(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
(実施の形態1)
以下、
図1を参照して、実施の形態1を説明する。実施の形態1は、本発明をIHクッキングヒーターに用いた場合の形態である。
図1を参照すると、IHクッキングヒーターである調理機器Aの外殻は、本体ケース10と、本体ケース10の上方を覆い鍋やフライパンなどの調理容器を載置する天板20から構成される。天板20は、周囲をステンレス等の金属製のフレーム21で構成し、フレーム21の開口に耐熱のガラス板22が嵌め込まれている。
【0010】
また、天板20の前方側には、調理モードの選択、各誘導加熱コイル40(40L,40R)(図示せず)の電源のON・OFF、タイマーの設定等を行う上面操作部30が設けられている。この上面操作部30は、フレーム21の開口に位置しており、複数の操作ボタンにより構成されている。
【0011】
次に、天板20の下方には、調理容器を誘導加熱する誘導加熱コイル40や、調理機器Aの状態を表示する表示部50が配置されている。
そして、この誘導加熱コイル40と対向する天板20の上面の位置には、それぞれ加熱部23(左加熱部23L、右加熱部23R)を示すマークが表示されている。加熱部23は、調理時に当該マークの位置に鍋などの調理容器を置く位置である。
【0012】
次に、調理機器Aの前面には、グリル扉70と前面操作部80が位置している。
グリル扉70は、グリル調理を行うグリル庫(図示せず)の開口部を覆う部材であり、調理物を載せる焼網が載せられるグリル皿と一体となっている。つまり、グリル扉70を手前に引き出せば、グリル庫内部から調理物を取り出し可能となっている。
【0013】
このグリル扉70には、グリル庫内部を目視にて確認する為のグリル窓71と、グリル内部から調理物が乗せられているグリル皿を取り出す際に、手掛け部として用いるグリルハンドル72が形成されている。
また、グリル庫の内部には、庫内の温度を上昇させるグリルヒーター73(図示せず)が設けられている。
【0014】
次に、前面操作部80は、誘導加熱コイル40の出力を調整するものであり、それぞれの誘導加熱コイル40に対応して設けられる操作ダイヤル81が配置されたている。
そして、この前面操作部80の内部には、外部の機器と通信を行うため送受信部となる非接触通信手段60が設けられ、この非接触通信手段60と対向する前面パネル82の前面には、外部端末Bを近接させることで非接触通信手段と通信可能となる位置であることを示す通信位置マーク60aが表示されている。
尚、外部端末Bは前面操作部80に接近させられなくても、非接触通信手段の通信範囲にあるPCやTVなどでもよい。
【0015】
次に、
図2を参照すると、以上のように構成された調理機器Aの内部には、誘導加熱コイル40に高周波電力を供給するインバーター回路や、グリルヒーターを駆動するグリルヒーター駆動回路、表示部50を駆動する表示部駆動回路、及び、各回路を制御する制御手段100である回路基板(図示せず)が設けられている。
【0016】
また、上面操作部30、前面操作部80、非接触通信手段60、音声を再生するスピーカー90も制御手段100に接続している。
尚、制御手段は、マイコンやDSPやマイクロプロセッサーなどで構成されており、調理履歴や外部から受信した情報やデータを記憶する記憶部101及び時間を計算する計時部102をインストールしている。
【0017】
ここで、非接触通信手段60は、外部端末Bとデータの送受信を行うためのアンテナを有する。
また、外部端末Bは、内部に送受信用の端末アンテナをインストールすることにより、非接触通信手段60との間で無線通信を行い、データの送受信が行えるように構成されており、調理機器に対応した専用端末や、携帯電話や多機能情報端末(例えば、所謂スマートフォンやタブレット型端末)等、インターネットに接続可能な端末を用いてもよい。
【0018】
そして、外部端末Bは、非接触通信手段60から受信したデータを扱うための専用のアプリケーションが組み込まれている。
以上のように各部が構成された調理機器Aは、外部端末Bとの間で無線通信を行い、次のように動作する。尚、本実施の形態では、通信位置マーク60aに外部端末Bを近接させて行う、近距離無線通信で通信を行う例を説明する。
【0019】
調理機器Aと外部端末Bの関係図である
図3を参照すると、外部端末Bは、上記の通り調理機器Aとの間で、無線通信により情報の送受信を行うことができ、これらの情報をインストールされた表示手段等で、確認することができる。
外部端末Bには、調理機器Aとの間の通信の際に送受信するレシピなどの情報を管理するアプリケーションをインストールしており、この調理機器Aに対応するレシピを確認することができる。
【0020】
また、外部端末Bがインターネットに接続可能であれば、インターネットから調理機器Aに対応するレシピを取得することができる。
そして、外部端末Bで管理するレシピ情報は、無線通信により調理機器Aに送信可能であり、調理機器Aの制御手段100は、取得したレシピ情報である火力や加熱時間に基づき、加熱手段の駆動時間や出力を制御し、自動調理動作を行う。尚、取得したレシピ情報は、記憶部101で記憶される。
【0021】
次に、調理機器が起動してから自動調理を行うまでの調理機器Aの動作フローを示す
図4及び、外部端末Bでレシピを選択してから調理機器Aにデータを送信するまでの外部端末Bの動作フローを示す
図5を参照して、調理機器Aのグリル庫で秋刀魚の塩焼きを調理する場合を説明する。
【0022】
図4を参照すると、まず、調理機器Aの電源を入れ(S11)、グリル庫に調理対象である秋刀魚を入れて、加熱調理できるようにする。
次に、調理機器Aを、外部から調理データを受信できる状態である調理データ受信モードを起動する(S12)。調理データ受信モードを起動することにより、非接触通信手段60が通信可能となり、調理機器Aは、外部端末Bからのデータを取得することが可能な状態となる。つまり、取得したデータは、記憶部101に記憶可能となる。
尚、調理データ受信モードへの移行は、あらかじめ上面操作部30に受信モード移行スイッチを設け、使用者がこのスイッチを操作して行っても良く、また、調理機器Aの電源が入っているときは、常に外部からの調理データを受信できる状態にしても良い。
【0023】
次に、
図5を参照すると、外部端末Bを操作し、レシピ情報や調理データを管理するためのアプリケーションを起動し(S1)、アプリケーションの機能一覧からレシピ情報送信モードを起動する(S2)。
次に、アプリケーションで管理する調理メニューの一覧から、秋刀魚の塩焼きを選択する(S3)。
次に、アプリケーションの画面から、調理する秋刀魚の数を選択する(S4)。
次に、アプリケーションの画面から、秋刀魚の焼色(焼き加減)を選択する(S5)。
【0024】
以上のように、外部端末Bで起動したアプリケーションから調理データの設定が終了すると、外部端末Bの表示手段に設定した調理データが表示され(S6)、設定された調理データを調理機器Aに送信するか否かの選択画面が表示される(S7)。
使用者は表示された調理データを調理機器Aに送信する場合、OKボタンを押し(図示せず)、再度調理データの設定をする場合などはNOボタンを押す(図示せず)。OKボタンが押された場合は、設定した調理データをインストールする端末アンテナから調理機器Aに送信する(S8)。NOボタンを押した場合、アプリケーション機能一覧に戻る(S2)。
【0025】
ここで、調理の設定には、持ち運びができるスマートフォンやタブレット端末を使用すると、調理する前に冷蔵庫などで食材を確認しながらレシピを選べ、調理の準備をしながら調理の設定をすることができる。
【0026】
次に、
図4を参照すると、調理機器Aの制御手段100は、外部端末Bから受信した調理データに基づき、グリルヒーター73の火力(加熱出力)や時間等の調理設定を行い、表示部50に設定した調理データを表示し(S13)、調理動作が開始可能である旨を知らせて、調理を開始するか否かの操作を使用者対して促す(S14)。
【0027】
調理データが設定されたもので良ければ、使用者が上面操作部30に設けられた加熱開始キーを押すと、グリルヒーター73は調理データ通りの加熱を開始する(S15)。
設定された調理データの変更をしたい場合は、S14にて再設定キーを押すと、S12に移行し、再度、外部端末Bから調理設定をし、調理機器Aにデータを送信する。又は、使用者が調理機器Aを操作し、調理データの変更を行ってもよい。
【0028】
以上のように、外部端末Bを用いて、各調理機器に対応したレシピの中から調理したいレシピを選択し、その調理データを調理機器に送信して設定することで、各種加熱手段の適切な火力や加熱時間を設定することができ、調理の失敗を少なくできる
また、使用者は、情報端末Bにおいて、アプリケーションを、お気に入りの調理メニューを登録しておくことで、効率よく調理メニューを選択でき、調理の時間を短縮することができる。
また、外部端末Bは、インターネットに接続可能に構成されていれば、アプリケーションが管理する調理メニューを、容易に更新することができる。
【0029】
尚、本実施の形態において、調理機器の例として、IHクッキングヒーターを用いて説明したが、オーブンレンジ、電気炊飯器など、調理物を所定の調理条件で加熱して調理する機器であれば、本発明は適用可能である。
【0030】
(実施の形態2)
次に、調理機器の表示手段を示す図である
図6を用いて実施の形態2を説明する。尚、実施の形態1と同じ構成については同じ符号を付し、説明を省略する。
調理機器Aにおいて、グリル庫で調理(秋刀魚の塩焼き)を終了した後、実行した調理データを外部端末Bに送信するには、まず、外部端末Bにインストールされているアプリケーションを起動させて、情報端末Bが調理機器Aからのデータを受信可能な状態にする。
【0031】
次に、調理機器Aを操作し、実行した調理データを、外部端末Bに送信する送信モードを選択する。
この送信モードは上面操作部30に設けられたた機能ボタン(図示せず)などを押し、機能一覧を表示させ、その中から送信モードを選択してもよいし、上面操作部30に、送信モードボタンを設け、直接送信モードに移行できるようにしてもよい。
【0032】
送信モードが選択されると、調理機器Aの表示部50に
図6に示す表示がされる。この表示は、送信モードで送信する加熱手段の調理データを選択する画面である。
本実施の形態では、グリル庫を使用した調理のデータを送信するので、「グリル」を選択する。
図6のように選択された加熱源の表示は色を変えるなどして使用者に選択されている加熱源をわかりやすくしてもよい。加熱源を選択したら、送信ボタンを押しデータを送信する。
【0033】
そして、外部端末Bは、調理機器Aから送信された調理データを受信すると、表示画面上にデータを受信した旨を表示し、使用者がデータの確認ボタンを押すと、受信したデータを確認することができる。
以上のように、加熱調理後に調理データを確認することで、出来上がった料理が焼き過ぎであったり、焼きが足りなかったりした場合に、調理データから火力や調理時間を確認し、次の調理の改善の参考にすることができる。
【0034】
特に、外部端末Bに調理データを移して管理できるので、調理機器から離れた場所で調理データを確認できる。また、外部端末Bがインターネットなど外部のネットワークと接続可能であれば、調理機器から取得した調理データをネットワーク上に送信したり、当該調理データに基づき関連するデータをネットワーク上から取得したりし易い。
【0035】
(実施の形態3)
次に、調理機器Aから取得した調理データを表示する外部端末Bを示す図である
図7を用いて実施の形態3を説明する。尚、実施の形態1及び実施の形態2と同じ構成については同じ符号を付し、説明を省略する。
まず、外部端末Bで調理機器Aが実行した調理データを取得すると、当該調理データは外部端末Bに登録される。そして、外部端末Bの調理データを管理するアプリケーションを起動することで、登録された調理データを表示することができる。
【0036】
図7に示しているのは、調理機器Aから取得した、以前実行した調理データであり、秋刀魚の塩焼きの4尾の調理データである。外部端末Bの表示部には、調理データである調理物(秋刀魚)の数量(4尾)や火力(火力3)、調理時間(18分)、総電力量(0.40kWh)が表示されている。
【0037】
ここで、起動しているアプリケーションは、使用者の操作によって、調理データを変更することが可能に構成されている。
例えば、秋刀魚の塩焼きを例に説明すると、以前に行った調理のときの焼き具合より、より焼き色が濃くなるように調理を行いたい場合、外部端末Bの表示部に表示されている過去の調理データの内容を見ながら、火力をあげたり、調理時間を延長したりして、調理データの変更を行う。
【0038】
このように変更した調理データは、外部端末Bに、もともと登録してあった調理データに上書きしてもよく、また、別の調理データとして登録しても良い。
そして、新たに変更した調理データを調理機器Aに送信することで、調理機器Aは新たに取得した修正された調理データに基づき、加熱調理を行うことができる。
以上のように、今までに調理した結果から使用者が調理工程の火力や調理時間を調整でき、かつ、自分好みのレシピを登録することで、使用者が自分好みの出来上がりをいつでも再現することができる。
【0039】
以上の各実施の形態では、調理機器Aと外部端末Bとの間のデータの通信方法は、NFC(Near Field Communication)の様に、近接した距離で通信を行う形態で説明したが、Wi-Fi(登録商標)やBluetooth(登録商標)のように、機器同士が離れて通信する形態でもよい。