(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
開閉扉付きの出入口を備えた断熱箱製のカート本体と、同カート本体内を温蔵室と冷蔵室とに仕切る断熱性の仕切壁と、を備え、温食と冷食とを分けて盛り付けたトレイが前記仕切壁を貫通して前記温蔵室と前記冷蔵室とに亘る形態で複数段に収納されるカートと、
前記カートが出し入れ可能に格納され、冷却部、加熱部及び循環ファンを装備した第1熱交換室と、冷却部と循環ファンを装備した第2熱交換室とが並んで区画形成されたステーションと、
前記カートが前記ステーション内に格納された場合に、前記第1熱交換室と前記温蔵室の間と、前記第2熱交換室と前記冷蔵室の間とに個別に形成される空気循環路と、
前記冷却部、前記加熱部及び前記循環ファンの作動を制御する作動制御手段と、が設けられ、
前記両熱交換室で共に前記冷却部が作動され、前記温蔵室と前記冷蔵室とに共に冷気が循環供給されることで、トレイ上の温食と冷食とが共に冷蔵保存される冷蔵モードと、
前記第1熱交換室において前記冷却部から前記加熱部の作動に切り替わる一方、前記第2熱交換室では引き続き前記冷却部が作動状態とされ、前記温蔵室内には暖気が循環されることで温食が再加熱される一方、前記冷蔵室側では冷食が引き続き冷蔵保存される再加熱モードと、が実行可能な冷温蔵装置であって、
前記再加熱モードの終了時に当該装置における所定の対象部の温度を下げる降温手段が設けられており、
前記対象部が前記温蔵室であって、
前記降温手段は、前記再加熱モードが終了したことを検知する終了検知部と、タイマと、前記終了検知部により前記再加熱モードの終了が検知された場合に前記第1熱交換室の前記冷却部と前記循環ファンとを前記タイマに設定された所定時間作動させる作動制御部と、を備えて構成されており、
前記降温手段には、前記トレイに載せられた温食の芯温を検知する芯温センサが付設されるとともに、前記芯温センサの検知温度が予め定められた設定温度以下となった場合に、前記冷却部と前記循環ファンとを強制的に非作動とする降温中断部が付設されていることを特徴とする冷温蔵装置。
【背景技術】
【0002】
従来この種の冷温蔵装置の一例として、下記特許文献1に記載のものが知られている。このものは、トレイを収納するキャスタ付きのカートと、冷却部と加熱部とを装備して上記のカートを出し入れ可能に格納する固定のステーションとを備えて構成されている。
より具体的には、カートは、開閉扉を備えた断熱箱製のカート本体内が断熱性の仕切壁を挟んで温蔵室と冷蔵室とに左右に分けられ、温食と冷食とを分けて盛り付けたトレイが仕切壁を貫通して温蔵室と冷蔵室とに亘る形態で複数段に収納されるようになっている。
ステーションの天井部には、冷却部、加熱部及び循環ファンを装備した第1熱交換室と、冷却部と循環ファンを装備した第2熱交換室とが左右に並んで区画形成されている。そして、カートがステーション内に収納されると、第1熱交換室と温蔵室の間、並びに第2熱交換室と冷蔵室の間に、個別に空気の循環路が個別に形成されるようになっている。
【0003】
使用態様としては、例えば朝食の配膳を例に採ると、前日の夕方に調理等の準備をした温食と冷食とをトレイに盛り、各トレイをカートに収納したのち同カートをステーションに入れる。この状態で運転を開始すると、まず両熱交換室とも冷却部が作動され、温蔵室と冷蔵室には共に冷気が循環供給されることで、トレイに載せられた温食と冷食が共に冷蔵保存(チルド保存)される(冷蔵モード)。朝食の配膳時刻から所定時間前の時刻となったら、第1熱交換室において冷却部から加熱部の作動に切り替わる一方、第2熱交換室では引き続き冷却部が作動状態とされ、温蔵室内には暖気が循環されることで温食が再加熱される一方、冷蔵室側では冷食が引き続き冷蔵保存される(再加熱モード)。運転が停止されたのち配膳時刻となったら、カートがステーションから引き出され、トレイが取り出されて配膳に供されるようになっている。
【0004】
ここで、再加熱モードにおける温蔵室側の運転状況の具体例を示すと、
図18に示すように、加熱運転と蒸らし運転とが連続して行われるようになっている。加熱運転は、チルド状態の温蔵室を設定温度まで上昇させて、設定された時間だけ同設定温度に保つ運転であり、蒸らし運転は、加熱部は非作動として循環ファンのみを回して暖気を循環させることで、温蔵室内の温度むらの解消や、トレイや食器の温度低下を図っている。
温食の内部温度(芯温)は、加熱運転と蒸らし運転の両方に亘って上昇し、したがって、加熱運転と蒸らし運転からなる再加熱モードの時間は、蒸らし運転の終了時に温食の芯温の上昇が終了するように設定されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記において、再加熱モード(蒸らし運転)が終了したら、配膳が行われるのであるが、温蔵室の設定温度等の条件によっては、再加熱モードの終了直後では、トレイやその上に載せられた食器が熱くなっている場合がある。例えば、加熱運転の設定温度が110℃で、加熱65分、蒸らし15分の設定時間で運転を実行した場合、
図18に示すように、運転終了直後のトレイの温度は95℃まで上昇し、取り出す際の適温(65℃程度)と比べて相当高温に留まる。そのため、トレイが適温に下がるまで、時間(45分程度)を延ばしてから配膳することになるが、その間に、温食(冷食)の芯温が変化したり、あるいは当該冷温蔵装置の使用形態により、例えば昼食の配膳に適用する場合のように朝食の配膳との間の時間が詰まっているときには、十分に待ち時間を採ることができない等の不具合があり、その対応策が切望されていた。
本発明の冷温蔵装置は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、その目的は、再加熱モードの終了時に当該装置における所定の対象部を速やかに降温するところにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、開閉扉付きの出入口を備えた断熱箱製のカート本体と、同カート本体内を温蔵室と冷蔵室とに仕切る断熱性の仕切壁と、を備え、温食と冷食とを分けて盛り付けたトレイが前記仕切壁を貫通して前記温蔵室と前記冷蔵室とに亘る形態で複数段に収納されるカートと、前記カートが出し入れ可能に格納され、冷却部、加熱部及び循環ファンを装備した第1熱交換室と、冷却部と循環ファンを装備した第2熱交換室とが並んで区画形成されたステーションと、前記カートが前記ステーション内に格納された場合に、前記第1熱交換室と前記温蔵室の間と、前記第2熱交換室と前記冷蔵室の間とに個別に形成される空気循環路と、前記冷却部、前記加熱部及び前記循環ファンの作動を制御する作動制御手段と、が設けられ、前記両熱交換室で共に前記冷却部が作動され、前記温蔵室と前記冷蔵室とに共に冷気が循環供給されることで、トレイ上の温食と冷食とが共に冷蔵保存される冷蔵モードと、前記第1熱交換室において前記冷却部から前記加熱部の作動に切り替わる一方、前記第2熱交換室では引き続き前記冷却部が作動状態とされ、前記温蔵室内には暖気が循環されることで温食が再加熱される一方、前記冷蔵室側では冷食が引き続き冷蔵保存される再加熱モードと、が実行可能な冷温蔵装置であって、前記再加熱モードの終了時に当該装置における所定の対象部の温度を下げる降温手段が設けられているところに特徴を有する。
上記構成によれば、再加熱モードの終了後に、当該装置における所定の対象部を速やかに降温することができる。
【0008】
また、以下のような構成としてもよい。
(1)前記対象部が前記温蔵室であって、前記降温手段は、前記再加熱モードが終了したことを検知する終了検知部と、タイマと、前記終了検知部により再加熱モードの終了が検知された場合に前記第1熱交換室の前記冷却部と前記循環ファンとを前記タイマに設定された所定時間作動させる作動制御部と、を備えて構成されている。
再加熱モードの終了後に冷凍回路を用いた降温モードが実行されて、温蔵室が短時間で降温される。そのため、トレイにおける温蔵室側に収納された部分を短時間で適温まで下げることができ、トレイを取り出して配膳する作業をスムーズに行うことができるとともに、降温モードは短時間に留められることから、温食、冷食共に芯温が変化することが抑制される。
【0009】
(2)前記対象部が前記温蔵室であって、前記降温手段は、前記再加熱モードが終了したことを検知する終了検知部と、前記温蔵室に収納された前記トレイの温度を検知する温度センサと、前記終了検知部により再加熱モードの終了が検知された場合に前記第1熱交換室の前記冷却部と前記循環ファンとを作動させ、前記温度センサの検知温度が予め定められた設定温度に降下したときに前記冷却部と前記循環ファンとを非作動とする作動制御部と、を備えて構成されている。
再加熱モードの終了後に冷凍回路を用いた降温モードが実行されて、温蔵室が短時間で降温される。そのため、トレイにおける温蔵室側に収納された部分を短時間で適温まで下げることができ、トレイを取り出して配膳する作業をスムーズに行うことができるとともに、降温モードは短時間に留められることから、温食、冷食共に芯温が変化することが抑制される。特に、トレイの温度を確実に適温まで下げることができる。
【0010】
(3)前記降温手段には、前記トレイに載せられた温食の芯温を検知する芯温センサが付設されるとともに、前記降温制御部には、前記芯温センサの検知温度が予め定められた設定温度以下となった場合に、前記冷却部と前記循環ファンとを強制的に非作動とする降温中断部が付設されている。
降温モードの実行時に温食の芯温が下がり過ぎることが規制される。
【0011】
(4)前記対象部が前記温蔵室であって、前記降温手段は、前記温蔵室の前記開閉扉を強制開放可能な扉開放手段と、前記再加熱モードが終了したことを検知する終了検知部と、前記終了検知部により再加熱モードの終了が検知された場合に前記扉開放手段を駆動する降温制御部と、を備えて構成されている。
再加熱モードが終了すると温蔵室の開閉扉が開放され、温蔵室内の暖気が庫外に逃がされることで、温蔵室が降温される。
【0012】
(5)前記降温制御部には、前記扉開放手段が駆動された場合に、前記第1熱交換室に設けられた前記循環ファンを駆動するファン駆動部が付設されている。
開閉扉が開放されることと併せて循環ファンが駆動され、温蔵室の暖気の排気がより促されて、温蔵室の降温がより有効に行われる。
【0013】
(6)前記対象部が前記温蔵室であって、前記降温手段は、前記第1熱交換室に開閉可能に設けられた排気窓を強制開放可能な窓開放手段と、前記再加熱モードが終了したことを検知する終了検知部と、前記終了検知部により再加熱モードの終了が検知された場合に前記窓開放手段を駆動する降温制御部と、を備えて構成されている。
再加熱モードが終了すると第1熱交換室の排気窓が開放されることによって、温蔵室の暖気が第1熱交換室を通って排気窓から庫外に逃げ、温蔵室が降温される。
【0014】
(7)前記降温制御部には、前記窓開放手段が駆動された場合に、前記第1熱交換室に設けられた前記循環ファンを駆動するファン駆動部が付設されている。
排気窓が開放されることと併せて循環ファンが駆動され、温蔵室の暖気の排気がより促されて、温蔵室の降温がより有効に行われる。
【0015】
(8)前記対象部が前記第1熱交換室であって、前記降温手段は、前記再加熱モードが終了したことを検知する終了検知部と、前記再加熱モードの終了後に前記カートが出庫されたことを検知する出庫検知部と、前記第1熱交換室の降温時の適温を設定する温度設定部と、前記第1熱交換室の温度を検知する温度センサと、前記カートが出庫されたのちの時間を計時するタイマと、前記カートの出庫後の所定時間内において、前記温度センサの検知温度が予め定められた設定温度よりも高い場合には前記第1熱交換室に設けられた前記循環ファンを駆動し、前記検知温度が前記設定温度よりも低い場合には前記循環ファンの駆動を停止するファン駆動指令手段と、を備えて構成されている。
再加熱モードの終了後に配膳のためにカートが出庫されると、第1熱交換室の降温動作が実施される。そのため、比較的短時間を経て、次の給食の準備のためにカートが入れられて冷蔵モードが開始される際に、温蔵室でも早期に所定の冷蔵温度に冷やすことが可能となる。
【発明の効果】
【0016】
本発明の冷温蔵装置によれば、再加熱モードの終了時に当該装置における所定の対象部を速やかに降温することができる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
<実施形態1>
本発明の実施形態1を
図1ないし
図6によって説明する。本実施形態の冷温蔵装置の全体構造を、
図1及び
図2によって説明する。冷温蔵装置は、トレイXを収納するカート10と、同カート10を出し入れ可能に格納するステーション30とを備えている。
カート10はさらに、断熱箱からなるカート本体11と、トレイXを収納するフレームカート20とから構成されている。カート本体11は前後両面が開放され、その開口部11Aにはそれぞれ観音開き式の断熱扉12が装着されている。カート本体11の底面にはキャスタ13が設けられている。
【0019】
フレームカート20は、キャスタ22を設けた底板21の左右の側縁から金属製のフレーム23が立ち上げられた構造であって、上記したカート本体11内に前面側から出し入れ可能となっている。フレームカート20の左右方向の略中央部分には、前後方向全域に亘って断熱製の仕切壁24が設けられている。仕切壁24は複数の単位仕切壁24Aを積み上げた形状であって、トレイXは、前後両面から、上下の単位仕切壁24Aの間を貫通しつつ複数段に亘って収納されるようになっている。
フレームカート20がカート本体11内に収納した状態では、
図2に示すように、カート本体11の内部が仕切壁24によって左右に仕切られ、仕切壁24の左側に温蔵室25Hが、右側に冷蔵室25Cが形成されるようになっている。
【0020】
ステーション30は、正面が開口された略箱形をなし、その開口を通してカート10が出し入れ可能となっている。ステーション30の天井部には、第1熱交換室31と第2熱交換室32とが左右に並んで区画形成され、温蔵室25Hの上方に配される左側の第1熱交換室31には、冷却部である冷却器33、加熱部であるヒータ34が設けられている一方、冷蔵室25Cの上方に配される右側の第2熱交換室32には、冷却部である冷却器33のみが設けられている。各熱交換室31,32には、それぞれ循環ファン35H,35Cが設けられている。
両冷却器33は、ステーション30の機械室36に装備された圧縮機38等を含む冷凍装置37と、開閉弁を介して並列接続されている。
【0021】
カート10がステーション30内に格納された場合には、第1熱交換室31と温蔵室25Hの間において、温蔵室25Hの天井から庫内空気を引いて第1熱交換室31を流通させることにより熱交換された空気を、温蔵室25Hの側面から打ち込むようにした第1空気循環路41が形成されるとともに、第2熱交換室32と冷蔵室25Cの間において、冷蔵室25Cの天井から庫内空気を引いて第2熱交換室32を流通させることにより熱交換された空気を、冷蔵室25Cの側面から打ち込むようにした第2空気循環路42が形成されている。
【0022】
本実施形態の冷温蔵装置の使用形態の一例を、
図3を参照して説明する。まず、調理等の準備をした温食と冷食とをトレイXに分けて盛り付けて、各トレイXをフレームカート20に収納し、同フレームカート20をカート本体11に収納してカート10を構成する(盛付け工程)。次にカート10がステーション30内に入れられ、運転スイッチがオンされると、初めに冷蔵モードが実行される。冷蔵モードでは、両熱交換室31,32において冷却器33が作動状態とされ、温蔵室25Hと冷蔵室25Cとには共に冷気が循環供給されることで、トレイXに載せられた温食と冷食が共に冷蔵保存(チルド保存)される。この冷蔵モードではより具体的には、温蔵室25Hと冷蔵室25Cとでそれぞれ庫内温度が温度センサ43H,43Cで検知されて、同検知温度が設定温度と比較され、その比較に基づいて、開閉弁の開閉切替や、圧縮機38のオンオフ切替を伴って各室25H,25Cに対応した各熱交換室31,32の冷却器33の作動、非作動が制御され、温蔵室25Hと冷蔵室25Cの庫内温度がほぼ設定温度に維持されるようになっている。
【0023】
給食の配膳時刻から逆算した所定時刻(24時間タイマで設定)となったら、再加熱モードに切り替わる。再加熱モードにおいては、第1熱交換室31では、ヒータ34の作動に切り替わる一方、第2熱交換室32では、引き続き冷却器33が作動された状態が維持される。これにより、温蔵室25H内には暖気が循環されて温食が再加熱される一方、冷蔵室25Cには引き続き冷気が循環供給されてチルド保存される。
なお、温蔵室25Hで再加熱モードが実行される場合は、
図4に示すように、加熱運転と蒸らし運転とが連続して行われ、加熱運転では、温蔵室25Hを設定温度(例えば110℃)まで上昇させて所定時間(1時間5分)だけ同設定温度に保ち、蒸らし運転では、ヒータ34が切られて循環ファン35Hのみが駆動されることよる暖気の循環のみが、所定時間(11分)だけ行われるようになっている。
【0024】
所定時刻となったら再加熱モードが終了し、そののちカート10がステーション30から引き出され、トレイXが取り出されて配膳に供されるようになっている。ここで、再加熱の設定温度が上記のようであると、再加熱モードの終了直後におけるトレイX(温蔵室25H側)の温度は95℃程度あり、取り出すには適さない。
そこで本実施形態では、再加熱モードが終了した時点で、温蔵室25Hの温度を下げる降温モードが実行され、そののち配膳が行われるようになっている。
【0025】
本実施形態では、
図5に示すように、降温モードを実行するための制御系統が構築されている。本実施形態の降温動作は、当該装置に装備された冷凍回路を利用して実施される。
制御系統には、マイクロコンピュータを備えて所定のプログラムが実行可能な降温制御部50が設けられている。
降温制御部50の入力側には、再加熱モードが終了した場合にこれを検知する再加熱モード終了検知部51と、降温モードの実行時間を設定する時間設定部52とが接続されている。
出力側には、第1熱交換室31の冷却器33と循環ファン35Hの作動と非作動とを同期して切り替える冷却器、循環ファン作動切替部53が接続されている。なお、冷却器33を作動するに当たっては、冷凍装置37(圧縮機38)の駆動と、同冷却器33側の開閉弁の開放動作を伴う。
【0026】
降温制御部50には、時間設定部52で設定された実行時間を記憶する記憶部54と、再加熱モード終了の検知信号を受けたときに作動切替部53に作動指令を出す作動指令部55と、同検知信号を受けたときから計時するタイマ56と、タイマ56で計時された時間と記憶部54に記憶された設定時間Hとを比較して、計時時間が設定時間Hに達したところで作動切替部53に停止指令を出す停止指令部57とが設けられている。
【0027】
続いて、本実施形態の作用の一例を、
図4のタイミングチャート及び
図6のフローチャートに基づいて説明する。本実施形態では、降温モードの設定時間Hが「17分」に設定されている。
再加熱モードにおいて、温蔵室25H側では加熱運転と蒸らし運転とが行われ、蒸らし運転が終了し、すなわち再加熱モードが終了したことが検知されると(ステップS10が「Yes」)、ステップS11において作動指令が出されて、第1熱交換室31側の冷却器33と循環ファン35Hとが作動され、すなわち降温モードが開始され、それとともにステップS12においてタイマ56の計時が開始される。降温モードの実行に伴い、温蔵室25H内に冷気が循環供給されることで温蔵室25H内が降温され、ひいてはトレイX、食器等が冷却される。
【0028】
降温モードの計時時間が設定時間H(17分)に達したら(ステップS13が「Yes」)、タイマ56がリセットされた上で、ステップS14において停止指令が出されて、冷却器33と循環ファン35Hの作動が停止され、すなわち降温モードが終了する。なお、降温モードが終了したことを、ブザー、ランプ等の表示部58(
図5参照)で表示するようにしてもよい。
【0029】
上記のように、降温モードが終了したら、カート10がステーション30から引き出され、トレイXが取り出されて配膳に供される。このとき、トレイXの温度は65℃程度にまで下がっているから、配膳作業をスムーズに行うことができ、また、食器も適温に下げられているから、温食を食器を持って食する場合にも不具合はない。
降温モードは、比較的短時間(17分)に留められるから、温食、冷食共に芯温が変化することが抑制される。
【0030】
本実施形態によれば、再加熱モードの終了後に、冷凍回路を用いた降温モードが実行されて、温蔵室25Hが短時間で降温される。そのため、トレイXにおける温蔵室25H側に収納された部分、並びに食器を、短時間で適温まで下げることができ、トレイXを取り出して配膳する作業や、食器を持って温食を食する動作をスムーズに行うことができる。また、降温モードは短時間に留められることから、温食、冷食共に芯温が変化することが抑制され、適温にて食することができる。
【0031】
<実施形態2>
次に、本発明の実施形態2を
図7及び
図8によって説明する。この実施形態2では、実施形態1に示した降温制御に対して、降温モードの停止指令を行う手段に変更が加えられている。
以下では、実施形態1との相違点を主に説明し、実施形態1と同じ機能を有する部分については、同一符号を付すことで説明を省略しまたは簡略化する。
【0032】
実施形態2の制御系統では、降温制御部50Aの入力側に、トレイXの温蔵室25Hに収納された側の温度を検知する温度センサ60と、トレイXの取り出し時における適温を設定する(設定温度T:65℃)ための温度設定部61が接続されている。
降温制御部50Aでは、タイマ(56)が割愛されているとともに、停止指令部57Aは、停止モードが開始されたのち、温度センサ60で検知されたトレイXの温度と、同トレイXの設定温度Tを比較して、検知温度が設定温度Tまで降下したところで、作動切替部53に停止指令を出すように機能する。
【0033】
本実施形態の作用を、
図8のフローチャートに基づいて説明する。
再加熱モードにおいて、温蔵室25H側では加熱運転と蒸らし運転とが行われ、蒸らし運転が終了し、すなわち再加熱モードが終了したことが検知されると(ステップS20が「Yes」)、ステップS21において作動指令が出されて、第1熱交換室31側の冷却器33と循環ファン35Hとが作動され、すなわち降温モードが開始される。それに伴い、温蔵室25H内に冷気が循環供給されることで温蔵室25H内が降温され、ひいてはトレイX、食器等が冷却される。
【0034】
降温モードが開始された後、温度センサ60によりトレイXの温度が検知され、同検知温度が設定温度T(65℃)まで下降したところで(ステップS22が「YES」)、ステップS23において停止指令が出され、冷却器33と循環ファン35Hの作動が停止され、すなわち降温モードが終了する。同じく、降温モードが終了したことを、ブザー、ランプ等の表示部58(
図7参照)で表示してもよい。
【0035】
本実施形態2によれば、上記実施形態1と同様に、再加熱モードの終了後に、冷凍回路を用いた降温モードが実行されて、温蔵室25Hが短時間で降温され、そのため、トレイXにおける温蔵室25H側に収納された部分、並びに食器を、短時間で適温まで下げることができて、トレイXを取り出して配膳する作業や、食器を持って温食を食する動作をスムーズに行うことができ、また、降温モードは短時間に留められることから、温食、冷食共に芯温が変化することが抑制され、適温にて食することができる。特に、トレイXの温度を確実に適温まで下げることができる。
【0036】
<実施形態3>
本発明の実施形態3を
図9及び
図10によって説明する。この実施形態3は、上記の実施形態2の降温制御に対し、降温モードの実行時に温食の芯温が下がり過ぎるのを規制する機能を付加したものである。
実施形態3の制御系統では、降温制御部50Bの入力側に、温蔵室25Hに収納された温食の芯温を検知する芯温センサ65が接続されている。また、温度設定部61Aでは、温食の芯温の下限適温(設定温度Ts:温食の種類によって個別に設定)を併せて設定し得るようになっている。
降温制御部50Bには、降温モードが開始されたのち、芯温センサ65で検知された温食の芯温と、芯温の設定温度Tsとを比較して、検知温度が設定温度Tsまで降下したら、作動切替部53に停止指令(中断指令)を出す中断指令部66が付加されている。
【0037】
プログラムとしては、
図10に示すように、ステップS21と、トレイ温度判別用のステップS22との間に、芯温センサ65で検知された温食の「芯温」が設定温度Ts以下であるか否かを判別するステップS30が介設され、同ステップS30が「NO」の場合はステップS22に進み、「YES」の場合はステップS23に進むようになっている。なお、ステップS22が「NO」の場合は、芯温判別用のステップS30に戻るようになっている。
【0038】
したがって実施形態3では、降温モードが開始されたのち、トレイXの温度が設定温度T(65℃)まで下降する前に、「芯温」が設定温度Tsまで下がったら(ステップS30が「YES」)、ステップS23において停止指令が出され、降温モードが中断(終了)する。
降温モードの実行時に温食の芯温が下がり過ぎるのが規制される。
【0039】
<実施形態4>
本発明の実施形態4を
図11及び
図12によって説明する。上記実施形態1ないし実施形態3では、温蔵室25Hを降温するのに冷凍回路を適用した場合を例示したが、この実施形態4では、機械的手段を用いて温蔵室25Hを降温するようになっている。
当冷温蔵装置において、カート本体11の開口部11Aに装備された観音開き式の断熱扉12は、
図11に示すように、断熱扉12の上縁に設けられた被ラッチ部15を、開口部11Aの上縁に設けられたラッチ部16に係止することで、閉扉状態に保持されるようになっている。
【0040】
降温手段としては、同図に示すように、上記した開口部11Aの上縁に、温蔵室25H側の断熱扉12のラッチを解除可能なシリンダ17(扉開放手段に相当)が装備されている。シリンダ17が駆動されると、ピストンロッド17Aが進出して被ラッチ部15とラッチ部16の係合部分に衝当し、ラッチを外すように機能する。
一方、
図12に示すように降温制御部70が設けられ、同降温制御部70は、再加熱モード終了検知部51により再加熱モードが終了したことが検知されると、シリンダ駆動部71に対して駆動信号を送出するようになっている。
【0041】
すなわち本実施形態4では、再加熱モードが終了したタイミングで、シリンダ17が駆動されることによって、温蔵室25H側の断熱扉12のラッチが解除され、裏面の周縁に設けられたパッキンの反力等によって同断熱扉12が若干開く。これにより温蔵室25Hの暖気が外部に逃げ、温蔵室25Hの降温が促される。
なお、断熱扉12のラッチ解除と併せ、第1熱交換室31の循環ファン35Hの駆動を制御する循環ファン駆動部72に駆動信号を送って、同循環ファン35Hを駆動すると、温蔵室25Hの暖気の排気がより促され、温蔵室25Hの降温がより有効に行われる。
【0042】
<実施形態5>
本発明の実施形態5を
図13及び
図14によって説明する。この実施形態5も、機械的手段を用いて温蔵室25Hを降温するようになっている。
降温手段としては、
図13に示すように、ステーション30に設けられた第1熱交換室31の奥面に、窓孔81に対して窓板82を揺動開閉可能に装着した排気窓80が設けられるとともに、同排気窓80を開閉可能な窓開閉部84が設けられている。
【0043】
一方、
図14に示すように降温制御部70Aが設けられ、同降温制御部70Aは、再加熱モード終了検知部51により再加熱モードが終了したことが検知されると、窓開閉駆動部75に対して開放信号を所定時間送出するようになっている。
【0044】
すなわち本実施形態5では、再加熱モードが終了したタイミングで、第1熱交換室31の排気窓80が所定時間開放されることによって、温蔵室25Hの暖気が第1熱交換室31を通って排気窓80から外部に逃げ、温蔵室25Hの降温が促される。
なお、上記実施形態4と同様に、排気窓80の開放と同期して第1熱交換室31の循環ファン35H(
図2参照)を駆動すると、温蔵室25Hの暖気の排気がより促され、温蔵室25Hの降温がより有効に行われる。
【0045】
<実施形態6>
本発明の実施形態6を
図15及び
図16によって説明する。
当該冷温蔵装置の一般的な使用形態は、既述のように、盛付け工程後に、冷蔵モードと再加熱モードとを行い、再加熱モードの終了後に配膳を行うようになっている。再加熱モードの終了時には、第1熱交換室31は未だ高温状態にあるという事情がある。
ここで、夕食配膳後に直ぐに朝食用の準備をして帰宅するような場合には、第1熱交換室31の温度が高いままに、冷蔵モードが実行されることになるから、温蔵室25H内が所定の冷蔵温度に冷えるまでに時間が掛かる。
【0046】
この実施形態6では、再加熱モード終了後に、第1熱交換室31を速やかに降温することを意図している。
第1熱交換室31の降温制御を行うために、
図15に示すような制御系統が構築されている。
制御系統には、マイクロコンピュータを備えて所定のプログラムが実行可能な降温制御部90が設けられている。
降温制御部90の入力側には、再加熱モードが終了した場合にこれを検知する再加熱モード終了検知部51と、再加熱モードの終了後にカート10が出庫されたことを検知する出庫検知部91と、第1熱交換室31の温度を検知する温度センサ43H(
図2参照)と、第1熱交換室31の降温時の適温を設定する温度設定部92と、が接続されている。
出力側には、第1熱交換室31に装備された循環ファン35Hが接続されている。
【0047】
降温制御部90には、カート10が出庫されたのちの時間を計時するタイマ93と、温度センサ43Hで検知された第1熱交換室31の温度を読み取る温度読取部94と、第1熱交換室31の検知温度と設定温度とを比較する比較部95と、比較部95における比較結果に基づいて循環ファン35Hの駆動と停止とを指令するファン駆動指令部96と、が設けられている。
ファン駆動指令部96は詳細には、検知温度が上限設定温度Tuよりも高い場合には循環ファン35Hに対して駆動指令を出し、検知温度が下限設定温度Tdよりも低い場合には循環ファン35Hに停止指令を出すように機能する。
【0048】
実施形態6の作用の一例を、
図16のフローチャートに基づいて説明する。
再加熱モードが終了し(ステップS40が「YES」)、かつカート10がステーション30から出される、すなわち出庫されたことが検知されたら(ステップS41が「YES」)、ステップS42において、タイマ93による計時が開始された上で、ステップS43で、第1熱交換室31の検知温度が設定温度と比較される。
【0049】
検知温度が上限設定温度Tu以上であったら(ステップS44が「YES」)、ステップS45において、循環ファン35Hの駆動指令が出され、第1熱交換室31の循環ファン35Hが駆動される。カート10の出庫後の時間が所定時間(例えば5分)に達していない限りは(ステップS46が「NO」)、循環ファン35Hの駆動が継続され、これにより外気が第1熱交換室31に循環されることで、同第1熱交換室31内が次第に降温される。
【0050】
経時後、第1熱交換室31の検知温度が下限設定温度Td以下に下がったら(ステップS47が「YES」)、ステップS48において、循環ファン35Hの停止指令が出され、循環ファン35Hが停止される。これにより第1熱交換室31の降温動作は停止する。そののち、カート10が出庫されてから所定時間(5分)が経過したら(ステップS46が「YES」)、循環ファン35Hが停止中であることを確認した上で(ステップS49が「NO」)、プログラムが終了する。
【0051】
なお、降温動作が停止したのち第1熱交換室31の温度が上昇し、検知温度が上限設定温度Tu以上に再度上昇したら(ステップS44が「YES」)、ステップS45において、再び循環ファン35Hの駆動指令が出され、循環ファン35Hが駆動されて降温動作が再開される。そののち、カート10の出庫後の時間が所定時間(5分)に達したら、ステップS50で循環ファン35Hを停止した上で、プログラムを終了する。
【0052】
本実施形態によれば、再加熱モードの終了後、配膳のためにカート10がステーション30から出されると、第1熱交換室31の降温動作が実施される。そのため、比較的短時間後に次の給食の準備のためにカート10が入れられて冷蔵モードが開始される際に、温蔵室25Hでも早期に所定の冷蔵温度に冷やすことが可能となる。
【0053】
<関連技術>
図17に示すように、再加熱モードに続いて保温モードを実行するようにしてもよい。
保温モードでは、温蔵室25Hが70℃程度、冷蔵室25Cが5℃程度に維持される。再加熱モードでは、温食の芯温が75℃程度まで上昇するのに対して、保温モードでは温食の芯温が、食するのに適した65℃程度に維持される。
再加熱モードが終了してから、配膳までの間に時間が空くような場合に適用して有効である。
なお、盛付け後に、保温モードのみを実行するような使い方をすることも可能である。
【0054】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)実施形態2において、トレイの温度を検知する温度センサは、トレイに載せられた食器の温度を検知するようにしてもよい。
(2)実施形態3で採用した、温食の芯温が所定値まで下がったところで降温モードを停止(中断)する制御は、実施形態1の降温制御に適用してもよい。
(3)上記各実施形態の降温制御に例示された各種設定温度や各種設定時間は、あくまでも一例であって、それぞれの目的を逸脱しない範囲で任意に選択することができる。
(4)本発明は、フレームカートを備えることなくカート本体内が直接に温蔵室と冷蔵室とに仕切られた形式のカートを使用した冷温蔵装置にも、同様に適用することが可能である。