなる軟質部とを備え、前記基材部は、ハンドル基材と、前記ハンドル基材の先端部に設けた細長い軸状の芯部とを有し、前記軟質部は、前記芯部を被覆する清掃用軟質部を有し、前記ハンドル基材で持ち手としてのハンドル部を構成し、前記芯部と清掃用軟質部とで歯間清掃用の清掃部を構成した歯間清掃具の製造方法であって、第1金型の第1成形空間に合成樹脂材料を充填して前記基材部を製作する基材部成形工程と、前記第1金型にて成形した基材部を第2金型の第2成形空間にセットした後、該第2成形空間にエラストマ材料を充填して軟質部を成形する軟質部成形工程とを備え、前記軟質部成形工程において、前記第2成形空間における清掃部成形空間の基部に、その全周にわたって一様となるようにエラストマ材料を供給して、前記清掃部成形空間に対して前記芯部の基部側から先端方向へ向けてエラストマ材料を充填し、前記清掃用軟質部を成形するものである。
【0017】
この製造方法では、芯部の基部側から芯部の先端側へ向けてエラストマ材料を充填して清掃用軟質部を成形することになるが、第2成形空間の清掃部成形空間の基部に、その全周にわたって一様となるようにエラストマ材料を供給するので、清掃部成形空間に対する部分的な充填不良を防止して、芯部の基部から先端部までエラストマ材料を過不足なく充填することが可能となり、清掃用軟質部の成形不良を効果的に防止できる。また、エラストマ材料の充填不良に起因する、エラストマの製品からの剥離も効果的に防止できる。更に、芯部の基部側からエラストマ材料を充填するので、ハンドル基材に対して滑り止め部を無理なく成形することが可能となる。更にまた、断面積の大きい芯部の基部側からエラストマ材料を充填するので、エラストマ材料の充填時における熱による芯部の変形を防止しつつ、芯部の先端側部分を小径に構成することが可能となり、歯間に挿入可能な清掃部の長さを極力長く設定でき、歯間の清掃性を向上できる。
【0018】
ここで、前記第2成形空間にハンドル基材の外周に沿った環状の貯留空間を形成し、該貯留空間にエラストマ材料を貯留して、該貯留空間から直接的或いはハンドル基材に沿って形成した複数の供給路を通じて、前記清掃部成形空間の基部に、その全周にわたって一様となるようにエラストマ材料を供給することが好ましい実施の形態である。この場合には、貯留空間にエラストマ材料を一旦貯留することで、貯留空間から清掃部成形空間の基部へのエラストマ材料の供給を、該基部の全周にわたって略同時に且つ略バラツキなく行うことが可能となり、該清掃部成形空間の基部の全周にわたって一様となるようにエラストマ材料を供給できるので、清掃用軟質部の成形不良を効果的に防止できる。また、複数個の歯間清掃具を同時成形する場合には、第2金型の合わせ面にランナを形成することが困難なので、第2金型の少なくとも一方の金型にランナを形成することになるが、本発明のように構成すると、第2金型の一方の金型だけにランナを形成して、該ランナを貯留空間に連通させることで、清掃用軟質部の成形不良を防止しつつ、複数の歯間清掃具を同時成形可能に構成でき、金型構造を大幅に簡単にできる。
【0019】
前記エラストマ材料の射出ゲートを、前記貯留空間又は前記貯留空間から5mm以内の前記供給路の途中部に開口させることが好ましい実施の形態である。このように構成することで、貯留空間に対してエラストマ材料を確実に一旦貯留することが可能となる。
【0020】
前記貯留空間として、前記ハンドル基材の途中部に対応させて滑り止め部成形空間を形成し、前記滑り止め部成形空間と清掃部成形空間とを連通する複数の供給路をハンドル基材に沿って形成することが好ましい実施の形態である。この場合には、滑り止め部成形空間にエラストマ材料を一旦貯留して、この滑り止め成形空間から複数の供給路を通じて、清掃部成形空間の基部に、その全周にわたって一様となるようにエラストマ材料を供給できるので、清掃用軟質部の成形不良を効果的に防止できる。また、この製造方法にて製作した歯間清掃具には、滑り止め部成形空間によりエラストマからなる滑り止め部が成形されるので、清掃具のハンドリング性を向上できる。
【0021】
前記貯留空間として、前記ハンドル基材の先端部に対応させて、前記清掃部成形空間の基部の全周にわたって直接的に連通する挿入規制部成形空間を形成することも好ましい実施の形態である。この場合には、挿入規制部成形空間に対してエラストマ材料を一旦貯留して、この挿入規制部成形空間から直接的に、清掃部成形空間の基部に、その全周にわたって一様となるようにエラストマ材料を供給できるので、清掃用軟質部の成形不良を効果的に防止できる。また、この製造方法にて製作した歯間清掃具には、挿入規制部成形空間にてエラストマからなる挿入規制部が成形され、この挿入規制部により歯間に対する清掃部の最大挿入長さを規制でき、過度の挿入による芯部への負荷を回避することで、軸折れを防止するとともに、挿入規制部を歯肉に当接させることで、歯肉へのマッサージ効果が期待できる。
【0022】
前記貯留空間として、前記ハンドル基材の途中部に対応させて滑り止め部成形空間を形成するとともに、前記ハンドル基材の先端部に対応させて、前記清掃部成形空間の基部の全周にわたって直接的に連通する挿入規制部成形空間を形成し、前記滑り止め部成形空間と挿入規制部成形空間とを連通する複数の供給路をハンドル基材に沿って形成することが好ましい実施の形態である。この場合には、滑り止め部成形空間と挿入規制部成形空間とでエラストマ材料を一旦貯留して、挿入規制部成形空間から直接的に、清掃部成形空間の基部に対して、清掃部成形空間の基部の全周にわたって一様となるようにエラストマ材料を供給できるので、清掃用軟質部の成形不良をより一層効果的に防止できる。また、この製造方法にて製作した歯間清掃具には、エラストマからなる滑り止め部及び挿入規制部が成形されるので、滑り止め部により清掃具のハンドリング性を向上でき、また挿入規制部により、歯間に対する清掃部の最大挿入長さを規制できるとともに、歯肉へのマッサージ効果が期待できる。
【0023】
前記ハンドル基材を細長い扁平な棒状に形成し、前記供給路をハンドル基材の幅広な両面の幅方向の中央部に対応させて、該ハンドル基材の長さ方向に沿って形成することが好ましい実施の形態である。この場合には、供給路の幅を広く設定して、清掃部成形空間に対してエラストマ材料を十分に供給することができ、清掃用軟質部の成形不良を一層効果的に防止できる。また、歯間清掃具の使用時には、親指と人差し指とでハンドル基材の幅広な両面を摘まんで清掃操作できるので、歯間清掃具を保持し易く、しかも供給路により、ハンドル基材の幅広な両面にエラストマからなる連結部が成形されるので、滑り止め部だけでなく連結部においても、保持した指の滑りを防止でき、歯間清掃具のハンドリング性を向上できるので好ましい。
【0024】
前記芯部を直線状の細長い軸状に形成することも好ましい実施の形態である。
前記芯部をその先端側へ行くにしたがって縮径するテーパ形状に形成し、前記芯部の長さ方向に対する該テーパ形状のなす角度を、前記芯部の先端側へ行くにしたがって連続的或いは段階的に小さくなるように設定することが好ましい実施の形態である。この場合には、熱負荷の大きくなる芯部の基部の直径を大きく設定して、エラストマの充填時における芯部の熱変形を一層効果的に防止できるとともに、芯部の先端側における小径部分を極力長く設定して、歯間に挿入可能な清掃部の長さを極力長く設定可能な歯間清掃具を製造できる。
【0025】
前記清掃用軟質部は、前記芯部を被覆する被覆部と、該被覆部に長さ方向に間隔をあけて外方へ突出状に形成した複数の突起部とを有することが好ましい実施の形態である。
【0026】
前記ハンドル基材は、ハンドル基材本体と、該ハンドル基材本体の先端部に連設した先細基材部とを有し、前記先細基材部はハンドル基材本体の幅方向に湾曲するとともに、先端側へ行くにしたがって幅狭になるとともに薄肉になるように幅方向及び厚さ方向に先細形状に形成されていることが好ましい実施の形態である。
前記基材部に合成樹脂材料節減用の凹部又は貫通孔を形成することも好ましい実施の形態である。このように構成することで、基材部の使用材料を節減して、歯間清掃具の製作コストを安くできるとともに、凹部や貫通孔を利用して、歯間清掃具の意匠性を高めたり、包装用ブリスター容器等に対して歯間清掃具を収容するときに、歯間清掃具をブリスター容器に固定できるので好ましい。
【0027】
前記基材部を構成する合成樹脂材料と、前記軟質部を構成するエラストマ材料とが相溶性を有する材料からなることが好ましい実施の形態である。この場合には、軟質部が基材部から剥離することを効果的に防止できるので、耐久性に優れた歯間清掃具を実現できる。
本発明に係る歯間清掃具は、合成樹脂からなる基材部と、エラストマからなる軟質部とを備え、前記基材部は、ハンドル基材と、前記ハンドル基材の先端部に設けた細長い軸状の芯部とを有し、前記軟質部は、前記芯部を被覆する清掃用軟質部を有し、前記ハンドル基材で持ち手としてのハンドル部を構成し、前記芯部と清掃用軟質部とで歯間清掃用の清掃部を構成した歯間清掃具であって、前記ハンドル基材は、ハンドル基材本体と、該ハンドル基材本体の先端部に連設した先細基材部とを有し、前記先細基材部はハンドル基材本体の幅方向に湾曲するとともに、先端側へ行くにしたがって幅狭になるとともに薄肉になるように幅方向及び厚さ方向に先細形状に形成され、前記先細基材部の先端部に直線状の細長い軸状の芯部が連設されているものである。