(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記漏洩同軸ケーブルの延長方向に周期的に並ぶ各スロットの間隔をPSとしたときに、前記複数の連結具の各間の間隔が、少なくともPSの1倍以上であることを特徴とする請求項1〜4の何れか一項に記載のケーブル型アンテナ。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、複数のLCXを近接した状態で平行に並べて配置し、複数の連結具で連結した場合には、隣り合う一方のLCXと他方のLCXとの間の空間に、誘電体である連結具が存在することになる。この場合、隣り合うLCXの間で誘電体損失が発生し、複数のLCXを連結具を用いずに空気中に平行に並べて配置した場合よりも、LCXの伝送損失が増大することによって、アンテナ特性が低下することになる。
【0009】
また、電磁波は、LCXのスロットから放射されることから、スロットと連結具との位置関係が不適切であると、LCXの伝送損失が増大し、アンテナ特性が低下してしまう。しかしながら、LCXの外部導体に形成されたスロットは、シースによって覆われているため、目視で容易にスロット位置を把握することは困難である。
【0010】
本発明の一つの態様は、このような従来の事情に鑑みて提案されたものであり、漏洩同軸ケーブルにおけるスロットの位置を容易に把握することができるため、連結具と漏洩同軸ケーブルのスロットとの位置関係を適切にすることができ、その結果、漏洩同軸ケーブルの伝送損失の増大を防ぎ、アンテナ特性の低下を抑制したケーブル型アンテナ、並びに、そのようなケーブル型アンテナを備えた無線通信装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、本発明の一つの態様に係るケーブル型アンテナは、複数の漏洩同軸ケーブルと、前記複数の漏洩同軸ケーブルを互いに一定の間隔を設けて並列した状態で連結すると共に、前記複数の漏洩同軸ケーブルの延長方向に間隔を設けて配置された複数の連結具とを備え、前記漏洩同軸ケーブルは、線状の中心導体と、前記中心導体を同心円状に被覆する絶縁体と、前記絶縁体を同心円状に被覆すると共に、延長方向に周期的に並ぶ複数のスロットが開口して設けられた外部導体と、前記外部導体を同心円状に被覆するシースと、前記シースの外表面に、前記複数のスロットの各位置を表示する標識とを有し、前記標識の向きが前記連結具により連結される側とは反対側を向いていることを特徴とする。
【0012】
また、前記ケーブル型アンテナにおいて、前記連結具は、前記漏洩同軸ケーブルを把持する複数の把持部と、前記複数の把持部の各間を連結する連結部と、前記把持部の一部を開放する開放部とを有し、前記漏洩同軸ケーブルは、前記標識と前記開放部とが互いに同じ方向を向くように、前記把持部に把持されている構成であってもよい。
【0013】
また、前記ケーブル型アンテナにおいて、前記漏洩同軸ケーブルは、前記標識が設けられた位置を避けるように、前記把持部に把持されている構成であってもよい。
【0014】
また、前記ケーブル型アンテナにおいて、前記開放部は、前記複数の把持部の各位置からそれぞれ同じ方向に向かって開放されている構成であってもよい。
【0015】
また、前記ケーブル型アンテナにおいて、前記開放部は、前記漏洩同軸ケーブルの周方向における前記スロットの寸法よりも大きい構成であってもよい。
【0016】
また、前記ケーブル型アンテナにおいて、前記複数の漏洩同軸ケーブルの各スロットから放射される電磁波の自由空間波長をλ
0としたときに、前記複数の漏洩同軸ケーブルの各間の間隔が、少なくともλ
0の1/4倍以上である構成であってもよい。
【0017】
また、前記ケーブル型アンテナにおいて、前記漏洩同軸ケーブルの延長方向に周期的に並ぶ各スロットの間隔をPSとしたときに、前記複数の連結具の各間の間隔が、少なくともPSの1倍以上である構成であってもよい。
【0018】
また、本発明の一つの態様に係る無線通信装置は、前記何れかのケーブル型アンテナと、前記ケーブル型アンテナに接続されるアクセスポイント又は無線機とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
以上のように、本発明の一つの態様によれば、シースの外表面に、複数のスロットの各位置を表示する標識が設けられているので、漏洩同軸ケーブルにおけるスロットの位置を容易に把握することができる。また、連結具を用いて漏洩同軸ケーブルをスロットに対して適切な位置にて連結することが可能である。したがって、伝送損失を抑えつつ、アンテナ特性の低下を防ぐことが可能なケーブル型アンテナ、並びにそのようなケーブル型アンテナを備えた無線通信装置を提供することが可能である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
なお、以下の説明で用いる図面は、特徴をわかりやすくするために、便宜上特徴となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率などが実際と同じであるとは限らない。また、以下の説明において例示される材料、寸法等は一例であって、本発明はそれらに必ずしも限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲で適宜変更して実施することが可能である。
【0022】
(漏洩同軸ケーブル)
先ず、本発明の一実施形態に係るケーブル型アンテナに用いられる漏洩同軸ケーブル(以下、LCXという。)について
図1を参照して説明する。なお、
図1は、LCX1の構成を示す斜視図である。
【0023】
本実施形態のLCX1は、
図1に示すように、線状の中心導体2と、中心導体2を同心円状に被覆する絶縁体3と、絶縁体3を同心円状に被覆すると共に、このLCX1の延長方向に周期的に並ぶ複数のスロット4が開口して設けられた外部導体5と、外部導体5を同心円状に被覆するシース6とを有している。
【0024】
中心導体2及び外部導体5には、一般に銅が多く用いられているが、アルミニウムや銀などが用いられることもある。絶縁体3には、高周波帯域での伝送損失の低減を目的に誘電体損失(tanδ)の低いポリエチレンが用いられている。さらに、tanδを低くするために、絶縁体3の内部に細かな気泡を含む発砲性のポリエチレンが用いられてもよい。シース6には、ポリエチレンや塩化ビニル、難燃性のポリエチレンなどが多く用いられている。また、耐熱型のLCX1として、仮に燃焼しても中心導体2と外部導体5とが直ちに短絡しないように、絶縁体3の周囲にガラス繊維製のテープを巻き付けた構造(図示せず。)を採用してもよい。
【0025】
複数のスロット4は、LCX1の延長方向において一定の間隔(以下、スロットピッチという。)PSで直線状に並んで配置されると共に、それぞれが同じ方向に向かって開口している。スロット4の形状については、特に限定されるものではなく、例えば丸孔であっても長孔でもよい。
【0026】
本実施形態では、ジグザグ型のスロット4として、LCX1の延長方向に対して斜めとなる長孔が、その斜めとなる向きを交互に変えながら並んで配置されている。また、ジグザグ型の場合、スロットピッチPSは、斜めとなる向きが同じ方向となるスロット4の間隔を表す。
【0027】
なお、スロット4については、上述したジグザグ型に限らず、LCX1の延長方向に対して斜めとなる長孔が直線状に並んで配置された傾斜型や、LCX1の延長方向に対して垂直となる長孔が並んで配置された垂直型としてもよい。
【0028】
本実施形態のLCX1は、シース6の外表面に、複数のスロット4の各位置を表示する標識7が設けられていることを特徴とする。具体的に、
図1に示すLCXには、標識7として、複数のスロット4の各位置を示す複数のマークMが表示されている。複数のマークMは、シース6の外表面を見たときに、複数のスロット4とそれぞれ重なる位置に設けられている。すなわち、複数のマークMは、複数のスロット4の各位置と一致するようにシース6の外表面に設けられている。
【0029】
また、複数のマークMは、シース6の外表面に略円形状に印字されている。このようなマークMを印字する際は、シース6が被覆される前のLCX1を延長方向に搬送しながら、複数のスロット4の各位置を検出しながら、外部導体5をシース6で被覆する。その後、複数のスロット4の各位置を検出した結果に基づいて、シース6の外表面に、複数のスロット4の各位置を表示する複数のマークM(標識7)を印字すればよい。
【0030】
本実施形態のLCX1では、このようなスロット4の各位置を示す複数のマークM(標識7)をシース6の外表面に設けることによって、複数のスロット4の各位置を容易に確認することが可能である。
【0031】
(漏洩同軸ケーブル用連結具)
次に、上記LCX1を連結する漏洩同軸ケーブル用連結具(以下、連結具という。)として、例えば
図2(A),(B)に示す連結具10について説明する。なお、
図2(A)は、連結具10の構成を示す平面図である。
図2(B)は、
図2(A)中に示す線分X−X’による連結具10の断面図である。
【0032】
連結具10は、
図2(A),(B)に示すように、複数(本例では2本)のLCX1を互いに一定の間隔(以下、ケーブル間隔という。)SLを設けて並列した状態で連結する連結具である。なお、本実施形態において、ケーブル間隔SLは、複数のLCX1の各中心軸線間の距離(中心間隔)を表すものとする。
【0033】
具体的に、この連結具10は、LCX1を把持する複数(本例では2つ)の把持部11a,11bと、複数の把持部11a,11bの各間を連結する連結部12と、把持部11a,11bの一部が開放された開放部13とを備えている。
【0034】
連結具10は、例えば、熱可塑性樹脂であるポリエチレン、ポリ塩化ビニル(PVC)、ナイロン、アクリル、ABS(Acrylonitrile Butadiene Styrene)樹脂などのプラスチック材料を射出成形によって、複数の把持部11a,11bと連結部12とが一体に形成された構成を有している。
【0035】
複数の把持部11a,11bは、LCX1を嵌め込む構造(嵌め込み構造)を有している。ここで、把持部11a,11bは、互いに同じ嵌め込み構造を有している。したがって、把持部11a,11bによるLCX1の嵌め込み構造については、
図3(A),(B)に示す把持部11a側を例に挙げて説明するものとする。なお、
図3は、把持部11aによるLCX1の嵌め込み構造を示す断面図である。
図3(B)は、
図3(A)中に示す矢印Y
1の方向から見た嵌め込み構造の側面図である。
【0036】
把持部11aは、
図3(A),(B)に示すように、断面視で環状となる部分の一部を開放部13として開放した断面形状を有している。把持部11aは、開放部13を挟んで対称となる一対の湾曲部14a,14bを有している。一対の湾曲部14a,14bは、LCX1の外形に合わせて断面略円弧状に湾曲している。一対の湾曲部14a,14bの内径は、LCX1の外径とほぼ同じかそれよりも僅かに小さい。一対の湾曲部14a,14bの開き角θは、60°以上160°未満である。
【0037】
この嵌め込み構造では、開放部13を通して把持部11aの内側にLCX1が嵌め込まれると、一対の湾曲部14a,14bが互いに離間する方向に弾性変形しながら、LCX1を挟み込む。これにより、LCX1を把持することができる。また、把持部11aがLCX1を把持した後でも、LCX1を把持部11aから取り外すことができる。
【0038】
連結部12は、
図2(A),(B)に示すように、把持部11a,11bの間に一定の間隔(ケーブル間隔SLに相当する。)を設けた状態で、これら把持部11a,11bの間を連結している。連結部12は、把持部11a,11bの間で、所定の長さLCで略矩形平板状に形成されている。
【0039】
把持部11a,11bは、この連結部12を挟んだ連結部12の両端部において連結部12と一体に接続されている。把持部11a,11bは、この連結部12の一方の面側にそれぞれ位置している。開放部13は、この連結部12の一面に対してほぼ垂直な方向に向かって開放されている。すなわち、開放部13の位置は、把持部11a,11bと連結部12との接続位置とは反対側にある。
【0040】
開放部13は、一対の湾曲部14a,14bの間を一定の幅(上記開き角θに対応する幅)で開放している。開放部13の幅は、LCX1の周方向におけるスロット4の寸法(
図1中に示す幅Z)よりも大きい寸法を有している。開放部13は、把持部11a,11bに把持されたLCX1のスロット4を外方に臨ませる位置にある。すなわち、開放部13は、把持部11a,11bの各位置からそれぞれ同じ方向に向かって開放されている。
【0041】
本実施形態の連結具10では、把持部11a,11bにLCX1を嵌め込む構成のため、この連結具10に対するLCX1の着脱を容易に行うことができる。また、本実施形態の連結具10では、把持部11a,11bにLCX1が把持された状態のまま、このLCX1を軸回りに回転させたり、この連結具10をLCX1の延長方向にスライドさせたりすることもできる。
【0042】
(ケーブル型アンテナ)
次に、本発明の一実施形態として、例えば
図4に示すケーブル型アンテナ100について説明する。なお、
図4は、ケーブル型アンテナ100の構成を示す平面図である。
【0043】
本実施形態のケーブル型アンテナ100は、上記
図1に示すLCX1と、上記
図2に示す連結具10とを用いて構成されたものであり、例えば
図4に示すように、複数(本例では2本)のLCX1と、複数のLCX1の延長方向に所定の間隔(以下、取付ピッチという。)PCを設けて配置された複数(
図4中では2つ)の連結具10とを備えている。なお、本実施形態において、取付ピッチPCは、複数の連結具10における長さLCの各中心を通る中心線間の距離(中心間隔)を表すものとする。
【0044】
各連結具10は、各把持部11a,11bにLCX1を把持させることによって、複数のLCX1を互いに一定の間隔(ケーブル間隔SLに相当する。)を設けて並列した状態で連結している。また、各LCX1は、各スロット4を開放部13から外方に臨ませるように、把持部11a,11bに把持されている。すなわち、各LCX1は、シース6の外表面に設けられたマークM(標識7)の向きを連結具10により連結される側とは反対側に向けた状態で、各連結具10の把持部11a,11bに把持されている。
【0045】
本実施形態のケーブル型アンテナ100では、上記連結具10を用いて、複数のLCX1を容易に連結することができる。なお且つ、隣り合うLCX1のケーブル間隔SLをLCX1の延長方向に亘って一定に保つことができる。
【0046】
本実施形態のケーブル型アンテナ100は、例えばMIMO通信システムにおいて信号の送受信を行う無線通信装置のアレイアンテナ(MIMO通信用アンテナ)として好適に用いることができる。
【0047】
ケーブル型アンテナ100をMIMO通信用アンテナとして使用する場合、複数のLCX1のケーブル間隔SLは、複数のLCX1の各スロット4から放射される電磁波の自由空間波長をλ
0としたときに、λ
0/4〜5λ
0の範囲で一定であることが好ましい。このケーブル間隔SLがλ
0/4よりも小さいと、隣り合うLCX1の干渉により特性が劣化する。一方、このケーブル間隔SLを5λ
0以上とすると、連結具10の幅が大きくなり製造が困難となってしまう。また、ケーブル間隔SLは、λ
0/2〜2λ
0の範囲で一定であることが更に好ましい。
【0048】
また、MIMO通信用アンテナとして使用される場合における通信周波数の例としては、無線LANで利用される2.4GHz(λ
0=125mm)や5GHz(λ
0=60mm)、或いは次世代携帯電話の3.5GHz(λ
0=86mm)がある。これらの通信周波数のλ
0を基本としたλ
0/4,λ
0/2,λ
0,2λ
0,5λ
0の値を下記表1に示す。なお、表1において、Aで示した領域(λ
04〜5λ
0)は、高速通信を行う上で好ましいλ
0を基本としたケーブル間隔SLの範囲、Bで示した領域(λ
0/2〜2λ
0)は、更に好ましいケーブル間隔SLの範囲を示している。
【0050】
ここで、ケーブル型アンテナ100のケーブル間隔SL及び取付ピッチPCと伝送損失との関係をまとめたグラフを
図5に示す。具体的には、
図5では、上記ケーブル型アンテナ100に伝送損失測定装置を接続し、測定周波数を2.5GHz及び5GHzとし、ケーブル間隔SLを10,15,18,28,46mmとした連結具10を用いて、それぞれの連結具10の取付ピッチPCを0.25PS,0.5PS,1PS〜10PSの範囲で1PSずつ変化させたときの伝送損失[dB/m]の測定を行った結果をまとめたものである。なお、2.5GHzの場合、連結部12の長さLCを20mmとし、5GHzの場合、連結部12の長さLCを10mmとしている。
【0051】
図5に示すように、連結具10のケーブル間隔SLが狭くなるほど、伝送損失が増加することがわかる。これは、隣り合うLCX1が近づくことで、LCX1の外部導体5に生じる誘導電流による導体損失が増加するためである。
【0052】
また、連結具10の取付ピッチPCが狭くなるほど、伝送損失が増加することがわかる。これは、LCX1の延長方向において誘電体である連結具10で連結される部分の割合が増加することによって、誘電体損失が増加するためである。
【0053】
一方、連結具10のケーブル間隔SL及び取付ピッチPCが拡がることによって、伝送損失がLCX1単体の伝送損失に近づくことになる。したがって、
図5に示す測定結果から、伝送損失を低く抑えるためには、取付ピッチPCをスロットピッチPSの1倍以上とし、ケーブル間隔SLを15mm以上とすることが好ましいことがわかる。
【0054】
ケーブル型アンテナ100の伝送損失は、理想的にはLCX1単体の伝送損失に近づけることが望ましい。しかしながら、ケーブル型アンテナ100は、複数のLCX1を連結具10で連結する構成のため、伝送損失が増加する傾向にある。
【0055】
このため、ケーブル型アンテナ100の伝送損失の増加量は、0.06dB/m以下に抑えたい。これは、使用頻度の高い長さのLCX1を使用したときにLCX1の全長での信号電力の減衰量を半分以下に抑えられるからである。すなわち、10mのLCX1を使用する場合は、伝送損失の増加量を0.6dB/10mとし、使用頻度の高い50mのLCX1を使用する場合は、伝送損失の増加量を3dB/50mとすることができるからである。
【0056】
図5に示す測定結果から、伝送損失の増加量を0.06dB/mに抑えるためには、ケーブル間隔SLが15mmの場合、取付ピッチPCを1PS以上(
図5中のAで示した領域)とすることが好ましい。また、伝送損失の増加量を0.04dB/mに抑えるためには、ケーブル間隔SLが15mmの場合、取付ピッチPCを4PS以上(
図5中のBで示した領域)とすることが好ましい。さらに、伝送損失の増加量を0.02dB/mに抑えるためには、ケーブル間隔SLが15mmの場合、取付ピッチPCを8PS以上(
図5中のCで示した領域)とすることが好ましい。
【0057】
連結部12の厚みTは、LCX1のサイズD(Dの前の数字で外部導体5の概略内径[単位:mm]を表す。)に対して、D/8〜Dとすることが好ましい。この厚みTが薄いほど、LCX1の伝送損失が低くなる傾向があるが、D/8〜Dの範囲であれば、LCX1の伝送損失を低く抑えることができ、強度を維持することも可能である。
【0058】
連結部12の長さLCは、スロットピッチPSに応じて変更すればよく、具体的にはスロットピッチPSの1/10〜1倍の範囲とすればよい。
【0059】
上述したように、本実施形態のケーブル型アンテナ100では、複数の連結具10がLCX1の延長方向に所定の間隔(取付ピッチPC)を設けて配置されるため、隣り合うLCX1の間で発生する誘電体損失を低く抑えることが可能である。具体的に、取付ピッチPCは、少なくともスロットピッチPSの1倍以上であることが好ましい。また、スロットピッチPSの4倍以上であることがより好ましく、スロットピッチPSの8倍以上であることが更に好ましい。
【0060】
また、本実施形態のケーブル型アンテナ100では、マークM(スロット4)が設けられた位置を避けるように、各LCX1が連結具10で連結されていることが好ましい。これは、隣り合うLCX1のスロット4間の空間に誘電体である連結具10が存在すると、隣り合うLCX1の間で誘電体損失が生じるためである。但し、複数の連結具10を用いて複数のLCX1を連結する場合、LCX1の全長が長くなるほど、隣り合うLCX1の間でスロット4の位置がずれてしまう可能性がある。したがって、本実施形態のケーブル型アンテナ100では、必ずしもマークM(スロット4)が設けられた位置を避けるように、各LCX1を連結具10で連結する必要はなく、連結具10の取付ピッチSCに合わせて、マークM(スロット4)が設けられた位置をなるべく避けるように各LCX1を連結具10で連結すればよい。
【0061】
また、本実施形態のケーブル型アンテナ100では、上記連結具10を用いて複数のLCX1を連結する際に、上述したシース6の外表面に設けられた複数のマークM(標識7)によって、スロット4の各位置を容易に確認することができる。
【0062】
したがって、連結具10を用いて複数のLCX1を敷設する作業において、誤ってスロット4の向きを連結具10により連結される側に向けてしまうといったことを防ぐことが可能である。また、LCX1のスロット4(マークM)と連結具10の開放部13との位置合わせを容易に行うことができる。
【0063】
また、本実施形態のケーブル型アンテナ100では、LCX1のスロットピッチPSに合わせて、LCX1の延長方向に配置される各連結具10の取付ピッチPCを調整したり、スロット4(マークM)が設けられた位置を避けるように各LCX1を連結具10で連結したりすることを容易に行うことが可能である。
【0064】
以上のように、本実施形態では、上述したシース6の外表面に設けられた複数のマークM(標識7)によって、スロット4の各位置を容易に確認することができ、なお且つ、敷設する際の作業性に優れたLCX1、並びに、そのようなLCX1を用いたケーブル型アンテナ100を提供することが可能である。
【0065】
なお、本発明は、上記実施形態の構成以外にも、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、その構成を適宜変更して実施することができる。
具体的に、本実施形態において、上記連結具10を配置する数については、LCX1の延長される長さに応じて適宜調整すればよい。また、互いに隣り合う連結具10の取付ピッチPCも必ずしも一定である必要はなく、任意に調整することができる。また、本実施形態では、上述したLCX1と連結具10との組み合わせてよって、互いに連結されるLCX1の本数を増やすことが可能である。
【0066】
また、上記連結具10においては、上述した複数の把持部11a,11bと連結部12とが一体に形成された構成に限らず、複数の把持部11a,11bと連結部12とが別体に形成された構成であってもよい。この構成の場合、少なくとも把持部11a,11bが誘電体からなる構成であればよく、連結部12については、把持部11a,11bとは同じ材料を用いる場合に限らず、把持部11a,11bとは別の材料を用いてもよい。
【0067】
また、把持部11a,11bが誘電体からなる場合、LCX1は、上述したスロット4を開放部13から外方に臨ませるように把持部11a,11bに把持される場合に限らず、スロット4が把持部11a,11bの一部と重なる位置にあってもよい。
【0068】
また、把持部11a,11bの構成については、上述した嵌め込み構造に限らず、例えばクランプ構造のようにLCX1を把持することが可能な構成であればよい。さらに、把持部11a,11bの配置や数についても、適宜変更して実施することが可能である。
【0069】
また、上記ケーブル型アンテナ100においては、上記連結具10を設置面にビスや治具等を用いて取り付けることが可能である。
【0070】
(無線通信装置)
次に、本発明の一実施形態として、例えば
図6に示す無線通信装置200について説明する。なお、
図6は、無線通信装置200の構成を示す平面図である。
【0071】
無線通信装置200は、
図6に示すように、ケーブル型アンテナ201と、ケーブル型アンテナ201に接続されるアクセスポイント(以下、APという。)202とを備えている。AP202は、無線LANの上位回線(図示せず。)と電気的に接続されている。
【0072】
ケーブル型アンテナ201は、上記
図4に示すケーブル型アンテナ100と同様に、上記
図1に示すLCX1と、上記
図2に示す連結具10とを用いて構成されたものであり、4本のLCX1と、これら4本のLCX1の延長方向に所定の間隔(取付ピッチSC)を設けて配置された複数(
図6中では4つ)の連結具10とを備えている。
【0073】
また、各LCX1の一端には、AP202のアンテナ端子に接続するためのコネクタ203が取り付けられている。一方、各LCX1の他端には、終端抵抗204が取り付けられている。
【0074】
以上のような構成を有する無線通信装置200では、ケーブル型アンテナ201が異なる信号S1,S2,S3,S4を同時に送受信する4×4MIMO通信用アンテナとして機能する。
【0075】
すなわち、この無線通信装置200では、異なる信号S1〜S4をケーブル型アンテナ201の各LCX1から同時に送信することができる。逆に、異なる信号S1〜S4をケーブル型アンテナ201の各LCX1によって同時に受信することも可能である。
【0076】
以上のように、本実施形態の無線通信装置200では、上記ケーブル型アンテナ201を用いた4×4MIMO無線通信装置を構築することが可能である。なお、本実施形態の無線通信装置200では、上記ケーブル型アンテナ201の代わりに、上記ケーブル型アンテナ100を用いた場合は、2×2MIMO無線通信装置を構築することが可能である。
【0077】
なお、本発明は、上記実施形態のものに必ずしも限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
具体的に、本発明を適用したケーブル型アンテナ100,201は、上述した無線LANアクセスポイント(AP)用のアンテナに適用した場合に限らず、例えば携帯電話などの基地局側の無線通信用アンテナなどに適用することもが可能である。
【0078】
この場合、本発明を適用したケーブル型アンテナ100,201は、上述したAP202の代わりに、基地局側の無線機と接続することで、上述した2×2MIMO又は4×4MIMO無線通信装置を構築することが可能である。
【0079】
なお、本発明は、上記実施形態のものに必ずしも限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
【0080】
具体的に、上記LCX1では、複数のスロット4の各位置を表示する標識7として、上述した略円形状のマークMが設けられた構成を例示しているが、マークMについては、このようなものに限らず、例えば「*」や「S」などの記号やアルファベット、数値など、標識7として識別可能なものであればよい。
【解決手段】複数のLCX1と、複数のLCX1を互いに一定の間隔を設けて並列した状態で連結すると共に、複数のLCX1の延長方向に間隔PCを設けて配置された複数の連結具10とを備え、LCX1は、線状の中心導体と、中心導体を同心円状に被覆する絶縁体と、絶縁体を同心円状に被覆すると共に、延長方向に周期的に並ぶ複数のスロット4が開口して設けられた外部導体と、外部導体を同心円状に被覆するシースと、シースの外表面に、複数のスロット4の各位置を表示する複数のマークM(標識7)を有し、複数のマークM(標識7)の向きが連結具10により連結される側とは反対側を向いている。