(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6293293
(24)【登録日】2018年2月23日
(45)【発行日】2018年3月14日
(54)【発明の名称】マルチセンサ計測装置のルーティンを確立する方法
(51)【国際特許分類】
G01B 21/00 20060101AFI20180305BHJP
G01B 21/04 20060101ALI20180305BHJP
【FI】
G01B21/00 E
G01B21/04
【請求項の数】14
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2016-548230(P2016-548230)
(86)(22)【出願日】2015年2月5日
(65)【公表番号】特表2017-516065(P2017-516065A)
(43)【公表日】2017年6月15日
(86)【国際出願番号】US2015014612
(87)【国際公開番号】WO2015156900
(87)【国際公開日】20151015
【審査請求日】2016年9月16日
(31)【優先権主張番号】14/247,339
(32)【優先日】2014年4月8日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】505377430
【氏名又は名称】クオリティー ヴィジョン インターナショナル インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Quality Vision International, Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100085556
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 昇
(74)【代理人】
【識別番号】100115211
【弁理士】
【氏名又は名称】原田 三十義
(74)【代理人】
【識別番号】100153800
【弁理士】
【氏名又は名称】青野 哲巳
(72)【発明者】
【氏名】シーハン, ケネス, エル.
【審査官】
八木 智規
(56)【参考文献】
【文献】
特表2005−501320(JP,A)
【文献】
米国特許第4918627(US,A)
【文献】
米国特許第5805289(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B 11/00−11/30
G01B 21/00−21/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
マルチセンサ計測装置のための計測ルーティンを確立する方法であって、
上記マルチセンサ装置での上記計測ルーティンを自動化する機械命令を生成するために用意されたコード生成コンピュータと通信して、グラフィカルユーザーインターフェースを介して複数の幾何学的構成からフィーチャタイプを選択する工程と、
上記幾何学的構成と適合する対象物のフィーチャを計測するためのセンサタイプを、上記グラフィカルユーザーインターフェースを介して選択する工程と、
上記対象物のコンピュータモデルを上記コード生成コンピュータに読み込む工程と、
上記グラフィカルユーザーインターフェースを介して対象物のコンピュータモデルと交信し、上記コンピュータモデル上の点を選択するとともに、上記グラフィカルユーザーインターフェースを介して可視化される、上記コンピュータモデル上における上記選択された点の表示を生成する工程と、
上記コード生成コンピュータにおいて、上記グラフィカルユーザーインターフェースを介して選択された上記センサタイプに基づいて、上記選択された点が、上記対象物の境界上にあることを意図されているか、又は上記対象物の表面上にあることを意図されているかを判断する工程と、
上記選択された点が対象物の境界上にあることを意図されていると判断されたとき、上記選択された点に最も近い、上記選択されたフィーチャタイプの上記幾何学的構成を示す位置で、上記グラフィカルユーザーインターフェースを介して、上記コンピュータモデルの境界上に、上記選択されたフィーチャタイプを可視化された形態でグラフィカルに添付する工程と、
上記選択された点が対象物の表面上にあることを意図されていると判断されたとき、上記選択された点に最も近い、上記選択されたフィーチャタイプの上記幾何学的構成を示す位置で、上記グラフィカルユーザーインターフェースを介して、上記コンピュータモデルの表面上に、上記選択されたフィーチャタイプを可視化された形態でグラフィカルに添付する工程と、
を含むことを特徴とする。
【請求項2】
さらに、互換性のあるマルチセンサ計測装置を自動化し、上記選択されたセンサタイプを用いて上記対象物の計測を実行し、上記コンピュータモデルに付された上記幾何学的構成に関連した上記対象物についての情報を取得するために、上記コード生成コンピュータで機械命令を生成する工程を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
上記フィーチャタイプとして選択される上記幾何学的構成は、点、線、平面及び円を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
上記フィーチャタイプとして選択される上記幾何学的構成は、さらに円筒、錘面及び球面を含むことを特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項5】
上記センサとして選択される上記センサタイプは、上記対象物の境界を計測するビデオセンサを含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項6】
上記センサとして選択される上記センサタイプは、上記対象物の上記表面の点を計測する、タッチプローブ及びレーザーセンサのうちの少なくとも一つを含むことを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項7】
上記ビデオセンサによって計測可能な上記境界は、上記対象物の縁及び角を含むことを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項8】
計測ルーティンを追加するために、上記フィーチャタイプを選択する工程と、上記センサタイプを選択する工程と、上記グラフィカルユーザーインターフェースを介して交信する工程と、上記コード生成コンピュータ内で判断する工程と、上記選択されたフィーチャタイプをグラフィカルに添付する工程を繰り返すことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項9】
マルチセンサ計測装置のための計測ルーティンを確立する方法であって、
上記マルチセンサ装置での上記計測ルーティンを自動化する機械命令を生成するために用意されたコード生成コンピュータと通信し、グラフィカルユーザーインターフェースを介して、幾何学的構成を含む複数のフィーチャタイプを選択のために提示する工程と、
上記グラフィカルユーザーインターフェースを介して複数のセンサタイプを選択のために提示する工程であって、上記センサタイプは、対象物の領域にわたる画像内のコントラストを取得するための第1のセンサタイプと、上記対象物の表面の個々の点の相対的な変位を取得するための第2のセンサタイプとを含む工程と、
上記対象物のコンピュータモデルを上記コード生成コンピュータに読み込む工程と、
上記グラフィカルユーザーインターフェースを介して上記コンピュータモデル上の点を選択する工程と、
上記グラフィカルユーザーインターフェースを介して可視化される、上記コンピュータモデル上で選択された点の表示、を生成する工程と、
上記グラフィカルユーザーインターフェースを介して選択されたセンサタイプに基づいて、上記選択された点が、上記対象物の境界上にあることを意図されているか、上記対象物の表面上にあることを意図されているかを、上記コード生成コンピュータ内で判断する工程と、
上記選択された点が対象物の境界上にあることを意図されていると判断されたとき、上記グラフィカルユーザーインターフェースを介して、上記コンピュータモデルの境界上に、上記選択されたフィーチャタイプを可視化された形態でグラフィカルに添付する工程と、
上記選択された点が対象物の表面上にあることを意図されていると判断されたとき、上記グラフィカルユーザーインターフェースを介して、上記コンピュータモデルの表面上に、上記選択されたフィーチャタイプを可視化された形態でグラフィカルに添付する工程と、
を含み、
上記選択されたフィーチャタイプは、上記選択された点に最も近い、上記選択されたフィーチャタイプの幾何学的構成を示す上記コンピュータモデル上の位置に、添付されることを特徴とする方法。
【請求項10】
上記第1のセンサタイプが上記グラフィカルユーザーインターフェースを介して選択されるとき、上記選択された点が、上記対象物の境界上にあることを意図されていると判断され、上記第2のセンタタイプが上記グラフィカルユーザーインターフェースを介して選択されるとき、上記選択された点が、上記対象物の表面上にあることを意図されていると判断されることを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項11】
上記第1のセンサタイプはビデオセンサを含むことを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項12】
上記第2センサタイプは、タッチプローブ及びレーザーセンサのうちの一つを含むことを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項13】
さらに、互換性のあるマルチセンサ計測装置を自動化し、上記選択されたセンサタイプを用いて上記対象物の計測を実行し、上記コンピュータモデルに付された上記幾何学的構成に関連した上記対象物についての情報を取得するために、上記コード生成コンピュータで機械命令を生成する工程を含むことを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項14】
計測ルーティンを追加するために、上記複数のフィーチャタイプを提示する工程と、上記複数のセンサタイプを提示する工程と、上記コンピュータモデル上の上記点を選択する工程と、上記選択された点の表示を生じさせる工程と、上記コード生成コンピュータ内で判断する工程と、上記選択されたフィーチャタイプをグラフィカルに添付する工程を、繰り返すことを特徴とする請求項9に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、計測学の分野に関し、特にマルチセンサ計測装置の制御に関する。この制御は、自動化された計測のシーケンス、及び計測対象の部品のコンピュータモデルを用いて自動化された計測のシーケンスを確立することを含む。
【背景技術】
【0002】
マルチセンサ計測装置は、部品のさまざまな種類のフィーチャをそれぞれのフィーチャの計測に適したセンサを用いて計測する機会を提供する。例えば、センサのなかには、ビデオセンサのように、部品の領域に渡る画像のコントラストを主として取得し、部品の縁や角を計測するのに適しているものもあれば、タッチプローブやレーザープローブのように、部品の個々の点の相対的な変位を主として取得し、部品表面のフィーチャを計測するのに適しているものもある。特定の部品の製造に要求されるものは、フィーチャに対する公差及びそれらフィーチャ間の公差を特定することだと分かっている。フィーチャは、公差に対する比較のために異なるセンサタイプにより最善に計測される。種々のセンサタイプはマルチセンサ計測装置の共通の基準座標系内で互いに関連する。
【0003】
部品はしばしば大量に生産され、そのような部品の各々又はそのような部品のサンプルが計測され、その部品が要求された公差内にあるか、又は修正若しくは廃棄を必要としているかどうかが判断される。再現性と確実性は複数の計測を成し遂げるために重要であって、計測結果に信頼性を与える。多くの現代の計測装置は、個々の部品についての自動化された計測のシーケンスを実行し、複数の類似の部品について同一の自動化された計測のシーケンスを繰り返すよう、プログラムされている。自動化されたプログラミングは、類似の部品の各々が同じ方法で計測されることを保証する。
【0004】
自動化されたシーケンスは、一般に熟練した計測者によって確立され、熟練した計測者は特定の部品がどのように計測されることになるかについて詳細な情報を得た上で決定を下す。計測者は、どのフィーチャを計測すべきか、及びフィーチャを計測すべき方法を決定する。これらの決定は、ある特定の部品を計測している間に計測装置の操作を記録することによって、又は部品のコンピュータモデルにインターフェースで接続することによって、確立される。このコンピュータモデルは、計測装置のコンピュータにより、若しくは記録されたプログラムを計測装置にダウンロードできる他のコンピュータにより、描画される。
【0005】
部品は、機器の構成要素であったりあらゆる対象物であったり、人間が造りだしたものであったり天然のものであったりしてもよく、空間的な計測を受けるが、三次元空間で部品を数学的に定義するコンピュータ支援設計システムによって形づくられる。グラフィックプログラミングは、これらの数学的定義を読み取り、モデルとなる部品の可視化された画像を表示することができる。グラフィカルインターフェースにより、計測者は、描画されたモデルと交信し(interact)、空間においてモデルを操作し、モデル上の特定の位置を指定することができる。
【0006】
計測者の視点からマルチセンサ計測装置をプログラミングするための一般的なシーケンスは、第1に計測者に、計測すべきフィーチャのタイプを特定すること、例えば、フィーチャが表面上にあるかどうか、フィーチャが縁や角のような表面の境界線であるかどうかを特定することを求める。第2に、計測者は、そのフィーチャが点、線、平面、円、円筒、錐面又は球面であるかどうか等、フィーチャの幾何学的属性を特定する。第3に、計測者は、意図する計測に最も適すると信じるセンサのタイプを選択する。第4に、計測者は、そのフィーチャが配置された描画モデル上の位置を特定する。もし、そのフィーチャが表面上に特定されたならば、特定された幾何学的構成は、そのような幾何学的表現を含むと認められる最も近い位置の描画モデルに、重ね合わされる。もし、そのフィーチャが、縁や角のようなフィーチャの境界であると特定されたならば、特定された幾何学的構成は、そのような幾何学的表現を含むと認められる最も近い境界に沿って又はその境界のまわりに重ね合わされる。
同様のシーケンスが、計測されるべきフィーチャ毎に次々と続く。追加的な補助ステップが要求されてもよく、例えば、ビデオセンサにふさわしい照明条件を選択することや、タッチプローブ又はレーザープローブのための点の数や軌跡を選択することなどである。計測者の選択により、命令のプログラムを生成するために必要な情報が与えられる。この命令は、マルチセンサ計測装置を自動化して参照モデルと適合する部品の計測するために供される。計測者はまた一般的に、計測された対象物から形成される構造物を特定し、計測された対象物及び/又は構造物の間で実行及び/又は報告される計測を特定する。
【0007】
計測者によるこのようなプログラミングは、詳細にわたるとともに時間がかかる。したがって、プログラミングタスクの簡略化及び集約化が望ましい。
【発明の概要】
【0008】
一つ以上の実施形態で示される本発明は、マルチセンサ計測装置の計測ルーティンをより効率的に確立することを提供する。例えば、選択の機会が、計測ルーティンの確立に従事する計測者に提示され、計測者がより少ない選択で計測ルーティンの情報要求を満足させることができる形態で提示される。
【0009】
マルチセンサ計測装置の計測ルーティンを確立する方法としての本発明の一態様は、フィーチャタイプ及びセンサタイプを選択することを含む。フィーチャタイプは、マルチセンサ装置についての計測ルーティンを自動化する機械命令(machine instructions)を生成するよう準備されたコード生成コンピュータと通信して、グラフィカルユーザーインターフェースを介して、複数の幾何学的構成から選択される。通常の幾何学的構成は、点、線、平面、円、円筒、錐面及び球面である。センサタイプは、幾何学的構成と適合する対象物のフィーチャを計測するために、同一のグラフィカルユーザーインターフェースを介して選択される。通常のセンサタイプは、ビデオセンサ、タッチプローブ及びレーザーセンサである。
【0010】
本方法は、対象物のコンピュータモデルをコード生成コンピュータに読み込み、グラフィカルユーザーインターフェースを介して対象物のコンピュータモデルと交信することによって進行し、コンピュータモデル上の点が選択される。コンピュータモデル上の選択された点の表示は、グラフィカルユーザーインターフェースを介して可視化される。コード生成コンピュータでは、選択されたセンサタイプに基づいて、選択された点が対象物の境界上にあることを意図されているか、対象物の表面上にあることを意図されているかについて判断がなされる。この情報をもって、選択された点が対象物の境界上にあることを意図されていると判断されたとき、選択されたフィーチャタイプがコンピュータモデルの境界上にグラフィカルに添付され(graphically appended)、選択された点が対象物の表面上にあることを意図されていると判断されたとき、選択されたフィーチャタイプがコンピュータモデルの表面上にグラフィカルに添付される。どちらの場合にも、フィーチャタイプは、選択された点に最も近い、選択されたフィーチャタイプの幾何学的構成を示す位置で、コンピュータモデルに添付され、且つグラフィカルユーザーインターフェースを介して目で見ることができる。
【0011】
選択された点及びコンピュータモデルに添付される幾何学的構成の双方の可視表示を含む、計測者に提供されるグラフィカルなフィードバックにより、計測者は望ましい計測ステップが定義されていることを確かめることができる。追加的な計測と構築のステップは、同じ方法で定義される。競合したとき、コード生成コンピュータは、互換性のあるマルチセンサ計測装置を自動化するのに必要なコードの生成を完了することができ、確立されたステップが実行される。
【0012】
マルチセンサ計測装置の計測ルーティンを確立する方法としての本発明の他の態様は、マルチセンサ計測装置の計測ルーティンを自動化する機械命令を生成するよう準備されたコード生成コンピュータと通信し(連絡して:in communication with)、グラフィカルユーザーインターフェースを介して選択するために、幾何学的構成を含む複数のフィーチャタイプ及び複数のセンサタイプの双方を提示することを含む。センサタイプは、対象物の領域に渡る画像のコントラストを取得する第1のセンサタイプと、対象物の表面上の個々の点の相対的な変位を取得する第2のセンサタイプとを含む。対象物のコンピュータモデルはコード生成コンピュータに読み込まれる。本方法では、グラフィカルユーザーインターフェースを介してコンピュータモデル上の点を選択する。コンピュータモデル上の選択された点の表示は、グラフィカルユーザーインターフェースを介して可視化される。コード生成コンピュータは、選択されたセンサタイプに基づいて、選択された点が対象物の境界上にあることを意図されているか、対象物の表面上にあることを意図されているかを判断する。その後で、選択された点が対象物の境界上にあることを意図されていると判断されたときには、選択されたフィーチャタイプは、グラフィカルユーザーインターフェースを介して可視化された形態でコンピュータモデルの境界上にグラフィカルに添付される。選択された点が対象物の表面上にあることを意図されていると判断されたときには、選択されたフィーチャタイプは、グラフィカルユーザーインターフェースを介して可視化された形態でコンピュータモデルの表面上にグラフィカルに添付される。どちらにしても、選択されたフィーチャタイプは、選択された点に最も近い、選択されたフィーチャタイプの幾何学的構成を示す位置で、コンピュータモデルに添付される。
【0013】
コード生成コンピュータ内で、第1のセンサタイプがグラフィカルユーザーインターフェースを介して選択されるとき、選択された点は対象物の境界上にあることを意図されていると判断され得るとともに、第2のセンサタイプがグラフィカルユーザーインターフェースを介して選択されるとき、選択された点は対象物の表面上にあることを意図されていると判断され得る。第1のセンサタイプは、好ましくは、ビデオセンサを含み、第2のセンサタイプは、タッチプローブ及びレーザーセンサのうちの一方又は双方を含む。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】マルチセンサ計測装置に関連付けられた計測システムであって、この計測装置に加えてデータストア及びグラフィカルユーザーインターフェースの双方にリンクされたコード生成コンピュータを含む計測システムを示す図である。
【
図2】本発明におけるマルチセンサ計測装置の計測ルーティンを確立する方法の、種々のステップ及びそれらステップ間の関係を示すフローチャートである。
【
図3】部品のコンピュータモデルを示し、選択された点に関連する選択された幾何学的構成がこのコンピュータモデルに添付されている。
【0015】
図1に示すように、本発明に関連付けられた装置の多くは、部品12又は他の種類の対象物を計測するためのマルチセンサ計測装置10を含め、従来の技術である。マルチセンサ計測装置10は、コード生成コンピュータ14から一連の指示を受けることにより自動化される。コード生成コンピュータ14は、マルチセンサ計測装置10の制御システムの一部であってもよく、全く別個であってもよい。コード生成コンピュータ14は、(a)一般的に表示スクリーン18、キーボード20及びマウス22を含むグラフィカルユーザーインターフェース16と、(b)コード生成コンピュータ14に対する内部メモリ又は外部メモリを包含し得るデータストア24、の双方と通信する。
【0016】
マルチセンサ計測装置10は、ビデオセンサ26及びタッチプローブセンサ28を含む。照明器30とともに操作されるビデオセンサ26は、照明器によってもたらされる所定の照明条件下で部品12の領域に渡る画像を取得する。画像は、縁及び角のような部品の境界の位置を決定するために処理され、特にコントラスの変化が処理される。タッチプローブセンサ28は、相対運動の複数軸での接触位置の連なりをもって、部品12に対して相対的に移動し、点毎の位置データを収集する。
いろいろな他の種類のセンサを、例えば、展開可能、格納可能又は交換可能に取り付けることによって、この一般的なタイプのマルチセンサ計測装置に組み込むことができ、部品12についての情報を収集する。
追加的な又は代替的なセンサとしては、次のものがある。例えば、輻射光収集センサとレーザースポット照明器を組み合わせてレーザー三角測量によって計測を行うディジタルレンジセンサーレーザープローブ、画像センサとグリッドプロジェクタ照明器を組み合わせたグリッドプロジェクタ、部品とプローブとの間隔に応じて光学的スペクトルの変化を分析する分光プローブ、及びビデオセンサと同じ対物レンズを通して干渉測定の検知技術を用いるレンズ通過式レーザープローブなどである。加えて、ビデオセンサを点センサに使用するために、自動焦点調節を利用することもできる。
【0017】
このようなマルチセンサ計測装置の例は、ニューヨーク州ロチェスターのOptical Gaging Products社が知られており、SMARTSCOPE(登録商標)の商品名で販売され、SmartScope Quests systems、SmartScope ZIP systems、SmartScope Flash systems、QVI SNAP systems、及びSmartScope Specialist systemsを含む。マルチセンサ計測装置についての自動化された計測ルーティンを生成するソフトウェアは、SmartCAD 3D(登録商標)の商品名で販売されている。ルーティンが、コンピュータモデル、即ち、CAD(コンピュータ支援設計)モデルについて確立され、多軸計測装置における再生のために記録される。
【0018】
コード生成コンピュータ14内で、又はコード生成コンピュータ14と関連して、動作可能なプログラムは、多数の機能を実行する。これら機能は次の機能を含む。計測される部品12と部品計測が行われる装置10のタイプに関連する情報にアクセスすること。部品12のコンピュータモデル32を表示すること。ユーザ(一般的に計測者)に選択肢を提示すること。部品12のコンピュータモデル32とユーザの交信を制御すること。部品12のコンピュータモデル32に関連した選択肢を表示すること。及び、互換性のあるマルチセンサ計測装置10で計測ルーティンを実行するための機械命令を、ユーザの選択によって定義されたものとして、生成すること。
【0019】
図2に示すように、本発明に係る計測ルーティンの確立を容易にする典型的なプログラムは、ステップ40で開始し、次のステップ42で、計測の対象である部品12に関するコンピュータモデルデータと、部品12を計測するマルチセンサ計測装置10に関する機械データとを、コード生成コンピュータ24に読み込む。このデータは、ステップ44でデータストア24からアクセスされる。データストア24は、情報についての単一のソース又は複合的なソースを表し、部品のCAD(コンピュータ支援設計)モデルを生成する処理ステーションへのリンク、及び予め決定された相対運動の軸と予め決定されたセンサと照明器の配置を有する計測装置へのリンクを含んでいる。
【0020】
アクセスされた、部品12のコンピュータモデル32は、マルチセンサ計測装置10の計測性能を活用するためのさまざまな選択肢とともに、グラフィカルユーザーインターフェース16の表示画面18上に表示される。ステップ46でコンピュータモデル32及び機械選択が必要に応じて一緒に又は順に表示され、マルチセンサ計測装置10の計測作業を自動化するための計測プログラムを、計測者が定義するのを援助する。さまざまな選択肢が、例えばメニューやツールバーによる通常の画像形式でアクセスされる。
【0021】
判断ステップ48は、計測ルーティン生成ループへの入り口で、コンピュータモデル32によって表された部品12の追加的なフィーチャのための計測ルーティンを定義すべきか否かを問う。明らかに、答えが「はい」であれば、重要な第1のフィーチャを計測するための第1の計測ルーティンを定義する。ループに入ると、ステップ50で計測者は、グラフィカルユーザーインターフェース16を介して、第1の計測のためにフィーチャタイプの中からの選択を提示される。これらのフィーチャタイプは、点、線、平面、円、円筒、錐面及び球面を含むコンピュータモデル32にあるであろうさまざまな幾何学的構成の中からの選択肢として提示される。もちろん、他の幾何学的構成が、空間における立体の他の数学的定義に関連付けられたフィーチャを描写するために提示され得る。
【0022】
フィーチャタイプの選択に続いて、ステップ52で計測者は、グラフィカルユーザーインターフェース16を介して、マルチセンサ計測装置10で利用できるセンサタイプの中からの選択を提示される。
図1に示すように、マルチセンサ計測装置10は、ビデオセンサ26及びタッチプローブセンサ28だけでなく、接触型及び非接触型のセンサを含む他の多くのタイプのセンサを備える。特に、照明の制御形態に結びついた多種多様の光学センサを備える。
【0023】
センサタイプを選択した後、ステップ54で計測者は、コンピュータモデル32上の点を選択する。この選択は交信的行為(interactive exercise)であって、この交信的行為において、計測者は表示画面18上でコンピュータモデル32を所望の位置にするとともに、マウス22または他の制御機構(ジョイスティック、アローキーパッド、又は追跡カメラ等)によって、ポインタや照準線のようなカーソルツールを、計測対象のフィーチャの近くの、コンピュータモデル32上の位置に移動させる。所望の位置が特定されると、計測者は、マウスクリックやキー打ちなどによってその位置を選択する。ステップ56では、選択された位置が、例えば目立つ色の点や照準線を表示することによって、コンピュータモデル32上に示される。
【0024】
上記選択ステップ50から54は、異なる順序で実行し、コンピュータモデル32によって表された部品12の特定のフィーチャを計測するルーティンを定義するのに必要な情報を提供してもよい。しかし、この情報を以てしても、選択された幾何学的構成が、コンピュータモデル32によって表された部品12の境界に関連するか、又は部品12の表面に関連するかについて不確かさは残る。別の選択を要求する代わりに、論理処理は判断ステップ58に進み、ここで選択されたセンサに関する利用できる情報を問い合わせる。もし選択されたセンサが、例えば部品の個々の点の相対的な変位を計測することを意図された所定のタイプであるならば、幾何学的構成は、コンピュータモデル32によって表された部品12の表面上にあるという仮定がなされる。また、選択されたセンサが部品の領域に渡る画像内の光学的コントラストを捕捉するタイプであると見なされるならば、幾何学的構成は、コンピュータモデル32によって表された部品の境界上にあるという仮定がなされる。もし判断ステップ58の上記の問い合わせへの答えが「はい」ならば(即ち、選択された点が部品12の表面上にあることを意図されていると判断されたならば)、ステップ60で、選択されたフィーチャタイプが、選択された点に最も近い、選択されたフィーチャタイプの幾何学的構成を示す表面位置で、コンピュータモデル32の表面にグラフィカルに添付される。もしステップ58の言及された問い合わせへの答えが「いいえ」ならば(即ち、選択された点が部品12の境界上にあることを意図されていると判断されたならば)、ステップ62で、選択されたフィーチャタイプが、選択された点に最も近い、選択されたフィーチャタイプの幾何学的構成を示す境界位置で、コンピュータモデル32の境界に添付される。
【0025】
コンピュータモデル32は、少なくとも計測対象の表面及びそれらの境界を数学的方法で定義している。幾何学的構成を、コンピュータモデル32の表面に添付すべきか又は境界に添付すべきかを識別した後、幾何学的構成(それ自体数学的方法で定義されている)が、さまざまな位置及び向きにおいてコンピュータモデル32と比較され、幾何学的構成とコンピュータモデル32との間で局所的な適合が見られる、コンピュータモデル32上の選択された点に最も近い位置が判断される。いったん適合が判断されると、ステップ64で、幾何学的構成は、グラフィカルユーザーインターフェース16を介して可視化された形態でコンピュータモデル32上に表示される。
【0026】
計測データを収集するためのセンサとともに、幾何学的構成及びそのコンピュータモデル32における位置が特定された後、ステップ66で機械命令が生成される。この機会命令は、部品12及び同じコンピュータモデル32を共有する同様のすべての部品に対する、マルチセンサ計測装置10での定められた計測を実行するためのものである。実際には、計測者は通常、計測ステップの間に構築及び報告のステップを挿入するだろう。例えば、計測者は交わる2つの縁のフィーチャを選択してそれら2つの線の交点を点として構築してもよく、その点の位置は一つのデータとして報告されるか又は表されてもよい。次に制御は、判定ステップ48に戻り、そこでは、計測者が、異なるフィーチャを計測するための別の計測ルーティンを定義するか、生成された機械命令をステップ68で送信するか、いずれかを選択することができる。この機械命令は、マルチセンサ計測装置10か同様に構成された計測装置により即時に用いられるか、後で用いられる。例えば、コード生成コンピュータ14によって生成された機械命令は、必要に応じてマルチセンサ計測装置10を作動させるために、又は新しい機械命令を生成する開始点とするために、データストア24に保存される。ステップ70でプログラムを終了する。
【0027】
図3は多数の例を示し、そこでは選択された点1から6に関連して選択された幾何学的構成が目に見える位置でコンピュータモデル32に添付され、その目に見える位置は、計測対象のフィーチャが部品12の表面上にあるか又は境界上にあるかにより、影響を受ける。
8つの例のうちの第1の例では、幾何学的構成(フィーチャタイプ)は点であり、コンピュータモデル32上に表示される選択された点は「1」と表される。点1がコンピュータモデル32の境界上にあることを意図されたものであると、適用ロジックが結論を下したならば、点の幾何学的構成「A」は、最も近い境界の角に添付される。点1がコンピュータモデル32の表面上にあることを意図されていると適用ロジックが結論を下したならば、点の幾何学的構成「B」は、選択された点1と一致して添付される。
【0028】
第2の例では、幾何学的構成は線であり、コンピュータモデル32上に表示された選択された点は「2」と表される。点2がコンピュータモデル32の境界上にあることを意図されていると、適用ロジックが結論を下したならば、線の幾何学的構成「C」は、最も近い境界の縁に添付される。点2がコンピュータモデル32の表面上にあることを意図されていると、適用ロジックが結論を下したならば、線の幾何学的構成「D」は、選択された点2を介して添付される。
【0029】
第3の例では、幾何学的構成は平面であり、コンピュータモデル32上に表示された選択された点は「3」と表される。平面の幾何学的構成「E」は、平面が表面又は境界を含むことを意図されているかどうかにかかわらず、選択された点「3」がある最も近い平面に添付される。なぜなら、平面は境界によって取り囲まれた領域を含むからである。
【0030】
第4の例では、幾何学的構成は円であり、コンピュータモデル32上に表示された選択された点は「4」と表される。点4がコンピュータモデル32の境界上にあることを意図されていると、適用ロジックが結論を下したならば、円の幾何学的構成「F」は、最も近い境界の縁に添付される。点4がコンピュータモデル32の表面上にあることを意図されていると、適用ロジックが結論を下したならば、円の幾何学的構成「G」は、選択された点4を介して添付される。
【0031】
第5の例でも、幾何学的構成は円であり、コンピュータモデル32上に表示された選択された点は「5」と表される。点5がコンピュータモデル32の境界上にあることを意図されていると、適用ロジックが結論を下したならば、円の幾何学的構成「K」は、最も近い境界の縁に添付される。点5がコンピュータモデル32の表面上にあることを意図されていると、適用ロジックが結論を下したならば、円の幾何学的構成「L」は、選択された5を介して添付される。
【0032】
第6の例において、幾何学的構成は円筒(円筒面;cylinder)であり、コンピュータモデル32上に表示された選択された点は「4」と表される。円筒の幾何学的構成「H」は、円筒が表面又は境界を含むことを意図されているかどうかにかかわらず、選択された点「4」がある最も近い円筒に添付される。なぜなら、円筒は境界によって取り囲まれた領域を含むからである。
【0033】
第7の例において、幾何学的構成は錐面であり、コンピュータモデル32上に表示された選択された点は「5」と表される。錐面の幾何学的構成「J」は、錐面が表面又は境界を含むことを意図されているかどうかにかかわらず、選択された点「5」がある最も近い錐面に添付される。なぜなら、錐面は境界によって取り囲まれた領域を含むからである。
【0034】
第8の例において、幾何学的構成は球面であり、コンピュータモデル32上に表示された選択された点は「6」と表される。球面の幾何学的構成「M」は、球面が表面又は境界を含むことを意図されているかどうかにかかわらず、選択された点「6」がある最も近い球面に添付される。なぜなら、球面は境界によって取り囲まれた領域を含むからである。
【0035】
機械命令の生成に寄与するために、さまざまな追加的なステップ、特に、選択されたセンサをセットアップするステップを、形成することができる。確立された計測サブルーティン、例えば特定のセンサで特定の幾何学的構成を計測するサブルーティンを組み入れることも可能である。