特許第6292693号(P6292693)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6292693縦型水耕栽培システム及び縦型水耕栽培方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6292693
(24)【登録日】2018年2月23日
(45)【発行日】2018年3月14日
(54)【発明の名称】縦型水耕栽培システム及び縦型水耕栽培方法
(51)【国際特許分類】
   A01G 31/00 20180101AFI20180305BHJP
   A01G 27/00 20060101ALI20180305BHJP
【FI】
   A01G31/00 601B
   A01G27/00 502M
   A01G27/00 502V
【請求項の数】13
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2017-7525(P2017-7525)
(22)【出願日】2017年1月19日
【審査請求日】2017年7月26日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】513218020
【氏名又は名称】長瀬 勝義
(74)【代理人】
【識別番号】100119644
【弁理士】
【氏名又は名称】綾田 正道
(72)【発明者】
【氏名】長瀬 勝義
(72)【発明者】
【氏名】坂口 浩二
(72)【発明者】
【氏名】長島 のぞみ
【審査官】 竹中 靖典
(56)【参考文献】
【文献】 実開平05−020543(JP,U)
【文献】 特表2015−521851(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01G 27/00
A01G 31/00−31/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウスの天井に吊るし又は床面に立設した複数の縦型水耕栽培筒と、縦型水耕栽培筒内に抜き差し可能に収容した培地と、養液収容タンクから培地に養液を供給する養液供給手段と、縦型水耕栽培筒の下部から滴下した養液を収集し、養液収容タンクに回収する養液回収手段と、を備えた縦型水耕栽培システムであって、
前記縦型水耕栽培筒は、その一側面に植物の苗を植え込むための垂直方向のスリットを備え、
前記培地は、保水性シートとその両面を挟み込んだ通気性素材とで構成され、
前記通気性素材の上端より突出した保水性シート上端部を少なくとも一方の通気性素材の上面に折り曲げ載置し、
前記養液供給手段から養液を折り曲げ載置された保水性シートに滴下させるように構成されていることを特徴とする縦型水耕栽培システム。
【請求項2】
ハウスの天井に吊るし又は床面に立設した複数の縦型水耕栽培筒と、縦型水耕栽培筒内に抜き差し可能に収容した培地と、養液収容タンクから培地に養液を供給する養液供給手段と、縦型水耕栽培筒の下部から滴下した養液を収集し、養液収容タンクに回収する養液回収手段と、を備えた縦型水耕栽培システムであって、
前記縦型水耕栽培筒は、その一側面に植物の苗を植え込むための垂直方向のスリットを備え、
前記培地は、保水性シートとその両面を挟み込んだ通気性素材とで構成され、
前記通気性素材の上端より突出した保水性シート上端部を一方の通気性素材の上面に折り曲げ載置し、
前記保水性シートが折り曲げ載置された通気性素材とは反対側の通気性素材の上面に別体の保水性シートを載置し、その下端部を前記保水性シートに接触させた構成とし、
前記養液供給手段から養液を折り曲げ載置された保水性シート又は別体の保水性シートに滴下させるように構成されていることを特徴とする縦型水耕栽培システム。
【請求項3】
ハウスの天井に吊るし又は床面に立設した複数の縦型水耕栽培筒と、縦型水耕栽培筒内に抜き差し可能に収容した培地と、養液収容タンクから培地に養液を供給する養液供給手段と、縦型水耕栽培筒の下部から滴下した養液を収集し、養液収容タンクに回収する養液回収手段と、を備えた縦型水耕栽培システムであって、
前記縦型水耕栽培筒は、その一側面に植物の苗を植え込むための垂直方向のスリットを備え、
前記培地は、保水性シートとその両面を挟み込んだ通気性素材とで構成され、
前記通気性素材の上端より突出した保水性シート上端部を一方の通気性素材の上面に折り曲げ載置し、さらにその先端をもう一方の通気性素材の上面側に折り返し載置し、
前記養液供給手段から養液を折り返し載置された保水性シートに滴下させるように構成されていることを特徴とする縦型水耕栽培システム。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の縦型水耕栽培システムにおいて、
折り曲げ又は折り返し載置された前記保水性シートは、保水性シートを中心として縦型水耕栽培筒の両側壁側に行くに連れて高くなる傾斜状に形成されていること特徴とする縦型水耕栽培システム。
【請求項5】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の縦型水耕栽培システムにおいて、
少なくとも片側の前記通気性素材の上面に保水性シートを中心として外側に行くに連れて高くなる傾斜上面を有する傾斜部材を備えていることを特徴とする縦型水耕栽培システム。
【請求項6】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の縦型水耕栽培システムにおいて、
前記通気性素材の少なくとも片側の上面が保水性シートを中心として外側に行くに連れて高くなる傾斜状に形成されていること特徴とする縦型水耕栽培システム。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項に記載の縦型水耕栽培システムにおいて、
前記養液回収手段は、縦型水耕栽培筒の下部から滴下する養液を回収するドレンパンを備え、該ドレンパンに回収された養液を養液収容タンクに循環させるように構成されていることを特徴とする縦型水耕栽培システム。
【請求項8】
ハウスの天井に吊るし又は床面に立設した複数の縦型水耕栽培筒と、縦型水耕栽培筒内に抜き差し可能に収容した培地と、養液収容タンクから培地に養液を供給する養液供給手段と、縦型水耕栽培筒の下部から滴下した養液を収集し、養液収容タンクに回収する養液回収手段と、を備え、
前記縦型水耕栽培筒は、その一側面に植物の苗を植え込むための垂直方向のスリットを備え、
前記培地を保水性シートとその両面を挟み込んだ通気性素材とで構成し、
前記通気性素材の上端より突出した保水性シート上端部を少なくとも一方の通気性素材の上面に折り曲げ載置し、
前記保水性シートと一方の通気性素材との間に複数の植物の苗を挟み込んだ状態で、前記養液供給手段から養液を折り曲げ載置された保水性シートに滴下させることにより保水性シートに供給された養液で植物の苗を育成することを特徴とする縦型水耕栽培方法。
【請求項9】
ハウスの天井に吊るし又は床面に立設した複数の縦型水耕栽培筒と、縦型水耕栽培筒内に抜き差し可能に収容した培地と、養液収容タンクから培地に養液を供給する養液供給手段と、縦型水耕栽培筒の下部から滴下した養液を収集し、養液収容タンクに回収する養液回収手段と、を備え、
前記縦型水耕栽培筒は、その一側面に植物の苗を植え込むための垂直方向のスリットを備え、
前記培地を保水性シートとその両面を挟み込んだ通気性素材とで構成し、
前記通気性素材の上端より突出した保水性シート上端部を一方の通気性素材の上面に折り曲げ載置し、前記保水性シートが折り曲げ載置された通気性素材とは反対側の通気性素材の上面に別体の保水性シートを載置し、その下端部を前記保水性シートに接触させた構成とし、
前記保水性シートと一方の通気性素材との間に複数の植物の苗を挟み込んだ状態で、前記養液供給手段から養液を折り曲げ載置された保水性シート又は別体の保水性シートに滴下させることにより保水性シートに供給された養液で植物の苗を育成することを特徴とする縦型水耕栽培方法。
【請求項10】
ハウスの天井に吊るし又は床面に立設した複数の縦型水耕栽培筒と、縦型水耕栽培筒内に抜き差し可能に収容した培地と、養液収容タンクから培地に養液を供給する養液供給手段と、縦型水耕栽培筒の下部から滴下した養液を収集し、養液収容タンクに回収する養液循環手段と、を備え、
前記縦型水耕栽培筒は、その一側面に植物の苗を植え込むための垂直方向のスリットを備え、
前記培地を保水性シートとその両面を挟み込んだ通気性素材とで構成し、
前記保水性シートと一方の通気性素材との間に複数の植物の苗を挟み込んだ状態で、前記通気性素材の上端より突出した保水性シート上端部を一方の通気性素材の上面に折り曲げ載置し、さらにその先端をもう一方の通気性素材の上面側に折り返し載置し、
前記保水性シートと一方の通気性素材との間に複数の植物の苗を挟み込んだ状態で、前記養液供給手段から養液を折り返し載置された保水性シートに滴下させることにより保水性シートに供給された養液で植物の苗を育成することを特徴とする縦型水耕栽培方法。
【請求項11】
請求項8〜10のいずれか1項に記載の縦型水耕栽方法において、
折り曲げ又は折り返し載置された前記保水性シートは、保水性シートを中心として縦型水耕栽培筒の両側壁側に行くに連れて高くなる傾斜状に形成されていること特徴とする縦型水耕栽培方法。
【請求項12】
請求項8〜10のいずれか1項に記載の縦型水耕栽培方法おいて、
少なくとも片側の前記通気性素材の上面に保水性シートを中心として外側に行くに連れて高くなる傾斜上面を有する傾斜部材を備えることを特徴とする縦型水耕栽培方法。
【請求項13】
請求項8〜10のいずれか1項に記載の縦型水耕栽培方法おいて、
少なくとも片側の前記通気性素材の上面が保水性シートを中心として外側に行くに連れて高くなる傾斜状に形成されていること特徴とする縦型水耕栽培方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、縦型水耕栽培システム及び縦型水耕栽培方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、縦型水耕栽培システムとしては、特許文献1に記載の物が知られている。
この従来例の縦型水耕栽培システムは、コンテナを用いたLED照明型であるが、コンテナの天井に吊るした複数の垂直ラック(縦型水耕栽培筒)と、垂直ラック内の培地に養液を供給する灌漑システム(養液供給手段)と、垂直ラックから滴り落ちた養液を収集し、栄養貯蔵室(養液収容タンク)に送り返す戻り溝(養液回収循環手段)と、人工光による照明システムと、を備えている。
また、前記垂直ラックは、断面方形でその一側面に植物の苗を植え込むための垂直方向のスリットを備えた構造になっている。この垂直ラック内にはスポンジ、ヤシ殻、ロックウール、等の培地が交換可能に差し込まれている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2015−521851号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来例の縦型水耕栽培システムのように、縦型水耕栽培筒内に1種類の培地を収容した状態では、培地内の空壁を水と空気が奪い合うことになるので、養液量によって気相比率が低くなって根腐れを生じる等、栽培を成功させることが簡単ではなく、また、水相・気体相のバランスが良いもののみに使用が限られていた。
すなわち、培地の保水性が高く通気性が低い(培地中の気相比率が低すぎる)と、根腐れを生じ、逆に通気性が高く保水性が低い(培地中の液相比率が低すぎる)と、苗を枯らさないためには大量の養液の供給が必要で、養液の供給又は循環に用いられるポンプの容量が大きくなるため、設備費及びランニングコストが高くつくという問題点があった。
【0005】
本発明の解決しようとする課題は、栽培植物の根腐れを防止し、少ない養液の供給で植物を効率的に栽培することができる縦型水耕栽培システム及び縦型水耕栽培方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため請求項1記載の縦型水耕栽培システムは、ハウスの天井に吊るし又は床面に立設した複数の縦型水耕栽培筒と、縦型水耕栽培筒内に抜き差し可能に収容した培地と、養液収容タンクから培地に養液を供給する養液供給手段と、縦型水耕栽培筒の下部から滴下した養液を収集し、養液収容タンクに回収する養液回収手段と、を備えた縦型水耕栽培システムであって、
前記縦型水耕栽培筒は、その一側面に植物の苗を植え込むための垂直方向のスリットを備え、
前記培地は、保水性シートとその両面を挟み込んだ通気性素材とで構成され、
前記通気性素材の上端より突出した保水性シート上端部を少なくとも一方の通気性素材の上面に折り曲げ載置し
前記養液供給手段から養液を折り曲げ載置された保水性シートに滴下させるように構成されていることを特徴とする。
【0007】
請求項2記載の縦型水耕栽培システムは、ハウスの天井に吊るし又は床面に立設した複数の縦型水耕栽培筒と、縦型水耕栽培筒内に抜き差し可能に収容した培地と、養液収容タンクから培地に養液を供給する養液供給手段と、縦型水耕栽培筒の下部から滴下した養液を収集し、養液収容タンクに回収する養液回収手段と、を備えた縦型水耕栽培システムであって、
前記縦型水耕栽培筒は、その一側面に植物の苗を植え込むための垂直方向のスリットを備え、
前記培地は、保水性シートとその両面を挟み込んだ通気性素材とで構成され、
前記通気性素材の上端より突出した保水性シート上端部を一方の通気性素材の上面に折り曲げ載置し
前記保水性シートが折り曲げ載置された通気性素材とは反対側の通気性素材の上面に別体の保水性シートを載置し、その下端部を前記保水性シートに接触させた構成とし、
前記養液供給手段から養液を折り曲げ載置された保水性シート又は別体の保水性シートに滴下させるように構成されていることを特徴とする。
【0008】
請求項3記載の縦型水耕栽培システムは、ハウスの天井に吊るし又は床面に立設した複数の縦型水耕栽培筒と、縦型水耕栽培筒内に抜き差し可能に収容した培地と、養液収容タンクから培地に養液を供給する養液供給手段と、縦型水耕栽培筒の下部から滴下した養液を収集し、養液収容タンクに回収する養液回収手段と、を備えた縦型水耕栽培システムであって、
前記縦型水耕栽培筒は、その一側面に植物の苗を植え込むための垂直方向のスリットを備え、
前記培地は、保水性シートとその両面を挟み込んだ通気性素材とで構成され、
前記通気性素材の上端より突出した保水性シート上端部を一方の通気性素材の上面に折り曲げ載置し、さらにその先端をもう一方の通気性素材の上面側に折り返し載置し
前記養液供給手段から養液を折り返し載置された保水性シートに滴下させるように構成されていることを特徴とする。
【0009】
請求項4記載の縦型水耕栽培システムは、請求項1〜3のいずれか1項に記載の縦型水耕栽培システムにおいて、
折り曲げ又は折り返し載置された前記保水性シートは、保水性シートを中心として縦型水耕栽培筒の両側壁側に行くに連れて高くなる傾斜状に形成されていること特徴とする。
【0010】
請求項5記載の縦型水耕栽培システムは、前記請求項1〜3のいずれか1項に記載の縦型水耕栽培システムにおいて、
少なくとも片側の前記通気性素材の上面に保水性シートを中心として外側に行くに連れて高くなる傾斜上面を有する傾斜部材を備えていることを特徴とする。
【0011】
請求項6記載の縦型水耕栽培システムは、請求項1〜3のいずれか1項に記載の縦型水耕栽培システムにおいて、
前記通気性素材の少なくとも片側の上面保水性シートを中心として外側に行くに連れて高くなる傾斜状に形成されていること特徴とする。
【0012】
請求項7記載の縦型水耕栽培システムは、請求項1〜6のいずれか1項に記載の縦型水耕栽培システムにおいて、
前記養液回収手段は、縦型水耕栽培筒の下部から滴下する養液を回収するドレンパンを備え、該ドレンパンに回収された養液を養液収容タンクに循環させるように構成されていることを特徴とする。
【0013】
請求項8記載の縦型水耕栽培方法は、ハウスの天井に吊るし又は床面に立設した複数の縦型水耕栽培筒と、縦型水耕栽培筒内に抜き差し可能に収容した培地と、養液収容タンクから培地に養液を供給する養液供給手段と、縦型水耕栽培筒の下部から滴下した養液を収集し、養液収容タンクに回収する養液回収手段と、を備え、
前記縦型水耕栽培筒は、その一側面に植物の苗を植え込むための垂直方向のスリットを備え、
前記培地を保水性シートとその両面を挟み込んだ通気性素材とで構成し、
前記通気性素材の上端より突出した保水性シート上端部を少なくとも一方の通気性素材の上面に折り曲げ載置し、
前記保水性シートと一方の通気性素材との間に複数の植物の苗を挟み込んだ状態で、前記養液供給手段から養液を折り曲げ載置された保水性シートに滴下させることにより保水性シートに供給された養液で植物の苗を育成することを特徴とする。
【0014】
請求項9記載の縦型水耕栽培方法は、ハウスの天井に吊るし又は床面に立設した複数の縦型水耕栽培筒と、縦型水耕栽培筒内に抜き差し可能に収容した培地と、養液収容タンクから培地に養液を供給する養液供給手段と、縦型水耕栽培筒の下部から滴下した養液を収集し、養液収容タンクに回収する養液回収手段と、を備え、
前記縦型水耕栽培筒は、その一側面に植物の苗を植え込むための垂直方向のスリットを備え、
前記培地を保水性シートとその両面を挟み込んだ通気性素材とで構成し、
前記通気性素材の上端より突出した保水性シート上端部を一方の通気性素材の上面に折り曲げ載置し、前記保水性シートが折り曲げ載置された通気性素材とは反対側の通気性素材の上面に別体の保水性シートを載置し、その下端部を前記保水性シートに接触させた構成とし、
前記保水性シートと一方の通気性素材との間に複数の植物の苗を挟み込んだ状態で、前記養液供給手段から養液を折り曲げ載置された保水性シート又は別体の保水性シートに滴下させることにより保水性シートに供給された養液で植物の苗を育成することを特徴とする。
【0015】
請求項10記載の縦型水耕栽培方法は、ハウスの天井に吊るし又は床面に立設した複数の縦型水耕栽培筒と、縦型水耕栽培筒内に抜き差し可能に収容した培地と、養液収容タンクから培地に養液を供給する養液供給手段と、縦型水耕栽培筒の下部から滴下した養液を収集し、養液収容タンクに回収する養液循環手段と、を備え、
前記縦型水耕栽培筒は、その一側面に植物の苗を植え込むための垂直方向のスリットを備え、
前記培地を保水性シートとその両面を挟み込んだ通気性素材とで構成し、
前記保水性シートと一方の通気性素材との間に複数の植物の苗を挟み込んだ状態で、前記通気性素材の上端より突出した保水性シート上端部を一方の通気性素材の上面に折り曲げ載置し、さらにその先端をもう一方の通気性素材の上面側に折り返し載置し、
前記保水性シートと一方の通気性素材との間に複数の植物の苗を挟み込んだ状態で、前記養液供給手段から養液を折り返し載置された保水性シートに滴下させることにより保水性シートに供給された養液で植物の苗を育成することを特徴とする。
【0016】
請求項11記載の縦型水耕栽培方法は、請求項8〜10のいずれか1項に記載の縦型水耕栽方法において、
折り曲げ又は折り返し載置された前記保水性シートは、保水性シートを中心として縦型水耕栽培筒の両側壁側に行くに連れて高くなる傾斜状に形成されていること特徴とする。
【0017】
請求項12記載の縦型水耕栽培方法は、請求項8〜10のいずれか1項に記載の縦型水耕栽培方法おいて、
少なくとも片側の前記通気性素材の上面に保水性シートを中心として外側に行くに連れて高くなる傾斜上面を有する傾斜部材を備えることを特徴とする。
【0018】
請求項13記載の縦型水耕栽培方法は請求項8〜10のいずれか1項に記載の縦型水耕栽培方法おいて、
少なくとも片側の前記通気性素材の上面が保水性シートを中心として外側に行くに連れて高くなる傾斜状に形成されていること特徴とする。



【発明の効果】
【0019】
請求項1記載の縦型水耕栽培システムでは、上述のように、縦型水耕栽培筒内に抜き差し可能に収容した培地を、植物の苗を植え込む保水性シートと、その両面を挟み込んだ通気性素材とで構成し、養液を保水性シート上端部に滴下させるようにしたことで、保水性シートと通気性素材との間に挟み込んだ植物の苗の根に確実に酸素が供給されるため、栽培植物の根腐れを防止することができる。
また、培地として保水性シートと通気性素材の2部構成にし、役割分担することにより、保水性は低いが通気性に優れて安価なものや供給容易なもの・通気性は低いが保水性に優れて安価なものや供給容易なものであれば広く使用でき、材料の選択の幅を広げることができる。
また、重量が軽い、壊れにくいものなどを選択することにより、使い易さ等の性能を向上させることができる。
また、単に保水性シートを通気性素材に挟んだだけでは供給した養液の一部のみしか保水性シートに到達せず、通気性素材の空隙部分から多くは失われるため、多量の養液を供給しなければ植物の育成に不十分だった。
それに対し、本発明では、通気性素材の上面に保水性シートの端部を配置することにより、養液を保水性シートに効果的に集めることができるので、養液の落下位置のバラツキが大きい養液供給装置を用いたとしても少ない養液の供給で植物を栽培することができる。従って、養液の供給又は循環に用いられるポンプとして容量の小さなポンプの使用が可能になり、これにより、設備費及びランニングコストの低減が可能になる。
【0020】
請求項2記載の縦型水耕栽培システムでは、上述のように、養液供給手段から養液を折り曲げ載置された保水性シート又は別体の保水性シートに滴下させることで、養液を保水性シートに集中的に供給することができるようになる。
【0021】
請求項3記載の縦型水耕栽培システムでは、上述のように、養液供給手段から養液を折り返し載置された保水性シートに滴下させることで、養液を保水性シートに集中的に供給することができるようになる。
【0022】
請求項4記載の縦型水耕栽培システムでは、上述のように、前記折り曲げ又は折り返した保水性シート上面を外側に行くに連れて高くなる傾斜状に形成することにより、折り曲げ又は折り返した保水性シート、又は別体の保水性シートに滴下した養液の外部への飛び跳ねを防止すると共に、保水性シートに滴下された養液7の通気性素材への漏れや蒸発を防止してより効率的に養液を活用することができるようになる。
【0023】
請求項5記載の縦型水耕栽培システムでは、上述のように前記両通水性素材の上面に保水性シートを中心として外側に行くに連れて高くなる傾斜上面を有する傾斜部材を備えることで、養液を保水性シートに集中的に供給することができるようになる。
【0024】
請求項6記載の縦型水耕栽培システムでは、上述のように、前記通気性素材の少なくとも片側の上面を、保水性シートを中心として外側に行くに連れて高くなる傾斜状に形成することにより、養液を保水性シートに集中的に供給することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】実施例1の縦型水耕栽培システムを示す全体説明図である。
図2図1のA−A線における拡大横断断面図である。
図3】実施例1の培地を示す要部拡大正面図である。
図4】実施例2の培地を示す要部拡大正面図である。
図5】実施例3の培地を示す要部拡大正面図である。
図6】実施例4の縦型水耕栽培システムを示す(a)、(b)、(c)3タイプの要部拡大正面図である。
図7】実施例4の傾斜部材を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下にこの発明の実施例を図面に基づいて説明する。
【実施例1】
【0027】
まず、この実施例1の縦型水耕栽培システムを図面に基づいて説明する。
この実施例1の縦型水耕栽培システムは、図1〜3に示すように、縦型水耕栽培筒1と、培地2と、養液収容タンク3と、養液供給手段4と、養液回収手段5と、を主な構成として備えている。
【0028】
さらに詳述すると、前記縦型水耕栽培筒1は、断面方形の筒状で、その一側面に植物の苗6を植え込むための垂直方向のスリット11を備え、ハウス等の天井に吊るし又は床面に立設した状態で備えられている。
【0029】
前記培地2は、保水性シート21と、その両面を挟み込んだ通気性素材22、23と、で構成され、縦型水耕栽培筒1内に抜き差し可能に差込収容されている。
【0030】
また、保水性シート21の上端部を通気性素材22、23の上端より突出させて、一方の通気性素材23の上面に折り曲げ載置し、養液供給手段4から養液7を折り曲げ載置された保水性シート21aに滴下させるように構成されている。
【0031】
前記養液供給手段4は、養液供給ポンプ41を備え、養液収容タンク3から培地2における折り曲げ載置された保水性シート21aの上端部に養液7を滴下させる。この養液7の滴下量としては、保水性シート21の下端部の水分量が飽和状態に維持される程度でよい。
【0032】
前記養液回収手段5は、保水性シート21の下端部から滴下する養液7を受け止めるドレンパン51と、養液回収ポンプ52とを備え、ドレンパン51に溜まった養液7を養液回収循環ポンプ52で養液収容タンク3に回収循環させる。
【0033】
次に、この実施例1の作用・効果を説明する。
【0034】
この実施例1の縦型水耕栽培システムでは、上述のように構成されるため、図2、3に示すように、保水性シート21と通気性素材22又は23との間に複数の植物の苗6を挟み込んだ状態で培地2を縦型水耕栽培筒1の中に差込装着し、養液供給ポンプ41で養液7を折り曲げ載置された保水性シート21aの上端部に滴下させると、苗6は保水性シート21から養液7を吸収して成長する。
以上のように、保水性シート21と通気性素材と22の間に挟み込んだ植物の苗6の根が通気性素材22に接した状態で成長するため、栽培植物の根腐れを防止することができる。
また、養液供給手段4から養液7を折り曲げ載置された保水性シート21aに滴下させることで、養液7を保水性シート21にロスすることなく効果的に集めることができるようになる。従って、養液7の供給又は循環に用いられるポンプとして容量の小さなポンプの使用が可能になり、これにより、設備費及びランニングコストの低減が可能になる。
【0035】
次に、従来例と本実施例との栽培比較実験例について説明する。
1.本実施例:厚さ4.8cm、幅10cm、長さ150cm の通気性素材(ポリエチレン)を半分の長さで2枚に折り畳み、その間に、厚さ1mm、幅9cm、長さ70cmのポリエステルフェルト(保水性シート)を挟み込み、フェルトの上端部5cmをポリエチレンンの上端より突出させ、その突出部をポリエチレンの上面に折り曲げ載置した状態で、断面の一辺が10cmの正方形で、その一辺にスリットを有する縦型水耕栽培筒に差し込んだ状態。
2.比較例1:フェルトの上端部をポリエチレンの上端より上部に突出させない状態。
3.比較例2:培地がフェルトを含まないポリエチレンのみの状態。
これら上記3種の縦型水耕栽培筒に対し、バジル苗の定植を行った。
苗は9cmのポットに植わっている、草丈7〜10cmのものを用い、水道水で根から土を洗い落とした後、ポリエチレンとフェルトとの間(比較例2の場合は両ポリエチレン相互間)にバジル苗の地下部を挟み込み、縦型水耕栽培筒に差込装着した。
肥料養液(OATハウス1号を濃度0.8g/Lとなるように溶解した水溶液)を毎分20gの速度で滴下しながら3日間太陽光下で栽培を行った。
【0036】
比較実験結果
実施例:6苗中6苗全てが順調に生育した。
比較例1:6苗中2苗は生育を続けたが、4苗が枯れた。
比較例2:6苗中1苗は生育を続けたが、5苗が枯れた。
【0037】
次に、他の実施例について説明する。この他の実施例の説明にあたっては、前記実施例1と同様の構成部分については図示を省略し、もしくは同一の符号を付けてその説明を省略し、相違点についてのみ説明する。
【実施例2】
【0038】
この実施例2の縦型水耕栽培システムは、図4に示すように、前記実施例1における保水性シート2が折り曲げ載置された通気性素材23とは反対側の通気性素材22の上面に別体の保水性シート24を載置し、その下端部を前記保水性シート21と通気性素材22との間に挟み込むことによりに保水性シート21に接触させた構成とし、養液供給手段4から養液7を折り曲げ載置された保水性シート21a又は別体の保水性シート24に滴下させるように構成されている点で、前記実施例1とは相違したものである。
従って、この実施例2によれば、養液供給手段4から養液7を折り曲げ載置された保水性シート21a又は別体の保水性シート24に滴下させることで、養液7を保水性シート21に集中的に供給することができるようになる。
また、両通気性素材22、23の上面を保水性シート21を中心として外側に行くに連れて高くなる傾斜状に形成することにより、折り曲げ載置された保水性シート21a、又は別体の保水性シート24に滴下した養液7の外部への飛び跳ねを防止すると共に、保水性シート21に滴下された養液7の通気性素材22、23への漏れや蒸発を防止してより効率的に養液7を活用することができるようになる。
【実施例3】
【0039】
この実施例3の縦型水耕栽培システムは、図5に示すように、実施例1における保水性シート21の上端部を一方の通気性素材23の上面に折り曲げ載置した保水性シート21aの先端部さらにもう一方の通気性素材22の上面側に折り返し載置し、養液供給手段4から養液7を折り返し載置された保水性シート21bに滴下させるように構成されている点で、前記実施例1とは相違したものである。
従って、この実施例3によれば、養液供給手段4から養液7を折り返し載置された保水性シート21bに滴下させることで、養液7を保水性シート21に集中的に供給することができるようになる。
また、両通気性素材22、23の上面を保水性シート21を中心として外側に行くに連れて高くなる傾斜状に形成することにより、折り返し載置された保水性シート21bに滴下した養液7の外部への飛び跳ねを防止すると共に、保水性シート21bに滴下された養液7の通気性素材22、23への漏れや蒸発を防止してより効率的に養液7を活用することができるようになる。
【実施例4】
【0040】
この実施例4の縦型水耕栽培システムは、図6の(a)、(b)、(c)、及び図7に示すように、前記両通水性素材の22、23上面に保水性シート21を中心として外側に行くに連れて高くなる傾斜上面を有する断面略直角三角形の傾斜部材8を備えた点で、前記実施例1〜3とは相違したものである。
従って、この実施例4によれば、養液供給手段4から折り曲げた保水性シート21a(別体の保水性シート24、折り返した保水性シート21b)に滴下した養液7の外部への飛び跳ねを防止し、保水性シート21に集中的に供給することができ、これにより、折り曲げた保水性シート21a(別体の保水性シート24、折り返した保水性シート21b)に滴下された養液7の通気性素材22、23への漏れや蒸発を防止してより効率的に養液7を活用することができるようになる。
なお、傾斜部材8の素材は任意であるが、少なくとも傾斜上面は通水性を有しない素材で構成されていることが望ましい。
また、傾斜部材8の形状は、傾斜上面を形成するならば、断面は略直角三角形に限らず、任意である。また、傾斜部材8の傾斜上面は直線に限らず、その他に例えば凹曲面にしてもよい。
【0041】
以上本実施例を説明してきたが、本発明は上述の実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等があっても、本発明に含まれる。
【0042】
例えば、実施例1では縦型水耕栽培筒を断面略方形としたが、方形以外の筒状でもよい。
【0043】
また、この実施例の縦型水耕栽培システム又は方法は、その光源として太陽光の他にLED等の人工光を用いる場合にも適用することができる。人工光を利用する場合は、縦型水耕栽培筒1のスリット11側面にLED等の人工光装置を備える。
【符号の説明】
【0044】
1 縦型水耕栽培筒
11 スリット
2 培地
21 保水性シート
21a 折り曲げた保水性シート
21b 折り返した保水性シート
22 通気性素材
23 通気性素材
24 別体の保水性シート
3 養液収容タンク
4 養液供給手段
41 養液供給ポンプ
5 養液回収手段
51 ドレンパン
52 養液回収循環ポンプ
6 植物の苗
7 養液
8 傾斜部材
【要約】      (修正有)
【課題】栽培植物の根腐れを防止し、少ない養液の供給で植物を効率的に栽培することができる縦型水耕栽培システムを提供する。
【解決手段】ハウスの天井に吊るし又は床面に立設した複数の縦型水耕栽培筒1と、縦型水耕栽培筒1内に抜き差し可能に収容した培地2と、養液収容タンク3から培地2に養液7を供給する養液供給手段4と、縦型水耕栽培筒1の下部から滴下した養液7を収集し、養液収容タンク3に回収する養液回収手段5と、を備えた縦型水耕栽培システムであって、縦型水耕栽培筒1は、その一側面に植物の苗を植え込むための垂直方向のスリット11を備え、培地2は、保水性シート21と、その両面を挟み込んだ通気性素材とで構成され、通気性素材の上端より突出した保水性シート21上端部を一方の通気性素材の上面に折り曲げ載置され、養液供給手段4から養液7を折り曲げ載置された保水性シート21に滴下させる。
【選択図】図1
図1
図2
図3
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図5
図6
図7