特許第6292600号(P6292600)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6292600
(24)【登録日】2018年2月23日
(45)【発行日】2018年3月14日
(54)【発明の名称】呼吸補助装置
(51)【国際特許分類】
   A61M 16/06 20060101AFI20180305BHJP
   A61M 16/20 20060101ALI20180305BHJP
   A61M 16/00 20060101ALI20180305BHJP
   A61M 16/14 20060101ALI20180305BHJP
【FI】
   A61M16/06 A
   A61M16/20 D
   A61M16/00 375
   A61M16/14 Z
【請求項の数】6
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2012-224503(P2012-224503)
(22)【出願日】2012年10月9日
(65)【公開番号】特開2014-76125(P2014-76125A)
(43)【公開日】2014年5月1日
【審査請求日】2015年10月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】899000079
【氏名又は名称】学校法人慶應義塾
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【弁理士】
【氏名又は名称】林 一好
(72)【発明者】
【氏名】坪田 一男
(72)【発明者】
【氏名】神成 淳司
(72)【発明者】
【氏名】三宅 和彦
【審査官】 鈴木 崇文
(56)【参考文献】
【文献】 特表2008−522763(JP,A)
【文献】 特表2009−539479(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2005/0133039(US,A1)
【文献】 特開平10−118183(JP,A)
【文献】 特開平11−000397(JP,A)
【文献】 特表2012−513807(JP,A)
【文献】 特表2012−512685(JP,A)
【文献】 特表2009−539484(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0050144(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 16/00−16/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電源を用いることなく呼吸を補助する呼吸補助装置であって、
使用者の鼻を覆う形状の部材であって、呼気及び吸気が流出入する呼吸気流路を有する本体部と、
前記本体部の使用者に接する側に配置され、使用者の鼻の周囲に密着するパッド部と、
前記本体部及び前記パッド部を使用者に装着するための装着部と、を備え、
前記呼吸気流路は、吸気の流入抵抗よりも高い呼気の流出抵抗を付与する流出抵抗付与部を備え、
前記呼吸気流路は、呼気時に前記呼吸気流路の一部を、呼気が流出する流路として、前記呼吸気流路の他の部分から区分する区分部を有し、
前記流出抵抗付与部は、前記区分部によって区分された呼気が流出する流路の開口部を遮る遮蔽部材を有し、
前記遮蔽部材は、前記区分部を構成する部材とは別部材として構成され、前記区分部によって区分された呼気が流出する流路の前記開口部において、呼気が流出する方向と交差する方向に、当該開口部の外部側から内部側に進退することにより、前記開口部の遮蔽度合いを可変な部材であり、
前記流出抵抗付与部は、前記遮蔽部材の進退位置に応じて、連続的に前記呼気の流出抵抗を可変であることを特徴とする呼吸補助装置。
【請求項2】
前記本体部の側面には、前記遮蔽部材を挿通する挿通穴と、当該挿通穴に隣接する位置から前記遮蔽部材の進退方向に沿って突出するガイド部材とが形成されていることを特徴とする請求項1に記載の呼吸補助装置。
【請求項3】
前記呼吸気流路の前記区分部は、呼気用の格子部と吸気用の格子部とが流路断面を区分して配置された格子部材を有し、前記吸気用の格子部の前記パッド部側に、格子に沿った切れ目を有する柔軟性材料からなる弁部材が取り付けられていることを特徴とする請求項1または2に記載の呼吸補助装置。
【請求項4】
前記呼気用の格子部の前記パッド部と反対側に、格子に沿った切れ目を有する柔軟性材料からなる弁部材が取り付けられていることを特徴とする請求項3に記載の呼吸補助装置。
【請求項5】
前記本体部は、液体を貯留するタンクを備え、前記液体を気化させて吸気に混入させる液体気化部を備えることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の呼吸補助装置。
【請求項6】
前記パッド部は、呼吸に応じて伸縮可能であることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の呼吸補助装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、使用者の呼吸を補助する呼吸補助装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、睡眠時無呼吸症候群等を防止するために、呼吸を補助する装置が知られている。
例えば、CPAP(Continuous Positive Airway Pressure)と呼ばれる治療法では、睡眠時無呼吸症候群の患者が睡眠時に鼻に装着したマスクから、空気を送り込み、気道を押し広げることとしている。これにより、いびきの発生を抑制し、患者が無呼吸状態となることを防止している。
なお、睡眠時無呼吸症候群等を防止するための呼吸補助装置については、例えば、特許文献1に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平07−275362号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の呼吸補助装置は、電源を用いて呼吸を補助するための空気を送り込むものであったため、装置が大型であり、携帯にも不便なものであった。
また、電源が確保できない場合や、装置の故障時には使用できなくなる可能性があった。さらに、装置が高価であると共に、飛行機等の交通機関内では使用し難く、チューブを用いるために使用が困難であった。
このように、従来の呼吸補助装置は、使用者にとって十分に利便性が高いものではなかった。
【0005】
本発明の課題は、呼吸補助装置をより利便性の高いものとすることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明の一態様の呼吸補助装置は、
使用者の鼻を覆う形状の部材であって、呼気及び吸気が流出入する呼吸気流路を有する本体部と、前記本体部の使用者に接する側に配置され、使用者の鼻の周囲に密着するパッド部と、前記本体部及び前記パッド部を使用者に装着するための装着部と、を備え、前記呼吸気流路は、吸気の流入抵抗よりも高い呼気の流出抵抗を付与する流出抵抗付与部を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、呼吸補助装置をより利便性の高いものとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の第1実施形態に係る呼吸補助装置1の全体を示す斜視図である。
図2】呼吸補助装置1の正面図である。
図3】呼吸補助装置1の左部分側面図である。
図4】呼吸補助装置1の背面斜視図である。
図5】呼吸補助装置1のA−A断面図である。
図6】本体部100内に設置された格子部材110を示す図である。
図7】下格子部110Bに呼気弁111が設置された状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
[第1実施形態]
[構成]
図1〜5は、本発明の第1実施形態に係る呼吸補助装置1の外観を示す図であり、図1は呼吸補助装置1の全体を示す斜視図、図2は呼吸補助装置1の正面図である。また、図3は呼吸補助装置1の左部分側面図、図4は呼吸補助装置1の背面斜視図、図5は、呼吸補助装置1の図2におけるA−A断面図である。なお、本実施形態においては、呼吸補助装置1を使用者が装着した状態を基準に呼吸補助装置1の左側及び右側を定義し、呼吸補助装置1を装着した使用者を正面から見た場合に視認される面を正面側、使用者側に位置する面を背面側とする。
【0010】
図1〜5において、呼吸補助装置1は、本体部100と、左右のゲート部材200,300と、パッド部400と、装着用バンド500とを備えている。
本体部100は、正面視において外形が略三角形をなす三角柱状の部材であり、三角形の各辺を構成する側壁100Sによって囲まれた中空構造を有している。この本体部100は、使用者の鼻全体を覆う形状及びサイズからなる部材によって構成されている。
また、本体部100の側壁100Sにおける背面側と正面側との中間位置(以下、「奥行き中央位置M」と称する。)には、本体部100の中空部分を正面側と背面側とに仕切る格子が形成された格子部材110が設置されている。
【0011】
図6は、本体部100内に設置された格子部材110を示す図である。
図6において、格子部材110の背面視における上側半分の領域には、枠に囲まれた十字型の第1の格子(以下、「上格子部110A」と称する。)が形成され、格子部材110の正面視における下側半分の領域には、枠に囲まれた十字型の第2の格子(以下、「下格子部110B」と称する。)が形成されている。即ち、上格子部110Aは略三角形状、下格子部110Bは略台形状であり、下格子部110Bは、上格子部110Aよりも大きい面積を有している。
【0012】
なお、図6において、ゲート部材200,300は、後述する開口量が最大となる位置に調整されている。
下格子部110Bの背面側には、背面視において下格子部110Bに重なる略台形状の部材であって、柔軟性を有する材料(例えば、シリコンあるいはゴム製等)からなる呼気弁111が設置されている。
【0013】
図7は、下格子部110Bに呼気弁111が設置された状態を示す図である。
図7において、呼気弁111は、下格子部110Bの格子に沿って、十字型の切れ目が入れられている。そして、呼気弁111の周縁部は、下格子部110Bの周縁に形成された枠部分に接着され、呼気弁111の周縁部以外は、下格子部110Bの格子部分に接触している。
【0014】
下格子部110Bと呼気弁111とがこのような設置関係とされていることにより、使用者が吸気を行った場合、呼気弁111が切れ目から背面側にめくれ上がり、吸気のための大面積の流路(開口部)が形成される。一方、使用者が呼気を行った場合、呼気弁111は格子部に接触することにより、正面側にめくれ上がることがなく、下格子部110Bを塞いだ状態となる。これにより、下格子部110Bは、吸気時には吸気の流路を構成し、呼気時には呼気の流路とならないため、呼気時に使用者の気道の陽圧を発生させることに寄与するものとなる。
【0015】
なお、図7においては、ゲート部材200,300は、後述する開口量が最小となる位置に調整されている。
側壁100Sの左側面及び右側面には、奥行き中央位置Mより正面側に、左右のゲート部材200,300が挿通されるスライド穴100P,100Qが形成されている。また、側壁100Sにおけるスライド穴100P,100Qに隣接する正面側の位置には、左右のゲート部材200,300それぞれのスライドをガイドする左右のスライドガイド板101P,101Qが備えられている。左右のスライドガイド板101P,101Q及び左右のゲート部材200,300は、側壁100Sの左側面あるいは右側面と対向するフランジ部をそれぞれ有している。
【0016】
そして、右側のスライドガイド板101Qと右側のゲート部材200及び左側のスライドガイド板101Pと左側のゲート部材300とは、それぞれのフランジ部がガイドねじによって貫通されている。ガイドねじの先端はゲート部材200,300に回転可能に保持されており、左右のスライドガイド板101P,101Qにはねじ溝が形成されている。そのため、ゲート部材200,300は、ガイドねじのねじ込み動作に伴って、スライドガイド板101P,101Qに対してスライドする。
また、スライド穴100P,100Qは、奥行き中央位置Mより正面側の位置、即ち、スライドしたゲート部材200,300が上格子部110Aの正面側を塞ぐ状態となる位置に形成されている。
【0017】
したがって、ゲート部材200,300が側壁100Sから突出する方向にスライドすると、ゲート部材200,300の間隔が広がって、上格子部110Aを塞ぐ面積が小さくなり(即ち、上格子部110Aの開口面積が大きくなり)、ゲート部材200,300が側壁100Sに進入する方向にスライドすると、ゲート部材200,300の間隔が狭まって、上格子部110Aを塞ぐ面積が大きくなる(即ち、上格子部110Aの開口面積が小さくなる)ように変化する。
【0018】
上格子部110Aとゲート部材200,300とがこのような設置関係とされていることにより、上格子部110Aの開口面積を任意に設定できるため、使用者が呼気を行った場合に使用者の気道に発生する陽圧を調整することが可能である。
なお、格子部材110における上格子部110Aと下格子部110Bとの比率は、下格子部110Bの面積が使用者の吸気を妨げない範囲であれば、上半分及び下半分とは異なる比率としても良い。
【0019】
さらに、本体部100の側壁100S内部には、液体を貯留するための管状のタンク100Tが形成され、このタンク100Tは、正面視において略三角形の側壁100Sを周回して形成されている。タンク100Tには、1箇所あるいは複数箇所にタンク100T内の液体を流出させる微小な穴(以下、「液体流出穴100H」と称する。)が形成されている。液体流出穴100Hは、例えば、直径0.5mm〜1.0mm程度の穴として形成される。また、本体部100の頂部には、タンク100Tに液体を注入するための注入口が設置されている。タンク100Tに液体を注入する際には、注入栓を取り外して注入口から液体を注入し、注入栓を取り付けることで、注入口は封止される。
【0020】
本体部100の正面側には、パッキン101、ガーゼ固定板102,103及びパッキン104を本体部100に固定する本体カバー105が取り付けられている。
パッキン101は、側壁100Sの正面側に接触して配置される枠状の封止部材であり、液体流出穴100Hから流出した液体を正面側に設置されるガーゼGへと導く流路を備えている。この流路は、パッキン101を貫通して、あるいは、パッキン101の内周側に形成されている。
【0021】
ガーゼ固定板102は、正面視において、パッキン101と重なる枠部102aと、枠部102aに囲まれた内部を左右方向に渡る格子部102bとを有している。枠部102aは、正面視において、パッキン101と重ねて配置され、パッキン101を側壁100S側に押し付けている。また、ガーゼ固定板102は、パッキン101の液体流出穴100Hから流出した液体を正面側に設置されるガーゼGへと導く流路を備えている。この流路は、枠部102aを貫通して、あるいは、枠部102aの内周側に形成されている。
【0022】
ガーゼ固定板103は、ガーゼ固定板102と同様に、枠部103aと格子部103bとを有している。ガーゼ固定板103は、ガーゼ固定板102との間にガーゼGが配置された状態で、パッキン104によって側壁100S側に押し付けられることにより、ガーゼ固定板102と一体となってガーゼGを保持する。このように保持されたガーゼGには、ガーゼ固定板102の流路によって導かれた液体が浸透する。そのため、ガーゼGへと導かれる液体、即ち、側壁100Sのタンク100Tに貯留される液体として、水、吸入用の薬剤あるいはアロマオイル等を用いることで、調湿、呼吸器系疾患の治療あるいはリラクゼーション効果といった種々の機能を付加することができる。
【0023】
パッキン104は、パッキン101と同様の枠状の封止部材であり、正面視において、ガーゼ固定板103の枠部と重ねて配置される。パッキン104は、パッキン101と共に、ガーゼ固定板103が保持しているガーゼGから、ガーゼ固定板103の枠部外側等を介して、液体が呼吸補助装置1の外部に染み出すことを防止している。
本体カバー105は、正面視において側壁100Sが形成する略三角形の形状に対応する形状のカバー部材である。本体カバー105は、正面側からパッキン104を側壁100Sの方向に押し当てた状態で側壁100Sにねじ止めされる。これにより、本体カバー105と側壁100Sとの間に、側壁100Sの側から順に、パッキン101、ガーゼ固定板102、ガーゼG、ガーゼ固定板103、パッキン104の順で各部材が圧着して保持される。なお、各図において、説明の便宜のため、ガーゼGは適宜省略して示している。
【0024】
また、本体部100の背面側には、パッド部400が取り付けられている。
パッド部400は、シリコンあるいはゴム等の柔軟性を有する材料によって構成され、呼吸補助装置1の使用時に、使用者の鼻の周囲を取り囲んで顔に密着した状態となる。
また、パッド部400は、蛇腹構造等によって伸縮可能に構成されており、使用者が呼気を行った際に伸張し、吸気を行った際に収縮する。これにより、呼吸補助装置1を装着したことによる気道の圧力変化を緩やかなものとできる。
【0025】
パッド部400は、背面視において、外形が略三角形状をなし、外周に略三角形の枠状のバンドホルダー401が取り付けられている。
バンドホルダー401には、装着用バンド500を掛け通すための挿通穴が形成されている。
装着用バンド500は、ゴムやウレタン樹脂等によって構成され、使用者の頭の形状に適合する柔軟性を有している。また、装着用バンド500は、バンドホルダー401の挿通穴に掛け通され、使用者の頭に装着されることにより、呼吸補助装置1を使用者に密着した状態で固定する。
【0026】
[作用]
次に、作用を説明する。
本実施形態に係る呼吸補助装置1は、使用者が、パッド部400を鼻の周囲に押し当てて、装着用バンド500を頭に装着することにより、本体部100が使用者の鼻全体を覆う状態となる。そして、使用者が、自らの睡眠時における呼吸の強さに合わせて、ゲート部材200,300の位置を調整する。
【0027】
このとき、パッド部400が使用者の鼻の周囲に密着するため、使用者の呼気及び吸気は、本体部100を通して行われる状態となる。
そして、使用者が吸気を行う場合、下格子部110Bの呼気弁111が背面側にめくれ上がり、使用者は、呼吸補助装置1を装着していない場合に比べ、比較的小さい流入抵抗で吸気を行うことができる。
【0028】
また、使用者が呼気を行う場合、上格子部110Aにおいて、ゲート部材200,300によって塞がれていない開口部を通して、呼気が流出する。ゲート部材200,300の間隔は、使用者の睡眠時における呼吸の強さに合わせて調整されており、呼気時に使用者の気道に発生する陽圧によって、いびきの発生が抑制される。
そのため、使用者自らの呼吸によって、気道に適切な陽圧を発生させることができるため、電源を用いることなく、睡眠時に無呼吸状態となることを防止できる。
したがって、呼吸補助装置をより利便性の高いものとすることができる。
本実施形態に係る呼吸補助装置1によれば、以下のような効果を有する。
(1)電源を用いる装置に比べ、安価に製作することができる。
(2)電源のない状況においても利用できるため、利用範囲が広がる。
(3)空気を送り込むチューブが必要ない。
(4)持ち運びに便利である。
(5)電源やモータを使用しないため、小型・軽量である。
【0029】
(変形例1)
第1実施形態において、下格子部110Bに呼気弁111を備え、上格子部110Aには呼気弁を備えないものとして説明したが、上格子部110Aに呼気弁を備えることも可能である。
この場合、上格子部110Aには、正面視において上格子部110Aに重なる形状のゴムあるいはシリコン等の柔軟性を有する部材であって、格子に沿って切れ目が入れられた吸気弁が設置される。吸気弁の周縁部は、上格子部110Aの周縁に形成された枠部に接着され、吸気弁の周縁部以外は、上格子部110Aの格子部分に接触している。
【0030】
上格子部110Aと吸気弁とがこのような設置関係とされていることにより、使用者が呼気を行った場合、吸気弁が切れ目から正面側にめくれ上がり、呼気のための流路(開口部)が形成される。一方、使用者が吸気を行った場合、吸気弁は格子部に接触することにより、背面側にめくれ上がることがなく、上格子部110Aを塞いだ状態となる。これにより、格子部材110の位置において、呼気の流路と吸気の流路とを明確に区分することができる。
【0031】
(変形例2)
第1実施形態及び変形例1における呼気弁111及び吸気弁に、弁のめくれを制御する機構を備えることが可能である。
例えば、切れ目によって分割された呼気弁111あるいは吸気弁の中央部分それぞれを、背面側から個別に押さえる押圧部材を備えることができる。
この場合、ゲート部材200,300と同様に、外部から進退させる板状部材等によって押圧部材を構成することができる。
【0032】
(変形例3)
第1実施形態及び変形例1,2における呼気弁111及び吸気弁において、切れ目によって分割された中央部分それぞれの固さを異なるものとできる。
そして、変形例3と同様に、分割された中央部分それぞれを押さえる押圧部材を備え、めくれを押さえる部分と押さえない部分とを選択したり、めくれを押さえる度合いを変化させたりすることで、呼気の流出抵抗あるいは吸気の流入抵抗を調整することができる。
【0033】
(変形例4)
第1実施形態及び変形例1〜3においては、呼気の流出抵抗あるいは吸気の流入抵抗を変化させる構造として、呼気弁111あるいは吸気弁を使用したり、ゲート部材200,300によって、上格子部110Aの開口量を変化させる場合を例に挙げて説明した。
これに対し、呼気の流出抵抗あるいは吸気の流入抵抗を変化させる構造として、絞り羽根を備えた絞り機構によって開口面積を変化させる構造とすることができる。
この場合、より細かい開口量の調整が可能となるため、使用者の気道に発生させる陽圧をより柔軟に調整することが可能となる。
なお、上記実施形態及び変形例において、装着用バンド500が装着部を構成し、呼気弁111及びゲート部材200,300が流出抵抗付与部を構成する。また、格子部材110及び呼気弁111が区分部を構成し、ゲート部材200,300が遮蔽部材を構成する。また、呼気弁111あるいは吸気弁が弁部材を構成し、液体流出穴100H及びガーゼGが液体気化部を構成する。
【符号の説明】
【0034】
1 呼吸補助装置、100 本体部、100S 側壁、100P,100Q スライド穴、100T タンク、100H 液体流出穴、101,104 パッキン、101P,101Q スライドガイド板、102,103 ガーゼ固定板、102a,103a 枠部、102b,103b 格子部、110 格子部材、110A 上格子部、110B 下格子部、111 呼気弁、200,300 ゲート部材、400 パッド部、401 バンドホルダー、500 装着用バンド
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7