(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の実施形態について説明する前に、認証について簡単に説明する。認証には、1対1認証と、1対N認証とがある。
【0013】
1対1認証では、認証対象者が、IDなどの個人を識別する識別情報と、生体情報などの特徴とを認証装置に入力し、認証装置は、入力された特徴と、予め記憶された登録者の特徴のうち入力された識別情報に対応付けられた特徴とを照合することで、認証対象者を特定する。
【0014】
一方、1対N認証では、認証対象者が、生体情報などの特徴を認証装置に入力し、認証装置は、入力された特徴と、予め記憶された全ての登録者の特徴とを総当りで照合し、認証対象者を特定する。
【0015】
このように、1対N認証では、1対1認証と異なり、認証の際に、基本的には、IDなどの識別情報の入力は必要とされない。しかしながら、特徴の認識精度の問題から1対N認証であっても、1対1認証に切り替えなければならない事態が発生する場合がある。
【0016】
認証対象者の特徴と、予め記憶された登録者の特徴とを照合する際、両特徴の類似度合いは、常に一定とは限らない。例えば、顔認証を行なう場合、認証時の周囲環境(外乱光、顔の向きなど)の影響や、自分の容姿(顔色、装飾、化粧など)の影響などの変動要因により類似度合いは変動する。このため、認証では、類似度合いの変動を許容するよう閾値を設定し、類似度合いがこの閾値を超えた場合に、本人と特定する。
【0017】
このように類似度合いの変動を許容すると、認証対象者の特徴に基づき1対N認証を行なうと、本人の候補として複数の登録者が抽出される場合がある。このような場合には、認証対象者の特徴だけでは本人の特定を行なうことができないため、識別情報の入力を要求し、1対1認証に切り替える必要が生じる。
【0018】
ここで、1対N認証において本人の候補として複数の登録者が抽出される原因として以下の2つが考えられる。なお、以下の説明において、本人である登録者とは、認証対象者の特徴との類似度合いが閾値を超える特徴を有する登録者群(候補者)のうち、認証対象者本人をいう。また、他人である登録者とは、候補者のうち、認証対象者以外の人をいう。
【0019】
<事象1>
認証時の変動要因により、認証対象者の特徴と登録者の特徴との照合の結果、本人である登録者との類似度合いは低下するよう変動する一方、他人である登録者との類似度合いは上昇するよう変動し、候補者が複数となる場合がある。
【0020】
<事象2>
また、例えば親族などのように登録者同士の特徴がもともと類似していることを想定すると、この類似の関係にある登録者のうちいずれかが認証対象者になると、本人である登録者のみならず、類似の関係を持つ他人である登録者も候補者として抽出される場合がある。
【0021】
ここで、上記の事象1の場合、本人である登録者との類似度合い及び他人である登録者との類似度合いは、いずれも閾値を超えているものの、本人である登録者との類似度合いは、他人である登録者との類似度合いよりも高いため、候補者のうち類似度合いが一番高い候補者を本人として特定することが可能である。
【0022】
一方、上記の事象2の場合、認証時の変動の大きさ、及び本人である登録者と他人である登録者との類似度合いの高さによっては、認証対象者と本人である登録者との類似度合いが、認証対象者と他人である登録者との類似度合いよりも高くなるとは限らない。
【0023】
このように、1対N認証時に候補者が複数抽出される場合であっても、事象1のときには、1対1認証へと切り替える必要はない。
【0024】
次に、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。本発明の実施形態にかかる認証装置は、1対N認証時に候補者が複数抽出される場合のうち、事象1のときには認証対象者の識別情報の入力を要求せず、事象2のときに認証対象者の識別情報の入力を要求する。
【0025】
図1は、本発明の実施形態に係る認証装置2のハードウェア構成を示す模式図である。
図1に示すように、認証装置2は、CPU4及びメモリ6などを含む本体8、ユーザインタフェース装置10、記憶装置12、記憶媒体14及び通信装置16から構成され、認証装置2は、コンピュータとしての構成部分を有している。
【0026】
CPU4は、メモリ6に記憶されたプログラムに基づく処理を実行する。記憶装置12は、内蔵HDDなどであり、記憶媒体14は、CD、FD及び外付けHDDなどである。なお、CPU4は、記憶装置12又は記憶媒体14に記憶されたプログラムを実行してもよい。
【0027】
ユーザインタフェース装置10は、例えばタッチパネルなどのように入力装置及び出力装置としての機能を備えている。認証対象者は、ユーザインタフェース装置10を介して自らのIDなどの識別情報を認証装置2に入力する。なお、ユーザインタフェース装置10として、ICカード、磁気カードなどの記憶媒体の読取りを行なうカードリーダ装置を設け、記憶媒体に記憶された認証対象者の識別情報を読み取るよう構成してもよい。
【0028】
通信装置16は、LAN、インターネットなどの通信回線を介して他の装置と通信を行う、データ回線終端装置などの通信装置である。なお、本実施形態では、認証対象者から取得した情報との照合対象である登録者の情報は、記憶装置12に記憶されているものとして説明するが、認証装置2の記憶装置12への記憶に限らず、認証装置2とは異なる装置に登録者の情報を記憶し、例えば通信装置16を介して通信回線越しに登録者の情報を取得するよう構成してもよい。
【0029】
生体情報取得装置18は、生体情報などの身体の少なくとも一部の特徴を取得する装置であり、本実施形態では、使用者の顔画像を撮影する、例えばCCDカメラとして構成されている。このように、本実施形態では、使用者の顔の特徴を取得するものとして説明するが、虹彩、指紋、静脈など他の特徴を取得してもよい。
【0030】
図2は、プログラムが実行されることにより実現される認証装置2の機能構成を示すブロック図である。
【0031】
図2に示すように、認証装置2は、特徴取得部20と、識別情報受付部22と、登録者間類似判定部24と、記憶制御部26と、抽出部28と、類似存在判定部30と、第一特定部32と、第二特定部34と、記憶部36とを有している。
【0032】
特徴取得部20は、使用者の身体の少なくとも一部の特徴を取得する。本実施形態では、特徴取得部20は、生体情報取得装置18により撮像された顔画像から、被写体の使用者の顔の特徴を抽出して取得する。なお、使用者の登録の際には、登録対象者の特徴を取得し、認証対象者の認証の際には、認証対象者の特徴を取得する。また、使用者の登録の際には、取得した特徴は、後述する記憶制御部26の制御のもと、記憶部36に記憶される。一方、認証対象者の認証の際には、取得した特徴は、記憶部36に記憶されている登録者の特徴と照合される。特徴取得部20は、生体情報取得装置18からの特徴の取得に限らず、認証装置2とは異なる装置から例えば通信回線を介して特徴を取得してもよい。
【0033】
識別情報受付部22は、使用者の識別情報を受付ける。本実施形態では、識別情報受付部22は、UI装置10を介して入力された使用者のIDなどの識別情報を受付ける。なお、識別情報受付部22は、使用者の登録の際には、登録対象者の識別情報を受付け、認証対象者の1対1認証の際には、認証対象者の識別情報を受付ける。また、使用者の登録の際には、取得した識別情報は、後述する記憶制御部26の制御のもと、記憶部36に記憶される。一方、認証対象者の1対1認証の際には、取得した識別情報は、記憶部36に情報が記憶されている登録者のうち認証対象者本人を特定するために用いられる。識別情報受付部22は、認証装置2とは異なる装置から例えば通信回線を介して識別情報を取得してもよい。
【0034】
登録者間類似判定部24は、使用者を登録する場合に、特徴取得部20により取得された登録対象者の特徴と、既に登録されている登録者の特徴とが類似しているか否かを判定する。具体的には、登録者間類似判定部24は、特徴取得部20により取得された登録対象者の特徴と、記憶部36に記憶されている各登録者の特徴とを照合し、両特徴の類似度合いが予め定められた閾値TH1を超えるか否かを判定する。
【0035】
ここで、類似度合いは、例えば、以下のように求められる。なお、以下に示すものは、一例であり、類似度合いは、例えば特開2008−217510に開示されているような公知の他の手法により求められてもよい。
【0036】
例えば、特徴取得部20は、生体情報取得装置18から入力された顔画像に基づいて、目、鼻、口の相互の位置関係、輪郭などを特徴パラメータとして抽出し、記憶部36に予め記憶されている登録者の特徴パラメータとパターンマッチングにより照合する。
【0037】
パターンマッチングでは、まず、各部位の特徴パラメータごとの差分を算出する。ここで、差分としては、例えば、各部位の特徴パラメータとして輝度情報の2次元画像を用いる場合には、2次元の各画素値の差分の絶対値を累積する。また、各部位の位置関係の特徴パラメータとしてベクトルを用いる場合には、ベクトルの角度の差分と距離の差分とを算出する。次に、算出した各差分に重み付けを行って数値化する。例えば、口よりも目の類似性を重視する場合には、目についての特徴パラメータの差分の重みを上げるなどする。そして、各部位で算出された重み付け後の値の総和を類似度合いの点数とする。
【0038】
記憶制御部26は、識別情報受付部22により受付けられた識別情報と、特徴取得部20により取得した登録対象者の特徴と、登録者間類似判定部24による判定結果についての情報とを関連付けて、登録者の情報として記憶部36に記憶するよう制御する。なお、記憶部36に記憶される登録者の情報の具体例については図を用いて後述する。
【0039】
抽出部28は、予め記憶された登録者それぞれの身体の少なくとも一部の特徴と、特徴取得部20により取得された認証対象者の特徴とを比較し、両特徴の類似度合いが予め定められた閾値TH2を超える登録者を抽出する。具体的には、抽出部28は、特徴取得部20により取得された認証対象者の特徴について、記憶部36に記憶されている各登録者の特徴と順次照合し、類似度合いが予め定められた閾値TH2を超える登録者を全て抽出する。
【0040】
類似存在判定部30は、抽出部28により抽出された登録者のうち少なくとも一人について、この登録者の特徴との類似度合いが予め定められた閾値TH1を超える登録者が、記憶部36に情報が記憶されている全登録者の中に存在するか否かを判定する。本実施形態では、類似存在判定部30は、記憶部36に記憶されている、登録者間類似判定部24による判定結果についての情報を参照し、記憶部36に識別情報が記憶されている全登録者の中に、抽出部28により抽出された登録者と類似していると判断される登録者が存在するか否かを判定する。
【0041】
なお、類似存在判定部30が、抽出部28により抽出された登録者と類似していると判断される登録者が存在すると判定した場合、例えば、認証対象者に対して識別情報の入力を促す表示をUI装置10に表示する。
【0042】
第一特定部32は、抽出部28により抽出された登録者のうち、特徴取得部20により取得された認証対象者の特徴との類似度合いが最も高い特徴を有する登録者を認証対象者であるとして特定する。ここで、第一特定部32による登録者の特定は、類似存在判定部30により抽出部28で抽出された登録者と類似する他の登録者は存在しないと判定された場合に、行なわれる。このように、抽出部28において複数の登録者が候補として抽出されても、一人の登録者が特定される。そして、認証対象者が、この特定された登録者本人であることが認証される。
【0043】
第二特定部34は、識別情報受付部22により受付けられた認証対象者の識別情報が、抽出部28により抽出されたいずれかの登録者の記憶部36に記憶されている識別情報と一致したとき、一致した識別情報を有する登録者を認証対象者として特定する。ここで、第二特定部34による登録者の特定は、類似存在判定部30により抽出部28で抽出された登録者と類似する他の登録者が存在すると判定された場合に、行なわれる。このように、類似存在判定部30により類似する他の登録者が存在すると判定された場合には、識別情報を用いて登録者が特定される。そして、認証対象者が、この特定された登録者本人であることが認証される。
【0044】
次に、使用者の登録について具体例に基づいて説明する。
図3は、記憶部36に記憶される登録者の情報の一例について示す表である。
図3(a)は、登録者を追加する前のデータベースの一例を示し、
図3(b)は、登録対象者と既登録者との類似度合いの関係についての一例を示し、
図3(c)は、登録者を追加した後のデータベースの一例を示している。
【0045】
図3に示した例では、n番目の登録者として、識別情報であるIDが「ZZZ」である使用者を登録するものとする。新たに使用者を登録する場合、上述のように、識別情報受付部22により登録対象者のIDである「ZZZ」が受付けられ、特徴取得部20により登録対象者の特徴p(n)が取得される。
【0046】
ここで、登録者間類似判定部24は、取得した「ZZZ」の特徴p(n)と、既にデータベースに格納されている特徴p(0)〜p(n−1)とを順次照合し、類似度合いを算出する。類似度合いが予め定められた閾値TH1を超える場合には、両者が類似すると判断される。この例では、閾値TH1は70として、IDが「XYZ」である登録者が類似する登録者として判断されている(
図3(b)参照)。
【0047】
これに対し、記憶制御部26は、登録対象者のIDと、特徴と、登録者間類似判定部24による判定結果についての情報とを関連付けてデータベースに格納する。この例では、判定結果についての情報として、類似する登録者が存在することを示すフラグ値を格納している。なお、ここで示した例では、IDが「ZZZ」の登録者は、IDが「XYZ」の登録者と類似していると判断されたので、両登録者においてフラグ値「1」が格納されている(
図3(c)参照)。なお、登録対象者に類似する既登録者が複数存在する場合も同様に、類似する関係にある全ての登録者についてフラグ値「1」を格納する。
【0048】
次に、使用者の認証について具体例に基づいて説明する。
図4は、抽出部28で抽出された登録者と類似する他の登録者は存在しないと類似存在判定部30が判定する場合の認証について説明する表であり、
図4(a)は、予め記憶されている登録者の情報についてのデータベースを例示し、
図4(b)は、認証対象者と登録者との類似度合いの関係についての一例を示している。
【0049】
使用者の認証では、抽出部28が、特徴取得部20により取得された認証対象者の特徴と、
図4(a)に示される各登録者の特徴p(0)〜p(n)とを順次照合し、類似度合いが予め定められた閾値TH2を超える登録者をデータベースの中から抽出する。この例では、閾値TH2は70として、IDが「DDD」である登録者及びIDが「EEE」である登録者が認証対象者と類似する登録者として抽出されている(
図4(b)参照)。
【0050】
ここで、
図4(a)に示されるように、IDが「DDD」である登録者及びIDが「EEE」である登録者は、いずれも上述のフラグ値が「0」であることから、類似存在判定部30は、抽出部28で抽出された登録者と類似する他の登録者は存在しないと判定し、第一特定部32による登録者の特定がなされることとなる。この例では、第一特定部32は、IDが「DDD」である登録者及びIDが「EEE」である登録者のうち、類似度合いが一番高い、IDが「EEE」である登録者を認証対象者として特定する。
【0051】
図5は、抽出部28で抽出された登録者と類似する他の登録者が存在すると類似存在判定部30が判定する場合の認証について説明する表であり、
図5(a)は、予め記憶されている登録者の情報についてのデータベースを例示し、
図5(b)は、認証対象者と登録者との類似度合いの関係についての一例を示している。
【0052】
使用者の認証では、抽出部28が、特徴取得部20により取得された認証対象者の特徴と、
図5(a)に示される各登録者の特徴p(0)〜p(n)とを順次照合し、類似度合いが予め定められた閾値TH2を超える登録者をデータベースの中から抽出する。この例では、閾値TH2は70として、IDが「XYZ」である登録者及びIDが「DDD」である登録者が認証対象者と類似する登録者として抽出されている(
図5(b)参照)。
【0053】
ここで、
図5(a)に示されるように、IDが「XYZ」である登録者は、上述のフラグ値が「1」であることから、類似存在判定部30は、抽出部28で抽出された登録者(IDが「XYZ」である登録者)と類似する他の登録者(この例では、IDが「ZZZ」である登録者)が存在すると判定し、第二特定部34による登録者の特定がなされることとなる。認証装置2は、認証対象者に識別情報の入力を要求し、第二特定部34は、識別情報受付部22により受付けられた認証対象者の識別情報が、抽出部28により抽出されたいずれかの登録者(この例では、IDが「XYZ」である登録者又はIDが「DDD」である登録者)の識別情報と一致したとき、一致した識別情報を有する登録者を認証対象者として特定する。例えば、識別情報受付部22により受付けられたIDが「XYZ」である場合、第二特定部34は、IDが「XYZ」である登録者を認証対象者として特定する。また、例えば、識別情報受付部22により受付けられたIDが「DDD」である場合、第二特定部34は、IDが「DDD」である登録者を認証対象者として特定する。
【0054】
次に、認証装置2による使用者の登録の際の動作について説明する。
図6は、認証装置2による使用者の登録の際の動作の一例を示すフローチャートである。
【0055】
ステップ100(S100)において、識別情報受付部22は、UI装置10を介して入力された登録対象者のIDを受付ける。
【0056】
ステップ102(S102)において、カメラにより構成される生体情報取得装置18によって登録対象者の顔を撮影する。
【0057】
ステップ104(S104)において、特徴取得部20は、ステップ102で撮影された画像に基づいて、登録対象者の顔の特徴を取得する。
【0058】
ステップ106(S106)において、記憶制御部26は、ステップ100で受付けたIDと、ステップ104で取得した特徴とを関連付けてデータベースに登録する。このとき、ステップ108(S108)において、登録者間類似判定部24により登録対象者に類似する既登録者が存在するか否かが判定され、類似する既登録者がいる場合には(S108でYes)、記憶制御部26は類似する登録者が存在することを示すフラグを立てて登録し(ステップ110)、類似する既登録者がいない場合には(S108でNo)、記憶制御部26は類似する登録者が存在することを示すフラグを立てずに登録する。
【0059】
次に、認証装置2による使用者の認証の際の動作について説明する。
図7は、認証装置2による使用者の認証の際の動作の一例を示すフローチャートである。
【0060】
ステップ200(S200)において、カメラにより構成される生体情報取得装置18によって認証対象者の顔を撮影する。
【0061】
ステップ202(S202)において、特徴取得部20は、ステップ200で撮影された画像に基づいて、認証対象者の顔の特徴を取得する。
【0062】
ステップ204(S204)において、抽出部28は、ステップ202で取得した認証対象者の特徴と、データベースに登録された登録者の特徴とを順次照合し、両特徴の類似度合いが予め定められた閾値TH2を超える登録者を抽出する。ここで、登録者が抽出された場合(ステップ206でYes)は、ステップ208へ移行し、登録者が抽出されなかった場合(ステップ206でNo)は、ステップ218へと移行する。
【0063】
ステップ208(S208)では、類似存在判定部30は、ステップ204で抽出された登録者のうちいずれかの登録者が、他の登録者と類似しているか否かを判定する。本実施形態では、ステップ204で抽出された登録者のうちいずれかの登録者において上述のステップ110のフラグが立てられていれば、ステップ204で抽出された登録者のいずれかは他の登録者と類似していると判定し、ステップ210へ移行する。一方、ステップ204で抽出された全ての登録者において上述のステップ110のフラグが立てられていなければ、ステップ204で抽出されたいずれの登録者も他の登録者と類似していないと判定され、ステップ214へ移行する。
【0064】
ステップ210(S210)において、識別情報受付部22が、認証対象者のIDの入力を受付ける。
【0065】
ステップ212(S212)において、第二特定部34は、ステップ210で受付けたIDが、ステップ204で抽出されたいずれかの登録者のIDと一致するか否かを確認する。一致したIDを有する登録者がいる場合には、当該登録者を認証対象者として特定し、ステップ216へ移行する。また、一致したIDを有する登録者がいない場合には、ステップ218へ移行する。
【0066】
一方、ステップ214(S214)では、第一特定部32が、ステップ204で抽出された登録者のうち、認証対象者との類似度合いが最大である登録者を認証対象者として特定し、ステップ216へ移行する。
【0067】
ステップ216(S216)において、認証装置2は、認証対象者が、ステップ212又はステップ214で特定された登録者本人であることを認証し、認証結果として出力する。
【0068】
一方、ステップ218(S218)では、認証対象者は登録されていないものとして、認証失敗を示す出力を行う。
【0069】
以上、上記の実施形態では、第二特定部34が使用者のIDなどの識別情報に基づいて認証対象者を特定する例について説明したが、識別情報に限らず、使用者固有の情報であればよく、例えば、特徴取得部20で取得する特徴とは異なる、虹彩、指紋、静脈などの他の生体情報であってもよい。ここで、他の生体情報としては、特徴取得部20で取得される特徴による登録者との照合よりも高い精度で照合できる生体情報であることが望ましい。この場合、第二特定部34は、認証対象者から取得した固有情報と予め記憶部36に記憶されている、抽出部28で抽出されたいずれかの登録者の固有情報とが一致(差分が予め定められた閾値以下である場合を含む。)した場合、一致する固有情報を有する登録者を認証対象者として特定する。
【0070】
また、上記の実施形態について、登録者間類似判定部24における処理で用いる閾値TH1と、抽出部28における処理に用いる閾値TH2とは、同じ閾値であってもよいが、異なる閾値を用いてもよい。例えば、使用者の認証時は、使用者の登録時に比べて、周囲環境(外乱光、顔の向きなど)の影響を強くうけることが想定される。このように、例えば、使用者の特徴の取得の際の変動要因が、使用者の登録時よりも使用者の認証時のほうが大きい場合には、閾値TH1を閾値TH2よりも高く設定してもよい。
【0071】
また、上記の実施形態では、登録時に、登録者間類似判定部24が登録者間の類似を判定し、判定結果を予め記憶する構成について説明したが、登録者間の類似の判定は、認証時に行ってもよい。