(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
上記開口部を形成する上記上面板、上記下面板、上記右側面板および上記左側面板の各端部には、上記ベース板に沿って平行に当接するフランジが形成されており、上記各フランジは、遮水用のシール部材を介して上記ベース板にネジ止めされることを特徴とする請求項1に記載の空気調和機の室外機。
【背景技術】
【0002】
従来の空気調和機の室外機には、側面から空気を吸込んで熱交換器にて冷媒と熱交換した後に、筐体の天面から吹き出すものがある。この天面から吹き出す室外機は、ビルや商業施設などの屋上に設置され、複数の室内機と冷媒配管を介して接続される大型の室外機であり、略直方体形状の筐体と、筐体の内部に熱交換器、圧縮機、アキュムレータ、送風ファン、電装品箱等を備えている。
【0003】
この天面から空気を吹出す室外機は、吸込口が筺体の両側面と背面に形成され、吹出口が筺体の天面に形成されている。筺体の吸込口側には、吸込口から吸込んだ空気と冷媒を熱交換する熱交換器が配置され、筺体の底面には、圧縮機やアキュムレータが配置されている。また、筺体の吹出口側には、吸込口から吸込み熱交換器で冷媒と熱交換した空気を吹出口から吹き出すための送風ファンが配置されている。
【0004】
この天面から空気を吹出す室外機としては、筐体の前面側には、圧縮機や送風ファンなどを制御するための電装部品が収納された電装品箱が配置され、この電装品箱には商用電源の電源電圧を変圧(降圧)するトランスが収納されたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
この電装品箱は、吸込口と吹出口とを結ぶ送風路内に配置され、送風路には天面の吹出口から雨水が浸入する可能性があるため、電装品箱には隙間をシール材で埋めるなどの雨水対策が施されている。
【0006】
しかしながら、このような天面から空気を吹出す室外機において、商用電源の電源電圧が高くなると、トランスが大型化し、重さ(例えば、5.5kg)が重くなるため、このような大型のトランスが収納された電装品箱を筐体に取り付ける場合、電装品箱の総重量が重くなって電装品箱の取付け作業が困難になる。
【0007】
そこで、電装品箱と大型のトランスを筐体に別々に取り付けることが考えられるが、大型のトランスも、電装品箱と同様に発生する熱を放熱させるため、吸込口と吹出口とを結ぶ送風路内に配置する必要があり、雨水対策が必要になる。
【0008】
この大型のトランスを取付ける位置は、筐体が大型化することがなく、熱交換器や圧縮機などの配置に影響を与えない場所が良いため、大型のトランスを電装品箱の背面に取付けることが考えられる。
【0009】
さらに、大型のトランスを電装品箱の背面に取付ける場合には、ネジなどの取付用の部材を用いると、電装品箱の背面に取付用の孔を形成する必要があるため、大型のトランスを電装品箱の背面に取付ける前後において、電装品箱の内部に雨水が浸入しないように、電装品箱の背面にも雨水対策が必要になる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態を添付図面に基づき詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
図1乃至
図10は、本実施形態における空気調和機の室外機1を説明する図である。
【0017】
本実施形態における空気調和機の室外機1は、ビルや商業施設などの屋上に設置され、複数の室内機と冷媒配管を介して接続されるビル用マルチタイプの空気調和機に用いられる。本実施形態における空気調和機の室外機1では、側面の吸込口20から空気を吸込んで冷媒と熱交換した後に天面の吹出口13から吹き出す大型の室外機1を例に挙げて説明する。
【0018】
空気調和機の室外機1は、
図1乃至
図3に示すように、筐体10と、筐体10の内部に収納された室外側冷媒回路3とを備えている。筐体10は、大型で縦長な略直方体形状であり、四角形状のベース11と、ベース11の四方の角部または角部付近にそれぞれ配置され上端から下端まで垂直に延びる支柱12a〜12eと、支柱12a〜12eの上端に固定される吹出口13を備えた天板14と、前面側の支柱12aと支柱12dを連結する連結板15と、各支柱12a〜12eの上端を接続する4枚の連結パネル16とからなる。ベース11の下面には、筐体10を設置場所に固定するための基礎脚11aが据え付けられている。これらは鋼板材をプレス加工して形成される。
【0019】
前面側の支柱12aと支柱12dの間には前面側を覆う前面パネル17が取り付けられている。前面パネル17は、連結パネル16の下側に配置される上部前面パネル17aと、上部前面パネル17aの下側に配置される下部前面パネル17bとからなり、それぞれ支柱12aと支柱12dにネジで着脱自在に取り付けられ、
図2に示すように設置時やメンテナンス時には取り外すことができる。
【0020】
なお、以下、
図1において前面パネル17のある側を前面とし、前面から見て支柱12a、支柱12bのある側を左側面とし、支柱12c、支柱12dのある側を右側面とし、支柱12bと支柱12cのある側を背面とし、天板14のある側を天面として説明する。
【0021】
天板14の中央が開口された吹出口13はファンガード18で覆われている。吹出口13の内部には、
図3に示すように、送風ファン19と送風ファン19を取り囲むベルマウス(図示省略)が配置されている。送風ファン19は連結パネル16に固定されたモータ支持台22に据付けられたファンモータ23により回転駆動される。また、支柱12aと支柱12b、支柱12bと支柱12c、支柱12cと支柱12dの間はそれぞれ吸込口20が形成されている。
【0022】
図2に示すように、空気調和機の室外機の設置時やメンテナンス時に前面パネル17を取り外すと、筺体10の内部には、室外側冷媒回路3と、電装品箱4と、連結板15が現れる。
【0023】
室外側冷媒回路3は、熱交換器31、圧縮機(図示省略)、圧縮機用アキュムレータ(図示省略)、オイルタンク(図示省略)、レシーバータンク(図示省略)、アキュムレータ32と、操作弁33などの部品およびこれらの部品を接続する冷媒配管(図示省略)等とからなる。
【0024】
熱交換器31は、ベース11上に背面と左右側面の三方の吸込口20に沿ってコ字型に設けられる。圧縮機と圧縮機用アキュムレータは、筺体10内の前面側に鋼板材を折り曲げ加工して形成した空間を圧縮機室35として形成し、その圧縮機室35の内部にそれぞれ配置されている。
【0025】
上記の構成により、吸込口20と吹出口13を結ぶ送風路24が形成され、送風ファン19の回転により筺体10の三方の吸込口20から吸い込まれた空気は、送風路24を通る間に、熱交換器31で冷媒と熱交換し、筐体10のベルマウスと送風ファン19で上部に導かれ吹出口13から吹き出される。
【0026】
電装品箱4は、前面側は前面パネル17(より具体的には上部前面パネル17a)の裏側を向き、背面側は送風路24に向くように配置され、送風路24を通過する空気に晒されるようになっている。
【0027】
図2および
図3に示すように、電装品箱4は、鋼板材を折り曲げ加工して形成した前面が開口された箱状の電装品箱本体40と、電装品箱本体40の前面の開口を塞ぐように取付けられた電装品箱蓋41とからなる。電装品箱本体40の左側面には作業者が電装品箱4を持つための把手42を備えている。
【0028】
電装品箱4は、電装品箱本体40の右側面上端が連結パネル16に、右側面下端が連結板15に片持ち式のヒンジ25、26によって、それぞれ回動可能に軸支されており、
図4に示すように、開き戸のように開閉するようになっている。これにより、筐体10内で電装品箱4の奥側に配置されている室外側冷媒回路3の各部品がメンテナンス可能となる。
【0029】
図5および
図6に示すように、電装品箱本体40は、背面401aと左側面401bと右側面401cからなる背面板401と、四辺から下方にフランジがある箱型で背面板401の上端の一部に被さる上面板402と、背面板401の左側面401bと右側面401cの内面に背面板401を補強するために固着される側面板(図示省略)とからなる。電装品箱蓋41は、背面板401に固着される側面板の前端の折り曲げられた部分にネジ止め固定されている。
【0030】
電装品箱本体40の背面板401には、内面に圧縮機や送風ファン19などを制御するための各種の電装部品が取付けられている。電装品箱蓋41の下端側は、L字状に折り曲げられた折曲部(図示省略)に沿ってシール部材(図示省略)が貼り着けられ、シール部材が電装品箱4の下面開口から引き出されるケーブル(図示省略)に密着するため、ケーブルの隙間から虫や雨水などの侵入を防ぐ。
【0031】
従来の空気調和機の室外機においては、電装品箱の内部に取付けられる大型で重い電装部品の一つとして商用電源の電圧を変圧するトランスがある。本実施形態の空気調和機の室外機1においては、
図7と
図8に示すように、この大型の重い重量物からなる電装部品に相当するトランスとして、例えば、商用電源の電源電圧460Vを電源電圧230Vに変圧(降圧)する、重さが例えば5.5kgとなる大型の電源トランス72を用いている。
【0032】
しかしながら、従来の空気調和機の室外機と同じように、内部に大型の電源トランス72を搭載した電装品箱4を筐体10に配置する場合、電装品箱4の総重量が非常に重くなって電装品箱4の取付け作業が困難になる。
【0033】
そこで、本実施形態の空気調和機の室外機1においては、電装品箱4と大型の電源トランス72を筐体10に配置する際、電装品箱4と大型の電源トランス72とを別々に取付けることができる構成になっている。
【0034】
電装品箱本体40は、
図3乃至
図6に示すように、電装品箱本体40の背面板401に電源トランス72を搭載したトランスユニット7が取付けられている。電装品箱本体40の背面板401には、トランスユニット7を取付けるための左右一対の縦長形状の背面固定具6が固定されている。
【0035】
背面固定具6は、電装品箱本体40の背面板401に、電装部品のうちの発熱部品を冷却するヒートシンク5が配置されない位置に固定されている。背面固定具6とトランスユニット7は、
図3と
図4に示すように、圧縮機室35の上方で室外側冷媒回路3の熱交換器31、アキュムレータ32よりも前方の位置にあり、周囲には圧縮機や操作弁33やファンモータ23と電装品箱4内の電装部品を接続するケーブル(図示省略)が納まっているだけで、熱交換器31や圧縮機などの部品の配置に影響を与えることがない。
【0036】
しかしながら、背面固定具6とトランスユニット7は、吸込口20と吹出口13を結ぶ送風路24に配置され、天井の吹出口13から送風路24に雨水が浸入する可能性があるため、電装品箱本体40の背面板401とトランスユニット7に対して雨水対策が必要となる。
【0037】
背面固定具6は、
図5および
図6に示すように、電装品箱本体40の背面板401から電装品箱4内に雨水が浸入するのを防ぐため、電装品箱本体40の背面板401に取付用の孔を開けることなく、電装品箱本体40の背面板401にスポット溶接により溶着されている。
【0038】
背面固定具6は、背面65と、左側面66と、右側面67と、左側面66から電装品箱本体40の背面板401の背面に沿って折れ曲がった左フランジ61と、右側面67から電装品箱本体40の背面板401の背面に沿って折れ曲がった右フランジ62とからなる。背面固定具6は同一形状であるが、説明の便宜上、左側の背面固定具を参照符号6A、右側の背面固定具を参照符号6Bとして区別する。
【0039】
背面固定具6の背面65は、トランスユニット7を取付けるために、左側の背面固定具6Aの背面65には、少なくとも、逆L字形状の孔63が左辺に沿って形成され、また、右側の背面固定具6Bの背面65には、縦長矩形状の孔64が右辺に沿って形成されている。
【0040】
本実施形態における背面固定具6は、電装品箱本体40の背面板401の背面に、同一構造の背面固定具6を上下反転して左側用と右側用として固定できるように、背面固定具6の背面65には、逆L字形状の孔63と縦長矩形状の孔64とを交互に2カ所ずつ形成されている。なお、背面固定具6は、左右一対の縦長形状の背面固定具6を備えるようにしたが、上下一対の横長形状の背面固定具を備えるようにしてもよい。
【0041】
以上説明してきた背面固定具6の左フランジ61と右フランジ62は、電装品箱本体40の背面板401の背面にスポット溶接により溶着されているため、電装品箱本体40の背面板401への背面固定具6の取付に際し、電装品箱本体40の背面板401にネジで取付けるための取付孔をあける必要がないので、電装品箱本体40の背面板401から電装品箱4内に雨水が浸入するのを防ぐことができる。
【0042】
また、背面固定具6は、トランスユニット7が取付けられたとき、トランスユニット7から突出するトランス取付用のネジ74やトランスユニット7を背面固定具6に取付けるトランスユニット取付用のネジ75のネジ先が、電装品箱本体40の背面板401の背面に突き当たらないようにするため、電装品箱本体40の背面板401の背面との間に隙間Sを持たせるために断面台形状に形成されている。
【0043】
一方、トランスユニット7は、
図6および
図7に示すように、トランスユニット7内に雨水が浸入するのを防ぐため、大型の電源トランス72を覆って密閉される構造になっている。また、トランスユニット7は、大型の電源トランス72が重いため、大型の電源トランス72の重量に耐えられる強度を持ちつつ、トランスユニット7の総重量が重くならないようにし、背面固定具6への取付け作業を容易に行えるようにしている。
【0044】
トランスユニット7は、左側および右側の背面固定具6に固定される略正方形状の板金製のベース板71と、ベース板71に固定される大型の電源トランス72と、ベース板71に固定され、大型の電源トランス72を覆う箱状の板金製のカバー73とからなる。
【0045】
この実施形態において、電源トランス72は、その外形寸法がカバー73の中に収納可能で、かつ、ベース板71より小さいものが用いられている。また、カバー73の板厚は、例えば0.8mmで、ベース板71の板厚は、例えば1.6mmである。
【0046】
図6から
図9に示すように、ベース板71は、中央に電源トランス72が載置される平坦な載置部71fを有し、その上端(
図7では右側)には、トランスユニット7を取り付ける際に手によって把持されるグリップ板71dが一体的に設けられている。なお、以下、略正方形状の載置部71fの4辺のうち、左辺の参照符号を71f1、右辺の参照符号を71f2、上辺の参照符号を71f3、下辺の参照符号を71f4として説明する。
【0047】
載置部71fは、その面積が、カバー73によって覆われる面積よりも大きく形成されている。これによれば、載置部71fには、カバー73によって覆い隠される被覆部71jと、カバー73によって覆い隠されない露出部71kとが存在する。この実施形態において、露出部71kは、被覆部71jの外周を囲むように形成されている。
【0048】
グリップ板71dは、載置部71fの上辺71f3から一体的に延設され、載置部71fの表面側(トランス載置面側)に対してほぼ直角となるように折り曲げられている。グリップ板71dの中央には、手で把持するためのグリップ孔71hが形成されている。この実施形態において、グリップ孔71hは手で把持しやすいように楕円状に形成されている。
【0049】
ベース板71の下端(
図7では左側)には、電装品箱4を筐体10に取り付ける際、トランスユニット7の荷重の一部を支えるとともに、トランスユニット7が筐体10の一部に干渉しないようにスムーズに案内するためのガイド板71eが設けられている。
【0050】
ガイド板71eは、ベース板71の下辺71f4に沿って一体的に延設され、載置部71fの表面側(トランス載置面側)に対してほぼ直角に折り曲げられている。ガイド板71eの先端側には、ガイド板71eよりもさらに内側(上辺711c側)に傾斜したテーパー部71iが設けられている。
【0051】
これによれば、
図10に示すように、このテーパー部71iの形成によりベース板71のガイド板71eを筐体10の連結板15に弾性を持った状態で当接させて、電装品箱4とトランスユニット7の荷重の一部を連結板15で受けることができる。
【0052】
ベース板71は、左辺71f2から前面側に折れ曲がった逆L字状の一対の左固定片71aと、右辺71f1から前面側(
図7では背面側)に折れ曲がった縦長矩形状の一対の右固定片71b(
図6参照)と、右辺71f1から背面側(
図7では上面側)に折れ曲がった右フランジ71cとを備える。
【0053】
図5に示すように、左固定片71aは、電装品箱本体40の背面右側に設置された背面固定具6の逆L字形状の孔63に係止させる。また、
図6に示すように、右固定片71bは、電装品箱本体40の背面左側に設置された背面固定具6の縦長矩形状の孔64に係止される。
【0054】
ベース板71には、グリップ部71d、ガイド板71eおよび右フランジ71cが載置部71fの各辺71f1,71f3,71f4に沿ってそれぞれ折り曲げて形成されているため、ベース板71が、載置部71fに固定される電源トランス72の重量に耐えられる耐荷重強度に補強するための補強板も兼ねている。
【0055】
図7に示すように、ベース板71には、大型の電源トランス72の載置部71fに、大型の電源トランス72の台座72aの一辺の両側の角部72bと係合して大型の電源トランス72を位置決めするための切欠きポケット71gを2箇所に加え、さらに4箇所のダボ71l〜71oが設けられている。
【0056】
切欠きポケット71gは、ベース板71の一部を切り欠いて引き起こすことによって形成された係止部であって、切欠きポケット71gに電源トランス72の台座72aの角部72bを挟み込むことにより、電源トランス72を簡単に位置決めすることができる。
【0057】
ダボ71l〜71oは、ベース板71の載置部71fに突設された4箇所の凸部からなり、この凸部が電源トランス72をベース板71に取り付けるとき、電源トランス72の台座72aの周縁に設けられた4箇所の切欠部72a1〜72a4に合致するようになっている。これによれば、各ダボ71l〜71oに切欠部72a1〜72a4を位置合わせてして電源トランス72を簡単に位置決めすることができる。この位置決めにより、ベース板71に設けられたネジ孔の位置と、電源トランス72側のネジ孔の位置とが合致して両者をネジ止めすることができる。
【0058】
ベース板71の右フランジ71cおよびガイド板71eは、カバー73の後述する右フランジ73bと下フランジ73dを当接させてカバー73を位置決めするための位置決め手段も兼ねている。
【0059】
すなわち、ベース板71の右フランジ71cの内面に沿ってカバー73の右フランジ73bの先端を当接させ、さらにガイド板71eの内面に沿ってカバー73の下フランジ73dの先端を当接させることにより、ベース板71とカバー73の相対的な位置合わせを簡単に行うことができる。
【0060】
次に、
図12に示すように、カバー73は、打抜加工によって切り出された1枚の金属板からなり、矩形状の正面板73eと、正面板73eの上辺73e1に形成された上面板73hと、正面板73eの下辺73e2に形成された下面板73iと、正面板73eの左側辺73e3に形成された左側面板73fと、正面板73eの右側辺73e4に形成された右側面板73gとを備えている。
【0061】
上面板73hには、上面板73hの左側辺73h1に形成された第1フラップ73jと、右側辺73h2に形成された第2フラップ73kとが設けられている。さらに、下面板73iには、下面板73iの左側辺73i1に形成された第3フラップ73lと、右側辺73i2に形成された第4フラップ73mとが設けられている。
【0062】
第1〜第4フラップ73j〜73mはともに、長手方向の長さが各側辺73h1,73h2,73i1,73i2の長さよりも短く形成されており、隣接する左側面板73fおよび右側面板73gの突き当て部との間に所定の空隙Gが形成されている。
【0063】
空隙Gを形成するに当たっては、打ち抜き金型の強度と耐久性の関係上、ある程度の幅を持たせる必要がある。そこで、この実施形態において、空隙Gの幅は、少なくともカバー73の板厚(0.8mm)よりも大きく形成されていることが好ましい。
【0064】
上面板73hの先端(
図12では上端)には、載置部71fに沿って平行となるように折り曲げられる上フランジ73cが設けられている。下面板73iの先端(
図12では下端)には、載置部71fに沿って平行となるように折り曲げられる下フランジ73dが設けられている。左側面板73fの先端(
図12では左端)には、載置部71fに沿って平行となるように折り曲げられる左フランジ73aが設けられている。右側面板73gの先端(
図12では右端)には、載置部71fに沿って平行となるように折り曲げられる右フランジ73bが設けられている。
【0065】
各フランジ73a〜73dは、左側面板73f,右側面板73g,上面板73hおよび下面板73iの各々に対して外側に向かってほぼ直角に折り曲げられる。各フランジ73a〜73dの載置部71fと対向する面(
図12では紙面手前側)には、それぞれシール材Sが全面にわたって貼り付けられている。さらには、各フラップ73j〜73mの左側面板73fと右側面板73gとに対向する面にもシール材Sが設けられている。
【0066】
上フランジ73cには、カバー73をベース板71に固定する固定用ネジ75が挿通されるネジ挿通孔73c1,73c2が2箇所に設けられている。同様に下フランジ73dにも固定用ネジ75が挿通されるネジ挿通孔73d1,73d1が2箇所に設けられている。この実施形態において、ネジ挿通孔76a〜76dは、上フランジ73cと下フランジ73dの2箇所にのみ設けられているが、右フランジ73aおよび左フランジ73bにも設けられていてもよい。
【0067】
シール材Sは、各フランジ73a〜73dを載置部71fに圧着することにより、シール材Sが潰れて隙間を塞いで水の浸入を防ぐ圧着タイプのシール材が好適に用いられる。
【0068】
次に、
図12に示した展開状態からのカバー7の組み立て手順の一例について説明する。まず、上面板73hの左右側辺73h1,73h2に沿って第1フラップ73jおよび第2フラップ73kを正面板73eに対してほぼ直角となる位置まで谷折りする。また、下面パネル73iの左右側辺73i1,73i2に沿って第3フラップ73lおよび第4フラップ73mを正面板73eに対してほぼ直角となる位置まで谷折りする。
【0069】
次に、正面板73eの左辺73e3に沿って左側面板73fを正面板73eに対してほぼ直角となるように谷折りする。同様に、正面板73eの右辺73e4に沿って右側面板73gを正面板73eに対してほぼ直角となるように谷折りする。
【0070】
次に、
図15に示すように、上面板73hを正面板73eに対してほぼ直角となるように上辺73e1に沿って谷折りする。その際、第1フラップ73jを左側面板73fの外側面に沿って密着するように折り畳み、第2フラップ73kを右側面板73gの外側面に沿って密着するように折り畳む。
【0071】
これによれば、上面板73hと左右の各側面板73f,73gとを向かい合わせた端部の間に形成される継ぎ目を、第1フラップ73jおよび第2フラップ73kで覆い隠すことにより、雨水が継ぎ目部分からカバー73の内部に浸入することを防ぐことができる。
【0072】
次に、下面パネル73iを正面板73eに対してほぼ直角となるように下辺73e2に沿って谷折りする。その際、第3フラップ73lを左側面板73fの内側面に沿って密着するように折り畳み、第4フラップ73mを右側面板73gの内側面に沿って密着するように折り畳む。
【0073】
これによれば、第3フラップ73lと第4フラップ73mを各側面板73f,73gの内側に折り畳むことにより、下面パネル73iと左右の各側面板73f,73gとを向かい合わせた端部の間に形成される継ぎ目が下向きとなり、継ぎ目部分から雨水が浸入しにくくなる。また、継ぎ目からカバー73内に至る浸入経路が長いため、より水が浸入しにくい構造となる。
【0074】
また、正面板73eの四隅の角部には、各フラップ73j〜73mの近傍に形成される空隙Gによって若干の継ぎ目の隙間が生じ、そこから雨水が内部に浸入するおそれがあるが、この隙間は非常に小さいため、カバー73の内側からシール材Sを貼り付けることによって防水処理することができる。
【0075】
次に、以上のように構成されたトランスユニット7の組立について説明する。トランスユニット7の組立は、
図7乃至
図9に示すように、ベース板71の左固定片71aと右固定片71bとを下側になるように、床面などの平坦面にベース板71を置く。
【0076】
その後、電源トランス72の台座72aの角部72bをベース板71の切欠きポケット71gに係合させ、電源トランス72をベース板71に位置決めし、電源トランス72をネジ(図示省略)でベース板71に取付ける。
【0077】
次に、カバー73により電源トランス72を覆い、カバー73の右フランジ73bと下フランジ73dを、ベース板71の右フランジ71cとガイド板71eに当接させ、カバー73をベース板71に位置決めしたのち、ネジ(図示省略)でベース板71の載置部71fに取付ける。
【0078】
このとき、例えば、カバー73の左フランジ73a、右フランジ73b、上フランジ73cおよび下フランジ73dと、ベース板71の載置部71fとの間にシール部材を挟み込んだ状態でカバー73の上フランジ73cおよび下フランジ73dがベース板71の載置部71fにネジ止めされる。
【0079】
組立てたトランスユニット7は、カバー73の下フランジ73dがベース板71の載置部71fにネジ止めされるため、カバー73の底面がベース板71のガイド板71eに対して離れた位置になり、カバー73が、筐体10の連結板15にベース板71のガイド板71eを当接させるときの妨げにならない。
【0080】
また、カバー73の上フランジ73cがベース板71の載置部71fにネジ止めされるため、カバー73の天面がベース板71の上フランジ71dと離れた位置になり、カバー73が、グリップ板71dの手掛け用の孔71hに手を掛けるときの妨げにならない。なお、電源トランス72に接続されたケーブル72cは、ベース板71の載置部71fの左辺とカバー73の左フランジ73aとの間からシール材Sに密着された状態で引き出される。
【0081】
次に、トランスユニット7の背面固定具6への取付について説明する。トランスユニット7の背面固定具6への取付は、
図4に示すように、まず、電装品箱4を筐体10の前面側に回動し、電装品箱本体40の背面板401に固定された背面固定具6が見えるようにする。なお、トランスユニット7は重い重量物であるため、電装品箱4を筐体10に取り付けた後で取り付けることが好ましいが、電装品箱4に予め取り付けておき、筐体10に取り付けてもよい。
【0082】
その後、
図5と
図6に示すように、床面などに置いたトランスユニット7をグリップ板dの手掛け用の孔71hに下側から手を掛けて持ち上げた状態で、ベース板71の左固定片71aを、左側の背面固定具6の背面に形成された逆L字形状の孔63の下端に引っ掛けて固定する。
【0083】
このとき、トランスユニット7が左側の背面固定具6に片持ち状態になっているため、トランスユニット7を右側の背面固定具6側に回動することで、ベース板71の右固定片71bを、右側の背面固定具6の背面に形成された縦長矩形状の孔64に引っ掛けて固定することができる。
【0084】
次に、
図11に示すように、ベース板71をネジ75で左側および右側の背面固定具6に固定する。このとき、ベース板71のカバー73で覆われていない露出部71k(例えば、ベース板71の載置部71fの4つの角部)が、左側および右側の背面固定具6の背面65にネジ止めされる。
【0085】
背面固定具6へ取付けられたトランスユニット7は、
図11に示すように、大型の電源トランス72の取付用のネジ74や、トランスユニット72の取付用のネジ75が、ベース板71から左固定片71aおよび右固定片71bの方向に外側に突出した状態になっている。
【0086】
しかしながら、ベース板71は、背面65、左側面66および右側面67からなる断面台形状に形成された左側および右側の背面固定具6に、電装品箱本体40の背面板401の背面からネジ74の軸部74aの長さL1の寸法やネジ75aの軸部75aの長さL2の寸法よりも大きい隙間Sの寸法を持たせた状態で取付けられているため、大型の電源トランス72の取付用のネジ74や、トランスユニット72の取付用のネジ75が、電装品箱本体40の背面板401の背面に突き当たることがない。
【0087】
また、トランスユニット7の荷重は左右一対の背面固定具6(6A,6B)で受けて電装品箱本体40の背面板401に対し分散することができ、大型の電源トランス72の重量に応じて電装品箱4の板厚を厚くすることなく、電装品箱4の強度を維持することができる。
【0088】
次に、背面固定具6へ取付けられたトランスユニット7は、
図2に示すように、筐体10の背面側に電装品箱4を回動させ、電装品箱4を筐体10の支柱12a、支柱12eにネジ(図示省略)で固定すると、
図10に示すように、ベース板71の下フランジ71eが筐体10の連結板15に当接し支持されるため、電装品箱4とトランスユニット7の荷重を連結板15で受けることができ、筐体10の支柱12a、支柱12eへの電装品箱4の固定状態を補強することができる。
【0089】
以上、本発明によれば、1枚の金属板を箱形に折り畳みカバーを形成することによって、カバー7の上面板73hと各側面板73f,73gとを向かい合わせた端部の間に形成される上向きの継ぎ目を、第1および第2フラップ73j,73kによって覆い隠すことにより、上向きの継ぎ目からカバーの内部に雨水が入り込むことを防止することができる。さらには、第3および第4フラップ73l,73mを各側面板73f,73gの内側面に沿って折り曲げたことにより、下面板73iと各側面板73f,73gとの間に形成された下向きの継ぎ目からカバー内部に至る水の浸入経路を長く取ることができ、より確実に雨の浸入を防止することができる。