(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【0004】
[0004]いくつかの実施形態では、治療用超音波振動移送システムは、遠位端および近位端を有する細長い超音波伝達デバイスと、伝達デバイスの近位端に結合され、伝達デバイスの遠位端が少なくとも18kHzの周波数で振動するように伝達デバイスを駆動するように構成された超音波ドライバと、を備える。いくつかの態様では、伝達デバイスは、カテーテル本体の内腔内に配置された超音波伝達部材を備える。超音波ドライバは、超音波トランスデューサに結合された信号発生器を備えていてもよい。超音波ドライバは、超音波振動のパルスを移送するように構成されてもよい。超音波ドライバは、伝達デバイスの共振周波数で伝達デバイスを駆動するように構成されてもよい。
【0005】
[0005]いくつかの実施形態では、血管の管腔を再開通させる方法は、遠位端を有する超音波デバイスを閉塞血管の管腔内の第1の位置に位置決めする工程と、超音波デバイスを通じて少なくとも18kHzの超音波振動を伝達する工程と、閉塞血管を通じて遠位端を前進させて血管を再開通させる工程と、を備える。位置決め工程は、曲がりくねった経路を通ってデバイスを蛇行させる工程を備えていてもよい。いくつかの態様では、伝達される振動は約40kHzである。
【0006】
[0006]いくつかの実施形態では、治療用超音波振動移送システムは、遠位端および近位端を有する細長い超音波伝達デバイスと、伝達デバイスの近位端に結合され、伝達デバイスをパルスモードで駆動するように構成された超音波ドライバと、を備える。パルスモードでは、デバイスを約50%のデューティサイクルで駆動してもよく、このデューティサイクルは、特定の基質を除去するために最適化されてもよい。
【0007】
[0007]いくつかの実施形態では、血管の管腔を再開通させる方法は、遠位端を有する超音波デバイスを血管の管腔内の第1の位置に位置決めする工程と、超音波デバイスを通じてパルス超音波振動を遠位端に伝達する工程と、血管を通って遠位端を前進させてその血管を再開通させる工程と、を備える。パルス超音波振動により、超音波デバイスの遠位端の変位を増大させることができる。
【0008】
[0008]いくつかの実施形態では、治療用超音波振動移送システムは、遠位端および近位端を有する細長い超音波伝達デバイスと、伝達デバイスの近位端に結合され、伝達デバイスを超音波周波数の所定範囲で駆動するように構成された超音波ドライバと、を備える。超音波ドライバは、所定範囲の超音波周波数で連続的に掃引することによって伝達デバイスを駆動するように構成されてもよい。この超音波周波数の所定範囲は、約18kHz以上、約22kHz以下であってもよく、伝達デバイスの少なくとも1つの共振周波数を含んでいてもよい。
【0009】
[0009]いくつかの実施形態では、血管の管腔を再開通させる方法は、遠位端を有する超音波デバイスを血管の管腔内の第1の位置に位置決めする工程と、超音波デバイスを通じて所定範囲の超音波振動を遠位端に伝達する工程と、血管の管腔を通って遠位端を前進させてその血管を再開通させる工程と、を備える。
【0010】
[0010]いくつかの実施形態では、治療用超音波振動移送システムは、遠位端および近位端を有する細長い超音波伝達デバイスと、超音波伝達デバイスの共振周波数を決定するように構成された検出器と、伝達デバイスの近位端に結合され、超音波伝達デバイスを共振周波数で駆動するように構成された超音波ドライバと、を備える。共振周波数は、伝達デバイスを通じて伝達される測定パルスを使用することによって決定されてもよい。
【0011】
[0011]いくつかの実施形態では、治療用超音波振動移送システムは、遠位端および近位端を有する細長い超音波伝達デバイスと、伝達デバイスの近位端に結合され、伝達デバイスを通じて超音波振動を伝達するように構成された超音波ドライバと、伝達デバイスに結合され、伝達デバイスの遠位端の変位を決定するように構成された検出器と、を備える。検出器は、少なくとも部分的には、反射振動を検出することによって伝達デバイスの遠位端の変位を決定するように構成されてもよい。
【0012】
[0012]いくつかの実施形態では、超音波デバイスに加えられる振動の周波数を制御する方法は、超音波周波数を有する振動を超音波デバイスに加える工程と、反射振動を検出する工程と、検出された振動に少なくとも部分的に基づいて第2の振動を加える工程と、を備える。
【0013】
[0013]いくつかの実施形態では、血管の管腔を再開通させる方法は、遠位端を有する超音波デバイスを血管の管腔内の第1の位置に位置決めする工程と、超音波伝達デバイスの共振周波数を決定する工程と、共振周波数で超音波伝達デバイスを振動させる工程と、閉鎖血管を通って遠位端を前進させてその血管を再開通させる工程と、を備える。決定する工程は、遠位端が閉塞血管の管腔内にあるときに行われてもよい。
【0014】
[0014]いくつかの実施形態では、治療用超音波振動移送システムは、遠位端および近位端を有する細長い超音波伝達デバイスと、伝達デバイスの近位端に結合され、伝達デバイスの遠位端が少なくとも20kHzの周波数で振動するように伝達デバイスを駆動するように構成された超音波ドライバと、を備える。超音波ドライバは、超音波振動のパルスを移送するように構成されてもよい。このパルス移送は、約5ミリ秒以上、約30ミリ秒以下のパルス繰り返し周波数を含むことができる。いくつかの実施形態では、パルス移送は、第1の期間に第1の振動を移送する工程と、第2の期間に第2の振動を移送する工程と、を備える。いくつかの実施形態では、パルス移送は、第1の期間に第1の振動を加える工程と、次いで、第2の期間にドライバをオフにする工程と、その後に、第3の期間に第3の振動を加える工程と、を備える。いくつかの実施形態では、治療用超音波デバイスを駆動する方法は、超音波伝達デバイスの共振周波数を決定する工程と、その共振周波数で超音波伝達デバイスを振動させる工程と、を備える。
【発明を実施するための形態】
【0016】
[0020]以下の記述および添付の図は、好ましい実施形態を記述および図示すると共に、デバイス、システムおよび方法のいくつかの実現可能な構成を示す。これらの説明は、本発明の開示された態様および特徴を特定の実施形態に限定するものではなく、説明されるデバイスと共に使用することだけに限定するものでもない。当業者には、本発明の開示された態様および特徴が、本明細書に記載された本発明の態様および特徴の1つまたはそれ以上を含み得るデバイスのいかなる特定の実施形態にも限定されないことが理解されよう。
【0017】
[0021]デバイスのこれらの構成要素について説明する助けになるように、以下の座標用語が使用される。「長手方向軸線」は、概して、デバイスの一部分と平行であると共に、デバイスが通って移動することができる血管の軸線と平行である。「横方向軸線」は、長手方向軸線と直角である。「直交方向軸線」は、長手方向軸線および横方向軸線の両方に対して直角に延びる。加えて、本明細書では、「長手方向」とは長手方向軸線と実質的に平行な方向を指し、「横方向」とは横方向軸線と実質的に平行な方向を指し、「直交方向」とは直交方向軸線と実質的に平行な方向を指す。本明細書で「軸線の」という用語はデバイスの軸線を指し、したがって、本明細書で使用される「長手方向の」という用語と実質的に同義である。また、本システムを説明するのに使用される「近位」および「遠位」という用語は、例示的な適用例(すなわち、使用用途の説明的な例)についての説明で一貫して使用される。したがって、近位および遠位は、デバイスのそれぞれの端部に関しても使用される。
【0018】
[0022]実施形態を完全に理解しやすいようにするために、以下では、システムについて図を参照して説明する。複数の実施形態での同様の要素は、以下の説明全体を通して同様の符号を用いて参照される。
【0019】
[0023]
図1は、血管障害を除去するために使用できる超音波システム100の斜視図の一例を示す。超音波システム100は、超音波トランスデューサ126に取り外し可能に結合される超音波デバイス120を備える。超音波トランスデューサ126は、信号発生器127に電気的に接続される。
【0020】
[0024]超音波デバイス120は、近位部分122および遠位部分121を有する細長い本体を備えていてもよい。超音波デバイス120は、超音波エネルギー移送部材、すなわち、長手方向に延在する少なくとも1つの内腔を有し、超音波伝達部材がその中に延在するカテーテルであってもよい。
【0021】
[0025]超音波デバイス120は、また、超音波トランスデューサ126に動作可能に接続されるYコネクタ123を備えていてもよい。例えば、Yコネクタ123は、デバイスノブ124および摺動カラー125によって超音波トランスデューサ126に接続されてもよい。超音波トランスデューサ126は、信号発生器127に接続されてもよく、信号発生器127は、足踏み式オンオフスイッチ128に接続されてもよい。信号発生器127は、点滴(IV)ポール129によって支持され得る。オンオフスイッチ128が押し下げられると、信号発生器127は、電気信号を超音波トランスデューサ126へ送信することができ、超音波トランスデューサ126は、その電気信号を超音波エネルギーに変換する。このような超音波エネルギーは、その後、超音波デバイス120を通過し、遠位部分121へ移送され得る。従来のガイドワイヤがデバイス120と一緒に利用されてもよい。遠位部分121は遠位端300を備えていてもよい。
【0022】
[0026]Yコネクタ123の正面部分は、当技術分野でよく知られている技法を用いて超音波デバイス120の近位端122に接続されてもよい。注入ポンプ130、点滴バッグまたは注射器は、注入管131を用いてYコネクタ123の注入ポートすなわちサイドアーム132に接続されてもよい。注入ポンプ130は、冷媒流体をデバイス120の中へ、および/または、デバイス120を通って注入するのに使用することができる。冷媒流体のこのような流れは、超音波伝達部材の過熱を防止するのに利用することができ、また、超音波伝達部材の外面を濡らすように機能し、それによって冷媒流体と超音波伝達部材との間に温度平衡をもたらすことができる。冷媒流体の温度および/または流量は、超音波伝達部材の適切な冷却および/または他の温度制御が行われるように調整されてもよい。灌注流体は、薬剤および/または微小気泡を含むことができる。上記に加えて、注入ポンプ130または注射器は、撮像の目的でX線撮影造影剤をデバイス120に注入するのに利用することもできる。注入ポンプ130を介して超音波デバイス120の中に選択的に注入され得るヨードX線撮影造影剤の例として、Berlex Labs、Wayne、N.J.からAngiovist 370が、また、Malinkrodt、St.Louis、MoからHexabrixが、それぞれ市販されている。
【0023】
[0027]概して、超音波デバイス120は、ガイドワイヤを通すため、吸引をかけるため、灌注流体、色素および/または類似物を注入および/または引き出すための、適切な任意の数のサイドアームもしくはポート、または、他の適切な任意のポートもしくは接続部を備えていてもよい。また、このデバイスは、適切な任意の超音波トランスデューサ126、信号発生器127、結合デバイス(単数または複数)および/または類似物と共に使用されてもよい。したがって、
図1に示された例示的な実施形態、ならびに、超音波デバイス120と共に使用するための近位の装置またはシステムについての以下のいずれの説明は、添付の特許請求の範囲で定義される本発明の範囲を限定するものと解釈されるべきではない。
【0024】
[0028]
図2Aは、
図1に示された超音波デバイス120の側面図である。図示のように、Yコネクタ123の遠位部分はカテーテル本体204に接続される。超音波伝達部材230は、デバイスノブ124、Yコネクタ123およびカテーテル本体204を通ることができ、また、カテーテル本体204の遠位ヘッドの少なくとも一部分に当接することができる。いくつかの実施形態では、超音波伝達部材230は、カテーテル本体204の遠位端に当接するのではなく、カテーテル本体204の遠位端を通って延出していてもよい。いくつかの実施形態では、超音波伝達部材230の遠位先端は、カテーテル本体204の遠位端に直接的に固定される。
【0025】
[0029]
図2Aを続けて参照すると、デバイスノブ124は近位ハウジング208を備える。ハウジング208は、ハウジング208の外表面積を増大するための1つ以上の表面構造212を備えていてもよい。表面積の増大により、超音波伝達部材230によって発生した熱を放散するハウジング208の能力を向上させることができる。表面構造212は、適切な任意のサイズおよび形状とすることができ、例えば、隆起、ぎざぎざ、凹凸、溝などを備えていてもよい。適切な任意の数の表面構造212が使用されてよい。加えて、ハウジング208は、アルミニウム、ステンレス鋼、他の任意の伝導性金属(単数または複数)、または、適切な任意の非金属伝導性材料など、1つ以上の熱放散材料で作られていてもよい。
【0026】
[0030]カテーテル本体204は、脈管障害に到達するための適切な任意の直径および長さを有する、全体として柔軟で管状の細長い部材であってもよい。いくつかの実施形態では、例えば、カテーテル本体204は約100〜200cmの範囲の長さを有する。一実施形態では、カテーテル本体204は約0.5〜5.0mmの範囲の外径を有する。別の実施形態では、例えば比較的細い脈管で使用するために、カテーテル本体204は約0.25〜2.5mmの範囲の直径を有する。ただし、本発明の範囲から逸脱することなく、他の適切な任意の長さまたは直径が使用されてもよい。本発明で使用できるこれらと類似のカテーテル本体の例は、米国特許第5,267,954号および第5,989,208号に記載されている。これらは参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。一実施形態では、カテーテル本体204は、Atochimie、Cour be Voie、Hauts Ve−Sine、Franceによって製造されたナイロン(Pebax(商標))などの可撓性ポリマー材料から形成される。カテーテル本体204は、超音波伝達部材230を絶縁し、デバイスの使用時に操作者の手が超音波伝達部材230に触れないようにすることができる。
【0027】
[0031]いくつかの実施形態では、カテーテル本体204は、カテーテル本体204の遠位部分214に設置された1つ以上のX線不透過性マーカーを備える。一実施形態では、遠位部分214は、X線不透過性ポリマー、または、当技術分野で知られている類似の材料で作られる。X線不透過性材料により、蛍光透視下での可視性を向上させ、デバイスを正しく位置決めしやすくすることができる。別の実施形態では、血管内超音波法または他の画像診断法を使用することができる。代替の撮像技法には、患者体内で遠位部分214をさらに位置決めしやすくするための光干渉断層撮影法(OCT)および/または磁場(Stereotaxis Inc.)備えていなくてよい。
【0028】
[0032]
図2Bは、
図2Aに示された超音波デバイス120の断面図を示す。図示のように、ハウジング208は内部空洞244を備えていてもよい。空洞244の中に音波コネクタ252が配置される。超音波伝達部材230は、音波コネクタ252から空洞244を通って遠位方向に延在する。
【0029】
[0033]内部空洞244は、1つ以上の振動吸収部材250を備えていてもよい。振動吸収部材250により、超音波伝達部材230からハウジング208を通って伝達される振動を低減することで、使いやすさを向上させることができる。音波コネクタ252により、超音波伝達部材230を超音波トランスデューサデバイス126に接続しやすくすることができる。超音波伝達部材230は、音波コネクタ252から内部空洞244、Yコネクタ123およびカテーテル本体204を通って遠位方向に延在してもよい。
【0030】
[0034]
図2Bを続けて参照すると、サイドアーム132は、Yコネクタ123内の内腔223と流体連通する内腔232を備えていてもよい。Yコネクタ123内の内腔223は、カテーテル本体204を通って延在する内腔と流体連通してもよい。したがって、サイドアーム132に導入された流体は、カテーテル本体204に流れ込み、そこを通って超音波伝達部材230と接触してもよい。この流体は、カテーテル本体204自体に設置された開孔など、遠位部分の開口または他の適切な任意の開孔を通ってカテーテル本体204から流出してもよい。
【0031】
[0035]適切な任意の流体がサイドアーム132およびカテーテル本体204に通されてもよい。適切な流体には、例えば、冷却流体、潤滑流体、生理食塩水、飽和食塩水、過飽和食塩水、造影剤/生理食塩水の混合物などが含まれる。超音波伝達部材230を冷却および/または潤滑することにより、超音波伝達部材230の摩擦および/または摩耗を低減することができ、それによって超音波伝達部材の耐用寿命を引き延ばし、全体的性能を向上させることができる。
【0032】
[0036]
図2Bに示されるように、カテーテル本体204は主内腔を形成する。しかし、カテーテル本体204は、1つ以上の内腔が長手方向に貫通する細長い管を備えていてもよい。続けて
図2Aを参照すると、近位端を有する細長い超音波伝達部材230がカテーテル本体204の主内腔を通って長手方向に延在している。この近位端は、音波コネクタ252を介して超音波トランスデューサに取り外し可能に接続可能としてもよく、その結果、超音波エネルギーは、超音波伝達部材230の近位端から遠位端まで超音波伝達部材230を通って進むことができる。
【0033】
[0037]いくつかの実施形態では、超音波伝達部材230、ワイヤまたは導波路は、カテーテル本体204の内腔を通って長手方向に延在する。超音波エネルギーは、ハウジング208の近位端に接続された超音波トランスデューサ126からデバイスの遠位部分まで、超音波伝達部材230を伝わることができる。超音波伝達部材230は、約18kHzから約150kHzまでの周波数で機能することができる。一実施形態では、振動の周波数は約20kHzである。いくつかの実施形態では、超音波伝達部材230は、約40kHzから約150kHzまでの周波数で機能する。一実施形態では、振動の周波数は約40kHzよりも高い。超音波伝達部材230は、連続モード、パルスモード、または、これら両方の組合せで機能することができる。
【0034】
[0038]超音波伝達部材230は、超音波エネルギーを超音波トランスデューサから超音波伝達部材230の遠位端まで効果的に伝達できる任意の材料から形成されてもよい。これらの材料には、それだけには限らないが、純チタンまたはアルミニウム、NiTiなどのチタン合金またはアルミニウム合金が含まれる。超音波伝達部材230は、1つ以上のテーパ領域および/または段部を備えていてもよい。これらテーパ領域および段部は、超音波伝達部材230の全長に沿って遠位方向に、幅または直径が増大および/または減少していてもよい。一実施形態では、超音波伝達部材230は、近位端から遠位側に延びる方向にテーパが付いた少なくとも1つの部分を備える。別の実施形態では、超音波伝達部材230は、近位端から遠位側に延びる方向に連続してテーパ状に形成される。一実施形態では、超音波伝達部材230は、その直径が近位側の約800μmから遠位側の約200μmまでテーパ状に形成される。
【0035】
[0039]超音波伝達部材(およびその遠位先端)、カテーテル本体(およびその遠位先端)、超音波トランスデューサ、音波コネクタ、およびこれらの超音波デバイスとの接続部を備える超音波システムおよびデバイスのさらなる詳細が、例えば、米国特許第5,827,203号、第6,007,514号、第6,427,118号、第6,702,748号、第6,855,123号、第6,942,620号、第6,942,677号、第7,137,963号、第7,220,233号、第7,297,131号、第7,335,180号、第7,393,338号、第7,540,852号、第7,604,608号、第8,133,236号に、また、米国特許出願公開第2006/0161098号、第2007/0239027号、第2008/0108937号、第2008/0287804号、第2010/0317973号に開示されている。これらの開示は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0036】
[0040]
図1に戻って参照すると、信号発生器127は、電気信号を超音波トランスデューサ126へ送信することができる。次に、超音波トランスデューサ126は、その電気信号を超音波振動に変換することができる。次に、この超音波振動は、超音波伝達部材を通って伝達され、治療部位まで移送されることができる。治療部位は、狭窄または再狭窄がある血管および/または血管壁の領域であってもよい。血管には静脈および動脈が含まれ得る。本明細書に記載の方法およびデバイスは、身体の他の内腔および器官(例えば、胆管)に適用することもできる。
【0037】
[0041]使用の際、治療上の利点を得るために、システムは、十分な超音波振動を治療部位に与えなければならない。例えば、全面的または部分的に閉塞された血管または内腔を開放または再開通させるために使用される場合、システム100は、閉塞物を貫通または除去するのに十分な振動を与えなければならない。多くの場合、閉塞された血管を治療した後に、ステントをその血管内に配置して血管を拡張および/または支持することができる。以下で説明するように、様々なパラメータを調整および最適化することができる。
【0038】
[0042]いくつかの実施形態では、曲がりくねった経路の端部の治療部位に超音波振動を移送するために、力の移送を最適化することができる。例えば、曲がりくねった経路に超音波デバイス120が通される場合に、信号発生器127、超音波トランスデューサ126、および/または、他の適切な任意の構成要素は、超音波デバイス120が閉塞を貫通および/または除去できるように構成することができる。すなわち、超音波デバイス120が治療部位まで脈管構造中を通される場合、超音波デバイス120は曲がらなければならない。脈管構造を通る経路が曲がりくねっていればいるほど(例えば、冠状動脈適用時に)、超音波デバイス120には屈曲部をより多くしなければならない。高い周波数(短い波長)の超音波エネルギーは、低い周波数(長い波長)の超音波エネルギーよりも屈曲部をまわって容易に伝わる。高い周波数の超音波エネルギー(例えば、40kHz以上)は、低い周波数の超音波エネルギーよりも屈曲部をまわって容易に伝わるので、超音波デバイス中を伝わるときに失われるエネルギーが少なく、より多くのエネルギーが治療部位まで移送される。したがって、本明細書で開示されるシステムは、約18kHz以上の周波数で超音波デバイス120を駆動するように構成された信号発生器127および/または超音波トランスデューサ126を備えていてもよい。いくつかの実施形態では、信号発生器127は、約18kHzから約150kHzまでの駆動周波数を提供するように構成される。いくつかの実施形態では、超音波トランスデューサ126は、約18kHzから約150kHzまでの超音波振動を、超音波デバイスを通じて移送するように構成される。いくつかの実施形態では、より高い駆動周波数、例えば40kHzを超える駆動周波数で動作させるために、超音波トランスデューサ126の質量が低減される。
【0039】
[0043]いくつかの実施形態では、力の移送が、治療部位にパルス超音波振動を移送することによって最適化される。
図1を参照すると、いくつかの実施形態では、信号発生器127、超音波トランスデューサ126、および/または、他の適切な任意の構成要素は、超音波デバイス120を通る超音波エネルギー伝達の2つ以上のモードまたは種類を切り替えるための1つ以上のアクチュエータ119を備える。アクチュエータ119を使用して、例えば、パルス超音波信号の伝達と連続超音波信号の伝達とを切り換えてもよい。2つ以上の異なる種類の超音波信号を与えることで、脈管閉塞の破壊を増強することができ、また、様々な実施形態において、切換えおよび/または類似のことを行うために超音波エネルギーの伝達を停止させることなく、信号の種類の切換えを、所望の任意の順序で所望の回数だけ実施することができる。
図1では、アクチュエータ119が信号発生器127上に示されているが、アクチュエータ119は、他の任意の位置および構成としてもよい。いくつかの実施形態ではアクチュエータを備えておらず、信号発生器127および/または超音波トランスデューサ126は、むしろ、パルスモード時のみに、もしくは、連続モード時のみに動作するように構成されるか、または、少なくとも部分的に遠位の環境および/または反射エネルギーに基づいて、自己切換えモードで動作するように構成される。
【0040】
[0044]パルス動作では、所与の期間内に発生するパルスの数(パルス周波数)、1つのパルスの始まりから次のパルスの始まりまでの時間(パルス周期)、1つのパルスが生じるのに要する時間(パルス持続時間)などのパラメータをすべて調整および選択することができる。例えば、いくつか特定の実施形態では、パルス間の時間が5ミリ秒であり、その結果として非常に速い「穿孔(drilling)」になる。信号発生器127は、さらに、より高い周波数(例えば、135kHz)で動作されてもよい。
【0041】
[0045]いくつかの実施形態では、信号発生器127、超音波トランスデューサ126、および/または、他の適切な任意の構成要素は、パルス超音波信号を提供するように構成されてもよい。パルス超音波信号は、適切な任意のデューティサイクルを有することができる。いくつかの実施形態では、デューティサイクルは、およそ30〜70%(すなわち、70〜30%オフ)の範囲、または、他の適切な任意の範囲であってもよい。デューティサイクルの周波数は、適切な任意の周波数とすることができ、また、使用前または使用中に調整されてもよい。言い換えると、所与の期間内でデバイスがオンまたはオフになっている時間の長さは、操作および最適化することができる。例えば、デューティサイクルは、デバイスが遭遇し得る特定の物質に対して最適化することができる。特に、このデバイスは、より硬い物質をパルス動作で貫通することができる。したがって、利用される波形は変更および/または最適化されることができる。
【0042】
[0046]いくつかの実施形態では、超音波エネルギーが超音波デバイスを伝わるときに、超音波デバイスの遠位先端が、同じ活性化サイクルの後の期間よりも不規則かつ活動的に振動する初期期間がある。その理由は、一部には、先端振動が定常状態に落ち着くからである。これらの初期振動は、より硬い基質に対する最大の浸食の働きを行うことができる。したがって、エネルギーを高速でオンオフにパルス化することによって、この始動エネルギーは、所与の期間により多くの回数で供給することができる。例えば、いくつかの実施形態では、30msオンおよび30msオフのパルスによる50%デューティサイクルでは、60msごとに1つの始動バーストを提供することができる。10msオンおよび10msオフのパルスによる50%デューティサイクルでは、60msごとに3つの始動バーストを提供することができる。さらに、10msオンおよび20msオフのパルスによる33%デューティサイクルでは、60msごとに2つの始動バーストを提供することができる。いくつかの実施形態では、超音波デバイスは、より低い温度で動作し、疲労までの時間がより長い期間となることが可能である。その理由は、一部には、デューティサイクルが低減されるからである。
【0043】
[0047]信号発生器127は、方形波信号または正弦波信号を超音波トランスデューサ126に供給するように構成されてもよい。いくつかの実施形態では、信号発生器127は、プログラムされた任意の波形を供給するように構成される。例えば、一実施形態では、信号発生器127は、信号が供給されない時間の空白によって分離された1つ以上の入力信号を超音波トランスデューサ126に供給するように構成される。パルス周期、パルス周波数、およびパルス持続時間は、選択および最適化することができる。
【0044】
[0048]本明細書で開示されるデバイスのパルス動作により、遠位先端300の変位を増大させることができ、また、遠位先端300を不規則に動かすことができる。この変位の増大および不規則な動きにより、硬質および/または高密度の物質を貫通する遠位先端300の能力が増強される。言い換えると、パルス超音波モードでデバイスを動作させると、超音波デバイスの遠位端の動きを増大させて、例えば所望の物質を除去することによって、デバイスの有効性を向上させることができる。
【0045】
[0049]
図4は、パルス超音波振動を用いて血管を再開通させる方法400を示すフロー図である。この方法は、ブロック401で、遠位端を有する超音波デバイスを血管の管腔内の第1の位置に位置決めすることによって開始することができる。この第1の位置は、閉塞に対し近位側にあってもよい。閉塞は、部分的なものでも全体的なものでもよい。超音波デバイスは、前述の構成要素のうちの1つ以上を備えていてもよい。方法400は、ブロック405で、パルス超音波振動を超音波デバイスの遠位端に伝達することによって継続することができる。パルス超音波振動は、遠位先端の変位を増大させることができ、従来のデバイスよりも速く広い範囲で閉塞を除去することによって超音波デバイスの性能を改善することができる。いくつかの実施形態では、パルス振動には、第1の周波数を第1の期間に伝達することと、その後に第2の周波数を第2の期間に伝達することと、が含まれる。いくつかの実施形態では、振動は第1の期間に加えられ、次に、振動が加えられない第2の期間が続き、次に、振動が再び加えられる第3の期間が続く。振動するデバイスの遠位端は、超音波振動がデバイスの近位端に加えられている間、閉塞を貫通して前進してもよい。方法400は、ブロック409で、血管を通して遠位端を前進させて血管を再開通させることによって終了することができる。
【0046】
[0050]
図1を参照すると、いくつかの実施形態では、超音波システム100を、使用時に少なくとも所定期間だけ超音波デバイス120の共振周波数で動作するように構成することによって、力の移送が最適化される。一般に、超音波デバイス120に適用される超音波周波数が超音波デバイス120の固有周波数と一致するとき、超音波デバイスは共振し始める。超音波デバイス120の遠位端300が動く振幅は共振時に最大になるので、超音波デバイス120の有効性は共振時に増強される。こうして、遠位端300は、共振振動中に、遠位端300が最大距離間を前後に動き、より多くのエネルギーが閉塞物に対して与えられるので、いっそう効果的に物質および/組織を貫通することができる。
【0047】
[0051]いくつかの実施形態では、信号発生器127、超音波トランスデューサ126、および/または、他の適切な任意の構成要素は、使用時に所定の超音波デバイス120の共振周波数で動作するように構成されてもよい。例えば、所定の超音波デバイス120には、デバイス120に付随する特定の共振周波数がある。共振周波数は、超音波デバイス120の固有の特性(例えば、所定の超音波伝達部材、および/または、使用されるカテーテル本体、および/または、遠位端の特定の構成)に依存し得る。超音波伝達部材および/またはカテーテル本体の長さ、厚さおよび材料などの要因もまた、共振周波数に影響を及ぼし得る。したがって、使用前に、所定の超音波デバイス120の共振周波数を決定することができる。一般に、共振周波数は、所定の超音波デバイス120については製造公差内で類似していると予測することができる。しかし、いくつかの実施形態では、所定の超音波デバイスそれぞれの共振周波数は、使用前に決定することができる。
【0048】
[0052]さらに、使用時に、所定の超音波デバイス120の共振周波数は、超音波デバイス120および/またはその構成要素が被る曲がりの量、温度、および、遠位端300への負荷などの要因のために変化する。超音波デバイス120の使用時のこれらの変化要因により、デバイスの共振周波数は、例えば約±10%変化し得る。
【0049】
[0053]いくつかの実施形態では、超音波システム100は、動作時に適用される超音波周波数をある範囲にわたって連続して掃引することによって、超音波デバイス120が少なくとも所定期間は共振周波数で動作するように構成される。例えば、信号発生器127、超音波トランスデューサ126、および/または、他の適切な任意の構成要素は、所定範囲の周波数で前後に掃引して超音波振動を超音波デバイス120に加えるように構成されてもよい。所与の範囲の周波数にわたって掃引することによって、超音波デバイス120は、掃引中の時間の少なくとも一部分で共振を実現する可能性がある。
【0050】
[0054]
図5は、所定範囲の超音波振動を超音波伝達デバイスに加えることによって血管を再開通させる方法500を示すフロー図である。この方法は、ブロック501で、遠位端を有する超音波デバイスを血管の管腔内の第1の位置に位置決めすることによって開始することができる。この第1の位置は、部分的または全面的な閉塞に対して近位側にあってもよい。超音波デバイスの遠位端は、閉塞と接触することができる。超音波デバイスは、前述の構成要素のうちの1つ以上を備えていてもよい。方法500は、ブロック505で、所定範囲の超音波振動を超音波デバイスの遠位端に伝達することによって継続することができる。超音波振動の範囲は、1kHz以上、10MHz以下であってもよい。いくつかの実施形態では、この範囲は18kHzと22kHzの間にあり、および/または、伝達デバイスの少なくとも1つの共振周波数を含む。所定範囲の超音波振動を移送することによって、遠位先端の変位を増大させて、従来のデバイスよりも速く広い範囲で閉塞を除去することにより超音波デバイスの性能を改善することができる。方法500は、ブロック509で、血管を通して遠位端を前進させて血管を再開通させることによって終了することができる。
【0051】
[0055]いくつかの実施形態では、デバイスを使用する前に、所定の超音波デバイス120の設計用の共振周波数を決定することができる。その場合、システム100は、既知の共振周波数の約±10%の範囲で、この共振周波数を横切って掃引するように構成されてもよい。一実施形態では、例えば、超音波デバイス120に加えられる振動は、18kHzから22kHzまでの範囲を行き来して連続的に掃引する。別の実施形態では、超音波デバイス120に加えられる振動は、18kHzから22kHzまで連続的に掃引し、その後、18kHzから再び始まる掃引を繰り返す。超音波周波数の範囲は、約1kHz以上、約10MHz以下であってもよい。いくつかの実施形態では、超音波周波数の範囲は、約10kHzと50kHzの間にある。一実施形態では、超音波デバイス120に適用される超音波周波数は、所与の周波数範囲で離散的な漸進的工程で増大および/または低減される。例えば、適用される周波数は、18kHzから開始し、22kHzに達するまで0.1kHz刻みで高くなることができ、次に、18kHzに達するまで0.1kHz刻みで低くなることができる。掃引間隔、すなわち、所与の周波数範囲で掃引するのに要する期間もまた、調整および最適化することができる。
【0052】
[0056]超音波デバイス120の材料は、超音波デバイス120による貫通および/または除去が容易になるように選択することができる。これらの異なる材料は、硬度または密度など、異なる物理的特性を有していてもよい。このような材料の物理的特性に応じて、別の振動周波数が他よりも好ましいことがある。いくつかの実施形態では、デバイスは、硬質のプラークおよび/または剛性を有する沈着物を貫通するように最適化および/または調整され、他の実施形態では、デバイスは、柔らかい組織を貫通するように最適化および/または調整される。いくつかの実施形態では、デバイスは、繊維質の組織を貫通するように最適化および/または調整される。そのため、所定範囲の周波数で掃引するようにシステム100を構成することにより、特定の物質を取り除くのに最適な特定の周波数および/または波形で超音波デバイス120が振動する可能性を増大させることもできる。
【0053】
[0057]いくつかの実施形態では、信号発生器127、超音波トランスデューサ126、および、他の適切な任意の構成要素は、所定の超音波デバイス120の使用時の共振周波数を決定するように構成されてもよい。共振周波数が決定されると、次に、システムは、使用時に共振点で動作するように構成されてもよい。上述したように、超音波デバイス120の共振周波数は、例えば、超音波デバイス120が被る曲がりの量、温度、および、遠位端300への負荷などの要因により、使用時に変化し得る。システムの共振周波数は、トランスデューサが温度を変化させた場合にも変化し得る。一実施形態では、デバイス使用時の共振周波数は、信号発生器127、超音波トランスデューサ126、および/または、他の適切な任意の構成要素を使用時に短い間休止させるように構成することによって決定することができる。言い換えると、超音波トランスデューサ126は、超音波デバイス120を通じての振動の移送を瞬間的に停止させることができる。このような停止は、間欠的および/または周期的であってもよい。
【0054】
[0058]振動の移送が瞬間的に止められている間、超音波トランスデューサ126および/または、他の適切な構成要素は、超音波デバイス120を通じて測定パルスを送信することができる。次に、この測定パルスを使用して、超音波デバイス120の実際の共振を決定することができる。次に、信号発生器127、超音波トランスデューサ126、および/または、他の適切な任意の構成要素は、この共振周波数が超音波デバイス120を通じて移送されるように調整されることができる。いくつかの実施形態では、この測定および調整は自動的に行われる。後の時点で、振動の移送を再び瞬間的に停止することができ、デバイスを通じて測定信号を送信することができ、共振周波数を決定することができ、また、この共振周波数が移送されるようにシステムを調整することができる。そのため、いくつかの実施形態では、超音波デバイス120の共振周波数を決定し、このデバイスを、処置時に共振またはその近くで動作するように調整することができる。
【0055】
[0059]いくつかの実施形態では、超音波システム100は、使用時に超音波デバイス120の遠位端300の変位が測定および制御されるように構成される。例えば、
図3に示されるように、超音波が超音波トランスデューサから超音波伝達部材230を通じて伝達されるとき(入力波505)、伝達波の一部分が反射され(反射波510)、波の一部分が遠位ヘッド500に達する(伝達波520)。波は、例えば
図3に示されるように、超音波伝達部材230の屈曲部で反射され得る。
【0056】
[0060]超音波トランスデューサ126または他のトランスデューサもしくはデバイスは、反射波510の振幅を検出および測定するように構成されてもよい。入力波505と反射波510との振幅の差を少なくとも部分的に用いて、伝達波520の振幅を決定してもよい。このように、超音波システム100は、伝達波520の振幅の値と反射波510の振幅の値とを比較することによって、伝達波520の振幅を決定することができる。デバイスは、伝達波520の振幅に少なくとも部分的に基づいて、入力波の振幅を調整してもよい。例えば、入力波は、伝達波520の振幅を比較的一定に保つように調整されてもよい。言い換えると、超音波デバイスの遠位端の変位をリアルタイムで監視することができ、超音波駆動システムは、遠位先端の変位を制御できるように連続的に調整され得る。
【0057】
[0061]以下では、上述の超音波システム100を使用する例示的な方法について説明する。この実施態様および例示的な使用方法についての説明は、上記の本発明についての説明を増強するものであり、両方を合わせて読まれたい。脈管構造内の閉塞物を貫通および/または除去する方法は、遠位端を有する超音波デバイス120を血管内に位置決めすることから開始することができる。超音波デバイス120は、カテーテル本体に取り囲まれた超音波伝達部材を備えていてもよい。
【0058】
[0062]この方法は、遠位端が閉塞物に隣接するまで超音波デバイス120を前進させることによって継続する。超音波デバイス120は、モノレールまたはオーバ・ザ・ワイヤ技法を使用して、別のガイドワイヤを用いて、または、それを用いずに前進されてもよい。いくつかの実施形態では、超音波デバイス120は、閉塞物に当接するように位置決めされる。閉塞物は冠動脈内に位置し得る。超音波デバイス120は、当技術分野で知られている適切な技法を用いて可視化すること、または、位置を特定することができる。例えば、超音波デバイス120は、1つ以上のX線不透過性マーカーを備えていてもよい。この方法は、約18kHz以上の振動を超音波デバイス120の遠位端に伝達することによって継続することができる。いくつかの実施形態では、伝達される振動は約40kHzを超える。
【0059】
[0063]いくつかの実施形態では、超音波デバイス120を通じて伝達される振動はパルス化されており、所定のデューティサイクルを有する。デューティサイクルおよび/またはデューティサイクルの周波数は、特定のデバイスに対して、および/または、デバイスが遭遇しそうな特定の基質に対して最適化することができる。一定の振動を連続的に加えることとは対照的に、パルス超音波振動を加えることにより、超音波デバイスの遠位部分の変位をより大きくすることができ、および/または、当該遠位部分の移動をより不規則にすることができ、これにより硬質の物質を貫通するデバイスの能力を増大させることができる。
【0060】
[0064]いくつかの実施形態では、超音波デバイス120を通じて伝達される振動は、第1の周波数で開始し、第1の周波数とは異なる少なくとも第2の周波数に変化する。いくつかの実施形態では、加えられる振動周波数は、第1の周波数から第2の周波数までの周波数範囲で掃引する。この掃引は、予め定められた周波数範囲での連続掃引であってもよい。いくつかの実施形態では、所定の周波数範囲での掃引は、所定の周波数範囲で上下する離散的な漸進的工程を備える。いくつかの実施形態では、デバイスに加えられる超音波周波数の範囲は、不規則および/または不連続である。いくつかの実施形態では、その周波数範囲には、超音波デバイスの少なくとも1つの共振周波数が含まれる。
【0061】
[0065]いくつかの実施形態では、デバイスの共振周波数が決定され、システムは、デバイスのその共振周波数またはその近くで超音波デバイスを駆動する。共振周波数は、デバイスの使用前または使用中に決定することができる。いくつかの実施形態では、デバイスを通じて伝達されるエネルギーが中断されてもよく、また、デバイスを通じて測定信号が送信されてもよい。この測定信号を使用して、特定の時点におけるデバイスの実際の共振周波数を決定することができる。次に、システムは、その実際の共振周波数でデバイスを駆動するように調整してもよい。
【0062】
[0066]いくつかの実施形態では、システムはデバイスの遠位端の変位を決定する。反射振動を監視して、デバイスの遠位端に達する超音波エネルギーの量を決定する助けにすることができる。次いで、エネルギーがどれだけ反射されるかに少なくとも部分的に基づいて、加えられる振動を調整してもよい。つまり、システムが、加えられた振動の大部分が反射されていると判定した場合、システムは、デバイスに加えられる入力波の振幅を増大させてもよい。このようにして、十分なエネルギーがデバイスの遠位端に達していることを確実にする助けになるように、駆動が継続的に調整され得る。いくつかの実施形態では、遠位先端の変位は、加えられる波形を、反射されるエネルギーの量に少なくとも部分的に基づいて調整することによって、比較的一定に保たれる。
【0063】
[0067]この方法は、閉塞物を貫通して超音波デバイス120の遠位端300を前進させることによって継続することができる。その後、超音波デバイス120は患者から取り外すことができる。いくつかの実施形態では、ステントが血管内に配置される。
【0064】
[0068]
図6は、血管を再開通させる方法600を示すフロー図である。この方法は、ブロック601で、遠位端を有する超音波デバイスを血管の管腔内の第1の位置に位置決めすることによって開始することができる。血管は、部分的または全体的な閉塞を含み得る。方法600は、ブロック603で、超音波振動を超音波デバイスの遠位端に伝達することによって継続することができる。ブロック605で、少なくとも1つの反射振動を検出することができる。この方法は、ブロック609で、加えられる振動(単数または複数)を、検出された振動(単数または複数)に少なくとも部分的に基づいて修正することによって継続することができる。検出された振動(単数または複数)を用いて、超音波デバイスの共振点を決定することができる。次に、加えられる振動を調整することができる。いくつかの実施形態では、この調整は、少なくとも部分的に反射振動(単数または複数)によって決定された共振周波数を適用することを含む。この方法は、血管を通じて遠位端を前進させて、その血管を再開通させることによって終了することができる。
【0065】
[0069]このように、上記の様々な実施形態は、閉塞血管の治療を行うためのいくつかの方法を提供する。加えて、説明した技法は、様々な医療処置と併せて使用することで広く応用することができる。もちろん、このような目的または利点のすべてが、本明細書に記載のシステムを使用する任意の特定の実施形態によって、必ずしも達成できるとは限らないことを理解されたい。すなわち、例えば、システムは、本明細書で教示または提案できる他の目的または利点を必ずしも達成しなくても、本明細書で教示された1つの利点または一群の利点を達成または最適化するようにして開発できることが、当業者には理解されよう。
【0066】
[0070]さらに、当業者には、別々の実施形態の様々な特徴を相互に置換できることが理解されよう。これらの技法およびデバイスは、特定の実施形態および例に関して開示されたが、当業者には、これらの技法およびデバイスが、具体的に開示された実施形態以外に、他の実施形態および/または用途に、また、これらの明らかな修正形態および均等物に拡張できることが理解されよう。加えて、記載された本発明の様々な態様および特徴は、別々に、一緒に組み合わせて、または、互いに置換して実施できること、ならびに、これらの特徴および態様の様々な組合せおよびサブコンビネーションをなすことができ、それらも本発明の範囲内に入ることが意図されている。したがって、本明細書に開示されたシステムの範囲は、上記の特定の開示された実施形態によって限定されるべきものではない。