(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
上面が操作面となる板状の操作部材と、 上下方向に弾性変形可能であり、前記操作部材の下側に配置されて前記操作部材を下方に傾動可能に支持する弾性部材と、 前記操作面に近接又は接触する操作体の位置を検出する位置検出手段と、 前記操作部材に対する押圧操作に伴う、前記操作部材の下方への移動を検出する押圧検出手段とを備え、 前記操作面が上側に露出するように筐体に取り付けられる入力装置であって、 前記操作部材は、 前記弾性部材によって支持される被支持部と、 前記被支持部を挟んで互いに反対側に位置する第1端部と第2端部とを有し、 前記第1端部には、前記筐体に上側から当接する第1当接部が設けられ、 前記第1当接部と前記筐体とが当接することによって、前記第1端部の下方への移動が規制されており、 前記弾性部材は、上面と下面とを有する板状のゴム部材であり、 前記弾性部材の上面と下面とには、他の部材と固着可能な粘着部が設けられており、前記弾性部材の下面が固着される台座部を更に備え、 前記弾性部材の上面が前記操作部材に固着されていることを特徴とする入力装置。
前記第2端部には、前記筐体に下側から当接する第2当接部が設けられ、 前記第2当接部と前記筐体とが当接することによって、前記第2端部の上方への移動が規制されていることを特徴とする請求項1に記載の入力装置。
前記第1当接部は、前記操作部材の前記第1端部側の下面であり、前記第1端部の下側に位置するように筐体に設けられた第1規制部に上側から当接し、 前記第2当接部は、前記操作面よりも下側に位置するように前記第2端部に設けられた延出部であり、 前記延出部は、前記第2端部と隣接するように筐体に設けられた第2規制部に下側から当接することを特徴とする請求項2に記載の入力装置。
導電性の材質でできた配線部材を更に備え、 前記操作部材の下面には、接地電極が設けられ、 前記台座部は、導電性の材質でできており、 前記配線部材は、前記接地電極と前記台座部とを電気的に接続していることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の入力装置。
【背景技術】
【0002】
操作面を有する板状の操作部材と、操作部材を傾動可能に支持する支持部材と、操作面に近接又は接触する操作体の位置を検出する位置検出手段と、操作部材に対する押圧操作を検出する押圧検出手段とを備えた、タッチパッド入力装置と呼ばれる入力装置が実用化されている。このような入力装置は、例えば、ノートPC等の電子機器の筐体の上端部の所定の位置に取り付けられ、画面のカーソル移動等に利用される。
【0003】
また、このような入力装置では、組み立て性や低コスト化等の観点から、より簡単な構造のもの、特に、操作部材を傾動可能に支持するための支持構造が簡単なものが求められてきている。このような入力装置に適用可能であり、且つ、支持構造が簡単な従来の入力装置としては、例えば、特許文献1に示す入力装置等が有る。以下、従来の入力装置の構成について、
図10を用いて説明する。
図10は、従来の入力装置の構成を示す説明図であり、特許文献1に係る操作スイッチ231(入力装置)の構成を模式的に示している。
【0004】
操作スイッチ231は、携帯電話機やノートPCやAV機器やゲーム機器等の電子機器201の操作部に用いられる操作スイッチである。操作スイッチ231は、
図10に示すように、ベースシート212と、キートップ213と、スペーサ234と、押し子235と、接点205とを備え、電子機器201側の回路基板204に取り付けられている。
【0005】
ベースシート212は、操作スイッチ231のベース部材となる板状の部材である。ベースシート212の一方端側には押し子235が配置され、ベースシート212の他方端側にはスペーサ234が配置されている。キートップ213は、操作者からの押圧操作を受け付けている。キートップ213は、接着層216によってベースシート212に接着されており、ベースシート212とキートップ213とで操作部材を構成している。
【0006】
スペーサ234は、弾性変形可能なゴム状弾性体(ゴム部材)で形成された弾性部材であり、ベースシート212と回路基板204との間に介在して、ベースシート212を傾倒(傾動)可能に支持している。そして、操作部材の押圧部であるキートップ213の一方端側を押圧すると、ベースシート212が傾倒して、ベースシート212の一方端が回路基板204側に移動するようになっている。
【0007】
押し子235は、ベースシート212から回路基板204側に突出する凸部である。また、回路基板204の押し子235と対応する位置には接点205(押圧式のスイッチ)が設けられており、ベースシート212の傾倒に伴って、押し子235から押圧されるようになっている。接点205は、図示しない可動接点と固定接点とを有しており、接点205が押圧されると、可動接点と固定接点との間の接続状態が変化するようになっている。そして、接点205が、操作部材に対する押圧操作を検出する押圧検出手段となっている。操作スイッチ231は、このような簡単な構造の入力装置となっている。
【0008】
尚、特許文献1に示す操作スイッチ231は、タッチパッド入力装置のような入力装置と比較して小型の装置であり、操作スイッチ231の構造をタッチパッド入力装置のような入力装置に適用する場合、操作部材の面積を大型化する必要が有る。また、特許文献1では、操作面に近接又は接触する操作体の位置を検出する方法は開示されていないが、例えば、操作部材の位置に容量検出用電極を形成し、容量検出用電極が形成する静電容量の変化に基づいて操作面に近接又は接触する操作体の位置を検出する方法等が一般的である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
前述したように、特許文献1に示す操作スイッチ231の構造をタッチパッド入力装置のような入力装置に適用する場合、操作部材の面積を大型化する必要が有る。そして、操作部材の面積を大型化した場合には、操作部材の本来の押圧位置以外の位置が誤って押圧され易くなる。一方、操作スイッチ231のような構造では、弾性変形可能なゴム状弾性体が操作部材を支持しているので、本来の押圧位置以外の位置が押圧されても、ゴム状弾性体の弾性変形によって、操作部材が押圧方向に沿って移動する場合が有る。
【0011】
そして、例えば、操作部材の押圧部と反対側の端部が押圧された場合には、押圧部と反対側の端部が押圧方向に沿って移動するが、押圧部側の端部は押圧方向に沿って移動しなくなるという、操作部材の本来の傾動動作とは異なる動作となり易い。そして、操作部材が本来の傾動動作とは異なる動作をした時には、操作部材が押圧方向に沿って移動しても押圧操作として検出されず、操作者に違和感を与えてしまう可能性が有った。
【0012】
本発明は、このような従来技術の実情に鑑みてなされたもので、その目的は、構造が簡単で、且つ、操作者に違和感を与えることの無い入力装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
この課題を解決するために、請求項1に記載の入力装置は、上面が操作面となる板状の操作部材と、上下方向に弾性変形可能であり、前記操作部材の下側に配置されて前記操作部材を下方に傾動可能に支持する弾性部材と、前記操作面に近接又は接触する操作体の位置を検出する位置検出手段と、前記操作部材に対する押圧操作に伴う、前記操作部材の下方への移動を検出する押圧検出手段とを備え、前記操作面が上側に露出するように筐体に取り付けられる入力装置であって、前記操作部材は、前記弾性部材によって支持される被支持部と、前記被支持部を挟んで互いに反対側に位置する第1端部と第2端部とを有し、前記第1端部には、前記筐体に上側から当接する第1当接部が設けられ、前記第1当接部と前記筐体とが当接することによって、前記第1端部の下方への移動が規制されて
おり、前記弾性部材は、上面と下面とを有する板状のゴム部材であり、前記弾性部材の上面と下面とには、他の部材と固着可能な粘着層が形成されており、前記弾性部材の下面が固着される台座部を更に備え、前記弾性部材の上面が前記操作部材に固着されていることを特徴とする。
【0014】
この構成の入力装置では、操作部材の下側に配置された弾性部材を用いて操作部材を支持することによって、操作部材を傾動可能に支持するための支持構造を簡単にし、それによって、入力装置の構造を簡単にすることができる。しかも、第1端部には、筐体に上側から当接する第1当接部が設けられ、第1当接部と筐体とが当接することによって、第1端部の下方への移動が規制されている。そのため、第1端部が下方に押圧されても、第1端部は下方に移動しないので、操作部材が下方に移動したにもかかわらず押圧操作として検出されないという状態の発生を防止することができる。その結果、入力装置の構造を簡単にし、且つ、操作者に違和感を与えないようにすることができる。
また、弾性部材が板状のゴム部材なので、弾性部材の構造が簡単である。また、弾性部材の上面と下面とには、他の部材と固着可能な粘着層が形成されているので、弾性部材を他の部材に容易に取り付けることができ、入力装置の組み立てが容易である。さらに、弾性部材の下面を台座部に固着し、弾性部材の上面を操作部材に固着することによって、操作部材と弾性部材と台座部とを一体化することができる。そのため、入力装置を筐体に取り付ける際の部品点数を少なくし、作業性を良くすることができる。また、弾性部材の高さ寸法を変えて弾性を調整する際に、弾性部材の高さ寸法に合わせて台座部の高さ寸法を変化させることができるので、筐体側の寸法を変えることなく弾性部材の弾性を調整することができ、弾性の調整が容易である。
【0015】
請求項2に記載の入力装置は、前記第2端部には、前記筐体に下側から当接する第2当接部が設けられ、前記第2当接部と前記筐体とが当接することによって、前記第2端部の上方への移動が規制されていることを特徴とする。
【0016】
この構成の入力装置では、第2端部には、筐体に下側から当接する第2当接部が設けられ、第2当接部と筐体とが当接することによって、第2端部の上方への移動が規制されている。そのため、第2端部が上方に付勢された場合でも、第2端部の上方への浮き上がりを防止することができ、第2端部の上方への浮き上がりに伴う操作性の低下を抑制することができる。その結果、入力装置の操作性を更に良くすることができる。
【0017】
請求項3に記載の入力装置は、前記第1当接部は、前記操作部材の前記第1端部側の下面であり、前記第1端部の下側に位置するように筐体に設けられた第1規制部に上側から当接し、前記第2当接部は、前記操作面よりも下側に位置するように前記第2端部に設けられた延出部であり、前記延出部は、前記第2端部と隣接するように筐体に設けられた第2規制部に下側から当接することを特徴とする。
【0018】
この構成の入力装置では、第1当接部は、操作部材の第1端部側の下面なので、第1当接部の構造が簡単であり、第1当接部を容易に形成することができる。また、第2当接部は、第2端部に設けられた延出部なので、第2当接部の構造が簡単であり、第2当接部を容易に形成することができる。しかも、延出部が操作面よりも下側に位置するように設けられているので、操作面と筐体との間の段差を無くし易くなり、段差による操作性の低下を抑制し易くなる。
【0023】
請求項4に記載の入力装置は、導電性の材質でできた配線部材を更に備え、前記操作部材の下面には、接地電極が設けられ、前記台座部は、導電性の材質でできており、前記配線部材は、前記接地電極と前記台座部とを電気的に接続していることを特徴とする。
【0024】
この構成の入力装置では、操作部材の接地電極を配線部材と台座部とを介して接地することができるので、入力装置を筐体に取り付けたり、入力装置を筐体から取り外したりする度に、操作部材の接地電極と筐体側の接地用の部材との間の配線を接続し直す必要が無くなり、入力装置を筐体に取り付けたり、入力装置を筐体から取り外したりする際の作業性を良くすることができる。
【0025】
請求項5に記載の電子機器は、請求項1ないし
請求項4のいずれかに記載の入力装置を備えたことを特徴とする。
【0026】
この構成の電子機器は、請求項1ないし請求項6のいずれかに記載の入力装置を備えているので、入力装置の構造を簡単にし、且つ、操作性を良くすることができる。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、構造が簡単で、且つ、操作者に違和感を与えることの無い入力装置を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の実施形態について
図1ないし
図9を参照しながら説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る電子機器の外観を示す説明図である。
図2は、本発明の実施形態に係る入力装置と取付部との外観を示す斜視図である。
図3は、本発明の実施形態に係る入力装置の構成を示す分解斜視図である。
【0030】
図4は、本発明の実施形態に係る入力装置の構造を示す第1の説明図である。
図4(a)は、入力装置2を上から見た場合の模式図であり、
図4(b)は、入力装置2を上から見た場合の模式図である。
図5は、本発明の実施形態に係る入力装置の構造を示す第2の説明図である。
図5(a)は、入力装置2を右から見た場合の模式図であり、
図5(b)は、入力装置2の断面模式図であり、
図4(a)のA1−A1断面に対応している。
図6は、本発明の実施形態に係る入力装置の構造を示す第3の説明図である。
図6(a)は、入力装置2が取付部80に取り付けられる前の状態の断面模式図であり、
図4(a)のA2−A2断面に対応している。
図5(b)は、入力装置2が取付部80に取り付けられた状態の断面模式図であり、
図4(a)のA2−A2断面に対応している。
【0031】
図7は、本発明の実施形態に係る入力装置の動作を示す第1の説明図である。
図7(a)は、本実施形態の入力装置2における、操作部材10が押圧操作されていない時の状態を示す説明図である。
図7(b)は、本実施形態の入力装置2における、操作部材10の第2端部14が下方に押圧された時の動作を示す説明図である。
図7(a)及び
図7(b)は、
図4(a)のA2−A2断面に対応した断面模式図となっている。
図7(b)における矢印は、第2端部14に対する力の方向を示している。
【0032】
図8は、本発明の実施形態に係る入力装置の動作を示す第2の説明図である。
図8(a)は、比較例となる入力装置102における、操作部材110の第1端部13側が下方に押圧された時の動作を示す説明図である。
図8(b)は、本実施形態の入力装置2における、操作部材10の第1端部13側が下方に押圧された時の動作を示す説明図である。
図8(a)及び
図8(b)は、
図4(a)のA2−A2断面に対応した断面模式図となっている。
図8(a)及び
図8(b)における矢印は、第1端部13に対する力の方向を示している。
【0033】
図9は、本発明の実施形態に係る入力装置の動作を示す第3の説明図である。
図9(a)は、比較例となる入力装置102における、操作部材110の第2端部14が上方に付勢された時の動作を示す説明図である。
図9(b)は、本実施形態の入力装置2における、操作部材10の第2端部14側が上方に付勢された時の動作を示す説明図である。
図9(a)及び
図9(b)は、
図4(a)のA2−A2断面に対応した断面模式図となっている。
図9(a)及び
図9(b)における矢印は、第2端部14に対する力の方向を示している。尚、各図における方向は、X1を左、X2を右、Y1を前、Y2を後、Z1を上、Z2を下とする。
【0034】
まず、本発明の実施形態に係る電子機器1及び入力装置2の構成について、
図1ないし
図6を用いて説明する。
図1に示すように、本発明の実施形態に係る電子機器1は、ノートPC等の電子機器であり、入力装置2と、入力装置2が取り付けられる筐体3とを備えている。
【0035】
筐体3の上端部の所定の位置(パームレスト等)には、
図1及び
図2に示すように、入力装置2が取り付けられる取付部80が設けられている。取付部80は、下方に凹となる略直方体の凹部であり、左右及び前後の壁面81と、底面82とを有している。後側の壁面81の下端部側には、前方に突出する段差部である第1規制部83が設けられ、前側の壁面81の上端部側には、後方に突出する凸部である第2規制部84が設けられている。
【0036】
また、底面82の前端部側の所定の位置には、上方に突出する凸部であるスイッチ受部85が設けられ、底面82の後端部側の左端部付近と右端部付近とには、略円形の貫通孔86が設けられ、底面82の中央部には、略長方形の貫通孔87が設けられている。また、筐体3は、金属等の導電性の材質でできており、電子機器1の接地用の部材となっている。
【0037】
入力装置2は、タッチパッド入力装置と呼ばれる入力装置であり、電子機器1において画面のカーソル移動等の入力操作に利用される。入力装置2は、
図3に示すように、操作部材10と、弾性部材30と、台座部40と、位置検出手段50と、押圧検出手段60と、配線部材70とを備えている。
【0038】
操作部材10は、操作者からの操作を受け付けるための部材であり、
図3ないし
図6に示すように、操作板21と、回路基板22とを有している。操作板21は、合成樹脂等でできた略長方形の板状の部材であり、上面と下面とを有している。回路基板22は、略長方形の基板であり、上面と下面とを有している。そして、操作板21の下面が回路基板22の上面に貼り付けられて操作部材10となり、操作板21の上面が、操作部材10の上面となり、回路基板22の下面が操作部材10の下面となっている。
【0039】
操作部材10の上面は、操作者からの操作を受け付ける操作面11となっている。そして、入力装置2は、操作面11が上側に露出し、操作面11が左右方向及び前後方向に対して傾きの無い状態(以下、水平状態と略称)となるように、筐体3の取付部80の上側に取り付けられる。尚、操作部材10が操作者から受け付ける操作は、タッチ操作と押圧操作とである。タッチ操作は、操作面11に操作者の指先等の操作体を近接又は接触させる操作である。押圧操作は、操作面11の前端部を下方に押圧する操作である。
【0040】
操作部材10の下面の後端部寄りの所定の位置には、弾性部材30に支持される被支持部12が設けられている。操作部材10の後端部は、被支持部12から更に後方に延出している。また、操作部材10の前端部には、前方に延出する延出部23が設けられている。そして、延出部23は、操作面11よりも下側に位置するように設けられている。このような延出部23は、回路基板22を積層基板を用いて形成し、延出部23を回路基板22の下側の層となる部材と一体で形成する等の方法によって、容易に形成することができる。以下、操作部材10の後端部を第1端部13とし、被支持部12を挟んで第1端部13の反対側に位置する操作部材10の端部、すなわち、操作部材10の前端部を第2端部14として説明を進める。
【0041】
尚、操作部材10の第1端部13は、
図6に示すように、取付部80の第1規制部83の上側に延出している。そして、操作部材10の第1端部13側の下面が、第1規制部83に上側から当接する第1当接部15となっている。また、操作部材10の延出部23は、
図6に示すように、取付部80の第2規制部84の下側に延出している。そして、延出部23が、第2規制部84に下側から当接する第2当接部16となっている。
【0042】
また、回路基板22の下面の中央部付近には、位置検出用の電子部品51が実装されている。また、回路基板22の上面には、位置検出用の容量検出用電極52が設けられている。そして、電子部品51と容量検出用電極52とで位置検出用の電子回路を構成している。また、回路基板22の下面の前端部側の、スイッチ受部85と対応する位置には、押圧検出用のスイッチ61が配設されている。また、回路基板22の下面の、被支持部12の前方となる位置には、略長方形の接地電極24が形成されている。
【0043】
弾性部材30は、
図3ないし
図6に示すように、左右方向に延びる板状のゴム部材であり、上面と下面とを有している。そして、弾性部材30は、上下方向に弾性変形可能となっている。また、弾性部材30の上面と下面とには、他の部材と固着可能な粘着層が形成されている。このような粘着層は、弾性部材30の上面と下面とに粘着テープを張り付ける等の方法によって容易に形成することができる。
【0044】
台座部40は、
図3ないし
図6に示すように、左右方向に延びる板状の部材であり、上面と下面とを有している。また、台座部40の左端部及び右端部の貫通孔86と対応する位置には、ねじ止め用のねじ孔41がそれぞれ設けられている。また、台座部40は、金属等の導電性の部材でできており、他の導電性の部材と接触することによって、接触した導電性の部材と電気的に接続される。
【0045】
位置検出手段50は、前述した電子部品51と容量検出用電極52とで構成される検出回路である。検出回路は、容量検出用電極52が形成する静電容量をモニタしている。容量検出用電極52が形成する静電容量は、操作面11に操作体が近接又は接触すると変化するようになっている。そして、検出回路は、モニタした静電容量の変化に基づいて、操作面11に近接又は接触する操作体の位置を検出している。尚、このような位置検出方法における検出原理や容量検出用電極52の形状等については公知なので、詳細な説明は省略する。
【0046】
押圧検出手段60は、前述したスイッチ61を有して構成される。スイッチ61は、押圧式のスイッチであり、
図3ないし
図5に示すように、押圧可能な下端部62を有している。そして、スイッチ61の下端部62の押圧に対応して、スイッチ61の接続状態が変化するようになっている。また、スイッチ61の下端部62は、スイッチ61が内蔵する図示しないばね部材によって付勢されており、スイッチ61の下端部62が押圧されると、押圧に対する反発力を発生させるようになっている。
【0047】
配線部材70は、
図3ないし
図6に示すように、金属板等の導電性の材質でできた前後方向に延びる板状の部材を所定の方向に折り曲げて形成される。配線部材70の前端部は回路基板22の接地電極24と電気的に接続され、配線部材70の後端部は台座部40と電気的に接続される。入力装置2は、このような構成となっている。
【0048】
次に、入力装置2の組み立て方法について説明する。図示しないが、入力装置2を組み立てる際には、まず、電子部品51が実装されスイッチ61が配設された回路基板22の下面の被支持部12に対応する位置に、弾性部材30の上面を固着する。そして、それによって、弾性部材30を操作部材10の下側に取り付ける。次に、半田付け等の方法によって、配線部材70の前端部を回路基板22の接地電極24に電気的に接続する。次に、弾性部材30の下面を台座部40の上面に固着し、それによって、台座部40を弾性部材30の下側に取り付ける。
【0049】
尚、台座部40を弾性部材30に取り付ける際に、配線部材70の後端部を弾性部材30と台座部40との間に挟み込むことによって、配線部材70の後端部と台座部40とが接触し、配線部材70の後端部と台座部40とが電気的に接続される。その結果、回路基板22の接地電極24と台座部40とが配線部材70を介して電気的に接続される。入力装置2は、このようにして組み立てられる。
【0050】
次に、入力装置2の筐体3への取り付け方法について説明する。入力装置2を筐体3に取り付ける際には、まず、
図6(a)に示すように、筐体3の取付部80の上側に操作部材10が位置するように、入力装置2を配置する。次に、
図6(b)に示すように、台座部40の下面を取付部80の底面82に当接させると共に、台座部40のねじ孔41と取付部80の貫通孔86との位置合わせを行う。そして、台座部40を取付部80底面82の上側に、ねじ部材88を用いてねじ止めする。
【0051】
入力装置2は、このようにして、取付部80に着脱可能に取り付けられる。そして、操作部材10の操作面11が上側に露出して、操作者からの操作を受け付けるようになる。また、弾性部材30は、操作部材10の被支持部12を下側から支持するようになる。しかも、弾性部材30は、自身の弾性変形によって、操作部材10を傾動可能に支持するようになる。
【0052】
尚、前述したように、入力装置2では、回路基板22の接地電極24と台座部40とが配線部材70を介して電気的に接続されている。また、入力装置2が、このように筐体3に取り付けられた時には、台座部40の下面と取付部80の底面82との接触によって、台座部40が接地用の部材である筐体3と電気的に接続される。その結果、接地電極24が、配線部材70と台座部40とを介して接地されることになる。
【0053】
次に、入力装置2の動作について、
図7ないし
図9を用いて説明する。まず、押圧操作に対応した動作について
図7を用いて説明する。
図7(a)は、本実施形態の入力装置2における、操作部材10が押圧操作されていない時の状態を示す説明図である。
図7(b)は、本実施形態の入力装置2における、操作部材10の第2端部14が下方に押圧された時の動作を示す説明図である。
【0054】
本実施形態では、操作部材10が操作者から受け付ける押圧操作は、操作面11の前端部を下方に押圧する操作、すなわち、操作部材10の第2端部14を下方に押圧する操作である。操作部材10が押圧操作されていない時(以下、非操作時と略称)には、
図7(a)に示すように、操作部材10は水平状態に保たれている。そして、操作部材10の第2端部14が下方に押圧された時(以下、押圧操作時と略称)には、
図7(b)に示すように、弾性部材30が弾性変形することによって、操作部材10の第2端部14が下方に移動する。一方、操作部材10の第2端部14が下方に押圧されても、操作部材10の第1当接部15が取付部80の第1規制部83に上側から当接することによって、操作部材10の第1端部13の下方への移動が規制される。そのため、押圧操作時の操作部材10の動作は、第1端部13の下方への移動が規制され、第2端部14が下方に移動する傾動動作となる。以下、操作部材10がこのような傾動動作をすることを、操作部材10が下方に傾動すると略称する。
【0055】
尚、このような操作部材10の下方への傾動に伴って、スイッチ61が下方に移動し、スイッチ61の下端部62がスイッチ受部85に押圧される。そして、スイッチ61の下端部62が押圧されることによって、スイッチ61の接続状態が変化する。押圧検出手段60は、このようなスイッチ61の接続状態の変化に基づいて、操作部材10に対する押圧操作に伴う、操作部材10の下方への移動を検出している。また、図示しないが、操作部材10に対する押圧操作が解除されると、スイッチ61の下端部62の反発力によって、操作部材10の第2端部14が上方に移動する。そして、操作部材10は、非操作時の状態に戻る。
【0056】
次に、本来の押圧操作における押圧位置とは異なる位置である操作部材10の第1端部13が下方に押圧された時の動作について、
図8を用いて説明する。
図8(a)は、比較例となる入力装置102における、操作部材110の第1端部13側が下方に押圧された時の動作を示す説明図である。
図8(b)は、本実施形態の入力装置2における、操作部材10の第1端部13側が下方に押圧された時の動作を示す説明図である。
【0057】
入力装置102は、従来の支持構造をタッチパッド入力装置に適用した場合の比較例であり、操作部材110と弾性部材130とを備えている。操作部材110は、入力装置2の操作部材10と同様に、操作面11と、弾性部材30に支持される被支持部12と、後端部である第1端部13と、前端部である第2端部14とを有し、操作部材110の下面にはスイッチ61が配設されている。但し、弾性部材130は、入力装置2における台座部40のような部材を介さず、筐体103側の取付部180の底面に直接固着されている。また、取付部180は、第1規制部83と第2規制部84とを有しておらず、操作部材110は、第1当接部15と第2当接部16とを有していない。
【0058】
このように、入力装置102では、操作部材110が第1当接部15を有していないので、第1端部13の下方への移動は規制されない。そのため、
図8(a)に示すように、第1端部13が下方に押圧された時には、操作部材110の動作は、弾性部材130の弾性変形によって操作部材110の第1端部13が下方に移動するが、スイッチ61の下端部62の反発力等によって操作部材110の第2端部14が十分に下方に移動しないという、本来の傾動動作とは異なる動作となる可能性が有った。そして、このような操作部材110の動作では、操作部材10が下方に移動したにもかかわらず押圧操作として検出されず、操作者がスイッチ61の故障とみなしたりして、操作者に違和感を与えてしまう可能性が有った。尚、このような状態が頻発すると、入力装置2の操作性を低下させる可能性も有った。
【0059】
それに対して、本実施形態の入力装置2では、操作部材10が第1当接部15を有しているので、第1端部13の下方への移動が規制される。そのため、
図8(b)に示すように、操作部材10の第1端部13が下方に押圧されても、第1端部13は下方に移動せず、操作部材10は水平状態のままとなる。そして、操作部材10が下方に移動しないので、前述した状態の発生を防止し、操作者に違和感を与えないようにすることができる。
【0060】
次に、操作部材10の第2端部14が上方に付勢された時の動作について、
図9を用いて説明する。
図9(a)は、比較例となる入力装置102における、操作部材110の第2端部14が上方に付勢された時の動作を示す説明図である。
図9(b)は、本実施形態の入力装置2における、操作部材10の第2端部14側が上方に付勢された時の動作を示す説明図である。
【0061】
前述したように、入力装置102では、操作部材110が第2当接部16を有していないので、第2端部14の上方への移動が規制されない。そのため、例えば、第1端部13が下方に強く押圧されたり、第2端部14が上方に吸引されたりする等の理由によって、第2端部14が上方に付勢された時には、
図9(a)に示すように、第2端部14が上方に浮き上がり、操作面11と筐体103の上端部との間に段差が生じてしまう可能性が有った。
【0062】
一方、本実施形態の入力装置2では、操作部材10が第2当接部16を有しているので、第2端部14の上方への移動が規制される。そのため、
図9(b)に示すように、第2端部14が上方に付勢されても、第2端部14が上方に浮き上がって、操作面11と筐体3の上端部との間に段差が生じるのを防止することができる。
【0063】
次に、本実施形態の効果について説明する。本実施形態の入力装置2では、操作部材10の下側に配置された弾性部材30を用いて操作部材10を支持することによって、操作部材10を傾動可能に支持するための支持構造を簡単にし、それによって、入力装置2の構造を簡単にすることができる。しかも、第1端部13には、筐体3の取付部に設けられた第1規制部83に上側から当接する第1当接部15が設けられ、第1当接部15と第1規制部83とが当接することによって、第1端部13の下方への移動が規制されている。そのため、第1端部13が下方に押圧されても、第1端部13は下方に移動しないので、操作部材10が下方に移動したにもかかわらず押圧操作として検出されないという状態の発生を防止することができる。その結果、入力装置2の構造を簡単にし、且つ、操作者に違和感を与えないようにすることができる
【0064】
また、本実施形態の入力装置2では、第2端部14には、筐体3の取付部80に設けられた第2規制部84に下側から当接する第2当接部16が設けられ、第2当接部16と第2規制部84とが当接することによって、第2端部14の上方への移動が規制されている。そのため、第2端部14が上方に付勢された場合でも、第2端部14の上方への浮き上がりを防止することができ、第2端部14の上方への浮き上がりに伴う操作性の低下を抑制することができる。その結果、入力装置2の操作性を更に良くすることができる。
【0065】
また、本実施形態の入力装置2では、第1当接部15は、操作部材10の第1端部13側の下面なので、第1当接部15の構造が簡単であり、第1当接部15を容易に形成することができる。また、第2当接部16は、第2端部14に設けられた延出部23なので、第2当接部16の構造が簡単であり、第2当接部16を容易に形成することができる。尚、例えば、操作部材10の第2端部14側の上面が第2当接部16であっても構わないが、このような場合には、操作面11が第2規制部84よりも下側に位置するようになり、操作面11と筐体3の上端部との間に段差ができて入力装置2の操作性を低下させる要因となる。それに対して、この構成の入力装置2では、延出部23が操作面11よりも下側に位置するように設けられているので、操作面11と筐体3の上端部との間の段差を無くし易くなり、段差による操作性の低下を抑制し易くなる。
【0066】
また、本実施形態の入力装置2では、弾性部材30が板状のゴム部材なので、弾性部材30の構造が簡単である。また、弾性部材30の上面と下面とには、他の部材と固着可能な粘着層が形成されているので、弾性部材30を他の部材に容易に取り付けることができ、入力装置2の組み立てが容易である。
【0067】
また、本実施形態の入力装置2では、弾性部材30の下面を台座部40に固着し、弾性部材30の上面を操作部材10に固着することによって、操作部材10と弾性部材30と台座部40とを一体化することができる。そのため、入力装置2を筐体3に取り付ける際の部品点数を少なくし、作業性を良くすることができる。また、弾性部材30の高さ寸法を変えて弾性を調整する際に、弾性部材30の高さ寸法に合わせて台座部40の高さ寸法を変化させることができるので、筐体3側の寸法を変えることなく弾性部材30の弾性を調整することができ、弾性の調整が容易である。
【0068】
また、本実施形態の入力装置2では、操作部材10の接地電極24を配線部材70と台座部40とを介して接地することができるので、入力装置2を筐体3に取り付けたり、入力装置2を筐体30から取り外したりする度に、操作部材10の接地電極24と接地用の部材である筐体3との間の配線を接続し直す必要が無くなり、入力装置2を筐体3に取り付けたり、入力装置2を筐体3から取り外したりする際の作業性を良くすることができる。
【0069】
また、本実施形態の電子機器1は、このような構成の入力装置2を備えているので、入力装置2の構造を簡単にし、且つ、操作性を良くすることができる。
【0070】
以上、本発明の実施形態について説明してきたが、本発明は上記の実施形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて適宜変更することができる。
【0071】
例えば、本発明の実施形態において、電子機器1は、ゲーム機や車載電子機器等の、ノートPC以外の電子機器であっても構わない。また、電子機器1の規格に合わせて、入力装置2の取り付け位置や取り付け方向を適宜変更しても構わない。
【0072】
また、本発明の実施形態において、所定の機能を実現できるのであれば、入力装置2の構成を適宜変更しても構わない。例えば、回路基板22の上面が樹脂等でコーティングされて操作面11となっていても構わない。その場合、操作板21は無くても構わない。また、延出部23は、回路基板22とは別に形成され、回路基板22の下面に固着されていても構わない。また、弾性部材30の弾性の管理が十分できるのであれば、弾性部材30の下端部が直接取付部80の底面82に固着されていても構わない。その場合、台座部40は無くても構わない。
【0073】
また、本発明の実施形態において、位置検出手段50は、前述した以外の方法で操作面11に近接又は接触する操作体を検出しても構わない。また、押圧検出手段60は、スイッチ61以外の素子を用いて操作部材10に対する押圧操作を検出しても構わない。また、入力装置2は、スイッチ61の下端部62以外に、操作部材10を非操作状態に復帰させるための付勢部材を備えていても構わない。