(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
プラットホームの側壁に取設される基体部と、この基体部から水平方向に延設され熱可塑性エラストマーで形成される複数の櫛歯部とを有するプラットホーム隙間転落防止用緩衝材であって、前記複数の櫛歯部は、列車車両側の前面端部又は前記列車車両の進入側の側面端部において、前記列車車両と撓みながら接触することによって衝撃エネルギーを熱エネルギーに変換すると共に、熱軟化又は熱溶融による塑性変形のエネルギーに変換する熱軟化溶融面を備えることを特徴とするプラットホーム隙間転落防止用緩衝材。
前記複数の櫛歯部は、鉛直方向において長尺の複数の第1の櫛歯と短尺の複数の第2の櫛歯を備え、前記第1の櫛歯と前記第2の櫛歯は交互に配列されて前記第1の櫛歯の上端部が前記第2の櫛歯の上端部よりも突出するように配置され、前記天板部は、底面に前記第1の櫛歯の上端部が符合する凹部と前記第2の櫛歯の上端部が符合する凸部を備えることを特徴とする請求項2に記載のプラットホーム隙間転落防止用緩衝材。
前記複数の櫛歯部は、平面視して前記天板部から少なくとも一部の端部が露出するように形成されることを特徴とする請求項2又は請求項3に記載のプラットホーム隙間転落防止用緩衝材。
前記基体部及び前記天板部は、熱可塑性エラストマーで形成されることを特徴とする請求項2乃至請求項5のいずれか1項に記載のプラットホーム隙間転落防止用緩衝材。
前記基体部に埋設され、炭素繊維又はガラス繊維を含むポリオレフィン樹脂又はポリスチレン樹脂又はポリ塩化ビニル樹脂で形成される芯部を備えることを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載のプラットホーム隙間転落防止用緩衝材。
【背景技術】
【0002】
一般に、鉄道駅におけるプラットホームでは、プラットホームの側縁部と列車との接触を回避するために停止車両との間にある程度隙間が空いている。しかしながら、強風や地震等が発生した場合には、プラットホームに向けて走行する列車が脱線等によってプラットホーム側縁部に衝突することが予想される。このような自然災害時等における列車の衝突を想定して、乗客や車両の損傷を最小限に抑えるために列車衝突の衝撃を吸収する緩衝材をプラットホームの側縁部に設置することが考えられている。
【0003】
例えば、特許文献1には、「ホームの衝撃吸収構造」という名称で、列車が線路から逸脱してホームに衝突した場合にホームの一部が破損して列車の衝撃エネルギーを吸収して列車の損傷防止及び乗客の安全確保が可能なホームの衝撃吸収構造に関する発明が開示されている。
この特許文献1に開示された発明は、列車の走行路の側方に設置されるホーム本体と、このホーム本体の側縁部に設置され列車の進行方向に延設される緩衝部で構成され、この緩衝部は列車の進行方向に所定の間隙を有して配列される複数の薄板であるものである。
そして、列車が脱線等によってホームに衝突した場合には、複数の薄板のよって構成される緩衝部に順次に接触して薄板が破損して衝突の衝撃エネルギーを吸収していく。このとき、複数の薄板は、列車の進行方向に傾斜して配列することによってエネルギー吸収を効果的に行えるようになっている。また、複数の薄板は、列車のボディよりも強度が小さいアルミニウム等の金属で形成されているので、列車と接触しても列車のボディの損傷を低減させることができる。そして、緩衝部は複数の薄板の構成以外にも、可撓性部材や流動体が充填されたチューブで形成されることが示されており、ゴムや合成樹脂等で形成される可撓性部材及び流動体が充填されたチューブは、列車の衝突時には脱落したり、飛散したりして衝突による衝撃エネルギーを吸収することを可能にしている。したがって、ホームの衝撃吸収構造では、緩衝部が破損、脱落及び飛散することによって列車の衝突による衝撃エネルギーを吸収し、列車車両への損傷を抑えたり、乗客の安全を確保したりすることができる。
【0004】
また、特許文献2には、「ホームの衝撃吸収構造」という名称で、列車が脱線してホームに衝突した場合にホームの一部が破損することによって列車の衝撃エネルギーを吸収し、列車や乗客の損傷を防止するホームの衝撃吸収構造に関する発明が開示されている。
この特許文献2に開示された発明は、列車の走行路の側方に設置されるホーム本体と、このホーム本体の側縁部に設置され列車の進行方向に延設される流動体が充填されるチューブで構成される緩衝部とを有するものである。
そして、列車が脱線してホームに衝突するような場合には、チューブの弾性変形によって列車の速度を低減させたり、チューブの破損、脱落及び飛散によって衝突エネルギーを吸収したりして、列車の損傷及び乗客の安全を確保することを可能としている。なお、チューブに充填される流動体としては、液体、気体及びゲル状物質等が示されている。
【0005】
そして、特許文献3には、「プラットホーム」という名称で、列車がプラットホームと衝突した際にその衝撃エネルギーを吸収することが可能なプラットホームに関する発明が開示されている。
この特許文献3に開示された発明は、列車の走行路の側方に設置されるホーム本体と、このホーム本体の列車に接する側の側縁部に設置される緩衝部とを有し、この緩衝部は側縁部から列車の進行方向に直行するように延設される複数の床材支持部材と、この床材支持部材に敷設される床材とを備えているものである。
そして、緩衝部の床材は、乗客等の上載荷重を支持可能な強度を有した軽量の材料で、発砲スチロール、発砲ウレタン、ハニカム状に成形されたプラスチックや段ボール等で形成され、また、床材支持部材は、鋼製やアルミニウム製のロッドを平面トラス状に組んだ構造であり、いずれも列車のボディの強度よりも強度が小さい材料によって形成されている。地震等によって列車が脱線して列車が緩衝部に衝突すると、緩衝部では、床支持部材及び床材が変形したり破損したりして衝撃エネルギーを効果的に吸収し、列車やホーム本体の損傷を防止したり列車内の乗客の安全を確保したりすることができる。特に、緩衝部は、列車のボディよりも強度が小さい材料で形成されているので、列車と接触しても列車ボディが損傷するのを防止することが可能となる。また床材は軽量な材料で形成されているので、破損して飛散したとしても危険性が低く、被害を最小限に抑制したプラットホームを提供することを可能にしている。
【0006】
さらに、特許文献4には、「緩衝材」という名称で、架橋ゴムと同等の性能を有して短時間で簡単に製造可能で船舶の接岸や車両の車止め等に用いる緩衝材に関する発明が開示されている。
この特許文献4に開示された発明は、熱可塑性エラストマー組成物で形成され、スチレン系熱可塑性エラストマーの水素添加物とポリオレフィン系樹脂の混合物であるマトリクス樹脂と、架橋性のゴムとを重量比で70:30〜15:85の範囲で配合した混合物を動的架橋したものである。
この緩衝材は、スチレン系熱可塑性エラストマーの水素添加物とポリオレフィン系樹脂の混合物であるマトリクス樹脂と、架橋性のゴムとを所定割合で配合して混合し、二軸押出成形機等を用いて溶融混練しながら架橋性ゴムを架橋させ、金型内に充填した後に冷却及び脱型することによって製造されるので、長時間の架橋が必要となる従来のゴム製の緩衝材に比べて短時間で製造することができる。また、このような配合で得られる熱可塑性エラストマーは、加硫ゴム物理試験方法によって測定されるスプリング式硬さ、伸び、引張強さ及び圧縮永久ひずみがゴムと同等の値を示し、高い緩衝性能を具備することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1に記載された従来の技術では、緩衝部の複数の薄板はアルミニウム等の金属製で形成されており、列車のボディの強度よりも強度が小さい材料で形成されているにしても、破損した場合にはその端面は鋭利となり、車両を損傷させたり、また、乗客にも危険が及ぶ可能性があるという課題があった。そして、緩衝部が可撓性部材で形成される場合においては、緩衝部は列車の進行方向に延設されるゴム製や合成樹脂製の略直方体形状が示されており、ゴム製の場合では衝突の反発力が発生するという課題があり、また、合成樹脂製の場合では、衝突の衝撃エネルギーを効果的に吸収できないという課題もあった。
【0009】
また、特許文献2に記載された従来の技術では、緩衝部は列車の衝突の衝撃エネルギーを緩衝部のチューブの変形、破損、脱落及び飛散によって吸収する構成としているが、列車の衝突時に瞬間的にチューブが破損して気体や液体等の充填物が飛散すると、緩衝効果が消滅してしまい、列車の損傷や乗客の安全性が確保できないという課題があった。
【0010】
そして、特許文献3に記載された従来の技術では、特許文献1と同様に、列車と接触する床支持部材は鋼やアルミ等の金属製であり、列車ボディよりも強度が小さいものを選定したとしても列車ボディに損傷が生じる可能性があるという課題があった。
【0011】
さらに、特許文献4に記載された従来の技術では、熱可塑性エラストマーを用いて緩衝材を形成しているが、従来のゴム製の緩衝材と同等の緩衝作用を得ることを目的としており、熱可塑性エラストマーの熱可塑性という性質を利用して衝撃エネルギーを接触時に発生する熱エネルギーに変換したり、さらに、熱軟化や熱溶融の塑性変形のエネルギーに変換したりして、熱可塑性エラストマーの熱可塑性樹脂部分を軟化させたり溶融させたりして衝撃エネルギーを吸収するという思想は開示されていない。
【0012】
本発明はかかる従来の事情に対処してなされたものであり、列車が衝突した際の衝撃エネルギーを熱エネルギーや、更には熱軟化又は熱溶融の塑性変形のエネルギーに変換して熱可塑性エラストマーの樹脂部分を熱軟化溶融させ、衝撃エネルギーを吸収するとともに軟化溶融によって列車の損傷や乗客への傷害を防止することが可能なプラットホーム隙間転落防止用緩衝材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するため、請求項1記載の発明であるプラットホーム隙間転落防止用緩衝材は、プラットホームの側壁に取設される基体部と、この基体部から水平方向に延設され熱可塑性エラストマーで形成される複数の櫛歯部とを有するプラットホーム隙間転落防止用緩衝材であって、複数の櫛歯部は、
列車車両側の前面端部又は前記列車車両の進入側の側面端部において、前記列車車両と撓みながら接触することによって衝撃エネルギーを熱エネルギーに変換すると共に、熱軟化又は熱溶融による塑性変形のエネルギーに変換する熱軟化溶融面を備えるものである。
上記構成のプラットホーム隙間転落防止用緩衝材では、基体部は、プラットホームに取設されてプラットホームと列車との隙間に複数の櫛歯部を配置して支持するという作用を有する。そして、複数の櫛歯部は、熱可塑性エラストマーで形成されるので、弾性を示し、列車車両と接触すると撓むという作用を有する。また、複数の櫛歯部の熱軟化溶融面は、列車車両との接触した際の衝撃エネルギーを熱エネルギーに変換するとともに、熱軟化又は熱溶融による塑性変形のエネルギーに変換するように作用する。
【0014】
また、請求項2に記載の発明であるプラットホーム隙間転落防止用緩衝材は、請求項1記載のプラットホーム隙間転落防止用緩衝材において、基体部から延設され、複数の櫛歯部に間隙を形成して覆設される天板部を備えるものである。
上記構成のプラットホーム隙間転落防止用緩衝材では、請求項1記載の発明の作用に加えて、天板部は、複数の櫛歯部に間隙を形成して複数の櫛歯部の上部を覆うように作用する。
【0015】
そして、請求項3に記載の発明であるプラットホーム隙間転落防止用緩衝材は、請求項2に記載のプラットホーム隙間転落防止用緩衝材において、
先願(特願2012−2406号、プラットホーム端縁構造)において示された構造であるが、複数の櫛歯部は、鉛直方向において長尺の複数の第1の櫛歯と短尺の複数の第2の櫛歯を備え、第1の櫛歯と第2の櫛歯は交互に配列されて第1の櫛歯の上端部が第2の櫛歯の上端部よりも突出するように配置され、天板部は、底面に第1の櫛歯の上端部が符合する凹部と第2の櫛歯の上端部が符合する凸部を備えるものである。
上記構成のプラットホーム隙間転落防止用緩衝材では、請求項2に記載の発明の作用に加えて、複数の櫛歯部の第1の櫛歯と第2の櫛歯の上端部は、天板部の底面の凹部と凸部にそれぞれ符合して、鉛直方向の力が付加される際には櫛歯部が変形するのを防止するように作用する。そして、水平方向の力が付加する際には櫛歯部は水平方向に撓んで第1の櫛歯は天板部の凹部から凸部に移動して天板部を上方に押し上げるように作用する。
【0016】
そして、請求項4に記載の発明であるプラットホーム隙間転落防止用緩衝材は、請求項2又は請求項3に記載のプラットホーム隙間転落防止用緩衝材において、
先願(特願2012−2406号、プラットホーム端縁構造)において示された構造であるが、複数の櫛歯部は、平面視して天板部から少なくとも一部の端部が露出するように形成されるものである。
上記構成のプラットホーム隙間転落防止用緩衝材では、請求項2又は請求項3に記載の発明の作用に加えて、複数の櫛歯部は、平面視して天板部から少なくとも一部の端部が露出するように形成されるので、列車車両は最初に露出する櫛歯部に接触するように作用する。なお、平面視とは、上方から見た状態でということを意味する。
【0017】
そして、請求項5に記載の発明であるプラットホーム隙間転落防止用緩衝材は、請求項2乃至請求項4のいずれか1項に記載のプラットホーム隙間転落防止用緩衝材において、
先願(特願2012−2406号、プラットホーム端縁構造)において示された構造であるが、天板部は、上面に滑り止め部材を備えるものである。
上記構成のプラットホーム隙間転落防止用緩衝材では、請求項2乃至請求項4のいずれか1項に記載の発明の作用に加えて、天板部の上面の滑り止め部材は、天板部を歩行する歩行者が滑り難くするように作用する。
【0018】
そして、請求項6に記載の発明であるプラットホーム隙間転落防止用緩衝材は、請求項2乃至請求項5のいずれか1項に記載のプラットホーム隙間転落防止用緩衝材において、基体部及び天板部は、熱可塑性エラストマーで形成されるものである。
上記構成のプラットホーム隙間転落防止用緩衝材では、請求項2乃至請求項5のいずれか1項に記載の発明の作用に加えて、熱可塑性エラストマーで形成される基体部及び天板部は、熱可塑性エラストマーが備える性質を具備するように作用する。
【0019】
最後に、請求項7に記載の発明であるプラットホーム隙間転落防止用緩衝材は、請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載のプラットホーム隙間転落防止用緩衝材において、基体部に埋設され、炭素繊維又はガラス繊維を含むポリオレフィン樹脂又はポリスチレン樹脂又はポリ塩化ビニル樹脂で形成される芯部を備えるものである。
上記構成のプラットホーム隙間転落防止用緩衝材では、請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の発明の作用に加えて、炭素繊維又はガラス繊維を含むポリオレフィン樹脂又はポリスチレン樹脂又はポリ塩化ビニル樹脂で形成される芯部は、基体部に埋設されて基体部の強度を保持するように作用する。
【発明の効果】
【0020】
本発明の請求項1記載のプラットホーム隙間転落防止用緩衝材では、プラットホームと列車との隙間に配置されて、乗降客が安全に乗降したり、落下物を防止したりすることができるとともに、列車が接触した場合には、その衝撃が弱い場合には、熱可塑性エラストマーで形成される複数の櫛歯部が撓んで衝撃を緩和することができる。また、列車の衝突の衝撃が強い場合には、複数の櫛歯部において、列車車両と接触する熱軟化溶融面が衝撃エネルギーを熱エネルギーに変換し、さらに、熱軟化又は熱溶融による塑性変形のエネルギーに変換して、衝撃エネルギーを吸収するので、列車車両の損傷防止及び乗客の安全確保を行うことができる。特に、熱軟化溶融面は熱軟化又は熱溶融によって軟化するので、列車車両を傷付けたり、凹ませたりするような損傷や乗客のけが等を防止することができる。
【0021】
また、本発明の請求項2に記載のプラットホーム隙間転落防止用緩衝材では、請求項1に記載の発明の効果に加えて、天板部を備えて複数の櫛歯部の間隙を覆うので、乗降客の靴の踵が挟まるような不具合が解消されて乗降客はさらに安全に列車への乗降を行うことができ、且つ、線路上への落下物を効果的に防止することができる。
【0022】
そして、本発明の請求項3に記載のプラットホーム隙間転落防止用緩衝材では、請求項2に記載の発明の効果に加えて、
先願(特願2012−2406号、プラットホーム端縁構造)において示された構造であるが、櫛歯部が長さの異なる第1の櫛歯と第2の櫛歯を備え、且つ、天板部の底面に凹部及び凸部を備えているので、乗降客が踏んだ際に発生する鉛直方向の荷重が加わると、第1の櫛歯の上端部は凹部に符合し、第2の櫛歯の上端部は凸部に符合して、第1の櫛歯及び第2の櫛歯は変形に耐えることができる。そして、列車が接触する際に発生する水平方向の荷重が加わると、櫛歯部は水平方向に移動し、第1の櫛歯の上端部は隣接する天板部の凸部に当接して天板部を上方に持ち上げて列車との接触を回避する方向に変形させると共に、天板部に加わる力を上方に分散させて、天板部が列車の進行方向に平行あるいは下方に巻き込まれて発生する損傷を抑制・防止することができる。
【0023】
そして、本発明の請求項4に記載のプラットホーム隙間転落防止用緩衝材では、列車は天板部から露出する櫛歯部に接触するので、請求項2又は請求項3に記載の発明の効果に加えて、櫛歯部の熱軟化溶融面によって列車の衝突の衝撃エネルギーを熱エネルギーや熱軟化又は熱溶融の塑性変形のエネルギーに変換することができ、列車の衝撃エネルギーを吸収することができる。また、特に、請求項3に記載の発明の効果に加えて、
先願(特願2012−2406号、プラットホーム端縁構造)において示された構造であるが、列車は櫛歯部に接触して櫛歯部が天板部を上方に押し上げるので、列車接触時の天板部の巻き込み変形を回避して損傷をより効果的に防止することができる。
【0024】
そして、本発明の請求項5に記載のプラットホーム隙間転落防止用緩衝材では、
先願(特願2012−2406号、プラットホーム端縁構造)において示された構造であるが、天板部の上面に滑り止め部材が具備されているので、請求項2乃至請求項4のいずれか1項に記載の発明の効果に加えて、雨等で濡れた場合でも滑り難く、乗降客は安全に歩行することができる。
【0025】
さらに、本発明の請求項6に記載のプラットホーム隙間転落防止用緩衝材では、基体部及び天板部は、熱可塑性エラストマーで形成されるので、常温では弾性を示し、弾性変形領域では、変形しても荷重を取り除くと元の形状に回復させることができる。また、基体部、天板部及び櫛歯部を同一の熱可塑性エラストマーで形成することによって製造が容易となる。
【0026】
最後に、本発明の請求項7に記載のプラットホーム隙間転落防止用緩衝材では、請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の発明の効果に加えて、基体部に埋設される芯部によって基体部の強度を保持することができる。また、芯部は炭素繊維又はガラス繊維を含むポリオレフィン樹脂又はポリスチレン樹脂又はポリ塩化ビニル樹脂で形成されているので、炭素繊維又はガラス繊維が補強材として機能すると共に、高温では櫛歯部等を形成する熱可塑性エラストマーと同様に熱可塑性を示し、射出成形方法等による製造が可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下に、本発明の第1の実施の形態に係るプラットホーム隙間転落防止用緩衝材を
図1乃至
図4に基づき説明する。(請求項1、請求項2、請求項4乃至請求項7に対応)
まず、プラットホーム隙間転落防止用緩衝材の構成について
図1、
図2及び
図3を参照しながら説明する。
図1(a)は、本発明の第1の実施の形態に係るプラットホーム隙間転落防止用緩衝材の上方からの斜視図であり、(b)は同じくプラットホーム隙間転落防止用緩衝材の下方からの斜視図である。
図1(a)及び(b)において、プラットホーム隙間転落防止用緩衝材1は、プラットホームの側壁に取設される基体部2と、この基体部2から水平方向に延設される複数の櫛歯3aからなる櫛歯部3と、基体部2から延設され櫛歯部3に覆設される天板部4とを備えている。
基体部2は、側面2a及び底面2bを備え、また、複数の取付孔5が穿設されている。これらの取付孔5には、図示していないがそれぞれ固定部材を挿通することによってプラットホームの側壁に基体部2を固定することができる。なお、固定部材には、金属製や合成樹脂製のボルト等を用いることができるが、基体部2をプラットホームの側壁に強固に固定することができれば、固定部材の種類は特に限定されるものではない。したがって、基体部2は、プラットホームの側壁へ取設されて、櫛歯部3及び天板部4を支持することができる。
そして、櫛歯部3は、略直方体形状の複数の櫛歯3aが所定の間隔で配列されて構成されている。また、各々の櫛歯3aは、列車と接触しても列車が損傷し難いように露出する端面において、丸みを帯びるように面取りされている。そして、図示していないが、複数の櫛歯3aは基体部2側において容易に脱落しないように基体部2に固定されている。なお、櫛歯部3は列車車両に接触して衝撃エネルギーを吸収する役割を果たすものであり、その詳細については後述する。
また、天板部4は、平面視して櫛歯部3の一部の端部が露出するように櫛歯部3に覆設されている。ここで、平面視とは、上方から見た状態で、ということを意味する。また、天板部4の上面には滑り止めとなる複数の突起6が形成されている。なお、突起6は凸形状にしているが、凹形状に形成することも可能であり、凹形状に形成することによって、滑り止め機能に加えて、水切り作用を具備させることができる。また、突起6の形状は滑り止めとして機能すれば特に限定されないが、安全面を考慮して点状や線状の突起が形成される視覚障害者誘導用ブロックと異なる形状にすることが好ましい。また、天板部4の底面と櫛歯部3の上端部の間には間隙が空いており、荷重が付加されない状態では両者は接触していない。天板部4は、プラットホームの側縁部に沿って配置されて、プラットホームと列車の隙間を埋めて、乗降客が踏んで列車へ乗降したり、手荷物等の落下を防止したりするものである。また、複数の突起6が設置されているので、雨等で路面が濡れた場合でも乗降客は滑り難くなり、安全に歩行することが可能となる。
【0029】
次に、
図2(a)は、本第1の実施の形態に係るプラットホーム隙間転落防止用緩衝材の平面図であり、(b)は同じくプラットホーム隙間転落防止用緩衝材の正面図であり、(c)は同じくプラットホーム隙間転落防止用緩衝材の底面図である。
図2(a)において、プラットホーム隙間転落防止用緩衝材1を上方から見ると、前述の通り、櫛歯部3は天板部4から一部を露出して配置されていることがわかる。また、露出した各櫛歯3aの端部は、前述のように面取りされて丸みを帯びている。そして、天板部4には、複数の三角形状の突起6が規則正しく配列されている。なお、櫛歯部3の一部を天板部4から露出させるのは、詳細については後述するが、列車との接触の際に、最初に列車と櫛歯部3を接触させるためである。
また、
図2(b)において、プラットホーム隙間転落防止用緩衝材1を側面から見ると、天板部4と櫛歯部3の間には間隙が形成されており、櫛歯部3は天板部4に接触することなく水平方向に撓むことができる。また、天板部4の上面の突起6は、上面が平坦な形状に形成されており、歩行者が躓き難い形状になっている。
そして、
図2(c)において、プラットホーム隙間転落防止用緩衝材1を底面から見ると、櫛歯部3の複数の櫛歯は、規則正しく配列されて、また、天板部4から一部が露出していることがわかる。そして、櫛歯部3の下端面には接触する要素はなく、櫛歯部3は動作を阻害されることなく、水平方向に撓むことができる。
【0030】
次に、
図3は、
図2(b)中にA−A線で示された部分の矢視断面図である。
図3において、プラットホーム隙間転落防止用緩衝材1の断面をみると、天板部4、基体部2、底面2b及び櫛歯3aに加えて、基体部2の内部には芯部7が埋設されている。芯部7は基体部2の強度を保持するものであり、例えば、炭素繊維又はガラス繊維を含むポリオレフィン樹脂又はポリスチレン樹脂又はポリ塩化ビニル樹脂で形成されている。炭素繊維又はガラス繊維は補強材として機能を発揮する。また、特に、ガラス繊維を含むポリプロピレンが好適である。後述するが、基体部2は熱可塑性エラストマーで形成されるので、常温では弾性を示すため、芯部7を埋設することによって基体部2の強度を高めることが可能となる。したがって、プラットホームにプラットホーム隙間転落防止用緩衝材1が設置されて乗降客による荷重がかかっても芯部7によって強度を保持することができる。また、天板部4と櫛歯3aの間には間隙8が形成されており、前述のように櫛歯3aの水平方向に撓みやすくなっている。
【0031】
続いて、第1の形態に係るプラットホーム隙間転落防止用緩衝材を形成する材料について説明する。
第1の実施の形態に係るプラットホーム隙間転落防止用緩衝材の櫛歯部は、軟化温度が60〜150℃の範囲にある熱可塑性エラストマーで形成される。この熱可塑性エラストマーは、具体的にはスチレン系熱可塑性エラストマー、オレフィン系熱可塑性エラストマー、ポリ塩化ビニル系熱可塑性エラストマー、ポリエステル系熱可塑性エラストマー、ポリウレタン系熱可塑性エラストマー及びポリアミド系熱可塑性エラストマーから選ばれる単一の熱可塑性エラストマーであってもよいし、又はこれらの熱可塑性エラストマーの複数を組み合わせて用いてもよい。さらに、ポリプロピレン及びポリエチレン等のポリオレフィン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル、ポリウレタン及びポリアミド等の熱可塑性樹脂や、油、軟化剤、改質剤及び顔料等の添加剤を含んでもよい。
スチレン系熱可塑性エラストマーとしては、ポリスチレンをハードセグメントとし、ポリブタジエンをソフトセグメントとしたスチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(SBS)、水添ポリブタジエンをソフトセグメントとしたスチレン−エチレン/ブチレン−スチレンブロック共重合体(SEBS)、ポリイソプレンをソフトセグメントとしたスチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体(SIS)、水添ポリイソプレンをソフトセグメントとしたスチレン−エチレン/プロピレン−スチレンブロック共重合体(SEPS)等が挙げられる。
また、オレフィン系熱可塑性エラストマーとしては、無架橋のエチレン−プロピレンゴム(EPM)や部分架橋したエチレン−プロピレンージエンゴム(EPDM)をソフトセグメントとし、ハードセグメントとしてポリプロピレンをブレンドしたポリオレフィン系熱可塑性エラストマー(TPO)が挙げられる。
このような熱可塑性エラストマーは常温では弾性を示すので、櫛歯部は荷重が加わると容易に撓み、また、荷重を取り除くと元の形状に復元することができる。なお、プラットホーム隙間転落防止用緩衝材においては、基体部及び天板部についても櫛歯部と同様の熱可塑性エラストマーを用いて形成される。基体部及び天板部を熱可塑性エラストマーで形成することによって、櫛歯部と同様の効果を奏し、弾性変形領域内の荷重が加わると、弾性変形し、荷重を取り除くと元の形状に復元することが可能となる。特に、天板部は、乗降客の歩行によって荷重が加わったり取り除かれたりするので、天板部を熱可塑性エラストマーで形成することにより、天板部は弾性変形することによって乗降客の荷重による歪を解放するので、損傷が少なく、長期間の使用が可能となる。また、基体部、櫛歯部及び天板部を同質の材料で形成することによって、廃棄処分時においても選別が容易となり、リサイクル等において有効性が高くなるという利点もある。
また、熱可塑性エラストマーを用いる成形品の製造においては、熱可塑性の性質を利用して高温領域において熱可塑性エラストマーを溶融状態にして、射出成形方法等によって成形することが一般的に行われている。本第1の実施の形態においてもプラットホーム隙間転落防止用緩衝材は射出成形方法によって成形することができる。すなわち、プラットホーム隙間転落防止用緩衝材の形状を成形可能な型枠に溶融した熱可塑性エラストマーを注入し、冷却固化することによってプラットホーム隙間転落防止用緩衝材を製造することができる。なお、射出成形方法によるプラットホーム隙間転落防止用緩衝材の製造においては、所望の型枠を選定することによって、基体部、櫛歯部及び天板部の一体成形品や、又は、基体部と天板部のみの一体成形品や、あるいは、基体部と櫛歯部のみの一体成形品や、さらには、基体部、櫛歯部及び天板部の全てが単独の成形品を製造することができる。
【0032】
ここで、前述したように芯部は炭素繊維又はガラス繊維を含むポリオレフィン樹脂又はポリスチレン樹脂又はポリ塩化ビニル樹脂で形成されており、ポリオレフィン樹脂又はポリスチレン樹脂又はポリ塩化ビニル樹脂が熱可塑性樹脂であるので、芯部の成形は、プラットホーム隙間転落防止用緩衝材と同様に射出成形方法によって成形することができる。すなわち、熱可塑性樹脂であるポリオレフィン樹脂又はポリスチレン樹脂又はポリ塩化ビニル樹脂を溶融状態にして、芯部用の型枠に注入後冷却固化することによって芯部を形成することができる。
そして、形成した芯部を予めプラットホーム隙間転落防止用緩衝材用の型枠に固定しておき、続いて、溶融した熱可塑性エラストマーを注入することによって芯部を基体部に埋設することができる。ここで、重要なのは、冷却固化した芯部が溶融状態の熱可塑性エラストマーとの接触によって著しく変形したり溶融したりしないことである。溶融状態の熱可塑性エラストマーの温度は、ポリオレフィン樹脂又はポリスチレン樹脂又はポリ塩化ビニル樹脂の軟化温度よりも高温であると考えられるが、炭素繊維又はガラス繊維を含むポリオレフィン樹脂又はポリスチレン樹脂又はポリ塩化ビニル樹脂は、炭素繊維又はガラス繊維が混入されることによって、熱的にも耐性が付与されるので、溶融状態の熱可塑性エラストマーの接触による炭素繊維又はガラス繊維を含むポリオレフィン樹脂又はポリスチレン樹脂又はポリ塩化ビニル樹脂の著しい熱変形は生じ難くなっている。また、特に、芯部に結晶性プラスチックであるポリオレフィン樹脂を選定する場合は、ポリプロピレン等の融点が熱可塑性エラストマーの溶融温度よりも高温であるものを選定することによって、熱安定性の向上を図ることができる。
【0033】
次に、第1の実施の形態に係るプラットホーム隙間転落防止用緩衝材と列車との接触における衝撃エネルギーの吸収方法について
図4を参照しながら説明する。
図4(a)は、本第1の実施の形態に係るプラットホーム隙間転落防止用緩衝材に列車が接触したときの状態を示す概念図であり、(b)は同じくプラットホーム隙間転落防止用緩衝材の櫛歯部の概念図であり、(c)は同じくプラットホーム隙間転落防止用緩衝材の櫛歯部が撓んだ場合の概念図であり、(d)は同じくプラットホーム隙間転落防止用緩衝材の櫛歯部が大きく撓んだ場合の概念図である。
図4(a)において、本第1の実施の形態に係るプラットホーム隙間転落防止用緩衝材1はプラットホーム9の側壁に設置されており、プラットホーム9に進入する列車10は地震や強風によって脱線し、車両の一部が櫛歯部3に接触している状態である。前述したように、櫛歯部3は平面視して天板部4から一部が露出するように形成されているので、図示するように列車10車両はまず櫛歯部3に接触する。
図4(b)において、列車10車両と接触していない櫛歯部3は、撓むことなく真っ直ぐに配列しているが、列車10車両が櫛歯部3に接触すると、
図4(c)及び
図4(d)に示すように、櫛歯部3はそれぞれ列車の進行方向に向けて撓んでいる。
図4(c)は、櫛歯部3への列車10車両の接触が小さい場合を示しており、櫛歯部3の撓み度合いも小さく、櫛歯部3の主に前面部分が列車10車両と接触している。また、
図4(d)は、櫛歯部3への列車10車両の接触が大きい場合を示しており、櫛歯部3の撓み度合いも大きく、櫛歯部3の前面部分と側面部分において列車10車両と接触している。
列車10車両が櫛歯部3に接触すると、
図4(c)及び
図4(d)に示すように櫛歯部3は前面部分又は側面部分が列車10車両と当接しながら列車10の進行方向に撓んでいく。このとき、当接面では、接触による摩擦によって摩擦熱が発生する。そして、この摩擦熱は、櫛歯部3の当接面から次第に櫛歯部3の内部に伝達されていき、櫛歯部3を形成する熱可塑性エラストマーの軟化温度に達して、櫛歯部3は熱変形する。この熱変形は塑性変形であり、荷重が取り除かれても元の形状に復元することができない。
そして、当接面ではさらに高温になるために熱可塑性エラストマーの融点に達して一部が溶融して塑性変形する。本第1の実施の形態においては、この当接面を熱軟化溶融面とし、
図4(c)においては櫛歯部3の符号3cで示される部分で、具体的には櫛歯部3の端部の前面部分である。また、
図4(d)においては櫛歯部3の端部の前面及び列車10車両の進入側の側面部分の端部の符号3dで示される部分である。すなわち、熱軟化溶融面3c,3dは、列車10の衝突による衝撃エネルギーを熱エネルギーに変換し、さらに、この熱エネルギーを櫛歯部3の塑性変形のエネルギーに変換することが可能であり、その結果、列車10の衝突の衝撃エネルギーを吸収することができる。また、熱軟化溶融面3c,3dでは、櫛歯部3を形成する熱可塑性エラストマーの一部が溶融し、液状化することによって摩擦が低減して滑りやすくなり、当接する列車10車両への傷つきや乗客のけが等の損傷を防止することができる。
そして、特に、芯部7に炭素繊維又はガラス繊維を含むポリオレフィン樹脂を採用することによれば、熱可塑性エラストマーの融点よりも高温となり、熱軟化溶融面3c,3dの軟化溶融によっても基体部2の強度を担保することが可能である。さらに、熱軟化溶融面3c,3dが軟化溶融した場合にポリオレフィン樹脂等の軟化温度を上回る可能性があるが、炭素繊維又はガラス繊維を含んで補強されていることから、前述のとおり著しい熱変形は生じ難くなっている。
【0034】
このように構成された本第1の実施の形態においては、熱可塑性エラストマーで形成される櫛歯部が熱軟化溶融面を具備しており、この熱軟化溶融面が列車車両と当接して、衝突の衝撃エネルギーを熱エネルギーや塑性変形のエネルギーに変換して吸収するので、プラットホームにおける損傷被害を防止することができる。また、熱軟化溶融面の一部は溶融することによって当接する列車車両への摩擦を低減できると共に衝撃も緩和されるので、列車車両の傷付き等の細かい損傷も防止することができる。
【0035】
続いて、本発明の第2の実施の形態に係るプラットホーム隙間転落防止用緩衝材を
図5乃至
図8に基づき説明する。(特に、請求項3に対応)
本第2の実施の形態に係るプラットホーム隙間転落防止用緩衝材は、第1の実施の形態に係るプラットホーム隙間転落防止用緩衝材において、櫛歯部及び天板部の形状を変えたものであり、第1の実施の形態と同一の構成要素については、第1の実施の形態の場合と同様の作用及び効果を奏するものである。
図5(a)は、本発明の第2の実施の形態に係るプラットホーム隙間転落防止用緩衝材の上方からの斜視図であり、(b)は同じくプラットホーム隙間転落防止用緩衝材の下方からの斜視図である。
図5(a)及び(b)において、プラットホーム隙間転落防止用緩衝材11は、主に、基体部12、櫛歯部13及び天板部14から構成されており、前述の第1の実施の形態と同様に、櫛歯部13は基体部12から水平方向に延設され、天板部14も基体部12から延設されて櫛歯部13に覆設されている。また、基体部12、櫛歯部13及び天板部14は第1の実施の形態と同様の熱可塑性エラストマーで形成されている。
基体部12は、側面12a及び底面12bを含んでおり、穿設された複数の取付孔15にボルト等を挿通することによってプラットホームの側壁に固定されて櫛歯部13及び天板部14を支持する。
そして、櫛歯部13は、略直方体形状の複数の櫛歯が配置されて構成されるが、これらの櫛歯には、
先願(特願2012−2406号、プラットホーム端縁構造)において示された構造であるが、鉛直方向に長尺の第1の櫛歯13aと、同じく鉛直方向に短尺の第2の櫛歯13bの2種類あり、図中の全ての櫛歯の符号は省略しているが、第1の櫛歯13aと第2の櫛歯13bは交互になるように配列されている。また、第1の櫛歯13aの上端部は第2の櫛歯13bの上端部よりも上方へ突出するように配置されている。このような櫛歯部13は、天板部14に鉛直方向の荷重が付加された場合には天板部14が変形しないように支持することができる。
また、上面には滑り止めとなる複数の突起16が形成された天板部14は、平面視して櫛歯部13の一部の端部が露出するように櫛歯部13に覆設されている。また、天板部14の底面には、複数の凹部17と凸部18が形成されて交互に配列されており、凹部17には第1の櫛歯13aの上端部が符合し、凸部18には第2の櫛歯13bの上端部が符合するようになっている。但し、天板部14の底面と櫛歯部13の上端部の間には間隙が空いており、荷重が付加されない状態では両者は接触していない。なお、天板部14は、プラットホームの側縁部に沿って配置されて、プラットホームと列車の隙間を埋めて、乗降客が踏んで列車へ乗降したり、手荷物等の落下を防止したりするものである。
【0036】
次に、
図6(a)は、本第2の実施の形態に係るプラットホーム隙間転落防止用緩衝材の平面図であり、(b)は同じくプラットホーム隙間転落防止用緩衝材の正面図であり、(c)は同じくプラットホーム隙間転落防止用緩衝材の底面図である。
図6(a)及び(c)において、プラットホーム隙間転落防止用緩衝材11では、丸みを帯びて形成された櫛歯部13が、規則正しく配列されており、前述の通り、
先願(特願2012−2406号、プラットホーム端縁構造)において示された構造であるが、天板部14から一部を露出して配置されている。(なお、櫛歯部13の一部を天板部14から露出させるのは、詳細については後述するが、列車との接触の際に、最初に列車と櫛歯部13を接触させるためである。)
また、
図6(b)において、プラットホーム隙間転落防止用緩衝材11を側面から見ると、櫛歯部13では、第1の櫛歯13aと第2の櫛歯13bが交互に配列されて上端部が凸凹となる形状が繰り返されており、一方、天板部14の底面では、櫛歯部13の凸凹に合わせて、凹部17と凸部18が交互に配列されてそれぞれ間隙を空けて符合していることがわかる。
【0037】
本第2の実施の形態において、プラットホーム隙間転落防止用緩衝材11では、
先願(特願2012−2406号、プラットホーム端縁構造)において示された構造であるが、乗降客が歩行する際の鉛直方向の荷重を受けると、荷重を受ける部分の天板部14はわずかに下方に沈んで、天板部14の底面は櫛歯部13の上端部に接触し、第1の櫛歯13aの上端部は凹部17に嵌合して横方向への移動が抑止されて変形し難くなっている。また、第2の櫛歯13bは、いずれも隣接する第1の櫛歯13aに当接してその移動が抑止されるので、第1の櫛歯13aと同様に変形し難くなり、その結果、鉛直方向の剛性を保持して天板部14の沈み込みを抑えることを可能にしている。そして、天板部14の凸部18では厚みが増大しているので、この厚みの増大も天板部14の沈み込みを低減させるように作用している。
また、プラットホーム隙間転落防止用緩衝材11に列車が接触するような水平方向の荷重が加わると、第1の櫛歯13a及び第2の櫛歯13bは撓んで荷重が加わる水平方向に移動し始める。このとき、第1の櫛歯13aの上端部は、天板部14の凹部17から凸部18の側壁に当接しながら水平方向に移動し、天板部14を上方へ押し上げる。さらに、時間が経過すると、第1の櫛歯13aの上端部は天板部14の凸部18に到達し、天板部14をさらに上方に押し上げることができる。したがって、天板部14は上方に押し上げられることによって列車との接触を回避でき、また、接触による応力集中も回避できるので、損傷を防止することが可能となる。
このように本第2実施の形態においては、第1の櫛歯13a及び第2の櫛歯13bが、天板部14の凹部17及び凸部18に嵌合したり当接したりすることによって鉛直方向の荷重に対する変形を低減することができる。また、列車が接触するような水平方向の荷重が付加されると、櫛歯は順々に水平方向に撓んでいき、第1の櫛歯13aの上端部が天板部14の凸部18に当接して天板部14を上方に押し上げるので、天板部14において応力が集中する巻き込み変形を防止し、天板部14の損傷を防止することができる。
【0038】
次に、第2の実施の形態に係るプラットホーム隙間転落防止用緩衝材の熱軟化溶融面について
図7を参照しながら説明する。
図7は、本第2の実施の形態に係るプラットホーム隙間転落防止用緩衝材の櫛歯部が熱軟化溶融した写真である。
図7において、プラットホーム隙間転落防止用緩衝材11は列車車両が接触した後の写真であり、櫛歯13a及び櫛歯13bは列車の進行方向に撓んで一部が溶融して塑性変形している。
本第2の実施の形態においては、第1の実施の形態と同様に櫛歯部13は熱軟化溶融面を具備しており、列車が接触する場合には、第1の櫛歯13a及び第2の櫛歯13bは撓んで荷重が加わる水平方向に移動し、このとき列車車両と当接する熱軟化溶融面が、列車の接触時の衝撃エネルギーを熱エネルギーに変換し、さらに、熱軟化及び熱溶融の塑性変形のエネルギーに変換して衝撃エネルギーを吸収することができる。また、図示するように熱軟化溶融面の一部は溶融するので、摩擦低減によって接触する列車車両への損傷を防止することができる。
【0039】
ここで、本第2の実施の形態に係るプラットホーム隙間転落防止用緩衝材の変形例について説明する。
図8(a)は、第2の実施の形態に係るプラットホーム隙間転落防止用緩衝材の変形例の平面図であり、(b)は同じくプラットホーム隙間転落防止用緩衝材の変形例の正面図である。
図8(a)及び(b)において、プラットホーム隙間転落防止用緩衝材21は、第2の実施の形態に係るプラットホーム隙間転落防止用緩衝材において、天板部の突起の形状を変更したものであり、天板部24には突起に代わって溝26が形成されている。この溝26は、天板部24の短辺に平行な方向に長細い凹形状に形成されており、天板部24の凸部28の上部に配置されるように複数個が設置されている。また、溝26の内部には底面の両側に傾斜する側面が形成されて、溝26の断面が台形を成し、そして、溝26の底面は、天板部24がプラットホームの側壁に接する側から線路側に向けて低くなるように勾配が形成されている。この溝26は、第2の実施の形態に係るプラットホーム隙間転落防止用緩衝材の突起と同様に滑り止めとして機能するとともに、水切り作用を発揮している。プラットホーム隙間転落防止用緩衝材21では、雨や清掃等によって水に濡れた場合や乗客が飲料水等をこぼした場合等に、これらの液体を溝に沿ってプラットホーム下方の側溝に排水することができ、プラットホームやプラットホーム隙間転落防止用緩衝材21が水溜りになるのを防止することができる。特に、溝26の底面の両側の側面も底面に向けて低くなるように勾配をつけているので排水を効果的に行うことが可能である。
なお、符号22は基体部、符号23は櫛歯部、符号23aは第1の櫛歯、符号23bは第2の櫛歯、符号25は取付孔、符号27は凹部であり、第2の実施の形態における各構成と同様の作用効果を具備している。
【0040】
続いて、本第2の実施の形態に係るプラットホーム隙間転落防止用緩衝材の落錘衝撃試験について説明する。
図9(a)は、落錘衝撃試験装置の正面を示す概念図であり、(b)は落錘衝撃試験装置の側面を示す概念図である。
図9(a)及び(b)において、落錘衝撃試験装置29は、固定治具34a及び固定治具34bに固定された試験体35a及び試験体35bに向けて上方から負荷子37を落下させて荷重及び変位を測定する試験装置である。
本試験においては、試験体は2個設置され、固定治具34aに固定される試験体35aでは、負荷子37の一の端部が接触した際の鉛直方向の荷重を固定治具34aの下方に設置されるロードセル32aによって測定する。また、固定治具34bに固定される試験体35bでは、負荷子37の他の端部が接触した際の鉛直方向の荷重を固定治具34bの下方に設置されるロードセル32bによって測定する。
さらに、固定治具34bでは、試験体35bとの間にロードセル33a及びロードセル33bが設置されており、負荷子37が接触する際の水平方向の荷重を測定する。なお、図示していないが、水平方向の荷重を計測するロードセルはロードセル33a及びロードセル33bの奥側にそれぞれ2個のロードセルが設置されており、合計で4個のロードセルによって水平方向の荷重を測定するようになっている。また、ロードセル32a及びロードセル32bの下方にはそれぞれ調整板31a及び調整板31bを介してベース板30が設置されている。また、試験体35a及び試験体35bの上方には、重錘フレーム40に固定された重錘39と、この重錘39にロッド38を介して接続される負荷子37が設置されている。負荷子37を含む重錘フレーム40は、図示していないが上方に設置される切り離し装置によって所定の高さからガイドフレームに沿って自由落下させることができる。また、
図9(b)において、符号36は非接触変位計であり、この非接触変位計36によって可視光レーザを用いて重錘39との変位を測定する。
【0041】
このような落錘衝撃試験装置29を用いて、第2の実施の形態に係るプラットホーム隙間転落防止用緩衝材について列車車両の接触を模擬した落錘衝撃試験を実施し、鉛直方向の荷重と変位の関係、吸収エネルギーと変位の関係及び水平方向の荷重と変位の関係を取得した。また、比較として従来のゴム製のプラットホーム隙間転落防止用緩衝材についても同様に落錘衝撃試験を行った。
鉛直方向の荷重は、
図9に示すロードセル32a及びロードセル32bを用いて測定し、水平方向の荷重はロードセル33a及びロードセル33bと図示しない2個のロードセルの合わせて4個のロードセルを用いて測定した。なお、鉛直方向の荷重では2個のロードセルで測定された荷重の平均値を、水平方向の荷重では4個のロードセルで測定された荷重の加算値を併せて表示している。また、変位は、非接触変位計を用いて落錘の底面の移動量を測定した。そして、吸収エネルギーは鉛直方向の荷重の平均値と変位の関係から台形法則により積分して算出した。
また、試験条件として、落錘荷重は230kgとし、落下高さは2mとした。なお、試験速度は計測した測定時間と落下高さから算出した。そして、試験体は櫛歯部が負荷子37に接触する方向に固定し、負荷子37が櫛歯部に接触する接触量を20mmと25mmの2種類とした。得られた鉛直方向の荷重、水平方向の荷重及び吸収エネルギーと変位の関係を
図10乃至
図13に示す。
【0042】
図10(a)は、本第2の実施の形態に係るプラットホーム隙間転落防止用緩衝材の落錘衝撃試験における接触量が20mmの場合の鉛直方向の荷重と変位の関係であり、(b)は同じく吸収エネルギーと変位の関係であり、(c)は同じく水平方向の荷重と変位の関係である。
図10(a)において、鉛直方向にかかる荷重は、変位が60mm付近から増大し始め、変位が400mmで負荷子の停止によって測定が終了している。鉛直方向にかかる荷重は、変位の増加に対して増大したり減少したりしており、これは、隣接する櫛歯に順々に衝撃を与えながら接触しているためと推察される。また、
図10(b)において、吸収エネルギーは、変位の増大とともに大きく増加していることがわかる。そして、
図10(c)において、水平方向にかかる荷重は、
図10(a)と同様に、変位が60mm付近から増大し始め、変位が400mmで負荷子の停止によって測定が終了しており、また、変位の増加に対して増大したり減少したりしている。
【0043】
図11(a)は、本第2の実施の形態に係るプラットホーム隙間転落防止用緩衝材の落錘衝撃試験における接触量が25mmの場合の鉛直方向の荷重と変位の関係であり、(b)は同じく吸収エネルギーと変位の関係であり、(c)は同じく水平方向の荷重と変位の関係である。
図11(a)において、鉛直方向にかかる荷重は、
図10(a)に示す接触量が20mmの場合と同様に、変位が60mm付近から増大し始め、変位が400mmで負荷子の停止によって測定が終了し、また、変位の増加に対して増大したり減少したりしている。また、
図11(b)において、吸収エネルギーは、変位の増大とともに大きく増加し、そして、
図11(c)において、水平方向にかかる荷重は、
図11(a)と同様に、変位が60mm付近から増大し始め、変位が400mmで負荷子の停止によって測定が終了しており、また、変位の増加に対して増大したり減少したりしている。
【0044】
次に、
図12(a)は、ゴム製のプラットホーム隙間転落防止用緩衝材の落錘衝撃試験における接触量が20mmの場合の鉛直方向の荷重と変位の関係であり、(b)は同じく吸収エネルギーと変位の関係であり、(c)は同じく水平方向の荷重と変位の関係である。
図12(a)において、鉛直方向の荷重は、変位が60mm付近から変位の増加とともになだらかに増大し、また、変位が200mm近傍から減少している。また、
図12(b)において、吸収エネルギーは変位の増加とともになだらかに増大している。そして、
図12(c)において水平方向の荷重は、
図12(a)の鉛直方向の荷重と同様に、変位が60mm付近から変位の増加とともになだらかに増大して変位が200mm付近からは減少している。なお、変位が550mm付近で鉛直方向及び水平方向の荷重が大きく変化しているが、これは、負荷子が測定終了によって停止したためのものである。
【0045】
最後に、
図13(a)は、ゴム製のプラットホーム隙間転落防止用緩衝材の落錘衝撃試験における接触量が25mmの場合の鉛直方向の荷重と変位の関係であり、(b)は同じく吸収エネルギーと変位の関係であり、(c)は同じく水平方向の荷重と変位の関係である。
図13(a)において、鉛直方向の荷重は変位が60mm付近から増大し始め、250mm付近でピークを示した後、減少している。また、
図13(b)において、吸収エネルギーは変位の増加とともに増大し、そして、
図13(c)において、水平方向の荷重は、変位が60mm付近から増大し、変位が300mmを超えた付近から減少している。また、
図12に示す接触量が20mmの場合と同様に変位が550mm付近では測定終了によって鉛直方向及び水平方向の荷重はいずれも大きく変動している。
【0046】
次に、鉛直方向及び水平方向の荷重の最大値と吸収エネルギーの絶対値を表1に示す。
【0048】
表1において、本第2の実施の形態に係るプラットホーム隙間転落防止用緩衝材において接触量を変えると、接触量が大きい方が、鉛直方向及び水平方向のいずれの最大荷重値は大きく、また、吸収エネルギーも大きくなっている。また、ゴム製のプラットホーム隙間転落防止用緩衝材においても接触量が大きい方が鉛直方向及び水平方向のいずれの最大荷重値は大きく、また、吸収エネルギーも大きくなっている。したがって、櫛歯部の接触量が大きいほど、衝撃を吸収することが可能であるといえる。
また、本第2の実施の形態に係るプラットホーム隙間転落防止用緩衝材とゴム製のプラットホーム隙間転落防止用緩衝材の最大荷重値及び吸収エネルギーを比較すると、本第2の実施の形態に係るプラットホーム隙間転落防止用緩衝材の方が、ゴム製のプラットホーム隙間転落防止用緩衝材の最大荷重値及び吸収エネルギーが大きくなっている。
衝撃エネルギーの吸収メカニズムとして、ゴム製の櫛歯部では弾性による力の分散によって荷重が弱まるのに対して、熱可塑性エラストマーで形成される本第2の実施に係るプラットホーム隙間転落防止用緩衝材の櫛歯部は弾性が低く剛性が高いため、荷重が大きく発生しそれによる吸収エネルギーも大きくなっていると考えられる。また、本第2の実施の形態に係るプラットホーム隙間転落防止用緩衝材では、いずれも負荷子が途中で停止しており、負荷子の衝撃エネルギーを吸収し、負荷子を停止させたものと考えられる。
【0049】
次に、
図14(a)は、本第2の実施の形態に係るプラットホーム隙間転落防止用緩衝材の落錘衝撃試験における接触量が20mmの場合の試験後のプラットホーム隙間転落防止用緩衝材の写真であり、(b)は同じく接触量が25mmの場合の試験後のプラットホーム隙間転落防止用緩衝材の写真である。
図14(a)及び(b)において、本第2の実施の形態に係るプラットホーム隙間転落防止用緩衝材の櫛歯部は負荷子の接触によって塑性変形して、また、接触面、すなわち熱軟化溶融面では溶融による塑性変形が認められる。なお、図示していないが、ゴム製のプラットホーム隙間転落防止用緩衝材では塑性変形は認められなかった。
このように熱軟化溶融面では、負荷子の接触による衝撃エネルギーを熱エネルギーに変換し、櫛歯部を軟化させたり溶融させたりするので、負荷子に接触する部分は柔軟になっている。前述したように、本第2の実施の形態に係るプラットホーム隙間転落防止用緩衝材は、ゴム製のプラットホーム隙間転落防止用緩衝材に比べると荷重は大きくかかるものの、熱軟化溶融面は軟化して車両への衝撃自体は抑制されているものと考えられる。すなわち、本第2の実施の形態に係るプラットホーム隙間転落防止用緩衝材は、衝撃エネルギーを低減させる効果と車両への衝撃を緩和する効果とを併せ持っており、従来のゴム製のプラットホーム隙間転落防止用緩衝材よりも優れているといえる。
【0050】
このように構成された本第2の実施の形態においては、
先願(特願2012−2406号、プラットホーム端縁構造)において示された構造であるが、櫛歯部を鉛直方向に長さの異なる二種類の第1の櫛歯及び第2の櫛歯を交互に配列して、上端部が凸凹形状を形成するように配置し、かつ、天板部の底面にこれらの凸凹形状に符合する凹部及び凸部を形成しているので、乗降客の乗降に際する鉛直方向の荷重が加わると、主に突出した第1の櫛歯が凹部に嵌合して荷重に対する耐性を発揮するので、天板部が深く沈み込むことなく、乗降客は安定して踏む込むことができる。そして、列車が接触するような水平方向の荷重が加わると、突出した第1の櫛歯の上端部が天板部の凸部に当接して天板部を上方に押し上げて応力を分散するのでので、天板部が容易に損傷することなく、耐久性の高いプラットホーム隙間転落防止用緩衝材となる。
また、櫛歯部は熱軟化溶融面を具備しているので、列車の衝突の衝撃エネルギーを熱エネルギーに変換したり、熱変形や溶融の塑性変形のエネルギーに変換したりして吸収することができる。しかも、熱軟化溶融面では溶融によって摩擦を低減し、接触する列車車両への損傷を防止することを可能にしている。
【0051】
以上説明したように、本発明の請求項1乃至請求項7に記載された発明は自然災害等によって列車が脱線した場合に列車の衝突による衝撃エネルギーを熱エネルギーに変換し、さらに、熱軟化や熱溶融の塑性変形のエネルギーに変換することによって吸収し、列車やプラットホーム周辺の損傷を防止するプラットホーム隙間転落防止用緩衝材を提供可能であり、駅等のプラットホームにおいて利用可能である。