特許第6293052号(P6293052)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6293052
(24)【登録日】2018年2月23日
(45)【発行日】2018年3月14日
(54)【発明の名称】自動設定型省エネルギー照明システム
(51)【国際特許分類】
   H05B 37/02 20060101AFI20180305BHJP
   H04Q 9/00 20060101ALI20180305BHJP
【FI】
   H05B37/02 B
   H05B37/02 C
   H05B37/02 D
   H05B37/02 E
   H04Q9/00 341Z
【請求項の数】16
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-527778(P2014-527778)
(86)(22)【出願日】2012年8月27日
(65)【公表番号】特表2014-527702(P2014-527702A)
(43)【公表日】2014年10月16日
(86)【国際出願番号】IB2012054378
(87)【国際公開番号】WO2013030748
(87)【国際公開日】20130307
【審査請求日】2015年7月24日
(31)【優先権主張番号】61/530,486
(32)【優先日】2011年9月2日
(33)【優先権主張国】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】516043960
【氏名又は名称】フィリップス ライティング ホールディング ビー ヴィ
(74)【代理人】
【識別番号】100163821
【弁理士】
【氏名又は名称】柴田 沙希子
(72)【発明者】
【氏名】フィッセンベルフ ミヘル コルネリス ヨセフス マリー
(72)【発明者】
【氏名】ファン ゴルコム ラモン パスカル
【審査官】 松本 泰典
(56)【参考文献】
【文献】 特表2009−517830(JP,A)
【文献】 特開2007−150834(JP,A)
【文献】 特開2007−149344(JP,A)
【文献】 特表2009−538440(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2007/0145826(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0262297(US,A1)
【文献】 特開2004−64356(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04Q 9/00
H05B 37/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも2つの照明器具及び少なくとも1つのコントローラを有する照明システムのための照明器具のネットワークであって、各前記照明器具は、光源及び少なくとも2つの通信ポートを有し、
前記通信ポートは、所定の構成及び向きを持ち、照明器具の前記通信ポートは、前記照明器具のネットワークの平面において異なる角度で少なくとも2つの方向に配置され、
各前記通信ポートは、前記通信ポートの向きにおける前記ネットワークにおける他の照明器具の通信ポートに通信可能に接続されるように構成され、
各前記通信ポートは、前記通信ポートが他の照明器具との通信のために使用されているか否かを識別し、前記通信ポートが他の照明器具との通信のために使用されているか否かについての情報を前記少なくとも1つのコントローラに伝達するように構成され、
前記コントローラは、前記情報に基づいて、前記照明器具を制御し、
各前記通信ポートは、前記通信ポートが使用されていないことを前記コントローラに知らせるためのプラグを受けるように構成された、
照明器具のネットワーク。
【請求項2】
前記通信ポートを通した前記照明器具間の通信は、ピアツーピア通信である、請求項に記載の照明器具のネットワーク。
【請求項3】
前記通信は、異なるポート間で有線により確立されたネットワーク、又は前記通信ポートに含まれた直接の指向性無線送受信器を介して確立されたネットワークを介して確立される、請求項1乃至のいずれか一項に記載の照明器具のネットワーク。
【請求項4】
各前記照明器具はコントローラを有する、請求項1乃至のいずれか一項に記載の照明器具のネットワーク。
【請求項5】
各前記照明器具は更に、
人感センサ、
昼光センサ、
音声センサ、及び
動きセンサ
から成る群に含まれる少なくとも1つのセンサを有し、前記コントローラが、更に、前記少なくとも1つのセンサによって取得された情報に基づいて、前記照明器具を制御する、請求項1乃至のいずれか一項に記載の照明器具のネットワーク。
【請求項6】
前記光源は、発光ダイオード、蛍光管、レーザ、電界放出ディスプレイ装置、及び白熱光源から成る群に含まれる1つである、請求項1乃至のいずれか一項に記載の照明器具のネットワーク。
【請求項7】
前記光源は、ビーム形状を適応させることが可能であるように構成された、請求項1乃至のいずれか一項に記載の照明器具のネットワーク。
【請求項8】
前記ビーム形状を適応させることは、複数の発光ダイオードが異なる方向に光を投射する、発光ダイオードのクラスタにより実現される、請求項に記載の照明器具のネットワーク。
【請求項9】
異なる前記照明器具の通信ポート間の通信は、
当該照明器具の近くにおける人間の存在、検出された昼光レベル、使用されていない通信ポートの識別子、各通信ポートに差し込まれた前記プラグの情報、及び前記ネットワークにおける他の照明器具から受信された情報
から成る群に含まれる少なくとも1つの情報を伝達するように構成された、請求項に記載の照明器具のネットワーク。
【請求項10】
請求項1乃至のいずれか一項に記載の照明器具のネットワークにおける照明器具の使用されていない通信ポートに挿入されるよう構成されたプラグであって、前記プラグは、前記通信ポートが他の照明器具に対する通信のために使用されていないことを前記ネットワークにおけるコントローラに知らせるように構成されたプラグ。
【請求項11】
前記プラグは、前記プラグが差し込まれた前記通信ポートの向きにおける前記照明器具の周囲空間についての情報を有し、前記情報は前記コントローラに伝達されるように構成された、請求項10に記載のプラグ。
【請求項12】
前記周囲空間についての情報は、窓、壁、ドア、不透明なドア、透明なドア、半透明なドア、柱、テーブル、壇、白板又は黒板、投射スクリーン、及びモニタ又はディスプレイから成る群に含まれる1つである、請求項11に記載のプラグ。
【請求項13】
請求項1乃至のいずれか一項に記載の照明器具のネットワークの自動設定の方法であって、前記方法は、
使用されていない通信ポートを識別するステップと、
使用されていない通信ポートについての情報を少なくとも1つのコントローラに通信するステップと、
受信された前記使用されていない通信ポートについての情報に応じて少なくとも1つの照明器具を制御するステップと、
有し、請求項10乃至12のいずれか一項に記載のプラグが、照明器具の少なくとも1つの使用されていない通信ポートに差し込まれ、前記少なくとも1つの照明器具を制御するステップは更に、前記プラグから受信された周囲についての情報に基づく、方法。
【請求項14】
前記少なくとも1つの照明器具を制御するステップは更に、前記センサから受信された情報に基づく、請求項5に従属する請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記少なくとも1つの照明器具を制御するステップは更に、他の照明器具から受信された情報に基づく、請求項13乃至14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記少なくとも1つの照明器具を制御するステップは更に、前記照明器具のビーム形状を制御するステップを有する、請求項13乃至15のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的には照明器具のネットワークのための自動設定システムに関する。更に詳細には、本発明は、自動照明システムのための照明器具のネットワーク、該ネットワークにおける境界照明器具に対する周囲要素を定義するためのプラグ、及びこれらを利用する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
プロフェッショナル用照明を設置する際には、コストが重要な役割を果たす。コストの3つの主要部分は、照明器具、設置及び設定、並びにエネルギーである。これらのコストが低減され得る、幾つかの方法がある。例えば安価な照明器具が用いられても良く、このことは短期的見地ではコストを低減するが、品質が価格により影響を受ける場合、及びシステムにおける照明器具が早い時期に交換される必要がある場合には、高価となり得る。他の可能性は、よりエネルギー効率の良い照明器具を用いることであり、エネルギーコストを低減するための良い着想である。発光ダイオード(LED)及び蛍光管照明は、エネルギー要件を最小化する通常の選択肢である。しかしながら、オフである照明器具は、さらに少ないエネルギーしか使用しない。部屋又は廊下に誰も居ないときには、照明器具はスイッチオフされ得る。人物の存在を検出するために、センサが天井に配置されることも多い。しかしながら、センサの視野が限られるため、このことは通常、最適ではない照明配置又は最適ではない調光に帰着する。例えば、センサが存在を見逃し、誰かが居るときにも照明をスイッチオフしてしまい得る。他の例は、一部が占有されたときにのみ、部屋又は廊下の全体における照明がスイッチオンされることである。また、センサを追加することは、設置及び設定を、より困難としコストの掛かるものとする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
斯くして、設置及び設定コストを抑えつつ、照明器具を停止させるという点で、コストを節約する、照明方法を提供するニーズが存在する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の目的は、先行技術の現状を改善し、上述した問題を解決し、自動設定される照明システムにおけるエネルギーを節約するための、改善された方法及び装置を提供することにある。これらの及びその他の目的は、少なくとも2つの照明器具及び少なくとも1つのコントローラを有する照明システムのための照明器具のネットワークであって、各前記照明器具は、光源及び少なくとも2つの通信ポートを有し、前記通信ポートは、所定の構成及び向きを持ち、各前記通信ポートは、前記ポートの方向及び向きにおける前記ネットワークにおける他の照明器具の通信ポートに通信可能に接続されるように構成され、使用されていない通信ポートの識別子が、前記少なくとも1つのコントローラに伝達される、ネットワークにより達成される。
【0005】
使用されていない通信ポートは、照明器具のネットワークが、通信ポートの方向に延在していないことを示す。このことは、照明器具の側に近い、例えば壁又は窓のような、部屋の境界を示し得る。該ネットワークにおける照明器具は当該情報を、該ネットワークから利用可能なその他の情報に加えて利用して、該照明器具の光出力を定義する。壁に近い全ての照明器具は、例えば部屋における照明システムの全体的な存在検出又は全体的な起動に応じてスイッチオンされ、壁の優れた垂直照明を提供し、暗い空間であると知覚されることを回避する一方で、部屋の中央部における照明器具は、局所的な存在又は局所的な起動検出に応じてのみスイッチオンされても良い。このようにして、多くのエネルギーを節約する照明システムが実現される。
【0006】
照明器具のネットワークのためのネットワークグリッドを容易に設定するため、各照明器具の通信ポートは好適には、該照明器具のネットワークの物理的な平面における異なる角度において少なくとも2つの異なる方向に配置される。一実施例においては、該照明器具は4つの通信ポートを有し、これら通信ポートは互いに対して90度の角度で4つの異なる方向に配置される。このことは、直交グリッドの生成を可能とする。この場合においては、2次元のグリッドにおける照明器具を結合し、通信接続における任意の数の照明器具を接続することが容易となる。各照明器具は、例えば東、西、北及び南の、他の照明器具に対する接続を持っても良い。該照明器具ネットワークが部屋の天井の全体をカバーし、照明器具が等間隔に配置される場合、照明器具の特定の通信ポートにおける通信接続の不在が、障害物又は該ネットワークの境界が当該特定の位置及び当該特定の方向に存在する(例えば当該方向における壁の存在)ことを示すこととなる。グリッドにおける穴が存在する場合には、建築物における柱又はそれに類似する構造的装置である可能性が高い。該システムを制御するコントローラは、障害物が検出された場所に近い領域において照明を変更するよう選択しても良い。他の実施例においては、該照明器具は、互いに対して120度の角度において3つの通信ポートを持ち、三角形又は六角形グリッドを形成しても良い。更に他の実施例においては、該照明器具は180度の角度で、即ち反対の方向に、2つの通信ポートを持ち、照明器具の直線グリッドを形成しても良い。
【0007】
前記通信ポートを通して実現される、本発明による照明器具のネットワークにおける照明器具間の通信は、好適にはピアツーピア(peer-to-peer)通信を含む。このことは、各照明器具がコントローラを有する本発明の実施例において特に有用である。各照明器具は更に、存在検出センサ、昼光センサ、音声センサ及び/又は動きセンサを有しても良い。各照明器具がコントローラを有する場合、該照明システムの制御は、コントローラのうちの1つにより実行されても良いし、又は該ネットワークにおけるコントローラに分散されても良い。照明器具間のピアツーピア通信は、全ての照明器具が潜在的に該ネットワークにおける他の全ての照明器具についての情報を持つという状況を確立し得る。照明器具のそれぞれの位置が既知であるため、ネットワークグリッドのサイズ及び設計が既知であるとすると、各照明器具は、部屋における存在検出についての情報、及び検出位置から該照明器具までの距離についての情報を取得し得る。当該距離が大きい場合、該照明器具のコントローラは、自動的に照明を増光しないでおいても良く、照明器具が壁に近く、検出位置から該照明器具までの距離が小さいときにのみ、更なる考慮なしにコントローラが照明を増光しても良い。このようにして、例えば壁及び近くの柱を照明することにより、適切な「局所的な」照明条件及び適切な「向きの」照明条件を持つ、部屋における人物存在を提供しつつ、エネルギーが節約される。存在センサは、例えば身体の熱を感知する赤外センサ、動きセンサ、音声センサ等といった種々の手法を用いて、存在を検出しても良い。照明器具はまた、昼光のレベルに応じて調光レベルを調整するため、組み込まれた昼光センサを持っても良い。
【0008】
本発明による照明器具に組み込まれた光源は、LED、蛍光管、レーザ、電界放出ディスプレイ(FED)装置又は白熱光源であっても良い。光源のタイプは、設定される照明システムの所望の効果又は所望の照明プロファイルに基づいて選択されても良い。LEDは小型の電機子に組み込むことが容易であり、非常にエネルギー効率が良く、調光及び/又はスイッチオン及びオフが容易であるため、特に重要である。
【0009】
本発明の更なる実施例によれば、該光源は、適応型ビーム形状を有しても良い。ビーム形状を適応させることができることは、発せられる光を異なる方向に向けるレンズ又は反射器を持つLEDのクラスタのサブセットを選択することにより実現され得る。代替としては、該光源は、単一のレンズ又は反射器を持ち、該レンズ又は反射器の光軸に対して異なる位置においてLEDのクラスタを組み込んでも良い。本発明の利点は、適合型ビーム形状制御を持つ光源を用いる場合に更に増大させられる。照明器具が壁の近くに配置され、部屋における人物とは離れている場合には、該照明器具は、適応型ビーム制御機能を用いて、壁のみを照明して、照明がもはや有用ではない場所における不必要な周囲照明をもたらさないようにしても良い。照明器具が窓の近くに配置されている場合には、該照明器具は、窓に向けたビームを使用しないように設定され、当該方向に光を損失することを回避し、迷光により外部環境を乱し汚染することを回避するようにしても良い。
【0010】
各通信ポートが通信することが可能な情報は、照明器具の近くにおける人間存在検出の情報、照明器具の調光レベル、使用されていない通信ポートの識別子、各通信ポートに差し込まれた機器の情報、及びネットワークにおける他の照明器具から受信された情報であっても良い。各照明器具は基本的に、自身が持つ情報及び周囲が持つ情報の全てを共有し、隣接する照明器具から受信された情報を、当該照明器具の識別子及び相対位置と共に転送するように構成される。ネットワークにおいて転送される情報のタイプは、距離に依存しても良い。例えば、人物の存在検出についての情報は、ネットワーク全体を通して転送されて、全体的な照明効果及び効果を受けるべき壁及び柱等へ光を向けることを実現し、その一方で、窓又は壁の位置についての情報は、ネットワークにおける数個以上離れた照明器具には転送されなくても良い。
【0011】
本発明の更なる態様によれば、照明器具のネットワークにおける照明器具の使用されていない通信ポートに挿入されるよう構成されたプラグであって、前記プラグは、前記ネットワークにおけるコントローラに対し、前記通信ポートが他の照明器具に対する通信のために使用されていないことを示すように構成されたプラグが提供される。該プラグからの情報は、該プラグが挿入された通信ポートの方向及び向きにおける周囲についての情報を有しても良く、該情報は前記コントローラに通信されるように構成される。該情報は例えば、コントローラによりアクセス可能な、該プラグの予め設定されたメモリ部分に保存されても良い。該プラグの機能は、例えば通信ポートに隣接するサムホイールスイッチ、通信ポートのなか又は通信ポートの近くにおける短絡ピン等といった、1つ又は幾つかのスイッチのような他の手段によって実現されても良い。該プラグにより提供される情報は更に、窓、壁、ドア(不透明、透明又は半透明といった光学的特性についての情報を含んでも良い)、柱、テーブル、壇、白板又は黒板、投射スクリーン、モニタ又はディスプレイのいずれかの識別子であっても良い。
【0012】
以上に議論されたように、照明器具は、プラグ又はスイッチ等に含まれる情報に基づいて制御されても良い。1つ以上の照明器具の近くに白板若しくは黒板又は投射スクリーンが示唆された場合には、該照明システムは、プレゼンテーションモードで利用されるときには、照明器具が適応型ビーム形状制御を可能とする場合、少なくともプレゼンテーション面の方向において、プレゼンテーション面の近くの照明器具が減光される。
【0013】
本発明は更に、以上の記載による照明器具のネットワークの自動設定を用いる方法であって、前記方法は、使用されていない通信ポートを識別するステップと、使用されていない通信ポートについての情報を少なくとも1つのコントローラに通信するステップと、受信された前記使用されていない通信ポートについての情報に応じて少なくとも1つの照明器具を制御するステップと、を有する方法に関する。使用されていないポートの周囲についての情報を提供するため少なくとも1つの使用されていないポートにプラグが挿入されても良く、前記少なくとも1つの照明器具を制御するステップは更に、該プラグにより提供される情報に基づく。好適な実施例においては、該ネットワークにおける各照明器具は、該方法の一部として制御される。
【0014】
以上に説明された照明器具、ネットワーク又は制御の特徴は、対応する方法ステップとして利用可能であり、1つ以上のセンサからの情報(例えば存在センサから受信された存在の示唆、音声、動きの示唆、又はセンサに何も感知されていないという示唆)を受信及び/又は利用すること、隣接する照明器具から受信された情報を該ネットワークにおける他の照明器具と共有すること、等を含んでも良い。機器の特徴に関して以上に議論された利点は、対応する方法ステップに対しても勿論適用可能である。
【0015】
当業者は、以上に説明されたネットワーク接続、好適にはピアツーピア接続が、有線で実現されても良いし、又は通信ポートに挿入された若しくは照明器具の回路基板に直接に装着された指向性無線送受信器によって実現されても良いことを認識するであろう。
【0016】
本発明の以上の目的及び更なる目的、特徴並びに利点は、添付図面とあわせて参照されたときに、説明するものであて限定するものではない、以下の本発明の好適な実施例の詳細な説明を参照することにより、より完全に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明による照明器具の図である。
図2】本発明の実施例による、幾つかの図1の照明器具がどのようにネットワークに接続されるかの例である。
図3】本発明の実施例による、照明システムを備えた部屋の図である。
図4】本発明の実施例による、照明システムを備えた廊下の図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の詳細な説明が記載される。これら実施例による照明器具は全て、照明器具毎に1つのセンサを持ち、1つ以上の隣接照明器具とのピアツーピア通信を備えられ、該照明器具ネットワークの優れた光分布、省エネルギー及び自動設定を実現している。
【0019】
本発明の実施例による照明器具の機能図が、図1に示されている。該照明器具は、対応する方向12、3、6、9における隣接する照明器具と接続するための、好適には照明器具1の側面に配置された、通信ポート12、3、6、9を有する。このことは、簡便で直観的な自動設定を可能とする。照明器具1は更に、電源口2、適切な光学素子を備えた光源4、センサ5及び制御ユニット7を持つ。通信ポート12、3、6、9は、制御ユニット7から接続される。図1は、北、東、南及び西方向に対応し得る方向に向けられた4つの通信ポートを示している。図1に概略が示された該照明器具は、直角又は直交の照明器具ネットワークを形成するため直観的に利用されることができる。
【0020】
照明器具のネットワークの例が、図2に示されている。該照明システムにおいては、特定の照明器具の調光レベルは、該器具自体のセンサ、例えば存在検出器5により決定されても良いが、隣接する照明器具の存在信号及び/又は調光レベルによって決定されも良い。
【0021】
図3は、壁8、2つの窓10、2つのドア11及び壁のひとつにおけるプレゼンテーション表示領域14を持つ正方形の部屋において、本発明の実施例による照明器具がどのように配置され得るかの例を示す。該レイアウトは、例えば講義室に典型的である。プラグ20、21、24、28は、対応する方向における照明器具ネットワークの中断を示し、例えば壁8、ドア11、窓10又はプロジェクタのための表示領域14又は白板等のような、当該方向における該当する照明器具が面する障害物を表す。
【0022】
図4は、本発明の他の実施例による照明器具が、廊下においてどのように配置され得るかの例を示す。該廊下は、それぞれの端にドア11と、一方の側において廊下の中央にドア11と、廊下の壁の1つの一部に装着された例えばTVディスプレイのようなディスプレイ領域14と、を持つ。プラグ21、24、28は、該プラグが差し込まれた通信ポートの方向において照明器具が面する障害物の種類を示唆し得る。それ故、本発明によるプラグは、該プラグが差し込まれた照明器具の側における周囲空間についての情報を担持し得る。プラグ21、24、28は、障害物がドア11、壁8、TVディスプレイ14等であるか否かを制御ユニットに対して示す。
【0023】
ここで、本発明による照明システムの機能を、幾つかの例を用いて説明する。
【0024】
最も単純な形態においては、使用されている通信ポートは、部屋が当該方向に続いていることを示唆し、使用されていない通信ポートは、対応する方向に部屋の境界があることを示唆する。斯くして、部屋の隅における照明器具は、いずれの設置又は設定の労力なく、壁に近い照明器具から区別されることができる。
【0025】
例えば窓、ドア、壁等のような部屋の境界のタイプについての、より詳細な情報は、プラグ20、21、24、28を、コントローラにより検出されることができる、特定のピンを短絡させる、又は特定のインピーダンス値等を持つ特定のピンを接続する、使用されていない通信ポートに適用することによって提供され得る。即ち、該プラグは、使用されていない通信ポートに差し込まれると、当該特定のプラグに応じた照明器具の側における周囲空間についての所定の情報を提供する。従って、照明システムの設置の際には、特定の照明器具の配置に対応した適切なプラグが挿入されなければならない。他の選択肢は、様々な種類の境界又は障害物を選択及び識別するため、照明器具の各通信ポートに加えて、選択スイッチを追加することであり得る。
【0026】
空間における境界又は障害物についての情報は、照明の品質及び/又は当該空間の照明についての調光方式を改善するために利用され得る。例えば、空間の明るさは、水平方向の輝度によってよりは、垂直方向(壁)の輝度により主に決定される。当該空間において開けた視野を保つためには、壁に近い照明を減光しないことが好適である。このことを局所的な存在検出と組み合わせると、部屋の中央における照明器具が局所的な存在に反応し、即ち人物が存在するときに該人物が存在する場所で照明を増光し、壁8に近い照明器具が大局的な(全体的な)存在に反応し、誰か人物が部屋に存在するときには、該人物の部屋における特定の位置又は照明器具からの距離とは独立して、スイッチオンされるような、とり得る状況に帰着し得る。他方、高い壁の照度は規則により厳密には要求されておらず、壁8に近い照明器具1を低い調光レベルで保ちつつ、知覚的な理由のため壁8を依然として照明することによって、エネルギーの節約が更に増大させられ得る。窓10に近い照明器具1については、窓10の方向における光の殆どが、外へと損失される。この場合には、人物の局所的な存在が検出され、照明器具が増光されるまで、照明器具を低い調光レベルに保つことが好適である。他の調光状況においては、ドア11に近い照明器具1が、例えば非常時の場合に、入口/出口を強調するために利用されても良い。柱等の障害物の近くの照明器具は、該柱が壁8であるかのように処理されても良いし、又は該柱が可能な限り隠されるべき場合には、柱における視野が部屋における人物によって必要とされない場合、該柱の近くにおいては該照明器具は可能な限り減光させられても良い。講義室における投射のためのスクリーン又はTVのような、プレゼンテーション表示領域14に近い照明器具については、プレゼンテーションの品質を最適化するよう照明が適応(例えば減光)させられても良い。
【0027】
本発明は、ビーム制御を備えた照明器具1について、特に有用である。とりわけ、LEDベースの照明器具は、照明器具内のLEDの群を個別に制御することにより、ビーム形状及び/又は方向の容易な制御を可能とする。例えば、照明器具内のLEDの特定のクラスタが、特定の方向における光の特定のビームを生成するために利用されても良く、該照明器具内のLEDの別のクラスタが、別の方向における別のビームを生成するために利用されても良い。斯かるLEDベースの照明器具は、一般的な照明目的のために適切であり、市販されている。これら照明器具は、「ディジタル照明」とも呼ばれる、新たな機能を実現する。照明器具におけるLEDの種々のクラスタは、1つの制御ユニットの代わりに、個別の制御ユニットによって対処されても良い。LEDのクラスタをスイッチオン及びオフすることにより、種々の方向におけるビームがスイッチオン及びオフされることができ、照明器具により引き起こされる全体的な照明効果が調節されることができる。例えば、自動車ヘッドライト用途において、大型のレンズの背後に複数のLEDを配置することにより、その結果のビーム方向が、レンズの背後の種々の位置における種々のLEDをスイッチオンすることにより、必要に応じて変化させられ得る。本用途においては、適応型ビームを備えた照明器具が、エネルギーを節約するために特に有用である。
【0028】
用途の例として、部屋における所与の照明器具1により人物の存在が局所的に検出された場合に、当該照明器具が、検出された人物に向けて真っ直ぐ下向きに照射するビームの部分を増光しても良い。隣接する照明器具は、当該検出信号を用いて、該存在を検出した照明器具の方向、即ち人物の存在の方向における光ビームの部分を増光しても良い。このことは、全体のビームではなく、種々の照明器具からのビームの重要な部分のみが増光されるため、光のより効率の良い利用を可能とする。
【0029】
ビーム制御を備えた照明器具が壁の近くにおいて利用されている場合、該壁の近くの照明器具は、該壁に向けられたビームの部分について、異なる調光方式を用いても良く、例えば、壁8に向けられた光が全体的な存在検出に関連付けられ、一方で他の方向における光が1つ以上の局所的な存在検出器に関連付けられても良い。別の状況においては、窓10に近い照明器具が、窓10に向けられたビーム部分をスイッチオフし、エネルギーを節約して、外界への光の汚染を低減しても良い。
【0030】
上述した適応型ビーム形状を持つクラスタLEDを用いる場合には、LEDクラスタは、例えば赤、緑及び青(RGB)のような種々の色のLEDを含んでも良い。この場合には、照明器具制御ユニット7は、審美的目的のため又は視覚的若しくは空間的な知覚のため、例えば壁8に向けた色付きの光を示しても良い。このことは、空間の3次元レイアウトの適切な知覚を、該空間における人物に与えるため、特に大きな壁又は広い廊下において、魅力的であると考えられ得る。照明システムを設置する際、例えば白、赤、緑、青、黄色又はその他のいずれかの色のような異なる色の表示を持つ、プラグ20、21、24、28を選択して、壁、窓、ドア又はディスプレイ領域の照明のために制御ユニットがどの色を選択すべきかを示しても良い。時間とともに色を変えるように制御ユニットに命令するよう構成されたプラグ20、21、24、28も可能である。
【0031】
該照明システムに更なる調光状況の可能性を与える更なる選択肢は、各照明器具において、又は通信ポート(図示されていない)が床に面した位置を持ち床に向いた方向に向きを持つ特定の照明器具において、第5の通信ポート(図示されていない)を追加することである。この場合には、該照明器具の下の家具又は意図された用途の床領域についての情報が、プラグの挿入を介して追加され得る。講義室における机が照明器具の下にある場合、プレゼンテーションの状況においては、照明ビームの垂直部分を除いて減光することが好適となり得る。このことは、部屋のどこかにあるプレゼンテーションスクリーンに投射された画像が照明されず、それ故机に座っている人物に対して見易く、同時にノートをとるために机自体には十分な照明を提供することに帰着する。部屋のどこかにおいて花又は植物が永続的に置かれている場合には、そのことは例えば壁照明におけるような全体の照明方式に含まれても良く、部屋にいる人物が該植物を見られるようにしても良い。加えて、照明スキームは、時間スケジュールと組み合わせられても良く又は時間スケジュールを考慮に入れても良く、植物が成長するために十分な光を受けることを可能としても良い。同様のことは、彫像又はプレゼンテーションオブジェクト等についても好適となり得る。
【0032】
本発明において他の変形も考えられ、幾つかの例においては、本発明の幾つかの特徴が、他の特徴の対応する使用なく利用され得ることは、理解されたい。従って、添付される請求項は、本発明の範囲に合致する態様で広く解釈されることは、理解されたい。
図1
図2
図3
図4