特許第6292617号(P6292617)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6292617作業機械用タッチパネルモニタの入力制御方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6292617
(24)【登録日】2018年2月23日
(45)【発行日】2018年3月14日
(54)【発明の名称】作業機械用タッチパネルモニタの入力制御方法
(51)【国際特許分類】
   B60R 16/02 20060101AFI20180305BHJP
   G06F 3/041 20060101ALI20180305BHJP
   E02F 9/24 20060101ALI20180305BHJP
   E02F 9/26 20060101ALI20180305BHJP
   E02F 9/20 20060101ALI20180305BHJP
【FI】
   B60R16/02 630Z
   G06F3/041 534
   B60R16/02 630L
   E02F9/24 B
   E02F9/26 A
   E02F9/20 C
【請求項の数】4
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2014-84681(P2014-84681)
(22)【出願日】2014年4月16日
(65)【公開番号】特開2015-202841(P2015-202841A)
(43)【公開日】2015年11月16日
【審査請求日】2016年11月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】505236469
【氏名又は名称】キャタピラー エス エー アール エル
(74)【代理人】
【識別番号】100062764
【弁理士】
【氏名又は名称】樺澤 襄
(74)【代理人】
【識別番号】100092565
【弁理士】
【氏名又は名称】樺澤 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100112449
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 哲也
(72)【発明者】
【氏名】山田 英雄
【審査官】 上谷 公治
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−274632(JP,A)
【文献】 特開平09−048324(JP,A)
【文献】 特開2005−234291(JP,A)
【文献】 特開2002−322687(JP,A)
【文献】 特開2009−023581(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 16/02
E02F 9/20
E02F 9/24
E02F 9/26
G06F 3/041
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
機械各部を動かす油圧アクチュエータと、油圧アクチュエータを作動させる油圧回路の手動操作を不可とする油圧ロック状態と油圧回路の手動操作を可能とする油圧ロック解除状態とを切り換える油圧ロックスイッチとを備えた作業機械に搭載されたタッチパネルでの初期画面表示とメニュー選択画面からのモニタ入力操作が可能な入力操作画面表示とを切換可能なタッチパネルモニタの入力制御方法において、
油圧ロックスイッチによる油圧ロック状態から油圧ロック解除状態への切換による作業機械の作動可能時は、初期画面表示を継続しつつ、モニタ入力操作を不可とするモニタ入力ロック状態に制御し、
タッチパネルでの特定のモニタ入力ロック解除用のジェスチャによりモニタ入力ロック状態を解除して入力操作画面表示に切り換えるように制御する
ことを特徴とする作業機械用タッチパネルモニタの入力制御方法。
【請求項2】
油圧ロックスイッチによる油圧ロック状態である作業機械の作動不可時は、初期画面表示とモニタ入力操作とをそれぞれ可能とするモニタ入力アンロック状態に制御する
ことを特徴とする請求項1記載の作業機械用タッチパネルモニタの入力制御方法。
【請求項3】
モニタ入力ロック状態が解除された後のモニタ入力操作が可能な状態にあっても、一定時間タッチパネルへのモニタ入力操作が無い場合には自動的にモニタ入力ロック状態に制御する
ことを特徴とする請求項1または2記載の作業機械用タッチパネルモニタの入力制御方法。
【請求項4】
タッチパネルが作業機械の動作に影響がある操作画面を表示する場合は、タッチパネル上の複数箇所を同時にタッチ操作することで設定変更画面に進むように制御する
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか記載の作業機械用タッチパネルモニタの入力制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入力機能を備えた作業機械用タッチパネルモニタの入力制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
油圧ショベルなどの作業機械の運転席には作業機械の操作補助や保守メンテナンスを行なうことができるモニタが搭載されており、キャブ内前方の奥側(着座したオペレータから見て右前方)に配置されている場合が多くみられる(例えば、特許文献1、2参照)。
【0003】
このようなモニタには、作業機械における後方監視カメラで得られた後方カメラ画像を表示する場合もある(例えば、特許文献3参照)。
【0004】
これらのモニタは、作業機械の物理的な選択スイッチを有するものであり、このようなモニタにおいて作業実行中に誤って表示切替手段を操作して作業とは無関係の情報が表示されることによりオペレータに混乱を与えることを防ぐために、表示画面のうち特定のものについてはアイドリング状態となっているときのみ選択が可能となり、作業状態においては選択スイッチを押してもその画面が表示されないものがある(例えば、特許文献2参照)。
【0005】
また、これら作業機械のモニタにおいて入力装置としてタッチパネルを利用したタッチパネルモニタを採用したものがある(例えば、特許文献4参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005−188156号公報
【特許文献2】特開2005−307483号公報
【特許文献3】特開2008−202331号公報
【特許文献4】特開2002−173956号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
入力装置としてのタッチパネルモニタは、通常のスイッチと異なり微小な操作力でも反応し、また画面全体を入力装置として利用することとなるため、作業機械のオペレータが意図せずにタッチパネルに触れた場合は誤動作すなわちオペレータが意図しない動作が生じる懸念がある。このため、選択スイッチを有するモニタと比べて、オペレータの意図しない操作や表示変更のトラブルが生じやすい。
【0008】
例えば、作業機械においては斜面を走行する際にオペレータがレバーを操作しながらキャブ内のさまざまな箇所に手をついて身体を支えることがあるので、オペレータが意図せずタッチパネルに手を触れるおそれは、例えば乗用車などと比べて高くなっており、その際にタッチパネルがモニタ入力操作と誤認識してしまうおそれがあり、オペレータの意図しない動作が生じる懸念も高くなっている。
【0009】
また、作業機械においては、油圧機器のキャリブレーションなどもモニタ上の設定画面を操作することにより行なえるようになっていることから、タッチパネルモニタの採用により万一そういった設定画面を意図せず表示し操作してしまった場合にはオペレータの意図しない作業機械動作が生じてしまう懸念がある。
【0010】
したがって、タッチパネルモニタの採用に際してはこれらの問題をクリアするような、より安全なタッチパネルモニタ入力方法が必要となっている。
【0011】
一方、スマートフォンなどの携帯端末において使用されるタッチパネルディスプレイにおいては、バッテリー消耗の防止あるいは端末持ち運び時の意図しない操作の防止の観点から、一定時間ユーザの操作がなければ画面表示を消すとともに操作をロックし、再度操作が必要な場合はある特定のモニタ入力ロック解除操作を要求する画面を表示してロックを解除させてから操作画面を表示する方法が用いられている。
【0012】
しかし、作業機械においては、タッチパネルモニタの操作を必要としない掘削作業中においても例えば作業機械後方の安全確認のための後方監視カメラの画像を表示しておく必要があり、このためにはモニタ画面表示を可能としつつ、作業機械のオペレータの意図しないタッチパネルへのモニタ入力操作のみを不可とする入力制御方法が必要となる。
【0013】
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、モニタ画面表示を可能としつつ、タッチパネル上での誤操作入力を防止できる作業機械用タッチパネルモニタの入力制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
請求項1に記載された発明は、機械各部を動かす油圧アクチュエータと、油圧アクチュエータを作動させる油圧回路の手動操作を不可とする油圧ロック状態と油圧回路の手動操作を可能とする油圧ロック解除状態とを切り換える油圧ロックスイッチとを備えた作業機械に搭載されたタッチパネルでの初期画面表示とメニュー選択画面からのモニタ入力操作が可能な入力操作画面表示とを切換可能なタッチパネルモニタの入力制御方法において、油圧ロックスイッチによる油圧ロック状態から油圧ロック解除状態への切換による作業機械の作動可能時は、初期画面表示を継続しつつ、モニタ入力操作を不可とするモニタ入力ロック状態に制御し、タッチパネルでの特定のモニタ入力ロック解除用のジェスチャによりモニタ入力ロック状態を解除して入力操作画面表示に切り換えるように制御する作業機械用タッチパネルモニタの入力制御方法である。
【0015】
請求項2に記載された発明は、請求項1記載の作業機械用タッチパネルモニタの入力制御方法において、油圧ロックスイッチによる油圧ロック状態である作業機械の作動不可時は、初期画面表示とモニタ入力操作とをそれぞれ可能とするモニタ入力アンロック状態に制御するものである。
【0016】
請求項3に記載された発明は、請求項1または2記載の作業機械用タッチパネルモニタの入力制御方法において、モニタ入力ロック状態が解除された後のモニタ入力操作が可能な状態にあっても、一定時間タッチパネルへのモニタ入力操作が無い場合には自動的にモニタ入力ロック状態に制御する入力制御方法である。
【0017】
請求項4に記載された発明は、請求項1乃至3のいずれか記載の作業機械用タッチパネルモニタの入力制御方法において、タッチパネルが作業機械の動作に影響がある操作画面を表示する場合は、タッチパネル上の複数箇所を同時にタッチ操作することで設定変更画面に進むように制御する入力制御方法である。
【発明の効果】
【0018】
請求項1記載の発明によれば、作業機械に搭載されたタッチパネルモニタにおいて、油圧ロックスイッチによる油圧ロック状態から油圧ロック解除状態へ切り換えた作業機械の作動可能時は、継続する初期画面表示から必要な情報が得られるとともに、タッチパネルでのモニタ入力操作を不可とするモニタ入力ロック状態に制御し、このモニタ入力ロック状態の解除にはタッチパネルでの特定のモニタ入力ロック解除用のジェスチャを要求することにより、作業機械を運転中のオペレータが意図しない動作によってタッチパネルに触れてしまった場合においても、タッチパネル上での誤操作入力を防止できる。
【0019】
請求項2記載の発明によれば、油圧ロックスイッチによる油圧ロック状態である作業機械の作動不可時は、初期画面表示から必要な情報を得つつモニタ入力操作可能となるとともに、油圧ロック状態から油圧ロック解除状態への切換により作業機械を作動可能としたときは、自動的にタッチパネルからのモニタ入力が不可能となり、作業機械の作動時と連動してモニタ上の誤操作入力を確実に防止できる。
【0020】
請求項3記載の発明によれば、モニタ入力操作が可能な状態にあっても、一定時間タッチパネルへのモニタ入力操作が無い場合は、自動的にモニタ入力ロック状態に制御するので、オペレータにタッチパネルへのモニタ入力ロック解除操作およびモニタ入力操作を要求することで、オペレータの意図しない入力操作を防止できる。
【0021】
請求項4記載の発明によれば、タッチパネルが作業機械の動作に影響がある操作画面を表示する場合は、意図せず操作することが困難なタッチパネル上の複数箇所を同時にタッチ操作することで設定変更画面に進むように制御するので、オペレータが意図しないでモニタ入力操作を行なうおそれを、より厳しく防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明に係る作業機械用タッチパネルモニタの入力制御方法の一実施の形態を示す一連のタッチパネル画面図である。
図2】同上入力制御方法の制御手順を示すフローチャートである。
図3】同上入力制御方法の操作メニューの操作画面表示例を示す一連のタッチパネル画面図である。
図4】上記モニタを搭載した作業機械を示す斜視図である。
図5】上記作業機械のキャブ内を示す斜視図および油圧ロックスイッチと油圧ロック弁との関係を示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明を、図1乃至図5に示された一実施の形態に基いて詳細に説明する。
【0024】
図4は、作業機械(油圧ショベル)11を示し、この作業機械11は、下部走行体12と、この下部走行体12上に旋回可能に設けられた上部旋回体13により機体14が構成されている。
【0025】
上部旋回体13上には、キャブ15、動力装置16、カウンタウェイト17などとともに、作動油圧により作動する作業装置18が設置されている。この作業装置18は、ブームシリンダ21bm、スティックシリンダ21st、バケットシリンダ21bkなどの油圧アクチュエータにより回動されるブーム22、スティック23、バケット24などを備え、カウンタウェイト17上面の中央部には、機体14の後方の状態を撮像する後方監視カメラ25が設けられている。
【0026】
キャブ15の左側面にオペレータがキャブ15内に出入りするための昇降口26が設けられている。
【0027】
図5に示されるように、キャブ15の内部には、オペレータが座る運転席31が設置され、この運転席31の左右両側部および前方に操作レバー32がそれぞれ設置され、運転席31の前方右側に空調風吹出口体33が配置され、この空調風吹出口体33の上部に入力機能を有するタッチパネルモニタ34が設置されている。
【0028】
キャブ15の昇降口26側に位置する操作レバー32の下側には、キャブ15の昇降口26を開閉する油圧ロックレバー35が開閉自在に設けられている。この油圧ロックレバー35は、オペレータが上部旋回体13に昇降するために昇降口開放位置(図5の実線位置)に下げてある場合は、操作レバー32を操作しても油圧回路が機能しないように油圧ロック状態とするための油圧ロックレバーである。
【0029】
油圧ロックレバー35の取付部分には、この油圧ロックレバー35が昇降口遮断位置(図5の2点鎖線位置)にあるか昇降口開放位置(同実線位置)にあるかを判別する油圧ロックスイッチ36が設けられている。この油圧ロックスイッチ36は、走行モータ(図示せず)、旋回モータ(図示せず)、ブームシリンダ21bm、スティックシリンダ21st、バケットシリンダ21bkなどの油圧アクチュエータ21を作動させる油圧回路のレバー操作を不可とする油圧ロック状態と油圧回路のレバー操作を可能とする油圧ロック解除状態とを切り換えるための検出手段である。
【0030】
図5に示される油圧回路において、上部旋回体13に搭載されたエンジン41により駆動されるメインポンプ42は、タンク43内の作動油をコントロール弁44に加圧供給し、このコントロール弁44は、油圧アクチュエータ21に給排制御される作動油を方向制御および流量制御して、これらの油圧アクチュエータ21の動作方向および動作速度を制御する。
【0031】
コントロール弁44は、各油圧アクチュエータ21に対応する数の可動弁(スプール)を備え、これらの各可動弁は、対応する操作レバー32により手動操作されたパイロット弁45から供給されるパイロット圧に応じて中立位置から比例変位する。
【0032】
各パイロット弁45は、エンジン41によりメインポンプ42と共に駆動されるパイロットポンプ46から供給されるパイロット元圧(またはパイロット1次圧)を、操作レバー32の操作量にほぼ比例するパイロット圧(またはパイロット2次圧)まで減圧して、コントロール弁44の各可動弁をパイロット操作する。
【0033】
これらのパイロット弁45にパイロット元圧を供給するパイロット元圧通路47中には、外部からの電気信号(電流)をソレノイドに受けて変位することで、パイロット元圧通路47を遮断するロック位置Tから、パイロット元圧通路47を各パイロット弁45に連通させる連通位置Pに切換わる電磁切換式の油圧ロック弁48が設けられている。
【0034】
タッチパネルモニタ34は、モニタ本体内にモニタコンローラ(図示せず)を内蔵し、このモニタコンローラは、マシンコントローラ49の入出力側に接続され、油圧ロックスイッチ36は、マシンコントローラ49の入力側に接続され、このコントローラ49の出力側に油圧ロック弁48のソレノイド48sが接続されている。マシンコントローラ49は、モニタコントローラと、油圧ロックスイッチ36と、油圧ロック弁48との関係を制御する。
【0035】
油圧ロックレバー35が図5の2点鎖線に示された昇降口遮断位置35aにあるときは、油圧ロックスイッチ36がオフであり、マシンコントローラ49は、油圧ロック弁48のソレノイド48sへ通電をして連通位置Pに切り換え、油圧ロック状態を解除することで、操作レバー32の操作により作業機械11が作動可能な状態となる。
【0036】
一方、油圧ロックレバー35が図5の実線に示された昇降口開放位置にあるときは、油圧ロックスイッチ36がオンであり、油圧ロック弁48への通電を停止して油圧ロック弁48をロック位置Tに戻し、各パイロット弁45へのパイロット元圧通路47を遮断して油圧ロック状態とすることで、操作レバー32を動かしても作業機械11は作動不可の状態となる。
【0037】
このように、油圧ロックレバー35が昇降口開放位置の油圧ロック状態では、各パイロット弁45にパイロット元圧を供給しないので、オペレータが操作レバー32を操作してもコントロール弁44の各可動弁を変位させることができず、したがって、作業機械11の各油圧アクチュエータ21を作動させることができない。作業機械11を作動可能とするためには、油圧ロックレバー35を2点鎖線に示された昇降口遮断位置35aまで回動する必要がある。
【0038】
次に、図1に示されたモニタ画面および図2に示されたフローチャートを参照しながら、作業機械11のタッチパネルモニタ34に内蔵されたモニタコントローラおよびマシンコントローラ49の制御例を説明する。
【0039】
(ステップS1)
作業機械11の油圧ロックレバー35の回動操作すなわち油圧ロックスイッチ36のオン・オフ操作と、タッチパネルモニタ34のタッチパネル34Tとを連携させ、先ず、図1(a)に示されるように油圧ロックスイッチ36がオンかオフかを判定する。
【0040】
(ステップS2)
作業機械11の油圧ロックスイッチ36がオンのとき、すなわち操作レバー32を動かしても作業機械11が作動不可の油圧ロック状態の場合は、自動的にタッチパネル34Tでのモニタ入力操作を可能とするモニタ入力アンロック状態に制御する。
【0041】
このとき、タッチパネル34T上の表示は、図1(b)に示されるような初期画面表示(デフォルト表示)であり、この初期画面表示では、作業機械11の仕様や設定によっても異なるが、例えば後方監視カメラ25を装備した作業機械11であれば、この後方監視カメラ25で撮られた後方カメラ画像画面34aが表示され、この画面34aの上側には、燃料計、油温計などを表示する計測画面34bが表示されている。
【0042】
また、後方カメラ画像画面34aの下側には操作画面34cが表示され、最上部には時刻の他、バケットなどの装着アタッチメント種別、アクセルダイヤル値などの設定状況を示す設定画面34dが表示されている。
【0043】
(ステップS3)
タッチパネルモニタ34にタイマを設け、タッチパネル34Tでのモニタ入力操作を可能とするモニタ入力アンロック状態では、常にタッチ操作がなされないタッチ操作無し時間が計測され、このタッチ操作無し時間が、タイマにより設定されたX秒を超えるか否かを判定する。
【0044】
(ステップS4)
タッチ操作無し時間が設定されたX秒を超えない限り(ステップS3の判定でNOの場合は)、通常処理がなされ、例えば、図1(c)に示されるように、操作画面34cの画面切換スイッチ50をタッチすることで、図1(d)に示されるメニュー選択画面34eに切り換わり、さらに例えば図1(e)および図1(f)に示されるようにメニュー選択画面34eでのメニューキーの操作によりタッチパネルモニタ34の各種入力操作が可能となる。
【0045】
タッチパネル34Tから入力操作可能なメニューの例としては、エラーコードを表示する画面、センサ情報(作業機械11の動作状態)を表示する画面、機器の設定(装着アタッチメントの種類や各アタッチメントに応じた設定)を表示する画面、機器の調整(キャリブレーション)を行なう画面、各種動作確認(機器のテスト)を行なう画面などがある。
【0046】
(ステップS5)
作業機械11の油圧ロックスイッチ36がオフのときは、すなわち操作レバー32を動かしたときに作業機械11の各油圧アクチュエータ21が作動可能となるように油圧ロック状態を解除した場合は、モニタ画面表示を可能としつつ、タッチパネル34Tでのモニタ入力操作を不可とするモニタ入力ロック状態に制御する。
【0047】
この油圧ロックスイッチ36がオフになっている油圧ロック解除状態では、図1(g)に示されるようにタッチパネル34Tの初期画面表示は変化せず、後方カメラ画像などロック直前の画面表示が継続されるが、タッチパネル34T上のメニューキー操作など画面上でのモニタ入力操作は不可に制御する。
【0048】
(ステップS6)
このモニタ入力ロック状態では、操作不可を示す表示をするとともに、図1(g)に示されるように上記後方カメラ画像画面34aの下側にモニタ入力ロック解除用の操作画面34cを表示するように制御する。
【0049】
この図1(g)に示されたモニタ入力ロック解除用の操作画面34cは、オペレータにモニタ入力ロック解除用のジェスチャ操作を要求するためのものであり、例えばモニタ入力ロック状態を示す施錠アイコン(ロック状態アイコン)51と、モニタ入力アンロック状態を示す解錠アイコン(アンロック状態アイコン)52と、オペレータの指を施錠アイコン51から解錠アイコン52まで移動させてモニタ入力ロック解除用のジェスチャ操作をさせることを促す矢印53とを表示する。またこのとき、画面表示は引き続き後方カメラ画像画面34aなどのモニタ入力ロック直前の画面表示を行なう。
【0050】
(ステップS7)
図1(h)に示されるように施錠アイコン51から解錠アイコン52に向かってモニタ入力ロック解除用のジェスチャ操作(スワイプなど)を実施したか否かを判定する。
【0051】
このモニタ入力ロック解除用のジェスチャ操作がなされると、モニタ入力ロック状態を解除して、図1(b)に示される初期画面表示に戻るように制御される。
【0052】
すなわち、図1(h)に示される上記モニタ入力ロック解除操作を検知した時点で、図1(h)に示されるようなモニタ入力ロック解除用のアイコンを操作画面34c上から消去し、図1(b)から(c)に示されるように画面切換スイッチ50を操作画面34c上に表示することで、タッチパネル34Tでのモニタ入力操作を可能とするモニタ入力アンロック状態とする。これにより、図1(c)から(d)、(e)、(f)に示されるようにメニューキーによるモニタ入力操作が可能な入力操作画面表示となる。
【0053】
このように、油圧ロックスイッチ36がオフ(油圧ロック解除状態)になると自動的にタッチパネル34Tでのモニタ入力操作をロック状態にしてしまい、特殊なモニタ入力ロック解除操作をしないとモニタ入力操作ができないようにする。
【0054】
また、ステップS2の上記タッチパネル34Tでのモニタ入力操作が可能なモニタ入力アンロック状態にある場合であっても、ステップS3の判定でタイマでの設定時間Xを超えてもタッチパネル34Tへのモニタ入力操作が無い場合(ステップS3でYESの場合)は、図1(i)に示されるように自動的にタッチパネル34Tでのモニタ入力操作を不可とするモニタ入力ロック状態に制御する。
【0055】
このモニタ入力ロック状態においても、図1(g)に示された場合と同様にモニタ画面の一部にモニタ入力ロック解除用の操作画面34fを重ねて表示する。例えばモニタ入力ロック状態の施錠アイコン51からモニタ入力アンロック状態の解錠アイコン52までオペレータの指をスワイプさせる矢印53を表示するので、図1(j)に示されるように、そのモニタ入力ロック解除用のジェスチャ操作を行なうことで、通常処理に戻ることができる。
【0056】
なお、上記フロー中のステップS3における「タッチ操作無し時間の判定」に関しては、全ての画面(初期画面、メニュー画面等)に対して有効に機能させ、如何なるモニタ画面表示においても意図しないモニタ入力操作を防ぐようにする。
【0057】
以上のように、作業機械11に搭載されたタッチパネル34Tでの後方カメラ画像画面34aや計測画面34bなどのモニタ画面表示と、メニュー選択画面34eなどのモニタ入力操作が可能な入力操作画面表示とを切換可能なタッチパネルモニタ34の入力制御方法において、作業機械11の作動可能時は、モニタ画面表示を可能としつつ、タッチパネル34Tでのモニタ入力操作を不可とするモニタ入力ロック状態に制御し、タッチパネル34Tでの特定のモニタ入力ロック解除操作によりモニタ入力ロック状態を解除して入力操作画面表示に切り換えるように制御する。
【0058】
このため、作業機械11に搭載されたタッチパネルモニタ34において、作業機械11の作動可能時は、後方カメラ画像画面34aや計測画面34bなどのモニタ画面表示から必要な情報が得られるとともに、タッチパネル34Tでのモニタ入力操作を不可とするモニタ入力ロック状態に制御し、このモニタ入力ロック状態の解除にはタッチパネル34Tでの特定のモニタ入力ロック解除操作を要求することにより、作業機械11を運転中のオペレータが意図しない不意の動作によってタッチパネル34Tに触れてしまった場合においても、運転中はタッチパネル34Tでの入力操作をロックし、そのロック解除にも特定のジェスチャ操作を要求することにより、オペレータの意図しない動作によるモニタ上の誤操作入力が生じることを防止できる。
【0059】
さらに、油圧ロックスイッチ36は、作業機械11の油圧アクチュエータ21を作動させる油圧回路のレバー操作を不可とする油圧ロック状態と油圧回路のレバー操作を可能とする油圧ロック解除状態とを切り換えるものであり、この油圧ロックスイッチ36による油圧ロック状態から油圧ロック解除状態への切換により、タッチパネル34Tをモニタ入力ロック状態に制御するので、油圧ロック状態から油圧ロック解除状態への切換により作業機械11を作動可能としたときは、自動的にタッチパネル34Tからのモニタ入力が不可能となり、作業機械11の作動時と連動してモニタ上の誤操作入力を確実に防止できる。
【0060】
また、モニタ入力ロック状態が解除されてモニタ入力操作が可能な状態にあっても、一定時間タッチパネル34Tへのモニタ入力操作が無い場合は、自動的にモニタ入力ロック状態に制御するので、オペレータにタッチパネル34Tへのモニタ入力ロック解除操作およびモニタ入力操作を要求することで、オペレータの意図しない入力操作を防止できる。
【0061】
次に、図3に示されるように、タッチパネルモニタ34のタッチパネル34Tが作業機械11の動作に影響がある特定の操作メニューを示す操作画面を表示する場合は、モニタコントローラ(図示せず)およびマシンコントローラ49は、タッチパネル34T上の複数箇所を同時にタッチ操作することで設定変更画面に進むように制御する。
【0062】
例えば、機器の調整(油圧機器などのキャリブレーション)を行なう調整画面、各種動作確認(機器のテスト)を行なうテスト画面のような、タッチパネル34Tにより設定を変更するなどのモニタ入力操作をすることで、例えばフロント作業装置22,23,24が動く、上部旋回体13が旋回する、下部走行体12が走行する、ポンプ吐出圧や各種油圧機器の圧力が変化する、エンジンスピードが変化するなどの作業機械11の機器が実際に動き出すおそれのある画面については、図3(a)に示される設定開始画面34gのように、前述の図1(g)に示された画面34a,34b,34cとは別のモニタ入力ロック状態とする。
【0063】
すなわち、次の設定変更画面34hに進むに際し、単に、図3(b)に示されるようにネクストスイッチ54のみをタッチ操作するのみでは画面が遷移せず、図3(c)に示されるようにネクストスイッチ54と別のOKスイッチ55を同時にタッチ操作することによってのみ、設定開始画面34gを次の設定変更画面34hに遷移させるように制御する。
【0064】
このとき、モニタ入力ロック解除のために特別な操作が必要であることを認識させるため、図3(a)に示されるようにネクストスイッチ54上に例えばモニタ入力ロック状態の施錠アイコン51を表示させ、ネクストスイッチ54をタッチ操作すると図3(b)に示されるように施錠アイコン51を解錠アイコン52へと表示のみを変化させ、図3(c)に示されるようにネクストスイッチ54をタッチしたまま別のOKスイッチ55を同時にタッチすることによって、油圧機器などのキャリブレーション調整画面へと切り換えることができる。
【0065】
このように、OKスイッチ55を押すことで作業機械11の機器を調整するために機器が自動的に動き始めてしまうようなおそれのある機器の調整(キャリブレーション)を行なう画面や、OKスイッチ55を押すことでテスト出力が開始されるような各種動作確認(機器のテスト)を行なう画面では、すなわちキャリブレーションなど誤操作入力により作業機械11が動いてしまう危険性がある画面については、OKスイッチ55と解錠アイコン52の2点タッチを求め、2点を同時にタッチしないと操作として認めないようにする。
【0066】
逆に、1点タッチまたはスワイプで可能な操作は、画面のスクロール、アイコンの選択(画面の移動)、値の増減操作などの、操作することで機器が動き出す可能性が無い画面操作に限られる。
【0067】
なお、2点タッチを要求する場合のスイッチの組み合わせは、実際に操作したいネクストスイッチ54に重ねて表示したモニタ入力ロック解除用シンボルである解錠アイコン52とOKスイッチ55とを例示したが、これは一例であり、他に例えば解錠アイコン52とスタートボタンなど、画面に応じて組み合わせは変更可能である。ただし、一方はモニタ入力ロック解除用シンボルである解錠アイコン52とすることが望ましい。
【0068】
以上のように、タッチパネル34Tが作業機械11の動作に影響があるような操作画面を表示する場合は、特別なモニタ入力ロック解除用のジェスチャ操作をすることが望ましく、意図せず操作することが困難な、例えばタッチパネル34T上の2点を同時にタッチ操作することで設定開始画面34gから設定変更画面34hに進むように制御するので、オペレータが意図しないモニタ入力操作を行なうおそれを、より厳しく防止できる。
【産業上の利用可能性】
【0069】
本発明は、作業機械用タッチパネルモニタの入力制御方法を実施する事業者にとって産業上の利用可能性がある。
【符号の説明】
【0070】
11 作業機械
21 油圧アクチュエータ
34 タッチパネルモニタ
34T タッチパネル
36 油圧ロックスイッチ
図1
図2
図3
図4
図5