(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
[実施形態]
以下、図面を参照して、本発明に係る電源装置100の一実施形態について説明する。
図1は、本実施形態の電源装置100が設置される設備1の概要の一例を示す図である。本実施形態の設備1とは、小水力発電所PPである。この小水力発電所PPは、砂防ダムや農業用水利施設などに利用される。ここでは、小水力発電所PPが、農業用水利施設に利用される場合を一例にして説明する。
【0013】
小水力発電所PPは、取水設備WIと、堰WEと、ヘッドタンクHTと、水路WWと、水力発電装置HGと、水圧管路PLとを備える。取水設備WIは、水路WWの上流側に備えられ、堰WEがせき止めた水を取得し、取得した水をヘッドタンクHTに蓄える。水力発電装置HGは、水路WWの下流側に備えられ、ヘッドタンクHTから水圧管路PLを介して供給される水のエネルギーを利用して発電する。
この取水設備WIは、不図示の取水ゲートを備えている。この取水ゲートは、電動機によって駆動される。電動機は、取水ゲートの開度を変化させることにより、水路WWからヘッドタンクHTに取り込む水量を制御する。
本実施形態の電源装置100は、この取水設備WIの電動機を動作させるための電力を供給する。この電源装置100の概要について
図2を参照して説明する。
【0014】
図2は、本実施形態の取水設備WIに設置される装置の構成の概要を示す図である。取水設備WIには、電源装置100と、太陽光発電装置SCと、風力発電装置WGと、水力発電装置HGと、二次電池装置BTと、電動機MTRとが設置される。電源装置100は、太陽光発電装置SCと、風力発電装置WGと、水力発電装置HGと、二次電池装置BTと、電動機MTRとに接続される。
【0015】
太陽光発電装置SCは、太陽電池を備えており、太陽光のエネルギーを直流電力に変換する。太陽光発電装置SCは、変換した直流電力を電源装置100に供給する。
風力発電装置WGは、いわゆるマイクロ風力発電装置であり、風のエネルギーを交流電力に変換する。風力発電装置WGは、変換した交流電力を電源装置100に供給する。
水力発電装置HGは、いわゆるマイクロ水力発電装置であり、水のエネルギーを交流電力に変換する。水力発電装置HGは、変換した交流電力を電源装置100に供給する。
【0016】
以下の説明において、これら太陽光発電装置SC、風力発電装置WG、水力発電装置HGを、総称して変動電源VPSとも記載する。この変動電源VPSとは、発電量が自然環境条件に依存して変動する電源である。例えば、太陽光発電装置SCは、日照条件によって発電量が変動する。風力発電装置WGは、風力や風速の条件によって発電量が変動する。水力発電装置HGは、水量や水圧、水の流速などの条件によって発電量が変動する。なお、発電量が自然環境条件に依存して変動する電源であれば、ここに例示した電源以外の電源であっても変動電源VPSである。
【0017】
二次電池装置BTは、リチウムイオン電池などの二次電池を備えており、直流電力を充放電する。二次電池装置BTは、変動電源VPSが発電した電力、又は電動機MTRによる回生電力の一部を充電し、充電した電力を電源装置100に供給する。
また、電源装置100は、燃料電池装置FCやエンジン発電装置EGなどが接続されていてもよい。
【0018】
以下の説明において、これら二次電池装置BT、燃料電池装置FC、エンジン発電装置EG、総称して非変動電源NVPSとも記載する。この非変動電源NVPSとは、供給可能な電力量が自然環境条件に依存しない電源である。なお、供給可能な電力量が自然環境条件に依存しない電源であれば、ここに例示した電源以外の電源であっても非変動電源NVPSである。
【0019】
電源装置100は、これら変動電源VPS及び非変動電源NVPSから供給される電力を、電動機MTRに供給する。この電源装置100により、電動機MTRは、取水設備WIの外部からの電力供給を受けることなく、動作可能である。したがって、設備1は、電源装置100を備えることにより、小水力発電所PPから取水設備WIに対して電力を供給する電力供給配線を備えていなくても、取水ゲートを駆動することができる。また、取水設備WIには、水路WWの水位を計測する水位センサ(不図示)や計測機器(不図示)などの、電気機器が設置される場合がある。電源装置100は、ここに例示するような電気機器の動作電力についても、小水力発電所PPなどから供給を受けることなく、供給することができる。
【0020】
[電源装置100の機能構成]
次に、
図3を参照して、電源装置100の機能構成について説明する。
図3は、本実施形態の電源装置100の機能構成の一例を示す図である。電源装置100は、制御装置10と、電力供給部20とを備える。
【0021】
制御装置10は、電力供給部20の各部を制御することにより、変動電源VPS又は非変動電源NVPSから、電動機MTRに電力を供給する。また、制御装置10は、電動機制御装置30に接続され、電動機制御装置30との間において情報(電動機情報MI)を授受してもよい。この電動機制御装置30は、電動機MTRに対して電動機制御信号MCを出力する。この電動機制御信号MCには、電動機MTRの回転数を指令する情報が含まれている。電動機制御装置30は、電動機制御信号MCによって電動機MTRを制御することにより、電動機MTRの駆動軸SFTに接続されている取水ゲートGTの開度を制御する。
【0022】
電力供給部20は、コンバータDCと、電流制限部CLと、電気二重層キャパシタDLCとを備えている。
コンバータDCは、例えば、DC−DCコンバータであり、入力される電力の電圧及び電流を変換して、変換後の電力を出力する。このコンバータDCは、制御装置10が出力する電圧制御情報VCに基づいて、出力電圧を制御する。また、コンバータDCは、変換電力情報VVを制御装置10に出力する。この変換電力情報VVには、コンバータDCに入力される電力値、電圧値、電流値や、コンバータDCが出力する電力値、電圧値、電流値などの情報が含まれる。
【0023】
電力供給部20は、電源ごとにコンバータDCを備える。この一例では、制御装置10は、コンバータDC1からコンバータDC6の6台のコンバータDCを備える。
コンバータDC1は、太陽光発電装置SCが発電する直流電力P1−1が入力され、電力変換後の直流電力P1−2を出力する。
コンバータDC2は、風力発電装置WGが発電する交流電力P2−1が入力され、直流に整流して、電力変換後の直流電力P2−2を出力する。
コンバータDC3は、水力発電装置HGが発電する交流電力P3−1が入力され、直流に整流して、電力変換後の直流電力P3−2を出力する。
コンバータDC4は、二次電池装置BTが放電する直流電力P4−1が入力され、電力変換後の直流電力P4−2を出力する。
コンバータDC5は、燃料電池装置FCが出力する直流電力P5−1が入力され、電力変換後の直流電力P5−2を出力する。
コンバータDC6は、エンジン発電装置EGが発電する交流電力P6−1が入力され、直流に整流して、電力変換後の直流電力P6−2を出力する。
【0024】
電気二重層キャパシタDLCは、電動機MTRの始動時など、電動機MTRの負荷が大きい場合には、負荷変動追従電力PCCを放電して電動機MTRに供給する。つまり、この電気二重層キャパシタDLCとは、電動機MTRの負荷変動の速度に対応して電力供給が可能な負荷変動対応電源である。上述した非変動電源NVPSには、この電気二重層キャパシタDLCが含まれてもよい。また、電気二重層キャパシタDLCは、電動機MTRの停止時など、電動機MTRが回生電力を発生させる場合には、電動機MTRからこの回生電力を負荷変動追従電力PCCとして吸収してもよい。
【0025】
電流制限部CLは、コンバータDCと、電気二重層キャパシタDLCとの間に備えられ、変動電源VPS又は非変動電源NVPSから電気二重層キャパシタDLCに流入する電流の電流値を制限する。なお、ここでいう非変動電源NVPSには、電気二重層キャパシタDLCが含まれない。
電流制限部CLは、制御装置10が出力する電流制限情報CLCに基づいて動作する。また、電流制限部CLは、制御装置10に対して電流情報CLIを出力する。
【0026】
電力供給部20は、制御装置10の制御に基づいて、電動機電力PMを電動機MTRに供給する。この制御装置10の機能構成の一例について、
図4を参照して説明する。
【0027】
図4は、本実施形態の制御装置10の機能構成の一例を示す図である。制御装置10は、発電状態情報取得部110と、電力制御部120と、指示出力部130と、発電電圧取得部140と、発電電流取得部150と、最大電力点追従演算部160と、アラーム情報取得部170と、アラーム判定部180と、アラーム出力部190とを備える。
【0028】
発電状態情報取得部110は、コンバータDCから電源情報VSを取得する。この電源情報VSには、各電源が出力する電力の電力値、電圧値、電流値などの情報、すなわち発電状態情報が含まれる。
【0029】
指示出力部130は、電力制御部120によって演算された結果を、各部に出力する。
【0030】
電力制御部120は、指示出力部130を介して演算結果を各部に出力することにより、電動機MTRに供給する電力を制御する。この電力制御部120が行う電力の制御の流れについて、
図5を参照して説明する。
【0031】
図5は、本実施形態の制御装置10が行う電力制御の流れの一例を示す図である。電力制御部120は、発電量目標値を取得する(ステップS10)。この発電量目標値は、電動機MTRの定格などによってあらかじめ定められている。なお、電動機制御装置30が発電量目標値をリアルタイム算出する構成であってもよい。この場合には、電力制御部120は、電動機制御装置30が算出した発電量目標値を取得する。
【0032】
電力制御部120は、発電状態情報取得部110から電源情報VSを取得する(ステップS20)。この電源情報VSには、発電状態情報が含まれる。
電力制御部120は、この発電状態情報のうち、水力発電装置HGの発電状況について判定する(ステップS30)。電力制御部120は、水力発電装置HGが発電する電力量が、ステップS10において取得した発電量目標値に達しているか否かを判定する。つまり、電力制御部120は、水力発電装置HGが発電する電力量のみで足りるか否かを判定する。
【0033】
ここで、砂防ダムや農業用水利施設などにおいては、水路WWの水流が存在する。このため、電動機MTRに供給する電力の電源としては、水力発電装置HGが好適である。水力発電装置HGは、電動機MTRの定常駆動状態において、電動機MTRの消費電力を超える電力量を供給可能であるように設計される。ここで、電動機MTRの定常駆動状態とは、始動時などにおいて負荷が大きくなっている場合を除いた状態である。したがって、電動機MTRの定常駆動状態においては、水力発電装置HGが発電する電力量のみで電動機MTRを駆動可能である。しかしながら、水力発電装置HGの取水口などに落ち葉などが付着し、既定の水量を取水できない場合などにおいては、水力発電装置HGは、設計電力量よりも少ない電力しか発電できない場合がある。
【0034】
電力制御部120は、水力発電装置HGによって発電された電力を優先させて供給する制御を行う。つまり、電力制御部120は、電動機MTRに供給する電力量が、水力発電装置HGが発電する電力量のみで足りるか否かを判定する。電力制御部120は、足りると判定した場合(ステップS30;YES)には、他の電源から電動機MTRに対する供給は不要であるとして、コンバータDCに電圧制御情報VCを出力する(ステップS80)。この電圧制御情報VCには、コンバータDC3に対する電圧指示が含まれる。
【0035】
電力制御部120は、電動機MTRに供給する電力量が、水力発電装置HGが発電する電力量のみでは足りないと判定した場合(ステップS30;NO)には、変動電源VPSのみで足りるか否かを判定する(ステップS40)。
【0036】
ここで、変動電源VPSは、自然環境の影響をうけて発電量が変動するものの、燃料が不必要である。一方、二次電池装置BTは、充電されている電力量を超えて電力を供給し続けることができない。また、燃料電池装置FCやエンジン発電装置EGなどは、発電のための燃料が必要である。つまり、二次電池装置BT、燃料電池装置FC及びエンジン発電装置EGなどの非変動電源NVPSにおいては、充電残量や燃料残量が、発電継続時間を制約する。すなわち、非変動電源NVPSから電力を供給する場合、充電残量や燃料残量を心配しながら発電することになる。
つまり、変動電源VPSによれば、充電残量や燃料残量を心配せずに発電することができる。
そこで、電力制御部120は、非変動電源NVPSによって発電された電力よりも、変動電源VPSによって発電された電力を優先させて供給する制御を行う。
【0037】
電力制御部120は、変動電源VPSのみで足りると判定した場合(ステップS40;YES)には、非変動電源NVPSによらずに電力を供給する。一方、電力制御部120は、変動電源VPSのみでは足りないと判定した場合(ステップS40;NO)には、必要発電量を算出し(ステップS50)、非変動電源NVPSに対して発電指示を出力する(ステップS60)。
【0038】
電力制御部120は、変動電源VPSのみで足りると判定した場合に、太陽光発電出力への追従制御(ステップS70)を行ってもよい。
図4に戻り、太陽光発電出力への追従制御について説明する。
【0039】
[太陽光発電出力への追従制御]
発電電圧取得部140は、太陽光発電装置SCから発電電圧を取得する。発電電流取得部150は、太陽光発電装置SCから発電電流を取得する。
ここで、太陽光発電装置SCには、発電効率が最大になる発電電圧値及び発電電流値の組み合わせが存在する。この発電効率が最大になる発電電圧値及び発電電流値の組み合わせを「最大電力点」とも記載する。
最大電力点追従演算部160は、発電電圧取得部140が取得する発電電圧と、発電電流取得部150が取得する発電電流とに基づいて、最大電力点を判定する。具体的には、最大電力点追従演算部160は、太陽光発電装置SCの出力電圧を監視しつつ、コンバータDC1に対して、太陽光発電装置SCの出力電流を変動させる制御を行う。最大電力点追従演算部160は、出力電流を変動させながら、出力電圧と出力電流との積、すなわち太陽光発電装置SCの出力電力を算出する。最大電力点追従演算部160は、出力電力が最大になる電圧値と電流値との組み合わせを、最大電力点として判定する。
最大電力点追従演算部160は、この最大電力点における電圧値及び電流値を、電力制御部120に対して出力する。
【0040】
電力制御部120は、太陽光発電装置SCの最大電力点における電圧値に、他の変動電源VPSからコンバータDCを介して出力される電力の電圧値を一致させる制御を行う。具体的には、風力発電装置WGに接続されるコンバータDC2、水力発電装置HGに接続されるコンバータDC3のそれぞれの出力電圧を、太陽光発電装置SCの最大電力点における電圧値に一致させる。
つまり、電力制御部120は、複数の変動電源VPSのうち特定の変動電源VPSの発電電圧及び発電電流に基づいて、当該特定の変動電源VPS以外の変動電源VPSの発電電圧を制御する。
電力制御部120は、太陽光発電出力への追従制御を行うことにより、太陽光発電装置SCの発電効率を最大化することができる。
【0041】
従来の技術によると、風力発電装置WGや水力発電装置HGについても、発電効率を最大化することも考えられる。しかしながら、太陽光発電装置SCに加え、風力発電装置WGや水力発電装置HGについて、それぞれ発電効率を最大化する場合には、互いのコンバータDCの出力電圧が一致しない場合がある。ここで、電圧に不均衡が生じることを防ぐため、複数のコンバータDCの出力電圧は、一致していることが求められる。つまり、複数の電源の発電効率をそれぞれ最大化するように制御しても、結局いずれかの出力電圧にあわせて制御しなければならず、すべての電源の発電効率を同時に最大化することは困難である。この場合、発電効率を最大化する演算が徒に複雑化してしまうという問題が生じる。
【0042】
電力制御部120は、複数の変動電源VPSのうち、いずれか1つの電源の発電効率を最大化して、他の電源の出力電圧を、このいずれか1つの電源の出力電圧に一致させる。これにより、電力制御部120は、発電効率を最大化する演算を複雑化させることなく、いずれか1つの電源の発電効率を最大化することができる。
【0043】
なお、上述において、電力制御部120は、太陽光発電装置SCの最大電力点に合わせて、他の電源の出力を制御する場合を一例にして説明したが、これに限られない。電力制御部120は、複数の電源のうち、いずれか1つの電源の最大電力点に合わせて、他の電源の出力を制御すればよい。
【0044】
[アラーム出力]
次に、アラーム出力について説明する。
アラーム情報取得部170は、非変動電源NVPSからアラーム情報を取得する。このアラーム情報とは、例えば、充電残量の低下、燃料残量の低下、機器の故障や劣化などを示す情報である。
【0045】
アラーム判定部180は、アラーム情報取得部170が取得するアラーム情報に基づいて、アラームの出力を行うか否かを判定する。アラーム判定部180は、アラーム情報がアラームを出力する基準を満たせば、アラームを出力すると判定する。例えば、アラーム判定部180は、エンジン発電装置EGの燃料残量が所定の基準値以下である場合、アラーム(警報)を出力すると判定する。
【0046】
アラーム出力部190は、アラーム判定部180がアラームを出力すると判定した場合、アラーム受信装置RAに対してアラームを出力する。つまり、アラーム出力部190は、非変動電源NVPSの発電状況に基づく警報を出力する。ここで、アラーム受信装置RAは、例えば、小水力発電所PPの監視室などに備えられる。アラーム受信装置RAは、アラームを受信すると、監視盤や監視モニターなどに、アラームを出力する。
【0047】
以上説明したように、制御装置10は、変動電源VPS及び非変動電源NVPSから電動機MTRに供給される電力のうち、水力発電装置HGによって発電された電力を優先させて供給する。上述したように、本実施形態の設備1は、主に、水路WWの付近に設置される。したがって、水源が枯渇しない限り、水のエネルギーは、設備1に対して安定的に供給される。つまり、制御装置10は、安定的に供給される水のエネルギーによって発電された電力を優先的に電動機MTRに供給することにより、電動機MTRを備える設備1を安定的に動作させることができる。
【0048】
また、制御装置10は、水力発電装置HGの発電量が不足する場合には、他の電源のうち変動電源VPSからの電力供給を優先する。つまり、制御装置10は、充電残量や燃料残量による電力供給可能時間の制約がある電源よりも、変動電源VPSからの電力供給を優先する。このように構成することにより、制御装置10によれば、充電残量や燃料残量の低下による電力供給停止の頻度を低下させることができる。つまり、制御装置10によれば、電動機MTRを備える設備1を安定的に動作させることができる。
【0049】
また、制御装置10は、アラーム出力部190を備える。制御装置10は、このアラーム出力部190により、発電装置の故障や充電残量や燃料残量の低下を、外部に通知する。したがって、制御装置10によれば、例えば、非変動電源NVPSによって電力を供給しなければならなくなった場合に、燃料残量が低下していて発電できない、といった状況の発生を低減することができる。つまり、制御装置10によれば、電動機MTRを備える設備1を安定的に動作させることができる。
【0050】
また、電動機MTRには、トルク特性によっては、始動時などに定常時に比べて大きな負荷が発生する場合がある。この場合、電動機MTRを始動させるためには、定常時に比べて大きな電力が要求される。一方、電動機MTRは、いったん始動した後は負荷が低下する。つまり、電動機MTRの始動電流に合わせて電源を設計すると、電動機MTRの定常動作時には必要のない無駄に大きな電源を用意しなければならない。
【0051】
制御装置10は、この電動機MTRの特性に合わせて、電動機MTRの負荷変動の速度に対応して電力供給が可能な負荷変動対応電源を備える。このように構成することにより、制御装置10は、他の電源の電力供給量を低減させることができる。つまり、制御装置10によれば、装置全体の小型化や低価格化を図ることができる。
【0052】
また、制御装置10は、負荷変動対応電源への充電電流を制限する電流制限部CLを備える。ここで、負荷変動対応電源は、電動機MTRの負荷変動に即応できるように設計されるため、単位時間当たりの放電電力量が比較的大きい。このため、負荷変動対応電源は、単位時間当たりの充電電力量も比較的大きい。ここで、負荷変動対応電源の電圧よりも、他の電源が供給する電圧が高ければ、負荷変動対応電源が充電される。この負荷変動対応電源の充電電流が規定値よりも大きい場合には、負荷変動対応電源の劣化や故障をまねくおそれがある。制御装置10は、電流制限部CLを備えることにより、この充電電流を制限し、負荷変動対応電源の劣化や故障の発生を低減させることができる。
【0053】
なお、電力制御部120が行う電力の優先供給制御は、次のように構成されてもよい。例えば、設備1の設置環境によっては、太陽光発電装置SCが設置されていたとしても、この太陽光発電装置SCに対する日照条件が比較的悪い場合がある。このような場合には、電力制御部120は、太陽光発電装置SCによって発電された電力を優先させて供給し、水力発電装置HGによって発電された電力を、太陽光発電装置SCの次に優先させて供給するとしてもよい。この場合、電力制御部120は、太陽光発電装置SCへの日照がない又は少ない場合には、水力発電装置HGによって発電された電力を他の電力に優先して供給する。すなわち、電力制御部120は、実質的に水力発電装置HGによって発電された電力を他の電力に優先して供給する。つまり、電力制御部120は、水力発電装置HGによって発電された電力を他の電力に優先して供給すればよく、必ずしも水力発電装置HGによって発電された電力を最優先にして供給しなくてもよい。
【0054】
また、電力制御部120は、上述したステップS80が終了した後に、再度、発電状態情報取得部110から電源情報VSを取得してもよい。つまり、電力制御部120は、ステップS80が終了した後に、ステップS20からステップS80の処理を繰り返してもよい。例えば、水力発電装置HGは、取水口などに落ち葉などが付着し、設計電力量よりも少ない電力しか発電できない状態である場合に、取水口を清掃することにより設計電力量にまで発電量が復帰する場合がある。このような場合において、電力制御部120は、電源情報VSを繰り返し取得することにより、電源情報VSを更新する。これにより、電力制御部120は、水力発電装置HGなどの発電量が変化した場合に、その変化に追従する制御を行うことができる。
【0055】
以上、本発明の実施形態を、図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更を加えることができる。また、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上述した各実施形態を適宜組み合わせることができる。
【0056】
なお、上述の各装置は内部にコンピュータを有している。そして、上述した各装置の各処理の過程は、プログラムの形式でコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記憶されており、このプログラムをコンピュータが読み出して実行することによって、上記処理が行われる。ここでコンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、DVD−ROM、半導体メモリ等をいう。また、このコンピュータプログラムを通信回線によってコンピュータに配信し、この配信を受けたコンピュータが当該プログラムを実行するようにしてもよい。
【0057】
また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよい。
さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。