特許第6293013号(P6293013)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6293013映像送信装置、映像送信方法及び映像送信プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6293013
(24)【登録日】2018年2月23日
(45)【発行日】2018年3月14日
(54)【発明の名称】映像送信装置、映像送信方法及び映像送信プログラム
(51)【国際特許分類】
   H04N 21/262 20110101AFI20180305BHJP
   G08G 1/00 20060101ALI20180305BHJP
   G07C 5/00 20060101ALI20180305BHJP
   H04N 5/232 20060101ALI20180305BHJP
   H04B 1/04 20060101ALI20180305BHJP
【FI】
   H04N21/262
   G08G1/00 A
   G08G1/00 D
   G07C5/00 Z
   H04N5/232 300
   H04B1/04 Z
【請求項の数】10
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-154950(P2014-154950)
(22)【出願日】2014年7月30日
(65)【公開番号】特開2016-32258(P2016-32258A)
(43)【公開日】2016年3月7日
【審査請求日】2017年1月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】000208891
【氏名又は名称】KDDI株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【弁理士】
【氏名又は名称】林 一好
(72)【発明者】
【氏名】小塚 宣秀
【審査官】 富樫 明
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−076404(JP,A)
【文献】 特開2006−270607(JP,A)
【文献】 特開2003−317193(JP,A)
【文献】 特開2012−089989(JP,A)
【文献】 特開2007−293536(JP,A)
【文献】 国際公開第2007/032384(WO,A1)
【文献】 特開2008−268149(JP,A)
【文献】 特開2004−096378(JP,A)
【文献】 特開2004−056443(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 21/00−21/858
G07C 5/00
G08G 1/00
H04B 1/04
H04N 5/232
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動無線通信部と、
近距離無線通信部と、
カメラにより撮影された映像信号を含むセンサ情報を取得する取得部と、
前記センサ情報に基づいて、前記映像信号から生成された映像データを外部へ送信する優先度を決定する決定部と、
前記映像データを、前記優先度と共に記憶する記憶部と、
前記映像データを外部へ送信する際、対応する前記優先度が所定以上の場合、前記移動無線通信部により送信させ、対応する前記優先度が所定未満の場合、前記移動無線通信部を用いずに前記近距離無線通信部により送信させる通信制御部と、を備える映像送信装置。
【請求項2】
第1のセンサ情報に基づいて緊急度を判定する緊急度判定部と、
第2のセンサ情報に基づいて重要度を判定する重要度判定部と、を備え、
前記決定部は、前記緊急度及び前記重要度に基づいて、前記優先度を決定する請求項1に記載の映像送信装置。
【請求項3】
前記第1のセンサ情報は、加速度情報である請求項2に記載の映像送信装置。
【請求項4】
前記第2のセンサ情報は、前記映像信号又は音声信号である請求項2又は請求項3に記載の映像送信装置。
【請求項5】
前記取得部は、前記センサ情報の少なくとも一部を、ネットワークを介して外部から取得する請求項1から請求項4のいずれかに記載の映像送信装置。
【請求項6】
前記通信制御部は、送信に成功した映像データを識別するデータを記憶し、前記近距離無線通信部による通信が切断された場合、次に通信が回復すると、前記送信に成功した映像データを除く映像データのうち、前記優先度の高い映像データから送信を開始する請求項1から請求項5のいずれかに記載の映像送信装置。
【請求項7】
前記映像データを変換してデータ容量を圧縮する変換部を備え、
前記決定部は、前記変換部により変換された後の映像データの優先度を、変換前の映像データの優先度よりも高く決定する請求項1から請求項6のいずれかに記載の映像送信装置。
【請求項8】
前記優先度の指定入力を受け付ける入力部を備え、
前記決定部は、前記センサ情報の解析結果に優先して、前記指定入力に基づいて、前記優先度を決定する請求項1から請求項7のいずれかに記載の映像送信装置。
【請求項9】
コンピュータの制御部が、
カメラにより撮影された映像信号を含むセンサ情報を取得する取得ステップと、
前記センサ情報に基づいて、前記映像信号から生成された映像データを外部へ送信する優先度を決定する決定ステップと、
前記映像データを、前記優先度と共に記憶する記憶ステップと、
前記映像データを外部へ送信する際、対応する前記優先度が所定以上の場合、移動無線通信により送信させ、対応する前記優先度が所定未満の場合、前記移動無線通信を用いずに近距離無線通信により送信させる通信制御ステップと、を実行する映像送信方法。
【請求項10】
請求項9に記載の映像送信方法の各ステップを前記コンピュータに実行させるための映像送信プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カメラで撮影した映像データを外部へ送信する映像送信装置、映像送信方法及び映像送信プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車の前方をカメラで撮影して映像データを記録するドライブレコーダが知られている。ドライブレコーダで撮影された映像は、事故が発生した際の証拠又は参考情報として用いられるため、特に商用車への搭載が進んでいる。また、ドライブレコーダは、偶然に遭遇した出来事を記録した映像を共有するためにも使用され、一般車両へも搭載されている。
【0003】
これらのドライブレコーダは、撮影した映像データをSDメモリ等の外部記憶に記録しているが、外部記憶の容量に制限があるため、長期間の映像データを記録し続けることはできなかった。そこで、例えば、大きな加速度が生じた瞬間の前後一定時間を記録したり、古いデータを上書きして循環的に記録したりする方法が取られている。このため、必要な映像データが記録されていない、又は消去されてしまう場合があった。
【0004】
このような状況において、例えば、特許文献1には、ドライブレコーダに無線通信機を備え、事業者からの要求を受信した場合に通信を用いて静止画像をセンタ端末へ送信するシステムが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−020877号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、自動車事故等の緊急時には運転手の意思にかかわらず運行を管理する事業者へ直ちに映像データが通知されることが望ましく、さらに、動画像であれば静止画像に比べてより多くの情報が得られるため、緊急時の適切な対応が期待できる。また、自動車の運転中に偶然に遭遇した珍しい映像を動画共有サイト等へ投稿する等のニーズもある。
【0007】
しかしながら、これらの残しておくべき映像データを効率的に判断して外部へ送信することは難しかった。
また、映像データを送信する場合、静止画像又は他のセンサ情報等に比べてデータ容量が大きいため、3G又はLTE等の移動通信網を経由すると、無線帯域が圧迫されてしまうという課題があった。
【0008】
本発明は、移動通信網の負荷を低減しつつ、映像データを外部装置へ効率的に送信できる映像送信装置、映像送信方法及び映像送信プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る映像送信装置は、移動無線通信部と、近距離無線通信部と、カメラにより撮影された映像信号を含むセンサ情報を取得する取得部と、前記センサ情報に基づいて、前記映像信号から生成された映像データを外部へ送信する優先度を決定する決定部と、前記映像データを、前記優先度と共に記憶する記憶部と、前記映像データを外部へ送信する際、対応する前記優先度が所定以上の場合、前記移動無線通信部により送信させ、対応する前記優先度が所定未満の場合、前記移動無線通信部を用いずに前記近距離無線通信部により送信させる通信制御部と、を備える。
【0010】
前記映像送信装置は、第1のセンサ情報に基づいて緊急度を判定する緊急度判定部と、第2のセンサ情報に基づいて重要度を判定する重要度判定部と、を備え、前記決定部は、前記緊急度及び前記重要度に基づいて、前記優先度を決定してもよい。
【0011】
前記第1のセンサ情報は、加速度情報であってもよい。
【0012】
前記第2のセンサ情報は、前記映像信号又は音声信号であってもよい。
【0013】
前記取得部は、前記センサ情報の少なくとも一部を、ネットワークを介して外部から取得してもよい。
【0014】
前記通信制御部は、送信に成功した映像データを識別するデータを記憶し、前記近距離無線通信部による通信が切断された場合、次に通信が回復すると、前記送信に成功した映像データを除く映像データのうち、前記優先度の高い映像データから送信を開始してもよい。
【0015】
前記映像送信装置は、前記映像データを変換してデータ容量を圧縮する変換部を備え、前記決定部は、前記変換部により変換された後の映像データの優先度を、変換前の映像データの優先度よりも高く決定してもよい。
【0016】
前記映像送信装置は、前記優先度の指定入力を受け付ける入力部を備え、前記決定部は、前記センサ情報の解析結果に優先して、前記指定入力に基づいて、前記優先度を決定してもよい。
【0017】
本発明に係る映像送信方法は、コンピュータの制御部が、カメラにより撮影された映像信号を含むセンサ情報を取得する取得ステップと、前記センサ情報に基づいて、前記映像信号から生成された映像データを外部へ送信する優先度を決定する決定ステップと、前記映像データを、前記優先度と共に記憶する記憶ステップと、前記映像データを外部へ送信する際、対応する前記優先度が所定以上の場合、移動無線通信により送信させ、対応する前記優先度が所定未満の場合、前記移動無線通信を用いずに近距離無線通信により送信させる通信制御ステップと、を実行する。
【0018】
本発明に係る映像送信プログラムは、前記映像送信方法の各ステップを前記コンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、移動通信網の負荷を低減しつつ、映像データを外部装置へ効率的に送信できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】実施形態に係る映像送信装置の機能構成を示すブロック図である。
図2】実施形態に係る映像データを送信する第1の処理を示すフローチャートである。
図3】実施形態に係る映像データを送信する第2の処理を示すフローチャートである。
図4】実施形態に係る映像データの優先度に応じた送信順序の決定方法を例示する図である。
図5】実施形態に係る映像データが近距離無線で送信される場合の手順を例示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態の一例について説明する。
本実施形態の映像送信装置1は、自動車に搭載されるドライブレコーダであり、撮影した映像及び音声を記憶すると共に、決定した優先度に応じて無線通信手段によって外部サーバへ送信する。
【0022】
図1は、本実施形態に係る映像送信装置1の機能構成を示すブロック図である。
映像送信装置1は、カメラ11(カメラ部)と、マイク12と、加速度センサ13と、入力部14と、解析部15(取得部)と、決定部16と、符号化部17(変換部)と、記憶部18と、通信制御部19と、移動無線通信部20と、近距離無線通信部21とを備える。
【0023】
カメラ11は、運転中の自動車の周囲、特に前方を撮影して映像信号を第2のセンサ情報として出力する。カメラ11は、エンジンの始動から停止までの間、又は指定された期間において、撮影を継続し、映像信号を出力し続ける。
【0024】
マイク12は、カメラ11と同期して、運転中の自動車の周囲、又は車内の音声を音声信号に変換し、第2のセンサ情報として出力する。
【0025】
加速度センサ13は、自動車の加速度を計測し、測定データを第1のセンサ情報として出力する。
【0026】
入力部14は、映像データを外部サーバへ送信する優先度の指定を、ユーザの操作入力によって受け付ける。
【0027】
解析部15は、映像信号、音声信号及び加速度データ等のセンサ情報を取得する。さらに、解析部15は、センサ情報の少なくとも一部を、ネットワークを介して外部から取得してもよい。具体的には、解析部15は、センサ情報として、例えば緊急速報、VICS(登録商標)情報、あるいは周辺の自動車等から直接又はネットワークを介して、付近で緊急性又は重要性が高い事象が発生したことを通信により取得する。
【0028】
また、解析部15は、緊急度判定部151と重要度判定部152とを備え、センサ情報に基づいて映像データの緊急性及び重要性を解析する。
【0029】
緊急度判定部151は、加速度センサ13による測定データ(第1のセンサ情報)に基づいて緊急度を判定する。具体的には、例えば、所定以上に大きな加速度等の異常値が測定された場合に、緊急度判定部151は、事故等の緊急性が高い事象が発生したと判定し、この前後の時間帯における映像データの緊急度を高く設定する。
【0030】
重要度判定部152は、映像及び音声の信号(第2のセンサ情報)に基づいて、この映像又は音声の重要度を判定する。具体的には、重要度判定部152は、例えば、所定以上に大きな音声が検出された、又は通常と異なる物体が撮影された等の異常を検出した場合に、重要度が高い事象が発生したと判定し、この前後の時間帯における映像データの重要度を高く設定する。
【0031】
決定部16は、センサ情報により判定された緊急度及び重要度に基づいて、映像データを外部へ送信する優先度を決定する。具体的には、決定部16は、緊急度が高い映像データは、優先度を最も高く決定し、以下、重要度の高さに応じて優先度を段階的に決定する。
また、決定部16は、入力部によりユーザから指定入力を受け付けた場合には、センサ情報に優先して、この指定入力に基づいて優先度を決定する。
【0032】
符号化部17は、カメラ11及びマイク12から入力された信号を一定時間毎に、符号化し、記録及び送信可能な映像データとする。
また、符号化部17は、高解像度の映像データを低解像度化又は一部を切り出す等によって変換し、データ容量を圧縮した映像データを生成してもよい。この場合、決定部16は、変換された後の映像データの優先度を、変換前の映像データの優先度よりも高く決定することにより、早期に変換後の映像データが送信されるように設定する。なお、変換前の高解像度の映像データは、優先度を最低に設定し、外部へ送信されなくてもよい。
【0033】
記憶部18は、カメラ11により撮影されて符号化部17により符号化された映像データを、決定された優先度と共に記憶する。記憶された映像データは、優先度に応じて通信制御部19により抽出される。また、映像データは、ユーザ操作に基づき、有線又は無線により取り出し可能である。
【0034】
通信制御部19は、映像データを外部へ送信する際、対応する優先度が所定以上の場合、移動無線通信部20により送信させ、対応する優先度が所定未満の場合、近距離無線通信部21により送信させる。
このとき、通信制御部19は、映像データの優先度が高い順に送信を試みる。
【0035】
また、通信制御部19は、送信に成功した映像データを識別するデータを記憶し、近距離無線通信部による通信が切断された場合、次に通信が回復すると、送信に成功した映像データを除く映像データのうち、優先度の高い映像データから送信を開始する。
【0036】
移動無線通信部20は、例えば、3G又はLTE等、携帯端末用の移動通信網を利用する通信システムによって外部サーバとデータの送受信を行う。
近距離無線通信部21は、例えば、Wi−Fi又はBluetooth(登録商標)等、近距離の無線通信システムを経由して、外部サーバとデータの送受信を行う。
【0037】
図2は、本実施形態に係る映像データを送信する第1の処理を示すフローチャートである。
本処理では、映像送信装置1は、生成した映像データを緊急度に応じて即時に外部へ送信する。
【0038】
ステップS1において、映像送信装置1は、センサ情報として、カメラ11及びマイク12から映像及び音声の信号を、加速度センサ13から加速度情報を取得する。
【0039】
ステップS2において、映像送信装置1は、解析部15により、加速度情報に基づいて衝突、急加速、急ブレーキ等の事象を検出し、映像送信の緊急度を判定する。
【0040】
ステップS3において、映像送信装置1は、解析部15により、映像及び音声の信号を解析し、映像データの重要度を判定する。
【0041】
ステップS4において、映像送信装置1は、緊急度及び重要度に基づいて、映像データを外部へ送信する優先度と共に、送信手段(移動無線通信部20又は近距離無線通信部21)を決定する。
【0042】
ステップS5において、映像送信装置1は、符号化部17により映像及び音声の信号を符号化し、映像データを生成する。
【0043】
ステップS6において、映像送信装置1は、生成した映像データを記憶部18に記憶する。
【0044】
ステップS7において、映像送信装置1は、生成した映像データの優先度が最上位、すなわち緊急性の高い映像であるか否かを判定する。この判定がYESの場合、処理はステップS8に移り、判定がNOの場合、処理は終了する。
【0045】
ステップS8において、映像送信装置1は、送信手段として移動無線通信部20を選択し、映像データを送信する。
【0046】
なお、映像送信装置1は、センサ情報から優先度を決定するステップS2〜S4と、映像データを記録するステップS5〜S6とを、並列して実行してもよい。
【0047】
図3は、本実施形態に係る映像データを送信する第2の処理を示すフローチャートである。
本処理は、映像送信装置1により繰り返し実行され、近距離無線の圏内において、記憶されている映像データを優先度に応じて順次外部へ送信する。
【0048】
ステップS11において、映像送信装置1は、近距離無線の圏内にあるか否かを判定する。この判定がYESの場合、処理はステップS12に移り、判定がNOの場合、処理は終了する。
【0049】
ステップS12において、映像送信装置1は、未送信の映像データのうち最も優先度が高いものを、次に送信する映像データとして記憶部18から抽出する。
【0050】
ステップS13において、映像送信装置1は、送信手段として近距離無線通信部21を選択し、抽出した映像データを送信する。
【0051】
ステップS14において、映像送信装置1は、送信した映像データに対して、送信済みを示すフラグを付加して記録する。
【0052】
図4は、本実施形態に係る映像データの優先度に応じた送信順序の決定方法を例示する図である。
【0053】
映像データ1〜8が撮影順に生成されると、それぞれに対応した優先度が設定される。この例では、優先度の一例として「高」、「中」、「低」の3段階が映像データ毎に設定されている。
【0054】
まず、優先度が「高」の映像データ3が送信(アップロード)順序の1番となる。次に、優先度が「中」の映像データ4,8が撮影された順に送信され、最後に優先度が「低」の映像データ1,2,5,6,7が撮影された順に送信される。
【0055】
図5は、本実施形態に係る映像データが近距離無線で送信される場合の手順を例示する図である。
【0056】
自動車に搭載された映像送信装置1は、自動車の走行に従って順に、近距離無線のアクセスポイント2a、2b、2cの通信エリア圏内に入る。各アクセスポイント2(a〜c)は、通信エリアが近距離に限られるため、移動する映像送信装置1から送信可能な映像データの量も限られる。
【0057】
そこで、映像送信装置1は、各アクセスポイント2(a〜c)の通信エリア圏内に入る度に、未送信の映像データを優先度に従った順序で送信する。送信された映像データは、ネットワーク3を介して外部サーバ4にアップロードされる。
この例では、映像送信装置1は、決定された送信順序に従って、アクセスポイント2aの圏内で映像データ3,4を、アクセスポイント2bの圏内で映像データ8,1,2を、アクセスポイント2cの圏内で映像データ5,6を送信している。
なお、送信が完了する前に圏外となった場合、映像送信装置1は、次に圏内となった際に送信が未完了の映像データから送信を試みる。
【0058】
本実施形態によれば、映像送信装置1は、撮影された映像データを送信する優先度を決定し、優先度が高く緊急性が高い映像データのみを移動無線通信により送信し、この他の映像データを近距離無線通信により送信する。したがって、映像送信装置1は、優先度によって複数の通信手段を切り替えることにより、移動通信網の負荷を低減しつつ、映像データを外部装置へ効率的に送信できる。
【0059】
映像送信装置1は、複数のセンサ情報に基づいて緊急度及び重要度を独立して判定し、これらを統合して優先度を決定する。したがって、映像送信装置1は、複数の入力情報を効率的に使い分け、適切な送信手段及び送信順順序を決定できる。
【0060】
映像送信装置1は、加速度情報に基づいて緊急度を判定するので、加速度値の異常を検出したことによって事故等の緊急性が高い事象が発生したことを効率的に精度良く判定できる。
【0061】
映像送信装置1は、映像又は音声に基づいて重要度を判定するので、偶然に遭遇した稀な出来事等、ユーザにとっての映像データの重要度を精度良く判定できる。
【0062】
映像送信装置1は、センサ情報を、ネットワークを介して外部から取得できるので、外部情報を含めたより多くの情報に基づいて、映像データの優先度を精度良く判定できる。
【0063】
映像送信装置1は、近距離無線通信を用いて、通信エリア圏内に入る度に複数の映像データを順に送信するよう制御する。このとき、映像送信装置1は、送信済みを示す識別フラグを付与するので、映像データが重複して送信されることを抑制できる。
【0064】
映像送信装置1は、高解像度の映像データ等、データ容量が大きい映像データを変換し、変換後のデータ容量が小さい映像データを優先して送信できるので、通信網を圧迫することなく、重要な映像データを早期に外部へ送信できる。
【0065】
映像送信装置1は、ユーザ又は外部サーバ等、外部から優先度の指定入力を受け付けるので、映像の利用者の意図に従った適切な映像データを外部へ送信できる。
【0066】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は前述した実施形態に限るものではない。また、本実施形態に記載された効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、本発明による効果は、本実施形態に記載されたものに限定されるものではない。
【0067】
本実施形態の映像送信装置1は、ドライブレコーダであるとして説明したが、ドライブレコーダ機能を提供するアプリケーションがインストールされた移動端末、例えばスマートフォン又はウェアラブルデバイス等であってもよい。
さらに、機能ブロックの一部が別のデバイスとして構成されてもよい。例えば、無線通信手段(移動無線通信部20及び近距離無線通信部21)は、携帯電話機、スマートフォン又は通信専用端末等が接続されることにより提供されてもよい。
【0068】
映像送信装置1に入力されるセンサ情報は、前述の映像信号、音声信号及び加速度情報等には限られない。また、映像及び音声等の解析には、画像認識又は音声認識等の既存の技術を適用し、通常と異なる重要な事象の発生を検出する精度を向上させることができる。
【0069】
また、映像送信装置1は、音声を含む映像データと共に、速度又は加速度等の各種のセンサ情報を送信してもよい。
【0070】
映像送信装置1による映像送信方法は、ソフトウェアにより実現される。ソフトウェアによって実現される場合には、このソフトウェアを構成するプログラムが、情報処理装置(映像送信装置1)にインストールされる。また、これらのプログラムは、CD−ROMのようなリムーバブルメディアに記録されてユーザに配布されてもよいし、ネットワークを介してコンピュータにダウンロードされることにより配布されてもよい。さらに、これらのプログラムは、ダウンロードされることなくネットワークを介したWebサービスとしてコンピュータに提供されてもよい。
【符号の説明】
【0071】
1 映像送信装置
11 カメラ
12 マイク
13 加速度センサ
14 入力部
15 解析部(取得部)
16 決定部
17 符号化部
18 記憶部
19 通信制御部
20 移動無線通信部
21 近距離無線通信部
151 緊急度判定部
152 重要度判定部
図1
図2
図3
図4
図5