(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6292802
(24)【登録日】2018年2月23日
(45)【発行日】2018年3月14日
(54)【発明の名称】バッテリ回路、保護回路
(51)【国際特許分類】
H02H 7/18 20060101AFI20180305BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20180305BHJP
H01H 37/76 20060101ALI20180305BHJP
【FI】
H02H7/18
H02J7/00 S
H01H37/76 A
【請求項の数】14
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-184661(P2013-184661)
(22)【出願日】2013年9月6日
(65)【公開番号】特開2015-53779(P2015-53779A)
(43)【公開日】2015年3月19日
【審査請求日】2016年8月4日
(73)【特許権者】
【識別番号】000108410
【氏名又は名称】デクセリアルズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100113424
【弁理士】
【氏名又は名称】野口 信博
(72)【発明者】
【氏名】小森 千智
(72)【発明者】
【氏名】向 幸市
(72)【発明者】
【氏名】古田 和隆
(72)【発明者】
【氏名】荒木 利顕
(72)【発明者】
【氏名】江島 康二
(72)【発明者】
【氏名】藤畑 貴史
【審査官】
宮本 秀一
(56)【参考文献】
【文献】
特開平02−087935(JP,A)
【文献】
特開2010−003665(JP,A)
【文献】
特開2003−111268(JP,A)
【文献】
特開2012−164783(JP,A)
【文献】
特開2006−109596(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H37/76、
69/02、
85/00−87/00
H01M2/10、
2/20−2/34
H02H7/00、
7/10−7/20
H02J7/00−7/12、
7/34−7/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バッテリスタックと、
上記バッテリスタックの充放電電流経路に接続された可溶導体と、発熱することにより上記可溶導体を溶断させ上記充放電電流経路を遮断する発熱体とを備えた保護回路部と、
上記発熱体と給電回路を介して直列に接続されるとともに、上記バッテリスタックと並列に接続され、所定の電圧以上の電圧になると上記発熱体に通電させる電流制御素子とを有し、
上記可溶導体は、上記充放電電流経路に対する上記発熱体の接続端の両側に設けられるバッテリ回路。
【請求項2】
上記電流制御素子は、ツェナーダイオードである請求項1記載のバッテリ回路。
【請求項3】
通電方向の異なる複数の上記ツェナーダイオードが直列に接続されている請求項2記載のバッ
テリ回路。
【請求項4】
上記電流制御素子が上記バッテリスタックのバッテリセル毎に並列に接続されている請
求項1〜3のいずれか1項に記載のバッテリ回路。
【請求項5】
上記バッテリスタックの異常電圧を検出する検出素子と、
上記発熱体と接続され、上記検出素子からの検出信号を受けて上記発熱体に通電させる
スイッチ素子を備え、
上記電流制御素子は、上記スイッチ素子と並列に接続されている請求項1〜3のいずれ
か1項に記載のバッテリ回路。
【請求項6】
上記電流制御素子は、アンチヒューズである請求項1記載のバッテリ回路。
【請求項7】
バッテリスタックと、
上記バッテリスタックの充放電電流経路に接続された可溶導体と、発熱することにより上記可溶導体を溶断させ上記充放電電流経路を遮断する発熱体とを備えた保護回路部と、
上記発熱体と直列に接続されるとともに、上記バッテリスタックと並列に接続され、所定の電圧以上の電圧になると上記発熱体に通電させる電流制御素子とを有し、
上記電流制御素子は、通電方向の異なる複数のツェナーダイオードが直列に接続されているバッテリ回路。
【請求項8】
上記電流制御素子が上記バッテリスタックのバッテリセル毎に並列に接続されている請求項7に記載のバッテリ回路。
【請求項9】
バッテリスタックと、
上記バッテリスタックの充放電電流経路に接続された可溶導体と、発熱することにより上記可溶導体を溶断させ上記充放電電流経路を遮断する発熱体とを備えた保護回路部と、
上記発熱体と直列に接続されるとともに、上記バッテリスタックと並列に接続され、所定の電圧以上の電圧になると上記発熱体に通電させる電流制御素子と、
上記バッテリスタックの異常電圧を検出する検出素子と、
上記発熱体と接続され、上記検出素子からの検出信号を受けて上記発熱体に通電させるスイッチ素子とを備え、
上記電流制御素子は、上記スイッチ素子と並列に接続されているバッテリ回路。
【請求項10】
上記電流制御素子は、ツェナーダイオードまたはアンチヒューズである請求項9記載のバッテリ回路。
【請求項11】
外部回路の電流経路に接続される可溶導体と、
発熱することにより上記可溶導体を溶断させ上記外部回路を遮断する発熱体と、
上記発熱体と直列に接続されるとともに、上記外部回路と並列に接続され、所定の電圧以上の電圧になると上記発熱体に通電させる電流制御素子とを有し、
上記可溶導体は、上記電流経路に対する上記発熱体の接続端の両側に設けられる保護回路。
【請求項12】
外部回路の電流経路に接続される可溶導体と、
発熱することにより上記可溶導体を溶断させ上記外部回路を遮断する発熱体と、
上記発熱体と直列に接続されるとともに、上記外部回路と並列に接続され、所定の電圧以上の電圧になると上記発熱体に通電させる電流制御素子とを有し、
上記電流制御素子は、通電方向の異なる複数のツェナーダイオードが直列に接続されている保護回路。
【請求項13】
外部回路の電流経路に接続される可溶導体と、
発熱することにより上記可溶導体を溶断させ上記外部回路を遮断する発熱体と、
上記発熱体と直列に接続されるとともに、上記外部回路と並列に接続され、所定の電圧以上の電圧になると上記発熱体に通電させる電流制御素子と、
上記外部回路の異常電圧を検出する検出素子と、
上記発熱体と接続され、上記検出素子からの検出信号を受けて上記発熱体に通電させるスイッチ素子とを備え、
上記電流制御素子は、上記スイッチ素子と並列に接続されている保護回路。
【請求項14】
上記電流制御素子は、ツェナーダイオードまたはアンチヒューズである請求項11〜13のいずれか1項に記載の保護回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電流経路を遮断する保護回路に関し、特にリチウムイオン二次電池等の緊急時に速やかに電流経路を遮断する必要のあるバッテリ回路や、バッテリ回路に用いて好適な保護回路に関する。
【背景技術】
【0002】
充電して繰り返し利用することのできる二次電池の多くは、バッテリパックに加工されてユーザに提供される。特に重量エネルギー密度の高いリチウムイオン二次電池においては、ユーザ及び電子機器の安全を確保するために、一般的に、過充電保護、過放電保護等のための保障回路をバッテリパックに内蔵し、所定の場合にバッテリパックの出力を遮断する機能を有している。
【0003】
この種の回路では、バッテリパックに内蔵されたFETスイッチを用いて出力のON/OFFを行うことにより、バッテリパックの過充電保護又は過放電保護動作を行う。しかしながら、何らかの原因でFETスイッチが短絡破壊した場合、雷サージ等が印加されて瞬間的な大電流が流れた場合、あるいはバッテリセルの寿命によって出力電圧が異常に低下したり、逆に過大異常電圧を出力した場合であっても、バッテリパックや電子機器は、発火等の事故から保護されなければならない。そこで、このような想定し得るいかなる異常状態においても、バッテリセルの出力を安全に遮断するために、外部からの信号によって電流経路を遮断する機能を有するヒューズ素子からなる保護素子が用いられる。
【0004】
このようなリチウムイオン二次電池等向けのバッテリ回路の保護素子として、保護素子内部に発熱体を有し、この発熱体によって電流経路上のヒューズを溶断する構造が一般的に用いられている。
【0005】
本発明の関連技術として、
図8にバッテリ回路50を示す。保護回路50は、例えば、リチウムイオン二次電池のバッテリパックに用いられるバッテリ回路であり、リチウムイオン二次電池のバッテリセルを備えたバッテリスタック51と、バッテリスタック51の異常時に充電を遮断する保護素子52と、バッテリスタック51の電圧を検出する検出素子53と、検出素子53の検出結果に応じて保護素子52の動作を制御するスイッチ素子54を備える。
【0006】
保護素子52は、バッテリスタック51の充放電電流経路上に直列に接続され、該充放電電流経路の一部を構成するヒューズ55と、スイッチ素子54と接続されバッテリスタック51から電力が供給されることにより発熱し、ヒューズ55を溶断させる発熱体56とを有する。保護素子52は、スイッチ素子54によって発熱体56への給電が制御されている。
【0007】
検出素子53は、バッテリスタック51の電圧をモニタし、過充電電圧又は過放電電圧になったときにスイッチ素子54を制御する制御信号を出力する。
【0008】
スイッチ素子54は、たとえばFETにより構成され、検出素子53から出力される検出信号によって、バッテリスタック51の電圧値が所定の過放電又は過充電状態を超える電圧になったとき、保護素子52を動作させて、バッテリスタック51の充放電電流経路を遮断するように制御する。
【0009】
このような回路構成からなるバッテリ回路50は、検出素子53がバッテリスタック51の異常電圧を検出すると、スイッチ素子54に検出信号を出力する。検出信号を受けたスイッチ素子54は、保護素子52の発熱体56にバッテリスタック51から給電されるように電流を制御する。これにより、バッテリ回路50は、発熱体56が発熱して、ヒューズ55が溶断することにより、充放電電流経路を遮断することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2005−243652号公報
【特許文献2】特開2006−221919号公報
【特許文献3】特開2009−267293号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
近年の電子機器の小型化、薄型化に伴い、リチウムイオン二次電池のバッテリパックも小型化、薄型化が求められている。また、リチウムイオン二次電池の普及に伴い、バッテリパック内の保護回路には、安全性を維持しつつ比較的構造がシンプルで且つ安価なものが求められている。
【0012】
しかし、
図8に示すバッテリ回路50では、電圧を検出する検出素子53によってバッテリスタック51の電圧を常時モニタし、異常電圧となった際にはFET等のスイッチ素子54に検出信号を出力し、スイッチ素子54によって保護素子52の発熱体56へ通電するように制御する。したがって、バッテリ回路50は、電圧を検出する検出素子53、及び発熱体56へ通電させるスイッチ素子54が必須となり、これら検出素子53及びスイッチ素子54を配置するスペースを確保する必要がある。
【0013】
そのため、
図8に示すバッテリ回路50では、小型化、薄型化が困難となり、バッテリパック等のバッテリ素子50が搭載される電子機器の小型化、薄型化を阻害してしまう。また、
図8に示すバッテリ回路50では、部品点数も多く、製造工数やコスト上も不利である。
【0014】
そこで、本発明は、保護素子の他に検出素子やFET等のスイッチ素子を用いる必要のないバッテリ回路、保護回路を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上述した課題を解決するために、本発明に係るバッテリ回路は、バッテリスタックと、上記バッテリスタックの充放電電流経路に接続された可溶導体と、発熱することにより上記可溶導体を溶断させ上記充放電電流経路を遮断する発熱体とを備えた保護回路部と、上記発熱体と
給電回路を介して直列に接続されるとともに、上記バッテリスタックと並列に接続され、所定の電圧以上の電圧になると上記発熱体に通電させる電流制御素子とを有
し、上記可溶導体は、上記充放電電流経路に対する上記発熱体の接続端の両側に設けられるものである。
また、本発明に係るバッテリ回路は、バッテリスタックと、上記バッテリスタックの充放電電流経路に接続された可溶導体と、発熱することにより上記可溶導体を溶断させ上記充放電電流経路を遮断する発熱体とを備えた保護回路部と、上記発熱体と直列に接続されるとともに、上記バッテリスタックと並列に接続され、所定の電圧以上の電圧になると上記発熱体に通電させる電流制御素子とを有し、上記電流制御素子は、通電方向の異なる複数のツェナーダイオードが直列に接続されているものである。
また、本発明に係るバッテリ回路は、バッテリスタックと、上記バッテリスタックの充放電電流経路に接続された可溶導体と、発熱することにより上記可溶導体を溶断させ上記充放電電流経路を遮断する発熱体とを備えた保護回路部と、上記発熱体と直列に接続されるとともに、上記バッテリスタックと並列に接続され、所定の電圧以上の電圧になると上記発熱体に通電させる電流制御素子と、上記バッテリスタックの異常電圧を検出する検出素子と、上記発熱体と接続され、上記検出素子からの検出信号を受けて上記発熱体に通電させるスイッチ素子とを備え、上記電流制御素子は、上記スイッチ素子と並列に接続されているものである。
【0016】
また、本発明に係る保護回路は、外部回路の電流経路に接続される可溶導体と、発熱することにより上記可溶導体を溶断させ上記外部回路を遮断する発熱体と、上記発熱体と直列に接続されるとともに、上記外部回路と並列に接続され、所定の電圧以上の電圧になると上記発熱体に通電させる電流制御素子とを有し、上記可溶導体は、上記電流経路に対する上記発熱体の接続端の両側に設けられるものである。
また、本発明に係る保護回路は、外部回路の電流経路に接続される可溶導体と、発熱することにより上記可溶導体を溶断させ上記外部回路を遮断する発熱体と、上記発熱体と直列に接続されるとともに、上記外部回路と並列に接続され、所定の電圧以上の電圧になると上記発熱体に通電させる電流制御素子とを有し、上記電流制御素子は、通電方向の異なる複数のツェナーダイオードが直列に接続されているものである。
また、本発明に係る保護回路は、外部回路の電流経路に接続される可溶導体と、発熱することにより上記可溶導体を溶断させ上記外部回路を遮断する発熱体と、上記発熱体と直列に接続されるとともに、上記外部回路と並列に接続され、所定の電圧以上の電圧になると上記発熱体に通電させる電流制御素子と、上記
外部回路の異常電圧を検出する検出素子と、上記発熱体と接続され、上記検出素子からの検出信号を受けて上記発熱体に通電させるスイッチ素子とを備え、上記電流制御素子は、上記スイッチ素子と並列に接続されているものである。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、バッテリスタックが定格を超える高電圧となった場合に、電流制御素子によって発熱体に電流を流すように制御されることから、バッテリスタックの電圧値をモニタする検出素子や、検出素子の結果に応じて通電を制御するFET等のスイッチ素子を設ける必要がないため、バッテリパックの小型化も容易となる他、部品点数の増加や、組み立て工数の増加を招くこともない。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】
図1は、本発明が適用されたバッテリ回路を示す回路図である。
【
図2】
図2は、本発明が適用された他のバッテリ回路を示す回路図である。
【
図3】
図3は、本発明が適用された他のバッテリ回路を示す回路図である。
【
図4】
図4は、アンチヒューズの一構成例を示す断面図である。
【
図5】
図5は、電流制御素子としてアンチヒューズを用いたバッテリ回路を示す回路図である。
【
図6】
図6は、本発明が適用された他のバッテリ回路を示す回路図である。
【
図7】
図7は、本発明が適用された保護回路を示す回路図である。
【
図8】
図8は、従来例に係るバッテリ回路を示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明が適用されたバッテリ回路及び保護回路について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施形態のみに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変更が可能であることは勿論である。また、図面は模式的なものであり、各寸法の比率等は現実のものとは異なることがある。具体的な寸法等は以下の説明を参酌して判断すべきものである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることは勿論である。
【0020】
本発明が適用されたバッテリ回路1は、
図1に示すように、例えばリチウムイオン二次電池のバッテリパック10内の回路に組み込まれて用いられる。バッテリパック10は、バッテリスタック2と、バッテリスタック2の異常電圧時に充放電電流経路を遮断する保護回路部3と、保護回路部3に流れる電流を制御する電流制御素子4とを有する。
【0021】
バッテリスタック2は、一又は複数のリチウムイオン二次電池のバッテリセル11を有する。
【0022】
保護回路部3は、バッテリスタック2の充放電電流経路に接続された可溶導体5と、発熱することにより可溶導体5を溶断させ充放電電流経路を遮断する発熱体6とを有する。
【0023】
可溶導体5は、発熱体6の発熱により速やかに溶断されるいずれの金属を用いることができ、例えば、Snを主成分とするPbフリーハンダ等の低融点金属を好適に用いることができる。
【0024】
また、可溶導体5は、低融点金属と高融点金属とを積層して形成してもよい。低融点金属と高融点金属との積層構造としては、例えば、低融点金属箔を高融点金属メッキによって被覆する構造を挙げることができる。低融点金属としては、Snを主成分とするPbフリーハンダなどのハンダを用いることが好ましく、高融点金属としては、Ag、Cu又はこれらを主成分とする合金などを用いることが好ましい。高融点金属と低融点金属とを含有することによって、保護回路1を構成する保護素子をリフロー実装する場合に、リフロー温度が低融点金属の溶融温度を超えて、低融点金属が溶融しても、低融点金属の外部への流出を抑制し、可溶導体5の形状を維持することができる。また、溶断時も、低融点金属が溶融することにより、高融点金属を溶食(ハンダ食われ)することで、高融点金属の融点以下の温度で速やかに溶断することができる。
【0025】
可溶導体5は、互いに分離されて形成されバッテリスタック2の充放電経路と接続された一対の電極間にハンダ付けされること等により、バッテリスタック2の充放電経路上に直列に接続され、これにより充放電経路の一部を構成し、発熱体6の発熱によって溶断することにより、充放電経路を遮断することができる。
【0026】
発熱体6は、比較的抵抗値が高く通電すると発熱する導電性を有する部材であって、たとえばW、Mo、Ru等からなる。これらの合金あるいは組成物、化合物の粉状体を樹脂バインダ等と混合して、ペースト状にしたものを、保護回路1が形成される絶縁基板上にスクリーン印刷技術を用いてパターン形成して、焼成する等によって形成する。
【0027】
バッテリ回路1は、発熱体6が電流制御素子4と直列に接続されるとともに、これら発熱体6及び電流制御素子4がバッテリスタック2と並列に接続される。これにより、バッテリ回路1は、発熱体6に電力を供給する給電経路7が形成される。給電経路7は、バッテリスタック2のバッテリセル11が定格電圧の状態においては、電流制御素子4によって発熱体6への通電が規制されている。そして、バッテリ回路1は、何らかの原因によりバッテリセル11が過充電の状態となりバッテリスタック2が定格を超えた高電圧となった場合には、電流制御素子4によって給電経路7が通電されることにより、発熱体6が発熱を開始し、可溶導体5を溶断する。
【0028】
電流制御素子4は、バッテリスタック2の電圧が定格の範囲内である場合は、発熱体6側への通電を規制している。そして、電流制御素子4は、バッテリスタック2の電圧が所定の値以上になると、発熱体6へバッテリスタック2の電流を通電させて発熱させる。
【0029】
このような電流制御素子4としては、例えばツェナーダイオード12を用いることができる。バッテリ回路1は、ツェナーダイオード12の降伏電圧を、バッテリセル11の過充電時において検出される電圧値(例えば、4.5v)に設定することにより、正常時の電圧下(例えば、4.2v)においては発熱体6への通電が規制され、通常の電源回路として使用できる。そして、バッテリ回路1は、バッテリセル11の過充電によりバッテリスタック2が高電圧となった場合には、ツェナーダイオード12の降伏電圧を超える電圧が印加されることにより、給電経路7に電流を流し、発熱体6を発熱させることができる。
【0030】
バッテリ回路1は、発熱体6の発熱により可溶導体1が溶融し、溶融導体が互いに分離した一対の電極上に凝集することにより分断され、これによりバッテリスタック2の充放電経路を遮断することができる。ここで、バッテリ回路1は、保護回路部3の可溶導体5を溶断することにより充放電経路を遮断することから、不可逆的に充放電経路を遮断する。
【0031】
このように、バッテリ回路1は、バッテリセル11の過充電によりバッテリスタック2が定格を超える高電圧となった場合に、電流制御素子4によって発熱体6の給電経路7に電流を流すように制御されることから、バッテリスタック2の電圧値をモニタする検出素子や、検出素子の結果に応じて給電経路7の電流を制御するFET等のスイッチ素子を設ける必要がないため、バッテリパック10の小型化も容易となる他、部品点数の増加や、組み立て工数の増加を招くこともない。
【0032】
また、バッテリ回路1によれば、可溶導体5の溶断により、不可逆的に充放電経路を遮断することから、スイッチ素子の故障やハッキング、クラッキング対する脆弱性にも対応でき、安定的、かつ確実に充放電経路を遮断することができる。
【0033】
なお、バッテリ回路1は、可溶導体5の溶断後は、バッテリセル11の放電による電圧降下によってツェナーダイオード12の降伏電圧を下回ることにより、発熱体6への給電が止まり、発熱が停止される。
【0034】
また、バッテリ回路1は、
図2に示すように、給電経路7上に、2つのツェナーダイオード12を、降伏電圧を印加したときの通電方向が互いに逆向きになるように配置してもよい。通電方向が異なるように複数のツェナーダイオード12を設けることにより、バッテリ回路1は、1つのツェナーダイオード12を用いた場合に逆に接続し、通常使用時おいて給電経路7が通電し、発熱体6の発熱により可溶導体5が溶断する事態を防止できる。
【0035】
また、バッテリ回路1は、
図3に示すように、バッテリスタック2を構成する複数のバッテリセル11毎に電流制御素子4を並列接続してもよい。例えば、バッテリスタック2は、4個のバッテリセル11a〜11bが直列に接続されて構成され、各バッテリセル11a〜11dには、通電方向を逆にした一対のツェナーダイオード12a〜12dが並列に接続される。なお、ツェナーダイオード12a〜12dは、バッテリセル11a〜11dとの接続箇所における電圧値に応じて、降伏電圧値も高くなるように設定される。
【0036】
このように、ツェナーダイオード12が複数のバッテリセル11毎に接続されることにより、バッテリ回路1は、バッテリスタック2の全電圧値が正常であるがバッテリセル11のいずれかが過充電による高電圧状態となっている場合においても、給電経路7を通電させ、発熱体6により可溶導体5を溶断させて充放電経路を遮断することができる。
【0037】
なお、バッテリ回路1は、電流制御素子4として、ツェナーダイオード12を用いる他に、アンチヒューズ素子を用いてもよい。アンチヒューズ素子13は、所定以上の電圧になると短絡し、電流が流れるようになる素子であり、一例として
図4に示すように、絶縁基板20上に、空隙21を隔てて配線パターン22a、22bを形成するとともに、配線パターン22a、22bの両方に接し、空隙21を跨ぐように絶縁体層23を形成する。この絶縁体層23は、SiO
2等により形成することができる。
【0038】
配線パターン22a、22b間は、空隙21によって絶縁されているが、所定の電圧以上の電圧が印加されると、絶縁体層23による絶縁が破壊され、電流が、一方の配線パターン22aから、絶縁体層23を通り、他方の配線パターン22bに流れる。
【0039】
このようなアンチヒューズ素子13によっても、バッテリスタック2、あるいはバッテリセル11のいずれかが高電圧状態となったときに、配線パターン22a、22b間が短絡することにより給電経路7を通電させ、発熱体6の発熱により可溶導体5を溶断させることができる。
【0040】
なお、アンチヒューズ素子13は、
図4に示す構成に限らず、同等の機能を発揮するあらゆる構成が含まれる。
【0041】
また、バッテリ回路1は、電流制御素子4としてアンチヒューズ13を用いる場合には、
図5に示すように、発熱体6との接続端の両側に可溶導体5を設けることが好ましい。この場合、バッテリ回路1は、発熱体6が発熱することにより、発熱体6との接続端の両側に設けられた一対の可溶導体5が共に溶断する。これにより、バッテリ回路1は、バッテリセル11の充放電経路が遮断されるとともに、発熱体6への給電経路7も遮断され、発熱体6の発熱が停止される。なお、バッテリ回路1は、電流制御素子4としてツェナーダイオード12を用いた場合においても、発熱体6との接続端の両側に可溶導体5を設けてもよい。
【0042】
また、バッテリ回路1は、
図6に示すように、バッテリスタック2の異常電圧を検出する検出素子8と、発熱体と接続され、検出素子8からの検出信号を受けて発熱体6の給電経路7を通電させるスイッチ素子9を備え、電流制御素子4をスイッチ素子9と並列に接続させてもよい。
【0043】
検出素子8は、バッテリスタック2あるいはバッテリスタック2を構成する各バッテリセル11と接続され、高電圧状態となっているか否かを常時モニタするとともに、高電圧状態となった場合には、スイッチ素子9に制御信号を出力する。
【0044】
スイッチ素子9は、検出素子8の検出結果に応じて保護回路部3の動作を制御するものであり、たとえばFETにより構成され、給電経路7への通電を規制し、検出素子8からの制御信号を受けて給電経路7を通電させる。
【0045】
バッテリ回路1は、スイッチ素子9と電流制御素子4とが給電経路7上に並列に接続されている。そして、バッテリ回路1は、充放電経路の遮断を、検出素子8及びスイッチ素子9による方法、又は上述したツェナーダイオード12又はアンチヒューズ素子13等の電流制御素子4によって行う方法の2つの方法を備える。
【0046】
これにより、バッテリ回路1は、検出素子8及びスイッチ素子9、又は電流制御素子4のいずれか一方が故障した場合にも、他方の素子によってバッテリスタック2やバッテリセル11の高電圧状態に対して給電経路7を通電させ、充放電経路を遮断することができる。
【0047】
なお、バッテリ回路1においては、保護回路部3と電流制御素子4とを別個に設けたが、本発明は、
図7に示すように、電流制御素子4と、可溶導体5と、発熱体6とを1チップ上に形成することにより、保護回路30としてもよい。
【0048】
保護回路30は、可溶導体5の両端が、バッテリ回路等の外部回路31に接続され、当該外部回路31の電流経路の一部を構成する。また、保護回路30は、電流制御素子4及び発熱体6が、外部回路31における、バッテリスタック等の高電圧状態を検出する必要のあるデバイスと並列に接続される。
【0049】
かかる保護回路30によっても、外部回路31に組み込まれることにより、正常時においては、電流制御素子4によって給電経路7の通電を規制し、外部回路31が高電圧状態になると給電経路7を通電させて、発熱体6を発熱により可溶導体5を溶断させ、当該外部回路31の電流経路を遮断することができる。
【0050】
保護回路30は、バッテリ回路に用いる他にも、高電圧状態を検出することにより電流経路を遮断する必要のある各種外部回路に用いることができる。
【符号の説明】
【0051】
1 バッテリ回路、2 バッテリスタック、3 保護回路部、4 電流制御素子、5 可溶導体、6 発熱体、7 給電経路、8 検出素子、9 スイッチ素子、10 バッテリパック、11 バッテリセル、12 ツェナーダイオード、13 アンチヒューズ素子、20 絶縁基板、21 空隙、22 配線パターン、23 絶縁体層、30 保護回路、31 外部回路