(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記電場は、前記偏向板と前記エンクロージャの遠位端との間で、前記偏向させられたイオンをイオンビームに集束させるようにさらに構成されている、請求項1に記載のイオンガイド。
出口開口をさらに備え、前記イオンビームは、前記出口開口を通って前記イオンガイドから流出し、随意に、前記入口オリフィス、出口開口、および偏向板は、前記中心軸上に配置されている、請求項2に記載のイオンガイド。
RF信号が前記ワイヤに印加され、かつ、DCバイアスが前記ワイヤに対して前記エンクロージャの少なくとも一部に印加され、随意に、前記ワイヤの各々に印加されるRF信号は、同相である、請求項7に記載のイオンガイド。
前記ワイヤは、前記近位端から前記遠位端まで延びる4つのワイヤを備え、随意に、前記電場は、前記偏向板の上流に八重極DC場および実質的単極RF場を備え、随意に、前記ワイヤは、前記中心軸の周りに均等に離間されている、請求項5に記載のイオンガイド。
第1のRF信号が1対の対向ワイヤに印加され、かつ、第2のRF信号が他の対の対向ワイヤに印加され、随意に、前記第1および第2のRF信号は、位相外れである、請求項9に記載のイオンガイド。
前記ワイヤは、前記ワイヤの近位端と前記中心軸との間の最小距離が、前記ワイヤの遠位端と前記中心軸との間の最小距離より小さいように角度付けられている、請求項5に記載のイオンガイド。
前記エンクロージャは、その側壁を通して延びる出口窓を画定し、前記偏向板によって偏向させられた前記ガス流の少なくとも一部は、前記出口窓を介して前記エンクロージャから除去される、請求項1に記載のイオンガイド。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
一側面によると、本出願人の教示のある実施形態は、近位入口端から遠位出口端まで中心軸の周囲で縦方向に延びるエンクロージャであって、近位入口端は、入口オリフィスを通って流動するガス流中に同伴される複数のイオンを受け取るように構成されている、エンクロージャを備えている、イオンガイドに関する。イオンガイドはまた、近位端と遠位端との間の該エンクロージャ内に配置されている偏向板であって、ガス流の少なくとも一部をガス流の中心方向から離れる方に偏向させる、偏向板を備えていることができる。複数の電気伝導性の細長い要素は、該エンクロージャ内の近位端から遠位端まで延び、エンクロージャおよび細長い要素のうちの少なくとも1つに印加されるRFおよびDC電位の組み合わせを介して電場を発生させることができる。電場は、同伴されたイオンを偏向板の近位のガス流の中心方向から離れる方に偏向させ、該イオンが下流に進行するとき、偏向させられたイオンを細長い要素の近くに制限する。
【0007】
種々の実施形態では、電場はさらに、偏向板とエンクロージャの遠位端との間で、偏向させられたイオンをイオンビームに集束させるように構成されることができる。関連側面では、イオンガイドはまた、それを通して、イオンビームがイオンガイドから流出する、出口開口を備えていることができる。種々の実施形態では、入口オリフィス、出口開口、および偏向板は、中心軸上に配置される。
【0008】
種々の側面によると、エンクロージャは、電気伝導性円筒電極を備えていることができる。いくつかの実施形態では、電気伝導性要素は、ワイヤを備えている。種々の数のワイヤが、使用されることができる。例えば、ワイヤは、近位端から遠位端まで延びる4つのワイヤを備えていることができる。代替として、例えば、2つのワイヤは、近位端から遠位端まで延びることができる。いくつかの実施形態では、ワイヤは、中心軸の周りに均等に離間されることができる。種々の側面では、ワイヤは、ワイヤの近位端と中心軸との間の最小距離が、ワイヤの遠位端と中心軸との間の最小距離より小さいように角度付けられることができる。種々の実施形態のいくつかの側面によると、細長い要素は、近位端において、ガス流の外側にあるように、中心軸に対してオフセットされる。
【0009】
種々の実施形態では、エンクロージャは、その側壁を通して延びる、出口窓を画定する。いくつかの側面では、例えば、偏向板は、ガス流を出口窓に向かって偏向させるように構成される。種々の実施形態では、偏向板は、中心軸に対して非直交に角度付けられる。
【0010】
いくつかの側面では、偏向板は、複数のボアを備えていることができる。関連側面では、細長い要素は、ボアを通して延びることができる。
【0011】
代替として、いくつかの側面では、細長い要素は、偏向板の周囲に延びる。
【0012】
種々の実施形態では、エンクロージャは、真空チャンバ内に格納されることができる。真空チャンバは、準大気圧に維持されることができる。非限定的実施例として、エンクロージャは、約0.1〜約20トルの範囲内の真空圧力に維持されることができる。
【0013】
一側面によると、本出願人の教示のある実施形態は、イオンを伝送する方法に関する。本方法によると、ガス流中に同伴される複数のイオンは、エンクロージャの入口端において受け取られ、エンクロージャは、近位入口端から遠位出口端まで中心軸の周囲で縦方向に延びる。本方法はさらに、RFおよびDC電位をエンクロージャおよび該エンクロージャ内にあって、該近位端から該遠位端まで延びる、複数の電気伝導性の細長い要素のうちの少なくとも1つに印加することであって、該電場は、該同伴されたイオンの少なくとも一部を中心軸から偏向させ、イオンが該遠位出口端に向かって進行するとき、該偏向させられたイオンを少なくとも1つの該細長い要素の近くに制限する、ことを含むことができる。ガス流の少なくとも一部は、該イオンを偏向させた後、エンクロージャから流出させるための開口部に偏向させられることができる。
【0014】
いくつかの側面では、本方法はさらに、該イオンが下流に進行するとき、該偏向させられたイオンを該細長い要素の近くに制限することを含むことができる。種々の実施形態では、本方法は、該偏向板を越えて進行する偏向させられたイオンの少なくとも一部を該偏向板の遠位の領域内の該中心軸に向かって集束させることを含むことができる。
【0015】
一側面によると、本出願人の教示のある実施形態は、ガス流中に同伴される複数のイオンを受け取るように構成されている入口開口を有する近位入口板と、複数のイオンを質量分析器に伝送するように構成されている出口開口を有する遠位出口板とを備えている、イオンガイドに関する。イオンガイドはまた、中心軸を囲み、入口板と出口板との間の領域内に延びている複数の電気伝導性要素を備えていることができる。該入口板と出口板との間に配置されている偏向板は、ガス流の少なくとも一部をガス流の中心方向から離れる方に偏向させるように構成されることができる。さらに、電気伝導性要素は、同伴されたイオンを該偏向板の近位の該ガス流から分離し、該分離されたイオンを該偏向板の遠位の中心軸に沿って集束させるように構成されることができる。
【0016】
いくつかの側面では、電気伝導性要素は、入口板に連結され、そこから遠位に延びる、4つのワイヤを備えている。種々の実施形態では、イオンガイドはさらに、出口板から近位に延びる4つのロッドを備えていることができ、4つのワイヤのそれぞれの遠位端は、該ロッドのうちの1つの対応する近位端に連結される。
【0017】
種々の側面では、偏向板は、それを通して延び、中心軸からオフセットされる、4つのボアを備えていることができ、ワイヤの各々は、ボアのうちの1つを通って延びる。いくつかの実施形態では、例えば、ボアの各々は、偏向板から近位に延びる円筒電極のボアと同軸であることができる。
【0018】
いくつかの側面では、電気伝導性要素は、非平行である。種々の側面では、電気伝導性要素は、電気伝導性円筒電極内に含まれる4つのワイヤを備えている。
【0019】
一側面によると、本出願人の教示のある実施形態は、ガス流中に同伴される複数のイオンを受け取るための入口を備えている、イオンガイドに関する。イオンガイドはまた、該除去されたイオンが、該入口から下流の1つ以上の該電極に近接して進行するように、導波管に流入する該イオンの少なくとも一部をガス流から除去するために効果的である電場を発生させるよう、互に対して位置付けられ、電気的にバイアスされるように構成される、複数の電気伝導性電極を備えていることができる。例えば、いくつかの側面では、電場は、該除去されたイオンの少なくともいくつかを受け取るために、該電極のうちの少なくとも1つの近傍で電位を良好に発生させることができる。
【0020】
いくつかの側面では、電場は、DC成分およびRF成分を備えている。種々の実施形態では、入口は、ガイドの中心軸に沿って、イオン含有ガス流を受け取るように構成され、該電極は、該中心軸からオフセットされて位置付けられる。
【0021】
種々の実施形態では、イオンガイドはさらに、ガス流からのイオンの少なくとも一部の該除去後、ガス流を偏向させるように、該入口から下流に位置付けられるガス偏向要素を備えていることができる。
【0022】
本出願人の教示のこれらおよび他の特徴は、本明細書に記載される。
本発明は、例えば、以下を提供する。
(項目1)
イオンガイドであって、
近位入口端から遠位出口端まで中心軸の周囲で縦方向に延びるエンクロージャであって、前記近位入口端は、入口オリフィスを通って流動するガス流中に同伴された複数のイオンを受け取るように構成されている、エンクロージャと、
前記近位端と遠位端との間の前記エンクロージャ内に配置されている偏向板であって、前記板は、前記ガス流の少なくとも一部を前記ガス流の中心方向から離れる方に偏向させる、偏向板と、
前記エンクロージャ内で前記近位端から前記遠位端まで延びる複数の電気伝導性の細長い要素と
を備え、
前記細長い要素は、前記エンクロージャおよび前記細長い要素のうちの少なくとも1つに印加されるRFおよびDC電位の組み合わせを介して電場を発生させ、前記電場は、前記同伴されたイオンを前記偏向板の近位で前記ガス流の中心方向から離れる方に偏向させ、前記イオンが下流に進行するとき、前記偏向させられたイオンを前記細長い要素の近くに制限する、イオンガイド。
(項目2)
前記電場は、前記偏向板と前記エンクロージャの遠位端との間で、前記偏向させられたイオンをイオンビームに集束させるようにさらに構成されている、項目1に記載のイオンガイド。
(項目3)
出口開口をさらに備え、前記イオンビームは、前記出口開口を通って前記イオンガイドから流出し、随意に、前記入口オリフィス、出口開口、および偏向板は、前記中心軸上に配置されている、項目2に記載のイオンガイド。
(項目4)
前記エンクロージャは、電気伝導性円筒電極を備え、随意に、前記電気伝導性要素は、ワイヤを備えている、項目1に記載のイオンガイド。
(項目5)
前記ワイヤは、前記近位端から前記遠位端まで延びている2つのワイヤを備え、随意に、
前記エンクロージャは、印刷回路基板を備えている2つの対向側面を有する、項目4に記載のイオンガイド。
(項目6)
前記電場は、前記ガス偏向器の上流に、四重極DC場および実質的単極RF場を備えている、項目5に記載のイオンガイド。
(項目7)
RF信号が前記ワイヤに印加され、かつ、DCバイアスが前記ワイヤに対して前記エンクロージャの少なくとも一部に印加され、随意に、前記ワイヤの各々に印加されるRF信号は、同相である、項目6に記載のイオンガイド。
(項目8)
前記ワイヤは、前記近位端から前記遠位端まで延びる4つのワイヤを備え、随意に、前記電場は、前記ガスの上流に八重極DC場および実質的単極RF場を備え、随意に、前記ワイヤは、前記中心軸の周りに均等に離間されている、項目4に記載のイオンガイド。
(項目9)
第1のRF信号が1対の対向ワイヤに印加され、かつ、第2のRF信号が他の対の対向ワイヤに印加され、随意に、前記第1および第2のRF信号は、位相外れである、項目8に記載のイオンガイド。
(項目10)
前記ワイヤは、前記ワイヤの近位端と前記中心軸との間の最小距離が、前記ワイヤの遠位端と前記中心軸との間の最小距離より小さいように角度付けられている、項目4に記載のイオンガイド。
(項目11)
前記細長い要素は、前記近位端において前記ガス流の外側にあるように、前記中心軸に対してオフセットされている、項目1に記載のイオンガイド。
(項目12)
前記エンクロージャは、その側壁を通して延びる出口窓を画定する、項目1に記載のイオンガイド。
(項目13)
前記偏向板は、前記ガス流を前記出口窓に向かって偏向させるように構成され、随意に、
前記偏向板は、前記中心軸に対して非直交に角度付けられている、項目12に記載のイオンガイド。
(項目14)
前記偏向板は、複数のボアを備え、随意に、前記細長い要素は、前記ボアを通って延びている、項目1に記載のイオンガイド。
(項目15)
前記細長い要素は、前記偏向板の周囲に延びている、項目1に記載のイオンガイド。
(項目16)
前記エンクロージャは、約1〜約20トルの範囲内の真空圧力に維持されている、項目1に記載のイオンガイド。
(項目17)
イオンを伝送する方法であって、
エンクロージャの入口端において、ガス流中に同伴された複数のイオンを受け取ることであって、前記エンクロージャは、前記近位入口端から遠位出口端まで中心軸の周囲で縦方向に延びている、ことと、
RF電位とDC電位とを前記エンクロージャと前記エンクロージャ内の複数の電気伝導性の細長い要素とのうちの少なくとも1つに印加することであって、前記複数の電気伝導性の細長い要素は、前記近位端から前記遠位端まで延び、前記電場は、前記同伴されたイオンの少なくとも一部を前記中心軸から偏向させ、イオンが前記遠位出口端に向かって進行するとき、前記偏向させられたイオンを少なくとも1つの前記細長い要素の近くに制限する、ことと、
前記偏向させられるイオンを偏向させた後、前記ガス流の少なくとも一部を前記エンクロージャから流出させるための開口部に偏向させることと
を含む、方法。
(項目18)
前記イオンが下流に進行する場合、前記偏向させられたイオンを前記細長い要素の近くに制限することをさらに含む、項目17に記載の方法。
(項目19)
前記偏向板を越えて進行する前記偏向させられたイオンの少なくとも一部を前記偏向板の遠位の領域において前記中心軸に向かって集束させることをさらに含む、項目17に記載の方法。
(項目20)
イオンガイドであって、
ガス流中に同伴された複数のイオンを受け取るように構成されている入口開口を有する近位入口板と、
複数のイオンを質量分析器に伝送するように構成されている出口開口を有する遠位出口板と、
中心軸を囲み、前記入口板と前記出口板との間の領域内に延びている複数の電気伝導性要素と、
前記入口板と出口板との間に配置されている偏向板と
を備え、
前記偏向板は、前記ガス流の少なくとも一部を前記ガス流の中心方向から離れる方に偏向させるように構成され、
前記電気伝導性要素は、前記同伴されたイオンを前記偏向板の近位の前記ガス流から分離し、前記分離されたイオンを前記偏向板の遠位の中心軸に沿って集束させるように構成されている、イオンガイド。
【発明を実施するための形態】
【0024】
明確にするために、以下の議論は、本出願人の教示の実施形態の種々の側面を詳説するが、そうすることが便宜的または適切である場合、ある具体的詳細が省略されることを理解されるであろう。例えば、代替実施形態における同一または類似特徴の議論は、ある程度、省略され得る。周知の発想または概念はまた、簡潔にするために、極めて詳細に論じられない場合がある。当業者は、本出願人の教示のいくつかの実施形態が、すべての実装において、実施形態の完全な理解を提供するためだけに本明細書に記載される、ある具体的に説明される詳細を要求するわけではない場合があることを認識するであろう。同様に、説明される実施形態は、本開示の範囲から逸脱することなく、共通の一般的知識に従って、改変または変形を被り得ることは、明白であろう。以下の発明を実施するための形態は、本出願人の教示の範囲をいかようにも限定するものと見なされない。
【0025】
イオンガイド内でイオンを伝送する方法およびシステムが、本明細書に提供される。本出願人の教示の種々の側面によると、本方法およびシステムは、イオンガイドに流入するガス流中に同伴されるイオンの少なくとも一部がガス噴流から抽出され、ガス流の経路から別個の1つ以上の経路に沿って、下流に誘導されることをもたらすことができる(イオンを欠いたガスは、イオンガイドから除去されることができる)。いくつかの実施形態では、ガス流から抽出されたイオンは、集束領域内に誘導されることができ、集束領域内で、イオンは、例えば、質量分析器等の後続処理段階への入口内へのRF集束を介して集束させられ得る。
【0026】
種々の側面では、イオンを伝送するための質量分析システムおよび方法が、提供される。ここで
図1を参照すると、本出願人の教示の種々の側面による、例示的質量分析システム100が、図式的に図示される。当業者によって理解されるであろうように、質量分析システム100は、本明細書に説明されるシステム、デバイス、および方法の種々の側面による、1つのみの可能な構成を表す。
図1に示されるように、例示的質量分析システム100は、概して、着目サンプルからイオンを発生させるためのイオン源110と、イオンガイド140と、イオン処理デバイス(本明細書では、概して、質量分析器112として指定される)とを備えている。
【0027】
唯一の質量分析器112が、示されるが、当業者は、質量分析システム100が、イオンガイド140の下流に追加の質量分析器要素を含むことができることを理解するであろう。したがって、イオンガイド140を含む真空チャンバ114を通して伝送されるイオンは、1つ以上の質量分析器要素を含む1つ以上の追加の差動ポンプ式真空段階を通して移送されることができる。例えば、いくつかの側面では、三連四重極質量分析計は、約2.3トルの圧力に維持される第1の段階と、約6mトルの圧力に維持される第2の段階と、約10
−5トルの圧力に維持される第3の段階とを含む、3つの差動ポンプ式真空段階を備え得る。第3の真空段階は、例えば、検出器と、2つの四重極質量分析器(例えば、Q1およびQ3)とを含むことができ、2つの四重極質量分析器は、それらの間に位置する衝突セル(Q3)を伴う。システム内にいくつかの他のイオン光学要素が存在し得ることは、当業者に明白であろう。本実施例は、限定を意味するものではなく、また、本明細書に説明されるイオンガイドが、高圧源からイオンをサンプリングする多くの質量分析計システムに適用可能であり得ることは、当業者に明白であろう。これらとして、当技術分野において公知の時間飛行(TOF)、イオントラップ、四重極、または他の質量分析器が挙げられ得る。
【0028】
さらに、
図1のイオン源110は、エレクトロスプレイイオン化(ESI)源として描写されるが、当業者は、イオン源110は、例えば、とりわけ、連続イオン源、パルスイオン源、エレクトロスプレイイオン化(ESI)源、大気圧化学イオン化(APCI)源、誘導結合プラズマ(ICP)イオン源、マトリクス支援レーザ脱離/イオン化(MALDI)イオン源、グロー放電イオン源、電子衝突イオン源、化学イオン化源、または光イオン化イオン源を含む、事実上、当技術分野において公知の任意のイオン源であることができることを理解するであろう。非限定的実施例として、サンプルは、加えて、液体クロマトグラフ分離を含む、自動またはインラインサンプル調製を受けることができる。
【0029】
図1に示されるように、イオンガイド140は、真空チャンバ114内に含まれることができる。種々の側面では、真空チャンバ114は、イオン源110からイオンを受け取るための入口オリフィス118を有する、オリフィス板116を含む。真空チャンバ114は、加えて、出口レンズ122内の出口開口120を含むことができ、それを通して、イオンガイド140によって伝送されるイオンが、例えば、1つ以上のイオン処理デバイス(例えば、質量分析器112)を格納する下流真空チャンバ116に渡される。当業者によって理解されるであろうように、真空チャンバ114、116は、当技術分野において公知のように、準大気圧まで真空化されることができる。一例として、機械的ポンプ124、126(例えば、ターボ分子ポンプ)が、真空チャンバ114、116を、それぞれ、適切な圧力まで真空化するために使用されることができる。
【0030】
種々の側面では、イオン源110によって発生させられるイオンは、真空チャンバ114内に伝送され、真空チャンバに流入するガスが、入口オリフィス118を通して膨張するにつれて、ガスの超音速流中に同伴されることができる。典型的には、例えば、米国特許第7,256,395号および第7,259,371号(それぞれ、参照することによって全体として本明細書に組み込まれる)に説明される、超音速自由噴流膨張と称される、本現象は、真空チャンバ114を通して同伴されたイオンを軸方向に移送することにおいて補助する。しかしながら、RF集束のみに依拠し、イオンを下流分析器内に伝送する、従来技術のイオンガイドは、イオンの超音速ガス流内の周囲ガス分子との衝突による、より高い圧力環境内においてイオンを集束する際に困難点を被り得る。したがって、従来技術のシステムは、例えば、真空チャンバ内のガス流および圧力を、同伴されるイオンが、依然として、下流処理のために、後続チャンバ内に伝送するための狭ビームに集束させられ得るようなレベルに維持するように、入口オリフィスのサイズを限定する。
【0031】
本出願人の教示の種々の側面によると、本教示のある実施形態による、イオンガイド140は、その入口端140aにおいて、概して、イオンガイド140の縦方向中心軸(A)に沿って、入口オリフィス118を通して流動するガス中に同伴されるイオンを受け取り、イオンを縦方向中心軸(A)から変位させ、ガス流の少なくとも一部をイオンガイド140から偏向させ、イオンをイオンガイド140の出口端140bに伝送することができる。
図1に図式的に示されるように、例えば、イオンガイド140は、上流入口板144から下流出口レンズ122に向かって、縦方向中心軸(A)の周囲に延びる、外側円筒電極142を備えていることができる。入口板144は、入口オリフィス118と軸方向に整列される入口開口146と、出口レンズ122内の出口開口120とを含むことができる。いくつかの側面では、出口開口120は、入口オリフィス118より小さい直径を有することができる。以下にさらに詳細に論じられるように、外側円筒電極142は、加えて、それを通して、ガス流の少なくとも一部が、外側円筒電極142から除去され得るように、1つ以上の出口窓148を含むことができる。
【0032】
前述のように、種々の側面では、イオンガイド140は、イオンガイド140に流入するイオンをガス流および/または中心軸(A)から変位させるように構成されることができる。一例として、イオンガイド140を通して伝送されるにつれたイオンの平均半径方向位置は、中心軸(A)からオフセットされることができる。
図1に示されるように、例えば、外側円筒電極142は、中心軸(A)を囲み、外側円筒電極142の入口板144と出口レンズ122との間に延びる、複数の伝導性ワイヤまたはロッド(以下、ワイヤ150)を含むことができる。ワイヤ150は、種々の直径および構成を有することができるが、
図1に描写される例示的実施形態では、ワイヤ150の上流端は、入口板144に連結され、入口開口146を囲むことができる一方、下流端は、出口レンズ122に連結され、出口開口120を囲むことができる。種々の側面では、ワイヤ150は、入口端140aから出口端140bまで延びるにつれて、収束するように、中心軸(A)に対して非平行であることができる。
図1に描写される例示的実施形態は、中心軸(A)の周囲に等しく離間された4つのワイヤ(そのうちの2つのみが、描写される)を含むが、任意の数のワイヤ150(例えば、2、6、8、12)が、本出願人の教示に従って、イオンガイド140内で使用するために、任意の数の好適な多極構成を生成するために使用されることができることを理解されるであろう。
【0033】
いくつかの側面では、イオンガイド140は、加えて、イオン(または、少なくとも実質的数のイオン、例えば、80%以上)が、ガス流から抽出された後、ガス流を中心軸(A)から偏向させるように作用し得る、偏向板152を含むことができる。以下に詳細に論じられるように、ガス偏向板152は、種々の構成を有することができるが、
図1に描写される例示的実施形態では、ガス偏向板152は、イオンガイド140の中心軸(A)上に配置される平面表面であることができる。加えて、いくつかの側面では、ガス偏向板152は、そこから偏向させられたガスが、実質的に、外側円筒電極142内の出口窓148に向かって指向されるように、ガス流の主軸に対して角度付けられることができる。
【0034】
いくつかの側面では、イオンガイド140の種々の要素は、本明細書の教示に従って、イオンガイドを通るイオンの移動を制御するように、そこに印加される電位を有することができる。一例として、外側円筒電極142および/またはワイヤ150は、イオンを中心軸(A)からイオンガイド140のワイヤ150に向かって変位させ(すなわち、縦方向中心軸(A)に垂直な成分である、半径方向速度成分を与え)、それによって、イオンの少なくとも一部をガス流から分離するよう構成される電場を発生させるように、そこに印加される電位を有することができる。以下により詳細に論じられるように、外側円筒電極142および/またはワイヤ150への電位の印加によって発生させられる電場はまた、偏向させられたイオンが、ワイヤ150に衝打しないが、出口開口120に向かって、下流にワイヤ150に近接して誘導されるように、偏向させられたイオンがワイヤ150に非常に近接するにつれて反発力を発生させることができる(これは、例えば、ワイヤ150への無線周波数(RF)電位の印加によって達成されることができる)。言い換えると、電位井戸が、ワイヤ150の近傍に発生させられ、偏向させられたイオンがワイヤに接近するにつれて、実質的にそれを捕捉することができる。イオンは、次いで、ワイヤ150の近傍のその初期軸方向運動量の影響下、出口開口120へと移動することができる。非限定的実施例として、イオンは、ガス流から除去される(例えば、いくつかの実施形態では、中心軸から少なくとも10mm変位される)ことができ、ワイヤ150に近接して(例えば、ワイヤに対して約5mm未満以内)留まりながら、下流に移送されることができる。ある場合には、電場は、イオンガイド140の一部に実質的単極または単極等価RF場を発生させるような八重極DC場および四重極RF場の重ね合せとして特徴付けられることができる。当業者によって理解されるであろうように、単極等価RF場は、単極成分が優位である一方、四重極成分が無視可能であることを示し、安定イオン位置は、以下に詳細に論じられるように、中心軸上にない。
【0035】
種々の実施形態では、1つ以上の電源(図示せず)は、DC電圧および/またはRF電圧をオリフィス板116、外側円筒電極142、偏向板152、出口レンズ122、およびワイヤ150に提供するように構成されることができる。一例として、
図1に描写される例示的実施形態では、電源(図示せず)は、DC電圧を外側円筒電極142に印加するように構成されることができる一方、第2の電源(図示せず)は、RF信号を4つのワイヤ150に印加することができる。そのような構成に関するシミュレートされた力線が、
図2A−2Cに描写される。最初に、
図2Aを参照すると、DCバイアスのみ、4つのワイヤ150に対して、外側円筒電極142に印加され、それによって、実質的に、DC八重極場を発生させるときのシミュレートされた等電位力線が、描写される。したがって、ワイヤ150に対する円筒電極142上のDCバイアスが、着目イオンと同一の極性である場合、イオンは、ワイヤ150に(すなわち、中心軸(A)から離れる方に)誘引されるであろう。
【0036】
ここで
図2Bを参照すると、RF信号のみワイヤ150に印加される(すなわち、DCバイアスは外側円筒電極142に印加されない)、シミュレートされた力線が、描写される。当業者によって理解されるであろうように、いくつかの側面では、異なるRF信号が、2つの対の対向ワイヤ150に印加されることができる。一例として、第1の対の対向ワイヤ150は、その印加されるRF電圧を有することができる一方、第2の対の対向ワイヤ150は、ワイヤ150の長さに沿って、中心軸(A)上に平衡RF四重極場を生成するように、等しい大きさであるが、180°位相外れの第2のRF電圧を有することができる。代替として、非平衡RF信号が、ワイヤに印加されることができる。着目イオンの極性にかかわらず、RF信号は、イオンをワイヤ150から離れる方に跳ね返すように作用するであろう。
【0037】
ここで
図2Cを参照すると、同時に、
図2Aに示されるようにDCバイアス電圧を円筒電極142に印加し、かつ、
図2Bに示されるようにRF信号をワイヤ150に印加することによって、DCバイアスの極性と反対の極性のイオンに対して、極小電位が、ワイヤ150に隣接して生成されることが理解されるであろう。したがって、イオンガイドに流入するイオンは、ワイヤ150に隣接して、および/またはその周囲に蓄積する(すなわち、中心軸(A)からオフセットされる)傾向を有するであろう。
【0038】
当業者によって理解されるであろうように、ガス偏向板152もまた、イオンがイオンガイド140を通して伝送される場合、イオンの移動を制御するように、そこに印加される電位を有することができる。一例として、ガス偏向板152は、ワイヤに対するDCバイアスが、着目イオンに反発力を提供するよう、そこに印加され得るように電源(図示せず)に連結されることができる(いくつかの実施形態では、ガス偏向板152は、接地されることができる)。したがって、イオンが、ガス偏向板152に接近するにつれて、反発力は、ワイヤ150に向けてイオン引き寄せ、イオンをガス偏向板152の周囲に、中心軸(A)から離れる方に偏向させることにおいて補助することができる。
【0039】
さらに、当業者によって理解され、本出願人の教示に従って修正されるであろうように、オリフィス板116および出口レンズ122の各々は、イオンを入口オリフィス118および出口開口120を通過させることにおいて補助するために、そこに印加される電位を有することができる。
【0040】
ここで
図3を参照すると、本出願人の教示による、イオンガイドのための一例示的設定が、描写される。当業者によって理解されるように、イオンガイド340に関して提供される値およびパラメータは、本出願人の教示の一非限定的実施例にすぎず、本出願人の教示を限定することを意図しない。対照的に、本出願人の教示は、当業者によって理解されるように、種々の代替、修正、および均等物を包含する。前述のイオンガイド140と同様に、イオンガイド340は、真空チャンバ内に含まれ、オリフィス板316の入口オリフィス318を通してイオンを受け取るように構成されることができる。ポンプ(図示せず)は、イオンガイド340を含む真空チャンバを適切な準大気圧まで真空化するように動作されることができる。一例として、ポンプは、約250m
3/時のスピードで動作し、真空チャンバ内に準大気圧を発生させるように選択されることができる。一例として、ポンプは、チャンバを約1トル〜約20トルの範囲内の圧力まで真空化するよう動作するように選択されることができる。入口オリフィス340は、種々のサイズを有することができ、例えば、入口オリフィスは、直径約2.5mmを有することができる。イオンが同伴される超音速ガス流は、イオンガイド340の入口端から、中心軸(A)に沿って、4つのワイヤ350間を流入することができ、ワイヤ350の各々は、直径約0.5mmを有し、入口端において約12mmおよび出口端において約3mmだけ中心軸から離間されている。外側円筒電極342は、種々のサイズであることができるが、
図3における実施形態では、例えば、外側円筒電極342は、その長さに沿って、約15mmの内側半径を有することができる。中心軸(A)に対して約30度の角度で設置され得る、偏向板352は、中心軸(A)に直交した約12mmの直径を有することができる。
図3に描写される例示的実施形態では、偏向板352は、中心軸(A)の近くに中心を置かれ、出口レンズ322から約60mmに位置付けられることができる。イオンガイド322によって集束させられるイオンは、直径約1.0mmを有し得る出口開口320を通して伝送される。
【0041】
種々の側面では、イオンガイド340内のいくつかのパラメータは、ユーザによって選択されることができる。一例として、ユーザは、ワイヤ350に印加されるRF信号を選択することができる。描写される実施形態では、例えば、ユーザは、RF信号を1MHzにおいて180V
ppであるように設定することができる。前述のように、円筒電極342は、ワイヤ350に対して、例えば、10V DCでバイアスされることができる。同様に、そこに印加されるDC電圧を有し得る、偏向板352は、偏向板352の周囲のイオンの偏向を増加させるように、ワイヤ350に対して、例えば、20V DCオフセットを有することができる。
【0042】
使用時、
図3のイオンガイド340は、イオン源からイオンを受け取り、イオンを入口オリフィス318において発生させられた超音速ガス流から分離し、さらなる下流処理のために、出口開口320を通してイオンを集束させることができる。ここで
図4を参照すると、イオンガイド340内のガス動態およびイオンの移動が、より詳細に説明される。概略図に示されるように、イオンは、イオン源(図示せず)によって発生させられた後、超音速ガス流364内に同伴されて、入口オリフィス318に流入する。CFD(計算流体力学)シミュレーションを具体的に参照すると、当業者は、入口オリフィス318に流入するガスは、自由噴流膨張を受け、次いで、減速し、再収縮し、一般に、マッハディスクと称されるものを形成することを理解するであろう。再収縮後、ガス流の半径方向境界が、概して、バレルショック構造によって画定される。イオン366がイオンガイド340内に流入すると、ガス流中に最初に同伴された正イオン366は、例えば、ワイヤ350に対する外側円筒電極342の正DCバイアスによって発生させられた八重極DC場により、ワイヤ350に向けて引き寄せられる。イオン運動シミュレーションを具体的に参照すると、当業者は、より小さいm/z比を有するイオンは、概して、より大きいm/z比を有するイオンより早く、中心軸(すなわち、ガス流から)から偏向させられることを理解するであろう。イオンは、ガス流によってイオンに与えられた軸方向速度により、イオンガイド340を横断し続ける。ガス流364およびイオン366が、偏向板352に接近するにつれて、イオンはさらに、ワイヤ350に対する板のDCバイアスに基づいて発生させられる反発力により、ガス偏向板352の周囲(すなわち、中心軸から離れた方)に偏向させられる。ガス流もまた、CFDシミュレーションに示されるように、中心軸から偏向させられ、外側円筒電極342内の出口窓348を通して、イオンガイド340から除去されることができる。ガス流の実質的部分が、除去されるため、偏向板352の下流の収束ワイヤ350によって提供されるRF集束は、出口開口320を通して伝送するために、イオンをイオンビームに細く集束させることにおいて効果的であり得る(例えば、周囲ガス分子とのより少ない衝突のため)。
【0043】
図5は、本出願人の教示の種々の側面による、別の例示的イオンガイド540を描写する。イオンガイド540は、
図1を参照して前述のイオンガイド140のように、入口端540aから出口端540bまで延びる外側円筒電極542を備えている。前述のように、ワイヤ550は、外側円筒電極542を通して延び、入口板544から出口レンズ522までイオンガイド540を横断するにつれて、収束する。入口板544は、加えて、それを通して、イオンおよびガス流が入口オリフィス(図示せず)から受け取られ得る、入口開口546を含む。出口レンズ522は、さらなる処理のために、それを通してイオンビームが下流質量分析器に伝送され得る出口開口520を含む。
図1を参照して前述の実施形態と同様に、入口開口546および出口開口520の各々は、イオンガイド540の中心軸上に配置されることができる。
【0044】
イオンガイド540は、例えば、ガス偏向板552が中心軸に対して角度をつけて配向されないという点において、前述のイオンガイド140と異なる。むしろ、ガス偏向板552の平面は、実質的に、中心軸(および、ガス流の中心方向)に直交する。1つ以上の出口窓548が、偏向板552に隣接する外側円筒電極542を通して延び、ガス偏向板552によって中心軸から偏向させられたガスを受け取る。いくつかの側面では、外側円筒電極542の出口端540bは、1つ以上の出口窓554をさらに含み、イオンビームが出口開口520を通して伝送されることに先立って、追加のガスをイオンガイド540から引き寄せることができる。
【0045】
加えて、
図1を参照して前述の偏向板152は、ワイヤ150によって画定された円周内に配置されるが、
図5Aおよび5Cに描写される偏向板552は、代わりに、それを通してワイヤ550の各々が延びる1つ以上のボア556を含む。したがって、外側円筒電極542とワイヤ550との間のDCバイアスにより、イオンがガス流からワイヤ550に向けて引き寄せられた後、イオンは、例えば、
図6のイオン運動シミュレーションに描写されるように、ワイヤに沿って、偏向板552内のボア556を通して伝送され、次いで、中心軸に向かって再集束させられることができる。
【0046】
種々の側面では、イオンガイド540はまた、偏向板552の下流に配置される追加の電極を含むことができる。非限定的実施例として、4つのロッド558が、
図5Dに示されるように、収束ワイヤ550の円周の周囲に配置されることができる。RF信号を、例えば、4つのロッド558に印加することによって、ロッドは、イオンガイド540によって伝送されるイオンを再集束させることにおいて補助することができる。
【0047】
ここで
図7を参照すると、本出願人の教示の種々の側面による、イオンガイド740の別の例示的実施形態が、描写される。イオンガイド740は、実質的に、
図5を参照して前述のイオンガイド540と同じであるが、加えて、偏向板752の上流の外側円筒電極742内に配置される、ロッド760を含む。任意の数のロッド760が、使用されることができ、種々の構成を有することができるが、描写される実施形態では、イオンガイド740は、縦方向に中心軸と平行に延び、隣接するワイヤ750間に配置される4つのロッド760を含む。ロッド760は、DCバイアスが、ワイヤおよび外側円筒電極742に対してロッドに印加され得るように、電源(図示せず)に連結されることができる。いくつかの実施形態では、印加されるDCバイアスは、ロッド760の長さに沿って、イオンガイド740の中心軸を横断してDC双極場を発生させ、ガス流からのイオンの半径方向抽出をさらに補助することができる。そのような構成を使用する場合、ロッド760は、ワイヤ750のみに対して外側円筒電極742上に印加されるDCバイアスによって発生させられる八重極DC場より迅速にイオンをガス流から抽出することが可能であり得る。したがって、イオンガイド740は、ガス流からより多くのイオンを単離させることを可能にし、それによって、潜在的に、デバイスの感度を改善し得る。
【0048】
図5および7の偏向板552、772は、略円形であるように描写されるが、当業者は、偏向板が、種々の構成を有することができ、ガス流の中心方向に対して種々の方法で位置付けられることができることを理解するであろう。例えば、
図1を参照して前述のように、偏向板152は、ガス流の偏向が、実質的に、外側円筒電極142の所定の部分(例えば、出口窓148)に向けられ得るように、中心軸(および、ガス流の主軸)に対して角度をつけて配向されることができる。さらに、ガス偏向板は、そのボアを通してイオンの伝送を制御するように成形されることができる。一例として、ここで
図8を参照すると、ガス偏向板852は、本明細書のその他で論じられるように、実質的に、外側円筒電極842およびワイヤ850によって板852に発生させられる等電位表面と同一の形状を有するように成形されることができる。前述のように、ガス偏向板852は、それを通して、ワイヤ850の各々が通過する、複数のボア856を含むことができる。
【0049】
さらに、ワイヤは、種々の構成(例えば、サイズ、角度配向)を有することができ、種々のDCおよびRF電圧が、そこに印加され、イオンがガス流から引き寄せられ、ワイヤの周囲に蓄積することをもたらすことができることを理解されるであろう。例えば、前述のワイヤは、非平行であり、例示的イオンガイドの下流端に接近するにつれて収束するが、ワイヤは、代替として、平行配向を呈することもできる。ここで
図9を参照すると、本出願人の教示の種々の側面による、別の例示的イオンガイドが、描写される。前述のように、イオンガイド940は、真空チャンバ内に配置され(または、準大気圧の領域を画定する)、イオン源からサンプルイオン966を含むガス流964を受け取り、イオン966をガス流964から分離し、下流処理のために、イオン966を伝送するように構成されることができる。
図9に示されるように、イオンガイド940の第1の部分は、実質的に、
図1のイオンガイド140を参照して前述のように、ガス流からイオンを引き寄せるための平行ワイヤ950を含むことができる(
図9B参照)。すなわち、外側円筒電極942は、ガス流からワイヤ950に向かってイオンを引き寄せるように構成されるDC八重極場を発生させるように、イオンガイド940の中心軸の周りに配置される平行ワイヤ950に対して、ガイド940の入口開口946に流入するガス流のバレルショック構造の外側に、DCバイアスを呈することができる。同時に、ワイヤ950は、例えば、本明細書のその他で論じられるような
図10のシミュレーションに示されるように、反発力を発生させ、それによって、ワイヤ950に隣接して、および/またはその周囲にイオンを蓄積するための電位井戸を生成するように(すなわち、中心軸からオフセットされるように)、そこに印加されるRF信号を有することができる。
【0050】
図9Cに示されるように、イオンガイド940の第2の部分は、ガス偏向板952から上流に延びる内側円筒電極970を含む。内側円筒電極970の各々は、ガス偏向板952内のボアと整列され、およびそれを通して、ワイヤ950が延び得る、ボア972を含む。当業者によって理解されるであろうように、内側円筒電極970は、ワイヤ950に対して、DCバイアスに維持されることができ、それによって、各々を通過するイオンは、反発力、内側円筒電極970上にDCバイアスによって発生させられる単極DC場、およびワイヤ950によって発生させられるRF場の組み合わせによって捕捉される。その結果、本明細書のいずれかに論じられるように、イオンは、内側円筒電極970内へと、偏向板952を通して延びるボアを通して伝送されることができる一方、イオンガイド940に流入するガス流964の少なくとも一部は、偏向板952によって、出口窓948および中心軸から偏向させられる。
【0051】
ガス流964の少なくとも一部が、イオンガイド940の中心軸から除去されると、イオンは、半円筒電極980が、
図9Dに示されるように、ガス偏向板952から下流に延びる、第3の部分に流入する。ワイヤ950は、半円筒電極980を通ってさらに延びる。当業者によって理解されるであろうように、半円筒電極980は、ワイヤ950に対してDCバイアスに維持されることができ、それによって、半円筒電極980の各々に流入するイオンは、概して、例えば、
図10のシミュレーションに示されるように、ワイヤ950および半円筒電極980によって発生させられる八重極DC場およびRF場の組み合わせにより、イオンガイド940の中心軸に向かって押される。
【0052】
下流に継続して延びるワイヤ950は、イオンガイド940の第4の部分を備えている(
図9E参照)。当業者によって理解されるであろうように、この第4の部分におけるワイヤ950の構成は、例えば、
図10のシミュレーションに示されるように、イオンを中心軸に向かってさらに駆りたてる四重極RF場を発生させる。
【0053】
各ワイヤ950の下流端は、例えば、イオンガイド940の第5の部分を備えている対応するロッド958に連結されることができる。そこに印加されるRF信号を有し得るロッド958は、イオンが、
図10に描写されるように、コヒーレントイオンビームとして、出口開口を通して伝送され得るように、より優れた集束力をイオンに生成する四重極RF場を発生させることができる。
【0054】
前述のように、本出願人の教示による、イオンガイドは、ガス流中に同伴されるイオンの少なくとも一部がガス噴流から抽出され、ガス流の経路と別個の1つ以上の経路に沿って、下流に誘導されることをもたらすための任意の数のワイヤを含むことができる(イオンを欠いたガスは、イオンガイドから除去されることができる)。ここで
図11を参照すると、本出願人の教示の種々の側面による、イオンガイド1140の別の例示的実施形態が、描写される。
図11に示されるように、例示的イオンガイド1140は、入口端1140aから出口端1140bまで延び、その間に延びる上部および底部対向電極1142a(底部電極1142aのみ、描写される)を含む。例示的実施形態では、電極1142aは、印刷回路基板(PCB)を備えていることができ、例えば、そこに、電気信号が、その長さに沿ってイオンの移動を制御するように印加されることができる。加えて、2つの対向側壁1142bは、入口端1140aから出口端1140bまで延びることができ(側壁1142bの1つのみが、描写される)、その上に、2つのワイヤ1150が、搭載され、イオンガイド1140の長さに沿って、延びることができる。
【0055】
いくつかの側面では、本明細書のその他で論じられるように、DCバイアス電圧が、ワイヤ1150に対して対向電極1142aに印加されることができる一方、RF信号が、ワイヤ1150の近傍に電位井戸を発生させるように、ワイヤ1150に印加される。一例として、電気信号は、四重極DC場および実質的単極または単極等価RF場をガス偏向器1152から上流のイオンガイド1140の一部内に発生させることができる。当業者によって理解されるであろうように、単極等価RF場は、単極成分が優位である一方、四重極成分が無視可能であることを示し、安定イオン位置が、中心軸上にない。
【0056】
イオンガイド1140に流入すると、イオンは、したがって、中心軸から偏向させられ、ガス噴流の外側のイオンガイド1140を横断することができる。前述のように、イオンガイド1140の中心軸上に配置されるガス偏向板1152は、イオンがガス流から抽出されると、1つ以上の出口窓1148に向かってガスを偏向させ、ガスをイオンガイドから除去することができる。
【0057】
種々の側面では、イオンガイド1140は、偏向板1152の下流に配置され、イオンガイドによって伝送されるイオンを再集束させるための追加の電極1158を含むことができる。一例として、RF信号が、四重極RF場を発生させ、イオンを出口端1140b内の出口開口を通して集束するように、電極1158に印加されることができる。
【0058】
本明細書で論じられるイオンガイドに流入するイオンの初期軸方向速度は、いくつかの側面では、ガス噴流から除去されると、イオンガイドの長さに沿ってイオンを移送するために十分であり得るが、イオンの軸方向運動は、例えば、軸方向DC場をイオンガイド内に発生させることによって、補完されることができることを理解されるであろう。一例として、
図11に描写されるように、PCB電極1142aは、その長さに沿ってセグメント化されることができ、種々のDC電圧がそこに印加され、DC「梯子」を発生させ、イオンがイオンガイド1140を横断するにつれて、イオンの軸方向移動を加速または減速させる。
【0059】
本明細書で使用される見出しは、編成目的のためにすぎず、限定として解釈されない。本出願人の教示は、種々の実施形態と併せて説明されたが、本出願人の教示が、そのような実施形態に限定されることを意図するものではない。対照的に、本出願人の教示は、当業者によって理解されるように、種々の代替、修正、および均等物を包含する。