(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
従来の基準電圧回路について説明する。
図6は、従来の基準電圧回路を示す回路図である。
従来の基準電圧回路は、NMOSデプレッショントランジスタ601と、NMOSトランジスタ602と、グラウンド端子100と、出力端子102と、電源端子101を備えている。
【0003】
従来の基準電圧回路は、NMOSデプレッショントランジスタ601のゲートとソースを接続し、NMOSトランジスタ602のゲートとドレインを接続し、それらを直列に接続して、その接続点を出力端子とする。
【0004】
従来の基準電圧回路は、NMOSデプレッショントランジスタ601を定電流源として、NMOSトランジスタ602に発生する電圧を基準電圧Vrefとして取り出すものである。基準電圧Vrefとしては、NMOSデプレッショントランジスタ601の閾値電圧の絶対値VtndとNMOSトランジスタ602の閾値電圧Vtneの和が出力される(例えば、特許文献1
図10参照)。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
<第一の実施形態>
図1は、第一の実施形態の基準電圧回路の回路図である。
第一の実施形態の基準電圧回路は、NMOSデプレッショントランジスタ105と、PMOSトランジスタ106と、定電流回路103、104と、容量107と、グラウンド端子100と、出力端子102と、電源端子101を備えている。
【0011】
次に、第一の実施形態の基準電圧回路の接続について説明する。NMOSデプレッショントランジスタ105は、ゲートはグラウンド端子100に接続され、ドレインは電源端子101に接続され、ソースは定電流回路103の一方の端子に接続される。定電流回路103のもう一方の端子はグラウンド端子100に接続される。PMOSトランジスタ106は、ゲートはNMOSデプレッショントランジスタ105のソースに接続され、ドレインはグラウンド端子100に接続され、ソースは出力端子102に接続される。定電流回路104は、一方の端子は電源端子101に接続され、もう一方の端子は出力端子102に接続される。容量107は、一方の端子は出力端子102に接続され、もう一方の端子はグラウンド端子100に接続される。
【0012】
次に、第一の実施形態の基準電圧回路の動作について説明する。NMOSデプレッショントランジスタ105は、定電流回路103を負荷電流として1段目のソースフォロアを構成している。PMOSトランジスタ106は、定電流回路104を負荷電流として2段目のソースフォロアを構成している。NMOSデプレッショントランジスタ105の閾値電圧の絶対値をVtnd、PMOSトランジスタ106の閾値電圧をVtpeとする。
【0013】
電源端子101に電源電圧VDDが印加されると、NMOSデプレッショントランジスタ105のソースには電圧Vtndが発生する。これは、NMOSデプレッショントランジスタ105のアスペクト比を大きく、定電流回路103の電流値を小さくして、ゲートソース間電圧Vgsを閾値電圧の絶対値Vtndと略等しくすることで実現される。PMOSトランジスタ106は、ゲートに電圧Vtndが印加されるため、ソースには電圧(Vtnd+Vtpe)が発生する。これは、PMOSトランジスタ106のアスペクト比を大きく、定電流回路104の電流値を小さくして、ゲートソース間電圧Vgsを閾値電圧Vtpeと略等しくすることで実現される。従って、出力端子102に発生する基準電圧をVrefとすると、Vref=Vtnd+Vtpeとなる。容量107は、基準電圧Vrefを安定化するために、出力端子102に設けられている。
【0014】
NMOSデプレッショントランジスタ105は、閾値電圧の絶対値Vtndが高温になるほど大きくなる特性を持つ。PMOSトランジスタ106は、閾値電圧Vtpeが高温になるほど小さくなる特性を持つ。基準電圧Vrefは、高温になるほど大きくなる閾値電圧Vtndと高温になるほど小さくなる閾値電圧Vtpeを加算した電圧なので、夫々の温度特性が相殺されるようにすると、温度特性の良い電圧になる。
【0015】
以上説明したように、第一の実施形態の基準電圧回路は、NMOSデプレッショントランジスタ105のソースフォロアとPMOSトランジスタ106のソースフォロアを用いることで、温度特性の良い基準電圧Vrefを出力することができる。
【0016】
<第二の実施形態>
図2は、第二の実施形態の基準電圧回路の回路図である。
図1との違いは、NMOSデプレッショントランジスタ105をNMOSデプレッショントランジスタ201、202に変更した点である。他は
図1と同様である。
【0017】
次に、第二の実施形態の基準電圧回路の接続について説明する。NMOSデプレッショントランジスタ202は、ゲートはグラウンド端子100に接続され、ソースは定電流回路103の一方の端子に接続され、ドレインはPMOSトランジスタ106のゲートに接続される。NMOSデプレッショントランジスタ201は、ゲートはNMOSデプレッショントランジスタ202のソースに接続され、ソースはPMOSトランジスタ106のゲートに接続され、ドレインは電源端子101に接続される。他は
図1と同様である。
【0018】
次に、第二の実施形態の基準電圧回路の動作について説明する。NMOSデプレッショントランジスタ202は定電流回路103を負荷電流としてソースフォロアを構成している。PMOSトランジスタ106は、定電流回路104を負荷電流として2段目のソースフォロアを構成している。NMOSデプレッショントランジスタ201は定電流回路103、NMOSデプレッショントランジスタ202を負荷電流として1段目のソースフォロアを構成している。NMOSデプレッショントランジスタ201、202の閾値電圧の絶対値をVtnd、PMOSトランジスタ106の閾値電圧をVtpeとする。
【0019】
電源端子101に電源電圧VDDが印加されると、NMOSデプレッショントランジスタ202のソースには電圧Vtndが発生する。これは、NMOSデプレッショントランジスタ105のアスペクト比を大きく、定電流回路103の電流値を小さくすることで実現される。NMOSデプレッショントランジスタ201はゲートに電圧Vtndが印加されるため、ソースには電圧(Vtnd+Vtnd)=Vtnd×2が発生する。これは、NMOSデプレッショントランジスタ201のアスペクト比を大きくすることで実現される。PMOSトランジスタ106はゲートに電圧Vtnd×2が印加されるため、ソースには電圧(Vtnd×2+Vtpe)の電圧が発生する。これは、PMOSトランジスタ106のアスペクト比を大きく、定電流回路104の電流値を小さくすることで実現される。出力端子102に発生する基準電圧をVrefとすると、Vref=Vtnd×2+Vtpeとなる。
【0020】
NMOSデプレッショントランジスタ201、202の閾値電圧の絶対値Vtndは高温になるほど大きくなる特性を持つ。PMOSトランジスタ106の閾値電圧Vtpeは高温になるほど小さくなる特性を持つ。基準電圧Vrefは、高温になるほど大きくなる閾値電圧Vtndと高温になるほど小さくなる閾値電圧Vtpeを加算した電圧なので、夫々の温度特性が相殺されるようにすると、温度特性の良い電圧になる。
【0021】
なお、NMOSデプレッショントランジスタ201と同様の構成のトランジスタn個を接続することで基準電圧Vrefは(Vtnd×n+Vtpe)となり、さらに基準電圧Vrefの電圧値を高くすることができる。
【0022】
以上説明したように、第二の実施形態の基準電圧回路は、NMOSデプレッショントランジスタ201、202のソースフォロアとPMOSトランジスタ106のソースフォロアを用いることで、温度特性の良い基準電圧を出力することができる。また、基準電圧の電圧値を、NMOSデプレッショントランジスタの個数分だけ高くすることができる。
【0023】
<第三の実施形態>
図3は、第三の実施形態の基準電圧回路の回路図である。
図1との違いは、PMOSトランジスタ301を追加した点である。他は
図1と同様である。
第三の実施形態の基準電圧回路の接続について説明する。PMOSトランジスタ301は、ゲートおよびドレインはPMSOトランジスタ106のソースに接続され、ソースは出力端子102に接続される。他は
図1と同様である。
【0024】
次に、第三の実施形態の基準電圧回路の動作について説明する。NMOSデプレッショントランジスタ105は、定電流回路103を負荷電流として1段目のソースフォロアを構成している。PMOSトランジスタ106、301は、定電流回路104を負荷電流として2段目のソースフォロアを構成している。NMOSデプレッショントランジスタ105の閾値電圧の絶対値をVtnd、PMOSトランジスタ106、301の閾値電圧をVtpeとする。
【0025】
電源端子101に電源電圧VDDが印加されると、NMOSデプレッショントランジスタ105のソースには電圧Vtndが発生する。これは、NMOSデプレッショントランジスタ105のアスペクト比を大きく、定電流回路103の電流値を小さくすることで実現される。PMOSトランジスタ106はゲートに電圧Vtndが印加されるため、ソースには電圧(Vtnd+Vtpe)が発生する。これは、PMOSトランジスタ106のアスペクト比を大きく、定電流回路104の電流値を小さくすることで実現される。PMOSトランジスタ301はゲートに電圧(Vtnd+Vtpe)が印加されるため、ソースには電圧(Vtnd+Vtpe+Vtpe=Vtnd+Vtpe×2)が発生する。これは、PMOSトランジスタ301のアスペクト比を大きくすることで実現される。出力端子102に発生する基準電圧をVrefとすると、Vref=Vtnd+Vtpe×2となる。
【0026】
NMOSデプレッショントランジスタ105は、閾値電圧の絶対値Vtndが高温になるほど大きくなる特性を持つ。PMOSトランジスタ106、301は、閾値電圧Vtpeが高温になるほど小さくなる特性を持つ。基準電圧Vrefは、高温になるほど大きくなる閾値電圧Vtndと高温になるほど小さくなる閾値電圧Vtpeを加算した電圧なので、夫々の温度特性が相殺されるようにすると、温度特性の良い電圧になる。
【0027】
なお、第三の実施形態では2つのPMOSトランジスタを用いて説明したがこの構成に限らず、PMOSトランジスタの数を増やしてn個を同様に接続することでVrefは(Vtnd+Vtpe×n)となり、さらに基準電圧Vrefの電圧値を高くすることができる。また、PMOSトランジスタ301は、ダイオードに変更しても同様の効果が得られる。
【0028】
以上説明したように、第三の実施形態の基準電圧回路は、NMOSデプレッショントランジスタ105のソースフォロアとPMOSトランジスタ106、301のソースフォロアを用いることで、温度特性の良い基準電圧Vrefを出力することができる。また、基準電圧Vrefの電圧値は、PMOSトランジスタの個数分だけ高くすることができる。
【0029】
<第四の実施形態>
図4は、第四の実施形態の基準電圧回路の回路図である。
図1との違いは、PMOSトランジスタ402と定電流回路401を追加した点である。他は
図1と同様である。
第四の実施形態の基準電圧回路の接続について説明する。PMOSトランジスタ402は、ゲートはPMOSトランジスタ106のソースに接続され、ドレインはグラウンド端子100に接続され、ソースは出力端子102に接続される。定電流回路401は、一方の端子は電源端子101に接続され、もう一方の端子は出力端子102に接続される。他は
図1と同様である。
【0030】
次に、第四の実施形態の基準電圧回路の動作について説明する。NMOSデプレッショントランジスタ105は定電流回路103を負荷電流として1段目のソースフォロアを構成している。PMOSトランジスタ106は、定電流回路104を負荷電流として2段目のソースフォロアを構成している。PMOSトランジスタ402は、定電流回路401を負荷電流として3段目のソースフォロアを構成している。NMOSデプレッショントランジスタ105の閾値電圧の絶対値をVtnd、PMOSトランジスタ106、402の閾値電圧をVtpeとする。
【0031】
電源端子101に電源電圧VDDが印加されると、NMOSデプレッショントランジスタ105のソースには電圧Vtndが発生する。これは、NMOSデプレッショントランジスタ105のアスペクト比を大きく、定電流回路103の電流値を小さくすることで実現される。PMOSトランジスタ106はゲートに電圧Vtndが印加されるため、ソースには電圧(Vtnd+Vtpe)が発生する。これは、PMOSトランジスタ106のアスペクト比を大きく、定電流回路104の電流値を小さくすることで実現される。PMOSトランジスタ402はゲートに電圧(Vtnd+Vtpe)が印加されるため、ソースには電圧(Vtnd+Vtpe+Vtpe)=(Vtnd+Vtpe×2)が発生する。これは、PMOSトランジスタ402のアスペクト比を大きく、定電流回路401の電流値を小さくすることで実現される。出力端子102に発生する基準電圧をVrefとすると、Vref=Vtnd+Vtpe×2となる。
【0032】
NMOSデプレッショントランジスタ105の閾値電圧の絶対値Vtndは高温になるほど大きくなる特性を持つ。PMOSトランジスタ106、402の閾値電圧Vtpeは高温になるほど小さくなる特性を持つ。このため、基準電圧Vrefは高温になるほど大きくなるVtndと高温になるほど小さくなるVtpeを加算して温度特性の良い電圧を得ることができる。また、基準電圧Vrefの電圧値を、Vtpeを加算した個数分だけ高くすることができる。
【0033】
なお、第四の実施形態の基準電圧回路では、3段目のソースフォロアを追加したが、さらにソースフォロアの段数を増やしてもよい。ソースフォロアをn段構成することで、基準電圧Vrefは(Vtnd+Vtpe×n)となる。
【0034】
また、PMOSトランジスタを追加して説明したがNMOSトランジスタを追加して同様に接続しても良い。
また、その他の実施形態の基準電圧回路にも、n段のソースフォロアを追加して構成しても同様の効果が得られる。
【0035】
以上説明したように、第四の実施形態の基準電圧回路は、NMOSデプレッショントランジスタ105のソースフォロアとPMOSトランジスタ106、402のソースフォロアを用いることで、温度特性の良い基準電圧Vrefを出力することができる。また、基準電圧Vrefの電圧値を、ソースフォロアの段数分だけ高くすることができる。
【0036】
<第五の実施形態>
図5は、第五の実施形態の基準電圧回路の回路図である。
図1との違いは、起動用のNMOSデプレッショントランジスタ501を追加した点である。他は
図1と同様である。
第五の実施形態の基準電圧回路の接続について説明する。NMOSデプレッショントランジスタ501は、ゲートはPMOSトランジスタ106のゲートに接続され、ソースはPMOSトランジスタ106のソースに接続され、ドレインは電源端子101に接続される。他は
図1と同様である。
【0037】
次に、第五の実施形態の基準電圧回路の動作について説明する。電源端子101に電源電圧VDDが印加されると、NMOSデプレッショントランジスタ501のゲートには電圧Vtndが印加され、NMOSデプレッショントランジスタ501から出力端子102へ電流が流れる。この電流によって容量107や出力端子102に発生する寄生容量を充電するため、基準電圧回路を速く起動する事ができる。
【0038】
なお、第五の実施形態の基準電圧回路では、
図1の回路にNMOSデプレッショントランジスタ501を追加した構成を用いて説明したが、その他の実施形態の回路に追加しても同様の効果が得られる。
【0039】
以上説明したように、第五の実施形態の基準電圧回路は、温度特性の良い基準電圧を出力することができ、且つ基準電圧回路を速く起動する事ができる。
以上説明したように、本発明の基準電圧回路は、温度特性の良い基準電圧を出力することができ、且つ基準電圧回路を速く起動する事ができる。
【0040】
なお、NMOSデプレッショントランジスタ105とPMOSトランジスタ106のアスペクト比と、定電流回路103と定電流回路104の電流値は、夫々のトランジスタの温度特性が相殺されるように設定されれば良く、アスペクト比を大きくすることや、電流値を小さくすることに限定するものではない。
また、本発明の基準電圧回路は、各トランジスタの導電型を逆にして構成しても、同様の効果が得られる。