(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
ポルトランドセメント、細骨材、粗骨材、水、および高性能AE減水剤を含む現場打ちポーラスコンクリートの製造において、
下記(A)の方法により算出される空隙率が15〜20体積%、
下記(B)の方法により算出される無振動空隙率が32体積%以下、および
下記(C)の方法により算出されるモルタル流下率が50体積%以下
になるように、フレッシュ性状を管理して製造することを特徴とする、現場打ちポーラスコンクリートの製造方法。
(A)空隙率算出方法
内径100mm、高さ200mmの鋼製型枠に詰めた、ポーラスコンクリートの上に、直径99mm、厚さ1mmの鉄板を載せ、当該板の上にさらに重さ4kgの錘を載せ、当該錘の上から重さ5.9kgの壁打バイブレータを用いて、下記Faの条件を満たす振動数で60秒間加振して、当該加振後のポーラスコンクリートの体積(Vb)に基づき、下記(1)式を用いて空隙率を算出する方法
Fa:
内径100mm、高さ200mmの鋼製型枠に詰めた、下記の配合のポーラスコンクリートの上に、直径99mm、厚さ1mmの鉄板を載せ、当該板の上にさらに重さ4kgの錘を載せ、当該錘の上から重さ5.9kgの壁打バイブレータを用いて、60秒間加振して、当該加振後の、下記(1)式を用いて算出した下記の配合のポーラスコンクリートの空隙率が17.1〜17.8体積%の範囲になる振動数
(B)無振動空隙率算出方法
内径100mm、高さ200mmの鋼製型枠に詰めたポーラスコンクリートの上に直径99mm、厚さ1mmの鉄板を載せ、当該板の上にさらに重さが4kgの錘を載せ、当該載荷による沈下が停止した時点におけるポーラスコンクリートの体積(Vw)から、下記(2)式を用いて無振動空隙率を算出する方法
(C)モルタル流下率算出方法
公称目開きが2.36mmの篩に詰めたポーラスコンクリートの上に直径200mm、厚さ15mmの化粧合板製の篩蓋を載せ、当該篩蓋の上から重さ5.9kgの壁打バイブレータを用いて、下記Fcの条件を満たす振動数で60秒間加振して、当該加振終了までに流下したモルタルの体積(Vf)に基づき、下記(3)式を用いてモルタル流下率を算出する方法
Fc:
公称目開きが2.36mmの篩に詰めた、下記の配合のポーラスコンクリートの上に直径200mm、厚さ15mmの化粧合板製の篩蓋を載せ、当該篩蓋の上から重さ5.9kgの壁打バイブレータを用いて、60秒間加振して、当該加振終了までに流下したモルタルの体積(Vf)に基づき、下記(3)式を用いて算出した下記の配合のポーラスコンクリートのモルタル流下率が28.3〜29.6体積%の範囲になる振動数
空隙率(体積%)=100−W/(Vb×T)×100 ……(1)
無振動空隙率(体積%)=100−W/(Vw×T)×100 ……(2)
モルタル流下率(体積%)=100×Vf/Vo ……(3)
(式中、Wは型枠内に投入したポーラスコンクリートの質量を表し、Vbは加振後のポーラスコンクリートの体積を表し、Tは空隙率を0体積%として計算したポーラスコンクリートの配合上の単位容積質量を表し、Vwは錘の載荷後のポーラスコンクリートの体積を表し、Vfは加振により流下したモルタルの体積を表し、Voは加振前のポーラスコンクリート中のモルタルの体積を表す。)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、本発明は前記課題を解決するための方法であって、特定のフレッシュ性状を管理して、透水性、排水性、および耐久性に優れた現場打ちポーラスコンクリートの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、現場打ちポーラスコンクリートのフレッシュ性状として、空隙率、無振動空隙率、およびモルタル流下率を管理すれば前記課題を解決できることを見い出し、本発明を完成させた。すなわち、本発明は、以下のとおりである。
[1]ポルトランドセメント、細骨材、粗骨材、水、および高性能AE減水剤を含む現場打ちポーラスコンクリートの製造において、
下記(A)の方法により算出される空隙率が15〜20体積%、
下記(B)の方法により算出される無振動空隙率が32体積%以下、および
下記(C)の方法により算出されるモルタル流下率が50体積%以下
になるように、フレッシュ性状を管理して製造することを特徴とする、現場打ちポーラスコンクリートの製造方法。
(A)空隙率算出方法
内径100mm、高さ200mmの鋼製型枠に詰めた、ポーラスコンクリートの上に、直径99mm、厚さ1mmの鉄板を載せ、当該板の上にさらに重さ4kgの錘を載せ、当該錘の上から重さ5.9kgの壁打バイブレータを用いて、下記Faの条件を満たす振動数で60秒間加振して、当該加振後のポーラスコンクリートの体積(Vb)に基づき、下記(1)式を用いて空隙率を算出する方法
Fa:
内径100mm、高さ200mmの鋼製型枠に詰めた、下記の配合のポーラスコンクリートの上に、直径99mm、厚さ1mmの鉄板を載せ、当該板の上にさらに重さ4kgの錘を載せ、当該錘の上から重さ5.9kgの壁打バイブレータを用いて、60秒間加振して、当該加振後の、下記(1)式を用いて算出した下記の配合のポーラスコンクリートの空隙率が17.1〜17.8体積%の範囲になる振動数
(B)無振動空隙率算出方法
内径100mm、高さ200mmの鋼製型枠に詰めたポーラスコンクリートの上に直径99mm、厚さ1mmの鉄板を載せ、当該板の上にさらに重さが4kgの錘を載せ、当該載荷による沈下が停止した時点におけるポーラスコンクリートの体積(Vw)から、下記(2)式を用いて無振動空隙率を算出する方法
(C)モルタル流下率算出方法
公称目開きが2.36mmの篩に詰めたポーラスコンクリートの上に直径200mm、厚さ15mmの化粧合板製の篩蓋を載せ、当該篩蓋の上から重さ5.9kgの壁打バイブレータを用いて、下記Fcの条件を満たす振動数で60秒間加振して、当該加振終了までに流下したモルタルの体積(Vf)に基づき、下記(3)式を用いてモルタル流下率を算出する方法
Fc:
公称目開きが2.36mmの篩に詰めた、下記の配合のポーラスコンクリートの上に直径200mm、厚さ15mmの化粧合板製の篩蓋を載せ、当該篩蓋の上から重さ5.9kgの壁打バイブレータを用いて、60秒間加振して、当該加振終了までに流下したモルタルの体積(Vf)に基づき、下記(3)式を用いて算出した下記の配合のポーラスコンクリートのモルタル流下率が28.3〜29.6体積%の範囲になる振動数
空隙率(体積%)=100−W/(Vb×T)×100 ……(1)
無振動空隙率(体積%)=100−W/(Vw×T)×100 ……(2)
モルタル流下率(体積%)=100×Vf/Vo ……(3)
(式中、Wは型枠内に投入したポーラスコンクリートの質量を表し、Vbは加振後のポーラスコンクリートの体積を表し、Tは空隙率を0体積%として計算したポーラスコンクリートの配合上の単位容積質量を表し、Vwは錘の載荷後のポーラスコンクリートの体積を表し、Vfは加振により流下したモルタルの体積を表し、Voは加振前のポーラスコンクリート中のモルタルの体積を表す。)
【0006】
[2]ポルトランドセメントの単位量が150〜600kg/m
3、細骨材の単位量が40〜300kg/m
3、粗骨材の単位量が1200〜2000kg/m
3、水の単位量が30〜150kg/m
3、および高性能AE減水剤の単位量が0.8〜17.0kg/m
3である、前記[1]に記載の現場打ちポーラスコンクリートの製造方法。
[3]さらに増粘剤の単位量が0.5kg/m
3以下である、前記[2]に記載の現場打ちポーラスコンクリートの製造方法。
[4]さらに無機系混和材の単位量が35kg/m
3以下である、前記[2]または[3]に記載の現場打ちポーラスコンクリートの製造方法。
【発明の効果】
【0007】
本発明の現場打ちポーラスコンクリートの製造方法によれば、透水性、排水性、および耐久性に優れた現場打ちポーラスコンクリートを製造することができる。また、本発明の製造方法により製造した増粘剤を含むポーラスコンクリートは、現場施工による場所(位置)毎、製造バッチ毎、および施工毎の品質変動が小さい。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明は、前記(A)空隙率算出方法により算出される空隙率、前記(B)無振動空隙率算出方法により算出される無振動空隙率、および前記(C)モルタル流下率算出方法により算出されるモルタル流下率に基づき、現場打ちポーラスコンクリートのフレッシュ性状を管理して現場打ちポーラスコンクリートを製造する方法である。以下、前記各方法等を、図を用いて詳細に説明する。
【0010】
(A)空隙率算出方法
空隙率は、
図2に示すように、型枠1に詰めた所定量のポーラスコンクリート2の上に板3を載せ、板3の上にさらに錘4を載せ、錘4の上から壁打バイブレータを用いて60秒間加振して、当該加振後のポーラスコンクリートの体積に基づき、前記(1)式を用いて算出する。
型枠1および板3は、特に限定されないが、型枠1は鋼製型枠が、板3は鉄板が振動に対し変形しにくいため好ましい。また、前記バイブレータは、施工時の振動状況を再現できるため、壁打バイブレータ(コテ型バイブレータ)が好適である。
また、前記加振後のポーラスコンクリートの体積(Vb)は、内径および高さが既知の型枠を用いて、型枠上面から加振後のポーラスコンクリートの上面までの長さをデプスゲージ等で測定し、型枠の高さとこの長さの差から、加振後のポーラスコンクリートの高さを求め、この高さに型枠内側の断面積を乗じて求めることができる。
なお、ポーラスコンクリートの空隙率は15〜20体積%以下であり、ポーラスコンクリートの施工において、例えば、バイブ式のアスファルトフィニッシャーを使用するのが好ましい。
【0011】
(B)無振動空隙率算出方法
無振動空隙率は、
図3に示すように、型枠1に詰めた所定量のポーラスコンクリート2の上に板3を載せ、板3の上にさらに錘4を載せ、当該載荷による沈下が停止した時点におけるポーラスコンクリートの体積に基づき、前記(2)式を用いて算出する。無振動空隙率は前記空隙率と異なり、加振しないで求めた空隙率である。
また、前記錘の載荷後のポーラスコンクリートの体積(Vw)は、内径および高さが既知の型枠を用いて、型枠上面から、載荷によるポーラスコンクリートの沈下が止まった時点(通常、載荷から2秒程度)でのポーラスコンクリートの上面までの長さをデプスゲージ等で測定し、型枠の高さとこの長さの差からポーラスコンクリートの高さを求め、この高さに型枠内側の断面積を乗じて求めることができる。
前記無振動空隙率は、主にポーラスコンクリート中のモルタルのコンシステンシーを評価する指標である。当該指標の値が大きい程、現場打ち透水性コンクリートの締固めが困難になり、硬化した後のコンクリートの表面は剥離し易くなる。
なお、ポーラスコンクリートの無振動空隙率は32体積%以下であり、ポーラスコンクリートの施工において、例えば、バイブ式のアスファルトフィニッシャーを使用するのが好ましい。
【0012】
(C)モルタル流下率算出方法
モルタル流下率は、
図4に示すように、篩5に詰めたポーラスコンクリート2の上に篩蓋6を載せ、篩蓋6の上から壁打バイブレータを用いて60秒間加振して、当該加振終了までに流下したモルタルの体積に基づき、前記(3)式を用いて算出する。なお、篩蓋6は特に限定されず、化粧合板、鉄板、樹脂板等が挙げられる。
モルタル流下率は硬化後のポーラスコンクリートの性状を評価するための指標であり、この値が大きい程、硬化後のポーラスコンクリートの透水係数は小さくなる。
なお、ポーラスコンクリートのモルタル流下率は50体積%以下であり、ポーラスコンクリートの施工において、例えば、バイブ式のアスファルトフィニッシャーを使用するのが好ましい。
なお、本発明において、前記空隙率、無振動空隙率、およびモルタル流下率は、ポーラスコンクリートの施工の前、好ましくは施工前の30分程度以内に測定する。
また、本発明において、前記空隙率、無振動空隙率、およびモルタル流下率は、ポーラスコンクリートの製造バッチ毎に測定しても良いし、1回の施工分(例えば、2〜4バッチ分をアジテータ車で混合した混合物)を用いて測定しても良い。
【0013】
(D)現場打ちポーラスコンクリート
次に、現場打ちポーラスコンクリートについて説明する。
本発明により製造される現場打ちポーラスコンクリートは、前記のとおり、構成材料として、(1)ポルトランドセメント、(2)細骨材、(3)粗骨材、(4)水、および(5)高性能AE減水剤を含むものである。
(1)ポルトランドセメント
前記ポルトランドセメントは、特に限定されず、例えば、普通ポルトランドセメント、早強ポルトランドセメント、中庸熱ポルトランドセメント、低熱ポルトランドセメント等の各種ポルトランドセメントを使用することができる。これらの中でも、強度発現性やコストの観点から、ポルトランドセメントは、好ましくは、普通ポルトランドセメントおよび早強ポルトランドセメントである。
【0014】
(2)細骨材等
前記細骨材は、川砂、陸砂、海砂、珪砂、砕砂等を使用できる。また、粗骨材は、川砂利、海砂利、砕石等を使用できる。これらの中でも、強度発現性やコストの観点から、粗骨材は好ましくは砕石6号である。また、水は水道水等を使用することができる。
(3)高性能AE減水剤
前記高性能AE減水剤は、ポリカルボン酸系化合物、ナフタレンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物塩、およびメラミンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物塩等が使用できる。
【0015】
また、本発明により製造される現場打ちポーラスコンクリートは、好ましくは、構成材料として、さらに増粘剤を含む。増粘剤を含むポーラスコンクリートは、現場施工による場所(位置)毎、製造バッチ毎、および施工毎の品質変動を小さくできる。
前記増粘剤は、例えば、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース等のセルロース系増粘剤、およびアクリルアミドの単独重合体、アクリルアミドの共重合体等のアクリル系増粘剤からなる群より選ばれる1種以上が挙げられる。これらの増粘剤の中でも、セルロース系増粘剤は、前記ポーラスコンクリートの品質変動がより小さくなるため好ましい。
【0016】
また、本発明により製造される現場打ちポーラスコンクリートは、好ましくは、構成材料として、さらに下記材料からなる無機系混和材を含む。該無機系混和材を含むポーラスコンクリートは、強度発現性が良好となり、また、現場施工による場所(位置)毎、製造バッチ毎、および施工毎の品質変動を小さくできる。
前記無機系混和材は、ポゾラン質微粉末、高炉スラグ粉末、および無水石膏からなる混合物である。また、該混和材の組成は、好ましくは、前記ポゾラン質微粉末の含有率が5〜55質量%、前記高炉スラグ粉末の含有率が20〜80質量%、および前記無水石膏の含有率が15〜40質量%であり、より好ましくは、前記ポゾラン質微粉末の含有率が10〜40質量%、前記高炉スラグ粉末の含有率が30〜60質量%、および前記無水石膏の含有率が20〜35質量%である。前記混和材の組成が前記の範囲を外れると、ポーラスコンクリートの強度発現性の向上効果や品質変動を小さくする効果が低下する場合がある。
【0017】
次に、前記混和材に含まれる各成分について説明する。
(i)ポゾラン質微粉末
ポゾラン質微粉末は、単独では水硬性はないが、水酸化カルシウムがあれば、水中で反応して不溶性のゲルを生成し硬化する物質である。
そして、前記ポゾラン質微粉末は、シリカフューム、シリカダスト、フライアッシュ、スラグ、火山灰、シリカゾル、沈降性シリカ等が挙げられる。これらの中でも、シリカフュームやシリカダストは、その平均粒径が1μm以下であって粉砕する必要がないため好適である。また、前記ポゾラン質物質を粉砕する場合は、粉砕手段としてボールミルやロッドミルなどが使用できる。
また、該ポゾラン質微粉末のBET比表面積は、好ましくは15〜25m
2/g、より好ましくは17〜23m
2/g、さらに好ましくは18〜22m
2/gである。該比表面積が15〜25m
2/gの範囲を外れると、透水係数が減少するほか打設時の作業性が低下する場合がある。
【0018】
(ii)高炉スラグ粉末
前記高炉スラグ粉末として、JIS A 6206に規定するコンクリート用高炉スラグ微粉末のほか、さらに該微粉末を粉砕したものが用いられる。
高炉スラグ粉末の粉末度は、好ましくはブレーン比表面積で4000〜12000cm
2/g、より好ましくは5000〜10000cm
2/gである。該比表面積が4000cm
2/g未満では潜在水硬性が低く、12000cm
2/gを超えると粉砕の手間が増大してコスト高になる。また、粉砕手段として、ボールミルやロッドミルなどが使用できる。
【0019】
(iii)無水石膏
前記無水石膏は、天然無水石膏のほか、石膏ボード等の石膏廃材を加熱処理して得られる再生無水石膏が挙げられる。
また、無水石膏の粉末度は、好ましくはブレーン比表面積が3000〜12000cm
2/gであり、より好ましくは4000〜10000cm
2/gである。該比表面積が3000cm
2/g未満では、硬化体の強度発現性が低く、12000cm
2/gを超えると、粉砕の手間が増大してコスト高になる。
【0020】
前記ポーラスコンクリートの配合は、ポルトランドセメントの単位量が150〜600kg/m
3、無機系混和材の単位量が0〜35kg/m
3、細骨材の単位量が40〜300kg/m
3、粗骨材の単位量が1200〜2000kg/m
3、水の単位量が30〜150kg/m
3、および高性能AE減水剤の単位量が0.8〜17.0kg/m
3である。前記構成材料の配合が前記範囲内にあれば、透水性が高く、施工性に優れた現場打ちポーラスコンクリートを製造できる。
また、前記配合は、好ましくは、増粘剤を含まないポーラスコンクリートの場合、ポルトランドセメントの単位量が220〜460kg/m
3、無機系混和材の単位量が0〜30kg/m
3(より好ましくは2〜25kg/m
3、特に好ましくは5〜20kg/m
3)、細骨材の単位量が80〜280kg/m
3、粗骨材の単位量が1250〜1800kg/m
3、水の単位量が50〜120kg/m
3、および高性能AE減水剤の単位量が1.0〜14.0kg/m
3であり、増粘剤を含むポーラスコンクリートの場合、ポルトランドセメントの単位量が220〜500kg/m
3、無機系混和材の単位量が0〜30kg/m
3(より好ましくは0.5〜15kg/m
3、特に好ましくは1〜10kg/m
3)、細骨材の単位量が60〜280kg/m
3、粗骨材の単位量が1250〜1800kg/m
3、水の単位量が50〜130kg/m
3、および高性能AE減水剤の単位量が1.0〜15.0kg/m
3である。
なお、前記ポーラスコンクリートが増粘剤を含む場合の増粘剤の単位量は0.5kg/m
3以下である。該値が0.5kg/m
3を超えると、無振動空隙率を30体積%以下にすることが困難になる。増粘剤の単位量は、より好ましくは0.05〜0.4kg/m
3、さらに好ましくは0.1〜0.2kg/m
3である。
ここで構成材料の単位量とは、コンクリート1m
3当たりに含まれる構成材料の質量をいう。
なお、本発明のポーラスコンクリートは、前記材料以外に、空気量調整剤をポルトランドセメント100質量部に対して0.02質量部以下含むことができる。
さらに、本発明のポーラスコンクリートは、前記材料以外に、フライアッシュ、珪石粉末等のコンクリート用混和材を含むこともできる。
【0021】
前記ポーラスコンクリートのモルタル粗骨材空隙比は、好ましくは0.4〜0.8である。モルタル粗骨材空隙比は、ポーラスコンクリートの配合特性を表す指標の一つであって、粗骨材を締め固めた状態における粗骨材間の空隙量に対する、モルタルの体積の比を表す。
また、前記ポーラスコンクリートのペースト細骨材空隙比は、好ましくは5〜11である。ペースト細骨材空隙比も、ポーラスコンクリートの配合特性を表す指標の一つであって、細骨材を締め固めた状態における細骨材間の空隙量に対する、セメントペーストの体積の比を表す。
【0022】
なお、施工に際し、ポーラスコンクリートの敷均し、および締固めにはバイブ式のアスファルトフィニッシャーを使用するとよい。また、該敷均しや締固めの後、ゴム巻きの振動ローラーを使用して、さらに締固めおよび平坦仕上げを行うとよい。
【実施例】
【0023】
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されない。
1.使用材料、配合、および混練方法
使用した材料を表1に、ポーラスコンクリートの配合を表2に示す。なお、混練は2軸強制練りミキサーを用いて、全ての材料を一括してミキサーに投入し2分間混練した。混練直後のポーラスコンクリートの温度は29℃であった。
【0024】
【表1】
【0025】
【表2】
【0026】
2.空隙率の算出
下記(1)〜(5)の手順に従い、加振後のポーラスコンクリートの体積(Vb)を求め、該値と前記(1)式を用いて混練後50分経過した時点でのポーラスコンクリート(温度25℃)の空隙率を算出した。
(1)表2に示す配合に従い調製したポーラスコンクリートの全体から、満遍なく均一に試料を採取して、2.2kgの試料2を計量した。
(2)内径100mm、高さ200mmの鋼製型枠1の中に、試料2を3層に分けて、各層の試料が偏在しないよう平坦に均して詰めた。
(3)試料2の上面に、直径99mm、厚さ1mmの鉄板3を置き、さらに鉄板3の上に4kgの錘4を置いた。
(4)重さ5.9kgの壁打バイブレータを錘4の上に置き、該バイブレータの重さと振動以外の外力を加えないように注意しながら、錘4の上を満遍なく60秒間加振した。
(5)型枠上面から加振後の試料2の上面までの長さをデプスゲージを用いて測定し、型枠の高さとこの長さの差から試料2の高さを求め、この高さに鋼製型枠1の内側の断面積(円形、7850mm
2)を乗じて、試料の体積(Vb)を求めた。
【0027】
3.無振動空隙率の算出
壁打バイブレータによる加振を行わなかった以外は、前記(1)〜(5)の手順と同様の手順に従い、試料の体積(Vw)を求め、該値と前記(2)式を用いて混練後50分経過した時点でのポーラスコンクリートの無振動空隙率を算出した。
【0028】
4.モルタル流下率の算出
下記(a)〜(e)の手順に従い、流下したモルタルの体積(Vf)を測定し、該値と前記(3)式を用いて混練後50分経過した時点でのモルタル流下率を算出した。
(a)前記(1)と同様に調製したポーラスコンクリートの全体から、満遍なく均一に試料を採取して、1.5kgの試料2を計量した。
(b)公称目開きが2.36mmの篩5に、試料2を偏在しないよう平坦に均して詰めた。
(c)試料2の上面に、直径200mm、厚さ15mmの化粧合板製の篩蓋6を置いた。
(d)重さ5.9kgの壁打バイブレータを篩蓋6の上に置き、該バイブレータの重さと振動以外の外力を加えないように注意しながら、篩蓋6の上から満遍なく60秒間加振した。
(e)加振後、流下したモルタルの体積(Vf)を測定した。
【0029】
前記実施例1、実施例2(増粘剤を0.15kg/m
3含有)、および比較例のポーラスコンクリートを、それぞれ12m
3製造した。すなわち、前記各ポーラスコンクリートは、2バッチ分(1バッチの製造量は1.5m
3)をアジテータ車で混合して、該混合物(ポーラスコンクリート、3.0m
3)を4回製造した。
該混合物の空隙率は、実施例1および実施例2で、それぞれ、15.8〜16.8体積%および17.1〜17.8体積%、無振動空隙率は、実施例1および実施例2で、それぞれ、23.0〜23.9体積%および24.8〜25.4体積%であり、モルタル流下率は、実施例1および実施例2で、それぞれ、33.8〜34.5体積%および28.3〜29.6体積%であった。
これに対し、前記比較例のポーラスコンクリートの空隙率は18.5〜20.6体積%であった。なお、当該比較例において無振動空隙率とモルタル流下率は測定しなかった。
また、実施例1および実施例2のポーラスコンクリートの材齢7日における曲げ強度を、JIS A 1106「コンクリートの曲げ強度試験方法」に準拠して測定したところ、該曲げ強度は、それぞれ、4.5〜4.8N/mm
2および4.6〜4.9N/mm
2と高かった。
また、実施例1および実施例2のポーラスコンクリートの透水係数を、JCI−SPO3「ポーラスコンクリートの透水試験方法(案)」に準拠して測定したところ、該透水係数は、いずれも、0.09〜0.10cm/secと透水性に優れていた。
【0030】
5.ポーラスコンクリートの現場施工と養生
前記アジテータ車による混合後40〜45分経過した時点で、実施例1および実施例2と比較例のポーラスコンクリート(混合物)を、それぞれ、バイブ式のアスファルトフィニッシャーを使用して敷均しと締固めを行った後、ゴム巻きの振動ローラーで締固めて仕上げを行った。その後、速やかに、ポーラスコンクリートの表面にビニルシートを敷設して材齢7日まで養生して、
図5に示す現場打ちポーラスコンクリートを製造した。なお、該現場打ちポーラスコンクリートの厚さは5cmである。
【0031】
6.硬化後のポーラスコンクリートの表層のはがれ
実施例1および実施例2の現場打ちポーラスコンクリートでは、4回製造した全ての混合物において表層のはがれ等の欠陥は認められなかった。
このように、ポーラスコンクリートのフレッシュ性状として、空隙率、無振動空隙率、およびモルタル流下率を管理することにより、透水性や耐久性等に優れた現場打ちポーラスコンクリートを製造することができた。
これに対し、比較例のポーラスコンクリートでは、材齢7日において表面がはがれ易く実際上使用することは困難であった。なお、後日、比較例について再度実験して確認したところ、比較例のポーラスコンクリートの無振動空隙率は33.0体積%、モルタル流下率は0(ゼロ)体積%であった。
【0032】
7.増粘剤の有無による現場打ちポーラスコンクリートの品質変動
該品質変動を、透水量の変動を指標として評価した。具体的には、前記製造した実施例1および実施例2を用いた
図5の現場打ちポーラスコンクリートにおいて、該現場打ちポーラスコンクリートのセンター(中央)の位置C1〜C6とアウト(外側)の位置O1〜O6における透水量を、日本道路協会の「S025 現場透水量試験方法」に準拠して測定し、現場透水量の標準偏差を求めた。その結果を表3に示す。
【0033】
【表3】
【0034】
表3から分かるように、増粘剤を含む実施例2の現場打ちポーラスコンクリートは、実施例1の現場打ちポーラスコンクリートと比べ、現場透水量のバラツキ(標準偏差)が小さい。したがって、増粘剤を含む本発明の現場打ちポーラスコンクリートの製造方法は、現場施工による場所(位置)毎の品質変動が小さいといえる。また、これらのデータから、製造バッチ毎および施工毎の品質変動も小さいといえる。