(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
サプレッサ方式イオンクロマトグラフは、溶離液中の妨害イオンをイオン交換反応によって除去するサプレッサをカラムの後段に備えている(例えば特許文献1を参照。)。このサプレッサは、溶離液の電気伝導度のバックグラウンドレベルを低下させる。これにより、サプレッサ方式イオンクロマトグラフは、S/N比を向上させることにより高感度の分析を可能にする。
【0003】
図15は、従来のサプレッサ方式イオンクロマトグラフの一例を説明するための概略的な構成図である。
溶離液容器1から供給される溶離液は、送液ポンプ3で加圧され、試料導入部5で注入された試料と合流して分離カラム7に導入される。溶離液に注入された試料は分離カラム7を通過する間に各成分に分離される。
【0004】
分離された試料を含む溶離液は電気透析式サプレッサ9の溶離液流路を介して検出器11に送られる。検出器11を通過した溶離液は電極液配管13を介して電気透析式サプレッサ9の電極液流路に供給される(リサイクルモードと呼ばれる。)。電気透析式サプレッサ9の電極液流路を通過した溶離液は排出される。
【0005】
電気透析式サプレッサ9は、前述したように、溶離液中の妨害イオンをイオン交換反応によって除去するものである。電気透析式サプレッサ9において、陽極側の電極液流路中の水素イオンはイオン交換膜を介して溶離液流路に供給される。溶離液中に存在する妨害イオン(例えばナトリウムイオン)はイオン交換膜を介して陰極側の電極液流路に移動する。
【0006】
電気透析式サプレッサ9において水の電気分解がおこる。反応は以下の通りである。
陰極:4H
20+4e
- → 2H
2+40H
-
陽極:40H
- → 2H
20+0
2+4e
-
2H
20 → 2H
2+0
2
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
サプレッサ方式イオンクロマトグラフにおいて、電気透析式サプレッサの電極液流路で酸素ガス及び水素ガスが発生する。上述のように、リサイクルモードの場合、検出器を通過した溶離液は電極液として電気透析式サプレッサの電極液流路に供給される。この場合、溶離液が流れる流路において、電極液流路で発生するガスに起因して脈流が生じることがある。この脈流は、検出器において電気化学的ノイズの原因となる。
【0009】
この不具合を防止するために、イオン種の検出中は電気透析式サプレッサへの電圧の供給を停止して気泡の発生を抑制することが提案されている(例えば特許文献1を参照。)。このように電気透析式サプレッサを間欠的に使用することで、イオン種の検出中の電気化学的ノイズが小さくなる。
【0010】
しかしながら、電気透析式サプレッサへの電圧の供給を間欠的に行うと、検出器のベースラインが例えば16nS/cm・min(ナノジーメンス毎センチメートル・分)程度ドリフトする。これにより、分析時間が5〜7分程度に限られるという問題があった。
【0011】
そこで、本発明は、電気透析式サプレッサへの電圧供給を行なっている状態であっても、電気透析式サプレッサで発生するガスに起因する脈流の検出器への影響を低減することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明にかかるイオンクロマトグラフの第1の態様は、溶離液と共に試料が導入される分離カラムと、上記分離カラムを通過した溶離液が導入される溶離液流路、上記溶離液流路に対してそれぞれイオン交換膜を介して配置された一対の電極液流路、及び電極液流路ごとに設けられた一対の電極を少なくとも有する電気透析式サプレッサと、上記電気透析式サプレッサの上記溶離液流路を通過した溶離液に含まれる目的イオンを検出するための検出器と、上記検出器を通過した溶離液を上記電気透析式サプレッサの上記電極液流路に供給するための電極液配管と、上記電極液配管の中間位置に設けられた、上記電気透析式サプレッサの上記電極液流路で生じる気泡に起因する脈流を低減するための脈流低減装置と、を備えている。
【0013】
本発明にかかるイオンクロマトグラフの第2の態様は、溶離液と共に試料が導入される分離カラムと、上記分離カラムを通過した溶離液が導入される溶離液流路、及び上記溶離液流路に対してイオン交換膜を介して配置され、再生液が導入される再生液流路を少なくとも有するケミカルサプレッサと、上記ケミカルサプレッサの上記溶離液流路を通過した溶離液に含まれる目的イオンを検出するための検出器と、上記ケミカルサプレッサの上記再生液流路を通過した再生液が導入される再生液再生流路、上記再生液再生流路に対してそれぞれイオン交換膜を介して配置された一対の電極液流路、並びに上記電極液流路ごとに設けられた一対の電極を少なくとも有する電気透析式サプレッサからなる再生器と、上記再生器の上記再生液再生流路を通過した再生液を上記ケミカルサプレッサの上記再生液流路に供給するための再生液配管と、上記検出器を通過した溶離液を上記再生器の上記電極液流路に供給するための電極液配管と、上記電極液配管の中間位置に設けられた、上記再生器の上記電極液流路で生じる気泡に起因する脈流を低減するための脈流低減装置と、を備えている。
【0014】
本発明のイオンクロマトグラフの第1の態様及び第2の態様において、上記脈流低減装置の一例は少なくとも弾性体を一部に含んだダンパーである。
【0015】
本発明のイオンクロマトグラフの第1の態様及び第2の態様において、上記脈流低減装置の他の例は脱気装置である。
【0016】
ただし、本発明のイオンクロマトグラフにおいて、脈流低減装置は、上記ダンパー及び脱気装置に限定されず、電極液流路で生じる気泡に起因する脈流を低減できる構造であれば、どのような構造であってもよい。
【発明の効果】
【0017】
本発明のイオンクロマトグラフは、検出器を通過した溶離液を電気透析式サプレッサの電極液流路又は電気透析式サプレッサからなる再生器の電極液流路に供給するための電極液配管の中間位置に、上記電極液流路で生じる気泡に起因する脈流を低減するための脈流低減装置を備えているようにした。これにより、本発明のイオンクロマトグラフは、電気透析式サプレッサへの電圧供給を行なっている状態であっても、電気透析式サプレッサで発生するガスに起因する脈流の検出器への影響を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明のイオンクロマトグラフの第1の態様の一実施例を説明するための概略的な構成図である。
【
図2】電気透析式サプレッサの一例を説明するための概略的な断面図である。
【
図3】脈流低減装置の一例を説明するための概略図である。
【
図4】
図3に示した脈流低減装置がある場合(実施例)と無い場合(従来技術)とでベースラインノイズを測定した結果を示すクロマトグラム及びその一部分の拡大図である。
【
図5】脈流低減装置の他の例を説明するための概略的な構成図である。
【
図6】本発明のイオンクロマトグラフの第1の態様の他の実施例を説明するための概略的な構成図である。
【
図7】電気透析式サプレッサの他の例を説明するための概略的な断面図である。
【
図8】本発明のイオンクロマトグラフの第2の態様の一実施例を説明するための概略的な構成図である。
【
図9】ケミカルサプレッサの一例を説明するための概略的な断面図である。
【
図10】再生器の一例を説明するための概略的な断面図である。
【
図11】本発明のイオンクロマトグラフの第2の態様の他の実施例を説明するための概略的な構成図である。
【
図12】再生器の他の例を説明するための概略的な断面図である。
【
図13】本発明のイオンクロマトグラフの第2の態様のさらに他の実施例を説明するための概略的な構成図である。
【
図14】ケミカルサプレッサの他の例を説明するための概略的な断面図である。
【
図15】従来のサプレッサ方式イオンクロマトグラフの一例を説明するための概略的な構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1は、本発明のイオンクロマトグラフの第1の態様の一実施例を説明するための概略的な構成図である。
溶離液容器1に溶離液が収容されている。溶離液容器1に収容された溶離液は、送液ポンプ3で加圧され、試料導入部5を介して分離カラム9に送られる。
【0020】
試料注入器5は分離カラム9に送られる溶離液に所定量の試料を注入するためのものである。分離カラム9には溶離液と共に試料が導入される。溶離液に注入された試料は分離カラム7を通過する間に各成分に分離される。
【0021】
分離カラム41から排出された溶離液は、電気透析式サプレッサ9の溶離液流路を介して検出器11に送られる。検出器11は、電気透析式サプレッサ9の溶離液流路を通過した溶離液に含まれる目的イオンを検出する。検出器11としては、溶離液の電気伝導度を測定することで溶離液中のイオン濃度を検出する電気伝導度検出器が主として用いられる。
【0022】
検出器11を通過した溶離液は、その溶離液を電気透析式サプレッサ9の電極液流路に供給するための電極液配管13に送られ、電極液配管13の中間位置に設けられた脈流低減装置15を介して電気透析式サプレッサ9の電極液流路に供給される(リサイクルモード)。脈流低減装置15は、電気透析式サプレッサ9の電極液流路で生じる気泡に起因する脈流を低減するためのものである。電気透析式サプレッサ9の電極液流路を通過した溶離液は排出される。
【0023】
図2は、電気透析式サプレッサ9の一例を説明するための概略的な断面図である。
電気透析式サプレッサ9は、溶離液流路91、イオン交換膜93a,93b、電極液流路95a,95b及び電極97a,97bを備えている。電気透析式サプレッサ9は、板状の部材が積層されて形成されている。
【0024】
溶離液流路91には分離カラム7(
図1を参照。)を通過した溶離液が導入される。電極液流路95aは溶離液流路91に対してイオン交換膜93aを介して配置されている。電極液流路95bは溶離液流路91に対してイオン交換膜93bを介して配置されている。
【0025】
電極液流路95a,95bには検出器11(
図1を参照。)からの溶離液が導入される。
陽極側の電極97aは電極液流路95aに接して配置されている。陰極側の電極97bは電極液流路95bに接して配置されている。
【0026】
図3は、脈流低減装置15の一例を説明するための概略的な構成図である。
脈流低減装置15は、三方管151、弾性管からなるダンパー152、漏出用管153、コネクター154a,154b,154c,154dを備えている。
【0027】
三方管151の2つの端部は、コネクター154a,154bによって溶離液流路13の中間位置に接続されている。三方管151の残りの端部はコネクター154cによってダンパー152の一端に接続されている。ダンパー152の他端はコネクター154dによって漏出用配管153の一端に接続されている。
【0028】
例えば、溶離液流路13は、内径が0.23mmのPEEK(polyether ether ketone)チューブである。ダンパー152は、内径が5mm、長さが200mmの塩化ビニル製チューブである。漏出用配管153は、内径が0.13mmのPEEKチューブである。
【0029】
脈流低減装置15において、ダンパー152は、その弾性によって、電気透析式サプレッサ9の電極液流路95a,95b(
図2を参照。)で生じる気泡に起因する脈流を低減する。
【0030】
さらに、漏出用配管153は、溶離液流路13よりも小さい内径を備えていることにより、検出器からの溶離液の一部を漏出する。これにより、漏出用配管153は、電気透析式サプレッサ9の電極液流路95a,95bで生じる気泡に起因する脈流を低減する。
【0031】
このように、脈流低減装置15は、電気透析式サプレッサ9の電極液流路95a,95bで生じる気泡に起因する脈流を低減することにより、検出器における電気化学的ノイズを緩衝する。
【0032】
図4は、
図3に示した脈流低減装置がある場合(実施例)と無い場合(従来技術)とでベースラインノイズを測定した結果を示すクロマトグラム及びその一部分の拡大図である。
図4において、縦軸は電気伝導度(単位はnS/cm)、横軸は時間(単位は分)を示す。
【0033】
サプレッサへの電圧印加は連続して行なわれた。
脈流低減装置が無い場合(従来技術)、ベースラインノイズは5.6nS/cm程度であった。脈流低減装置がある場合(実施例)、ベースラインノイズは0.7nS/cm程度であった。
【0034】
このように、上記実施例は、電気透析式サプレッサ9への電圧供給を行なっている状態であっても、電気透析式サプレッサ9で発生するガスに起因する検出器11への脈流の影響を低減することができる。そして、電気透析式サプレッサ9で発生するガスの検出器11への脈流の影響を防ぐことで、電解連続再生においてもノイズレベルの低い高感度分析が可能となった。
【0035】
さらに、上記実施例は、電気透析式サプレッサ9を連続で駆動させているので、間欠駆動でノイズを低減する従来技術に比べてベースラインのドリフトが小さい安定したベースラインで分析可能となる。
【0036】
図5は、脈流低減装置15の他の例を説明するための概略的な構成図である。
脈流低減装置15は、容器155及び密栓156を備えている。容器155は密栓156によって封止されている。容器155内の下部に溶離液が収容されて液体層157が形成されている。容器155内で液体層157の上方に例えば空気からなる気体層158が形成されている。
検出器からの溶離液流路13の端部、及び電気透析式サプレッサの電極液流路へ向かう端部は、両方とも、容器155内の液体層157に配置されている。
【0037】
脈流低減装置15は、脱気装置として機能し、電気透析式サプレッサ9の電極液流路95a,95bで発生するガスを気体層158で捕捉することでノイズの軽減を行う。これにより、脈流低減装置15は、電気透析式サプレッサ9への電圧供給を行なっている状態であっても、電気透析式サプレッサ9で発生するガスに起因する検出器11への脈流の影響を低減する。
【0038】
なお、
図1に示された実施例において、脈流低減装置15の構造は、
図3又は
図5に示されたものに限定されず、電極液流路95a,95bで生じる気泡に起因する脈流を低減できる構造であれば、どのような構造であってもよい。
【0039】
図6は、本発明のイオンクロマトグラフの第1の態様の他の実施例を説明するための概略的な構成図である。
図6において
図1と同じ機能を果たす部分には同じ符号が付される。
図7は、電気透析式サプレッサ9の他の例を説明するための概略的な断面図である。
図7において
図2と同じ機能を果たす部分には同じ符号が付される。
【0040】
この実施例で用いられる電気透析式サプレッサ9は、
図7に示されるように、電極液流路95a,95bはそれぞれ電極液導入口及び排出口を備えている。
電極液配管13において、脈流低減装置15と電気透析式サプレッサ9の間に、電極液配管13を分岐するための分岐バルブ17が接続されている。分岐バルブ17によって分岐された2本の電極液配管13のうち、一方の電極液配管13は電極液流路95aに接続されている。他方の電極液配管13は電極液流路95bに接続されている。
【0041】
この実施例と
図1に示された実施例は、電極液の流れる流路が電気透析式サプレッサ9の前段で分岐されているか(
図6及び
図7)、電気透析式サプレッサ9の内部で分岐されているか(
図1及び
図2)の違いがあるが、脈流低減装置15によって電気透析式サプレッサ9の電極液流路95a,95bで生じる気泡に起因する脈流を低減する構成は同じである。したがって、この実施例は、電気透析式サプレッサ9への電圧供給を行なっている状態であっても、電気透析式サプレッサ9で発生するガスに起因する検出器11への脈流の影響を低減することができる。
【0042】
図8は、本発明のイオンクロマトグラフの第2の態様の一実施例を説明するための概略的な構成図である。
図8において、
図1と同じ機能を果たす部分には同じ符号が付される。
この実施例では、分離カラム7と検出器11との間にケミカルサプレッサ19が配置されている。ケミカルサプレッサは例えば特許文献2に開示されている。
【0043】
図9は、ケミカルサプレッサ19の一例を説明するための概略的な断面図である。
ケミカルサプレッサ19は、溶離液流路191、イオン交換膜193及び再生液流路195を備えている。ケミカルサプレッサ19は、板状の部材が積層されて形成されている。
【0044】
溶離液流路191には分離カラム7(
図8を参照。)を通過した溶離液が導入される。再生液流路195は溶離液流路191に対してイオン交換膜193を介して配置されている。再生液流路195には再生液が導入される。
【0045】
溶離液は例えばアルカリ溶液(NaOH)である。再生液は例えば酸溶液(H
2SO
4)である。ケミカルサプレッサ19は、イオン交換膜193を介して、再生液流路195から溶離液流路191へ水素イオンを供給し、溶離液に含まれる妨害イオン(例えばナトリウムイオン)を溶離液流路191から再生液流路195へ移動させる。これにより、溶離液の電気伝導度のバックグラウンドレベルが低下される。
【0046】
ケミカルサプレッサ19の溶離液流路191を通過した溶離液は、溶離液に含まれる目的イオンを検出するための検出器11に送られる。検出器11を通過した溶離液は電極液配管13を介して再生器23の電極液流路に供給される(リサイクルモード)。
電極液配管13の中間位置に再生器23の電極液流路で生じる気泡に起因する脈流を低減するための脈流低減装置15が設けられている。
【0047】
図10は、再生器23の一例を説明するための概略的な断面図である。
再生器23は電気透析式サプレッサによって構成されている。
再生器23は、再生液再生流路231、イオン交換膜233a,233b、電極液流路235a,235b及び電極237a,237bを備えている。再生器23は、板状の部材が積層されて形成されている。
【0048】
再生液再生流路231にはケミカルサプレッサ19の再生液流路195を通過した溶離液が導入される。電極液流路235aは再生液再生流路231に対してイオン交換膜233aを介して配置されている。電極液流路235bは再生液再生流路231に対してイオン交換膜233bを介して配置されている。
【0049】
電極液流路235a,235bには検出器11(
図8を参照。)からの溶離液が導入される。
陽極側の電極237aは電極液流路235aに接して配置されている。陰極側の電極237bは電極液流路235bに接して配置されている。
【0050】
再生器23において、水の電気分解によって、陽極側の電極液流路235aで酸素が発生し、陰極側の電極液流路235bで水素が発生する。
【0051】
陽極側の電極液流路235aで生成された水素イオンはイオン交換膜233aを介して再生液再生流路231に供給される。ケミカルサプレッサ19の再生液流路195からの再生液に含まれる妨害イオン(例えばナトリウムイオン)は、再生液が再生器23の再生液再生流路231を通過する間に、イオン交換膜233bを介して陰極側の電極液流路235bに移動する。このようにして、再生器23で再生液(H
2SO
4)が再生される。
【0052】
再生器23で再生された再生液は、再生液配管25を介して、ケミカルサプレッサ19の再生液流路195に供給される。
【0053】
上述のように再生器23の電極液流路235a,235bにおいて気泡が発生する。しかし、その気泡に起因する脈流は、電極液流路13に設けられた脈流低減装置15によって緩衝される。これにより、再生器23(電気透析式サプレッサ)への電圧供給を行なっている状態であっても、再生器23で発生するガスに起因する検出器11への脈流の影響は低減されている。
【0054】
図11は、本発明のイオンクロマトグラフの第2の態様の他の実施例を説明するための概略的な構成図である。
図12において、
図8と同じ機能を果たす部分には同じ符号が付される。
図12は、再生器23の他の例を説明するための概略的な断面図である。
図7において
図2と同じ機能を果たす部分には同じ符号が付される。
【0055】
この実施例で用いられる再生器23は、
図12に示されるように、電極液流路235a,235bはそれぞれ電極液導入口及び排出口を備えている。
電極液配管13において、脈流低減装置15と再生器23の間に、電極液配管13を分岐するための分岐バルブ27が接続されている。分岐バルブ27によって分岐された2本の電極液配管13のうち、一方の電極液配管13は電極液流路235aに接続されている。他方の電極液配管13は電極液流路235bに接続されている。
【0056】
この実施例は、
図8に示された実施例と同様に、脈流低減装置15によって再生器23の電極液流路235a,235bで生じる気泡に起因する脈流を脈流低減装置15によって緩衝する。したがって、この実施例は、再生器23への電圧供給を行なっている状態であっても、再生器23で発生するガスに起因する検出器11への脈流の影響を低減することができる。
【0057】
図13は、本発明のイオンクロマトグラフの第2の態様のさらに他の実施例を説明するための概略的な構成図である。
図13において、
図11と同じ機能を果たす部分には同じ符号が付される。
図14は、ケミカルサプレッサ19の他の例を説明するための概略的な断面図である。
図14において
図9と同じ機能を果たす部分には同じ符号が付される。
【0058】
ケミカルサプレッサ19は、溶離液流路191に対してイオン交換膜193aを介して配置された再生液流路195aと、溶離液流路191に対してイオン交換膜193bを介して配置された再生液流路195bとを備えている。再生液流路195a,195bはそれぞれ再生液導入口及び排出口を備えている。
【0059】
再生液配管25において、再生器23とケミカルサプレッサ19の間に、再生液配管25を分岐するための分岐バルブ29が接続されている。分岐バルブ29によって分岐された2本の再生液配管25のうち、一方の再生液配管25は再生液流路195aに接続されている。他方の再生液配管25は再生液流路195bに接続されている。
【0060】
再生液流路195a,195bから排出された再生液は、合流バルブ31を介して、再生器23の再生液再生流路231に導入される。
このように、再生器23は複数の再生液流路を備えていてもよい。
【0061】
以上、本発明の実施例を説明したが、実施例における材料、寸法、配置等は一例であり、本発明はこれに限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の範囲内で種々の変更が可能である。
【0062】
例えば、上記実施例において、電気透析式サプレッサ9では、溶離液と電極液は互いに逆方向に流されているが、電気透析式サプレッサ9において、溶離液と電極液は同じ方向に流されてもよい。同様に、再生器23において、再生液と電極液は同じ方向に流されてもよい。また、ケミカルサプレッサ19において、溶離液と再生液は同じ方向に流されてもよい。
【0063】
また、本発明において、電気透析式サプレッサは、分離カラムを通過した溶離液が導入される溶離液流路、溶離液流路に対してそれぞれイオン交換膜を介して配置された一対の電極液流路、及び電極液流路ごとに設けられた一対の電極を少なくとも有し、溶離液から妨害イオンを除去できる構成であれば、どのような構成であってもよい。
【0064】
また、本発明において、検出器は、電気透析式サプレッサ又はケミカルサプレッサの溶離液流路を通過した溶離液に含まれる目的イオンを検出できるものであれば、どのような構成のものであってもよい。
【0065】
また、本発明において、脈流低減装置は、電気透析式サプレッサ又は再生器の電極液流路で生じる気泡に起因する脈流を低減できるものであれば、どのような構成のものであってもよい。
【0066】
また、本発明において、ケミカルサプレッサは、分離カラムを通過した溶離液が導入される溶離液流路、及び前記溶離液流路に対してイオン交換膜を介して配置され、再生液が導入される再生液流路を少なくとも有し、溶離液から妨害イオンを除去できる構成であれば、どのような構成であってもよい。
【0067】
また、本発明において、再生器は、ケミカルサプレッサの再生液流路を通過した再生液が導入される再生液再生流路、再生液再生流路に対してそれぞれイオン交換膜を介して配置された一対の電極液流路、並びに電極液流路ごとに設けられた一対の電極を少なくとも有する電気透析式サプレッサからなり、再生液から妨害イオンを除去できる構成であれば、どのような構成であってもよい。