特許第6292387号(P6292387)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6292387
(24)【登録日】2018年2月23日
(45)【発行日】2018年3月14日
(54)【発明の名称】コネクタ装置
(51)【国際特許分類】
   H01R 12/79 20110101AFI20180305BHJP
   H01R 12/88 20110101ALI20180305BHJP
【FI】
   H01R12/79
   H01R12/88
【請求項の数】4
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2014-44142(P2014-44142)
(22)【出願日】2014年3月6日
(65)【公開番号】特開2015-170458(P2015-170458A)
(43)【公開日】2015年9月28日
【審査請求日】2017年2月1日
(73)【特許権者】
【識別番号】592028846
【氏名又は名称】第一精工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083909
【弁理士】
【氏名又は名称】神原 貞昭
(72)【発明者】
【氏名】嶋田 好伸
【審査官】 板澤 敏明
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2011/121446(WO,A1)
【文献】 特開平08−236198(JP,A)
【文献】 特開2011−119162(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 12/79
H01R 12/88
H01R 13/639
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
板状部材差込み部が設けられて配線基板上に配されるハウジングと、
該ハウジングに配列配置されて設けられ、上記配線基板に設けられた配線端子に連結される状態をとり、配線板状部材が上記ハウジングに上記板状部材差込み部を通じて差し込まれたとき、上記ハウジングに差し込まれた配線板状部材における複数の接触端子部に接触接続される複数のコンタクトと、
上記ハウジングにおける上記複数のコンタクトの配列方向の両端部に夫々取り付けられて、配線板状部材が上記ハウジングに上記板状部材差込み部を通じて差し込まれたとき、上記複数のコンタクトが上記複数の接触端子部に接触接続された状態を維持すべく上記配線板状部材に対する係止を行う一対の係合部材と、
を備えて成り、
上記一対の係合部材の各々が、上記ハウジングにおける上記板状部材差込み部の外側となる部分に固定される基部と該基部から屈曲連結部を介して上記板状部材差込み部に向かって伸びる弾性可動アーム状部とを有していて、上記複数のコンタクトの配列方向及び上記ハウジングに対する上記板状部材差込み部を通じた配線板状部材の差込み方向の両者に直交する所定の方向における上記基部の中心を通って上記所定の方向に直交する対称面に関して面対称を成すものとして形成されていること、上記弾性可動アーム状部に、上記板状部材差込み部を通じて上記ハウジングに差し込まれた配線板状部材における係合部に係合して上記配線板状部材を係止する係止部が形成されていること、及び、上記弾性可動アーム状部における上記係止部から伸びる先端部に、上記ハウジングに設けられた当接受部に当接して、上記先端部の上記複数のコンタクトの配列方向に沿った変位を規制する規制部が形成されていること、を特徴とするコネクタ装置。
【請求項2】
上記弾性可動アーム状部における上記屈曲連結部と上記係止部との間となる部分が、上記板状部材差込み部を通じて上記ハウジングに差し込まれる配線板状部材に対する当接案内部を形成していることを特徴とする請求項1記載のコネクタ装置。
【請求項3】
上記係合部材が、弾性金属板材によって一体的に構成されていることを特徴とする請求項1記載のコネクタ装置。
【請求項4】
上記係合部材における上記基部に、上記ハウジングの外部へと伸びて上記配線基板に設けられた導体部分に半田付けされる半田付け部が設けられていることを特徴とする請求項記載のコネクタ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願の特許請求の範囲に記載された発明は、フレキシブル印刷配線基板(FPC)やフレキシブル平板状ケーブル(FFC)等の配線板状部材が装着されるもとで、装着された配線板状部材に設けられた接触端子部に接触接続されるコンタクトと装着された配線板状部材に対する係止を行う係合部材とを備えたコネクタ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
各種の電子機器に実装される比較的小型なフレキシブル印刷配線基板やフレキシブル平板状ケーブル等の配線板状部材は、種々の電気部品が取り付けられる主配線基板への取付けが、当該主配線基板に電気的接続がなされて固定されるコネクタ装置が用いられて行われることが多いものとされる。このような配線板状部材の主配線基板への取付けにあたって用いられるコネクタ装置は、主配線基板に設けられた配線端子に連結されたもとで配線板状部材に設けられた接触端子部に接触接続される導電性のコンタクトを有していて、そのコンタクトを介して、配線板状部材に設けられた接触端子部を主配線基板に設けられた配線端子に電気的に接続する。
【0003】
従来提案されている、例えば、フレキシブル印刷配線基板とされる配線板状部材の主配線基板への取付けに用いられるコネクタ装置であって第1の類型に属するものは、配線板状部材が差し込まれる差込み部を形成するものとされて主配線基板に配される、例えば、絶縁材料によって形成されたハウジングを有している。そして、そのハウジング内に配列配置されて設けられて主配線基板に設けられた配線端子に連結され、配線板状部材が差込み部を通じてハウジングに差し込まれたとき、その配線板状部材に設けられた複数の接触端子部に夫々対応するものとなる複数のコンタクトと、ハウジングに対して回動可能に設けられたアクチュエータとを備えている。
【0004】
斯かる従来の第1の類型に属するコネクタ装置に備えられるアクチュエータは、複数のコンタクトの夫々に係合し、回動せしめられるとき複数のコンタクトの夫々における作動部を変位させて、複数のコンタクトに、差込み部を通じてハウジングに差し込まれた配線板状部材に設けられた複数の接触端子部に夫々接触接続された状態、もしくは、複数の接触端子部との接触接続から解放された状態をとらせるものとされる。そして、複数のコンタクトと配線板状部材に設けられた複数の接触端子部とが相互接触接続されることにより、配線板状部材が主配線基板との電気的接続状態におかれる。
【0005】
さらに、従来提案されている配線板状部材の主配線基板への取付けに用いられるコネクタ装置であって第2の類型に属するものは、上述のようなハウジングを有し、上述のような複数のコンタクトを備えているが、ハウジングに対して回動可能に設けられるアクチュエータは備えていない。斯かる従来の第2の類型に属するコネクタ装置にあっては、配線板状部材が差込み部を通じてハウジングに差し込まれたとき、自動的に、ハウジング内に設けられた複数のコンタクトが、差し込まれた配線板状部材に設けられた複数の接触端子部に夫々接触接続され、配線板状部材が差込み部を通じてハウジングに適正に差し込まれるだけで、配線板状部材が主配線基板との電気的接続状態におかれる。
【0006】
このような従来提案されているコネクタ装置にあっては、ハウジングに対して回動可能に設けられるアクチュエータを備えたもの及び斯かるアクチュエータを備えていないもののいずれの場合にも、例えば、フレキシブル印刷配線基板とされる配線板状部材が、主配線基板に配されたハウジングに差込み部を通じて差し込まれて、ハウジングに配された複数のコンタクトが、ハウジングに差し込まれた配線板状部材における複数の接触端子部に夫々接触接続され、それにより、配線板状部材が主配線基板との電気的接続状態におかれるにあたり、配線板状部材がハウジングから不所望に抜脱されるような事態が回避されなくてはならない。当然のことながら、ハウジングに配された複数のコンタクトがハウジングに差し込まれた配線板状部材における複数の接触端子部に夫々接触接続された状態が適正に維持されるためには、ハウジングに差込み部を通じて差し込まれた配線板状部材が、その状態を安定に維持することができ、ハウジングから不所望に抜脱されるような事態をまねかないものとされることが必要とされるのである。
【0007】
そのため、上述のような、ハウジングを有し、そのハウジングに配された複数のコンタクトを備えたコネクタ装置であって、ハウジングに差込み部を通じて差し込まれた配線板状部材に係合して、当該配線板状部材のハウジングからの不所望な抜脱を阻止する係止手段を備えたものが従来提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0008】
特許文献1に示されるコネクタ装置(10)にあっては、ハウジング(11) における複数のコンタクト(17)の配列方向の両端部分(便宜上、右端部及び左端部という。)に、各々が係止手段を成す一対の係合部材(25)及び係合部材(26)が夫々取り付けられている。
【0009】
ハウジングの右端部に取り付けられた係合部材(25)は、ハウジング(11)に固定される基部(27)と基部(27)から第1の折返し屈曲部(30)を介して伸びる第1の可動アーム状部(28)と基部(27)から第2の折返し屈曲部(31)を介して伸びる第2の可動アーム状部(29)とを有している。第1の折返し屈曲部(30)と第2の折返し屈曲部(31)とは、各々の屈曲方向を互いに逆方向として基部(27)に連結されていて、それにより、第1の可動アーム状部(28)が第1の折返し屈曲部(30)から伸びる方向と第2の可動アーム状部(29)が第2の折返し屈曲部(31)から伸びる方向とは、互いに逆方向とされており、第1の可動アーム状部(28)と第2の可動アーム状部(29)とは、第1の可動アーム状部(28)を内側にして、複数のコンタクト(17)の配列方向に沿って配されている。
【0010】
第1の可動アーム状部(28)には、板状部材差込み部(12)を通じてハウジングに差し込まれた配線板状部材を成すフレキシブル印刷配線基板(13)における切欠き係合部(34)に係合してフレキシブル印刷配線基板(13)を係止する係止部(35)が形成されている。また、第2の可動アーム状部(29)には、ハウジング11の外部へと突出する操作部(37)と、第1の可動アーム状部(28)における係止部(35)の近傍の部分に向かって突出する押圧部(38)と、が形成されている。操作部(37)に移動操作が加えられたときには、第2の可動アーム状部(29)が基部(27)に近接する揺動を行って変位し、それにより、押圧部(38)が、第1の可動アーム状部(28)における係止部(35)の近傍の部分に当接して、第1の可動アーム状部(28)を係止部(35)が基部(27)に近接するように変位させる。
【0011】
このように構成された係合部材(25)が、ハウジング(11)の右端部に取り付けられたもとで、フレキシブル印刷配線基板(13)がハウジング(11)に板状部材差込み部(12)を通じて差し込まれると、係止部(35)がフレキシブル印刷配線基板(13)における切欠き係合部(34)に係合してフレキシブル印刷配線基板(13)を係止する。そして、係止部(35)がフレキシブル印刷配線基板(13)における切欠き係合部(34)に係合してフレキシブル印刷配線基板(13)を係止しているもとで、操作部(37)に移動操作が加えられると、係止部(35)が、基部(27)に近接するように変位して、フレキシブル印刷配線基板(13)における切欠き係合部(34)との係合を止め、フレキシブル印刷配線基板(13)に対する係止を解除する。
【0012】
また、ハウジング(11)の左端部に取り付けられた係合部材(26)は、係合部材(25)とは鏡面対称を成す構成を有するものとされている。従って、係合部材(26)は、係合部材(25)が有する基部(27)と第1の可動アーム状部(28)と第2の可動アーム状部(29)とに夫々相当する、基部と第1の可動アーム状部と第2の可動アーム状部とを有していて、係合部材(26)における第1の可動アーム状部には、係合部材(25)における係止部(35)に相当する係止部(41)が、板状部材差込み部(12)を通じてハウジング(11)に差し込まれたフレキシブル印刷配線基板(13)における切欠き係合部(40)に係合してフレキシブル印刷配線基板(13)を係止するものとして形成されており、また、係合部材(26)における第2の可動アーム状部には、係合部材(25)における操作部(37)及び押圧部(38)に夫々相当する、操作部(43)及び押圧部が形成されている。
【0013】
このように構成された係合部材(26)が、ハウジング(11)の左端部に取り付けられたもとで、フレキシブル印刷配線基板(13)がハウジング(11)に板状部材差込み部(12)を通じて差し込まれると、係止部(41)がフレキシブル印刷配線基板(13)における切欠き係合部(40)に係合してフレキシブル印刷配線基板(13)を係止する。そして、係止部(41)がフレキシブル印刷配線基板(13)における切欠き係合部(40)に係合してフレキシブル印刷配線基板(13)を係止しているもとで、操作部(43)に移動操作が加えられると、係止部(41)が、基部に近接するように変位して、フレキシブル印刷配線基板(13)における切欠き係合部(40)との係合を止め、フレキシブル印刷配線基板(13)に対する係止を解除する。
【0014】
上述のようにして、ハウジング(11)の右端部及び左端部に夫々取り付けられた係合部材(25)及び係合部材(26)が、板状部材差込み部(12)を通じてハウジング(11)に差し込まれたフレキシブル印刷配線基板(13)を係止することにより、ハウジング(11)に差し込まれたフレキシブル印刷配線基板(13)のハウジング(11)からの不所望な抜脱が阻止される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】特開2012−221859号公報(段落0047〜0077,図1〜10)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
上述のような、ハウジングに差し込まれたフレキシブル印刷配線基板等の配線板状部材のハウジングからの不所望な抜脱の阻止に関与する係止手段を備えた配線板状部材の主配線基板への取付けに用いられるコネクタ装置として、従来提案されているものにあっては、複数のコンタクトが配列配置されたハウジングにおける複数のコンタクトの配列方向の両端部分(右端部及び左端部)に、各々が係止手段を成す一対の係合部材が夫々取り付けられている。そして、これらの係合部材は、相互に鏡面対称を成すように構成されていて、互いに異なる形状を有した一対の部材とされている。
【0017】
即ち、前述の従来提案されているコネクタ装置にあっては、ハウジングにおける右端部及び左端部に、互いに異なる形状を有して別部品とされた一対の係合部材が夫々取り付けられていることになる。このように、一対の係合部材の各々が別部品とされることにより、コネクタ装置の製造にあたっての部品管理における負担の増加がもたらされ、さらに、ハウジングに係合部材を取り付ける際の部品の取違え等を防止するための作業管理における負担の増加がもたらされることになってしまう。
【0018】
斯かる点に鑑み、本願の特許請求の範囲に記載された発明は、フレキシブル印刷配線基板やフレキシブル平板状ケーブル等とされる配線板状部材の他の配線基板への取付けに用いられる、板状部材差込み部が設けられたハウジングとハウジングに配列配置されて設けられる複数のコンタクトとを備えたコネクタ装置であって、ハウジングにおける複数のコンタクトの配列方向の両端部分に一対の同一形状を有した係合部材を取り付けることができ、その一対の係合部材によってハウジングに板状部材差込み部を通じて差し込まれた配線板状部材に対する係合部材による係止を確実かつ安定に行うことができるものを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本願の特許請求の範囲における請求項1から請求項までのいずれかに記載された発明(以下、本発明という。)に係るコネクタ装置は、板状部材差込み部が設けられて配線基板上に配されるハウジングと、ハウジングに配列配置されて設けられ、配線基板に設けられた配線端子に連結される状態をとり、配線板状部材がハウジングに板状部材差込み部を通じて差し込まれたとき、ハウジングに差し込まれた配線板状部材における複数の接触端子部に接触接続される複数のコンタクトと、ハウジングにおける複数のコンタクトの配列方向の両端部に夫々取り付けられて、配線板状部材がハウジングに板状部材差込み部を通じて差し込まれたとき、複数のコンタクトが複数の接触端子部に接触接続された状態を維持すべく配線板状部材に対する係止を行う一対の係合部材と、を備えて構成される。そして、一対の係合部材の各々が、ハウジングにおける板状部材差込み部の外側となる部分に固定される基部とその基部から屈曲連結部を介して板状部材差込み部に向かって伸びる弾性可動アーム状部とを有していて、複数のコンタクトの配列方向及びハウジングに対する板状部材差込み部を通じた配線板状部材の差込み方向との両者に直交する所定の方向における基部の中心を通って上述の所定の方向に直交する対称面に関して面対称を成すものとして形成されており、また、弾性可動アーム状部に、板状部材差込み部を通じてハウジングに差し込まれた配線板状部材における係合部に係合して当該配線板状部材を係止する係止部が形成されており、さらに、弾性可動アーム状部における係止部から伸びる先端部に、ハウジングに設けられた当接受部に当接して、先端部の複数のコンタクトの配列方向に沿った変位を規制する規制部が形成されているものとされる。
【0020】
特に、本願の特許請求の範囲における請求項2に記載された本発明に係るコネクタ装置にあっては、弾性可動アーム状部における屈曲連結部と係止部との間となる部分が、板状部材差込み部を通じてハウジングに差し込まれる配線板状部材に対する当接案内部を形成している。
【0021】
また、本願の特許請求の範囲における請求項3に記載された本発明に係るコネクタ装置にあっては、係合部材が、弾性金属板材によって一体的に構成されている。
【0022】
上述のような本発明に係るコネクタ装置にあっては、配線基板上に配されるハウジングにそれに設けられた板状部材差込み部を通じて配線板状部材が差し込まれると、ハウジングに配列配置された複数のコンタクトが、差し込まれた配線板状部材における複数の接触端子部に接触接続されるとともに、ハウジングにおける複数のコンタクトの配列方向の両端部に夫々取り付けられた一対の係合部材の夫々が、ハウジング内において複数のコンタクトが複数の接触端子部に接触接続された状態を維持すべく、係止部を差し込まれた配線板状部材における係合部に係合させて当該配線板状部材に対する係止を行い、配線板状部材のハウジングからの不所望な抜脱を阻止する。
【0023】
斯かるもとで、一対の係合部材の夫々は、ハウジングにおける板状部材差込み部の外側となる部分に固定される基部とその基部から屈曲連結部を介して板状部材差込み部に向かって伸びる弾性可動アーム状部とを有していて、複数のコンタクトの配列方向及びハウジングに対する板状部材差込み部を通じた配線板状部材の差込み方向との両者に直交する所定の方向における基部の中心を通って上述の所定の方向に直交する対称面に関して面対称を成すものとして形成されている。そして、一対の係合部材の夫々が有する弾性可動アーム状部に、板状部材差込み部を通じてハウジングに差し込まれた配線板状部材における係合部に係合して当該配線板状部材を係止する係止部が形成されている。それに加えて、弾性可動アーム状部における係止部から伸びる先端部に、ハウジングに設けられた当接受部に当接して、先端部の複数のコンタクトの配列方向に沿った変位を規制する規制部が形成されている。
【0024】
また、一対の係合部材の夫々は、例えば、本願の特許請求の範囲における請求項2に記載された本発明に係るコネクタ装置の場合のように、弾性可動アーム状部における屈曲連結部と係止部との間となる部分が、板状部材差込み部を通じてハウジングに差し込まれる配線板状部材に対する当接案内部を形成しているものとされる。
【0025】
さらに、一対の係合部材の夫々は、例えば、本願の特許請求の範囲における請求項3に記載された本発明に係るコネクタ装置の場合のように、弾性金属板材によって一体的に構成されている
【発明の効果】
【0026】
本発明に係るコネクタ装置においては、上述のように、ハウジングにおける複数のコンタクトの配列方向の両端部に夫々取り付けられた一対の係合部材の夫々が、複数のコンタクトの配列方向及びハウジングに対する板状部材差込み部を通じた配線板状部材の差込み方向との両者に直交する所定の方向における基部の中心を通って上述の所定の方向に直交する対称面に関して面対称を成すものとして形成されている。それにより、一対の係合部材の夫々を、同一形状を有した部品であって、その向きを互いに異にするものとすることができる。即ち、本発明に係るコネクタ装置にあっては、ハウジングにおける複数のコンタクトの配列方向の両端部に一対の同一形状を有した係合部材を取り付けることができることになる。その結果、本発明に係るコネクタ装置によれば、コネクタ装置の製造にあたっての部品管理における負担が軽減され、さらに、ハウジングに係合部材を取り付ける際の部品の取違え等を防止するための作業管理における負担も軽減されることになる。
【0027】
しかも、一対の係合部材の夫々が、ハウジングにおける板状部材差込み部の外側となる部分に固定される基部とその基部から屈曲連結部を介して板状部材差込み部に向かって伸びる弾性可動アーム状部とを有していて、弾性可動アーム状部に、板状部材差込み部を通じてハウジングに差し込まれた配線板状部材における係合部に係合して当該配線板状部材を係止する係止部が形成されたものとされていることにより、一対の係合部材の夫々による、ハウジングに板状部材差込み部を通じて差し込まれた配線板状部材に対する係止を、確実かつ安定に行うことができることになる。さらに、弾性可動アーム状部における係止部から伸びる先端部に、ハウジングに設けられた当接受部に当接して、先端部の複数のコンタクトの配列方向に沿った変位を規制する規制部が形成されている。それにより、一対の係合部材の夫々による係止が行われた配線板状部材に、それをハウジングから抜き出そうとする不所望な力が加えられたとき、一対の係合部材の夫々における規制部がハウジングに設けられた当接受部に当接して、弾性可動アーム状部の先端部の複数のコンタクトの配列方向に沿った変位を規制し、それに伴って、一対の係合部材の夫々における係止部が配線板状部材における係合部に係合した状態が維持される。その結果、配線板状部材がハウジングから容易に抜き出されてしまう事態が阻止される。
【0028】
なお、一対の係合部材の夫々による係止が行われた配線板状部材をハウジングから抜き出す必要が生じた場合には、配線板状部材に、ハウジングへの差込み方向とは逆方向の所定以上の引出し力を加えることにより、一対の係合部材の夫々における弾性可動アーム状部の弾性を利用して、一対の係合部材の夫々による配線板状部材に対する係止を解除することができる。
【0029】
特に、本願の特許請求の範囲における請求項2に記載された本発明に係るコネクタ装置にあっては、一対の係合部材の夫々が、弾性可動アーム状部における屈曲連結部と係止部との間となる部分が、板状部材差込み部を通じてハウジングに差し込まれる配線板状部材に対する当接案内部を形成しているものとされる。それにより、板状部材差込み部を通じてハウジングに差し込まれる配線板状部材が、一対の係合部材の夫々に設けられた当接案内部に当接してそれによる案内を受け、ハウジングに対する差込みが円滑に行われるものとされる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】本発明に係るコネクタ装置の一例を示す斜視図である。
図2】本発明に係るコネクタ装置の一例を示す平面図である。
図3】本発明に係るコネクタ装置の一例が備える係合部材を示す斜視図である。
図4】本発明に係るコネクタ装置の一例が備える係合部材を示す斜視図である。
図5図2における V−V 線断面を示す断面図である。
図6】本発明に係るコネクタ装置の一例が備えるハウジングに差し込まれるフレキシブル印刷配線基板を示す斜視図である。
図7】本発明に係るコネクタ装置の一例が備えるハウジングにフレキシブル印刷配線基板が差し込まれた状態を示す斜視図である。
図8】本発明に係るコネクタ装置の一例が備えるハウジングにフレキシブル印刷配線基板が差し込まれ、本発明に係るコネクタ装置の一例が備えるアクチュエータが第1の静止位置をとる状態を示す正面図である。
図9図8におけるIX−IX線断面を示す断面図である。
図10図8における一点鎖線枠A内をフレキシブル印刷線基板を除去して示す部分正面図である。
図11】本発明に係るコネクタ装置の一例が備えるハウジングにフレキシブル印刷線基板が差し込まれ、本発明に係るコネクタ装置の一例が備えるアクチュエータが第2の静止位置をとる状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
本発明を実施するための形態は、以下に述べられる本発明についての実施例をもって説明される。
【実施例】
【0033】
図1(斜視図)及び図2(平面図)は、本願発明に係るコネクタ装置の一例を示す。
【0034】
図1及び図2において、本願発明に係るコネクタ装置の一例を成すコネクタ装置10は、合成樹脂等の絶縁材料によって形成され、電子機器の配線基板(図示が省略されている。)上に配されるハウジング11を備えており、ハウジング11には、その正面側端縁部に板状部材差込み部12が設けられている。ハウジング11が配線基板上に配されることにより、コネクタ装置10の全体が配線基板に取り付けられたものとされる。そして、板状部材差込み部12を通じて、例えば、後述されるフレキシブル印刷配線基板とされる配線板状部材が、ハウジング11にその内部へと差し込まれる。
【0035】
ハウジング11には、各々が弾性導電材料で形成された複数のコンタクト13及び複数のコンタクト14が、ハウジング11の長手方向に沿う方向に交互に配列配置されて設けられている。複数のコンタクト13及び複数のコンタクト14の夫々は、その大部分がハウジング11の内部に収容されたものとされているが、コンタクト13の端部がハウジング11における正面側端縁部に対向する背面側端縁部からその外部に突出し、また、コンタクト14の夫々の端部がハウジング11における正面側端縁部からその外部に突出している。これらの複数のコンタクト13及び複数のコンタクト14の夫々の端部は、ハウジング11が配された配線基板における配線端子部に接続される接続端子部を形成している。
【0036】
また、ハウジング11における背面側端縁部側には、複数のコンタクト13及び複数のコンタクト14の配列方向(以下、コンタクト配列方向という。)、即ち、ハウジング11の長手方向、に沿って伸びるアクチュエータ15が、ハウジング11に対して回動可能に設けられている。アクチュエータ15は、図1及び図2に示されるような、ハウジング11に対して起き上がった状態におかれるものとされる位置を、第1の静止位置としてとることができ、また、後述される図11に示されるような、ハウジング11に対して伏した状態におかれるものとされる位置を、第2の静止位置としてとることができて、回動操作されることにより、第1の静止位置から第2の静止位置への移行、あるいは、第2の静止位置から第1の静止位置への移行を行うものとされている。
【0037】
複数のコンタクト13の夫々は、後述される図11に示されるように、弾性を有した導電性材料で形成された、全体が「エ」字状を成す板状部材とされている。斯かる「エ」字状とされたコンタクト13は、一対のビーム部16及び17とそれらを相互連結する連結部18とを有しており、ビーム部16がハウジング11に固定される固定部とされて、ビーム部17が揺動可能な作動部とされている。固定部とされるビーム部16にあっては、その一端部16aが、ハウジング11における背面側端縁部からハウジング11の外部に導出されて、コンタクト13における接続端子部を成すものとされ、また、その他端部16bが、ハウジング11に設けられた配線部材差込み部12に臨む位置をとるものとされている。さらに、作動部とされるビーム部17にあっては、その一端部17aが、ハウジング11内において、ビーム部16の一端部16aに対向するものとされ、また、その他端部17bが、ハウジング11に設けられた配線部材差込み部12に臨む位置において、ビーム部16の他端部16bに対向するものとされている。
【0038】
複数のコンタクト14の夫々も、複数のコンタクト13の夫々と同様に、弾性を有した導電性材料で形成された、全体が「エ」字状を成す板状部材とされていて、固定部及び作動部とされる一対のビーム部とそれらを相互連結する連結部を有している。但し、固定部とされるビーム部にあっては、その一端部がハウジング11における背面側端縁部に近接したハウジング11内の位置をとるものとされ、また、その他端部がハウジング11における正面側端縁部からハウジング11の外部に導出されて、コンタクト14における接続端子部を成すものとされている。さらに、作動部とされるビーム部にあっては、その一端部が、ハウジング11内において、固定部とされるビーム部の一端部に対向するものとされ、また、その他端部が、ハウジングに設けられた配線部材差込み部12からハウジングにおける背面側端縁部側に離隔したハウジング内の位置において、固定部とされるビーム部に対向するものとされている。
【0039】
さらに、ハウジング11における長手方向、即ち、コンタクト配列方向の両端部には、各々が弾性金属材料によって形成された一対の係合部材20及び21が夫々取り付けられている。これらの係合部材20及び21は、配線板状部材が板状部材差込み部12を通じてハウジング11に差し込まれたとき、その配線板状部材に対する係止を行う。
【0040】
係合部材20は、例えば、弾性金属板材に打抜き屈曲加工が施されて一体形成され、図3及び図4に示されるように、ハウジング11におけるコンタクト配列方向に見て板状部材差込み部12の外側となる部分に固定される基部23と、弾性可動アーム状部24と、基部23に弾性可動アーム状部24を連結する屈曲連結部25とを有している。弾性可動アーム状部24は、基部23がハウジング11における板状部材差込み部12の外側となる部分に固定されたもとにあっては、基部23から屈曲連結部25を介して板状部材差込み部12に向かって伸びるものとされている。
【0041】
弾性可動アーム状部24には、ハウジング11に板状部材差込み部12を通じて差し込まれた配線板状部材における係合部に係合して、その配線板状部材を係止する係止部26が屈曲部を成すものとして形成されている。また、弾性可動アーム状部24における屈曲連結部25と係止部26との間となる部分が、基部23がハウジング11における板状部材差込み部12の外側となる部分に固定されたもとにおいて、ハウジング11に対する配線板状部材の板状部材差込み部12を通じた差込み方向に対して傾斜したものとされ、ハウジング11に板状部材差込み部12を通じて差し込まれる配線板状部材に対する当接案内部27を形成している。さらに、弾性可動アーム状部24における係止部26から伸びる先端部28に、基部23がハウジング11における板状部材差込み部12の外側となる部分に固定されたもとにおいて、ハウジング11に設けられた一対の当接受け部30(後述される図5に示されている。)に当接して、先端部28のコンタクト配列方向に沿った変位を規制する一対の規制部29が形成されている。
【0042】
なお、係合部材20における基部23には、基部23がハウジング11における板状部材差込み部12の外側となる部分に固定されたもとにおいて、ハウジング11の外部へと伸びて、ハウジング11が配された配線基板に設けられた導体部分に半田付けされる半田付け部23aが設けられている。ハウジング11における板状部材差込み部12の外側となる部分に固定された基部23に設けられた半田付け部23aは、配線基板に設けられた導体部分に半田付けされることにより、配線基板に対するその上に配されたハウジング11の堅固な固定に貢献する。
【0043】
そして、上述のような基部23と弾性可動アーム状部24と屈曲連結部25とを有した係合部材20は、基部23がハウジング11における板状部材差込み部12の外側となる部分に固定されたもとにおいて、コンタクト配列方向及びハウジング11に対する配線板状部材の板状部材差込み部12を通じた差込み方向の両者に直交する方向(図3及び図4において矢印Sによって示される方向であって、以下、必要に応じて、S方向という。)における基部23の中心を通ってS方向に直交する対称面を有した面対称を成すものとして形成されている。
【0044】
また、係合部材21も、例えば、弾性金属板材に打抜き屈曲加工が施されて一体形成されており、図1及び図2に示されるように、ハウジング11におけるコンタクト配列方向に見て板状部材差込み部12の外側となる部分に固定される基部31と、弾性可動アーム状部32と、基部31に弾性可動アーム状部32を連結する屈曲連結部33とを有して、係合部材20と全く同形状に形成されている。弾性可動アーム状部32は、基部31がハウジング11における板状部材差込み部12の外側となる部分に固定されたもとにあっては、基部31から屈曲連結部33を介して板状部材差込み部12に向かって伸びるものとされている。
【0045】
そして、弾性可動アーム状部32には、図示されていないが、ハウジング11に板状部材差込み部12を通じて差し込まれた配線板状部材における係合部に係合して、その配線板状部材を係止する、係合部材20における係止部26に相当する係止部が屈曲部を成すものとして形成されている。また、弾性可動アーム状部32における屈曲連結部33と係止部との間となる部分が、基部31がハウジング11における板状部材差込み部12の外側となる部分に固定されたもとにおいて、ハウジング11に対する配線板状部材の板状部材差込み部12を通じた差込み方向に対して傾斜したものとされ、ハウジング11に板状部材差込み部12を通じて差し込まれる配線板状部材に対する当接案内部34(後述される図10に示されている。)を形成しており、弾性可動アーム状部32における係止部から伸びる先端部35(後述される図10に示されている。)に、基部31がハウジング11における板状部材差込み部12の外側となる部分に固定されたもとにおいて、ハウジング11に設けられた一対の当接受け部37(後述される図10に示されている。)に当接して、先端部35のコンタクト配列方向に沿った変位を規制する一対の規制部36(後述される図10に示されている。)が形成されている。
【0046】
さらに、係合部材21における基部31には、基部31がハウジング11における板状部材差込み部12の外側となる部分に固定されたもとにおいて、ハウジング11の外部へと伸びて、ハウジング11が配された配線基板に設けられた導体部分に半田付けされる半田付け部31a(図1)が設けられている。ハウジング11における板状部材差込み部12の外側となる部分に固定された基部31に設けられた半田付け部31aは、配線基板に設けられた導体部分に半田付けされることにより、配線基板に対するその上に配されたハウジング11の堅固な固定に貢献する。
【0047】
このような、基部31と弾性可動アーム状部32と屈曲連結部33とを有した係合部材21も、基部31がハウジング11における板状部材差込み部12の外側となる部分に固定されたもとにおいて、S方向における基部31の中心を通ってS方向に直交する対称面を有した面対称を成すものとして形成されている。
【0048】
従って、係合部材20及び21は、一対の同一形状を有した部品である。即ち、係合部材20と係合部材21とは、一対の同一形状を有した部品が、各々の向きを互いに異にして弾性可動アーム状部24と弾性可動アーム状部32とを相互対向させる状態をもって、ハウジング11におけるコンタクト配列方向の両端部に夫々取り付けられて成るものである。
【0049】
係合部材20がハウジング11における端部に取り付けられたもとにあっては、図2における V−V 線断面を示す図5に示されるように、係合部材20における基部23がハウジング11における板状部材差込み部12の外側となる部分に固定され、係合部材20の弾性可動アーム状部24における係止部26が板状部材差込み部12内に入り込んだものとされる。そして、弾性可動アーム状部24の先端部28に設けられた一対の規制部29が、ハウジング11に設けられた一対の当接受け部30に夫々当接して、先端部28のコンタクト配列方向に沿った変位を規制している。
【0050】
同様に、係合部材21がハウジング11における端部に取り付けられたもとにあっては、係合部材21における基部31がハウジング11における板状部材差込み部12の外側となる部分に固定され、係合部材21の弾性可動アーム状部32における係止部が板状部材差込み部12内に入り込んだものとされる。そして、弾性可動アーム状部32の先端部35に設けられた一対の規制部36が、ハウジング11に設けられた一対の当接受け部37に夫々当接して、先端部35のコンタクト配列方向に沿った変位を規制している。
【0051】
図6は、コネクタ装置10のハウジング11に板状部材差込み部12を通じて差し込まれる配線板状部材を成すフレキシブル印刷配線基板40(以下、FPC40という。)を示す。
【0052】
図6に示されるFPC40は、回路構成部41とそれに連結された端子板部42とを有している。端子板部42には、各々が回路構成部41から引き出された複数の接触端子部43及び複数の接触端子部44が交互に配されている。複数の接触端子部43は、端子板部42の端縁部分45に沿う方向に所定のピッチをもって配列配置配されており、また、複数の接触接続端子44は、端子板部42の端縁部分45に近接した位置において複数の接触接続端子43の配列方向と同方向に所定のピッチをもって配列配置されている。
【0053】
また、FPC40の端子板部42には、複数の接触端子部43及び複数の接触端子部44をそれらの配列方向において挟んで対向する一対の係合部46及び47が形成されている。これらの係合部46及び47は、各々が切欠き凹部を成すものとされている。さらに、端子板部42における端縁部分45と係合部46との間に案内受け部48が形成されているとともに、端子板部42における端縁部分45と係合部47との間にも案内受け部49が形成されている。
【0054】
そして、コネクタ装置10のハウジング11が配線基板上に配されて固定されたもとで、FPC40が板状部材差込み部12を通じてハウジング11に差し込まれるときには、図7及び図8に示されるように、コネクタ装置10に備えられたアクチュエータ15が第1の静止位置をとるものとされ、ハウジング11に差し込まれたFPC40の端子板部42における複数の接触端子部43及び複数の接触端子部44が配列配置された部分がハウジング11内に位置せしめられるとともに、端子板部42における一対の係合部46及び47が形成された部分も部分的にハウジング11内に位置せしめられる。
【0055】
斯かる際には、FPC40がハウジング11に板状部材差込み部12を通じて差し込まれるにあたり、FPC40の端子板部42に形成された案内受け部48が、ハウジング11におけるコンタクト配列方向の両端部に夫々取り付けられた一対の係合部材20及び21のうちの係合部材20における弾性可動アーム状部24が形成する当接案内部27に当接して、当接案内部27による案内を受け、また、FPC40の端子板部42に形成された案内受け部49が、ハウジング11におけるコンタクト配列方向の両端部に夫々取り付けられた一対の係合部材20及び21のうちの係合部材21における弾性可動アーム状部32が形成する当接案内部34に当接して、当接案内部34による案内を受ける。それにより、ハウジング11に板状部材差込み部12を通じて差し込まれるFPC40が、係合部材20に設けられた当接案内部27及び係合部材21に設けられた当接案内部34によって案内されることになる。
【0056】
このようにして、FPC40のハウジング11への板状部材差込み部12を通じた差込みが行われ、その差込みが完了したもとにあっては、図8におけるIX−IX線断面を示す図9に示されるように、係合部材20における弾性可動アーム状部24に屈曲部を成すものとして形成された係止部26が、FPC40の端子板部42における係合部46に係合し、それにより、端子板部42を係止する。即ち、係合部材20における弾性可動アーム状部24に形成された係止部26は、FPC40における係合部46に係合してFPC40を係止することになる。
【0057】
また、それとともに、図示は省略されているが、係合部材21における弾性可動アーム状部32に屈曲部を成すものとして形成された、係合部材20における係止部26に相当する係止部が、FPC40の端子板部42における係合部47に係合して、それにより、端子板部42を係止する。即ち、係合部材21における弾性可動アーム状部32に形成された係止部も、FPC40における係合部47に係合してFPC40を係止することになる。
【0058】
その結果、ハウジング11におけるコンタクト配列方向の両端部に夫々取り付けられた一対の係合部材20及び21が、ハウジング11に板状部材差込み部12を通じて差し込まれたFPC40に対する係止を行うことになり、それにより、FPC40のハウジング11からの不所望な抜脱が阻止される。
【0059】
さらに、このとき、図8における一点鎖線枠A内をFPC40を除去して示す図10に示されるように、ハウジング11に取り付けられた係合部材21の弾性可動アーム状部32における係止部から伸びる先端部35がハウジング11内に位置するものとされており、その先端部35に形成された一対の規制部36が、ハウジング11に設けられた一対の当接受け部37に夫々当接して、先端部35のコンタクト配列方向に沿った変位を規制している。それにより、FPC40にハウジング11から抜き出される方向の不所望な力が作用したときにも、弾性可動アーム状部32に形成された係止部がFPC40における係合部47に係合した状態が維持され、FPC40がハウジング11から容易に抜き出されてしまう事態が阻止される。
【0060】
同様に、ハウジング11に取り付けられた係合部材20の弾性可動アーム状部24における係止部26から伸びる先端部28がハウジング11内に位置するものとされており、その先端部28に形成された一対の規制部29が、ハウジング11に設けられた一対の当接受け部30に夫々当接して、先端部28のコンタクト配列方向に沿った変位を規制している。それにより、FPC40にハウジング11から抜き出される方向の不所望な力が作用したときにも、弾性可動アーム状部24に形成された係止部26がFPC40における係合部46に係合した状態が維持され、FPC40がハウジング11から容易に抜き出されてしまう事態が阻止される。
【0061】
上述のようにして、コネクタ装置10のハウジング11への板状部材差込み部12を通じたFPC40の差込みが完了したときには、複数の接触端子部43及び複数の接触端子部44が配列配置されたFPC40の端子板部42が、コネクタ装置10のハウジング11内において、配列配置された複数のコンタクト13の夫々における固定部とされるビーム部16と作動部とされるビーム部17との間、及び、配列配置された複数のコンタクト14の夫々における固定部とされるビーム部と作動部とされるビーム部との間に配される。その際、FPC40の端子板部42に配された複数の接触端子部43の夫々が、コンタクト13における作動部とされるビーム部17の他端部17bに対応する位置におかれるものとされ、また、FPC40の端子板部42に配された複数の接触端子部44の夫々が、コンタクト14における作動部とされるビーム部の他端部に対応する位置におかれるものとされる。
【0062】
その後、コネクタ装置10に備えられたアクチュエータ15が、ハウジング11に対して回動せしめられて、第1の静止位置から第2の静止位置へと移行せしめられると、図11に示されるように、複数のコンタクト13の夫々における固定部とされるビーム部16の一端部16aと作動部とされるビーム部17の一端部17aとの間に両者に当接して回動可能に配された、アクチュエータ15が備えるカム部50が、作動部とされるビーム部17の一端部17aを固定部とされるビーム部16の一端部16aから離隔させる方向に移動させる。それに伴い、作動部とされるビーム部17が、その他端部17bを、固定部とされるビーム部16の他端部16bに近接する方向に移動させようとする。その結果、複数のコンタクト13の夫々における作動部とされるビーム部17の他端部17bが、FPC40の端子板部42に配された複数の接触端子部43のうちの対応するものに押圧接触せしめられ、それにより、複数の接触端子部43が複数のコンタクト13に夫々電気的に接続された状態が得られる。
【0063】
また、アクチュエータ15が備えるカム部50は、複数のコンタクト14の夫々における固定部とされるビーム部の一端部と作動部とされるビーム部の一端部との間にも、両者に当接して回動可能に配されている。それゆえ、コネクタ装置10に備えられたアクチュエータ15が、ハウジング11に対して回動せしめられて、第1の静止位置から第2の静止位置へと移行せしめられるときには、アクチュエータ15が備えるカム部50が、複数のコンタクト14の夫々について、作動部とされるビーム部の一端部を固定部とされるビーム部の一端部から離隔させる方向に移動させる。それに伴い、作動部とされるビーム部が、その他端部を、固定部とされるビーム部の他端部に近接する方向に移動させようとする。その結果、複数のコンタクト14の夫々における作動部とされるビーム部の他端部が、FPC40の端子板部42に配された複数の接触端子部44のうちの対応するものに押圧接触せしめられ、それにより、複数の接触端子部44が複数のコンタクト14に夫々電気的に接続された状態が得られる。
【0064】
複数のコンタクト13における固定部とされるビーム部16の一端部16aは、接続端子部を形成していて、コネクタ装置10のハウジング11が配された配線基板における配線端子部に接続されており、また、複数のコンタクト14における固定部とされるビーム部の一端部も接続端子部を形成していて、コネクタ装置10のハウジング11が配された配線基板における配線端子部に接続されている。それゆえ、上述のようにして、複数の接触端子部43が複数のコンタクト13に夫々電気的に接続されるとともに、複数の接触端子部44が複数のコンタクト14に夫々電気的に接続されることにより、FPC40の端子板部42に配された複数の接触端子部43及び複数の接触端子部44が、コネクタ装置10における複数のコンタクト13及び複数のコンタクト14を介して、コネクタ装置10のハウジング11が配された配線基板における配線端子部に電気的に接続されることになる。
【0065】
なお、コネクタ装置10のハウジング11におけるコンタクト配列方向の両端部に夫々取り付けられた一対の係合部材20及び21による、板状部材差込み部12を通じてハウジング11に差し込まれたFPC40に対する係止が行われているもとで、FPC40をハウジング11から抜き出す必要が生じた場合には、FPC40に、ハウジング11への差込み方向とは逆方向の所定以上の引出し力を加えることにより、係合部材20の弾性可動アーム状部24及び係合部材21の弾性可動アーム状部32の夫々の弾性を利用して、係合部材20及び21によるFPC40に対する係止を解除することができる。
【0066】
上述のようなコネクタ装置10にあっては、ハウジング11におけるコンタクト配列方向の両端部に夫々取り付けられた一対の係合部材20及び21が、係合部材20がS方向(コンタクト配列方向及びハウジング11に対する板状部材差込み部を通じた配線板状部材を成すFPC40の差込み方向との両者に直交する方向)における基部23の中心を通ってS方向に直交する対称面に関して面対称を成すものとして形成され、また、係合部材21がS方向における基部31の中心を通ってS方向に直交する対称面に関して面対称を成すものとして形成されていて、それにより、一対の同一形状を有した部品が、各々の向きを互いに異にして弾性可動アーム状部24と弾性可動アーム状部32とを相互対向させる状態をもって配されて成るものとされている。即ち、コネクタ装置10にあっては、ハウジング11におけるコンタクト配列方向の両端部に、一対の同一形状を有した部品を係合部材20及び21として夫々取り付けることができることになる。その結果、コネクタ装置10によれば、その製造にあたっての部品管理における負担が軽減され、さらに、ハウジング11に係合部材20及び21を取り付ける際の部品の取違え等を防止するための作業管理における負担も軽減される。
【0067】
しかも、係合部材20が、ハウジング11における板状部材差込み部12の外側となる部分に固定される基部23とその基部23から屈曲連結部25を介して板状部材差込み部12に向かって伸びる弾性可動アーム状部24とを有していて、弾性可動アーム状部24に、板状部材差込み部12を通じてハウジング11に差し込まれたFPC40の端子板部42に形成された係合部46に係合してFPC40の端子板部42を係止する係止部26が形成されたものとされており、また、係合部材21が、ハウジング11における板状部材差込み部12の外側となる部分に固定される基部31とその基部31から屈曲連結部33を介して板状部材差込み部12に向かって伸びる弾性可動アーム状部32とを有していて、弾性可動アーム状部32に、板状部材差込み部12を通じてハウジング11に差し込まれたFPC40の端子板部42に形成された係合部47に係合してFPC40の端子板部42を係止する係止部が形成されたものとされていることにより、一対の係合部材20及び21の夫々による、ハウジング11に板状部材差込み部12を通じて差し込まれたFPC40に対する係止を、確実かつ安定に行うことができることになる。
【0068】
また、コネクタ装置10にあっては、係合部材20が、弾性可動アーム状部24における屈曲連結部25と係止部26との間となる部分が、ハウジング11に板状部材差込み部12を通じて差し込まれるFPC40に対する当接案内部27を形成しているものとされ、また、係合部材21が、弾性可動アーム状部32における屈曲連結部33と係止部との間となる部分が、ハウジング11に板状部材差込み部12を通じて差し込まれるFPC40に対する当接案内部34を形成しているものとされる。それにより、ハウジング11に板状部材差込み部12を通じて差し込まれるFPC40が、係合部材20に設けられた当接案内部27及び係合部材21に設けられた当接案内部34に当接してそれによる案内を受け、ハウジング11に対する差込みが円滑に行われるものとされる。
【0069】
さらに、コネクタ装置10にあっては、係合部材20が、弾性可動アーム状部24における係止部26から伸びる先端部28に、ハウジング11に設けられた当接受部30に当接して、先端部28のコンタクト配列方向に沿った変位を規制する規制部29が形成されたものとされ、また、係合部材21が、弾性可動アーム状部32における係止部から伸びる先端部35に、ハウジング11に設けられた当接受部37に当接して、先端部35のコンタクト配列方向に沿った変位を規制する規制部36が形成されたものとされる。それにより、係合部材20及び21の夫々による係止が行われたFPC40に、それをハウジング11から抜き出そうとする不所望な力が加えられたとき、係合部材20における規制部29がハウジング11に設けられた当接受部30に当接して、弾性可動アーム状部24の先端部28のコンタクト配列方向に沿った変位を規制するとともに、係合部材21における規制部36がハウジング11に設けられた当接受部37に当接して、弾性可動アーム状部32の先端部35のコンタクト配列方向に沿った変位を規制し、それに伴って、係合部材20における係止部26がFPC40における係合部46に係合した状態、及び、係合部材21における係止部がFPC40における係合部47に係合した状態が維持される。その結果、FPC40がハウジング11から容易に抜き出されてしまう事態が阻止される。
【産業上の利用可能性】
【0070】
以上のような本発明に係るコネクタ装置は、例えば、フレキシブル印刷配線基板やフレキシブル平板状ケーブル等とされる配線板状部材の他の配線基板への取付けに用いられる、板状部材差込み部が設けられたハウジングとハウジングに配列配置されて設けられる複数のコンタクトとを備えたコネクタ装置であって、ハウジングにおける複数のコンタクトの配列方向の両端部に一対の同一形状を有した係合部材を取り付けることができ、その一対の係合部材によって、ハウジングに板状部材差込み部を通じて差し込まれた配線板状部材に対する係止を確実かつ安定に行うことができるものとして、様々な電子機器等に広く適用され得るものである。
【符号の説明】
【0071】
10・・・コネクタ装置, 11・・・ハウジング, 12・・・板状部材差込み部, 13,14・・・コンタクト, 15・・・アクチュエータ, 16,17・・・ビーム部, 18・・・連結部, 20,21・・・係合部材, 23,31・・・基部, 24,32・・・弾性可動アーム状部, 25,33・・・屈曲連結部, 26・・・係止部, 27,34・・・当接案内部, 28,35・・・先端部, 29,36・・・規制部, 30,37・・・当接受部, 40・・・フレキシブル印刷配線基板(FPC), 41・・・回路構成部, 42・・・端子板部, 43,44・・・接触端子部, 45・・・端縁部分, 46,47・・・係合部, 48,49・・・案内受け部, 50・・・カム部
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