特許第6292806号(P6292806)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6292806
(24)【登録日】2018年2月23日
(45)【発行日】2018年3月14日
(54)【発明の名称】ガス遮断装置のための保安カバー
(51)【国際特許分類】
   F16K 35/00 20060101AFI20180305BHJP
   G01F 1/00 20060101ALI20180305BHJP
   F23N 5/24 20060101ALI20180305BHJP
   F23K 5/00 20060101ALI20180305BHJP
   F16K 27/06 20060101ALI20180305BHJP
   G01F 3/22 20060101ALN20180305BHJP
【FI】
   F16K35/00 D
   G01F1/00 G
   F23N5/24 101A
   F23K5/00 304
   F16K27/06 Z
   !G01F3/22 B
【請求項の数】4
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2013-189721(P2013-189721)
(22)【出願日】2013年9月12日
(65)【公開番号】特開2015-55319(P2015-55319A)
(43)【公開日】2015年3月23日
【審査請求日】2016年8月1日
(73)【特許権者】
【識別番号】000220262
【氏名又は名称】東京瓦斯株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000207311
【氏名又は名称】大東電材株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091096
【弁理士】
【氏名又は名称】平木 祐輔
(74)【代理人】
【識別番号】100105463
【弁理士】
【氏名又は名称】関谷 三男
(74)【代理人】
【識別番号】100129861
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 滝治
(74)【代理人】
【識別番号】100099128
【弁理士】
【氏名又は名称】早川 康
(72)【発明者】
【氏名】寺村 朋晃
(72)【発明者】
【氏名】小川 克也
(72)【発明者】
【氏名】瀧 陽介
(72)【発明者】
【氏名】峯 祥太
(72)【発明者】
【氏名】田部 徹
【審査官】 山本 崇昭
(56)【参考文献】
【文献】 特表2001−513178(JP,A)
【文献】 実開平05−083560(JP,U)
【文献】 特開2008−232382(JP,A)
【文献】 特開平10−332038(JP,A)
【文献】 特開2007−333165(JP,A)
【文献】 米国特許第6070442(US,A)
【文献】 米国特許第6718804(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16K 27/00−27/12
F16K 35/00−35/16
F23N 1/02−5/24
F23K 5/00−5/26
G01F 1/00−9/02
F16L 55/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガス流路を内部に持つ本体部と、該本体部の適所に取り付けられていて回動位置を選択することで前記ガス流路の閉鎖と開放を選択することのできるガス栓とを備えてなるガス遮断装置とともに用いられる保安カバーであって、
前記保安カバーは、全体が変形自在な樹脂材料で作られていて前記ガス遮断装置に対して着脱自在であり、一方端側を開放した筒状の胴体部分と該胴体部分の他端側を閉鎖する閉鎖板とを備え、前記ガス遮断装置に取り付けた状態で前記ガス栓とは独立して回動できるようになっていることを特徴とするガス遮断装置のための保安カバー。
【請求項2】
前記保安カバーに備えられた前記閉鎖板に対し、適数の開口が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の保安カバー。
【請求項3】
前記保安カバーは前記胴体部分の後端部近傍に内側に向けた突起を有しており、前記ガス遮断装置に取り付けたときに、前記突起が前記本体部に形成された段差部に入り込んだ状態となることで、前記ガス遮断装置に対して自由には離脱できない状態で取り付けられることを特徴とする請求項1または2に記載のガス遮断装置のための保安カバー。
【請求項4】
前記樹脂材料が可撓性を有した熱可塑性樹脂であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のガス遮断装置のための保安カバー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガス遮断装置のための保安カバーに関する。
【背景技術】
【0002】
ガス燃焼機器やガスメーターのようなガス機器に接続するガス管路にはガス遮断装置が取り付けられており、長期間にわたってガス機器を使用しないときなどには、ガス遮断装置を操作してガス機器へのガス流を遮断することで、安全性を確保している。ガス管路に取り付けるガス遮断装置は、一般に、ガス流路を内部に持つ本体部と、該本体部の適所に取り付けられていて回動位置を選択することで前記ガス流路の閉鎖と開放を選択することのできるガス栓とで構成されている。
【0003】
前記したガス遮断装置が屋外に設置される場合があり、特にガスメーターに接続するガス配管に取り付けられるガス遮断装置は、ほとんどの場合、屋外に設置される。屋外に設置されるガス遮断装置に対しては、いたずらや自然環境から保護することが必要であり、そのためのガス遮断装置用の保安カバーが、特許文献1、2等に記載されている。特許文献1、2に記載される従来のガス遮断装置のための保安カバーは、ガス遮断装置を構成するガス栓の上から被せるようになっており、被せた状態で保安カバーの下方部分はガス遮断装置の本体部に自由に回動できない状態で係着した状態となるとともに、ガス栓の操作摘みの自由な回動も規制するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実用新案登録第2522983号公報
【特許文献2】特開2008−232382号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ガス遮断装置のための保安カバーは、安全面からは、いたずらなどによってガス栓が自由に操作されないようにしっかりとした構成とすることが求められるが、利用者側にとっては、ガス遮断装置に対する取り付け取り外しが容易なことやコスト的に安価なことも求められる。この観点からみたとき、上記した形態の従来の保安カバーは、構成が複雑であることから製造コストが高く、また、ガス遮断装置に対する着脱が容易とはいえない。
【0006】
本発明は、上記のような事情に鑑みてなされたものであり、安全性は確保しながら、取り付け取り外しが容易でありかつ低コストで製造することのできる、ガス遮断装置のための保安カバーを提供すること課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によるガス遮断装置のための保安カバーは、ガス流路を内部に持つ本体部と、該本体部の適所に取り付けられていて回動位置を選択することで前記ガス流路の閉鎖と開放を選択することのできるガス栓とを備えてなるガス遮断装置とともに用いられる保安カバーであって、前記保安カバーは、全体が変形自在な樹脂材料で作られていて前記ガス遮断装置に対して着脱自在であり、一方端側を開放した筒状の胴体部分と該胴体部分の他端側を閉鎖する閉鎖板とを備え、前記ガス遮断装置に取り付けた状態で前記ガス栓とは独立して回動できるようになっていることを特徴とする。
【0008】
本発明によるガス遮断装置のための保安カバーは、全体が変形自在な樹脂材料で作られており、ガス遮断装置に対する取り付け取り外しはきわめて容易であり、かつ樹脂による一体成形品として容易にかつ低コストで製造することができる。
【0009】
また、ガス遮断装置に取り付けた状態で保安カバーはガス栓とは独立して回動できるようになっているので、保安カバーの着脱時に、あるいはいたずらなどによって、保安カバーが不用意に回動してしまったときでも、保安カバーとともにガス栓が供回りすることはなく、ガス遮断装置としての高い安定性は確保される。
【0010】
さらに、少なくとも前記閉鎖板の部分が透過性を備える場合には、検査員等は、ガス遮断装置に取り付けた状態で前面側となる前記閉鎖板を通して、ガス栓の操作摘みが開の位置にあるか閉の位置にあるかを、容易に視認することができる。そのために、何らかの事情によりあるべき位置でない位置に操作摘みが位置しているときであっても、保安カバーを取り外すことで、容易にあるべき位置に容易に戻すことができる。
【0011】
本発明によるガス遮断装置のための保安カバーの一態様では、前記保安カバーに備えられた前記閉鎖板に対し、適数の開口(貫通孔)が形成されていることを特徴とする。この態様では、前記閉鎖板の部分が透過性を備えない場合であっても、検査員等は、該開口を通して、ガス栓の操作摘みが開の位置にあるか閉の位置にあるかを、容易に視認することができ、また、開口から工具を差し込むことで、操作摘みの位置を変えることができる。そのために、何らかの事情によりあるべき位置でない位置に操作摘みが位置しているときであっても、保安カバーを取り外すことなく、あるべき位置に容易に戻すことができる。もちろん、保安カバーを取り外して、操作摘みの位置を調整することもできる。
【0012】
本発明によるガス遮断装置のための保安カバーの一態様では、保安カバーは前記胴体部分の後端部近傍に内側に向けた突起を有しており、前記ガス遮断装置に取り付けたときに、前記突起が前記本体部材に形成された段差部に入り込んだ状態となることで、前記ガス遮断装置に対して自由には離脱できない状態で取り付けられることを特徴とする。この態様の保安カバーは、ガス遮断装置に取り付けたときに、より安定した取り付け姿勢が確保され、強風などの自然環境によって外れてしまうようなことを確実に回避することができる。
【0013】
本発明において、保安カバーを構成する樹脂材料に特に制限はなく、所要の可撓性を備えるものであれば適宜用いることができる。ポリエチレン、ポリプロピレン等の可撓性を有したオレフィン系樹脂であることが好ましいが、EVA、ABS、ポリカーボネート等の熱可塑性樹脂であってもよい。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、安全性は確保しながら、取り付け取り外しが容易でありかつ低コストで製造することのできる、ガス遮断装置のための保安カバーが得られる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明によるガス遮断装置のための保安カバーの一実施の形態を示す斜視図。
図2図1に示す保安カバーのa−a線に沿う断面図。
図3図1に示す保安カバーを取り付けるガス遮断装置を組み込んだガスメーターを説明するための斜視図。
図4】ガス遮断装置に保安カバーを取り付けた状態を示す側面図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照しながら、本発明によるガス遮断装置のための保安カバーの一実施の形態を説明する。図1は保安カバーを前方から見た斜視図であり、図2図1のa−a線に沿う断面図である。
【0017】
この例において、保安カバー10はポリエチレン系樹脂の一体成形品であり、全体が不透過性であって、外からはカバー内のものを視認することはできない。保安カバー10は、一方端(後端)側を開放した円筒状の胴体部分11と、該胴体部分11の他端側を閉鎖する閉鎖板12とで形成されている。閉鎖板12には胴体部分11の内部を視認できる大きさの開口(貫通孔)13が適数(図示のものでは4個)形成されている。また、図2の断面図に示すように、保安カバー10の胴体部分11の開放側である後端部近傍には、その内周縁の全周にわたって、内側に向けた所要高さの突条14が一体成形されている。
【0018】
図3は、上記した保安カバー10を取り付ける対象物であるであるガス遮断装置20および該ガス遮断装置20を取り付けたガス機器の一例であるガスメーター30を示している。ガスメーター30は、ガス入口31と計量後のガスが流出するガス出口32を備え、ガス入口31側に、前記ガス遮断装置20が取り付けられている。ガス出口32側には適宜の管継ぎ手33を介して、図示しない家庭用ガス燃焼機器へのガス配管が接続している。なお、図3図4において、34は、ガスメーター30等を建物側へ取り付けるときの取り付け具である。
【0019】
ガス遮断装置20は、図4に示すように、一端にガスメーター30の前記ガス入口31への接続具21、他端に図示しないガス本管への装着具22を備え、内部に貫通するガス流路(不図示)を有する本体部23と、該本体部23の屈曲部領域に取り付けられたガス栓24とを備えている。ガス栓24は、前記ガス流路内に位置する図示されない遮断弁と該遮断弁と一体となっている操作具25とを備えており、操作具25を回動して遮断弁の回動位置を選択することで、前記ガス流路の閉鎖と開放を選択することのできるようになっている。
【0020】
前記操作具25は、円筒形の基部26と該基部26から立ち上がる摘み27とを有しており、前記本体部23における前記操作具25の基部26と対向する部分は、基部26の直径よりもわずかに大きい円筒形部分28とされている。そして、該円筒形部分28の裏面側には段差部29が形成されている。
【0021】
前記保安カバー10の胴体部分11の内径は、本体部23の前記円筒形部分28の外径とほぼ同じとされ、また、胴体部分11の長さは、本体部23の前記円筒形部分28の長さと前記操作具25の基部26の裏面から摘み27の先端までの長さとほぼ等しいか大きくされている。具体的な一例では、前記胴体部分11の内径は50mm、長さは35mm、胴体部分11および閉鎖板12の厚みは5mm程度である。また、閉鎖板12に形成した開口13は円孔であり、直径は5〜10mm程度である。さらに、前記突条14の高さは5mm程度である。
【0022】
保安カバー10をガス遮断装置20に取り付けるに当たっては、保安カバー10の後端開放側を手でやや押し広げた状態とし、前記ガス栓24の操作具25側から本体部23に向けて押し込んでいく。胴体部分11の前記突条14の部分が、本体部23の前記円筒形部分28に達したときに、指先による拘束を解放する。それにより、図4に示すように、保安カバー10は、その突条14を本体部23の円筒形部分28の段差部29に係止した状態で、かつ、ガス栓24の部分を外側から包囲するようにして、ガス遮断装置20に取り付けられる。
【0023】
取り付けた状態で、保安カバー10の突条14は本体部23の円筒形部分28の段差部29に係止した状態となっており、強風などの自然環境によって保安カバー10がガス遮断装置20から不用意に外れることはない。一方、検査員等が保安カバー10を取り外そうとする場合には、少しひねりを加えることで、容易に取り外すことができる。また、取り付けた状態で、保安カバー10の内面と前記操作具25とは接触しない寸法とされているので、保安カバー10がいたずら等によって回動された場合でも、操作具25が供回りすることはなく、操作具25は所定の位置を維持することができる。
【0024】
さらに、取り付けた状態で、検査員等は、保安カバー10の閉鎖板12に形成した開口13を通して、内側を容易に視認することが可能であり、操作具25の摘み27の位置があるべき方向を向いているかどうかを、外から容易に確認することができる。そして、何らかの都合であるべき位置にないときには、該開口13から適宜の器具を差し込んで、または、保安カバー10を取り外した後、本来の位置に操作具25を回動し、保安カバー10を取り外した場合には、再度、保安カバー10をガス栓24の部分に装着することで、容易にあるべき姿勢に回復することができる。
【0025】
図示しないが、保安カバー10を、少なくとも前記した閉鎖板12の部分を透過性を備えた材料で作ることもできる。その場合には、検査員等は、保安カバー10をガス遮断装置20に取り付けた状態で、閉鎖板12を通して、操作摘み27が開の位置にあるか閉の位置にあるかを視認することができる。そして、何らかの事情によりあるべき位置でない位置に操作摘み27が位置しているときには、保安カバー10を取り外すことで、容易に操作摘み27をあるべき位置に戻すことができる。
【符号の説明】
【0026】
10…保安カバー、
11…円筒状の胴体部分、
12…閉鎖板、
13…閉鎖板に形成した開口(貫通孔)、
14…突条、
20…ガス遮断装置、
21、22…ガスメーターへの接続具、
23…本体部、
24…ガス栓、
25…操作具、
26…操作具の基部、
27…操作具の摘み、
28…本体部の円筒形部分、
29…段差部、
30…ガスメーター。
図1
図2
図3
図4