(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
本明細書でシート、フィルム、テープは、同義語である。
本明細書で被着体は、粘着シートを貼り合わせる相手方である。
本明細書で(メタ)アクリル酸は、アクリル酸およびメタクリル酸を含む。また、モノマーは、エチレン性不飽和基含有単量体を意味する。
【0010】
本明細書において、特に明記しない限り、重量平均分子量(Mw)および数平均分子量(Mn)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)測定によって求めたポリスチレン換算値であり、後記[実施例]の項に記載の方法にて測定することができる。
【0011】
本発明の粘着剤は、粘着性樹脂(A)、およびビスマス系レーザ発色剤(B)を含む。
本発明の粘着剤は、塗工により粘着層を形成し、基材、および粘着層を備えた粘着シートとして使用することが好ましい。
【0012】
本発明の粘着剤は、ビスマス系レーザ発色剤(B)を使用しているため、粘着層が着色し難く透明性が高い。これによりラベル用途に使用した場合、ラベル全体が粘着層に由来する着色を有さないため、例えば透明ラベル、生鮮食品ラベルに使用した場合、被着体である商品の商品性に悪影響を与えない。さらに、レーザ照射による発色が良好であるため印字部と非印字部のコントラストが高く、印字部の視認性が高い。
【0013】
(粘着性樹脂(A))
粘着性樹脂(A)は、粘着剤用途に使用できる樹脂であり粘着層形成後には、粘着層に適度な粘着性(タック)が得られる。また、粘着性樹脂(A)は、ガラス転移温度(Tg)0℃以下が好ましく、−10℃以下がより好ましく、−20℃以下がさらに好ましい。Tgは、粘着性樹脂(A)を構成するモノマーのホモポリマーのガラス転移温度を用いて、FOXの式により求めることができる。モノマーのTgは、ポリマーハンドブック等既知の数値を使用できる。なお、モノマーのTgが不明である場合、粘着性樹脂(A)のTgは、DSCで求めることができる。
【0014】
粘着性樹脂(A)は、例えばアクリル系樹脂、ウレタン系樹脂が挙げられる。これら中でもアクリル系樹脂が好ましい。
【0015】
アクリル系樹脂は、(メタ)アクリル酸エステルを主成分として重合した樹脂である。(メタ)アクリル酸エステル以外のモノマーとして反応性官能基含有モノマー、その他モノマーを使用できる。
(メタ)アクリル酸エステルは、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、i−プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、i−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、n−ペンチル(メタ)アクリレート、i−ペンチル(メタ)アクリレート、ネオペンチル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレートが挙げられる。
反応性官能基含有モノマーの中で水酸基含有モノマーは、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
反応性官能基含有モノマーの中でカルボキシル基含有モノマーは、例えば(メタ)アクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、ビニル安息香酸、クロトン酸が挙げられる。
その他モノマーは、例えば、アクリルアミド、酢酸ビニル、スチレン、プロピオン酸ビニルが挙げられる。
【0016】
これらのモノマーは、単独または2種類以上を使用できる。
【0017】
アクリル系樹脂の合成は、例えば、溶液重合、乳化重合、塊状重合から適宜選択できるところ、反応制御が容易な溶液重合が好ましい。
溶液重合に使用する溶剤は、例えば、エステル(例えば酢酸エチル、酢酸ブチル)、炭化水素(例えばn−ブタン、シクロヘキサン、トルエン、ベンゼン)、ケトン(例えばアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン)などが挙げられる。
【0018】
溶剤は、単独または2種類以上を使用できる。
【0019】
アクリル系樹脂の合成に使用する重合開始剤は、過酸化物、アゾ化合物が好ましい。
過酸化物は、例えば、ベンゾイルパーオキシド、ジ−t−ブチルパーオキシド、ラウリルパーオキシドが挙げられる。
アゾ化合物は、例えば、アゾビスイソブチロニトリル、2,2'−アゾビス(2−メチルプロピオニトリル)、2,2'−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリルなどが挙げられる。
【0020】
重合開始剤は、単独または2種類以上を使用できる。
【0021】
重合開始剤は、モノマー全量に対して0.01〜0.5質量部使用することが好ましい。
【0022】
アクリル系樹脂の重量平均分子量は、30万〜130万が好ましく、40万〜100万がより好ましく、50万〜80万がさらに好ましい。重量平均分子量が30万以上であれば、粘着層の凝集力がより向上し、連続塗工後に粘着シートを巻き取った塗工ロールがタケノコ状にズレ難い。また、130万以下であれば、粘着層の表面平滑性がより向上しラベルの商品性が向上する。重量平均分子量は、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)により得られるポリスチレン換算の値である。
【0023】
粘着性樹脂(A)は、単独または2種類以上を使用できる。
【0024】
本発明では、硬化剤を使用できる。硬化剤は任意成分であるが、粘着性樹脂が反応官能基を有する場合、当該反応性官能基と反応可能な硬化剤を使用することができる。
粘着性樹脂(A)が水酸基を有する場合、硬化剤は、例えば、イソシアネート硬化剤が挙げられる。また粘着性樹脂(A)がカルボキシル基を有する場合、硬化剤は、例えば、エポキシ硬化剤、キレート硬化剤、アジリジン硬化剤が挙げられる。
【0025】
硬化剤は、単独または2種類以上を使用できる。
【0026】
硬化剤は、粘着性樹脂(A)100質量部に対して、0.1〜10質量部を配合することが好ましい。
【0027】
(ビスマス系レーザ発色剤(B))
ビスマス系レーザ発色剤(B)は、ビスマス酸化物が好ましい。ビスマス系レーザ発色剤(B)は、レーザ光を吸収し発熱することで周りの粘着性樹脂(A)を炭化させる。ビスマス系レーザ発色剤(B)を使用すると、従来のレーザ発色剤では得られなかった印字後のコントラストが得られ、粘着層の着色が抑制できる。なお、前記炭化部分が、レーザ発色部(印字部)である。
【0028】
ビスマス酸化物は、例えば、三酸化ビスマス(Bi
2O
3)が挙げられる。
【0029】
ビスマス系レーザ発色剤(B)のD50平均粒子径は、0.05〜5μmが好ましく、0.1〜3μmがより好ましく、0.3〜1.5μmがさらに好ましい。0.05μm以上になるとビスマス系レーザ発色剤(B)の粒子の比表面が大きくなりレーザ光を吸収し発熱し易くなるため印字精度がより向上する。一方、5μm以下になると粘着層の着色をより抑制できる。なお、ビスマス系レーザ発色剤(B)は、粘着性樹脂(A)と単純に配合すると凝集し易いため、分散処理を行うことが好ましい。そのためビスマス系レーザ発色剤(B)のD50平均粒子径は、粘着剤に配合した後の分散粒子径である。D50平均粒子径は、マイクロトラック粒度分布測定装置UPA250(日機装社製)で測定した体積平均粒子径の積算値が50%の粒度である。
【0030】
ビスマス系レーザ発色剤(B)は、粘着性樹脂(A)100質量部に対して、0.1〜5量部を配合することが好ましく、0.3〜4質量部がより好ましく、0.5〜3質量部がより好ましい。0.1質量部配合すると印字後のコントラストがより向上する。また、5質量部以下配合すると粘着層の凝集力および粘着力がより向上し、コストを抑制できる。ビスマス系レーザ発色剤(B)を適量配合すると印字後のコントラストがより向上し、粘着層の着色がより抑制できる。
【0031】
粘着剤には、本発明の課題を解決できる範囲内であれば、ビスマス系レーザ発色剤(B)以外のその他レーザ発色剤を併用できる。
その他レーザ発色剤は、例えば三酸化モリブデン、リン酸銅等が挙げられる。
【0032】
粘着剤は、さらに無機化合物を配合できる。ビスマス系レーザ発色剤(B)と無機化合物を併用すると印字後のコントラストがより向上する場合がある。前記無機化合物は、レーザ発色剤以外の、金属酸化物、無機塩、金属、金属水酸化物等が好ましい。金属酸化物は、例えば、シリカ、酸化チタン、アルミナ、酸化鉄、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、酸化コバルト、酸化鉛、酸化スズ、酸化アンチモン、酸化インジウム、酸化マンガン、酸化ニッケル、酸化ネオジム、酸化銅、酸化パラジウム、酸化ランタン、合成及び天然ゼオライト;マイカ、モンモリロナイト、スクメタイト、タルク、クレー等の複合金属酸化物が挙げられる。
【0033】
無機塩は、例えば、炭酸カルシウム、炭酸銅、炭酸ニッケル、炭酸マンガン、炭酸コバルト、炭酸ランタン、硝酸マグネシウム、硝酸マンガン、硝酸鉄、硝酸カドミウム、硝酸亜鉛、硝酸コバルト、硝酸鉛、硝酸ニッケル、硝酸銅、硝酸パラジウム、硝酸ランタン、酢酸マグネシウム、酢酸マンガン、酢酸カドミウム、酢酸亜鉛、酢酸コバルト、酢酸鉛、酢酸ニッケル、酢酸銅、酢酸パラジウム等が挙げられる。
金属単体は、例えば、鉄、亜鉛、スズ、ニッケル、銅、銀、金等が挙げられる。水酸化物として、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化亜鉛、水酸化アンチモン、水酸化コバルト、水酸化ニッケル、水酸化ネオジム、水酸化鉄、水酸化ランタン等が挙げられる。
【0034】
粘着剤には、さらに粘着付与樹脂を配合できる。粘着付与樹脂を含むと粘着力が向上する。
粘着付与樹脂は、ロジン系樹脂、テルペン系樹脂、芳香族系石油樹脂、脂肪族系石油樹脂等が好ましい。
ロジン系樹脂は、例えば、天然ロジン、ロジンエステル、水添ロジン、水添ロジンエステル、重合ロジン、重合ロジンエステル、不均化ロジン、不均化ロジンエステルが挙げられる。
テルペン系樹脂は、例えば、α−ピネン樹脂、β−ピネン樹脂、テルペンフェノール樹脂、水添テルペンフェノール樹脂等が挙げられる。
芳香族系石油樹脂は、例えば、スチレンオリゴマー、α−メチルスチレン/スチレン共重合体等が挙げられる。
粘着付与樹脂の軟化点は60℃〜170℃が好ましい。
【0035】
粘着付与樹脂は、粘着性樹脂(A)100質量部に対して3〜30質量部配合することが好ましい。粘着付与樹脂を適量配合すると粘着力がより向上する。
【0036】
粘着剤には、本発明の課題を解決できる範囲内であれば、その他添加剤を配合できる。
その他添加剤は、例えば、顔料、染料、充填剤、希釈剤、老化防止剤、分散安定剤、重合禁止剤、紫外線吸収剤、紫外線安定剤等が挙げられる。他の添加剤は、単独または2種類以上を使用できる。また、添加剤の添加量は、所望する物性が得られる量とすればよく、特に限定されない。
【0037】
(溶剤)
粘着剤には、溶液重合で使用する他に必要に応じて、既に説明した溶剤を含むことができる。
【0038】
本発明の粘着剤は、粘着性樹脂(A)、およびビスマス系レーザ発色剤(B)を配合し分散処理を行い製造することが好ましい。これによりビスマス系レーザ発色剤(B)を粘着剤中に均一に分散し易くなく。また、粘着性樹脂(A)の一部と、ビスマス系レーザ発色剤(B)とを予め分散処理した分散体を、残りの粘着性樹脂(A)に混合することもできる。分散処理により必要とするレーザ発色部の大きさに合わせて、ビスマス系レーザ発色剤(B)の分散粒子径を適宜調整できる。
【0039】
分散処理は、公知の分散機を使用できる。分散機は、例えば、ボールミル、ビーズミル等が挙げられる。
【0040】
本発明の粘着シートは、基材と、粘着剤を含む粘着層とを備えることが好ましい。粘着層は、粘着剤を塗工することで形成できる。粘着層の基材と接していない面は、通常、粘着シートを使用する直前まで剥離性シートを貼り付けて異物の付着を防止する。
粘着シートは、例えば、基材に粘着剤を塗工、乾燥することで粘着層を形成して作製する。また、剥離性シートに粘着剤を塗工、乾燥することで粘着層を形成し、基材を貼り合わせて作製する。また、剥離性シートに粘着剤を塗工、乾燥することで粘着層を形成し、さらに他の剥離性シートを貼り合わせて作製することもできる。基材を使用しない粘着シートをキャスト粘着シートという。
【0041】
粘着剤は、塗工の際、適当な溶媒を使用して粘度を調整することができる。また粘着剤を加熱して粘度を調整することもできる。
【0042】
粘着層は、粘着剤を公知の方法で塗工し、乾燥して形成する。塗工方法は、例えば、マイヤーバー、アプリケーター、刷毛、スプレー、ローラー、グラビアコーター、ダイコーター、リップコーター、コンマコーター、ナイフコーター、リバースコ−ター、スピンコーターが挙げられる。乾燥方法は、例えば、熱風乾燥、赤外線や減圧法が挙げられる。乾燥温度は、通常60〜160℃程度である。
【0043】
粘着層の厚さは、5〜150μmが好ましく、10〜50μmがより好ましい。5〜150μmに調整することで適度な粘着力が得られる。
【0044】
基材は、例えば、プラスチック、紙、金属箔等のシートまたは板材が挙げられる。
前記プラスチックは、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル(例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET))、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート、セロファン等が挙げられる。
【0045】
基材の厚さは、5〜200μm程度である。
【0046】
剥離性シートは、通常、フィルムまたは紙基材に、シリコーン化合物やフッ素化合物等から形成された公知の剥離層が形成されている。
剥離性シートの厚さは、通常10〜200μm程度である。
【0047】
本発明の粘着シートは、一般用、工業用に使用されるフィルムラベル、紙ラベル等の粘着加工品用途に好適に使用できる。
【実施例】
【0048】
以下、合成例、本発明に係る実施例、および比較例について説明する。しかし、本発明は、実施例に限定されないことはいうまでもない。なお、以下の記載において、特に明記しない限り、「部」は「質量部」を意味し、「%」は「質量%」を意味するものとする。表中の配合量は、質量部である。
【0049】
[実施例1]
反応槽、攪拌器機、温度計、滴下漏斗、触媒槽、還流器冷却管を備えた重合装置に、窒素雰囲気下、アクリル酸ブチル30部、アクリル酸2-エチルヘキシル69部、アクリル酸2−ヒドロキシエチル0.7部、アクリル酸0.2部、2,2'−アゾビスイソブチロニトリル0.1部、酢酸エチル60部を仕込み、反応槽を撹拌しながら加熱を行った。反応開始を確認後、還流下で7時間反応を行った。反応終了後、冷却し、酢酸エチルで希釈し不揮発分を45%に調整して重量平均分子量が65万のアクリル樹脂(A−1)溶液を得た。得られたアクリル樹脂(A−1)溶液中のアクリル樹脂(A−1)100部に対して、ロジン樹脂(パインクリスタルKE−359、ロジンエステル、荒川化学工業社製)を25部配合し、混合した。
次いで前記混合液中のアクリル樹脂(A−1)100部に対して、平均粒子径が1.0μmの市販三酸化ビスマス(三酸化モリブデン含有量99%、三酸化ネオジム1%)を1.0部添加し、ビーズミル分散機で分散処理を行った。次いで得られた混合液中のアクリル樹脂(A−1)100部に対して、タケネートD−110N(キシリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト体、三井化学社製)を不揮発分換算で0.8部を配合して、粘度3000mPa・s、不揮発分40%の粘着剤を得た。粘着剤中の三酸化ビスマスのD50平均粒子径を測定したところ1.4μmであった。粘度は25℃、B型粘度計(♯3ローター.12rpm)で測定した値である。
【0050】
剥離性シート(厚さ38μm、ポリエチレンテレフタレート製)の剥離面に得られた粘着剤を乾燥後の粘着剤層の厚みが20μmになるように塗工した。次いで、100℃で2分間乾燥を行い、粘着層を形成した。この粘着層上に、基材として厚さ50μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(PETフィルム、ルミラーT−60:東レ社製)を貼着して、粘着シートを得た。23℃で7日間養生した後、下記評価を行った。
【0051】
[分子量の測定]
重量平均分子量(Mw)および数平均分子量(Mn)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)法により測定した。測定条件は以下の通りである。なお、MwおよびMnはいずれも、ポリスチレン換算値である。
装置:LC−GPCシステム「Prominence」(島津製作所社製)、
カラム:GMHXL4本(東ソー社製)、HXL-H1本(東ソー社製)を直列に連結、
検出器:示差屈折率検出器、
移動相溶媒:テトラヒドロフラン(THF)、
カラム温度:40℃、
流量:1.0ml/min、
試料濃度:0.02%、
試料注入量:100μL
【0052】
(実施例2〜6、比較例1〜3)
実施例1の配合を表1に記載した通りに変更した以外は、実施例1と同様に行い、それぞれ実施例2〜6、比較例1〜3の粘着剤および粘着シートを得た。実施例4に使用した酸化チタン分散体(「マルチラックS−161」、トーヨーケム社製)は、アクリル樹脂100部に対して、酸化チタンが0.5部になるようにイソシアネート硬化剤と同時に配合した。なお、三酸化ビスマスは、分散条件を適宜調整し分散粒子径が異なる三酸化ビスマスを作製して使用した。
【0053】
[実施例7]
撹拌機、還流冷却管、窒素導入管、温度計、滴下ロートを備えた4口フラスコに窒素雰囲気下、クラレポリオールP−1010(2官能ポリエステルポリオール、クラレ社製)81重量部、サンニックスGP3000(3官能ポリエーテルポリオール、三洋化成工業社製)101g、デスモジュールH(ヘキサメチレンジイソシアネート、住化コベストロウレタン社製)19重量部、トルエン134重量部、触媒としてジブチル錫ジラウレート0.05重量部、2−エチルヘキサン酸錫0.02重量部を仕込み、90℃まで徐々に昇温し、90℃で2時間反応を行った。次いで、サンプリングを行い、IRで残存イソシアネート基の消滅を確認した上で冷却し反応を終了した。次いでトルエンで適宜添加して、不揮発分60%、かつ重量平均分子量が10万のウレタン樹脂(A−2)溶液を得た。ウレタン樹脂溶液(A−2)の粘度は3,300mPa・sであった。
次いで、ウレタン樹脂(A−2)溶液中のウレタン樹脂(A−2)100質量部に対して上記市販三酸化ビスマスを1.0部添加し、ビーズミル分散機で分散処理を行った。次いで得られた混合液中のウレタン樹脂(A−2)100部に対して、デュラネート301−75E(ヘキサメチレンジイソシアネートのトリメチレンプロパンアダクト体、旭化成社製)を不揮発分換算で3.0部を配合し、粘着剤を得た。粘着剤中の三酸化ビスマスのD50平均粒子径を測定したところ1.4μmであった。さらに実施例1と同様に行い粘着シートを得た。
【0054】
[評価項目および評価方法]
評価項目および評価方法は、以下の通りである。
【0055】
(視認性)
得られた粘着シートを幅100mm・長さ100mmの大きさに準備し、測定試料とした。次いで、23℃−50%RHの雰囲気下で、バナジウム酸イットリウム結晶を用いたQスイッチパルス発振レーザ光増幅光波(YVO社製 i−MarkerLT−010 波長約1064nm)を、測定試料の基材側から、基材面に垂直にレーザ光が当たるよう設定し、基材面に平行にレーザ光を走査し、レーザ発色部を作製した。照射条件は、スイッチ周波数30000Hz,出力46%,描画速度2000mm/Sで行った。照射により発現する黒色度の鮮明性を目視判定した。評価基準は以下の通りである。
A:鮮明でコントラストの高い黒色度が得られた。良好。
B:必要な黒色度は有するがコントラストは、Aよりやや低い。実用域。
C:黒色度が不足し、コントラストが低い。実用不可。
【0056】
(透明性)
得られた粘着シートを幅100mm・長さ100mmの大きさに準備し、測定試料とした。次いで、23℃−50%RHの雰囲気下で、測定試料から剥離性シートを剥がし、露出した粘着層の透明性を目視で評価した。評価基準は以下の通りである。
○:粘着層に着色がない。良好。
△:粘着層にわずかに黄色の着色があった。実用域。
×:粘着層が黄色に着色した。実用不可。
【0057】
(印字性)
得られた粘着シートを幅100mm・長さ100mmの大きさに準備し、測定試料とした。前記視認性試験と同様に測定試料の基材側からレーザ照射を行い発色させることでバーコードを印字した。前記印字をバーコード検証機(アイニックス社製REA Check ER)を使用して、アルファベット評点を付与して評価した。
○:A〜C。 良好。
△:D。使用可。
×:F。使用不可。
【0058】
【表1】
【0059】
表1の結果より本発明の粘着剤は、印字後のコントラストが良好であり、着色を抑制した粘着層を形成できる粘着剤および粘着シートを提供できる。
【解決手段】粘着性樹脂(A)、およびビスマス系レーザ発色剤(B)を含む、粘着剤。なお、前記ビスマス系レーザ発色剤(B)は、D50平均粒子径が0.05〜5μmであることが好ましい。また、前記粘着性樹脂(A)100質量部に対して、ビスマス系レーザ発色剤(B)を0.1〜5質量部含むことが好ましい。