特許第6292502号(P6292502)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6292502メソポーラス金属ナノ粒子及びその製造方法並びにメソポーラス金属ナノ粒子を含む触媒
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6292502
(24)【登録日】2018年2月23日
(45)【発行日】2018年3月14日
(54)【発明の名称】メソポーラス金属ナノ粒子及びその製造方法並びにメソポーラス金属ナノ粒子を含む触媒
(51)【国際特許分類】
   B22F 1/00 20060101AFI20180305BHJP
   B01J 23/44 20060101ALI20180305BHJP
   B01J 37/16 20060101ALI20180305BHJP
   B22F 9/24 20060101ALI20180305BHJP
   C22C 33/02 20060101ALI20180305BHJP
【FI】
   B22F1/00 K
   B01J23/44 Z
   B01J37/16
   B22F9/24 E
   C22C33/02 101
   B22F9/24 B
   B22F9/24 C
   B22F9/24 Z
   B22F1/00 L
   B22F1/00 R
   B22F1/00 M
【請求項の数】16
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2013-230655(P2013-230655)
(22)【出願日】2013年11月6日
(65)【公開番号】特開2015-89958(P2015-89958A)
(43)【公開日】2015年5月11日
【審査請求日】2016年10月7日
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成24〜25年度、独立行政法人科学技術振興機構、戦略的創造研究推進事業委託事業、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
(73)【特許権者】
【識別番号】301023238
【氏名又は名称】国立研究開発法人物質・材料研究機構
(72)【発明者】
【氏名】山内 悠輔
(72)【発明者】
【氏名】アタエーエスファハニ ハメッド
【審査官】 米田 健志
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−120901(JP,A)
【文献】 特開2011−147914(JP,A)
【文献】 特開2011−026665(JP,A)
【文献】 国際公開第2013/162234(WO,A1)
【文献】 特開2010−065250(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B22F 1/00〜8/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外径が30nm〜200nmであり、少なくとも表面に球面状であって径が2nm〜50nmである複数の凹面が形成された、メソポーラス金属ナノ粒子。
【請求項2】
前記金属はめっき可能な金属または半金属である、請求項1に記載のメソポーラス金属ナノ粒子。
【請求項3】
前記めっき可能な金属はPt、Pd、Au、Ni、Cu、Ag、Snからなる群から選択される一または複数の金属である、請求項2に記載のメソポーラス金属ナノ粒子。
【請求項4】
コアと前記コアの周囲のシェルとを有するとともに、第1の金属及び第2の金属を含み、
前記コア中における前記第1の金属の量に対する前記第2の金属の量の比率は、前記シェル中における前記第1の金属の量に対する前記第2の金属の量の比率よりも小さい、
請求項1から3の何れかに記載のメソポーラス金属ナノ粒子。
【請求項5】
前記第1の金属はPdであり、前記第2の金属はPtである、請求項4に記載のメソポーラス金属ナノ粒子。
【請求項6】
臨界ミセル濃度以上の界面活性剤と、
金属イオンを含む金属塩と、
前記金属イオンを還元する還元剤と
を含む溶液中で前記金属イオンを還元するとともに、
前記溶液中における前記還元の速度を低下させながら前記溶液中でメソポーラス金属ナノ粒子を成長させる
請求項1から5のいずれかに記載のメソポーラス金属ナノ粒子の製造方法。
【請求項7】
前記還元の速度の低下は前記溶液に前記還元の速度を低下させる成分を添加することによる、請求項に記載のメソポーラス金属ナノ粒子の製造方法。
【請求項8】
前記還元の速度を低下させる成分は酸である、請求項に記載のメソポーラス金属ナノ粒子の製造方法。
【請求項9】
前記還元速度の低下は、前記溶液を冷却することによる、請求項に記載のメソポーラス金属ナノ粒子の製造方法。
【請求項10】
前記還元剤はアスコルビン酸、水素化ホウ素ナトリウム、ジメチルアミンボラン、トリメチルアミンボラン及び蟻酸からなる群から選択される少なくとも一である、請求項6から9の何れかに記載のメソポーラス金属ナノ粒子の製造方法。
【請求項11】
前記金属イオンはめっき可能な金属または半金属のイオンである、請求項6から10の何れかに記載のメソポーラス金属ナノ粒子の製造方法。
【請求項12】
前記めっき可能な金属のイオンはPt、Pd,Au、Ni、Cu、Ag、Snからなる群から選択される一または複数の金属のイオンである、請求項11に記載のメソポーラス金属ナノ粒子の製造方法。
【請求項13】
前記金属イオンは前記還元の速度が互いに異なる複数の金属イオンである、請求項6から12の何れかに記載のメソポーラス金属ナノ粒子の製造方法。
【請求項14】
前記還元は超音波を照射しながら行う、請求項6から13の何れかに記載のメソポーラス金属ナノ粒子の製造方法。
【請求項15】
請求項1から5の何れかに記載のメソポーラス金属ナノ粒子を含む触媒。
【請求項16】
電気化学触媒またはメタノール酸化触媒として用いられる、請求項15に記載の触媒。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は大きな表面積を有するとともに、高い触媒活性を有するメソポーラス金属ナノ粒子及びその製造方法に関する。本発明はまた、このメソポーラス金属ナノ粒子を含む触媒にも関する。
【背景技術】
【0002】
近年、新規な物理的また化学的な特性を発揮する、形とサイズが制御された金属コロイドナノ粒子の合成に向けて多大な努力がなされてきた(非特許文献1、2)。従来の合成方法は、予備形成された金属シード、及び/または各種の化学添加剤を使用するものであった。これらほとんど場合において、何段階かのステップや高圧高温の処理条件などの複雑な処理が必要とされてきた(非特許文献3〜6)。特に、二金属ナノ粒子はそれを構成する第二金属の相乗効果により、単一金属の場合に比べてしばしば卓越した触媒活性を示している(非特許文献7〜11)。しかしながら、コア−シェル構造などの異種二金属ナノ粒子は、単一金属ナノ粒子と比べると製造が困難である。その原因は、複数の金属塩の還元速度が互いに異なること、及び金属種と相互作用する構造規定剤(structural directing agent)の特性の違いにより引き起こされる複雑な合成条件によるものである。今日に至るまで、金属ナノ粒子上に制御された条件で浅い凹面を形成する方法がいくつか開発された(非特許文献12〜14)。しかし、均一なサイズのメソ細孔を有し,大きな表面積(対体積比)を持つ金属ナノ粒子を簡単に合成することは、依然として困難な問題である。
【0003】
現在、工業的な、また技術的な多様な用途があるため、メソポーラスシリカナノ粒子の合成の合成に多大な関心が向けられてきている。これらのメソポーラスナノ粒子の性質には粒子サイズが多くの影響を与え得る。粒子サイズをナノメートルレンジ(100nm未満)まで小さくすると、特定の条件下において、興味深い性質を有する持続的なコロイド懸濁液を得ることができる。メソポーラスナノ粒子は、吸着、触媒、薬物送達及びエネルギー貯蔵分野の膨大な用途に大いに有用である(非特許文献15〜19)。しかしながら、これまでに報告されたメソポーラスナノ粒子の組成は金属酸化物(例えばシリカ,チタニア)(非特許文献20〜25)及びカーボン(非特許文献26〜30)に限定されている。このような制限は、メソポーラスナノ粒子の可能な用途範囲を著しく狭めている。多様な組成を有するメソポーラスナノ粒子が実現できれば、広範な機能を実現することができるようになる。とりわけ、全金属からなるメソポーラスナノ粒子は広い範囲の電気化学用途に大いに有用である。
従来,全金属メソポーラス材料を作成するには2つの主な方法、すなわちリオトロピック液晶法(lyotropic liquid crystalline approach)(非特許文献31〜34)及び転写法(又は,ハードテンプレート法)(非特許文献35〜39)がある。しかしながら、これらの方法は単分散メソポーラス金属ナノ粒子の合成のための一般的な方法に拡張することはできない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の課題は、触媒反応とりわけ電気酸化反応(electro-oxidation reaction)のための高触媒活性サイトを提供できる高指数の面を有するメソポーラス金属ナノ粒子の合成を与えることである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一側面によれば、外径が30nm〜200nmであり、少なくとも表面に凹面が形成された、メソポーラス金属ナノ粒子が与えられる。
ここで、前記凹面の径が2nm〜50nmであってよい。
また、前記金属はめっき可能な金属または半金属であってよい。
また、前記めっき可能な金属はPt、Pd、Au、Ni、Cu、Ag、Snからなる群から選択される一または複数の金属であってよい。
また、前記メソポーラス金属ナノ粒子は、コアと前記コアの周囲のシェルとを有し、前記コアは第1の金属を前記第1の金属と異なる第2の金属よりも多く含み、前記シェルは前記第2の金属を前記第1の金属よりも多く含んでよい。
また、前記第1の金属はPdであり、前記第2の金属はPtであってよい。
本発明の他の側面によれば、臨界ミセル濃度以上の界面活性剤と、金属イオンを含む金属塩と、前記金属イオンを還元する還元剤とを含む溶液中で前記金属イオンを還元する、メソポーラス金属ナノ粒子の製造方法が与えられる。
ここで、前記溶液中における前記還元の速度を低下させてよい。
また、前記還元の速度の低下は前記溶液に前記還元の速度を低下させる成分を添加することによってよい。
また、前記還元の速度を低下させる成分は酸であってよい。
あるいは、前記還元速度の低下は、前記溶液を冷却することによってよい。
また、前記還元剤はアスコルビン酸、水素化ホウ素ナトリウム、ジメチルアミンボラン、トリメチルアミンボラン及び蟻酸からなる群から選択される少なくとも一であってよい。
また、前記金属イオンはめっき可能な金属または半金属のイオンであってよい。
また、前記めっき可能な金属のイオンはPt、Pd,Au、Ni、Cu、Ag、Snからなる群から選択される一または複数の金属のイオンであってよい。
また、前記金属イオンは前記還元の速度が互いに異なる複数の金属イオンであってよい。
また、前記界面活性剤はPluronic F127、水素化ホウ素ナトリウム、ジメチルアミンボラン、トリメチルアミンボラン及び蟻酸からなる群から選択された少なくとも一であってよい。
また、前記還元は超音波を照射しながら行ってよい。
本発明の更に他の側面によれば、上記何れかのメソポーラス金属ナノ粒子を含む触媒が与えられる。
ここで、前記触媒は電気化学触媒またはメタノール酸化触媒として用いられてよい。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、非常に簡単なプロセスで、新規な構造のメソポーラス金属ナノ粒子を高い収率で作製することができる。また、本発明で与えられるメソポーラス金属ナノ粒子は、大きな比表面積を有するとともに、比表面積あたりで評価しても非常に高い触媒活性を有する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】メソポーラスPd@Ptナノ粒子の作製に当たっての、反応前及び反応後の溶液の写真。
図2】(a)、(b)及び(d)メソポーラスPd@Ptナノ粒子のSEM像。(c)メソポーラスPd@Ptナノ粒子のTEM像。
図3】(a)メソポーラスPd@Ptナノ粒子の低角XRDプロファイル。(b)メソポーラスPd@Ptナノ粒子のN吸脱着等温線を示す図。(c)メソポーラスPd@Ptナノ粒子の広角XRDプロファイル。(d)メソポーラスPd@Ptナノ粒子の高倍率TEM像。2つの粒子が接続された「ネック」部は矢印で示される凹面形状を有する。
図4】(a)典型的な条件下で作製されたメソポーラスPd@Ptナノ粒子の明視野TEM像。(b)メソポーラスPd@Ptナノ粒子の暗視野TEM像。(c)メソポーラスPd@Ptナノ粒子の縁部分の高倍率TEM像。差し込み図は1個の粒子から得られる選択領域電子線回折パターン。(d−1)メソポーラスPd@Ptナノ粒子のPt元素マッピング。(d−2)メソポーラスPd@Ptナノ粒子のPd元素マッピング。(e)(b)中の横長長方形で示された領域のPt及びPdの元素分布を示す図。
図5】(a)、(b)及び(c)メソポーラスPd@Ptナノ粒子の各種の倍率のTEM像。(d)メソポーラスPd@Ptナノ粒子のSEM像。
図6】(a)30分の反応時間で作製した試料のTEM像。(b)60分の反応時間で作製した試料のTEM像。(c)90分の反応時間で作製した試料のTEM像。(d)120分の反応時間で作製した試料のTEM像。(e)180分の反応時間で作製した試料のTEM像。(f)240分の反応時間で作製した試料のTEM像。
図7】2種類の前駆体溶液から作製した試料のSEM像.(a)、(b)0.03wt%のF127を使用した場合。(c)、(d)F127を使用しなかった場合。
図8】(a)PtとPdとのモル比が4.0の溶液から作製されたメソポーラスPd@Ptナノ粒子の明視野TEM像。(b)(a)のメソポーラスPd@Ptナノ粒子の暗視野TEM像。(c−1)(a)のメソポーラスPd@Ptナノ粒子のPt元素マッピング。(c−2)(a)のメソポーラスPd@Ptナノ粒子のPd元素マッピング。(d)(b)中の横長長方形領域で示された領域のPt及びPdの元素分布を示す図。
図9】(a)390nmの紫外線−可視光吸収から測定されたPtイオンの2通りのpHにおける相対濃度(C/C)を還元時間の関数として表示したグラフ。(b−1)一連の還元時間において撮影したコロイド懸濁液の写真(pH=4.4の場合)。(b−2)一連の還元時間において撮影したコロイド懸濁液の写真(pH=0.76の場合)。
図10】2通りのpHの前駆体溶液から作製された試料のTEM像。(a)pH=4.4の場合。(b)pH=0.76の場合。
図11】(a)メソポーラスPd@Ptナノ粒子、樹枝状Ptナノ粒子及びPtBについてのサイクリックボルタモグラム(CV)。得られた電流はロードされたPtの質量で正規化してある。(b)メソポーラスPd@Ptナノ粒子を従来報告された他の試料と比較するグラフ。((i)メソポーラスPd@Ptナノ粒子、(ii)樹枝状Ptナノ粒子(非特許文献51)、(iii)樹枝状Pt−Ruナノ粒子(非特許文献52)、(iv)Ptシェル付きAu@Ptナノ粒子(非特許文献53)、(v)PtB)
図12】非特許文献51に記載された方法で作成された樹枝状Ptナノ粒子のTEM像。
【発明を実施するための形態】
【0008】
熱力学的に一般に不利な凹面形態を自発的に形成させることが困難なことである。従来の溶液相合成では、金属ナノ粒子は{111}面や{100}面などの低指数表面で観察されるファセット結晶形態を示す傾向がある(非特許文献40)。これに対して,本発明の方法では、界面活性剤が自己形成により球形ミセルとなり、それがメソポーラス金属ナノ粒子のテンプレート(鋳型)として機能することを利用する。本発明の新規な方法では、液相中で行われる非常に簡単な手順により、新規でかつこれまでにない強い触媒活性を有するメソポーラス金属ナノ粒子を得ることができる。また、その収率も極めて高い(以下の実施例ではほぼ100%)。
【0009】
このようにして製造されたメソポーラス金属ナノ粒子は、外径が30nmから200nmの範囲であり、またその表面や内部に2nm〜50nm程度のサイズの凹面や空孔が形成されているという、これまでにない新規な構造を有する。このようなメソポーラス構造により、単に比表面積が大きくなるだけではなく、このような凹面や空所により高指数面や原子ステップが多数形成され、これらが触媒作用を発現する活性サイトとして機能することで、更に高い触媒活性を得ることができる。
【0010】
この形状をより具体的に説明すれば、例えば図2の(a)、(c)及び(d)に示すTEM像からわかるように、本発明のメソポーラス金属ナノ粒子は単純な外形ではなく、例えば球面などの粒子の表面に抉られたような凹面が形成されている。このような凹面は好ましくは複数形成され、互いにほぼ一様なサイズになっている。従って、粒子の表面上に形成されている互いに隣接した凹面には,多くの高指数面や原子ステップの形成がされている。更に、粒子内部にも、特にある程度大きく成長した粒子では、凹面の別形態として、粒子表面には一部しか開口していない空孔が形成される場合がある。このような場合でも、空孔の表面(凹面)などには多くの高指数面や原子ステップが形成される。
【0011】
なお、以下の実施例ではPd及びPtを使用し、コア−シェル構造を有する二金属メソポーラス金属ナノ粒子を取り上げたが、本発明はこのような特定の実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲によってのみ規定されるものであることに注意する必要がある。例えば、金属種はPd及びPt以外でもよく、また使用する金属種の数は単一でも、あるいは3種類以上でもよい。また、使用する界面活性剤及、還元剤、酸等も実施例に記載したものに限定されず、その他、実施例に記載した反応条件も必要に応じて修正することができるなど、本発明の範囲内で多様な変更が可能である。
【実施例】
【0012】
[実施例の概要]
以下で説明する本発明の実施例では、コア部分がPdに富んでおり、シェル部分がPtに富んでいるコア−シェル構造を有するメソポーラス金属ナノ粒子(以下、二金属メソポーラスPd@Ptナノ粒子、あるいは単にメソポーラスPd@Ptナノ粒子、Pd@Ptナノ粒子と称する)の合成を例に挙げて説明する。Pd@Ptナノ粒子中のメソポーラス構造により、大きな表面積及び豊富な高触媒活性サイトが与えられる。これを不規則形態のもの、つまり集塊状であって全体としては特定の形状を取らないもの、と比較すれば、メソ細孔により反応物質及び生成物の移送の促進に貢献することができ、これによってメソポーラスPd@Ptナノ粒子の電気化学活性が大幅に増大する。
【0013】
メソポーラス金属ナノ粒子を作製するため、Pt源及びPd源並びに塩酸を含む前駆体溶液中にPluronic F127を、超音波を使用して溶解した。還元剤としてアスコルビン酸(AA)を添加した後、この混合液を連続して超音波処理した。反応が進行するにつれて、溶液の色は図1に示すように、黒く変色した。得られたナノ粒子は沈殿することなく水中に充分に分散しており、高品質のコロイド溶液であることが示された。最終生成物を集めて、洗浄−遠心分離サイクルによりアセトン及び水で洗浄して、界面活性剤を除去した。
【0014】
[メソポーラスPd@Ptナノ粒子の作成]
1.8mlのKPtCl(20mM)、0.2mlのNaPdCl(20mM)溶液、及び44μlの塩酸(6M)を含む水溶液中にPluronic F127(20mg)を超音波で溶解した。還元剤として100mMアスコルビン酸(AA)を2.0ml添加した後、この混合物を水浴中で4時間連続的に超音波処理した。この超音波処理の間、温度を35℃に保持した。最終生成物を収集してアセトン及び水で洗浄する連続的洗浄/遠心分離サイクルを5回繰り返した後、室温で乾燥した。
【0015】
[測定用機器及び測定方法]
TEMによる観察は、エネルギー分散分光(EDS)分析機能を備えたJEOL Model JEM-2100F TEMシステムによって行った。高角度XRD回折パターンは、Rigaku Model Ring 2500X回折計をステップ走査プログラム(ステップ幅0.05)を使用して動作させることで測定した。窒素吸脱着データは、77KでBelsorp 28装置(日本ベル株式会社)を使用して得た。紫外線−可視光(UV−vis)吸収スペクトルは、紫外可視近赤外分光光度計(日本分光株式会社のV−570)によって測定した。
【0016】
電気化学特性は、CHI842B電気化学ワークステーション(米国のCH Instrument Co.)を使って、従来型のAg/AgCl電極(参照電極)、白金ワイヤー(対電極)及び修飾グラッシーカーボン電極(GCE)(作用電極)を設けた3電極セルにより調べた。GCEを3.0μgという同じ量の金属ロードを有する試料でコーティングした。次に、このようにして準備された電極の表面に0.5w%Nafion溶液(Nafionはイー アイ デュポン ドゥ ヌムール アンド カンパニーの登録商標)を3.0μlだけ滴下し、室温で乾燥した。メタノール電気酸化測定を、0.5M HSOを含む0.5Mメタノール溶液中で50mV・s−1の走引レートで行った。
【0017】
[評価及び検討]
図2はこのようにして得られた、典型的な条件下で合成したナノ粒子の走査電子顕微鏡(SEM)像及び透過電子顕微鏡(TEM)像である。このナノコロイドのサイズ分布は45±5.0nmであり、平均サイズは45nmであった。図2(c)、(d)に示すように、ナノ粒子表面に一様なサイズのメソ細孔が確認された。ここで、その外表面上のメソポアは半球状であり、これにより明確に規定された凹面が示されていることに注意されたい。メソポーラスPd@Ptナノ粒子の低角X線回折(low-angle X-ray diffraction)は一つのブロードなピーク(図3(a))を示したが、これは一様なサイズの穴が互いに近接して充填されていることを意味している。また、図3(b)に示すそのN吸脱着等温線から、40m・g−1もの大きな表面積を持つことがわかる。
【0018】
このナノ粒子を更に検討するため、図4(a)に示す高分解のTEMにより、個々の粒子の特徴を調べた。コントラストの違いから、その穴と壁とを明確に識別できた。壁は細かなナノ粒子(2〜3nm)を組み上げたものでできていて、十分発達した枝分かれ構造が図4(a)、(b)で観察される。従って、これは当該ナノ粒子における2種類の穴、すなわち小さな穴(壁内の高度に枝分かれした構造に由来)及び大きなメソ細孔、の存在を示している。図4(c)の差し込み図に示す個々のナノ粒子の電子線回折(electron diffraction;ED)パターンは、Pt面心立方(fcc)結晶に帰属できる,ほぼ単結晶の状態を確認した。観測された格子縞はナノ粒子全体にわたってコヒーレントに広がっていた。図4(c)に示す、間隔が0.23nmの観測された縞模様は、Ptのfcc結晶の(111)面間隔と一致した。PtとPdの格子が非常によく一致している(99.23%)ため(非特許文献41、42)、PtとPdとの間の明確な粒界は観測されなかった。図3(c)に示されるように、広角XRDプロファイルも単相のfcc結晶構造の(111)、(200)、(220)、(311)及び(222)回折に割り当てられた。図3(d)に示す大倍率TEM像に見られるように、これらのナノ粒子がコヒーレントな結晶格子状に接続されていることで、多数の段差を有する凹面形状が与えられる。
【0019】
図4(d−1)及び(d−2)に示すナノ粒子の元素マッピングデータ並びに図4(e)に示す線走査(line-scanning)データは、Pdが粒子中央に集まっている一方で、Ptはナノ粒子の外縁部に集まっていることをはっきりと示している。ここに示されたPd及びPtの元素分布により、Pd@Ptコア−シェル構造の構成を確認できた。ナノ粒子中のPd成分は15原子%と測定されたが、これは誘導結合プラズマ(inductively coupled plasma;ICP)分析の測定結果と一致した。図5に示す低倍率のTEM像及びSEM像から、ナノコロイドはサイズと形状が顕著に一様であり副生成物が何も形成されなかったことを明確に見て取ることができた。このことは、Pd@Ptナノ粒子を高収率(100%)で合成できたことを示している。
【0020】
Pd@Ptナノ粒子の形成機構を解明するため、図6に示すTEM像を使用して、その反応を、段階を追って精査した。これらの得られた像はナノ粒子の形成機構に対する洞察を与えるものである。ここにおける反応系では、Pd種の還元は短時間のうちに優先的に起こり、図6(a)に示すように、Pd成分を多く含む金属の種粒子を形成する。これと同様な特異な挙動については、以前Pd種とPt種との共析出(co-deposition)について報告されたことがある(非特許文献43、44)。疎水性のPPO基と金属表面との相互作用により(非特許文献45)最初にできた種粒子上に吸着したF127分子は、単分散ナノ粒子の安定化剤として働く。この界面活性剤の濃度は臨界ミセル濃度(CMC)を超えているため、溶液中に溶解している界面活性剤は球形のミセルを形成する。溶液中に溶解している金属錯体は,このミセルのPEOシェル領域に組み込まれる(非特許文献46、47)。Pd種粒子上へPtが更に析出してそれに続いて過剰成長が起こる間において、金属錯体が入ったF127ミセルは種粒子に近づいて構造規定剤として直接働き、メソ細孔を有する、形状が明確に規定された凹面形態を形成する。粒子サイズが大きくなった場合には、粒子内部に球状の空孔を形成する。
【0021】
なお、ここで「凹面」とはナノ粒子の表面に完全に露出した構造だけではなく、あるいはナノ粒子の内部に包含されている球面であるが、ナノ粒子外部に連通する経路を有する、「ほぼ閉じているが狭い経路で外部に接続されている、球面に近い凹面」まで含む概念であることに注意されたい。実際、界面活性剤のミセルが種粒子上につみあがることでメソポーラスナノ粒子が成長する過程において、メソポーラスナノ粒子のサイズが小さい間はメソポア、つまり凹面は粒子表面に大きく開口しているが、サイズが大きくなるにつれて初期段階に形成された凹面は次第に粒子内部に入りこむことで、外部へは狭い経路で接続されるだけの、ほぼ閉じられた球面状の内表面となる傾向がある。上にも述べたように、この凹面は界面活性剤により形成され、集積した球面状のミセルを鋳型とするものであるので、隣接した凹面には高指数面や原子ステップが形成されやすい。また、凹面はナノ粒子の外部へ向かって開口しているだけではなく、隣接した凹面やナノ粒子の反対側の表面に存在する凹面、あるいは大きく成長したナノ粒子ではナノ粒子内部の空孔へも連通している。
【0022】
図6に示したところの時間軸に沿ったTEM観察結果から明確にわかるように、個々の粒子は徐々に成長した。3時間後、Ptシェルの成長は終結し、ナノ粒子のサイズと形態はそれ以上変化しなかった。上述したように、図4(c)に示す1個の粒子から得た電子線回折(ED)は、単一のfcc結晶に完全に割り当てられる。種粒子からの連続的なエピタキシャル成長が起こったことの重要な証拠である。
【0023】
最終生成物に対する界面活性剤の濃度の影響も調べた(図7)。前駆体溶液中の界面活性剤濃度が減少する(0.03w%まで)と、図7(a)、(b)に示すように、多孔質粒子と非多孔質粒子とが混在しているのが観察された。大部分の粒子が集塊状になっていたが、これは界面活性剤(これは安定化剤として働く)の量が粒子の凝集を防止するのに十分でなかったためである。極端に希釈された界面活性剤濃度(CMC未満)、あるいは界面活性剤を全く添加せずに前駆体溶液を作製した時には、図7(c)、(d)に示すように、表面上のメソポーラス構造は完全に消失した。従って、本願発明者の観察したところでは、十分に分散されたメソポーラスナノ粒子を充分に分散させるに当たってF127の濃度は重要なパラメーターである。
この手法では、Pdに富んでいるコアのサイズは前駆体溶液中のPtとPdとのモル比を変化させることによって容易に調節できた。図8(a)、(b)に、PtとPdとのモル比を9.0(典型的な条件)から4.0へ変更したときのPd@Ptナノ粒子のTEM像を示す。図8(c−1)、(c−2)、(d)の元素分析によって示されるように、当該モル比が4.0の場合に得られた、Pdに富んでいるコアのサイズはほぼ47nmであったが、このサイズは典型的な試料の約1.8倍大きかった。
【0024】
この反応系では、還元剤としてアスコルビン酸を使用する。アスコルビン酸は以下の平衡式に従って酸化される:
←→ C+2H+2e
従って、アスコルビン酸の還元力は、前駆体溶液のpH(酸性度)を精密に制御することによって調節できる。合成プロセスを、可視光−紫外線吸収分光により図9(a)に示すように反応中のいくつかの時点でモニターした。前駆体溶液の相対濃度を、390nmを中心としたPt錯体の特性吸収ピークから評価した。pHが高いときには相対濃度は5分間ですぐに減少したが、これは金属イオンが急速に還元されたことを表している。反応時間を更に長くすると、Pt濃度は徐々に減少した。1時間反応させたところ、Ptイオンが完全に消費された。これとは対照的に、pHを低くした場合には還元速度は非常に遅かった。その相対濃度は4時間の間徐々に低下した。つまり、低pHでの反応時間(4時間)は高pHでの反応時間(1時間)よりも非常に長かった。これら2つのpHにおける反応速度を、図9(b−1)、(b−2)に示すように、反応溶液の変化からも視覚的にモニターした。pHが高い場合(図9(b−1))には反応溶液の色は5分間で初期状態の黄色からナノ粒子が形成されたことを示す黒へと、5分以内と言う極短時間のうちに変化した。一方、低pHの場合(図9(b−2))は、溶液の色は60分かけて徐々に黒に変わった。上記結果から、金属イオンの還元速度は前駆体溶液に酸を添加することで劇的に低下することが明らかになった。
【0025】
図10(a)は、高pH状態での前駆体溶液により作製された生成物のSEM像を示す。この生成物は、一様なサイズのメソポアが全くない、高度に分岐した(つまり樹枝状の)構造を有していた。これは、図10(b)に示すところのpHが低い状態の系で作製して得られたナノ粒子とは対照的である。低pHでは金属の成長速度が低いため、界面活性剤ミセルが金属の種粒子上に付着することによって最初の種粒子が成長する際のテンプレートとして効果的に働くための十分な時間が与えられる。この低速成長機構は、高pHにおける高速成長条件下での樹枝状のPtベースナノ構造の形成とは完全に別物である。pHが高い場合には金属イオンの還元速度が相対的に大きいことにより、即座の核形成が短時間で生起し高度に分岐した構造で構成される樹枝状粒子が形成される。この機構は樹枝状Ptナノ構造の合成のために本願発明者が最近開発したものである(非特許文献48〜50)。従って、前駆体溶液のこのようなpH制御は、一様なサイズのメソポアの形成にとって重要である。
なお、上で説明した実施例では前駆体溶液のpHを低下させることで還元速度を低下させることにより、金属の析出速度を低下させたが、これ以外の手段でももちろんこの目的を達成することができる。たとえば、適切な析出速度となるまで溶液の温度を低下させても良い。また、還元速度の低下を実現する複数の手段を併用しても良い。更には、金属イオン、還元剤、その他の反応条件の組み合わせによっては、特に還元速度を低下させる処置をとらなくても本発明のメソポーラス金属ナノ粒子を作成できる場合がありえる。
また、還元剤としては、アスコルビン酸以外に水素化ホウ素ナトリウム、ジメチルアミンボラン、トリメチルアミンボラン、蟻酸等も使用することができる。
【0026】
メタノール酸化のためのメソポーラスPd@Ptナノ粒子の電気触媒活性を予備的に実証するため、図11に示す0.5M HSO+0.5M CHOH電解液中でのサイクリックボルタモグラムを使用してその電気触媒活性を調べた。比較を行うため、商業的に入手可能な白金黒(PtB)及び樹枝状Ptナノ粒子(図12に示す)(非特許文献51)についても調べた。測定された全ての電流値を、ロードされたPtの質量で正規化した。図11(a)に示すように、メソポーラスPt@Pdナノ粒子は最も大きな電流密度を示した(395mA・mg−1)。この値は樹枝状Ptナノ粒子の場合(234mA・mg−1)の1.7倍大きく、またPtBの場合(95mA・mg−1)の4.2倍大きいものであった。図11(b)に示すように、メソポーラスPt@Pdナノ粒子の電流密度は、Pt−Ruナノ粒子(非特許文献52)やAu@Ptナノ粒子(非特許文献53)などのような、これまでに報告された他の樹枝状Ptナノ粒子のものよりも格段に大きかった。
【0027】
/I値(順方向電流密度と逆方向電流密度との比の値として定義)を、メタノール酸化反応(MOR)におけるPt触媒のCO耐性の指標として用いることができる(非特許文献54、55)。メソポーラスPd@Ptナノ粒子は優れた被毒耐性を示し、そのIf/Ib値は樹枝状Ptナノ粒子の場合(0.96)及びPtBの場合(0.85)に比べて高かった。更には、樹枝状Ptナノ粒子及びPtBと比較して、オンセット電位が顕著に負側にシフトすること(約100mV)も観測された。上述したように、Pd原子とPt原子とは高度に混和可能(miscible)であり、かつPdに富んでいるコア中のPd原子は外側にあるPtに富んでいるシェルの格子構造とコヒーレントにマッチしている結果、疑似Pt−Pd合金(pseudo Pt-Pd alloy)が形成される。そのヘテロ界面でPdが親酸素性(oxophilic)元素として酸素を含む種を吸着することによって、近傍のPt元素上に吸着されたCOの除去を増進することができる(非特許文献56)。また,Pt−Pd合金が形成されることは,メタノールの分解におけるC−H開裂を促進するのに有用であるかもしれない(非特許文献57)。以上の2つの作用がメタノール酸化を加速するにあたって重要な役割を演ずる。
【0028】
これに加えて、メタノール酸化反応についての活性に基づいて本発明のメソポーラスナノ粒子のトポロジー的な利点、つまりその形状の位相幾何学的な特徴によってもたらされる利点についても検討した。N吸着等温線から、PtBの表面積は約20m・g−1であると測定された。電気触媒活性を表面積で正規化しても、メソポーラスPd@Ptナノ粒子の活性は依然として白金黒のほぼ2倍であった。この結果から、ここで観測された大きな活性は活性サイトの増加に帰着すると解釈できる。一般的に、欠陥サイト及び原子ステップは,水及びメタノール分子の解離を増進する(非特許文献58〜60)。図3(d)からわかるように、そのメソポーラス構造は大きな表面積を与えるだけではなく、凹面状表面のトポロジーにより豊富な原子ステップも提供される。これがメタノール分解のC−H結合及びO−H結合の解離を増進したものと考えられる。
【0029】
結論として、本発明では一様なサイズのメソ細孔を有しているコロイド状のメソポーラスPd@Ptナノ粒子を簡単に液相で合成する方法が与えられる。本方法で重要な点は、界面活性剤ミセルを組み立てることにある。強酸性の媒体中で金属種を緩慢に還元することにより、F127ミセルはメソポアを形成するためのテンプレートとして直接的に働くことができる。Pd種の方が還元される傾向が大きいことから、Pd種の還元が優先的に起こり、その結果としてコア−シェル構造のPd@Ptナノコロイドが形成される。この新規な方法により、全金属メソポーラスナノ粒子を1ステップで合成することができるようになる。
【産業上の利用可能性】
【0030】
以上詳細に説明したように、本発明における1ステップ合成は、金属ナノ粒子合成のための従来の方法(例えば、種を成長させてサイト固有のエッチングを行う方法)でも、またメソポーラス金属を合成するための方法(例えば、ソフトテンプレート法(soft-templating method)あるいはハードテンプレート法)でも達成できなかったことである。凹面状表面を有するメソポーラス金属ナノ粒子は、大きな表面積だけではなく触媒反応のための豊富な活性サイトをも提供する。低濃度の界面活性剤溶液中での全湿式プロセスに基づいた本方法は、他の金属や合金系にも広く適用することが可能であるとともに、工業的な大量生産のための有望な方法として使用することができる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0031】
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図1
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図3
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