(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、実施形態の空調システムを、図面を参照して説明する。
【0008】
実施形態の空調システム10は、
図1に示すように、複数の空気調和機11(例えば、4つの第1〜第4空気調和機11a〜11dを含む複数の空気調和機など)と、複数の空気調和機11を制御する制御装置12とを備えている。各空気調和機11は、同一の空間X内に配置される少なくとも1つの室内機21と、室内機21が配置される空間Xの外部に配置される1つの室外機22とを備えている。各空気調和機11は、少なくとも1つの室内機21と1つの室外機22とを接続するとともに冷媒を流通させる冷媒流通系統24を構成する冷媒流通配管23を備えている。
例えば、第1〜第4空気調和機11a〜11dの各々は、4台の室内機21と1台の室外機22とを備えている。第1空気調和機11aは、4台の第1〜第4室内機21(A1〜A4)と1台の室外機22(A0)と第1冷媒流通配管23aとを備えている。第2空気調和機11bは、4台の第1〜第4室内機21(B1〜B4)と1台の室外機22(B0)と第2冷媒流通配管23bとを備えている。第3空気調和機11cは、4台の第1〜第4室内機21(C1〜C4)と1台の室外機22(C0)と第3冷媒流通配管23cとを備えている。第4空気調和機11dは、4台の第1〜第4室内機21(D1〜D4)と1台の室外機22(D0)と第4冷媒流通配管23dとを備えている。
【0009】
各室内機21は、例えば、減圧機(図示略)、室内熱交換器(図示略)、および室内送風装置(図示略)などの機器を備えている。室外機22は、例えば、圧縮機22a、室外熱交換器(図示略)、アキュムレータ(図示略)、および室外送風装置(図示略)などの機器を備えている。室内機21および室外機22の複数の機器は、冷媒流通配管23によって接続されることによって冷媒を循環させる冷凍サイクルを形成している。
【0010】
複数の室内機21を収容する空間Xは、外界からの熱的影響を受ける境界領域Xa(いわゆるペリメータゾーン)と、境界領域以外の領域Xb(いわゆるインテリアゾーン)とを備えている。境界領域Xaは、例えば、空間Xの端部などのように、外界から空間Xを仕切る壁部(図示略)に設けられる窓部Wを透過する日射、または空間Xの壁部に設けられる出入り口(図示略)から侵入する外気などによって、外界からの熱的影響の度合いが所定閾値以上の領域である。境界領域以外の領域Xbは、例えば、空間Xの中央部などのように、外界からの熱的影響の度合いが所定閾値未満の領域(いわゆるインテリアゾーン)である。
複数の室内機21のうち、第4空気調和機11dの第1〜第4室内機21(D1〜D4)は、例えば、床置き型であり、境界領域Xaの床部(図示略)に配置されている。複数の室内機21のうち、第4空気調和機11dの第1〜第4室内機21(D1〜D4)以外の室内機21は、例えば、天井埋め込み型であり、境界領域以外の領域Xbの天井部(図示略)に配置されている。境界領域以外の領域Xbにおいて、第1〜第3空気調和機11a〜11cの各々の室内機21は、順次、空間Xの中央部に対して境界領域Xaの反対側から境界領域Xaに近づく方向に配列されている。つまり、第3空気調和機11cの第1〜第4室内機21(C1〜C4)と、第2空気調和機11bの第1〜第4室内機21(B1〜B4)と、第1空気調和機11aの第1〜第4室内機21(A1〜A4)とは、順次、境界領域Xaから離れる方向に配列されている。
【0011】
各室内機21は、室内送風装置(図示略)から送風される風の吹き出し方向を吹き出し口毎に変更するルーバー(図示略)を備えている。
各室内機21は、例えば、赤外線センサなどから成る温度センサ25を備えている。各温度センサ25は、制御装置12に接続されている。各温度センサ25は、空間X内における各室内機21の周辺領域の温度または温度分布を検出して、温度の検出結果の信号を制御装置12に出力する。例えば、境界領域Xaに配置される第4空気調和機11dの第1〜第4室内機21(D1〜D4)の各々に備えられる温度センサ25は、外界からの熱的影響に起因する境界領域Xaの温度変化を検出する。また、各室内機21に備えられる温度センサ25は、各室内機21の周辺領域に存在する人体などに起因する温度変化を検出する。
【0012】
制御装置12は、空調システム10を統括して制御する。制御装置12は、各室内機21に備えられる温度センサ25から出力される温度の信号に応じて、各室内機21および各室内機21が接続される室外機22の運転を制御する。
制御装置12は、境界領域Xaに配置される第4空気調和機11dの第1〜第4室内機21(D1〜D4)の各々に備えられる温度センサ25から出力される温度の信号に基づいて、外界からの熱的影響の有無および度合いを判定する。制御装置12は、例えば、第1〜第4室内機21(D1〜D4)の各々の温度センサ25から出力される温度が所定変化以上の温度変化を示す場合に、外界からの熱的影響の度合いが所定度合い以上であると判定する。制御装置12は、例えば、第1〜第4室内機21(D1〜D4)の各々の温度センサ25から出力される温度が、他の温度センサ25から出力される温度に対して所定差以上の温度差を有する場合に、外界からの熱的影響の度合いが所定度合い以上であると判定する。
制御装置12は、境界領域Xaにおける外界からの熱的影響に起因する空気の対流を促進する循環気流を発生させるように少なくとも何れか1つの室内機21のルーバーを制御する。
制御装置12は、境界領域Xaにおける外界からの熱的影響の度合いが所定度合い以上であり、外界からの熱的影響が各空気調和機11の運転動作を補助する場合には、少なくとも何れか1つの空気調和機11の圧縮機22aの回転数を低下または停止させる。
【0013】
制御装置12は、各空気調和機11の暖房運転時に境界領域Xaで外界からの日射の影響がある場合には、
図2に示すように、境界領域Xaで日射により暖められた空気の上昇を促す循環気流を発生させるように各室内機21の吹き出し方向および風量を制御する。制御装置12は、境界領域Xaに配置される第4空気調和機11dの第1〜第4室内機21(D1〜D4)の各々から送風される空気Pdの風量を所定基準値よりも増大させ、吹き出し方向を上向きとする。制御装置12は、空間Xの中央部に対して境界領域Xaの反対側の端部に配置される第1空気調和機11aの第1〜第4室内機21(A1〜A4)の各々から送風される空気Paの風量を所定基準値よりも増大させ、吹き出し方向を下向きとする。制御装置12は、第4空気調和機11dと第1空気調和機11aとの間の第2および第3空気調和機11b,11cの第1〜第4室内機21(B1〜B4,C1〜C4)の各々から送風される空気Pb,Pcの風量を所定基準値とし、吹き出し方向を下向きとする。これにより制御装置12は、境界領域Xaで上昇した空気が境界領域以外の領域Xbの端部に向かい流れ、領域Xbの端部で下降した空気が境界領域Xaに向かい流れる循環気流Pを発生させる。制御装置12は、境界領域Xaにおける日射の影響の度合いが所定度合い以上である場合には、第4空気調和機11dの圧縮機22aの回転数を低下させる、または第4空気調和機11dの圧縮機22aを停止させて送風運転を行なう。
なお、制御装置12は、複数の室内機21のうち運転する室内機21の数を負荷に応じて減少させることによって、運転する室内機21の負荷率を増大させてもよい。制御装置12は、暖房運転時に境界領域Xaで日射の影響がある場合、
図3に示すように、第4および第1空気調和機11d,11a間の第2および第3空気調和機11b,11cの第1〜第4室内機21(B1〜B4,C1〜C4)の運転を停止させてもよい。
【0014】
制御装置12は、各空気調和機11の暖房運転時に境界領域Xaで外界からの日射の影響がない場合には、
図4に示すように、境界領域Xaに比べてより暖かい中央部の空気を循環させるように各室内機21の吹き出し方向および風量を制御する。制御装置12は、境界領域Xaに配置される第4空気調和機11dの第1〜第4室内機21(D1〜D4)の各々から送風される空気Pdの風量を所定基準値よりも増大させ、吹き出し方向を領域Xbの端部に向かう水平向きとする。制御装置12は、境界領域以外の領域Xbに配置される第1〜第3空気調和機11a〜11cの第1〜第4室内機21(A1〜A4,B1〜B4,C1〜C4)の各々から送風される空気Pa〜Pcの風量を所定基準値とし、吹き出し方向を下向きとする。これにより制御装置12は、境界領域Xaから領域Xbの端部に向かう空気が領域Xbの端部で上昇するように流れ、領域Xbの端部から境界領域Xaに向かう空気が境界領域Xaで下降するように流れる循環気流Pを発生させる。
【0015】
制御装置12は、各空気調和機11の冷房運転時に境界領域Xaで外界からの日射の影響がない場合には、
図5に示すように、暖房運転時に比べてより空気の循環を促すように各室内機21の吹き出し方向および風量を制御する。制御装置12は、境界領域Xaに配置される第4空気調和機11dの第1〜第4室内機21(D1〜D4)の各々から送風される空気Pdの風量を所定基準値よりも増大させ、吹き出し方向を領域Xbの端部に向かう水平向きとする。制御装置12は、空間Xの中央部に対して境界領域Xaの反対側の端部に配置される第1空気調和機11aの第1〜第4室内機21(A1〜A4)の各々から送風される空気Paの風量を所定基準値とし、吹き出し方向を境界領域Xaに向かう水平向きおよび下向きとする。制御装置12は、第4空気調和機11dと第1空気調和機11aとの間の第2および第3空気調和機11b,11cの第1〜第4室内機21(B1〜B4,C1〜C4)の各々から送風される空気Pb,Pcの風量を所定基準値とする。制御装置12は、第3空気調和機11cよりも境界領域Xaから離れている第2空気調和機11bの第1〜第4室内機21(B1〜B4)の各々から送風される空気Pbの吹き出し方向を境界領域Xaに向かう水平向きとする。制御装置12は、第2空気調和機11bよりも境界領域Xaに近い第3空気調和機11cの第1〜第4室内機21(C1〜C4)の各々から送風される空気Pcの吹き出し方向を下向きとする。これにより制御装置12は、境界領域Xaから領域Xbの端部に向かう空気が領域Xbの端部で上昇するように流れ、領域Xbの端部から境界領域Xaに向かう空気が境界領域Xaで下降するように流れる循環気流Pを発生させる。
【0016】
制御装置12は、各室内機21に備えられる温度センサ25から出力される温度の信号に基づいて、各室内機21の周辺領域に人が存在するか否かを判定する。制御装置12は、各室内機21の周辺領域における人の有無に基づいて、空間X内において人が存在する領域と人が存在しない領域とを把握する。
制御装置12は、空間X内において人が存在する領域と人が存在しない領域との間の空気の流通を抑制する気流を発生させるように複数の室内機21の少なくとも何れか1つの室内機21の運転を制御する。
【0017】
制御装置12は、各空気調和機11の暖房運転時に境界領域Xaで外界からの日射の影響があり、境界領域Xaに人が存在せず、境界領域以外の領域Xbに人が存在する場合には、
図6に示すように、ドラフト感を抑制するように各室内機21を制御する。制御装置12は、境界領域Xaに配置される第4空気調和機11dの第1〜第4室内機21(D1〜D4)の各々から送風される空気Pdの風量を所定基準値よりも増大させ、吹き出し方向を上向きとする。制御装置12は、人が存在する領域と人が存在しない領域との境界に配置される第2および第3空気調和機11b,11cの第1〜第4室内機21(B1〜B4,C1〜C4)の各々から送風される空気Pb,Pcの風量を所定基準値よりも増大させ、吹き出し方向を下向きとする。制御装置12は、人が存在する領域と人が存在しない領域との境界に配置される第2および第3空気調和機11b,11cの各々の圧縮機22aの回転数を増大させるとともに設定温度を上昇させる。制御装置12は、人が存在する境界領域以外の領域Xbに配置される第1空気調和機11aの第1〜第4室内機21(A1〜A4)の各々から送風される空気Paの風量を所定基準値よりも低下させ、吹き出し方向を下向きとする。これにより制御装置12は、人が存在する領域と人が存在しない領域との間の空気の流通を抑制する気流(いわゆるエアカーテン)を発生させる。さらに制御装置12は、日射の影響があるとともに人が存在しない境界領域Xaでは、日射により暖められた空気の上昇を促す第1の循環気流P1を発生させる。さらに制御装置12は、人が存在する領域Xbでは、ドラフト感を抑制するように第2の循環気流P2を発生させる。
【0018】
以上説明した実施形態によれば、外界からの熱的影響を受ける境界領域Xaの状態に応じて複数の室内機21の運転を制御する制御装置12を持つことにより、外界からの熱的影響を有効利用して複数の室内機21全体としての運転効率を向上させることができる。
さらに、外界からの熱的影響を受ける境界領域Xaに配置される第4空気調和機11dの第1〜第4室内機21(D1〜D4)を持つことにより、外界からの熱的影響を有効利用するための適切な気流制御を行なうことができる。
さらに、境界領域Xaの外界からの熱的影響の度合いが所定度合い以上である場合に、少なくとも何れか1つの空気調和機11の圧縮機22aの回転数を低下または停止させる制御装置12を持つことにより、負荷率を制御して運転効率を向上させることができる。制御装置12は、運転する空気調和機11の数を低減することに伴い、運転する空気調和機11の負荷率を増大させ、運転する空気調和機11の作動と停止が繰り返される断続運転が行われることを防止して、運転効率を向上させることができる。
さらに、境界領域Xaにおける外界からの熱的影響に起因する空気の対流を促進する循環気流を発生させるように複数の室内機21の運転を制御する制御装置12を持つことにより、空間X内が均一温度となる状態を迅速かつ効率良く実現することができる。
さらに、空間X内において人が存在する領域と人が存在しない領域との間の空気の流通を抑制する気流を発生させるように複数の室内機21の運転を制御する制御装置12を持つことにより、複数の室内機21全体としての運転効率を向上させることができる。制御装置12は、境界領域Xaにおける外界からの熱的影響に起因する空気の対流を促進する循環気流によって効率良くエアカーテンを形成することができる。制御装置12は、人が存在する領域Xbにおける所定基準値よりも低い風量によって、エアカーテンとして機能しつつドラフト感を抑制する循環気流を効率良く発生させることができる。
【0019】
以下、
参考形態の第1の変形例について説明する。
参考形態の第1の変形例の空調システム10は、境界領域Xaにおいて床置き型の代わりに天井埋め込み型の第1〜第4室内機21(D1〜D4)を有する第4空気調和機11dを備えている。つまり、この第1の変形例の空調システム10は、複数の天井埋め込み型の室内機21を備えている。
【0020】
制御装置12は、各空気調和機11の暖房運転時に境界領域Xaで外界からの日射の影響がある場合には、
図7に示すように、境界領域Xaで日射により暖められた空気の上昇を促す循環気流を発生させるように各室内機21の吹き出し方向および風量を制御する。制御装置12は、境界領域Xaに配置される第4空気調和機11dの第1〜第4室内機21(D1〜D4)の各々から送風される空気Pdの風量を所定基準値よりも低下させ、吹き出し方向を下向きとする。制御装置12は、空間Xの中央部に対して境界領域Xaの反対側の端部に配置される第1空気調和機11aの第1〜第4室内機21(A1〜A4)の各々から送風される空気Paの風量を所定基準値よりも増大させ、吹き出し方向を下向きとする。制御装置12は、第4空気調和機11dと第1空気調和機11aとの間の第2および第3空気調和機11b,11cの第1〜第4室内機21(B1〜B4,C1〜C4)の各々から送風される空気Pb,Pcの風量を所定基準値とし、吹き出し方向を下向きとする。これにより制御装置12は、境界領域Xaで上昇した空気が境界領域以外の領域Xbの端部に向かい流れ、領域Xbの端部で下降した空気が境界領域Xaに向かい流れる循環気流Pを発生させる。制御装置12は、境界領域Xaにおける日射の影響の度合いが所定度合い以上である場合には、第4空気調和機11dの圧縮機22aの回転数を低下させる、または第4空気調和機11dの圧縮機22aを停止させて送風運転を行なう。
なお、制御装置12は、複数の室内機21のうち運転する室内機21の数を負荷に応じて減少させることによって、運転する室内機21の負荷率を増大させてもよい。制御装置12は、暖房運転時に境界領域Xaで日射の影響がある場合、
図8に示すように、第4および第1空気調和機11d,11a間の第2および第3空気調和機11b,11cの第1〜第4室内機21(B1〜B4,C1〜C4)の運転を停止させてもよい。
【0021】
制御装置12は、各空気調和機11の冷房運転時には、
図9に示すように、暖房運転時に比べてより空気の循環を促すように各室内機21の吹き出し方向および風量を制御する。制御装置12は、境界領域Xaに配置される第4空気調和機11dの第1〜第4室内機21(D1〜D4)の各々から送風される空気Pdの風量を所定基準値よりも増大させ、吹き出し方向を下向きとする。制御装置12は、境界領域以外の領域Xbに配置される第1〜第3空気調和機11a〜11cの第1〜第4室内機21(A1〜A4,B1〜B4,C1〜C4)の各々から送風される空気Pa〜Pcの風量を所定基準値とし、吹き出し方向を下向きとする。これにより制御装置12は、境界領域Xaから領域Xbの端部に向かう空気が領域Xbの端部で上昇するように流れ、領域Xbの端部から境界領域Xaに向かう空気が境界領域Xaで下降するように流れる循環気流Pを発生させる。
【0022】
制御装置12は、各空気調和機11の暖房運転時に境界領域Xaで外界からの日射の影響があり、境界領域Xaに人が存在せず、境界領域以外の領域Xbに人が存在する場合には、
図10に示すように、ドラフト感を抑制するように各室内機21を制御する。制御装置12は、境界領域Xaに配置される第4空気調和機11dの第1〜第4室内機21(D1〜D4)の各々から送風される空気Pdの風量を所定基準値よりも増大させ、吹き出し方向を下向きとする。制御装置12は、人が存在する領域と人が存在しない領域との境界に配置される第3空気調和機11cの第1〜第4室内機21(C1〜C4)の各々から送風される空気Pcの風量を所定基準値よりも増大させ、吹き出し方向を下向きとする。制御装置12は、人が存在する領域と人が存在しない領域との境界に配置される第3空気調和機11cの各々の圧縮機22aの回転数を増大させるとともに設定温度を上昇させる。制御装置12は、人が存在する境界領域以外の領域Xbに配置される第1および第2空気調和機11a,11bの第1〜第4室内機21(A1〜A4,B1〜B4)の各々から送風される空気Pa,Pbの風量を所定基準値よりも低下させ、吹き出し方向を下向きとする。これにより制御装置12は、人が存在する領域と人が存在しない領域との間の空気の流通を抑制する気流(いわゆるエアカーテン)を発生させる。さらに制御装置12は、日射の影響があるとともに人が存在しない境界領域Xaでは、日射により暖められた空気の上昇を促す第1の循環気流P1を発生させる。さらに制御装置12は、人が存在する領域Xbでは、ドラフト感を抑制するように第2の循環気流P2を発生させる。
【0023】
以上説明した第1の変形例によれば、境界領域Xaに配置される複数の天井埋め込み型の室内機21を持つことにより、境界領域Xaに床置き型の室内機21を備えていない場合であっても、外界からの熱的影響を有効利用することができる。
【0024】
以下、
参考形態の第2の変形例について説明する。
上述した
参考形態において、制御装置12は、空間X内における人の有無にかかわらずに、空間X内を適宜に区分する複数の循環気流を形成するように複数の室内機21の運転を制御してもよい。
参考形態の第2の変形例の空調システム10は、上述した第1の変形例において第4空気調和機11dの第1〜第4室内機21(D1〜D4)が境界領域以外の領域Xbに配置されることに加えて、第5および第6空気調和機11e,11fを備えている。第5空気調和機11eは、4台の第1〜第4室内機21(E1〜E4)と1台の室外機22とを備えている。第6空気調和機11fは、4台の第1〜第4室内機21(F1〜F4)と1台の室外機22とを備えている。第5および第6空気調和機11e,11fの第1〜第4室内機21(E1〜E4,F1〜F4)は、天井埋め込み型である。第5空気調和機11eの第1〜第4室内機21(E1〜E4)は、境界領域以外の領域Xbに配置されている。
第6空気調和機11fの第1〜第4室内機21(F1〜F4)は、境界領域Xaに配置されている。
【0025】
制御装置12は、各空気調和機11の冷房運転時に、
図11に示すように、空間X内を適宜に区分する複数の循環気流を形成するように各室内機21の吹き出し方向および風量を制御する。制御装置12は、境界領域Xaに配置される第6空気調和機11fの第1〜第4室内機21(F1〜F4)の各々から送風される空気Pfの風量を所定基準値よりも増大させ、吹き出し方向を下向きとする。制御装置12は、空間Xの中央部に対して境界領域Xaの反対側の端部に配置される第1空気調和機11aの第1〜第4室内機21(A1〜A4)の各々から送風される空気Paの風量を所定基準値よりも増大させ、吹き出し方向を下向きとする。制御装置12は、第6空気調和機11fと第1空気調和機11aとの間の第2〜第5空気調和機11b,11eの第1〜第4室内機21(B1〜B4,C1〜C4,D1〜D4,E1〜E4)の各々から送風される空気Pb〜Peの風量を所定基準値とし、吹き出し方向を下向きとする。これにより制御装置12は、境界領域Xaで下降した空気が境界領域以外の領域Xbの端部に向かい流れ、空間Xの中央部で上昇した空気が境界領域Xaに向かい流れる第1の循環気流P1を発生させる。さらに制御装置12は、領域Xbで下降した空気が境界領域Xaに向かい流れ、空間Xの中央部で上昇した空気が領域Xbに向かい流れる第2の循環気流P2を発生させる。
【0026】
以上説明した第2の変形例によれば、空間X内を適宜に区分する複数の循環気流を形成するように複数の室内機21の吹き出し方向および風量を制御する制御装置12を持つので、空間X内が均一温度となる状態を迅速かつ効率良く実現することができる。
【0027】
以下、実施形態の他の変形例について説明する。
上述した実施形態では、空調システム10は、複数の空気調和機11を制御する制御装置12を備えるとしたが、これに限定されない。例えば、空調システム10は、複数の空気調和機11の各々、または複数の空気調和機11を適宜にグループ分けしたグループ毎などで制御する複数の制御装置を備えてもよい。また、空調システム10は、複数の空気調和機11の各々が備える各室内機21、または複数の室内機21を適宜にグループ分けしたグループ毎などを制御する複数のコントローラを備えてもよい。さらに、上述した制御装置12、複数の制御装置、および複数のコントローラは、操作者の手動操作を受け付けることによって、境界領域Xaの状態に応じて複数の室内機21の運転を制御してもよい。
【0028】
上述した実施形態では、各室内機21が温度センサ25を備えるとしたが、これに限定されない。例えば、各空気調和機11が少なくとも1つの温度センサ25を備えてもよいし、空調システム10が空間X内の複数の適宜の位置に配置される温度センサ25を備えてもよい。
【0029】
上述した実施形態では、制御装置12は、温度センサ25から出力される信号に基づいて、人が存在するか否かを判定するとしたが、これに限定されない。例えば、制御装置12は、各室内機21を個別に制御する各コントローラに対する手動操作の有無に応じて、または人体を検出する他のセンサから出力される信号に基づいて、人が存在するか否かを判定してもよい。
【0030】
上述した実施形態では、制御装置12は、各空気調和機11の暖房運転時に境界領域Xaで外界からの日射の影響がある場合に、日射により暖められた空気の上昇を促す循環気流を発生させるように各室内機21を制御するとしたが、これに限定されない。例えば、制御装置12は、各空気調和機11の冷房運転時に境界領域Xaで外界から侵入する外気の影響がある場合に、外気により冷やされた空気の下降を促す循環気流を発生させるように各室内機21を制御してもよい。
【0031】
上述した実施形態では、制御装置12は、人が存在する領域と人が存在しない領域との間の空気の流通を抑制する気流を発生させるために、天井埋め込み型の室内機21から下向きの空気を送風するとしたが、これに限定されない。制御装置12は、各室内機21の設置状態に応じた向きに送風される空気によって、人が存在する領域と人が存在しない領域との間の空気の流通を抑制する気流を発生させてもよい。例えば、床置き型の室内機21であれば上向きの空気を送風することによって人が存在する領域と人が存在しない領域との間の空気の流通を抑制する気流を発生させてもよい。
【0032】
上述した実施形態では、制御装置12は、各室内機21から送風される空気の吹き出し方向を、上向き、下向き、および水平向きに設定するとしたが、これに限定されない。制御装置12は、各室内機21から送風される空気の吹き出し方向を、上向き、下向き、および水平向きの各々において、所定の傾斜角度範囲内の方向に設定してもよい。
【0033】
上述した実施形態において、制御装置12は、各空気調和機11の暖房運転時または冷房運転時などにおいて境界領域Xaで外界からの熱的影響を受けない場合には、空間X内に適宜の循環気流を発生させてもよい。
【0034】
上述した実施形態では、制御装置12は、人が存在する領域と人が存在しない領域との間の空気の流通を抑制する気流を発生させるとしたが、これに限定されない。例えば、空間X内に発熱する機器などが存在する場合には、このような機器が存在する領域と存在しない領域との間の空気の流通を抑制する気流を発生させてもよい。
【0035】
上述した実施形態において、空調システム10は、外界からの熱的影響を受ける境界領域Xaに配置される室内機21を備えていなくてもよい。この場合、制御装置12は、境界領域Xaの状態に応じて、境界領域以外の領域Xbに配置される複数の室内機21の運転を制御すればよい。
【0036】
以上説明した少なくともひとつの実施形態によれば、外界からの熱的影響を受ける境界領域Xaの状態に応じて複数の室内機21の運転を制御する制御装置12を持つことにより、外界からの熱的影響を有効利用して複数の室内機21全体としての運転効率を向上させることができる。さらに、境界領域Xaの外界からの熱的影響の度合いが所定度合い以上である場合に、少なくとも何れか1つの空気調和機11の圧縮機22aの回転数を低下または停止させる制御装置12を持つことにより、負荷率を制御して運転効率を向上させることができる。さらに、境界領域Xaにおける外界からの熱的影響に起因する空気の対流を促進する循環気流を発生させるように複数の室内機21の運転を制御する制御装置12を持つことにより、空間X内が均一温度となる状態を迅速かつ効率良く実現することができる。
【0037】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。