【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1に記載された発明は、光信号を送信する光送信部と、光信号を受信する光受信部と、該光受信部で受光した光信号の受光レベル値を検出する受光レベル値検出部と、前記受光レベル値検出部から出力される受光レベル値を所定の基準値と比較して判定し、その結果を出力する比較・判定部を有する光送受信装置を複数備え、一つの光送受信装置の前記受光レベル値が自らの比較・判定部へ送られるとともに他の光送受信装置の比較・判定部へも送られ、それぞれの前記比較・判定部が、複数の前記光送受信装置のうちの少なくとも2個以上の光送受信装置の前記受光レベル値を、それぞれ前記基準値と比較して、対向して接続される光学式連結器との連結状態について「連結」又は「開放」の判定を行う。また、前記2個以上の光送受信装置の動作状態について、「正常」又は「異常」の判定をすることを特徴とする光学式連結器である。
【0010】
光学式連結器には複数の光送受信装置が備えられ、少なくとも2個以上の光送受信装置の前記受光レベル値検出部から出力される受光レベル値が他の光送受信装置へ送られる。
それぞれの光送受信装置は、自らの受光レベル値と共に他の光送受信装置の受光レベル値を知るので、複数の受光レベル値をそれぞれ所定の基準値と対比して対向して接続される光学式連結器の連結状態、及び、前記2個以上の光送受信装置の動作状態について判定を行う。この判定は複数の前記光送受信装置のうちの少なくとも2個以上の光送受信装置の前記受光レベル値検出部から出力される受光レベル値について行うので光連結器の信頼性が高まる。
【0011】
請求項2に記載された発明は、請求項1に記載された発明において、前記比較・判定部が、複数の前記光送受信装置のうちの少なくとも前記2個以上の光送受信装置の前記受光レベル値をそれぞれ所定の基準値と比較して、下記の(条件ア)乃至(条件ウ)の場合に、前記連結状態、及び、前記2個以上の光送受信装置の動作状態について下記の対応する(判定結果ア)乃至(判定結果ウ)の如く判定することを特徴とする請求項1に記載の光学式連結器である。
(条件ア)前記2個以上の全ての光送受信装置の受光レベル値が前記基準値以上の場合。⇒(判定結果ア)前記連結状態が「連結」であると共に前記2個以上の全ての光送受信装置の動作状態が「正常」である。
(条件イ)前記2個以上の全ての光送受信装置の受光レベル値が前記基準値未満の場合。⇒(判定結果イ)前記連結状態が開放であると共に前記2個以上の全ての光送受信装置の動作状態が「正常」である。
(条件ウ)前記2個以上の光送受信装置の少なくとも一つの光送受信装置の受光レベル値が前記基準値以上で、他の光送受信装置の受光レベル値が前記基準値未満の場合。
⇒(判定結果ウ)前記連結状態が「連結」であると共に受光レベル値が前記基準値以上の前記少なくとも一つの光送受信装置の動作状態が「正常」且つ前記受光レベル値が前記基準値未満の他の光送受信装置の動作状態が「異常」である。
【0012】
複数の光送受信装置の受光レベル値をそれぞれ基準値と比較して予め用意された判定基準に基づいて判定し、その結果に基づいて光連結器の連結状態と光送受信装置の動作状態を判定する。ここで、2個以上の全ての光送受信装置の受光レベル値が前記基準値未満の場合に、2個以上の全ての光送受信装置が異常である確率よりも連結が開放である確率がはるかに高い。上記のように場合分けすることで光連結器の状態について的確な判定が可能になる。
【0013】
請求項3に記載された発明は、請求項1に記載された発明において、前記基準値が複数設けられ、基準値1は、前記光信号による正常な送受信が困難になる限界値とされ、基準値2は、前記限界値よりも高いS/Nを与える値とされ、前記比較・判定部が、複数の前記光送受信装置のうちの少なくとも前記2個以上の光送受信装置の前記受光レベル値とそれぞれ基準値1及び2とを比較して、下記の(条件ア)乃至(条件エ)の場合に、前記連結状態、及び、前記2個以上の光送受信装置の動作状態について対応する下記の(判定結果ア)乃至(判定結果エ)の如く判定することを特徴とする請求項1に記載の光学式連結器である。
(条件ア)前記2個以上の全ての光送受信装置の前記受光レベル値が前記基準値1未満の場合。
⇒(判定結果ア)前記連結状態が「開放」であると共に前記2個以上の全ての光送受信装置の動作状態が「正常」である。
(条件イ)前記2個以上の全ての光送受信装置の前記受光レベル値が前記基準値2以上の場合。
⇒(判定結果イ)前記連結状態が「連結」であると共に前記2個以上の全ての光送受信装置の動作状態が「正常」である。
(条件ウ)前記2個以上の光送受信装置の前記受光レベル値の中少なくとも一つの受光レベル値が前記基準値1以上且つ基準値2未満の場合。
⇒(判定結果ウ)前記連結状態は「連結」であると共に受光レベル値が前記基準値1以上且つ基準値2未満の前記光送受信装置の動作状態が「要点検」である。
(条件エ)前記2個以上の光送受信装置の前記受光レベル値の中少なくとも一つの受光レベル値が前記基準値2以上で、他の光送受信装置の前記受光レベル値が基準値1未満の場合。
⇒(判定結果エ)前記連結状態は連結であると共に受光レベル値が前記基準値2以上の光送受信装置は「正常」で、基準値1未満の前記光送受信装置の動作状態は「異常」である。
【0014】
受光レベル値と比較する基準値を複数設ける。基準値1は、前記光信号による正常な光送受信が困難になる限界値とされ、基準値2は、前記限界値よりも高いS/Nを与える値とされ、前記比較・判定部が、複数の前記光送受信装置のうちの少なくとも前記2個以上の光送受信装置の前記受光レベル値とそれぞれ基準値1及び2とを比較して、判定するので、より正確に光連結器の状態を把握することができる。受光レベル値が1未満の場合はその光送受信装置は「異常」であり、受光レベル値が1以上で2未満の場合は光送受信装置は「要点検」であり、受光レベル値が2以上の場合は光送受信装置は「正常」であると判定される。
【0015】
請求項4に記載された発明は、対向する光学式連結器からの前記光信号を受光して得られる前記受光レベル値を前記光送信部から前記対向する光学式連結器へ通知することを特徴とする請求項1乃至3何れか1項に記載の光学式連結器である。
【0016】
送信した信号による相手装置の受光レベル値が通知されることで、自分自身の送信状態及び送信・受信間の連結状態についてより正確な情報を得ることができる。
【発明の効果】
【0017】
請求項1に記載された発明によれば、光信号を送信する光送信部と、光信号を受信する光受信部と、該光受信部で受光した光信号の受光レベル値を検出する受光レベル値検出部と、前記受光レベル値検出部から出力される受光レベル値を所定の基準値と比較して判定し、その結果を出力する比較・判定部を有する光送受信装置を複数備え、一つの光送受信装置の前記受光レベル値が自らの比較・判定部へ送られるとともに他の光送受信装置の比較・判定部へも送られ、それぞれの前記比較・判定部が複数の前記光送受信装置のうちの少なくとも2個以上の光送受信装置の前記受光レベル検出部から出力される光レベル値を、それぞれ前記基準値と比較して、対向して接続される光学式連結器との間の連結状態、及び、前記2個以上の光送受信装置の動作状態について判定する光学式連結器なので、接続される列車間の情報伝送の信頼性向上が図れる。
【0018】
請求項2に記載された発明によれば、前記比較・判定部が、複数の前記光送受信装置のうちの少なくとも前記2個以上の光送受信装置の前記受光レベル値をそれぞれ予め用意される所定の基準値と比較して、(条件ア)乃至(条件ウ)の場合に、前記連結状態、及び、前記2個以上の光送受信装置の動作状態について対応する(判定結果ア)乃至(判定結果ウ)のように定めておく。判定条件が明確なので前記連結状態、及び、前記2個以上の光送受信装置の動作状態について明確な情報が得られ、これを用いる光連結器により接続される列車間の情報伝送の信頼性向上が図れる。
【0019】
請求項3に記載された発明によれば、前記基準値が複数設けられ、基準値1は、前記光信号による正常な送受信が困難になる限界値とされ、基準値2は、前記限界値よりも高いS/Nを与える値とされ、前記比較・判定部が、複数の前記光送受信装置のうちの少なくとも前記2個以上の光送受信装置の前記受光レベル値とそれぞれ基準値1及び2とを比較して、(条件ア)乃至(条件エ)の場合に、前記連結状態、及び、前記2個以上の光送受信装置の動作状態について対応する(判定結果ア)乃至(判定結果エ)の如く判定することを特徴とするので接続される列車間の情報伝送の信頼性向上が図れる。
【0020】
請求項4に記載された発明によれば、対向する光学式連結器からの前記光信号を受光して得られる前記受光レベル値を前記光送信部から前記対向する光学式連結器へ通知することを特徴とする請求項1乃至3何れか1項に記載の光学式連結器なので、光伝送について信頼性の向上を図れる。