特許第6293140号(P6293140)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6293140
(24)【登録日】2018年2月23日
(45)【発行日】2018年3月14日
(54)【発明の名称】電動車両用充電装置の遠隔式表示器
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/02 20160101AFI20180305BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20180305BHJP
   B60L 3/00 20060101ALI20180305BHJP
   B60L 11/18 20060101ALI20180305BHJP
【FI】
   H02J7/02 V
   H02J7/00 P
   B60L3/00 S
   B60L11/18 C
【請求項の数】12
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2015-523077(P2015-523077)
(86)(22)【出願日】2013年5月9日
(65)【公表番号】特表2015-530063(P2015-530063A)
(43)【公表日】2015年10月8日
(86)【国際出願番号】US2013040277
(87)【国際公開番号】WO2014014553
(87)【国際公開日】20140123
【審査請求日】2016年4月13日
(31)【優先権主張番号】13/549,899
(32)【優先日】2012年7月16日
(33)【優先権主張国】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】390033020
【氏名又は名称】イートン コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】EATON CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100068618
【弁理士】
【氏名又は名称】萼 経夫
(74)【代理人】
【識別番号】100131266
【弁理士】
【氏名又は名称】▲高▼ 昌宏
(72)【発明者】
【氏名】ニッツバーグ,ジェイソン−デイヴィッド
(72)【発明者】
【氏名】ロジャース,ブランドン ジェイ.
【審査官】 赤穂 嘉紀
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−010420(JP,A)
【文献】 特開2013−090422(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0320056(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 7/00−7/12
H02J 7/34−7/36
B60L 1/00−3/12
B60L 7/00−13/00
B60L 15/00−15/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電動車両用充電装置(500、601、700)のための遠隔式表示器(200、300、400)であって、
ハウジング(210、310、410)と、
1つ以上の電力用導電線(514、516)、1つ以上の接地用導電線(518)、及び、1つ以上の制御用導電線(520、606)から成る、前記電動車両用充電装置への接続部(212、318、412)と、
前記電動車両用充電装置のための遠隔式表示器の機能を提供するように構成された、前記ハウジング上の複数の表示部(202、204、206、302、304、306、402、404、406、504、506、508)と、
前記ハウジング内に配置され、前記表示部を作動させるように構成された回路(502、703)と、を含み、
該回路は、前記接続部の1つ以上の電力用導電線、1つ以上の接地用導電線、及び、1つ以上の制御用導電線のみからの情報に基づいて、前記表示部を作動させるものであり、
前記1つ以上の制御用導電線は、前記表示部を作動させる他にも、制御機能を有し、
前記回路は、前記電動車両用充電装置をリセットするように構成されたリセット入力部(510、604)を含み、
前記1つ以上の制御用導電線は、前記電動車両用充電装置(500)からパルス幅変調信号(523)が入力されるパイロット導電線(520)を含み、
前記1つ以上の接地用導電線は、接地用導電線(518)を含み、
前記回路は、前記パルス幅変調信号及び前記接地用導電線のための分離回路(522)と、パルス幅変調検出回路(524)と、直流電圧検出回路(526)と、交流電圧検出回路(528)と、論理回路(530)と、を含み、
前記複数の表示部は、異常表示部(504)と、電力利用可能表示部(506)と、充電表示部(508)とであり、
前記論理回路は、前記パルス幅変調検出回路と、前記直流電圧検出回路と、前記交流電圧検出回路とから入力を受け、前記異常表示部と、前記電力利用可能表示部と、前記充電表示部とに対して出力し、
前記リセット入力部は、前記異常表示部が作動すると前記リセット入力部の操作のみが可能となるように、前記論理回路へ接続されていることを特徴とする遠隔式表示器。
【請求項2】
前記回路(703)は、前記接続部の前記電力用導電線から独立した電圧を有する電源(704)を含むことを特徴とする請求項1記載の遠隔式表示器(200、300、400)。
【請求項3】
前記電源が、前記回路へ作用するように接続されたバッテリ(706)、或いは、前記接続部の前記電力用導電線とは別の複数の電力用導電線(708)であることを特徴とする請求項記載の遠隔式表示器(200、300、400)。
【請求項4】
前記ハウジング(210)が、電動車両用コネクタ(214)を形成し、前記接続部(212)が、離れた位置から前記電動車両用充電装置へ電気的に接続されることを特徴とする請求項1記載の遠隔式表示器(200)。
【請求項5】
前記ハウジング(310)が、電動車両用ケーブル(314)のためのケーブルフック(312)を形成している、或いは、前記電動車両用充電装置からの前記接続部のための第1のコネクタ(412)と、ケーブル(314)のための第2のコネクタ(414)と、電動車両へのコネクタ(316)とを形成していることを特徴とする請求項1記載の遠隔式表示器(300)。
【請求項6】
前記ハウジング(310)が、前記電動車両用充電装置からの前記接続部のためのコネクタ(318)を含む、或いは、前記ハウジング(410)が、電動車両用のコンセントを形成していることを特徴とする請求項1記載の遠隔式表示器(300)。
【請求項7】
前記1つ以上の電力用導電線が、少なくとも2つの電力用導電線(514、516)であり、
前記交流電圧検出回路が、前記少なくとも2つの電力用導電線上の交流電圧を検出するように構成されていることを特徴とする請求項記載の遠隔式表示器(200、300、400)。
【請求項8】
前記パルス幅変調検出回路と前記直流電圧検出回路との双方が、前記分離回路と前記論理回路との間に接続されていることを特徴とする請求項記載の遠隔式表示器(200、300、400)。
【請求項9】
前記論理回路は、
前記交流電圧検出回路が、前記2つの電力用導電線上にゼロではない配線電圧を検出した場合に、前記充電表示部を作動させ、
前記直流電圧検出回路が、前記パイロット導電線上に+6Vdc又は+3Vdcの電圧値を検出し、かつ、前記パルス幅変調検出回路が、0%と異なる又は100%と異なるパルス幅変調を検出した場合に、前記充電表示部を作動させ、
(1)前記直流電圧検出回路が、前記パイロット導電線上に+12Vdcを検出し、かつ、前記パルス幅変調検出回路が、0%又は100%のパルス幅変調を検出した場合に、或いは、(2)前記直流電圧検出回路が、前記パイロット導電線上に+9Vdcを検出し、かつ、前記パルス幅変調検出回路が、0%と異なる又は100%と異なるパルス幅変調を検出した場合に、前記電力利用可能表示部を作動させ、
前記直流電圧検出回路が、前記パイロット導電線上に+9Vdc、+6Vdc、又は+3Vdcを検出し、かつ、前記パルス幅変調検出回路が、0%又は100%のパルス幅変調を検出した場合に、前記異常表示部を作動させ、
前記直流電圧検出回路が、前記パイロット導電線上に−12Vdcを検出した場合に、前記異常表示部を点滅させ、或いは、
常に、前記異常表示部と前記電力利用可能表示部と前記充電表示部との、何れか1つのみを作動させるように、構成されていることを特徴とする請求項記載の遠隔式表示器(200、300、400)。
【請求項10】
更に、前記論理回路は、前記異常表示部が1番目、前記充電表示部が2番目、前記電力利用可能表示部が3番目という、前記異常表示部と前記電力利用可能表示部と前記充電表示部との、作動の優先度を付与するように構成され、或いは、前記論理回路は、前記異常表示部と前記電力利用可能表示部と前記充電表示部とのうちの任意のものを、独立して作動させるように構成されていることを特徴とする請求項記載の遠隔式表示器(200、300、400)。
【請求項11】
前記1つ以上の制御用導電線は、前記電動車両用充電装置からパルス幅変調信号(523)が入力されるパイロット導電線(520)を含み、
前記リセット入力部(510)が、前記パイロット導電線を開放して前記電動車両用充電装置へ戻す、常時閉のモーメンタリ式スイッチ(510)であることを特徴とする請求項記載の遠隔式表示器(200、300、400)。
【請求項12】
前記1つ以上の制御用導電線は、電動車両から前記電動車両用充電装置(601)へ延びる近接導電線(606)を含み、
前記リセット入力部(604)は、前記近接導電線を開放する常時閉のモーメンタリ式スイッチであり、
前記近接導電線が、前記電動車両用充電装置によって監視されていることを特徴とする請求項記載の遠隔式表示器(200、300、400)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、参照によって本明細書に組み込まれる、2012年7月16日出願の米国特許出願番号第13/549,899号の利益を主張するものである。
【0002】
本発明は、概して電動車両用充電装置に関するものであり、より詳しくは、電動車両用充電装置のための告知回路に関するものである。
【背景技術】
【0003】
電動車両(EV)の充電スタンドは、EV充電スタンド、給電所、充電所、及びEVSE(電動車両用充電装置)とも呼ばれ、社会基盤の構成要素であり、電動車両、プラグインハイブリッド・電気ガソリン車両、或いは、展示台といった半固定的で移動可能な電気装置の、充電のために電力を供給するものである。
【0004】
EV充電スタンドは、安全に電気を流すことができる設備である。これらの充電スタンド、及び、それらを作るために確立されたプロトコル(protocols)は、EVSEとして知られており、充電スタンドと電動車両との間の双方向通信を可能にすることで、安全性を高めている。
【0005】
1996年の米国電気規定(NEC)及びカリフォルニア州の第625条では、EVSEを、非接地と接地と設備接地との導電線を含む導電線、電動車両用コネクタ、取付プラグ、及び、特に建物の配線から電動車両へ電力を伝達する目的で設置された、その他全ての付属品、機器、電源口、又は装置として定義している。
【0006】
EVSEは、米国自動車技術者協会(SAE)のJ1772実施法(practice)と、米国防火協会(NFPA)の米国電気規定(NEC)の第625条とによって定められている。NECがいくつかの安全性の要求を定めているのに対し、J1772は、導電性の接続の物理的な型式、5つの端子の機能(すなわち、2つの電力用端子(通電1及び通電2又は中間位、或いは配線1及び配線2)、1つの接地用端子、1つの制御用端子、及び1つの近接用端子)、パイロット端子を通したEVSE〜EV間の接続、及び、両部位(EVSE及びEV)がどのように機能することが必要か、を規定している。
【0007】
双方向通信は、EVへ流れる電流が、EV充電スタンド自体の限度より小さいことと、EVが受け入れ可能などんな限度より小さいこととの、双方の保証を求めるものである。EVコネクタやEVプラグがEVへ物理的に接続され、EVが電力を受け入れる準備ができている間に、EV充電スタンドから電流が流れることを防ぐ、セーフティロックアウトといった、安全性をより高める機能が存在する。
【0008】
南アメリカのJ1772及びIEC61851規格は、EVSE内に、とても単純だが効果的なパイロット回路及び接続を用いている。交流(AC)を用いて車両に充電するためには、基本的に、接地用端子3と比較して12Vdcの開回路である、図1のパイロット端子4上に信号を発生させる。EVSEケーブル及びコネクタ10が、規格準拠の車両12のEV給電口11へ差し込まれたとき、車両の回路は、12Vdcを9Vdcへ降下させるための、接地18へ繋がる抵抗14とダイオード16とを直列に有する。EVSE20がこの電圧降下を確認した後に、EVSE20は、充電回路上で最大に利用可能な回線電流(ALC)を定める、パルス幅変調(PWM)発生器22を作動させる。車両の充電制御部24は、一定の電流量への換算値となる、PWM信号のデューティサイクルの比率を読み取り、上流側の回路安全装置(図示省略)が作動しないように、車載用の整流/充電部26へ流す最大電流を設定する。車両12は、次に、直列に組み合わせた車両の抵抗及びダイオード14、16の、抵抗14と並列に別の抵抗28を追加し、その後、PWMパイロット信号の最大値が6Vdcへ降下する。これにより、車両12の充電準備が完了したことを、EVSE20へ伝達する。これに応じて、EVSE20は、内蔵のリレー/接触器30を閉じて、AC電力が車両12へ流れることを許可する。
【0009】
EV充電スタンドは、概略的に、車両を充電する目的で接続されるEVケーブル/コネクタと共に、電力及び状態の表示部を備える、完全に分離された専用のボックスで構成されている。
【0010】
しかしながら、例えば電動車両を充電するための、電動車両用コネクタを含むEVSEには、改善の余地がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0011】
このような要求等は、EVSEのユーザインタフェースがEVSEから離れて(例えば、これらに限定するものではないが、EVコネクタ上又はEVコネクタの周囲に)設置され、EVSEの電子装置を隠すことができる(例えば、これに限定するものではないが、ロードセンタ内へ)、又は、EVSEの電子装置がEVSEへ局所式のユーザインタフェースを必要としない、本発明の実施形態によって満たされる。
【0012】
本発明に従えば、電動車両用充電装置のための遠隔式表示器は、ハウジングと、いくつかの電力用導電線、いくつかの接地用導電線、及びいくつかの制御用導電線から成る、電動車両用充電装置への接続部と、電動車両用充電装置のための遠隔式表示器の機能を提供するように構成された、ハウジング上の複数の表示部と、表示部を作動させるように構成された回路とを含んでおり、この回路は、接続部のいくつかの電力用導電線、いくつかの接地用導電線、及びいくつかの制御用導電線のみからの情報に基づいて表示部を作動させ、いくつかの制御用導電線は、表示部を作動させる他にも、制御機能を有している。
【0013】
上記の回路は、電動車両用充電装置をリセットするように構成された、リセット入力部を含んでいてもよい。
上記のハウジングが、電動車両用コネクタを形成していてもよく、又、上記の接続部が、離れた位置から電動車両用充電装置へ電気的に接続されてもよい。
【0014】
上記のハウジングが、電動車両用ケーブルのためのケーブルフックを形成していてもよい。
上記のハウジングが、電動車両用コンセントを形成していてもよい。
上記の回路が、接続部の電力用導電線から独立した電圧を有する電源を含んでいてもよい。
【0015】
以下の好ましい実施形態についての説明を、添付の図面と組み合わせて読むことで、本発明を完全に理解することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】J1772で規定されたパイロット端子を有する、電動車両用充電装置(EVSE)から電動車両(EV)への従来のシステムを、概略的に示すブロック図である。
図2】本発明の実施の形態に係る、複数の表示部とリセットボタンとを含む、EVコード及びEVコネクタの投影図である。
図3】本発明の別の実施の形態に係る、複数の表示部とリセットボタンとを含む、EVコード用のEVコード吊部の正面図である。
図4】EVSEケーブル用の接続部と、EVケーブル用の接続部とを備えた、EVケーブルのためのEVコンセントの正面図である。
図5図2図4のEV機器用の、弁別回路及びリセット回路のブロック図である。
図6図2図4のEV機器用の、別のリセット回路のブロック図である。
図7図2図4のEV機器用の、別の弁別回路及びリセット回路のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本明細書で使用される用語「数(number)」は、1又は1よりも大きい整数(すなわち複数)を意味するものとする。
【0018】
又、本明細書で使用される用語「プロセッサ(processor)」は、データを格納、検索、処理することができる、プログラム可能なアナログ及び/又はデジタルの装置を意味するものとし、これらの装置には、コンピュータ、ワークステーション、パーソナルコンピュータ、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、マイクロコンピュータ、中央処理装置、メインフレームコンピュータ、ミニコンピュータ、サーバ、ネットワークプロセッサ、或いは、適合するあらゆる処理機器や処理装置が含まれる。
【0019】
又、本明細書において、2つ以上の部材が互いに「接続された(connected)」又は「結合された(coupled)」状態とは、部材が直接的に結合される、或いは、1つ以上の中間部材を介して結合されることを意味するものとする。更に、本明細書において、2つ以上の部材が「取り付けられた(attached)」状態とは、部材が直接的に結合されることを意味するものとする。
【0020】
電動車両(EV)向けの充電装置(EVSE)(例えば、図6の符号601参照)に関して、EVの充電状態を使用者へ効果的に伝達するためには、EVSE自体が局所式の表示器(annunciator)を備えていない場合や、局所式の表示器が見えないように隠れている場合に、遠隔式の表示器が必要となる。例えば、EVSEがブレーカパネル、パネルボード、ロードセンタの内部に設置されている場合は、局所式の表示器が金属扉の背後に隠れている。本発明は、EVの充電の進行状態を使用者が確認でき、又、選択的に、使用者がEVSEの異常をリセットするための入力操作が可能な、遠隔式表示器を提供するものである。
【0021】
例示のためであり限定するものではないが、遠隔式表示器には、(1)図2に示しているようなEVコネクタ200、(2)図3に示しているようなコード吊部300、(3)図4に示しているような、EVケーブル(図示省略)のためのEVコンセント(receptacle)400を組み込むことができる。
【0022】
図2図4の遠隔式表示器の実施例は、符号500(図5に一点鎖線で示されている)、符号601(図6に一点鎖線で示されている)、或いは、符号700(図7に一点鎖線で示されている)で示すような、任意の適切なEV充電装置(EVSE)の一部として、又は該EV充電装置と共に、利用可能なものである。
【0023】
本発明は、J1772規格準拠のコネクタ(図1のEVSEコネクタ10等)に備えられた既存の電力・制御ケーブル(すなわち、図1の端子1〜5のいくつか又は全てに対応する導電線)を利用するものであり、又、複数の表示部(図5の表示部504、506、508等)のいくつかが作動されたときに判定を行い、選択的に、EVSEのプログラムを変更させることなく本来の状態にさせるようなリセット(図5のリセットボタン510から等)をかける、弁別回路(図5の回路502等)を追加するものである。換言すれば、開示のEVコネクタ(図5の符号512、図6の符号602、図7の符号702等)は、J1772規格準拠の任意のEVコネクタと、置き換えることが可能である。EVSEとそれに対応する状態表示器との間に専用ケーブルの追加を必要とする、従来既知の提案と対照的に、本発明は、J1772規格準拠のコネクタの既存の電力(すなわち、図1の端子1〜3のいくつか又は全てに対応する導電線)及び制御(すなわち、図1の端子4、5の一方又は双方に対応する導電線)ケーブルを再利用し、開示の弁別回路502を用いてコストを低減するものである。
【実施例1】
【0024】
図2は、EVコネクタ200の実施例の、異常表示部202、電力利用可能表示部204、充電表示部206、及び、リセット/優先ボタン208の例を示している。この実施形態において、EVコネクタ200は、電動車両の充電装置(ここには図示していないが、図1のEVSE20参照)のための遠隔式表示器である。EVコネクタ200は、ハウジング210と、いくつかの電力用導電線(例えば、図5の符号514及び516)、いくつかの接地用導電線(例えば、図5の符号518)、及び、いくつかの制御用導電線(例えば、図5の符号520)から成る、EVSEへの接続部212とを含んでいる。後述するように、ハウジング210上の表示部202、204、206は、EVSEのための遠隔式表示器の機能を提供するように構成されている。これらの表示部202、204、206(図5では符号504、506、508で示す)を作動させるように、回路(例えば、図5の弁別回路502)が構成されている。更に後述するように、回路502は、いくつかの電力用導電線(例えば、図5の符号514及び516)、いくつかの接地用導電線(例えば、図5の符号518)、及び、いくつかの制御用導電線(例えば、図5の符号520)のみからの情報に基づいて、表示部504、506、508を作動させるものであり、又、表示部504、506、508を作動させる以外に、J1772準拠の制御機能を有している。
【0025】
本実施例では、図2のハウジング210が、電動車両用コネクタ214を形成し、接続部212が、遠くから電動車両の充電装置(ここには図示していないが、図1のEVSE20参照)へ電気的に接続されている。電動車両用コネクタ214は、J1772準拠のコネクタである。
【実施例2】
【0026】
図3は、例えば、コード吊部300といったケーブルフックの、異常表示部302、電力利用可能表示部304、充電表示部306、及び、選択的なリセット/優先ボタン308の例を示しており、コード吊部300は、ハウジング310へ組み込まれた遠隔式表示器を形成している。ハウジング310は、電動車両(ここには図示していないが、図1の車両12参照)向けのJ1772準拠のコネクタ316(一点鎖線で図示している)を有する電動車両用ケーブル314(一点鎖線で図示している)のための、ケーブル鉤部312を備えている。更に、ハウジング310は、電動車両の充電装置(ここには図示していないが、図1のEVSE20参照)に対する接続部を成すコネクタ318を含んでいる。
【実施例3】
【0027】
図4は、ハウジング410へ組み込まれた遠隔式表示器を形成しているEVコンセント400の、異常表示部402、電力利用可能表示部404、充電表示部406、及び、選択的なリセット/優先ボタン408の例を示している。ハウジング410は、EVコンセント400の形を形成しており、又、電動車両の充電装置(ここには図示していないが、図1のEVSE20参照)からの接続部を成す第1のコネクタ412と、電動車両(ここには図示していないが、図1の車両12参照)へのケーブル及びコネクタ(ここには図示していないが、図3のケーブル314及びコネクタ316参照)のための、第2のコネクタ414とを含んでいる。第2のコネクタ414は、回転軸418に軸着された天候カバー416によって覆われている。カバー416は、第2のコネクタ414を覆わないように上方(図示省略)へ回動可能である。この種のコネクタは、一般的に、IEC61851及び62196で規定されるようなIECの分野で見つけられるが、J1772規格と電気的に互換性がある。
【実施例4】
【0028】
図5を参照すると、EVSE500によりパイロット配線520上に生成される繊細なパルス幅変調信号523及び接地配線518を、読み取り(reading)の影響から保護する分離回路522と、パルス幅変調(PWM)検出回路524と、DC電圧検出回路526と、AC電圧検出回路528と、論理回路530とを含む、弁別回路502の一例が示されている。論理回路530は、プロセッサや、任意の他の適切な論理回路又は処理回路であってもよい。
【0029】
本実施例において、パイロット配線520は、EVSE500からのパルス幅変調信号523が入力される制御用導電線であり、接地配線518は、接地用導電線である。AC電圧検出回路528は、電力用導電線514、516である配線1と配線2との間の、AC電圧を検出するものである。これに代えて、AC電圧検出回路528は、2つ以上の電力用導電線(例えば、これに限定するものではないが、三相電力用導電線)間のAC電圧を検出してもよい。PWM検出回路524とDC電圧検出回路526とは、双方とも、分離回路522と論理回路530との間に接続されている。論理回路530は、PWM検出回路524、DC電圧検出回路526、及び、AC電圧検出回路528から入力を受け、異常表示部504、電力利用可能表示部506、及び、充電表示部508に対して出力する。DC電圧検出回路526は、パイロット配線520上のPWM信号523のデューティサイクルがゼロではない又は100%ではなくても、正の最大電圧のピークを検出する。
【0030】
論理回路530は、AC電圧検出回路528が、ゼロではない標準的な配線電圧(例えば、これらに限定するものではないが、120Vac、208Vac、230Vac、240Vac)を検出した場合に、充電表示部508へ「オン」を出力する。EVSE500が、連結された(interlocked)電力配線514、516を用いており、それらに配線1及び配線2が常に電圧を保持しているため、EVSE500の接続及び遮断素子(ここには図示していないが、図1の接触器30参照)が閉じられ、車両の充電が行われる。
【0031】
或いは、論理回路530は、DC電圧検出回路526が、約+6Vdcのピーク値や約+3Vdcのピーク値をパイロット配線520上に検出し、かつ、PWM検出回路524が、100%ではない(又は0%ではない)パルス幅を検出した場合に、充電表示部508へ「オン」を出力する。SAEのJ1772規格及びIECの61851規格によっても、パイロット配線520がそれら2つの状態の一方の状態である場合に、充電中と定められる。
【0032】
又、論理回路530は、(1)DC電圧検出回路526が、パイロット配線520上で約+12Vdcを検出し、かつ、PWM検出回路524が、100%の(又は0%の又はPWMではない)(例えば、EVコネクタ512が車両に差し込まれていない、車両が検出されない)デューティサイクルを検出した場合、或いは、(2)DC電圧検出回路526が、パイロット配線520上で約+9Vdcを検出し、かつ、PWM検出回路524が、100%ではない(又は0%ではない)(例えば、車両と接続されているが充電の準備ができていない)デューティサイクルを検出した場合に、電力利用可能表示部506へ「オン」を出力する。SAEのJ1772規格及びIECの61851規格によれば、パイロット配線520がそれら2つの状態の一方の状態である場合に、電力利用可能と定められる。
【0033】
又、論理回路530は、DC電圧検出回路526が、約+9Vdc、約+6Vdc、又は約3Vdcを、パイロット配線520上に検出し、かつ、PWM検出回路524が、100%の(又は0%の又はPWMではない)デューティサイクルを検出した場合に、異常表示部504へ「オン」を出力する。SAEのJ1772規格及びIECの61851規格によれば、パイロット配線520がそれら2つの状態の一方の状態である場合に、軽微な異常(例えば、これに限定するものではないが、地絡)と定められる。
【0034】
或いは、論理回路530は、DC電圧検出回路526が、パイロット配線520上で約−12Vdcを検出した場合に、異常表示部504へ「オン」及び「オフ」を繰り返し出力する(すなわち、点滅させる)。SAEのJ1772規格及びIECの61851規格によれば、パイロット配線520がこの状態であるときに、継続的な異常(例えば、これに限定するものではないが、接触器の故障)と定められる。
【0035】
論理回路530は、どの時点においても、異常表示部504、電力利用可能表示部506、充電表示部508のうちの1つのみを作動させるように構成され、更に、異常表示部504は1番目、充電表示部508は2番目、電力利用可能表示部506は3番目という、異常表示部504、電力利用可能表示部506、充電表示部508の作動の優先度を付与するように構成されていることが好ましい。このように、どの時点においても、実施例の3つの表示部504、506、508のうちの1つのみを「オン」にすると共に、表示の優先度が、(1)異常表示部504、(2)充電表示部508、(3)電力利用可能表示部506という順番になっている。例えば、異常表示部504と充電表示部508との双方を、同時に作動させようとした場合は、優先度の高い異常表示部504のみが作動されることとなる。
【0036】
或いは、任意の適切な表示部が作動するように、異常表示部504、充電表示部508、及び、電力利用可能表示部506を、互いに独立して作動させてもよい。
【0037】
後述するように、リセットボタン510は、EVSE500をリセットするように発生される、手動リセット入力を付与するものである。リセットボタン510は、異常表示部504が「オン」状態であることに気付いた使用者に対して、異常を手動でリセットする直接的な方法となる手段を提供する。EVSEがこのような特徴を備えている場合の選択肢は、EVSE500の自動的なリセットを単に待つことである。図5に示されているように、実施例のリセットボタン510は、パイロット配線520を開放してEVSE500へ戻す(back to)、常時閉のモーメンタリ式スイッチである。通常、電動車両(ここには図示していないが、図1の車両12参照)又はEVSE500が、パイロット信号523が開放状態であることを検出した場合は、EVコネクタ512が差し込まれていないことを示している。リセットボタン510が常時閉であるため、モーメンタリ式ボタンが押されてパイロット配線520が開放された後は、電動車両及びEVSE500が再度接続される如く、パイロット信号523が閉状態へ戻る。従って、電動車両やEVSE500には、選択的な別のプログラムが必要ではなく、逆に(backwards)、リセットボタン510は、既知の全てのEVSE及びEVと互換性がある。
【0038】
或いは、リセットボタン510は、異常表示部504が作動するとリセットボタン510の操作のみが可能となるように、論理回路530へ接続されていてもよい。
【実施例5】
【0039】
選択的に、図6に別のリセットボタン604を示している。ここでは、図5の近接回路(proximity circuit)534を、異なる方法で用いている。図5のEVSE500のような大抵のEVSEでは、近接配線532は、EVコネクタ512に内蔵(或いは、図2のハウジング210へ内蔵、図3のハウジング310へ内蔵、又は図4のハウジング410へ内蔵)されており、EVコネクタ512を差し込むことができるように、EV(ここには図示していないが、図1の車両12参照)へ抵抗を提供するものである。しかしながら、EVSE601のようないくつかのEVSEにとって、近接配線606は、EVSE601によって監視するものでもあるため、EVSE601へ戻る5番目の配線が存在する。図6に示しているように、リセットボタン604は、近接配線606の信号を遮断し、これによって、適切に構成されたEVSE601に対して、リセットされるべき旨を通知する。これは、周知の動作ではなく、そうでなくとも、通常は故障とみなされると考えられている。結果として、所望のリセット動作を引き起こす適切なプログラムがEVSE601へ追加される。ここで、常時閉のスイッチを任意的な近接配線606へ追加することにより、リセットボタン604は、EVSE601に対してフィードバックを提供する。その他の点で、図6は、J1772のEVコネクタ602に存在する、従来型の近接回路534を示しており、その従来型のスイッチS3は、車両にEVコネクタ602が取り付けられたときに開かれ、保持状態を解放するものである。
【実施例6】
【0040】
ある実施形態において、3つの表示部202、204、206(図2参照)は、EVコネクタ200の持手216を掴んでいる使用者に向かって、適切な語句が下部に配置された、3つの個別のLED表示部である。ノズルの端部に最も近い(例えば、図2の電動車両用コネクタ214に最も近い)表示部は、異常表示部202へ対応するように、一例として、語句「故障(Trouble)」を備えて赤に配色され、又、持手216へ向かって次の表示部は、電力利用可能表示部204へ対応するように、一例として、語句「準備完了(Ready)」を備えて黄色に配色され、そして、EVコネクタ200の持手216に最も近い表示部は、充電表示部206へ対応するように、語句「充電(Charging)」を備えて緑に配色される。更に、リセットボタン208は、充電表示部206の下部ではあるが従来型のEVコネクタ解放留め部218の上部に配置されて、ピンクに配色され、語句「リセット」が適切な凸字でボタン208内に型取られる。
【0041】
選択的に、実施例の表示部202、204、206は、EVコネクタの外側を周る1つのLEDバンドの形態であってもよく、或いは、EVの充電の進行状態を伝達するように、例示のためであり限定するものではないが、ロゴ、アイコン、テキスト、又は他の適切な表象の形態で適切な形状を有する、適切なバックライト付きの部材であってもよい。
【実施例7】
【0042】
図7に示すように、図5の弁別回路502と類似している弁別回路703は、EVコネクタ702に存在する電圧とは別に、独立した電源704を有している。この電源704は、例えば、図示のように回路703へ作用するように接続されたバッテリ706であってもよく、或いは、EVSE700から提供される別れた電力用導電線708(一点鎖線で図示している)から、電力供給されるものであってもよい。このように、電源704の電圧は、EVコネクタ702の電力用導電線514、516から独立している。
【0043】
本発明の概念の具体的な実施形態について詳細に説明してきたが、当業者は、本明細書の全ての教示に照らして、それらの細部に対して様々な変更や代替が展開できることを認識するであろう。従って、開示した個々の形態は、単に説明のためのものであり、添付のクレームの全範囲と、それらの任意及び全ての同等のものとが与えられる、本発明の概念の範囲を限定するものではない。
【符号の説明】
【0044】
200:EVコネクタ(遠隔式表示器)、202:異常表示部、204:電力利用可能表示部、206:充電表示部、208:リセット/優先ボタン、210:ハウジング、212:接続部、214:電動車両用コネクタ、300:コード吊部(遠隔式表示器)、302:異常表示部、304:電力利用可能表示部、306:充電表示部、308:リセット/優先ボタン、310:ハウジング、312:ケーブル鉤部、314:電動車両用ケーブル、316:コネクタ、318:コネクタ、400:EVコンセント(遠隔式表示器)、402:異常表示部、404:電力利用可能表示部、406:充電表示部、408:リセット/優先ボタン、410:ハウジング、412:第1のコネクタ、414:第2のコネクタ、500:EV充電装置、502:弁別回路、504:異常表示部、506:電力利用可能表示部、508:充電表示部、510:リセットボタン、514、516:電力用導電線、518:接地配線、520:パイロット配線、522:分離回路、523:パルス幅変調信号、524:パルス幅変調検出回路、526:DC電圧検出回路、528:AC電圧検出回路、530:論理回路、601:EVSE、604:リセットボタン、606:近接配線、700:EVSE、703:弁別回路、704:電源、706:バッテリ、708:電力用導電線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7