(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
操作部材および前記操作部材に加えられる操作力を検出する操作力検出手段とからなるポインティングスティックと、 操作面、前記操作面に近接する物体の位置を検出する位置検出手段、および前記操作面に対するプッシュ操作を検出するプッシュ検出手段とからなるタッチパッドと、 ポインティングスティックモードにおいて前記プッシュ検出手段によって前記プッシュ操作が検出されたときにはポインティングスティック用機能を実行することができ、タッチパッドモードにおいて前記プッシュ操作が検出されたときにはタッチパッド用機能を実行することができる制御手段と、を備えた入力装置であって、 前記制御手段は、前記ポインティングスティックモードにおいて前記プッシュ検出手段が前記プッシュ操作を検出したとき、前記位置検出手段で検出された前記物体の位置が前記操作面における一部の領域である第1領域であるならば前記ポインティングスティック用機能を実行し、前記位置検出手段で検出された前記物体の位置が前記第1領域と異なる第2領域であるならば前記タッチパッド用機能を実行し、 前記ポインティングスティックモードにおいて前記位置検出手段によって前記第2領域におけるスライド操作が検出されたときには前記タッチパッドモードに移行し、前記第1領域におけるスライド操作が検出されたときには前記タッチパッドモードに移行せず前記ポインティングスティックモードを維持することを特徴とする入力装置。
前記制御手段は、前記タッチパッドモードにおいて前記操作力検出手段における前記操作力が検出されたときには前記ポインティングスティックモードに移行することを特徴とする請求項1に記載の入力装置。
操作部材および前記操作部材に加えられる操作力を検出する操作力検出手段とからなるポインティングスティックと、 操作面、前記操作面に近接する物体の位置を検出する位置検出手段、および前記操作面に対する物体の接触時間を計測してタップ操作を検出するタップ検出手段とからなるタッチパッドと、 ポインティングスティックモードにおいて前記タップ検出手段によって前記タップ操作が検出されたときにはポインティングスティック用機能を実行し、タッチパッドモードにおいて前記タップ操作が検出されたときにはタッチパッド用機能を実行する制御手段と、を備えた入力装置であって、 前記制御手段は、前記ポインティングスティックモードにおいて前記タップ検出手段が前記タップ操作を検出したとき、前記位置検出手段で検出された前記物体の位置が前記操作面における一部の領域である第1領域であるならば前記ポインティングスティック用機能を実行し、前記位置検出手段で検出された前記物体の位置が前記第1領域と異なる第2領域であるならば前記タッチパッド用機能を実行し、 前記ポインティングスティックモードにおいて前記位置検出手段によって前記第2領域におけるスライド操作が検出されたときには前記タッチパッドモードに移行し、前記第1領域におけるスライド操作が検出されたときには前記タッチパッドモードに移行せず前記ポインティングスティックモードを維持することを特徴とする入力装置。
前記制御手段は、前記タッチパッドモードにおいて前記操作力検出手段における前記操作力が検出されたときには前記ポインティングスティックモードに移行することを特徴とする請求項3に記載の入力装置。
【背景技術】
【0002】
ノート型コンピュータ装置等の電子装置において、搭載されている入力装置が操作者にとって使いやすいものであることが要望されている。例えば、特許文献1に、パッド状ポインティングデバイス(タッチパッド)およびスティック状ポインティングデバイス(ポインティングスティック)の両方の入力装置が搭載された電子装置が開示されている。
【0003】
図10は特許文献1に記載の電子装置(パーソナルコンピュータ本体200)の外観を示す図であり、
図10(a)は斜視図であり、
図10(b)は操作部の拡大図である。パーソナルコンピュータ本体200に内蔵のキーボード201の中央にスティック状ポインティングデバイス202の操作部材が配置され、パッド状ポインティングデバイス203はキーボード201の手前(操作者)側に配置され、パーソナルコンピュータ本体200に内蔵されている。さらに、
図10(a)の表示画面上を移動するマウスポインタを用いたクリック操作のために、
図10(b)に示すタッチパッド用ボタン205がパッド状ポインティングデバイス203のさらに手前側に配置されている。
【0004】
マイクロコンピュータは、これらの入力デバイスからの操作イベントを受け取り、これに応じた処理を実行する。マイクロコンピュータが、スティック状ポインティングデバイス202の操作直後の一定時間は、パッド状ポインティングデバイス203をタップ操作した場合、通常動作モード(マウスポインタの移動操作)ではなく2種類(左右)のボタン動作モード(マウスのクリック操作)として動作させる。パッド状ポインティングデバイス203においてスライド操作がされた場合にはパッド状ポインティングデバイス203の全面がタッチパッドモードとなり、タッチパッドモードにおいてパッド状ポインティングデバイス203をタップ操作するとタッチパッド用の機能が実行されるようになっており、スティック状ポインティングデバイス202において操作部材のスティック操作がされた場合にはパッド状ポインティングデバイス203の全面がポインティングスティックモードとなり、ポインティングスティックモードにおいてパッド状ポインティングデバイス203をタップ操作するとポインティングスティック用の機能が実行されるようになっている。
【0005】
これにより、キーボード201とパッド状ポインティングデバイス203との間に配置されるスティック状ポインティングデバイス202の左右ボタンが不要にできる。こうすれば、スティック状ポインティングデバイス202の操作に対し、操作ボタン数を増加させず、かつ操作性を良好なものとすることができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、操作者はパッド状ポインティングデバイス203(タッチパッド)をタップまたはプッシュした場合にタッチパッド用の機能が実行されると考えているのが普通である。そのため、スティック状ポインティングデバイス202(ポインティングスティック)の操作部材を操作した後にタッチパッド用の機能を実行させようとしてパッド状ポインティングデバイス203(タッチパッド)をタップまたはプッシュすることがある。このとき、従来の技術では、ポインティングスティック用の機能が実行されてしまい、操作者の意図とは異なる機能が実行されてしまう、という問題があった。
【0008】
本発明は、上述した課題を解決するもので、ポインティングスティックの操作部材を操作した後にタッチパッド用の機能を実行させようとしたときに、誤ってポインティングスティック用の機能を実行させてしまうことなくタッチパッド用の機能を実行させることができる入力装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の入力装置は、操作部材および前記操作部材に加えられる操作力を検出する操作力検出手段とからなるポインティングスティックと、操作面、前記操作面に近接する物体の位置を検出する位置検出手段、および前記操作面に対するプッシュ操作を検出するプッシュ検出手段とからなるタッチパッドと、ポインティングスティックモードにおいて前記プッシュ検出手段によって前記プッシュ操作が検出されたときにはポインティングスティック用機能を実行することができ、タッチパッドモードにおいて前記プッシュ操作が検出されたときにはタッチパッド用機能を実行することができる制御手段と、を備えた入力装置であって、前記制御手段は、前記ポインティングスティックモードにおいて前記プッシュ検出手段が前記プッシュ操作を検出したとき、前記位置検出手段で検出された前記物体の位置が前記操作面における一部の領域である第1領域であるならば前記ポインティングスティック用機能を実行し、前記位置検出手段で検出された前記物体の位置が前記第1領域と異なる第2領域であるならば前記タッチパッド用機能を実行
し、前記ポインティングスティックモードにおいて前記位置検出手段によって前記第2領域におけるスライド操作が検出されたときには前記タッチパッドモードに移行し、前記第1領域におけるスライド操作が検出されたときには前記タッチパッドモードに移行せず前記ポインティングスティックモードを維持することが好ましい。
【0010】
この構成によれば、ポインティングスティックの操作部材を操作した後にタッチパッド用機能を実行させようとしたときに、第2領域をプッシュ操作すれば、誤ってポインティングスティック用機能を実行させることなくタッチパッド用機能を実行させることができる。
また、ポインティングスティックモードにおいて第1領域のプッシュ操作をしようとしたときに誤ってスライド操作をしてしまうことがあるが、そのときにタッチパッドモードに移行すると操作者の意図と反することになる。しかし、上記の構成によって、位置検出手段によって第1領域におけるスライド操作を検出してもポインティングスティックモードが維持されてタッチパッドモードに移行しないようにすれば操作者の意図と反する動作を防止することができる。
【0011】
また、上記の入力装置において、前記制御手段は、前記タッチパッドモードにおいて前記操作力検出手段における前記操作力が検出されたときには前記ポインティングスティックモードに移行することが好ましい。
【0013】
また、本発明の入力装置は、操作部材および前記操作部材に加えられる操作力を検出する操作力検出手段とからなるポインティングスティックと、操作面、前記操作面に近接する物体の位置を検出する位置検出手段、および前記操作面に対する物体の接触時間を計測してタップ操作を検出するタップ検出手段とからなるタッチパッドと、ポインティングスティックモードにおいて前記タップ検出手段によって前記タップ操作が検出されたときにはポインティングスティック用機能を実行し、タッチパッドモードにおいて前記タップ操作が検出されたときにはタッチパッド用機能を実行する制御手段と、を備えた入力装置であって、前記制御手段は、前記ポインティングスティックモードにおいて前記タップ検出手段が前記タップ操作を検出したとき、前記位置検出手段で検出された前記物体の位置が前記操作面における一部の領域である第1領域であるならば前記ポインティングスティック用機能を実行し、前記位置検出手段で検出された前記物体の位置が前記第1領域と異なる第2領域であるならば前記タッチパッド用機能を実行
し、前記ポインティングスティックモードにおいて前記位置検出手段によって前記第2領域におけるスライド操作が検出されたときには前記タッチパッドモードに移行し、前記第1領域におけるスライド操作が検出されたときには前記タッチパッドモードに移行せず前記ポインティングスティックモードを維持することが好ましい。
【0014】
この構成によれば、ポインティングスティックの操作部材を操作した後にタッチパッド用機能を実行させようとしたときに、第2領域をタップ操作すれば、誤ってポインティングスティック用機能を実行させることなくタッチパッド用機能を実行させることができる。
また、ポインティングスティックモードにおいて第1領域のタップ操作をしようとしたときに誤ってスライド操作をしてしまうことがあるが、そのときにタッチパッドモードに移行すると操作者の意図と反することになる。しかし、上記の構成によって、位置検出手段によって第1領域におけるスライド操作を検出してもポインティングスティックモードが維持されてタッチパッドモードに移行しないようにすれば操作者の意図と反する動作を防止することができる。
【0015】
また、上記の入力装置において、前記制御手段は、前記タッチパッドモードにおいて前記操作力検出手段における前記操作力が検出されたときには前記ポインティングスティックモードに移行することが好ましい。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、ポインティングスティックモードにおいて、タッチパッドで検出された物体の位置が操作面における第1領域であるならばポインティングスティック用機能を実行し、第2領域であるならばタッチパッド用機能を実行する。したがって、ポインティングスティックの操作部材を操作した後にタッチパッド用の機能を実行させようとしたときに、誤ってポインティングスティック用の機能を実行させてしまうことなくタッチパッド用の機能を実行させることができる入力装置を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて詳細に説明する。なお、分かりやすいように、図面は寸法を適宜変更している。
【0020】
[第1実施形態]
図1は、本発明の第1実施形態の入力装置1を備えた電子機器100の斜視図である。
図2は、本発明の第1実施形態の入力装置1を模式的に示す平面図である。
図3は、本発明の第1実施形態の入力装置1を示すブロック図である。
図4は、本発明の第1実施形態の入力装置1における処理手順を示すフローチャートである。
図5は、
図4の続きの処理手順を示すフローチャートである。
【0021】
本発明の第1実施形態の入力装置1は、ノート型コンピュータ装置等の電子機器100に搭載されている。電子機器100は、
図1に示すように、操作部101に、ポインティングスティックの操作部材11およびタッチパッドの操作面15を備えている。また、操作部101には、キーボードのキースイッチ40を備えている。
【0022】
キーボードは、複数のキースイッチ40が横方向(X方向)と縦方向(Y方向)に規則的に並んで配列している。それぞれのキースイッチ40には押圧スイッチが個別に設けられており、いずれかのキースイッチ40が押されると、検出回路を介して信号が得られる。
【0023】
入力装置1は、ポインティングスティックと、タッチパッドと、制御手段18と、を備えている。ポインティングスティックは、棒状の操作部材11の頭部が操作部101に露出している他、操作部材11に加えられる操作力を検出する操作力検出手段12を備えている。操作力検出手段12は、例えば、可撓性基板に歪素子材料が形成された歪検出素子を備えた検出回路である。
【0024】
タッチパッドは、略四角形状の操作面15が操作部101に露出している他、操作面15に近接する物体の位置を検出する位置検出手段16、および操作面15に対するプッシュ操作を検出するプッシュ検出手段17を備えている。位置検出手段16は、物体の近接による静電容量の変化を検出する静電容量検出電極パターンを備えた検出回路である。プッシュ検出手段17は、例えば、操作面15の裏面側の所定位置に配置された押圧スイッチを備えた検出回路である。また、操作面15は、押圧スイッチの接離動作を可能とするように可動支持されている。なお、本実施形態では、
図2に示す操作面15の一部の領域である第1領域15Aと、それ以外の領域である第2領域15Bとに、ソフトウエア上で分割し、異なる処理を実行させることができる。
【0025】
制御手段18には、
図3に示すように、操作力検出手段12、位置検出手段16、およびプッシュ検出手段17が接続されている。制御手段18には、所定の時間間隔で、操作力検出手段12および位置検出手段16からのデータが取得される。プッシュ検出手段17はプッシュ操作を検出したときに取得される割り込み信号である。これにより、制御手段18は、ポインティングスティックモードにおいてプッシュ検出手段17によってプッシュ操作が検出されたときにはポインティングスティック用機能を実行することができ、タッチパッドモードにおいてプッシュ操作が検出されたときにはタッチパッド用機能を実行することができる。
【0026】
操作部101は、キーボードのキースイッチ40、ポインティングスティックの操作部材11およびタッチパッドの操作面15を操作することによって、電子機器100の入力操作を行うことが可能である。ポインティングスティックの操作ボタンおよびタッチパッドの操作ボタンを配置しなくてもよいので、タッチパッドの操作面15の面積を相対的に大きくすることができる。なお、これらの他に、表示画面を操作面とするタッチパネルを備えていてもよい。また、電子機器100はノートブック型パーソナルコンピュータに限定されるものではない。
【0027】
次に、本実施形態の入力装置1における制御手段18の処理手順について、
図4〜
図5を参照して説明する。
【0028】
入力装置1は、動作を開始すると、操作力検出手段12および位置検出手段16がそれぞれ所定の時間間隔で測定を繰り返している。制御手段18は、
図4に示す手順S11の初期状態でタッチパッドモード(以下、TPモードと略称する)に設定されており、タッチパッド操作が有効となっている。本実施形態では、操作力検出手段12における操作力が検出されない場合、後述する通常のタッチパッド操作を行うことができる。
【0029】
この状態において、ポインティングスティックの操作部材11が操作されると、手順S12で操作力検出手段12における操作力が検出されたことが判定される。このときには、手順S13でポインティングスティックモード(以下、PSモードと略称する)に移行する。PSモードにおいては、ポインティングスティック操作が有効になっている。
【0030】
PSモードにおいて、ポインティングスティックの操作部材11を操作することによって、例えば、画面上のカーソルを移動させることができる。
【0031】
本実施形態では、
図4に示す手順S14で、プッシュ検出手段17がタッチパッドの操作面15へのプッシュ操作を検出したとき、手順S15に移行する。PSモードでプッシュ操作が検出されることなく操作部材11が操作される場合は、手順S12〜S14が繰り返される。手順S14でプッシュ操作を検出したときは、そのときの位置検出手段16のデータが参照される。手順S15では、位置検出手段16で検出された物体の位置が、操作面15における一部の領域である第1領域15Aであるか判定する。もし、第1領域15Aであるならば、手順S16に移行し、ポインティングスティック用機能(以下、第1機能と略称する)を実行する。具体的には、画面上のカーソル位置に表示されている処理を実行したり、種々の操作可能な処理内容を画面に表示させたりする。なお、PSモードにおいては、以下の場合を除き、通常のタッチパッド操作を行っても処理は実行されない(TPモードが禁止されている)。
【0032】
一方、位置検出手段16で検出された物体の位置が第1領域15Aと異なる第2領域15Bであるならば、手順S17に移行する。手順S17では、タッチパッド用機能(以下、第2機能と略称する)を実行する。すなわち、第2機能として、第1機能を実行する場合とは異なる機能を割り当てていれば、TPモードに切り替えることなく、瞬時に第2機能を実行させることができる。
【0033】
手順S16または手順S17で第1機能または第2機能を実行した後、それらの処理内容が電子機器100のオフ処理でなく、また他のハードウエアやソフトウエアからもオフ処理指令が発せられていなければ、手順S12に戻る。
【0034】
一方、
図4に示す手順S12で操作力検出手段12における操作力が検出されない場合には、手順S21に移行する。手順S21ではPSモードの場合には、タッチパッドの操作面15における操作の有無を手順S22およびS23で判定する。手順S22では、位置検出手段16によって検出された前回の位置座標から物体位置が所定距離以上移動している場合にスライド操作が実行されたものと判定する。スライド操作が実行された場合、手順S23において、物体位置(スライド操作位置)が第2領域15Bであるか判定する。もし、第2領域15Bでのスライド操作であると判定された場合は、手順S24のTPモードに移行し、後述するTPモードの処理が実行される。なお、操作力が検出されている間はTPモードに移行することがなく、また、PSモードでは使用することがない第2領域をスライド操作することでTPモードに切り替わるようにしているので、PSモードの操作中に操作面15に掌等が触れても誤動作することはない。
【0035】
一方、手順S22でスライド操作が実行されたと判定されないとき、および、手順S23で第1領域15Aでのスライド操作であると判定されたときには、手順S14に移行し、さらに手順S14でプッシュ操作が検出されないときには手順S12に戻る。
【0036】
図4に示す手順S24でTPモードに移行した場合、TPモードの処理が実行される。位置検出手段16で物体の位置座標が記憶され、例えば、物体の位置座標をスライド操作することによって、例えば、画面上のカーソルを移動させることができる。なお、TPモードにおいては、操作面15の第1領域15Aと第2領域15Bとをソフトウエア上で区別することなく、全領域をスライド操作領域として使用することができる。
【0037】
図5に示す手順S25で、プッシュ検出手段17がタッチパッドの操作面15へのプッシュ操作を検出したとき、手順S26に移行する。手順S26では、第2機能を実行する。なお、この場合には、位置検出手段16で物体の位置座標が操作面15のどこに位置するかによって、第2機能の処理内容を分けることができるが、PSモード(手順S14〜手順S17)における判定条件とは異なっている。
【0038】
手順S26で第2機能を実行した後、または手順S25でプッシュ操作が検出されなかったとき、処理内容が電子機器100のオフ処理でなく、また他のハードウエアやソフトウエアからもオフ処理指令が発せられていなければ、
図4に示す手順S11に戻る。
【0039】
以下、本実施形態としたことによる効果について説明する。
【0040】
本実施形態の入力装置1は、ポインティングスティックとタッチパッドと制御手段18とを備える。ポインティングスティックは、操作部材11および操作部材11に加えられる操作力を検出する操作力検出手段12とからなる。タッチパッドは、操作面15、操作面15に近接する物体の位置を検出する位置検出手段16、および操作面15に対するプッシュ操作を検出するプッシュ検出手段17とからなる。制御手段18は、PSモード(ポインティングスティックモード)においてプッシュ検出手段17がプッシュ操作を検出したとき、位置検出手段16で検出された物体の位置が操作面15の第1領域15Aであるならば、第1機能(ポインティングスティック用機能)を実行する。PSモードにおいてプッシュ検出手段17がプッシュ操作を検出したとき、位置検出手段16で検出された物体の位置が操作面15の第2領域15Bであるならば、第2機能(タッチパッド用機能)を実行する。
【0041】
この構成によれば、ポインティングスティックの操作部材11を操作した後にタッチパッド用機能を実行させようとしたときに、第2領域15Bをプッシュ操作すれば、誤ってポインティングスティック用機能を実行させることなくタッチパッド用機能を実行させることができる。すなわち、PSモードにおいてポインティングスティック用のボタン操作とは異なる機能を第2領域に割り当てていれば、即時にタッチパッド用機能を操作できる。
【0042】
また、制御手段18は、TPモード(タッチパッドモード)において操作力検出手段12における操作力が検出されたときにはPSモード(ポインティングスティックモード)に移行する。PSモードにおいて、位置検出手段16によって第2領域15Bにおけるスライド操作が検出されたときにはTPモードに移行し、第1領域15Aにおけるスライド操作が検出されたときにはPSモードを維持する。
【0043】
PSモードにおいて第1領域15Aのプッシュ操作をしようとしたときに誤ってスライド操作をしてしまうことがあるが、そのときにTPモードに移行すると操作者の意図と反することになる。しかし、上記の構成によって、位置検出手段26によって第1領域15Aにおけるスライド操作を検出してもPSモードが維持されてTPモードに移行しないようにすれば操作者の意図と反する動作を防止することができる。
【0044】
[第2実施形態]
図6は、本発明の第2実施形態の入力装置2を模式的に示す平面図である。
図7は、本発明の第2実施形態の入力装置2を示すブロック図である。
図8は、本発明の第2実施形態の入力装置2における処理手順を示すフローチャートである。
図9は、
図8の続きの処理手順を示すフローチャートである。
【0045】
本発明の第2実施形態の入力装置2は、ポインティングスティックと、タッチパッドと、制御手段28と、を備えている。第2実施形態の入力装置2は、外観上、第1実施形態の入力装置1と同じである。電子機器100の操作部101には、
図6に示すように、操作部材21および操作面25が露出する。
【0046】
ポインティングスティックは、棒状の操作部材21の頭部が露出し、操作部材21に加えられる操作力を検出する操作力検出手段22を備えている。操作力検出手段22は、例えば、可撓性基板に歪素子材料が形成された歪検出素子を備えた検出回路である。
【0047】
タッチパッドは、略四角形状の操作面25が露出し、操作面25に近接する物体の位置を検出する位置検出手段26、および操作面25に対する物体の接触時間を計測してタップ操作を検出するタップ検出手段27を備えている。位置検出手段26は、物体の近接による静電容量の変化を検出する静電容量検出電極パターンを備えた検出回路である。タップ検出手段27は、位置検出手段26で検出された物体の位置座標が変化せずに接触している状態の接触時間を計測する演算回路である。なお、本実施形態では、
図6に示す操作面25の一部の領域である第1領域25Aと、それ以外の領域である第2領域25Bとに、ソフトウエア上で分割し、異なる処理を実行させることができる。
【0048】
制御手段28には、
図7に示すように、操作力検出手段22、位置検出手段26、およびタップ検出手段27が接続されている。制御手段28には、所定の時間間隔で、操作力検出手段22および位置検出手段26からのデータが取得される。タップ検出手段27はタップ操作を検出したときに取得される割り込み信号である。これにより、制御手段28は、ポインティングスティックモードにおいてタップ検出手段27によってタップ操作が検出されたときにはポインティングスティック用機能を実行することができ、タッチパッドモードにおいてタップ操作が検出されたときにはタッチパッド用機能を実行することができる。
【0049】
次に、本実施形態の入力装置2における制御手段28の処理手順について、
図8〜
図9を参照して説明する。
【0050】
入力装置2は、動作を開始すると、操作力検出手段22および位置検出手段26がそれぞれ所定の時間間隔で測定を繰り返している。制御手段28は、
図8に示す手順S31の初期状態でタッチパッドモード(以下、TPモードと略称する)に設定されており、タッチパッド操作が有効となっている。本実施形態では、操作力検出手段22における操作力が検出されない場合、後述する通常のタッチパッド操作を行うことができる。
【0051】
この状態において、ポインティングスティックの操作部材21が操作されると、手順S32で操作力検出手段22における操作力が検出されたことが判定される。このときには、手順S33でポインティングスティックモード(以下、PSモードと略称する)に移行する。PSモードにおいては、ポインティングスティック操作が有効になっている。
【0052】
PSモードにおいて、ポインティングスティックの操作部材21を操作することによって、例えば、画面上のカーソルを移動させることができる。
【0053】
本実施形態では、
図8に示す手順S34で、タップ検出手段27がタッチパッドの操作面25へのタップ操作を検出したとき、手順S35に移行する。PSモードでタップ操作が検出されることなく操作部材21が操作される場合は、手順S32〜S34が繰り返される。手順S34でタップ操作を検出したときは、そのときの位置検出手段26のデータが参照される。手順S35では、位置検出手段26で検出された物体の位置が、操作面25における一部の領域である第1領域25Aであるか判定する。もし、第1領域25Aであるならば、手順S36に移行し、ポインティングスティック用機能(以下、第1機能と略称する)を実行する。具体的には、画面上のカーソル位置に表示されている処理を実行したり、種々の操作可能な処理内容を画面に表示させたりする。なお、PSモードにおいては、以下の場合を除き、通常のタッチパッド操作を行っても処理は実行されない(TPモードが禁止されている)。
【0054】
一方、位置検出手段26で検出された物体の位置が第1領域25Aと異なる第2領域25Bであるならば、手順S37に移行する。手順S37では、タッチパッド用機能(以下、第2機能と略称する)を実行する。すなわち、第2機能として、第1機能を実行する場合とは異なる機能を割り当てていれば、TPモードに切り替えることなく、瞬時に第2機能を実行させることができる。
【0055】
手順S36または手順S37で第1機能または第2機能を実行した後、それらの処理内容が電子機器100のオフ処理でなく、また他のハードウエアやソフトウエアからもオフ処理指令が発せられていなければ、手順S32に戻る。
【0056】
一方、
図8に示す手順S32で操作力検出手段22における操作力が検出されない場合には、手順S41に移行する。手順S41ではPSモードの場合には、タッチパッドの操作面25における操作の有無を手順S42およびS43で判定する。手順S42では、位置検出手段26によって検出された前回の位置座標から物体位置が所定距離以上移動している場合にスライド操作が実行されたものと判定する。スライド操作が実行された場合、手順S43において、物体位置(スライド操作位置)が第2領域25Bであるか判定する。もし、第2領域25Bでのスライド操作であると判定された場合は、手順S44のTPモードに移行し、後述するTPモードの処理が実行される。なお、操作力が検出されている間はTPモードに移行することがなく、また、PSモードでは使用することがない第2領域25Bをスライド操作することでTPモードに切り替わるようにしているので、PSモードの操作中に操作面25の第2領域25Bに掌等が触れても誤動作することはない。
【0057】
一方、手順S42でスライド操作が実行されたと判定されないとき、および、手順S43で第1領域25Aでのスライド操作であると判定されたときには、手順S34に移行し、さらに手順S34でプッシュ操作が検出されないときには手順S32に戻る。
【0058】
図8に示す手順S44でTPモードに移行した場合、TPモードの処理が実行される。位置検出手段26で物体の位置座標が記憶され、例えば、物体の位置座標をスライド操作することによって、例えば、画面上のカーソルを移動させることができる。なお、TPモードにおいては、操作面25の第1領域25Aと第2領域25Bとをソフトウエア上で区別することなく、全領域をスライド操作領域として使用することができる。
【0059】
図9に示す手順S45で、タップ検出手段27がタッチパッドの操作面15へのタップ操作を検出したとき、手順S46に移行する。手順S46では、第2機能を実行する。なお、この場合には、位置検出手段26で物体の位置座標が操作面25のどこに位置するかによって、第2機能の処理内容を分けることができるが、PSモード(手順S34〜手順S37)における判定条件とは異なっている。
【0060】
手順S46で第2機能を実行した後、または手順S45でタップ操作が検出されなかったとき、処理内容が電子機器100のオフ処理でなく、また他のハードウエアやソフトウエアからもオフ処理指令が発せられていなければ、
図8に示す手順S31に戻る。
【0061】
以下、本実施形態としたことによる効果について説明する。
【0062】
本実施形態の入力装置2は、ポインティングスティックとタッチパッドと制御手段28とを備える。ポインティングスティックは、操作部材21および操作部材21に加えられる操作力を検出する操作力検出手段22とからなる。タッチパッドは、操作面25、操作面25に近接する物体の位置を検出する位置検出手段26、および操作面25に対する物体の接触時間を計測してタップ操作を検出するタップ検出手段27とからなる。制御手段18は、PSモード(ポインティングスティックモード)においてタップ検出手段27がタップ操作を検出したとき、位置検出手段26で検出された物体の位置が操作面25における一部の領域である第1領域25Aであるならば、第1機能(ポインティングスティック用機能)を実行する。PSモードにおいてプッシュ検出手段17がプッシュ操作を検出したとき、位置検出手段26で検出された物体の位置が第2領域25Bであるならば、第2機能(タッチパッド用機能)を実行する。
【0063】
この構成によれば、ポインティングスティックの操作部材21を操作した後にタッチパッド用機能を実行させようとしたときに、第2領域25Bをタップ操作すれば、誤ってポインティングスティック用機能を実行させることなくタッチパッド用機能を実行させることができる。すなわち、PSモードにおいてポインティングスティック用のボタン操作とは異なる機能を第2領域に割り当てていれば、即時にタッチパッド用機能を操作できる。
【0064】
また、制御手段28は、TPモード(タッチパッドモード)において操作力検出手段22における操作力が検出されたときにはPSモード(ポインティングスティックモード)に移行する。PSモードにおいて、位置検出手段26によって第2領域25Bにおけるスライド操作が検出されたときにはTPモードに移行し、第1領域25Aにおけるスライド操作が検出されたときにはPSモードを維持する。
【0065】
PSモードにおいて第1領域25Aのタップ操作をしようとしたときに誤ってスライド操作をしてしまうことがあるが、そのときにTPモードに移行すると操作者の意図と反することになる。しかし、上記の構成によって、位置検出手段26によって第1領域25Aにおけるスライド操作を検出してもPSモードが維持されてTPモードに移行しないようにすれば操作者の意図と反する動作を防止することができる。
【0066】
以上のように、本発明の第1実施形態の入力装置1および第2実施形態の入力装置2を具体的に説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、要旨を逸脱しない範囲で種々変更して実施することが可能である。例えば次のように変形して実施することができ、これらも本発明の技術的範囲に属する。
【0067】
(1)本実施形態において、位置検出手段16、17をタッチパッドに設けたが、位置検出回路(演算回路)部分は制御手段18、28の中に設けるように変更してもよい。
【0068】
(2)第2実施形態において、タップ検出手段27をタッチパッドに設けたが、制御手段28の中に設けるように変更してもよい。
【0069】
(3)本実施形態の手順において、PSモードで第2機能を実行した後もPSモードを維持するようにしたが、第2機能(タッチパッド用機能)を実行後にはTPモードに移行するように変更してもよい。