(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6293257
(24)【登録日】2018年2月23日
(45)【発行日】2018年3月14日
(54)【発明の名称】滑りピストン型圧力表示器
(51)【国際特許分類】
A61M 16/04 20060101AFI20180305BHJP
A61M 16/00 20060101ALI20180305BHJP
【FI】
A61M16/04 Z
A61M16/00 370Z
A61M16/04 A
【請求項の数】10
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2016-502665(P2016-502665)
(86)(22)【出願日】2014年3月14日
(65)【公表番号】特表2016-512152(P2016-512152A)
(43)【公表日】2016年4月25日
(86)【国際出願番号】US2014027930
(87)【国際公開番号】WO2014152837
(87)【国際公開日】20140925
【審査請求日】2015年11月16日
(31)【優先権主張番号】61/784,772
(32)【優先日】2013年3月14日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/813,072
(32)【優先日】2013年4月17日
(33)【優先権主張国】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】515257519
【氏名又は名称】テレフレックス メディカル インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【弁理士】
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100095898
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 満
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(72)【発明者】
【氏名】ロウ ディヴィッド トロイ
(72)【発明者】
【氏名】ヴィクター ジョン シー
(72)【発明者】
【氏名】ヴィテュロ ジェフリー
(72)【発明者】
【氏名】デンリンジャー ロドニー ウィルマー
【審査官】
佐藤 智弥
(56)【参考文献】
【文献】
特開2004−219335(JP,A)
【文献】
特表2013−507210(JP,A)
【文献】
米国特許第4526196(US,A)
【文献】
実開平2−17638(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 16/04
A61M 16/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧力表示器具であって、
内部に円筒形ボアを備えたハウジングを有し、前記ハウジングは、
可視光に対して透過性である第1の部分と、
第1の端部材と、
前記第1の端部材と反対側の第2の端部材とを有し、
前記円筒形ボア内に可動的に設けられたピストンを有し、
前記ハウジングの前記円筒形ボア、前記ピストン、及び前記第1の端部材によって構成された第1の可変容積部を有し、
前記ハウジングの前記円筒形ボア、前記ピストン、及び前記第2の端部材によって構成された第2の可変容積部を有し、
前記ピストンと前記円筒形ボアとの間に配置される前記複数のシールを有し、前記第2の可変容積部は、前記円筒形ボアと前記第2の端部材と前記ピストンとの間に完全に封止されるようになっており、
前記ハウジングの前記第1の端部材によって画定されると共に前記第1の可変容積部と流体連通状態にある入口ポートを有し、
前記円筒形ボアの外部に設けられると共に前記入口ポートと流体連通状態にあるピストンバイパスチャネルを有し、前記円筒形ボアの外面と前記ピストンバイバスチャネルの外面との間には隙間が形成され、
前記ハウジングの前記第2の端部材によって画定された出口ポートを有し、前記出口ポートは、前記ピストンバイパスチャネルと流体連通状態にあり、
前記円筒形ボア内の前記ピストンは、前記第1の可変容積部と前記第2の可変容積部との間の圧力バランスによって前記第1の端部材に向かって付勢されており、
前記第1の可変容積部内の圧力が大気圧であり且つ前記第2の可変容積部内に蓄えられているガスが大気圧よりも高い圧力を有しているときに、前記円筒形ボア内の前記ピストンの位置状態は、前記第1の端部材に向かって付勢され、
前記第2の端部材に向かう方向への前記円筒形ボア内の前記ピストンの変位により前記第2の可変容器部内に入っているガスに対する仕事が行われ、それにより前記第1の可変容積部内の圧力によって前記ピストンに及ぼされた圧力に抗する反力が提供される、圧力表示器具。
【請求項2】
前記ピストンバイパスチャネルの長手方向軸線は、前記円筒形ボアの長手方向軸線に実質的に平行である、請求項1記載の圧力表示器具。
【請求項3】
前記入口ポートの軸線は、前記円筒形ボアの前記長手方向軸線と実質的に同軸である、請求項1又は2記載の圧力表示器具。
【請求項4】
前記出口ポートの軸線は、前記円筒形ボアの前記長手方向軸線と実質的に同軸である、請求項1乃至3の何れか1項に記載の圧力表示器具。
【請求項5】
前記ハウジング上に設けられた圧力標識を更に有する、請求項1乃至4の何れか1項に記載の圧力表示器具。
【請求項6】
前記ピストン上に設けられた表示器マークを更に有し、前記圧力標識に対する前記表示器マークの存在場所は、前記第1の可変容積部内の圧力を表示するようになっている、請求項5記載の圧力表示器具。
【請求項7】
前記圧力標識は、3つの圧力の大きさの領域を画定し、前記3つの圧力大きさ領域は、前記ハウジングの前記円筒形ボアの前記長手方向軸線の方向に沿って連続して設けられている、請求項5記載の圧力表示器具。
【請求項8】
前記圧力標識は、可視光に対して透過性の前記ハウジングの前記第1の部分上に設けられ、前記圧力標識は、可視光に対して透過性であり、その結果、前記ピストンは、前記圧力標識及び前記ハウジングの前記第1の部分越しに視認できるようになっている、請求項5記載の圧力表示器具。
【請求項9】
インフレート可能なカフ装置であって、
インフレート可能なカフを有し、
前記インフレート可能カフに流体結合されたチューブを有し、
前記チューブを介して前記インフレート可能カフに流体結合された圧力表示器具を有し、前記圧力表示器具は、
内部に円筒形ボアを備えたハウジングを有し、前記ハウジングは、
可視光に対して透過性である第1の部分と、
第1の端部材と、
前記第1の端部材と反対側の第2の端部材とを有し、
前記円筒形ボア内に可動的に設けられたピストンを有し、
前記ハウジングの前記円筒形ボア、前記ピストン、及び前記第1の端部材によって構成された第1の可変容積部を有し、
前記ハウジングの前記円筒形ボア、前記ピストン、及び前記第2の端部材によって構成された第2の可変容積部を有し、
前記ピストンと前記円筒形ボアとの間に配置される前記複数のシールを有し、前記第2の可変容積部は、前記円筒形ボアと前記第2の端部材と前記ピストンとの間に完全に封止されるようになっており、
前記ハウジングの前記第1の端部材によって画定されると共に前記第1の可変容積部と流体連通状態にある入口ポートを有し、
前記円筒形ボアの外部に設けられると共に前記入口ポートと流体連通状態にあるピストンバイパスチャネルを有し、前記円筒形ボアの外面と前記ピストンバイバスチャネルの外面との間には隙間が形成され、
前記ハウジングの前記第2の端部材によって画定された出口ポートを有し、前記出口ポートは、前記ピストンバイパスチャネルと流体連通状態にある、
前記円筒形ボア内の前記ピストンは、前記第1の可変容積部と前記第2の可変容積部との間の圧力バランスによって前記第1の端部材に向かって付勢されており、
前記第1の可変容積部内の圧力が大気圧であり且つ前記第2の可変容積部内に蓄えられているガスが大気圧よりも高い圧力を有しているときに、前記円筒形ボア内の前記ピストンの位置状態は、前記第1の端部材に向かって付勢され、
前記第2の端部材に向かう方向への前記円筒形ボア内の前記ピストンの変位により前記第2の可変容器部内に入っているガスに対する仕事が行われ、それにより前記第1の可変容積部内の圧力によって前記ピストンに及ぼされた圧力に抗する反力が提供される、インフレート可能カフ装置。
【請求項10】
前記ピストンバイパスチャネルの長手方向軸線は、前記円筒形ボアの長手方向軸線に実質的に平行である、請求項9記載のインフレート可能カフ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、圧力計又は圧力表示器に関する。特に、本発明は、気道チューブのインフレート可能なカフ用に適した圧力計又は圧力表示器に関する。
【0002】
閉塞圧力を患者の体内の流れ管腔に加え又は医療器械と患者の体内の流れ管腔との間を封止するインフレート可能なカフが提案されている。例えば、気管チューブは、患者の気管中に挿入されて気管チューブと気管との間の隙間を封止するようインフレートされたとき、患者の気管の輪郭に合致するインフレート可能なカフを有する場合がある。さらに、インフレート可能なカフ内の圧力をモニタする圧力表示器又は圧力計が提案された。
【0003】
米国特許第4,727,887号(以下、「第´887号特許」という)明細書は、閉塞圧力を患者の体内の流れ管腔(例えば、尿道)に加えるための閉塞カフを備えた人工括約筋を記載している。第´887号特許明細書は、ピストン組立体を含む組み合わせ型皮下マノメータを更に提案しており、このピストン組立体は、流体充填スリーブを介して往復運動を行うようになっている。第´887号特許明細書のピストン組立体がスリーブを通って動かされているとき、ベローが圧縮され、それによりベローに流体結合されたマノメータ内の流体の高さが変化する。しかしながら、第´887号特許明細書の皮下マノメータの圧力表示精度は、重量に対するマノメータの向きで決まる場合があり、実際問題として精度をもたせて使用することが困難である。さらに、ベローの破断又は漏れによりマノメータ内流体が閉塞カフと接触状態にある流体と混じり合う恐れが生じる。
【0004】
圧力表示器が透明な材料で作られた中空ハウジング内に設けられたベローを有し、ベローに施された表示器マークがハウジング越しに視認できるようになっており、このような圧力表示器が圧力カフ装置用として知られている。しかしながら、かかる圧力計の精度は、ベローの弾性のばらつきの影響を受けやすい場合があり、このベローの弾性は、ベローの幾何学的性質及び材料の性質のばらつきの影響を受けやすい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第4,727,887号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、インフレート可能なカフ内の圧力を表示する方法及び装置であって、幾何学的なばらつき及び材料のばらつきの影響を受けにくく、しかも装置の空間方位の影響を受けにくい方法及び装置が要望されている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一観点では、有利には、内部に円筒形ボアを備えたハウジングと、円筒形ボア内に可動的に設けられたピストンとを有する圧力表示器具が提供される。ハウジングは、可視光に対して透過性である第1の部分と、第1の端部材と、第1の端部材と反対側の第2の端部材とを有する。第1の可変容積部がハウジングの円筒形ボア、ピストン、及び第1の端部材によって構成されている。第2の可変容積部がハウジングの円筒形ボア、ピストン、及び第2の端部材によって構成され、第2の可変容積部は、ハウジングのピストンと第2の端部材との間で封止されるようになっている。入口ポートがハウジングの第1の端部材によって画定されると共に第1の可変容積部と流体連通状態にある。ピストンバイパスチャネルが円筒形ボアの外部に設けられると共に入口ポートと流体連通状態にある。出口ポートがハウジングの第2の端部材によって画定された出口ポートを有し、出口ポートは、バイパスチャネルと流体連通状態にある。
【0008】
本発明の別の観点では、有利には、インフレート可能なカフと、インフレート可能カフに流体結合されたチューブと、チューブを介してインフレート可能カフに流体結合された圧力表示器具を有するインフレート可能なカフ装置が提供される。圧力表示器具は、内部に円筒形ボアを備えたハウジングと、円筒形ボア内に可動的に設けられたピストンとを有する。ハウジングは、可視光に対して透過性である第1の部分と、第1の端部材と、第1の端部材と反対側の第2の端部材とを有する。第1の可変容積部がハウジングの円筒形ボア、ピストン、及び第1の端部材によって構成され、第2の可変容積部がハウジングの円筒形ボア、ピストン、及び第2の端部材によって構成され、第2の可変容積部は、ハウジングのピストンと第2の端部材との間で封止されるようになっている。入口ポートがハウジングの第1の端部材によって画定されると共に第1の可変容積部と流体連通状態にある。ピストンバイパスチャネルが円筒形ボアの外部に設けられると共に入口ポートと流体連通状態にある。出口ポートがハウジングの第2の端部材によって画定された出口ポートを有し、出口ポートは、バイパスチャネルと流体連通状態にある。
【0009】
かくして、本発明の詳細な説明を良好に理解することができるようにする目的として且つ当該技術分野に対する本発明の貢献を良好に理解することができるようにすることを目的として本発明の或る特定の実施形態をかなり広義に概要説明した。当然のことながら、以下に説明すると共に本明細書に添付された特許請求の範囲の内容をなす本発明の追加の実施形態が存在する。
【0010】
この点に関し、本発明の少なくとも1つの実施形態を詳細に説明する前に、本発明は、その用途が以下の説明において記載され又は図面に示されたコンポーネントの構成の細部及び配置に限定されることがないことは理解されるべきである。本発明は、上述の実施形態に加えて種々の実施形態の形態を取ることができると共に種々の仕方で具体化されて実施できる。本明細書並びに要約書で用いられる語句及び用語は、説明の目的のためであって本発明を限定するものと見なされてはならない。
【0011】
したがって、当業者であれば理解されるように、本発明が立脚する技術的思想は、本発明の幾つかの目的を達成する他の構造、方法及びシステムの設計の基礎として容易に利用できる。したがって、特許請求の範囲の記載は、均等構成例が本発明の精神及び範囲から逸脱しない限り、かかる均等構成例を含むものと解されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の実施形態としての圧力カフシステムの略図である。
【
図2】本発明の別の実施形態としての圧力カフシステムの略図である。
【
図3】本発明の実施形態としての気管チューブシステムの略図である。
【
図4】
図3に示された気管チューブシステムの4‐4線矢視断面図である。
【
図5】本発明の実施形態としての圧力表示器又は圧力計の斜視図である。
【
図7】
図6に示された圧力表示器の7‐7線矢視断面図である。
【
図8】本発明の1つ又は2つ以上の実施形態としての圧力表示器の別の観点の斜視図である。
【
図9】
図6に示されている圧力表示器の別の実施形態の7‐7線矢視断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
次に、図面を参照して本発明を参照するが、全体にわたり、同一の参照符号は、同一の部分を示している。本発明の実施形態は、インフレート可能なカフに加えられるインフレーション圧力を検出する圧力表示器又は圧力計を提供する。
【0014】
図1は、本発明の実施形態としての圧力カフシステム10の略図である。圧力カフシステム10は、供給チャネル16を介して加圧流体源14と流体連通状態にあるインフレート可能なカフ12を含む。圧力カフシステム10は、供給チャネル16と流体連通状態にある圧力表示器又は圧力計18を更に含み、加圧流体源14からの加圧流体の流れがインフレート可能カフ12への途中で圧力表示器18を通って流れるようになっている。加圧流体としては、液状の流体、例えば水、又は任意の気体状流体、例えば空気が挙げられる。
【0015】
圧力カフシステム10は、供給チャネル16内に設けられた第1の弁20、及び供給チャネル16から枝分かれしていて且つ供給チャネル16と流体連通状態にある第2の弁24を含むのが良い。本発明の一実施形態では、第1の弁20は、第1の弁20が加圧流体源14からインフレート可能カフ12に向かう方向のみの流れを可能にするよう方向づけられた逆止弁である。本発明の別の実施形態では、第1の弁20は、加圧流体源14として圧力カフシステム10に係合する注射器ルアーによって開かれるよう構成された常閉ばね押し隔離弁である。本発明の更に別の実施形態では、弁24は、手動式のブリード弁である。本発明の更に別の実施形態では、弁24は、しきい高圧でインフレート可能なカフ12から圧力を逃がすよう構成されたばね押しリリーフ弁である。
【0016】
加圧流体源14としては、任意のポンプ、例えば注射器(シリンジ)、弾性球、回転ポンプ、容積形ポンプ、流体で加圧されるプレナム、これらの組み合わせ、又は当業者に知られている加圧流体を供給する任意他の手段が挙げられる。インフレート可能カフ12は、当業者に知られている加圧時に拡張する弾性メンブレン又は他の構造部材を含むのが良い。インフレート可能カフ12の例としては、気管チューブ又は気管切開チューブが挙げられる。
【0017】
図2は、本発明の変形実施形態としての圧力カフシステム10の略図である。
図2では、圧力表示器18は、枝チャネル25を介して供給チャネル16と連通状態にある。この場合、圧力表示器18は、供給チャネル16と流体連通状態にある入口を有するが、出口を備えていない。
【0018】
次に
図3及び
図4を参照すると、
図3は、本発明の実施形態としての気管チューブシステム26を略図で示し、
図4は、
図3に示された気管チューブシステム26を4‐4線矢視断面図で示していることは理解されよう。気管チューブシステム26は、主ルーメン30(
図4参照)が貫通して設けられた細長いチューブ28を含む。インフレート可能カフ12は、細長いチューブ28の外周部32周りに設けられている。一実施形態では、インフレート可能カフ12は、内部に環状容積部を備え、この環状容積部は、細長いチューブ28を包囲している。
【0019】
細長い管28は、インフレーションルーメン34(
図4参照)を更に備えるのが良く、このインフレーションルーメンは、インフレート可能カフ12の容積部に流体結合されている。供給チャネル16は、インフレーションルーメン34に流体結合されるのが良く、それによりインフレート可能カフ12と流体源14との流体連通が確立されている。
【0020】
図5は、本発明の実施形態としての圧力表示器18の斜視図である。圧力表示器18は、ハウジング36及びハウジング内に可動的に設けられたピストン38を有する。ハウジング36は、入口ポート40を備え、このハウジングは、出口ポート42を備えるのが良い。圧力表示器18は、入口ポート40と出口ポート42の両方(
図1参照)を介して供給チャネル16に流体結合されても良く、或いは、出口ポート42が設けられていない場合(
図2参照)に入口ポート40だけを介して供給チャネル16に結合されても良い。
【0021】
次に
図6及び
図7を参照すると、
図6は、
図5の圧力表示器18の左側面図を示し、
図7は、
図6に示された圧力表示器の7‐7線矢視断面図を示していることが理解されよう。ハウジング36は、入口端部材46と出口端部材48との間に設けられたバレル44を有する。バレルの内面は、バレル内にボア52を画定している。本発明の一実施形態では、ボア52は、全体として広義の筒状の形をしており、このボアは、ボア52の軸線58に沿って延びている。本発明の一実施形態では、ボア52は、円筒形の形をしている。バレルの外面60は、ボア52と同一の形状を有しても良く、そうでなくても良い。
【0022】
ピストン38は、このピストンの周面56周りに設けられた1つ又は2つ以上のシール54を介してバレル44のボア52に係合するのが良い。本発明の一実施形態では、ピストン38は、シール54を1つだけ有している。本発明の別の実施形態では、ピストン38は、少なくとも2つのシール54を有する。しかしながら、ピストン38は、任意の数のシール54を有しても良いことは理解されよう。
【0023】
1つ又は2つ以上のシール54は、Oリング構造を有するのが良い。Oリング構造は、丸形断面、多角形断面、例えば正方形断面、楕円形断面、C字形断面、J字形断面、W字形断面、又は当業者に知られている他のOリング断面を有することができる。さらに、1つ又は2つ以上のシール54がピストン38の周面56によって構成された1つ又は2つ以上の円周方向溝62内に設けられるのが良い。
【0024】
バレル44と入口端部材46との間のインターフェース64がバレル44と入口端部材46との間に流体密シールを形成している。さらに、バレル44と出口端部材48との間のインターフェース66がバレル44と出口端部材48との間に流体密シールを形成するのが良い。バレル44は、溶接、接着、結合、ねじ連結、又は当業者に知られている他の接合方法によって入口端部材46又は出口端部材48に接合されるのが良い。
【0025】
ボア52、入口端部材46、及びピストン38は、第1の可変容積部72を構成している。さらに、ボア52、出口端部材48、及びピストン38は、第2の可変容積部74を構成している。本発明の一実施形態では、第2の容積部74は、ボア52と出口端部材48とピストン38との間に完全に封止されている。オプションとして、変形例では、出口端部材48は、第2の容積部74及び圧力表示器18の周囲環境と流体連通状態にあるブリードチャネル76及びピストン38を入口端部材46に向かって付勢する弾性部材78(
図9参照)を備える。弾性部材78は、第2の容積部74内に設けられた圧縮ばねであっても良く、例えば第1の容積部72内に設けられた引張ばね(図示せず)であっても良い。
【0026】
入口端部材46の内側部分80は、これを貫通して第1の流体チャネル82を備えている。第1の流体チャネル82は、入口ポート40及び出口ポート72と流体連通状態にある。入口端部材46の内側部分80は、圧力逃がし装置86を収容した逃がしポート84を更に備えるのが良い。圧力逃がし装置は、逃がしポート84内に圧力嵌めされたもろい要素、例えばバーストディスク、弾性ストッパ、圧力作動式弁、又は当業者に知られている他の圧力逃がし装置であって良い。圧力逃がし装置86が第1の流体チャネル82内の圧力の過剰によって作動されると、第1の流体チャネルは、逃がしポート84を経て圧力表示器18の周囲環境と流体連通関係をなす。
【0027】
ハウジング36は、ピストンバイパス管88を更に有し、このピストンバイパス管内にはバイパスチャネル90が形成されている。本発明の一実施形態では、ピストンバイパス管88は、ボア52の軸線58に実質的に平行な軸線92を備えた真っ直ぐな管である。本発明の別の実施形態では、ピストンバイパス管88の軸線92とボア52の軸線58との間の距離94は、バレル44の外径96とピストンバイパス管88の外径98の合計を2で除算して得られる値よりも大きい(距離94>[直径96+直径98]/2)。
【0028】
バレル44の外面102とピストンバイパス管88の外面104との間には隙間100が形成されるのが良い。一実施形態では、隙間100は、ピストンバイパス管88の外径98よりも大きくはない。変形例として、ピストンバイパス管88の外面104とバレル44の外面102との間には隙間が存在しなくても良い。
【0029】
出口端部材48の内面106内には、第2の流体チャネル108が更に形成されるのが良い。第2の流体チャネル108は、バイパスチャネル90及び出口ポート42と流体連通状態にあり、その結果、出口ポート42は、供給チャネル16を介してインフレート可能なカフ12と流体連通関係をなすことができるようになっている(
図1及び
図3参照)。本発明の一実施形態では、第2の流体チャネル108は、第2の容積部74と流体連通状態にはない。
【0030】
第1の流体チャネル82の軸線110は、第2の流体チャネル108の軸線112と実質的に同軸であるのが良い。さらに、第1の流体チャネル82の軸線110、第2の流体チャネル108の軸線112、及びボア52の軸線58は全て、互いに実質的に同一であるのが良い。
【0031】
理解されるように、ピストンバイパス管88がバレル44に対して並列関係をなすと共に密接している結果として、有利には、圧力表示器18のコンパクトなインライン型形態が得られる。また、理解されるように、ボア52の軸線58が第1の流体チャネル82の軸線110か第2の流体チャネル108の軸線112かのいずれかと実質的に同軸整列状態にあることにより、有利には、流体チャネルの一部としてインライン型設置を有益に許容するコンパクトな構成を一段と促進することができる。
【0032】
図8は、本発明の1つ又は2つ以上の実施形態としての圧力表示器の別の観点の斜視図である。
図8に示されているように、バレル44の少なくとも一部分114は、可視光に対して透過性であり、その結果、ピストン38は、ピストン114越しに視認できる。部分114は、透明であっても良く半透明であるに過ぎなくても良い。バレル44は、可視光に対して透過性である材料、例えば、ガラス、透明なポリマー、これらの組み合わせ、又は当業者に知られている可視光に対して透過性の他の構造材料で構成できる。
【0033】
圧力標識116がバレル44上に設けられるのが良い。一実施形態では、圧力標識116は、可視光に対して透過性であるバレル44の部分114に隣接して配置されている。別の実施形態では、圧力標識116は、これら自体、可視光に対して透過性であり、その結果、ピストン38は、バレル44と圧力標識116との両方越しに視認できるようになっている。圧力標識116は、バレル44の軸方向に沿って設けられた複数の別々のゾーン118を有するのが良い。本発明の一実施形態では、複数の別々のゾーン118は、第1のゾーン120、第2のゾーン122及び第3のゾーン124を含み、これら全て、バレル44の軸方向に沿って順次配置されている。本発明の別の実施形態では、第1のゾーン120は、黄色を呈し、第2のゾーン122は、緑色を呈し、第3のゾーン124は、赤色を呈している。
【0034】
第1の容積部72内の圧力が大気圧である場合、ボア52内のピストンの配置状態は、入口端部材46に向かって付勢される場合がある。ピストンは、例えば、第1の容積部72と第2の容積部74との圧力バランス、ピストン38に作用する弾性部材78、大気圧よりも高い圧力を有する第2の容積部74内に蓄えられている1回分のガス、又はこれらの組み合わせによって入口端部材に向かって付勢されるのが良い。
【0035】
圧力が加圧流体源14から供給チャネル16を通って圧力表示器18の入口ポート40に加えられると、この圧力は、ピストン38をボア52の軸線58に沿う方向で入口端部材46から出口端部材48に向かって変位させる傾向のある力を及ぼす。出口端部材48に向かう方向へのピストンの変位により第2の容積部74内に入っているガス、弾性部材78、又はこれらの組み合わせに対する仕事が行われ、それにより第1の容積部内の圧力によってピストンに及ぼされた圧力に抗する反力が提供される。かくして、ボア52内のピストン38の軸方向配置場所126は、第1の容積部内の圧力に基本的に関連付けられる。
【0036】
理解されるように、ボア52内のピストンの軸方向配置場所126と第1の容積部72内の圧力との基本的関係は、複雑なベロー要素の構造的パラメータ又は材料の性質には依存しない。したがって、本発明の実施形態に従って圧力を表示する装置及び方法は、較正に影響を及ぼす場合のある製造のばらつきの源をなくすことによって、従来型方式と比較して測定精度を向上させる。
【0037】
一実施形態では、ピストン38は、中空の構造を有し、このピストンは、軽量材料、例えば、ポリマーで作られている。この場合、ピストン38を極めて軽量で構成することができ、その結果、圧力表示器18の精度は、重量に対して圧力表示器18の空間方位の影響を受けないようになっている。
【0038】
ピストン38は、表示器マーク128を有するのが良く、表示器マーク128は、圧力表示器18内のピストン38の軸方向存在場所126を識別するピストン38上の基準位置を定める。したがって、圧力標識116に対する表示器マーク128の存在場所は、圧力表示器18の第1の容積部72内の圧力の表示を提供することができる。
【0039】
本発明の一実施形態では、圧力標識116の第1のゾーン120は、第1の標的圧力よりも低い圧力範囲に対応し、第3のゾーン124は、第2の標的圧力よりも高い圧力範囲に対応し、第2のゾーン122は、第1の標的圧力と第2の標的圧力との間の許容限度内の圧力範囲に対応している。したがって、第1のゾーン120内に設けられた表示器マーク128は、測定圧力が低いことを指示することができ、第2のゾーン122内に設けられた表示器マーク128は、測定圧力が許容限度内にあることを指示することができ、第3のゾーン124内に設けられた表示器マークは、測定圧力が高いことを指示することができる。
【0040】
圧力表示器18は、圧力カフシステム10内の流体圧力を表示するのに有用であるが、圧力表示器18は、流体圧力の定量的表示か定性的表示かのいずれかから利益を受けることができる他のシステム内の流体圧力を測定するためにも使用できる。
【0041】
本発明の多くの特徴及び多くの利点は、詳細な説明から明らかであり、かくして、特許請求の範囲に記載された本発明は、本発明の真の精神及び範囲に属する本発明のかかる全ての特徴及び利点を含むものである。さらに、多くの改造例及び変形例が当業者には容易に明らかなので、本発明を図示すると共に説明した構成及び作用そのものに制限するものではなく、したがって、本発明の範囲に含まれる全ての適当な改造例及び均等例を想到することができる。