(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6293014
(24)【登録日】2018年2月23日
(45)【発行日】2018年3月14日
(54)【発明の名称】スイッチング電源装置
(51)【国際特許分類】
H02M 3/28 20060101AFI20180305BHJP
H02H 7/12 20060101ALI20180305BHJP
【FI】
H02M3/28 C
H02H7/12 G
【請求項の数】2
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2014-154980(P2014-154980)
(22)【出願日】2014年7月30日
(65)【公開番号】特開2016-32409(P2016-32409A)
(43)【公開日】2016年3月7日
【審査請求日】2017年1月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004606
【氏名又は名称】ニチコン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001841
【氏名又は名称】特許業務法人梶・須原特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】能島 正行
【審査官】
木村 励
(56)【参考文献】
【文献】
特許第2542810(JP,B2)
【文献】
特開2013−251979(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 3/28
H02H 7/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一次巻線、二次巻線および補助巻線を有する、トランスと、
前記一次巻線に接続された、スイッチング素子と、
前記スイッチング素子に接続された検出端子を有し、前記スイッチング素子のスイッチング動作を制御する、制御部と、
前記二次巻線に接続された、二次側回路と、を備え、
前記スイッチング素子の前記スイッチング動作によって前記一次巻線に交流を供給し、前記二次巻線に誘起された電圧を前記二次側回路に伝達するように構成された、スイッチング電源装置において、
前記補助巻線に並列接続された、コンデンサと、
前記コンデンサの電圧が第1所定値未満になった場合に前記検出端子の電圧が第2所定値を超えるように構成された、モニタ回路と、
前記補助巻線の一端に誘起された交流電圧を直流化して前記制御部に電源電圧を供給するように構成されると共に、前記検出端子と前記補助巻線の他端との間に配置されて前記検出端子に所定の分圧電圧を供給する第1抵抗と、をさらに備え、
前記制御部は、前記コンデンサの電圧が前記第1所定値未満になったときに前記モニタ回路によって前記検出端子の電圧が前記第2所定値を超えた場合に、前記スイッチング素子の前記スイッチング動作を抑制し、
前記モニタ回路は、
前記コンデンサに並列接続された、ツェナーダイオードと、
ベースが前記ツェナーダイオードのアノードに接続されると共に、コレクタが前記検出端子と前記スイッチング素子との接続ラインに接続された、トランジスタと、
前記トランジスタの前記コレクタに接続されることで前記トランジスタと直列回路を構成し、当該直列回路が前記第1抵抗に並列接続された、第2抵抗と、
前記ツェナーダイオードの前記アノードと前記トランジスタの前記ベースとの間に配置された、第3抵抗と、
前記トランジスタの前記ベースと前記補助巻線の他端との間に配置され、前記第3抵抗を介して前記ツェナーダイオードの前記アノードに直列接続された、第4抵抗と、含み、
前記コンデンサの電圧が前記第1所定値以上の場合、前記ツェナーダイオードが導通状態となって前記トランジスタの前記ベースに電流を供給し、前記トランジスタが前記接続ラインのバイパスを形成し、
前記コンデンサの電圧が前記第1所定値未満の場合、前記ツェナーダイオードが非導通状態となって前記トランジスタの前記ベースに電流を供給せず、前記トランジスタが前記接続ラインのバイパスを形成しないことで、前記検出端子の電圧が前記第2所定値を超えるように構成されていることを特徴とする、スイッチング電源装置。
【請求項2】
前記スイッチング素子は、FETであり、前記FETのドレインが前記一次巻線に接続され、前記FETのソースが前記検出端子に接続され、前記FETのゲートが前記制御部の出力電圧を受けるように構成されたことを特徴とする、請求項1に記載のスイッチング電源装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、過電流保護機能を有するスイッチング電源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
過電流保護機能を有するスイッチング電源装置において、トランスの補助巻線の短絡等が生じた際に、スイッチング素子のスイッチング動作を制御することで、トランスや二次側回路の過熱を抑制するという技術が知られている。例えば特許文献1(
図1、請求項1等)には、スイッチング素子Q1に流れる電流を電流検出端子によって検出し、当該電流が閾値を超えた場合に過電流保護機能を実行する制御回路15が示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012−249499号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1のようにスイッチング素子に流れる電流に基づいて過電流保護機能を実行する構成では、入力電圧が高いと、スイッチング素子に流れる電流量が減るため、補助巻線の短絡等が生じても、検出される電流が閾値を超えず、過電流保護機能が実行されない場合がある。
【0005】
本発明の目的は、入力電圧によらず確実に過電流保護機能を実行することができるスイッチング電源装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の観点によると、一次巻線、二次巻線および補助巻線を有する、トランスと、前記一次巻線に接続された、スイッチング素子と、前記スイッチング素子に接続された検出端子を有し、前記スイッチング素子のスイッチング動作を制御する、制御部と、前記二次巻線に接続された、二次側回路と、を備え、前記スイッチング素子の前記スイッチング動作によって前記一次巻線に交流を供給し、前記二次巻線に誘起された電圧を前記二次側回路に伝達するように構成された、スイッチング電源装置において、前記補助巻線に並列接続された、コンデンサと、前記コンデンサの電圧が第1所定値未満になった場合に前記検出端子の電圧が第2所定値を超えるように構成された、モニタ回路と、
前記補助巻線の一端に誘起された交流電圧を直流化して前記制御部に電源電圧を供給するように構成されると共に、前記検出端子と前記補助巻線の他端との間に配置されて前記検出端子に所定の分圧電圧を供給する第1抵抗と、をさらに備え、前記制御部は、前記コンデンサの電圧が前記第1所定値未満になったときに前記モニタ回路によって前記検出端子の電圧が前記第2所定値を超えた場合に、前記スイッチング素子の前記スイッチング動作を抑制
し、前記モニタ回路は、前記コンデンサに並列接続された、ツェナーダイオードと、ベースが前記ツェナーダイオードのアノードに接続されると共に、コレクタが前記検出端子と前記スイッチング素子との接続ラインに接続された、トランジスタと、前記トランジスタの前記コレクタに接続されることで前記トランジスタと直列回路を構成し、当該直列回路が前記第1抵抗に並列接続された、第2抵抗と、前記ツェナーダイオードの前記アノードと前記トランジスタの前記ベースとの間に配置された、第3抵抗と、前記トランジスタの前記ベースと前記補助巻線の他端との間に配置され、前記第3抵抗を介して前記ツェナーダイオードの前記アノードに直列接続された、第4抵抗と、含み、前記コンデンサの電圧が前記第1所定値以上の場合、前記ツェナーダイオードが導通状態となって前記トランジスタの前記ベースに電流を供給し、前記トランジスタが前記接続ラインのバイパスを形成し、前記コンデンサの電圧が前記第1所定値未満の場合、前記ツェナーダイオードが非導通状態となって前記トランジスタの前記ベースに電流を供給せず、前記トランジスタが前記接続ラインのバイパスを形成しないことで、前記検出端子の電圧が前記第2所定値を超えるように構成されていることを特徴とする、スイッチング電源装置が提供される。
【0007】
上記観点によれば、スイッチング素子に流れる電流に基づいて過電流保護機能を実行する構成ではなく、スイッチング素子に接続された検出端子の電圧の上昇に基づいて過電流保護機能を実行する構成を採用したことで、入力電圧が高い場合でも、スイッチング素子に流れる電流量が減ることによって過電流保護機能が実行されないという問題が生じず、過電流保護機能を確実に実行することができる。即ち、上記観点によれば、入力電圧によらず確実に過電流保護機能を実行することができる。
【0010】
前記スイッチング素子は、FETであり、前記FETのドレインが前記一次巻線に接続され、前記FETのソースが前記検出端子に接続され、前記FETのゲートが前記制御部の出力電圧を受けるように構成されてよい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によると、入力電圧によらず確実に過電流保護機能を実行することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の一実施形態に係るスイッチング電源装置を示すブロック図である。
【
図2】本発明に係る実施例と比較例とにおいて入力電圧をAC90V,AC264Vとした場合の各部の電流/電圧の変化を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の好適な実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0014】
図1に示すように、本発明の一実施形態に係るスイッチング電源装置1は、交流電源2、ブリッジダイオード3、電解コンデンサ4、トランス5、スイッチング素子6、制御部7、二次側回路8、フィードバック回路9等を有する。
【0015】
トランス5は、一次巻線5a、二次巻線5bおよび補助巻線5cを有する。一次巻線5aに、スイッチング素子6が接続されている。二次巻線5bに、二次側回路8が接続されている。
【0016】
スイッチング素子6は、FETであり、FETのドレインが一次巻線5aに接続され、FETのソースが制御部7の検出端子7aに接続され、FETのゲートが制御部7の出力端子7bに接続され、制御部7の出力電圧を受けるように構成されている。
【0017】
制御部7は、スイッチング素子6のスイッチング動作を制御するものである。
【0018】
ここで、スイッチング電源装置1の動作について、説明する。
【0019】
交流電源2から入力された交流は、ブリッジダイオード3によって整流され、電解コンデンサ4によって平滑された後、スイッチング素子6のスイッチング動作によって再び交流に変換され、一次巻線5aに供給される。一次巻線5aに供給された交流は、トランス5よって変圧され、二次巻線5bに誘起されて、二次側回路8に伝達される。二次側回路8に伝達された交流は、図示は省略するが、二次側回路8において、ダイオードによって整流され、電解コンデンサによって平滑された後、負荷に出力される。また、二次側出力電圧は、フィードバック回路9を介して制御部7にフィードバックされ、出力電圧が一定に保たれるように、制御部7によってスイッチング動作が制御される。
【0020】
スイッチング電源装置1は、さらに、コンデンサ10、モニタ回路20等を有する。
【0021】
コンデンサ10は、電解コンデンサであって、補助巻線5cの一端に接続されたダイオード12を介して補助巻線5cに並列接続されている。補助巻線5cに誘起された交流電圧は、ダイオード12によって整流され、コンデンサ10によって平滑され、電源端子7cを介して制御部7に供給される。また、補助巻線5cには、ダイオード13を介して電解コンデンサ14が並列接続されており、補助巻線5cに誘起された交流電圧は、ダイオード13によって整流され、電解コンデンサ14によって平滑され、電源端子7cを介して制御部7に供給される。このように、制御部7は、補助巻線5cの一端に誘起された交流電圧を直流化した電源電圧によって駆動される。
【0022】
モニタ回路20は、ツェナーダイオード21、抵抗22〜24およびトランジスタ25を含む。
【0023】
ツェナーダイオード21は、抵抗23,24と共に、コンデンサ10に並列接続されている。抵抗23,24は、ツェナーダイオード21のアノードに直列接続されており、抵抗23,24の間にトランジスタ25のベースが接続されている。換言すると、抵抗23は、ツェナーダイオード21のアノードとトランジスタ25のベースとの間に配置されている。抵抗24は、抵抗23とトランジスタ25のベースとの接続点と補助巻線5cの他端との間に配置され、抵抗23を介してツェナーダイオード21のアノードに直列接続されている。
【0024】
抵抗22の一端は、検出端子7aと分圧用の抵抗11に接続されている。抵抗22の他端は、トランジスタ25のコレクタに接続されている。抵抗22とトランジスタ25とで構成される直列回路は、抵抗11に並列接続されている。
【0025】
トランジスタ25は、ベースが抵抗23を介してツェナーダイオード21のアノードに接続されると共に、コレクタが抵抗22を介して検出端子7aとスイッチング素子6のソースとの接続ラインに接続され、エミッタが補助巻線5cの他端(グランド)に接続されている。上記接続ラインには適宜の抵抗が介装されている。
【0026】
ここで、ツェナーダイオード21は、コンデンサ10の電圧が第1所定値以上の場合、カソードからアノードに電流を流し(即ち、導通状態となって)、トランジスタ25のベースに電流を供給する。これにより、トランジスタ25がONになり、上記接続ラインのバイパスが形成され、検出端子7aが導通状態のトランジスタ25を介して補助巻線5cの他端に接地される。これにより、検出端子7aの電圧上昇が抑制される。
【0027】
一方、コンデンサ10の電圧が第1所定値未満の場合、ツェナーダイオード21は、カソードからアノードに電流を流さず(即ち、非導通状態となって)、トランジスタ25のベースに電流を供給しない。この場合、トランジスタ25がOFFになり、上記接続ラインのバイパスが形成されず、検出端子7aの電圧が上昇する。
【0028】
このように、モニタ回路20は、コンデンサ10の電圧が第1所定値未満になった場合に検出端子7aの電圧が第2所定値を超えるように構成されている。
【0029】
例えば、補助巻線5cの短絡が生じると、コンデンサ10が放電をし続けるため、コンデンサ10の電圧が下降し、コンデンサ10の電圧が第1所定値未満になる。すると、モニタ回路20において、ツェナーダイオード21がトランジスタ25に電流を供給しないことで、トランジスタ25がOFFになり、検出端子7aの電圧が上昇し、検出端子7aの電圧が第2所定値を超える。制御部100は、検出端子7aの電圧が第2所定値を超えた場合、スイッチング素子6のスイッチング動作を抑制(例えば、停止)する。これにより、トランス5や二次側回路8の過熱が抑制される。
【0030】
以上に述べたように、本実施形態によれば、スイッチング素子6に流れる電流に基づいて過電流保護機能を実行する構成ではなく、スイッチング素子6に接続された検出端子7aの電圧の上昇に基づいて過電流保護機能を実行する構成を採用したことで、入力電圧が高い場合でも、スイッチング素子6に流れる電流量が減ることによって過電流保護機能が実行されないという問題が生じず、過電流保護機能を確実に実行することができる。即ち、本実施形態によれば、入力電圧によらず確実に過電流保護機能を実行することができる。
【実施例】
【0031】
本発明に係る実施例(上記実施形態に係るスイッチング電源装置1と同様の装置)と比較例(上記実施形態に係るスイッチング電源装置1からモニタ回路20を除いた装置)とにおいて、入力電圧をAC90V,AC264Vとした場合の、各部の電流/電圧の変化を測定した。測定結果を、
図2に示す。
【0032】
図2において、「I
5a」は、一次巻線5aに流れる電流を示す。「V
OUT」は、二次側出力電圧を示す。「Vc
005」は、電解コンデンサ14の電圧を示す。「Vc
004」は、コンデンサ10の電圧を示す。また、横軸は時間を示す。
【0033】
図2から理解されるように、入力電圧がAC90Vの場合は、実施例および比較例において、各部の電流/電圧の波形に差異はなく、補助巻線5cが短絡すると、過電流保護機能が実行され、スイッチング動作が停止された。一方、入力電圧がAC264Vの場合は、実施例および比較例において、各部の電流/電圧の波形に差異が生じ、実施例ではスイッチング動作が停止されたが、比較例では、スイッチング素子に流れる電流が閾値を超えず、過電流保護機能が実行されなかった(即ち、スイッチング動作が停止されず、間欠発振が維持された)。
【0034】
以上、本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいて様々な設計変更が可能なものである。
【0035】
・スイッチング素子は、FETに限定されず、IGBT等からなってもよい。
・制御部は、検出端子の電圧が第2所定値を超えた場合に、スイッチング動作を停止することに限定されず、スイッチング動作を抑制し、出力電圧を下げることにより電流を制限してもよい。
【符号の説明】
【0036】
1 スイッチング電源装置
2 交流電源
3 整流ダイオード
4 平滑コンデンサ
5 トランス
5a 一次巻線
5b 二次巻線
5c 補助巻線
6 スイッチング素子
7 制御部
7a 検出端子
7b 出力端子
7c 電源端子
8 二次側回路
9 フィードバック回路
10 コンデンサ
11 抵抗(第1抵抗)
20 モニタ回路
21 ツェナーダイオード
22 抵抗(第2抵抗)
23 抵抗(第3抵抗)
24 抵抗(第4抵抗)
25 トランジスタ