特許第6293222号(P6293222)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6293222コークス化されたアップグレーディング剤の再生を通した高収率での合成ガスの製造
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6293222
(24)【登録日】2018年2月23日
(45)【発行日】2018年3月14日
(54)【発明の名称】コークス化されたアップグレーディング剤の再生を通した高収率での合成ガスの製造
(51)【国際特許分類】
   C10J 3/46 20060101AFI20180305BHJP
   C01B 3/38 20060101ALI20180305BHJP
   C10G 11/18 20060101ALI20180305BHJP
【FI】
   C10J3/46 Z
   C01B3/38
   C10G11/18
【請求項の数】17
【外国語出願】
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2016-160551(P2016-160551)
(22)【出願日】2016年8月18日
(65)【公開番号】特開2017-88856(P2017-88856A)
(43)【公開日】2017年5月25日
【審査請求日】2016年10月17日
(31)【優先権主張番号】4240/MUM/2015
(32)【優先日】2015年11月6日
(33)【優先権主張国】IN
(73)【特許権者】
【識別番号】515012077
【氏名又は名称】インディアン オイル コーポレーション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100102842
【弁理士】
【氏名又は名称】葛和 清司
(72)【発明者】
【氏名】サイドゥル,ガダリ
(72)【発明者】
【氏名】ムクティヤール,サドゥーラー
(72)【発明者】
【氏名】バヌプラサード,サヤパネニ ゴピナート
(72)【発明者】
【氏名】ナート,ベネート ベヌ
(72)【発明者】
【氏名】ビンドゥ,ドゥーサ ヒマ
(72)【発明者】
【氏名】クマラン,サテーシュ ヴェタークンネル
(72)【発明者】
【氏名】バッタチャルヤ,デバシス
(72)【発明者】
【氏名】クマール,ブリジェシュ
(72)【発明者】
【氏名】ダス,ビスワプリヤ
【審査官】 大島 彰公
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭52−068207(JP,A)
【文献】 特開平01−266856(JP,A)
【文献】 国際公開第2010/123487(WO,A1)
【文献】 米国特許第04388213(US,A)
【文献】 特開昭59−045904(JP,A)
【文献】 米国特許第04274942(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C01B3/00−6/34
C10G1/00−99/00
C10J1/00−3/86
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
石油残油中の重炭化水素を高価値の炭化水素に分解する方法である、高濃度のコン炭素および重金属を含有する石油残油のアップグレーディング方法中の合成ガス製造を増加させる方法であって:
a)使用済みアップグレーディング剤を、合成ガスの製造のための蒸気および空気または酸素含有ガスと共にライザーから改質器に導入すること、
b)燃焼器において改質器から得られる部分的に回復したアップグレーディング剤に存在する残留コークスを燃焼すること、
c)燃焼器からの回復したアップグレーディング剤および蒸気および空気または酸素含有ガスの存在下炭化水素をさらなる合成ガスの製造のための補助改質器に導入すること、
d)補助改質器からライザーに、回復したアップグレーディング剤を循環すること、および
e)改質器および/または補助改質器において製造された合成ガスを回収すること、
を含む前記方法。
【請求項2】
石油残油中の重炭化水素を高価値の炭化水素に分解する方法である、高濃度のコン炭素および重金属を含有する石油残油のアップグレーディング方法中の合成ガス製造を増加させる方法であって:
a)使用済みアップグレーディング剤を、合成ガスの製造のための蒸気および任意に空気または酸素含有ガスと共にライザーから改質器に導入すること、
b)燃焼器において、改質器から得られる部分的に回復したアップグレーディング剤に存在する残留コークスを燃焼すること、
c)燃焼器から改質器に戻して、回復したアップグレーディング剤を循環すること、
d)改質器からの回復したアップグレーディング剤、および任意に蒸気および空気または酸素含有ガスの存在において炭化水素をさらなる合成ガスの製造のための補助改質器に導入すること、
e)補助改質器からライザーに回復したアップグレーディング剤を循環すること、および
f)改質器および/または補助改質器において製造された合成ガスを回収すること、
を含む前記方法。
【請求項3】
請求項1または2に記載された方法であって、ライザーが出口温度550℃〜650℃で稼働し;改質器が700℃〜850℃および2〜30atmで稼働し;燃焼器が750℃〜950℃の範囲の温度で稼働し;補助改質器が650℃〜750℃の範囲の温度で稼働する、前記方法。
【請求項4】
請求項2に記載の方法であって、燃焼器から改質器に戻る回復したアップグレーディング剤を循環することが、燃焼器において発生する熱の一部を改質器に移送することにより改質器の温度を維持する、前記方法。
【請求項5】
改質器への導入前に、ストリッパーにおいて、使用済みアップグレーディング剤をライザーから得られる分解生成物から分離する、請求項1または2に記載の方法。
【請求項6】
合成ガスを製造するために改質器に任意に炭化水素流を導入することを含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項7】
部分的に回復したアップグレーディング剤上に存在する残留コークスを燃焼器において燃焼することが酸素含有ガス流で行われる、請求項1または2に記載の方法。
【請求項8】
請求項1または2に記載の方法であって、補助改質器における合成ガスの製造が、蒸気および空気または酸素含有ガスを有する炭化水素流の吸熱性改質により行われ、それにより回復したアップグレーディング材料を冷却し、ライザーへの回復したアップグレーディング材料の循環における増加を許容する、前記方法。
【請求項9】
補助改質器からライザーへの回復したアップグレーディング剤の循環が1〜3重量%の範囲におけるデルタコークスを許容する、請求項1または2に記載の方法。
【請求項10】
方法が、炭化水素に対する蒸気のモル比が2〜5:1の比率で蒸気および炭化水素流を補助改質器に通す、請求項1または2に記載の方法。
【請求項11】
回復したアップグレーディング材料および部分的に回復したアップグレーディング材料がGeldart Group A分類に属する多孔性流動性ミクロ球状固体粒子である、請求項1または2に記載の方法。
【請求項12】
請求項1または2に記載の方法であって、回復したアップグレーディング材料および部分的に回復したアップグレーディング材料が、20〜200ミクロンの範囲の粒径、1200〜1600kg/mの範囲の粒子密度、および80〜400m/gの範囲の表面領域を有し、ならびにアルミナ、シリカアルミナ、カオリン粘度またはそれらの混合物を含む、前記方法。
【請求項13】
補助改質器が燃焼器の温度より50℃〜300℃低く、ライザーの温度より50℃〜100℃高い範囲における温度で維持される、請求項1または2に記載の方法。
【請求項14】
残油がコン炭素、ニッケル、バナジウム、ナトリウム、窒素および硫黄不純物を含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項15】
石油残油のアップグレーディング方法中の合成ガス製造を増加させるシステムであって該システムが:
a)炭化水素残留物を注入する手段[6,6A]、蒸気を含む流動化兼噴霧媒体を注入する手段[7,7A]、リフト蒸気を注入する手段[8,8A]、回復したアップグレーディング材料を注入するための移送ライン[22,23A]を有するライザー[1,1A]、および分解生成物[9,9A]を分離するストリッパー[2,2A]、および使用済みアップグレーディング材料[10,10A]を含む分解ゾーン;
b)炭化水素/コークスを合成ガスに改質する改質器[3,3A]および残留コークスを燃焼して排煙を製造する燃焼器[4,4A]を含む2段階の再生ゾーン;および
c)炭化水素流の改質によりさらなる合成ガスを製造するための、燃焼器[4]の下流に、または改質器[3A]の下流に、およびライザー[1,1A]の上流に配置される補助改質器[5,5A]を含む熱除去ゾーン、
を含む、前記システム。
【請求項16】
請求項15に記載のシステムであって、改質器[3,3A]が部分的に回復したアップグレーディング材料[15,15A]を燃焼器[4,4A]に移送するための手段を含み、手段がリフトラインを含む、前記システム。
【請求項17】
補助改質器[5,5A]が任意に補助改質器の底部に配置される分配器を含む、請求項15に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、コークス化されたアップグレーディング材料/剤の再生による高収率での合成ガスの製造方法に関する。本発明はさらに補助改質器などの熱除去ゾーンを通して回復したアップグレーディング材料/剤の循環による高収率の合成ガスに関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
合成のガス、これはまた合成ガスとして知られる、は主に一酸化炭素(CO)および水素(H)、および非常に頻繁にいくらかの二酸化炭素を含むガスの混合物である。一般に合成ガスは任意の炭素質物質材料から製造され得る。特に、農業廃棄物、森林生成物、草、および他のセルロース系材料などのバイオマスは合成ガスに変換され得る。
【0003】
合成ガスは、化学およびバイオ精錬産業におけるプラットホーム中間体であり、非常に多くの用途を有する。合成ガスを、アルカン、オレフィン、酸化物、およびエタノールなどのアルコールに変換できる。これらの化学物質を、ディーゼル油、ガソリン、および他の液体燃料に混ぜることができ、またはディーゼル油、ガソリン、および他の燃料として直接用いることができる。合成ガスをまた熱および力を製造するために直接燃焼してもよい。アルコールが化石燃料以外の供給材料から製造されるとき、石油ベースの燃料および燃料添加物の代わりのアルコールの代用が特に環境に優しくなり得る。
【0004】
改善された方法は、合成ガスをより費用効果的に製造する必要がある。該方法はまたより高い純度で、合成ガスのエタノールなどの他の生成物への変換を容易にするためにHのCOに対する望ましい比で合成ガスを製造するために望ましい。
【0005】
残留油は、コークス化方法を介して石油製錬所においてアップグレーディングできる一方、残油アップグレーディングを達成するためのより効率的で費用効果的な方法のための技術がなお相当に必要である。また、かかる原料油をアップグレーディングするとき、液体生成物の量を増加し、作られるガスおよび/またはコークスの量を減らす必要がある。ディレードコーキングおよびフルードコーキング方法は大量の低い価値の石油コークスを製造し、それは典型的にはコン炭素の1.5倍であり、それは、27%のコン炭素と共に40%のVRを有する重粗製油の加工が各100MTの粗製油につき副生成物として16MTのコークスを製造するだろうことを意味する。コークスの価格は粗製油の価格と比較して非常に低く、粗製油の価格の約10分の1であり、それは製錬所の余裕を重くむしばむ。現在のシナリオにおいて、これまで悪化している品質を考慮した粗製油の製錬所の余裕を維持することは主により液体でかつコークスなどの低価値な副生成物をより少なく産生するように残留物のアップグレーディングから得られる利益率に依存する。
【0006】
高度に汚染された残留原料油のアップグレーディングにおける最大の挑戦は、これらの不純物の低下なしに固体粒子上の原料油不純物を堆積させ、ユニットの良好な連続運転で維持可能な稼働を達成することである。残留物はより多くのコン炭素残留物を含有し、したがってそれらの不純物を堆積するためにより大きな表面を必要とし、さもなければ同じものがユニットの遮断に至る反応器の壁に堆積し得る。最終的にそれは原料油における残留内容を制限する。
【0007】
コークス/コークス改質方法のin-situの部分的な再生におけるもう1つの挑戦は、合成ガスの商業生産に適した反応速度を維持している。コークスはアップグレーディング材料の外側表面に堆積するのみでなくまた残油アップグレーディング方法中のアップグレーディング材料孔中にも堆積する。アップグレーディング材料上に堆積されるコークスは孔を塞ぐ;したがってそれは再生剤に接するのに利用可能な全表面領域を減らす。残油のコン炭素が増加するにつれて、アップグレーディング材料上の多層のコークス形成/堆積が起こる。多層コークスはガス化するのが難しく、石油コークスのガス化と同様のガス化のためにはより高温を必要とする。アップグレーディング材料の表層/表面上のコークスは反応しやすい;コークスの残っている内部層は増加する拡散抵抗により再生し難い。コークスの表層の部分的な再生は均質なモデルになり、一方コークスの内部層の部分的な再生は律速段階である増加した拡散抵抗を有するコアモデルを縮小することになる。
【0008】
したがってより高いコン炭素および金属濃度を含有する重い残油を、より効率的および費用効果のある方法を通してより軽い生成物にアップグレーディングする必要がある。かかる方法は、副生成物として石油コークスを製造することなく、例えばより高い品質の油、高品質の合成ガスなどのより高い価値の生成物を製造するべきである。
【0009】
発明の概要
本発明は、石油残油のアップグレーディング方法中の合成ガス製造を増加させる方法であって該方法が:
a)使用済みアップグレーディング剤を、合成ガスの製造のための蒸気および空気または酸素含有ガスと共にライザーから改質器に導入すること、
b)燃焼器において改質器から得られる部分的に回復したアップグレーディング剤に存在する残留コークスを燃焼すること、
c)燃焼器からの回復したアップグレーディング剤および蒸気および空気または酸素含有ガスの存在下炭化水素をさらなる合成ガスの製造のための補助改質器に導入すること、
d)補助改質器からライザーに、回復したアップグレーディング剤を循環すること、を含む前記方法に関する。
【0010】
本発明は、さらに石油残油のアップグレーディング方法中の合成ガス製造を増加させる方法であって:
a)使用済みアップグレーディング剤を、合成ガスの製造のための蒸気および空気または酸素含有ガスと共にライザーから改質器に導入すること、
b)燃焼器において改質器から得られる部分的に回復したアップグレーディング剤に存在する残留コークスを燃焼すること、
c)燃焼器から改質器に戻して、回復したアップグレーディング剤を循環すること、
d)改質器からの回復したアップグレーディング剤および任意に蒸気および空気または酸素含有ガスの存在下炭化水素をさらなる合成ガスの製造のために補助改質器に導入すること、
e)補助改質器からライザーに回復したアップグレーディング剤を循環すること、を含む前記方法に関する。
【0011】
本発明は、さらに石油残油のアップグレーディング方法中の合成ガス製造を増加するシステムであって:
a)炭化水素残留物を注入する手段[6,6A]、流動化兼蒸気を含む噴霧媒体を注入する手段[7,7A]、リフト蒸気を注入する手段[8,8A]、回復したアップグレーディング材料を注入するための移送ライン[22,23A]を有するライザー[1,1A]、および分解生成物[9,9A]を分離するストリッパー[2,2A]、および使用済みアップグレーディング材料[10,10A]を含む分解ゾーン;
b)改質器[3,3A]および燃焼器[4,4A]を含む2段階の再生ゾーン;および
c)回復したアップグレーディング材料[18,19A]から除去された過剰の熱を利用しながら、炭化水素流の改質によりさらなる合成ガスを製造するための補助改質器[5,5A]を含む熱除去ゾーン、
を含む、前記システムに関する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図面の説明
図1図1は、より高い品質の油および高収率の合成のガス中に高濃度のコン炭素および金属を含有するアップグレーディング残渣油を含む方法の模式図である。
図2図2は、O含有ガスの不存在下でもまた稼働できる改質器における変化を有するスキーム−1などの模式図である。
【0013】
発明の説明
本発明は多様な改良および/または代替の方法ならびに/あるいは組成物に影響されやすく、その特別な態様は図および表における例の方法により示され、以下に詳細に記載されるだろう。しかしながら、それが開示される特別な方法および/または組成物に発明を制限することを意図せず、反対に本発明が全ての改良、当量、およびその趣旨に入る代替および添付の請求項により定義される発明の範囲に及ぶと理解されるべきである。
【0014】
グラフ、表、式、プロトコールは、本明細書における記載の利益を有する当業者に簡単に明らかになるだろう詳細な開示を不明確にしないように本発明の態様を理解することに適切である具体的な詳細のみを示す、図において従来の表示により適切であるものにより表される。
【0015】
以下の説明は例示の態様のみであり、発明の範囲、何らかの適応性または構成の制限を意図しない。むしろ、以下の説明は発明の例示の態様を実施するための便利な具体例を提供する。記載された態様に対する多様な変化が、発明の範囲から逸脱せずに機能および構成要素の配置においてなされてもよい。
【0016】
本発明は、原料油から1種以上の不純物を除去するためのアップグレーディング材料を用いることによる高濃度のコン炭素および重金属を含有する石油残油原料油のアップグレーディングの方法およびコークス化されたアップグレーディング材料の再生中の高収率の合成ガスの製造に関する。
【0017】
本方法は、ライザー[1]、ストリッパー[2]を含む分解ゾーン、改質器[3]および燃焼器[4]を含む2段階の再生ゾーン、およびライザー[1]に送られる前に、蒸気を有しおよび任意に空気/酸素を有する[19]炭化水素流[20]の吸熱の再形成を行うことにより回復したアップグレーディング材料[18]から過剰な熱を取り除くための燃焼器[4](図1)の出口で補助改質器[5]を含む熱除去ゾーン、を含む。
【0018】
分解ゾーンは残留炭化水素流[6]を注入するための手段、蒸気[7]などの噴霧媒体を注入するための手段、リフト蒸気[8]の注入のための手段、および回復したアップグレーディング材料[22]のライザー[1]への注入のための手段、すなわち移送ラインを含んでもよい。再生ゾーンからくる回復したアップグレーディング材料は、ライザーにおける流動化媒体により上げられるだろう。残留炭化水素流が回復したアップグレーディング材料に接触するとすぐに即時の原料油の蒸気化が起こる。流動床反応器における残留分解の挑戦の1つは残留原料油の迅速な蒸気化である。残留物は大量の多環性芳香族化合物を含有する。これらの炭素質化合物は、主に550℃を超える沸点を有する高沸点炭化水素であり、より特にアスファルテンおよびホスフィリンの沸点は800℃よりさらに高い。分解の間、これらの化合物はほとんど蒸気化し、コークスとしてアップグレーディング材料/アップグレーディング剤の表面上に堆積しない。したがって形成されるコークスは、アップグレーディング材料の孔に堆積し、そのため孔の口を塞ぎ、したがって減少した表面領域をもたらす。原料油のコン炭素の価値が増加するにつれて、コークスの製造が増加する。アップグレーディング材料上に付されたコークスはアップグレーディング材料の循環率に依存して変化してもよく、順番に分解反応器の出口温度に依存する蒸気化を供給してもよい。
【0019】
改質器の温度は850℃より下に維持される。650℃より下の改質器の温度でのメタン製造が好ましいことがわかる。
炭化水素原料油の注入の前に、該原料油は過熱した蒸気で予め混合され、その後同じものを分解反応器中に注入しながら小滴を作るように高せん断力を適用することによりノズルの使用で分散させる。炭化水素原料油における蒸気分散は、炭化水素部分圧ならびに炭化水素混合物の平均分子量および沸点ならびに蒸気を低減し、そのため原料油の最大量は供給混合領域温度で急速に蒸発する。供給噴霧化とは別に、蒸気の少量はまた分解反応器中に炭化水素部分圧を低減するために供給注入部の下流で注入され得る。本発明における総蒸気はオイルに対して0.3〜1.5wt/wtの範囲になるだろう。
【0020】
本発明のアップグレーディング材料またはアップグレーディング剤(本発明においてアップグレーディング材料およびアップグレーディング剤は交換可能に用いられる)は基本的にGeldart Group A分類に属する多孔性流動性ミクロ球状固体粒子である。アップグレーディング材料の典型的な粒径および粒子密度の範囲は、約20〜200ミクロンおよび1200〜1600kg/mである。アップグレーディング材料は60m/gを超える表面領域、好ましくは80〜400m/gを有する。アップグレーディング材料は主にアルミナ、シリカアルミナ、カオリン粘度またはそれらの混合物から構成される微粒子からなる。これらの微粒子はFCC触媒製造の従来技術、すなわち所望の化学組成物の溶液を製造すること、続くスプレー乾燥および焼成、を用いて製造できた。典型的に、これらの材料はMAT活性が10未満により特徴づけられるように非常に低い酸性分解活性を有する。しかしながら、我々の発明は低活性アップグレーディング材料だけに限定されない。循環アップグレーディング材料上の総堆積金属は1〜2重量%と同じくらい高く、循環アップグレーディング材料上の金属レベルは新鮮なアップグレーディング材料添加割合を系に調整することにより制御される。
【0021】
残油原料油がライザーにおいて回復したアップグレーディング材料に接するにつれて、原料油は蒸気化し炭化水素の分解がライザーの長さに沿って起こりより軽い炭化水素生成物が生じる。残留分子は一般に、例えば金属、窒素などのヘテロ原子により結合されるシートの異なる層から作られる。金属、窒素、硫黄は一般にポルフィリン、および/またはコン炭素として存在する。
【0022】
これらの分子は非常に高い分子量であり、一般に550℃未満で蒸発しない。分解の間、これらの化合物はコークスとしてアップグレーディング材料の表面に堆積される。したがって形成されるコークスはアップグレーディング材料の孔に堆積し、そのため表面領域を塞ぐ。原料油のコン炭素価が増加するにつれてコークス製造も増加する。アップグレーディング材料上に置かれたコークスは、アップグレーディング材料の循環率、供給蒸発に依存して変化してもよく、それは順番に分解反応器の出口温度に依存する。そのため、反応器のより高い出口温度に維持することが必須であり、好ましくは最大量の残留物を確実にするために550〜650℃の範囲において原料油を蒸発させる。
【0023】
分解された生成物[9]および使用済みのアップグレーディング材料/剤[10]はストリッパー[2]で分離され、使用済みのアップグレーディング剤[10](使用済みのアップグレーディング材料および使用済みのアップグレーディング剤は本発明において交換可能に用いられる)は、アップグレーディング材料の間質腔および孔に存在する炭化水素を取り除いた後、改質器[3]に移送される。使用済みのアップグレーディング材料[10]は、供給および稼働条件の型に依存して1〜3重量%のコークスを構成し、コークスは薄層の形成におけるアップグレーディング材料の表面に平らに広がる。石油コークスと異なり、分解反応器において製造されるコークスは、初期の形態にあり、薄層の形態における高い表面領域アップグレーディング材料上に分散するので、それは高度に反応性である。
【0024】
アップグレーディング材料上に堆積されるコークスは合成ガス[14]の製造のための改質器中に蒸気[11]および空気/酸素[12]を注入することにより部分的に再生される。本発明はまた炭化水素流[13]を改質器に注入することによる合成ガスの製造を増やすための方法を提供する。その後、部分的に回復したアップグレーディング材料/部分的に回復したアップグレーディング剤[15]は、排煙[17]および回復したアップグレーディング材料または回復したアップグレーディング剤[18]を製造するために酸素含有ガス流[16]を有する残留コークスを燃焼するために燃焼器[4]に移送される(図1)。ここで、回復したアップグレーディング材料および回復したアップグレーディング剤は本発明において交換可能に用いられる。
【0025】
改質器[3]は部分的に回復したアップグレーディング材料[15]を燃焼器[4]に移送するための手段を有し、ここで、残留コークスは酸素含有ガスを用いて燃焼される。部分的に回復したアップグレーディング材料の燃焼器[4]への移送はリフトラインを用いて行われる。リフトラインを通しての部分的に回復したアップグレーディング材料の循環は、リフトラインの底部に配置されたプラグバルブにより制御される。燃焼器[4]から回復したアップグレーディング材料[18]は補助改質器[5]に移送され、ここで、アップグレーディング材料/剤は冷却され、その後ライザーに移送される。
【0026】
本発明は不純物、すなわち、コークスの形成においてアップグレーディング材料上の同じものを堆積することにより高沸点低価値残油流に存在するコン炭素、ニッケル、バナジウム、ナトリウム、塩基性窒素および硫黄の除去に関し、最大の挑戦は低下なしに固体粒子上の原料油不純物を堆積すること、およびユニットの良好な連続運転で維持可能な稼働を達成することである。残留物はさらなるコン炭素残留物を含有し、そのためこれらの不純物を堆積するための再生されたアップグレーディング材料上により大きい表面を必要とし、さもなければ同様のものが反応器の壁に堆積し、ユニットのシャットダウンに至るだろう。最終的に、それは原料油の残留物内容を限定する。蒸気を有するin-situの部分的なコークスの再生/再形成方法におけるもう1つの挑戦は合成ガスの商業生産に適した反応速度を維持している。コークスがアップグレーディング材料の表面上に堆積するだけでなく、また残留物アップグレーディング工程の間、アップグレーディング材料内部に堆積する。アップグレーディング材料上に堆積されるコークスは孔を塞ぐ;そのため、それは再生剤に接触するために利用可能な全体的な表面領域を低減する。残油のコン炭素が増加し、多層化されたコークス形成/アップグレーディング材料上の堆積が増加するにつれて、多層のコークスは石油コークスのように作用し非常に高い温度の再生環境の要件に至る。アップグレーディング材料表層/表面上のコークスは反応しやすく、消費されやすい;コークスの残りの内部層は増加する拡散抵抗のために再生が難しい。蒸気を有するコークスの表層の再生は増加した拡散抵抗を有する縮小するコアモデルに続き、それは律速段階である。
【0027】
これらの問題を克服するための1つの可能な方法は、分解反応器への固体触媒循環速度を増加することであり、それはライザーの壁へのより低いデルタコークスおよび低減したコークスの堆積をもたらす循環する固体上へのコークス前駆体の堆積のために利用できることを意味する。デルタコークスは使用済みのアップグレーディング材料上のコークスおよび回復したアップグレーディング材料上のコークスの間の差異として定義される。より低いデルタコークスは分解反応器(ライザー)に入れる前に回復したアップグレーディング材料の温度を低減するために補助改質器[5]に提供することにより達成され、それによりアップグレーディング材料の循環速度を増加する。
【0028】
本発明は合成のガス[21]を製造するための蒸気を有しおよび空気/酸素含有ガス[19]を有する炭化水素[20]の吸熱性改質のための補助改質器[5]において燃焼器[4]からの回復したアップグレーディング材料[18]から熱を除去することによりライザー[1]へのアップグレーディング材料の循環を増加するための方法を開示する(図1)。燃焼器の温度は750〜950℃の範囲に維持される。このアップグレーディング材料[18]を直接残留物原料油に接触することを許容する場合、残留物原料油へのアップグレーディング材料の比は5〜10wt/wtの範囲になるだろう。CCR22〜25重量%を有する無溶媒(neat)の高い硫黄VRの30重量%のコークス収率を考慮すると、デルタコークスは3〜6重量%の範囲になるだろう。高いデルタコークスのためにライザーの壁へのコークス堆積の高い可能性がある。本発明において、回復したアップグレーディング材料[18]は650〜750℃の範囲の温度に冷却されるので、補助改質器[5]から出てくるアップグレーディング材料[22]の残留物原料油[6]に対する比は10〜30wt/wtまで増加しデルタコークスは1〜3wt/wtまで低減される。低いデルタコークスの利益により、ライザー壁上のコークス堆積の機会が大幅に低下する。
【0029】
炭化水素流[20]の吸熱性改質が蒸気および空気/酸素含有ガスを用いて行われ、アップグレーディング材料[18]から回収した熱を利用することにより補助改質器[5]におけるさらなる合成ガスを生産する。補助改質器[5]は燃焼器[4]からの回復したアップグレーディング材料[18]を移送するための入り口手段、回復したアップグレーディング材料[22](650〜750℃の温度に冷却した)をライザー[1]に移送するための出口手段およびさらなる処理のために合成ガス生成物[21]を移送するための手段からなる。補助改質器は合成ガスを製造するための炭化水素再形成反応を促進するために選択サイズおよび形のセリウム、ニッケル、ロジウムベースの触媒材料を投入するために選択肢を有する。市販の蒸気再形成触媒はまた炭化水素蒸気再形成反応を行うためにこの形状において用いられ得る。好ましい態様の1つにおいて、補助改質器における改質器触媒材料は交互/乱雑な充填層において単純に配置され得る。蒸気および空気/酸素含有ガス[19]に加えて炭化水素流[20]は、補助改質器の下部に配置される分配器を通して触媒の層を通過する。回復したアップグレーディング材料[18]は上部から下部に触媒層を透過ししたがって循環するアップグレーディング材料および反応物質は向流方法で流れる。補助改質器の温度は、少なくとも燃焼器の温度より低いおよそ50〜300℃、および分解反応器の温度より高い50〜100℃に維持される。補助改質器ゾーンにおいて維持されるべき炭素のモル比に対する蒸気の好ましい範囲は約2〜5である。補助改質器ゾーンにおいて維持されるべき炭素モル比に対する酸素の好ましい範囲は0〜0.6である。補助改質器がより低い温度で再形成反応を成し遂げるために用いられるので、水ガスシフト反応がまた好ましい。
【0030】
本発明のもう1つの側面は、ライザー[1C]に入る前に、回復したアップグレーディング材料[19A]の流路において、改質器[3A]の下流に補助改質器[5A]を配置することである(図2)。
【0031】
図2に示される機構は;以下の変化を有する上で説明した前の機構に似ている:
1.改質器[3A]の温度は、燃焼器[4A]からの回復したアップグレーディング材料または回復したアップグレーディング剤[18A]を循環することにより維持される。改質器[3A]は蒸気[11A]のみまたはガス化剤としてのO含有ガスと共に稼働することができる。蒸気のみが改質剤として用いられるとき、改質器において製造される合成ガスは水素が豊富であり、典型的には60〜70%の水素、8〜13%のCO、15〜28%のCOおよび2〜5%のメタンを含む。対応する合成ガスの発熱量は、220〜250BTU/SCFの範囲である。
2.改質器[3A]からの部分的に回復したアップグレーディング材料[15A]は、補助改質器[5A]を介してライザー[1A]に戻り循環される。
【0032】
本方法はライザー[1A]およびストリッパー[2A]を含む分解ゾーン、改質器[3A]および燃焼器[4A]を含む2段階再生ゾーン、改質器[3A]から燃焼器[4A]への部分的に回復したアップグレーディング材料/剤[15A]の移送のための手段および燃焼器から改質器への回復したアップグレーディング材料[18A]の循環のための手段を含む循環ゾーン、ならびに、ライザー[1A]に送られる前に炭化水素流の吸熱再形成を行うことにより回復したアップグレーディング材料[19A]から過剰の熱を除去するための改質器[3A]の出口での補助改質器[5A]を含む熱除去ゾーンを含有する。
【0033】
分解ゾーンは残留炭化水素流[6A]を注入する手段、蒸気[7A]などの噴霧化媒体を注入する手段、リフト蒸気[8A]の注入手段、および回復したアップグレーディング材料[23A]をライザー[1A]に注入するための手段、すなわち移送ラインを含む。炭化水素原料油の注入の前に、該原料油は超加熱蒸気と予め混合され、その後同じものを分解反応器中に注入しながら小滴を作るように高せん断力を適用することによりノズルの使用で分散させる。炭化水素における蒸気分散は、原料油の最大量が供給混合ゾーン温度で急速に蒸発するように炭化水素部分圧、炭化水素混合物の平均分子量および沸点ならびに蒸気を低減する。供給噴霧化とは別に、蒸気の少量はまた分解反応器中に部分圧を低減するように供給注入部の下流で注入され得る。本発明における総蒸気のオイルに対する比は0.3〜1.5wt/wtの範囲になるだろう。
【0034】
分解生成物[9A]および使用済みアップグレーディング材料[10A]は、ストリッパー[2A]において分離されるだろうし、アップグレーディング材料粒子の間隙空間および孔に存在する炭化水素を取り除いた後、使用済みアップグレーディング材料[10A]は改質器[3A]に移送される。使用済みアップグレーディング材料[10A]は供給の型および稼働条件に依存し1〜3重量%のコークスを構成し、コークスを薄層の形態においてアップグレーディング材料の上に均一に分散する。製造されるコークスが初期の形態で、薄層の形態において高い表面領域のアップグレーディング材料上に分散されるとき、それは高度に反応性である。
【0035】
使用済みのアップグレーディング材料の部分的な再生は、蒸気[11A]、任意に空気/酸素含有ガス[12A]の存在下で高品質合成ガス[14A]の製造のために改質器[3A]に注入することにより行われる。本発明はまた、炭化水素流[13A]を改質器[3A]に注入することにより合成ガス[14A]の製造を増加させるための方法を提供する。その後、部分的に回復したアップグレーディング材料/剤[15A]は排煙[17A]を製造するために酸素含有ガス流と共に残留コークスを燃焼するために燃焼器[4A]に移送される(図2)。
【0036】
この機構(図2)の目的は、回復したアップグレーディング材料/剤[23A]をライザー[1A]に収容する前に合成のガス[22A]を製造するために、再形成剤として蒸気および空気/酸素含有ガス[20A]を用いて炭化水素流[21A]の吸熱性改質を行うために補助改質器[5A]における改質器[3A]からくる回復したアップグレーディング材料/剤[19A]を冷却することによりデルタコークスを減らすためにライザー[1A]へのアップグレーディング材料の循環を増すことである。その後、回復したアップグレーディング材料/剤[23A]は、移送ラインを用いて補助改質器[5A]からライザー[1A]へ移送される(図2)。
【0037】
任意の装置(図1または図2)における改質器または補助改質器に注入される炭化水素流はライザーからの分解生成物から選択されてもよい。
【0038】
したがって、本発明の主な態様は、石油残油のアップグレーディング方法中の増加する合成ガス製造の方法であって:
a)使用済みアップグレーディング剤を、合成ガスの製造のために蒸気および空気または酸素含有ガスと共にライザーから改質器に導入すること、
b)燃焼器において改質器から得られる部分的に回復したアップグレーディング剤に存在する残留コークスを燃焼すること、
c)燃焼器からの回復したアップグレーディング剤および蒸気および空気または酸素含有ガスの存在下炭化水素をさらなる合成ガスの製造のための補助改質器に導入すること、
d)補助改質器からライザーに、回復したアップグレーディング剤を循環すること、
を含む前記方法に関する。
【0039】
他の態様において、本発明は、石油残油のアップグレーディング方法中の増加する合成ガス製造の方法であって:
a)使用済みアップグレーディング剤を、合成ガスの製造のための蒸気および空気または酸素含有ガスと共にライザーから改質器に導入すること、
b)燃焼器において改質器から得られる部分的に回復したアップグレーディング剤に存在する残留コークスを燃焼すること、
c)燃焼器から改質器に戻して、回復したアップグレーディング剤を循環すること、
d)改質器からの回復したアップグレーディング剤および蒸気および空気または酸素含有ガスの存在下の炭化水素をさらなる合成ガスの製造のための補助改質器に導入すること、
e)補助改質器からライザーに回復したアップグレーディング剤を循環すること、
を含む前記方法に関する。
【0040】
もう1つの態様において、ライザーが出口温度550℃〜650℃で稼働し;改質器が700℃〜850℃および2〜30atmで稼働し;燃焼器が750℃〜950℃の範囲の温度で稼働し;補助改質器が650℃〜750℃の範囲の温度で稼働する。
【0041】
もう1つの他の態様において、燃焼器において発生した熱の一部を改質器に移送することにより改質器の温度を維持するために、回復したアップグレーディング材料は燃焼器から改質器に逆移送される。
【0042】
まだもう1つの態様において、改質器への導入前に、ストリッパーにおいて、使用済みアップグレーディング剤をライザーから得られる分解生成物から分離する。
なおもう1つの態様において、合成ガスの増加する製造方法が、任意に合成ガスを製造するために改質器に炭化水素流を注入することを含む。
さらなる態様において、燃焼器において部分的に回復したアップグレーディング剤を燃焼することが酸素含有ガス流で行われる。
【0043】
さらなる態様において、補助改質器における合成ガスの製造が、蒸気および空気または酸素含有ガスを有する炭化水素流の吸熱性改質により行われ、それにより回復したアップグレーディング材料を冷却し、ライザーへの回復したアップグレーディング材料の循環における増加を許容する。
【0044】
なおさらなる態様において、補助改質器からライザーへの回復したアップグレーディング剤の循環が1〜3重量%の範囲におけるデルタコークスを許容する。
まだもう1つの態様において、方法は2〜5の比率で蒸気および炭化水素流を補助改質器に通す。
【0045】
もう1つの態様において、回復したアップグレーディング材料および部分的に回復したアップグレーディング材料は、Geldart Group A分類に属する、多孔性流動性ミクロ球状固体粒子である。
【0046】
なおもう1つの態様において、回復したアップグレーディング材料および部分的に回復したアップグレーディング材料が、20〜200ミクロンの範囲の粒径、1200〜1600kg/mの範囲の粒子密度、および80〜400m/gの範囲の表面領域を有し、ここでアップグレーディング材料は、アルミナ、シリカアルミナ、シリカマグネシア、カオリン粘度またはそれらの混合物を含む微粒子を含む。アップグレーディング材料は、FCCまたはRFCCユニットから生じた使用済みまたは平行触媒、FCCまたはRFCCの高度に活性なフレッシュゼオライト触媒を含む群から選択されてもよい。
【0047】
もう1つの態様において、使用済みのアップグレーディング材料は、薄層の形態におけるアップグレーディング材料の上に平らに分散される1〜3重量%のコークスを有する。
さらなる態様において、補助改質器は燃焼器より下で50℃〜300℃、ライザーより上で50℃〜100℃の範囲における温度で維持される。
【0048】
さらなる態様において、本発明は石油残油のアップグレーディング方法中の合成ガス製造を増加させるシステムであって、システムが:
a)炭化水素残留物を注入する手段[6,6A]、蒸気を含む流動化兼噴霧媒体を注入する手段[7,7A]、リフト蒸気を注入する手段[8,8A]、回復したアップグレーディング材料を注入するための移送ライン[22,23A]を有するライザー[1,1A]、および分解生成物[9,9A]を分離するストリッパー[2,2A]、および使用済みアップグレーディング材料[10,10A]を含む分解ゾーン;
b)改質器[3,3A]および燃焼器[4,4A]を含む2段階の再生ゾーン;および
c)回復したアップグレーディング材料[18,19A]から除去された過剰の熱を利用する一方、炭化水素流の再形成によりさらなる合成ガスを製造するための補助改質器[5,5A]を含む熱除去ゾーン、
を含む前記システムに関する。
【0049】
好ましい態様において、補助改質器[5]は燃焼器[4]の下流に配置される。もう1つの好ましい態様において、補助改質器[5A]は改質器[3A]の下流に配置される。
なおもう1つの態様において、改質器[3,3A]は、部分的に回復したアップグレーディング材料[15,15A]を燃焼器[4,4A]に移送するための手段、ここで、手段がリフトラインを含む、を含む。
【0050】
また、補助改質器[5,5A]は、任意に補助改質器の底部に配置される分配器を含む。
【0051】
他の態様において、本発明は石油残油のアップグレーディング方法中の増加する合成ガス製造の方法であって、前記方法が以下のステップを含む:
a)出口温度550℃〜650℃の出口温度で稼働するライザー[1]に少滴の形態における炭化水素残留残留油[6]を注入すること、ここで該炭化水素残留残留油がライザーに注入する前に超加熱蒸気[7]で予め混合される;
b)ステップ(a)の炭化水素残留残留油[6]を分解された生成物[9]および使用済みのアップグレーディング材料[10]を得るためにライザー[1]の長さに沿って回復したアップグレーディング材料[22]と接触することにより、炭化水素残留残留油[6]を分解すること;
c)ストリッパー[2]において分解した生成物[9]と使用済みアップグレーディング材料[10]を分離すること;
d)使用済みアップグレーディング材料[10]を改質器[3]に移送すること;
e)合成ガス[14]を製造するために700℃〜850℃の温度範囲で、2〜30atmの圧力で蒸気[11]および空気/酸素含有ガス[12]を注入することにより改質器[3]において使用済みアップグレーディング材料の部分的再生を行うこと;
【0052】
f)任意に合成ガス[14]のさらなる量を製造するために改質器[3]に炭化水素流[13]を注入すること;
g)部分的に回復したアップグレーディング材料[15]を改質器[3]から燃焼器[4]に移送すること;
h)排煙[17]および回復したアップグレーディング材料[18]を得るために750℃〜950℃の範囲における温度で酸素含有ガス[16]の蒸気を用いて燃焼器[4]において部分的に回復したアップグレーディング材料からの残留コークスを燃焼すること。
i)燃焼器[4]から補助改質器[5]に回復したアップグレーディング材料[18]を移送すること;
j)650〜750℃[18]の温度範囲での補助改質器[5]における蒸気および空気/酸素含有ガス[19]を有する炭化水素流[20]の吸熱性改質を行うことおよび補助改質器[5]からくる回復したアップグレーディング材料[22]の循環を増加できる合成ガス[21]を製造することおよびそれにより、より低いデルタコークスを達成すること;ならびに
k)補助改質器[5]からライザー[1]に回復したアップグレーディング材料[22]を移送すること。
【0053】
もう1つの態様において、本発明は石油残油のアップグレーディング方法の間、合成ガス製造を増加する方法に関し、以下のステップを含む方法:
a)炭化水素残留残留油[6A]を550℃〜650℃の出口温度で稼働するライザー[1A]に小滴の形態において注入すること、ここで該炭化水素残留残留油がライザーに注入する前に超加熱蒸気[7A]で予め混合される;
b)ステップ(a)の炭化水素残留残留油[6A]を分解された生成物[9A]および使用済みのアップグレーディング材料[10A]を得るためにライザー[1A]の長さに沿って回復したアップグレーディング材料[23A]と接触することにより分解すること;
c)ストリッパー[2A]において分解した生成物[9A]と使用済みアップグレーディング材料[10A]を分離すること;
d)使用済みアップグレーディング材料[10A]を改質器[3A]に移送すること;
e)合成ガスを製造するために蒸気[11A]任意に空気/酸素含有ガス[12A]を700℃〜850℃の温度範囲で、2〜30atmの圧力で蒸気[13A]を注入することにより、改質器[3A]において使用済みアップグレーディング材料の部分的再生を行うこと;
【0054】
f)任意に合成ガス[14A]のさらなる量を製造するために改質器[3A]に炭化水素流[13A]を注入すること;
g)部分的に回復したアップグレーディング材料[15A]を改質器[3A]から燃焼器[4A]に移送すること;
h)排煙[17A]および回復したアップグレーディング材料[18A]を得るために750℃〜950℃の範囲における温度で酸素含有ガス[16A]の蒸気を用いて燃焼器[4A]において部分的に回復したアップグレーディング材料[15A]から残留コークスを燃焼すること。
i)燃焼器[4A]において発生した熱の一部を改質器[3A]に移送するために燃焼器[4A]から改質器[3A]まで戻って回復したアップグレーディング材料[18A]を移送すること;
j)改質器[3A]から補助改質器[5A]に回復したアップグレーディング材料[19A]を移送すること;
k)650〜750℃[19A]の温度範囲での補助改質器[5A]において蒸気および空気/酸素含有ガス[20A]を用いた炭化水素流[21A]の吸熱性改質を行うことおよび補助改質器[5A]からくるアップグレーディング材料[23A]の循環を増加できる合成ガス[22A]を製造し、それにより、より低いデルタコークスを達成すること;ならびに
l)補助改質器[5A]からライザー[1A]に回復したアップグレーディング材料[23A]を移送すること。
【0055】
さらなる態様において、ステップ(a)における炭化水素残留物[6]および[6A]を過熱蒸気[7]および[7A]それぞれと、炭化水素残留物比が0.3〜1.5wt/wtの範囲である蒸気と共に予め混合する。
さらなる態様において、炭化水素残留物原料油[6]および[6A]はコン炭素、ニッケル、バナジウム、ナトリウム、窒素および硫黄不純物を含む。
さらなる態様において、補助改質器[5]および[5A]は炭化水素流[21]および[21A]それぞれに吸熱性改質することを含み、さらなる合成ガス[22]および[22A]をそれぞれ発生させる。
【0056】
さらなる態様において、合成ガス[14,14A,22,22A]は、60〜70%の水素、8〜13%の一酸化炭素、15〜28%の二酸化炭素および2〜5%のメタンを含み、ならびに該合成ガスの発熱量は220〜250BTU/SCFの範囲である。
好ましい態様において、補助改質器[5]および[5A]における吸熱性改質は、回復したアップグレーディング材料[18]および[19A]それぞれを蒸気および空気/酸素と共に冷却することから回収した熱を利用することにより行われる。
【0057】
好ましい態様において、補助改質器[5]および[5A]は、炭化水素流[21]および[21A]の改質を増やして、さらなる合成ガス[22]および[22A]をそれぞれ製造するために、任意にセリウム、ニッケルおよびロジウムベースの触媒材料を用いる。
好ましい態様において、セリウム、ニッケルおよびロジウムに基づく触媒材料は千鳥型/ランダム型充填床において配置される。
【0058】

例−1は、アップグレーディング材料の改善された循環率それにより本方法のアップグレーディング材料上の減少したコークス堆積レベルを示す。
アップグレーディング材料のコークス堆積レベルは、残留物分解に続く再生稼働において非常に重要である。ガス化ルートによる再生の間、アップグレーディング材料上のより低いコークス堆積レベルはより重要でさえある。アップグレーディング材料上のより高いコークスの堆積レベルは、ライザーの壁上のコークスの堆積の増大する機会に導き、与えられた時間において再生することを困難にさせる再生の間増大する拡散抵抗に導く。アップグレーディング材料の改善された循環率はこれらの困難を最小化し方法の生存能力を改善する。
【0059】
ライザー温度およびフィード予熱温度が一定に保たれている限り、ライザーにおける熱需要およびコークス製造は、ライザーの入り口でのアップグレーディング材料の温度にかかわりなく相当に一定である。
【0060】
ライザーの入り口でのアップグレーディング材料の温度が以下にまとめたように低い場合、ライザーを通したアップグレーディング材料の循環率は増加する。この例において、燃焼器およびライザーは950℃および650℃でそれぞれ稼働される。補助改質器の使用で、その稼働温度は750℃であり、ライザーを通したアップグレーディング材料の循環率は、補助改質器なしで行われる方法の循環率の3倍まで増加する。
【0061】
【表1】
【0062】
例−2は、本方法における合成ガスの改良された収率を説明する。
対比は補助改質器なしの方法および補助改質器を用いた方法で達成される。ライザーにおいて製造されるコークスは部分的にそれぞれガス化装置/改質器および燃焼器において合成ガスおよび排煙に変換される。燃焼器で行われる反応は高度に発熱性であり、そのため熱が製造される。燃焼器において製造される過剰の熱はライザーに移送される(補助改質器のない図1を考慮する)。酸素含有ガスを用いてCOおよびCOをコークスの一部に変換することにより必要な熱を発生させる自給自足であるので、この態様において熱をガス化装置/改質器に移送する必要はない。
【0063】
ガス化装置/改質器に供給される酸素含有ガスの量が必要な熱を製造するのに不十分であるので、燃焼器から製造される熱の少量は(補助改質器のない図1を考慮する)またガス化装置/改質器に移送される。この場合において、コークスのさらなる量はライザーおよびガス化装置/改質器の熱需要に見合うように燃焼器において燃焼されなければならない。
【0064】
両方の場合において、合成ガスに変換される割合のコークスはコークスの収率に依存して変化する。いずれの場合にも製造される合成ガスはコークスの製造により制限される。より多くのコークスが製造される場合、より多くの合成ガスが発生する。
【0065】
補助改質器を提供することにより、コークス製造に独立に稼働されるのでこの制限を克服できる。炭化水素流はさらなる合成ガスを製造するために補助改質器において変換されることができる。炭化水素流の一部はまた必要な熱の製造のための酸素含有ガスを用いてCOおよびCOに変換されてもよい。
図1
図2