(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記コーデック制御部は、接続先のネットワークが変更された際に変更後のネットワークの通信環境に基づいて広帯域用のコーデックが利用可能であるか否か判定し、利用可能である場合に、利用するコーデックを広帯域用のコーデックに決定する、請求項1又は2に記載の通信端末。
通話時における音声品質を表す評価値をユーザに入力させるための複数のボタンを通話終了ボタンとして表示部に表示させる表示制御部をさらに備える、請求項1〜3のいずれか1項に記載の通信端末。
前記コーデック制御部は、通話前又は通話中に前記所定の条件が満たされた場合に、利用するコーデックを広帯域用のコーデックに決定する、請求項1〜5のいずれか1項に記載の通信端末。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の一実施形態を、図面を参照しながら説明する。
図1は、本実施形態におけるコーデック制御システム100の機能構成を示す図である。コーデック制御システム100は、呼処理サーバ20及び音声品質測定サーバ30を備える。コーデック制御システム100には、複数の通信端末(例えば、通信端末10及び通信端末40)が接続される。
通信端末10は、例えばスマートフォン、タブレット装置、携帯電話、ノートパソコン、パーソナルコンピュータ、ゲーム機器等の情報処理装置を用いて構成される。通信端末10は、狭帯域の無線ネットワーク(例えば、3G、モバイルWI−Fi(登録商標、以下同様))又は広帯域の無線ネットワーク(例えば、無線LAN、LTE(Long Term Evolution))のいずれかのネットワークに接続し、呼処理サーバ20を介して通信端末40と通話可能に接続される。通信端末10は、通話前又は通話中における自装置が接続している無線ネットワーク(狭帯域の無線ネットワーク又は広帯域の無線ネットワーク)に応じて利用するコーデックを決定する。また、通信端末10は、ネットワーク50を介して音声品質測定サーバ30との間で通信を行う。
【0019】
呼処理サーバ20は、SIPサーバを用いて構成される。呼処理サーバ20は、SIPを利用して通信端末10と通信端末40とを通話可能に接続する。また、呼処理サーバ20は、通信端末10が使用するコーデックと、通信端末40が使用するコーデックとに応じてコーデックを変換する。
音声品質測定サーバ30は、通信端末10との間で通信することによって通信端末10における音声品質を測定する。例えば、音声品質測定サーバ30は、RTP(Real-time Transport Protocol)を通信端末10と自装置との間で送受信する。音声品質測定サーバ30は、この通信結果におけるPESQ(Perceptual Evaluation of Speech Quality)や遅延等(例えば、パケットロス、ジッターなど)により音声品質の情報を測定してもよい。音声品質の情報は、例えばPESQや遅延等の値であってもよい。
【0020】
通信端末40は、例えばスマートフォン、タブレット装置、携帯電話、ノートパソコン、パーソナルコンピュータ、ゲーム機器等の情報処理装置を用いて構成される。通信端末40は、狭帯域の無線ネットワーク(例えば、3G、モバイルWI−Fi)又は広帯域の無線ネットワーク(例えば、無線LAN、LTE)のいずれかの無線ネットワークに接続し、呼処理サーバ20を介して通信端末10と通話可能に接続される。通信端末40は、自装置が接続している無線ネットワーク(狭帯域の無線ネットワーク又は広帯域の無線ネットワーク)に応じて利用するコーデックを決定する。また、通信端末40は、ネットワーク60を介して音声品質測定サーバ30との間で通信を行う。
【0021】
ネットワーク50は、どのように構成されたネットワークでもよい。ネットワーク50は、例えばインターネットを用いて構成されてもよい。
ネットワーク60は、どのように構成されたネットワークでもよい。ネットワーク60は、例えばインターネットを用いて構成されてもよい。
【0022】
図2は、通信端末10の機能構成を表す概略ブロック図である。通信端末10は、バスで接続されたCPU(Central Processing Unit)やメモリや補助記憶装置などを備え、コーデック制御プログラムを実行する。コーデック制御プログラムの実行によって、通信端末10は、通信部101、制御部102、操作部103、判定部104、コーデック制御部105、表示制御部106、表示部107、位置情報取得部108、周辺音声品質情報記憶部109を備える装置として機能する。なお、通信端末10の各機能の全て又は一部は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やPLD(Programmable Logic Device)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等のハードウェアを用いて実現されてもよい。また、コーデック制御プログラムは、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されてもよい。コンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、例えばフレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置である。また、コーデック制御プログラムは、電気通信回線を介して送受信されてもよい。
【0023】
通信部101は、呼処理サーバ20との間で無線通信を行う。例えば、通信部101は、SIP信号を呼処理サーバ20に送信する。また、通信部101は、音声品質測定サーバ30との間で無線通信を行う。例えば、通信部101は、音声品質測定サーバ30から送信される音声品質の情報を受信する。
制御部102は、通信端末10の各機能部を制御する。
操作部103は、タッチパネル、キーボード、ポインティングデバイス(マウス、タブレット等)、ボタン等の既存の入力装置を用いて構成される。操作部103は、ユーザの指示を通信端末10に入力する際にユーザによって操作される。操作部103は、入力装置を通信端末10に接続するためのインタフェースであってもよい。この場合、操作部103は、入力装置においてユーザの操作に応じ生成された入力信号を通信端末10に入力する。
【0024】
判定部104は、所定の条件が満たされたか否か判定する。所定の条件の具体例として、音声品質に関する条件が挙げられる。例えば、通信部101によって受信された音声品質の情報が示す値(例えば、PESQ値)が所定の閾値(例えば、“2.0”)未満である場合、判定部104は所定の条件が満たされたと判定する。つまり、判定部104は音声品質が良いと判定する。一方、音声品質の情報が示す値が所定の閾値以上である場合、判定部104は所定の条件が満たされていないと判定する。つまり、判定部104は音声品質が悪いと判定する。
コーデック制御部105は、判定部104の判定結果に応じて、利用するコーデックを制御する。具体的には、コーデック制御部105は、通話前又は通話中に所定の条件が満たされた場合に、利用するコーデックを広帯域用のコーデックに決定する。つまり、音声品質の情報が示す値が所定の閾値未満である場合、コーデック制御部105は利用するコーデックに広帯域用のコーデック(例えば、G.711等)を決定する。また、例えば、音声品質の情報が示す値が所定の閾値以上である場合、コーデック制御部105は利用するコーデックに狭帯域用のコーデック(例えば、silk等)を決定する。
【0025】
表示制御部106は、表示部107の表示を制御する。例えば表示制御部106は、複数の評価ボタンを通話の終了ボタンとして表示部107に表示させる。評価ボタンとは、通話時における音声品質の高さを表す評価値(以下、「音声品質評価値」という。)をユーザに入力させるための複数のボタンであり、例えば“高品質”、“中品質”、“低品質”の3つのボタンである。また、表示制御部106は、複数の地点における音声品質の情報を表示部107に表示させる。具体的には、表示制御部106は、音声品質測定サーバ30から送信される、通信端末10の周辺の音声品質の情報(以下、「周辺音声品質情報」という。)を表示部107に表示させる。周辺音声品質情報には、例えば座標(緯度及び経度)と、座標によって示される場所における音声品質評価値の情報とが含まれる。周辺音声品質情報には、通信端末10のユーザの現在位置における音声品質情報も含まれる。表示制御部106は、例えば地図上に音声品質の値(例えば“高品質”、“中品質”、“低品質”)毎に色の階調が異なるように周辺音声品質情報を表示部107に表示させてもよい。なお、表示制御部106は、通信端末10のユーザがIP電話を利用して通話を行う前に周辺音声品質情報を表示部107に表示させてもよいし、通話中に周辺音声品質情報を表示部107に表示させてもよいし、通話後に周辺音声品質情報を表示部107に表示させてもよい。通話前に周辺音声品質情報を通信端末10に表示させる場合、例えば、表示制御部106はユーザがIP電話のアプリケーションを起動したタイミングで周辺音声品質情報を表示部107に表示させてもよいし、ユーザがIP電話のアプリケーションを起動した後に周辺音声品質情報を表示部107に表示させてもよい。
【0026】
表示部107は、液晶ディスプレイ、有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイ等の画像表示装置である。表示部107は、表示制御部106の制御に応じた表示を行う。
位置情報取得部108は、ユーザの現在位置を取得する。位置情報取得部108は、例えばGPS(グローバル・ポジショニング・システム:Global Positioning System)衛星と通信することによって、現在位置を取得してもよい。位置情報取得部108は、例えば周辺の無線基地局装置と通信することによって現在位置を取得してもよい。位置情報取得部108は、例えば周辺の無線LANアクセスポイントと通信することによって現在位置を取得してもよい。位置情報取得部108は、ユーザの現在位置を取得可能であればどのような態様で実現されてもよい。
周辺音声品質情報記憶部109は、磁気ハードディスク装置や半導体記憶装置などの記憶装置を用いて構成される。周辺音声品質情報記憶部109は、音声品質測定サーバ30から送信される周辺音声品質情報を記憶する。
【0027】
図3は、音声品質測定サーバ30の機能構成を表す概略ブロック図である。音声品質測定サーバ30は、バスで接続されたCPUやメモリや補助記憶装置などを備え、音声品質測定プログラムを実行する。音声品質測定プログラムの実行によって、音声品質測定サーバ30は、通信部301、制御部302、音声品質測定部303、音声品質評価情報記憶部304、周辺音声品質情報提供部305を備える装置として機能する。なお、音声品質測定サーバ30の各機能の全て又は一部は、ASICやPLDやFPGA等のハードウェアを用いて実現されてもよい。また、音声品質測定プログラムは、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されてもよい。コンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、例えばフレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置である。また、音声品質測定プログラムは、電気通信回線を介して送受信されてもよい。
【0028】
通信部301は、通信端末10との間で無線通信を行う。例えば、通信部301は、音声品質の情報を通信端末10に送信する。通信部301は、周辺音声品質情報を通信端末10に送信する。通信部301は、通信端末10から送信された音声品質評価値の情報(以下、「音声品質評価情報」という。)を受信する。
制御部302は、音声品質測定サーバ30の各機能部を制御する。
音声品質測定部303は、通信端末10との間で通信を行うことによって音声品質を測定する。例えば、音声品質測定部303は、通信端末10との間でRTPを送受信する。この通信結果におけるPESQや遅延等により音声品質を測定する。
【0029】
音声品質評価情報記憶部304は、磁気ハードディスク装置や半導体記憶装置などの記憶装置を用いて構成される。音声品質評価情報記憶部304は、音声品質評価テーブルを記憶している。音声品質評価テーブルは、音声品質評価値に関する情報が記録されたテーブルである。
周辺音声品質情報提供部305は、所定のタイミングで音声品質評価テーブルに記録されている全ての音声品質評価情報を周辺音声品質情報として、通信部301を介して通信端末10に送信する。所定のタイミングは、例えば所定の時間(例えば1分、10分、1時間など)が経過したタイミングであってもよいし、通信端末10との通信が確立されたタイミングであってもよいし、その他のタイミングであってもよい。また、周辺音声品質情報提供部305は、周辺音声品質情報の送信先である通信端末10が位置する場所から所定の範囲内(例えば、半径100m)の音声品質評価情報を周辺音声品質情報として通信端末10に送信してもよい。
【0030】
図4は、音声品質評価情報記憶部304が記憶している音声品質評価テーブルの具体例を示す図である。音声品質評価テーブルには、複数のレコード70が登録されている。レコード70は、音声品質評価値、位置情報、日時及び機器情報の各値を有する。音声品質評価値は、音声品質の高さを表す評価値であり、例えば音声品質の良し悪しを示す値である。音声品質評価値は、例えば“高品質”、“中品質”、“低品質”などの値であってもよいし、PESQや遅延等の値であってもよい。位置情報は、音声品質評価情報の送信元である通信端末10の位置を表す。位置情報は、例えば緯度及び経度である。日時は、通信端末10が音声品質評価情報を送信した日時を表す。機器情報は、音声品質評価情報の送信元である通信端末10に関する情報を表す。機器情報の具体例として、メーカー名、型番、OS(Operating System)種別、OSのバージョンなどがある。
【0031】
図5は、通話中に通信端末10に表示される表示画面の具体例を示す図である。なお、以下に示す表示画面の具体例は一例にすぎず、他の態様で表示画面が構成されてもよい。
図5に示される表示画面では、通話時間80、指示領域81及び複数の評価ボタン82−1〜82−3が表示されている。通話時間80は、通信端末10のユーザが通話を開始してから経過した時間を表す。指示領域81は、通信端末10のユーザに通話時における音声品質の評価を促すための指示が表示される領域である。評価ボタン82−1〜82−3は、通話時における音声品質の評価をユーザに選択させるためのボタンである。本実施形態では、評価ボタン82−1〜82−3は通話終了ボタンである。
図5に示されるように、表示画面には評価ボタンとして3つのボタンが表示されており、それぞれ高品質ボタン82−1、中品質ボタン82−2、低品質ボタン82−3である。高品質ボタン82−1は、通話時における音声品質が良いこと(音声品質が高いこと)を示すボタンである。中品質ボタン82−2は、通話時における音声品質が良くも悪くもないこと(音声品質が高くもなく低くもないこと)を示すボタンである。低品質ボタン82−3は、通話時における音声品質が悪いこと(音声品質が低いこと)を示すボタンである。通信端末10のユーザは、通話終了時に評価ボタン82−1〜82−3のいずれかのボタンを押下することによって通話時における音声品質を評価する。なお、
図5では、評価ボタンの数が3つであったが、評価ボタンの数は2つ(例えば、“良い”及び“悪い”)であってもよいし、4つ以上であってもよい。
【0032】
図6は、IP電話のアプリケーション起動時に通信端末10に表示される確認画面の具体例を示す図である。なお、以下に示す確認画面の具体例は一例にすぎず、他の態様で確認画面が構成されてもよい。
図6に示される確認画面では、情報表示領域90及び選択ボタン91−1〜91−2が表示されている。情報表示領域90は、通信端末10のユーザに対する通知が表示される領域である。
図6では、情報表示領域90に表示される内容の具体例として「周辺の音声品質の情報を表示しますか」という文字列が表示されている。選択ボタン91−1〜91−2は、情報表示領域90に表示されている内容に対する回答をユーザに選択させるためのボタンである。
図6では、選択ボタン91−1〜91−2の具体例として、YESボタン91−1とNOボタン91−2とが表示されている。YESボタン91−1は、情報表示領域90に表示されている内容(
図6では、「周辺の音声品質の情報を表示しますか」)に応じる場合にユーザに使用されるボタンである。NOボタン91−2は、情報表示領域90に表示されている内容に応じない場合にユーザに使用されるボタンである。したがって、ユーザによってYESボタン91−1が押下されると、表示制御部106は表示部107の画面を、情報表示領域90に表示されている内容に対応する画面に切り替える。
図6に示される例では、表示制御部106は、
図7の画面を表示部107に表示させる。つまり、表示制御部106は、表示部107に表示させる画面を、
図6の画面(確認画面)から
図7の画面に切り替える。一方、ユーザによってNOボタン91−2が押下されると、表示制御部106は表示部107に表示させる画面を、
図6の画面から通話を開始する画面(以下、「通話画面」という。)に切り替える。
【0033】
図7は、確認画面からの切り替え後に通信端末10に表示される周辺音声品質情報表示画面の具体例を示す図である。
図7に示される周辺音声品質情報表示画面は、周辺音声品質情報記憶部109に記憶されている周辺音声品質情報に応じて表示される。
図7に示される周辺音声品質情報表示画面では、周辺音声品質表示領域92、拡大縮小ボタン93−1〜93−2、通話ボタン94及び音声品質確認領域95が表示されている。周辺音声品質表示領域92は、通信端末10のユーザの現在位置及び周辺音声品質情報が表示される領域である。
図7に示される周辺音声品質表示領域92内には、周辺音声品質情報96−1〜96−3及びポインタ97が表示されている。周辺音声品質情報96−1〜96−3は、それぞれ各座標における周辺音声品質情報を表す。周辺音声品質情報96−1〜96−3は、音声品質の評価値に応じてそれぞれ異なる表示態様で表される。例えば、周辺音声品質情報96−1が表示されている座標では、音声品質が悪いことが表されている。周辺音声品質情報96−2が表示されている座標では、音声品質が良くも悪くもないことが表されている。周辺音声品質情報96−3が表示されている座標では、音声品質が良いことが表されている。ポインタ97は、通信端末10のユーザの現在位置を表す。
図7に示される例では、通信端末10のユーザが位置している場所は音声品質が悪い。
【0034】
拡大縮小ボタン93−1〜93−2は、周辺音声品質表示領域92内の拡大縮小を行う際に使用されるボタンである。例えば、拡大ボタン93−1は、周辺音声品質表示領域92内の縮尺を大きくする際に使用されるボタンである。したがって、拡大ボタン93−1が押下されると、押下された回数に応じて所定の間隔(例えば、半径5m)ずつ、縮尺が大きくなる。したがって、通信端末10のユーザの現在位置から距離の近い場所における周辺音声品質情報が周辺音声品質表示領域92内に表示される。縮小ボタン93−2は、周辺音声品質表示領域92内の縮尺を小さくする際に使用されるボタンである。したがって、縮小ボタン93−2が押下されると、押下された回数に応じて所定の間隔(例えば、半径5m)ずつ、縮尺が小さくなる。したがって、通信端末10のユーザの現在位置から距離の遠い場所における周辺音声品質情報が周辺音声品質表示領域92内に表示される。
【0035】
通話ボタン94は、通信端末10のユーザが通話を行う際に使用するボタンである。したがって、ユーザによって通話ボタン94が押下されると、表示制御部106は通話画面を表示部107に表示させる。つまり、表示制御部106は、表示部107に表示させる画面を、
図7の画面(周辺音声品質情報表示画面)から通話画面に切り替える。音声品質確認領域95は、周辺音声品質表示領域92に表示されている周辺音声品質情報96−1〜96−3それぞれの音声品質の良し悪しを確認するための情報が表示される領域である。
【0036】
通信端末10の表示部107に
図7のような画面が表示されることにより、ユーザは、現在位置における音声品質がどのくらいであって、周辺の音声品質がどのくらいであるのかを把握することができる。そのため、ユーザが、現在、位置している場所の音声品質が悪いであっても、音声品質の良い場所がどこにあるのかを把握することができるため、音声品質の良い環境に移動して通話を行うことが可能になる。
【0037】
図8は、本実施形態における通信端末10のコーデック制御処理の流れを示すフローチャートである。なお、
図8では、通信端末10のユーザと通信端末40のユーザとが通話を行っている場合を例に説明する。
通信部101は、定期的(例えば、30秒ごと)に音声品質測定サーバ30との間で通信することによって音声品質情報を受信する(ステップS101)。判定部104は、受信された音声品質情報に基づいて所定の条件が満たされたか否か判定する(ステップS102)。所定の条件が満たされた場合(ステップS102−YES)、コーデック制御部105は利用するコーデックを広帯域用のコーデックに決定する(ステップS103)。
一方、所定の条件が満たされていない場合(ステップS102−NO)、コーデック制御部105は利用するコーデックを狭帯域用のコーデックに決定する(ステップS104)。
【0038】
次に、制御部102は、通話終了ボタンが押下されたか否か判定する(ステップS105)。通話終了ボタンが押下されていない場合(ステップS105−NO)、通信端末10はステップS101以降の処理を繰り返し実行する。
一方、通話終了ボタンが押下された場合(ステップS105−YES)、制御部102はユーザによって押下された通話終了ボタンに対応する音声品質評価情報を取得する(ステップS106)。具体的には、制御部102は、通話終了ボタンとして表示部107に表示された複数の評価ボタンのうち、ユーザによって選択された評価ボタンに対応付けられている値を音声品質評価情報として取得する。位置情報取得部108は、通信端末10の現在位置情報を取得する(ステップS107)。通信部101は、音声品質評価情報及び位置情報を音声品質測定サーバ30に送信する(ステップS108)。
【0039】
図9は、本実施形態における通信端末10の周辺音声品質情報の表示処理の流れを示すフローチャートである。
通信部101は、所定のタイミングで音声品質測定サーバ30から送信される周辺音声品質情報を受信する(ステップS201)。制御部102は、受信された周辺音声品質情報を周辺音声品質情報記憶部109に記録する(ステップS202)。この際、周辺音声品質情報記憶部109に既に周辺音声品質情報が記録されている場合、制御部102は受信された周辺音声品質情報で上書きすることによって周辺音声品質情報を更新する。制御部102は、IP電話のアプリケーションが起動されたか否か判定する(ステップS203)。IP電話のアプリケーションが起動されていない場合(ステップS203−NO)、通信端末10は処理を終了する。
【0040】
一方、IP電話のアプリケーションが起動された場合(ステップS203−YES)、表示制御部106は表示部107に確認画面を表示させる。表示部107は、表示制御部106の制御に従って確認画面を表示する(ステップS204)。制御部102は、周辺音声品質情報を表示する旨の選択がなされたか否か判定する(ステップS205)。例えば、
図6に示される確認画面が表示部107に表示されている場合、制御部102はYESボタン91−1が押下されたか否か判定する。周辺音声品質情報を表示する旨の選択がなされていない場合(ステップS205−NO)、通信端末10は処理を終了する。
一方、周辺音声品質情報を表示する旨の選択がなされた場合(ステップS205−YES)、表示制御部106は周辺音声品質情報記憶部109に記憶されている周辺音声品質情報に基づいて周辺音声品質情報表示画面を表示部107に表示させる。表示部107は、表示制御部106の制御に従って周辺音声品質情報を表示する(ステップS206)。
【0041】
図10は、本実施形態における音声品質測定サーバ30の周辺音声品質情報の送信処理の流れを示すフローチャートである。
通信部301は、通信端末10から送信された音声品質評価情報を受信する(ステップS301)。制御部302は、受信された音声品質評価情報を音声品質評価情報記憶部304に蓄積する(ステップS302)。制御部302は、所定のタイミングが経過したか否か判定する(ステップS303)。所定のタイミングが経過していない場合(ステップS303−NO)、音声品質測定サーバ30は処理を終了する。
一方、所定のタイミングが経過した場合(ステップS303−YES)、周辺音声品質情報提供部305は音声品質評価情報記憶部304に記憶されている音声品質評価テーブルから音声品質評価情報を取得し、取得した音声品質評価情報を周辺音声品質情報として通信端末10に送信する(ステップS304)。この際、音声品質評価テーブルに同じ位置情報における音声品質評価値が複数存在する場合、周辺音声品質情報提供部305は複数の音声品質評価値に基づいてその位置における1つの音声品質評価値を選択する。例えば、周辺音声品質情報提供部305は、複数の音声品質評価値のうち最小値の音声品質評価値をその位置における音声品質評価値に選択してもよいし、複数の音声品質評価値の平均値を音声品質評価値に選択してもよいし、その他の値を音声品質評価値に選択してもよい。
【0042】
以上のように構成されたコーデック制御システム100によれば、狭帯域用のコーデックを利用することが多かったスマートフォン等の通信端末においても、通信環境に応じて自動的に広帯域用のコーデックに切り替えることができる。これにより、広帯域用のコーデックの利用頻度が上がる。したがって、広帯域用のコーデックを利用する通信端末10の割合が全体として増えるため、呼処理サーバ20において狭帯域用のコーデックに関するコーデック変換処理が発生する頻度が低下する。そのため、呼処理サーバ20に生じる負荷を軽減することが可能になる。
また、広帯域においては、広帯域用のコーデックの方が音声品質は高いため、ユーザの利便性を向上させることができる。
本実施形態におけるコーデック制御システム100では、本来狭帯域のネットワークであっても通話中の音声品質に応じて広帯域用のコーデックを用いる。そのため、ユーザに高品質の音声サービスを提供することができる。
【0043】
また、従来では、音声品質の測定作業は人手で行われていた。そのため、各地点における音声品質の測定作業に時間とコストがかかってしまうという問題があった。さらに、人手で音声品質の測定を行う場合には、毎日測定しなければリアルタイムな音声品質の情報を収集できないという問題もあった。それに対し、本発明におけるコーデック制御システム100では、通話を行ったユーザが、通話を行った場所における音声品質を評価する。そして、ユーザにより評価された音声品質評価情報を音声品質測定サーバ30が蓄積することにより、各地点における音声品質の情報を容易に収集することができる。さらに、通話終了ボタンを音声品質の評価に利用することでユーザの負担も軽減することができる。そのため、音声品質の測定作業にかかる時間とコストを軽減することが可能になる。さらに、ユーザの電話中に音声品質が測定されるため、リアルタイムな音声品質の情報を収集することが可能になる。
また、音声品質測定サーバ30が、定期的に各ユーザが位置する場所の周囲の音声品質の情報を提供することにより、通話を行うユーザに対して音声品質の良い場所の情報を通知することができる。これにより、ユーザは、音声品質の良い場所に移動して通話を行うことが可能になる。
また、
図7に示されるような周辺音声品質表示領域92は、営業担当者が通信端末10のユーザへの営業ツールとして利用することもできる。さらに、開発担当者が音声品質の改善検討に利用することも可能である。
【0044】
<変形例>
本実施形態では、音声品質評価値を周辺音声品質情報として通信端末10に表示させる構成を示したが、他の方法によって取得した音声品質の情報を周辺音声品質情報として通信端末10に表示させてもよい。例えば、音声品質測定サーバ30が測定した音声品質の測定結果を周辺音声品質情報として用いてもよい。このように構成される場合、音声品質測定サーバ30は、音声品質を測定する度に、測定結果を音声品質評価値として蓄積する。また、音声品質測定サーバ30は、測定結果の他に通信端末10の位置情報、日時及び機器情報を対応付けて蓄積する。そして、周辺音声品質情報提供部305は、所定のタイミングが経過すると、蓄積された各情報(測定結果、通信端末10の位置情報、日時及び機器情報)を、周辺音声品質情報として通信端末10に送信する。
このように構成されることにより、各地点における音声品質の測定を自動化することができる。そして、測定した結果から各地点における音声品質の情報を通信端末10に提供することができる。
【0045】
また、表示制御部106は、ユーザが通信を開始しようとする際に、ユーザの現在位置から所定の距離内(例えば、半径3m程度)に音声品質が良い場所が存在する場合、その旨の通知を表示部107に表示させてもよい。ユーザが通信を開始しようとする際とは、例えばユーザがIP電話のアプリケーションを起動させたタイミングであってもよい。
このように構成されることにより、ユーザが位置している場所から近場の音声品質の良い場所の情報のみを通知することができる。
また、音声品質測定サーバ30は、音声品質評価情報を蓄積する際に、音声品質の評価に対して所定の回数(例えば、5回)連続して同じ回答をするユーザの通信端末10から送信された音声品質評価情報をノイズとして省いてもよい。
【0046】
本実施形態では、所定の条件として、音声品質に関する条件を例に説明したが、所定の条件はその他の条件であってもよい。例えば、所定の条件は、通信端末10が接続しているネットワークに関する条件であってもよいし、通信端末10が接続しているネットワーク及び音声品質に関する条件であってもよい。
所定の条件が、通信端末10が接続しているネットワークに関する条件である場合、判定部104は自装置が接続しているネットワークが広帯域のネットワークであることを示す所定の条件を満たすか否か判定する。ネットワークが広帯域のネットワークであることを示す所定の条件を満たす場合とは、例えば通信端末10がLTEに接続している場合や、スループットが所定の閾値以上である場合や、広帯域のネットワークへの接続が保障されているSSID(例えば、社内無線LAN等)(以下、「広帯域保障SSID」という。)に接続している場合などである。広帯域保障SSIDに接続しているか否かを確認する手法としては、まず、ユーザが予め広帯域保障SSIDを通信端末10に登録しておく。次に、通信端末10が無線LANに接続した場合、判定部104は予め登録されている帯域保障SSIDと、接続しているSSIDとが一致するか否か判定する。そして、SSIDが一致する場合、判定部104は自装置が広帯域保障SSIDに接続していると判定する。一方、SSIDが一致しない場合、判定部104は自装置が広帯域保障SSIDに接続していないと判定する。コーデック制御部105は、通話前又は通話中に自装置が接続しているネットワークが広帯域のネットワークであることを示す所定の条件が満たされた場合に、利用するコーデックを広帯域用のコーデックに決定する。
【0047】
また、所定の条件が、通信端末10が接続しているネットワーク及び音声品質に関する条件である場合、判定部104は自装置が接続しているネットワークが広帯域のネットワークであることを示す所定の条件を満たさず、かつ、音声品質が良いことを表す所定の条件を満たすか否か判定する。音声品質が良いことを表す所定の条件とは、例えば音声品質の情報を示す値が所定の閾値未満であることなどが挙げられる。コーデック制御部105は、通話前又は通話中に自装置が接続しているネットワークが広帯域のネットワークであることを示す所定の条件を満たさず、かつ、音声品質が良いことを表す所定の条件が満たされた場合に、利用するコーデックを広帯域用のコーデックに決定する。
【0048】
また、ハンドオーバーが発生した場合、通信端末10はハンドオーバー後の通信環境に基づいて広帯域用のコーデックが利用可能であるか否か判定し、利用可能である場合に、利用するコーデックを広帯域用のコーデックに決定するように構成されてもよい。例えば、通信端末10はハンドオーバー後に取得された音声品質情報に基づいて所定の条件が満たされるか否か判定し、所定の条件が満たされる場合に、利用するコーデックを広帯域用のコーデックに決定する。また、例えば、通信端末10はハンドオーバー後の接続先のネットワークが広帯域のネットワークであることを示す所定の条件を満たすか判定し、所定の条件が満たされる場合に、利用するコーデックを広帯域用のコーデックに決定してもよい。
【0049】
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。