(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
内部が液体の流路をなす筒状の本体部と、この本体部の一端開口部に開閉可能に取付けられるフラップ状の弁体と、この弁体を常時は本体部の前記一端開口部に向けて閉じる方向に付勢するバネ部材とを備え、
前記本体部は、前記弁体を開閉可能に軸支する支軸を有しており、
前記弁体は、前記支軸が挿入される軸受部を有しており、
該軸受部は、前記支軸の軸方向から見たときに、前記支軸が挿通支持される、前記支軸の外径よりも大きな内径の軸受孔と、前記弁体のシール面側に開口し、前記支軸の外径よりも小さい幅で、かつ、弾性的に拡径して前記支軸を導入可能な通路を介して、前記軸受孔に連通する導入溝とを有しており、
前記導入溝の前記軸受孔への開口は、前記弁体が前記本体部の一端開口部を閉じた状態で、前記支軸の軸方向から見たときに、前記軸受孔の軸心に対して、前記本体部の軸心寄りに位置ずれしていることを特徴とするフラップ弁装置。
前記弁体により前記本体部の一端開口部が閉塞された状態においては、前記弁体が自重によって自然に下がり、前記軸受孔の上方の内周面に前記支軸の外周面が当接し、前記軸受孔の下方の内周面と前記支軸の外周面とが離間している請求項1記載のフラップ弁装置。
前記軸受部は、前記導入溝の開口部の一端が前記弁体の本体部に連結され、前記導入溝の開口部の他端が前記弁体の本体部から離れており、前記軸受部の一端又はその近傍に位置する前記弁体の本体部と、前記軸受部の他端とを連結する帯状部が設けられ、この帯状部は、前記弁体のシール面側から見たとき、前記支軸の前記導入溝への挿入を妨げないように形成されている請求項1又は2記載のフラップ弁装置。
前記軸受孔は、前記弁体で前記本体部の一端開口部を閉じた状態で、前記支軸の軸方向から見たときに、前記本体部の軸方向に長い長軸を有する長孔状をなしている請求項1〜5のいずれか1つに記載のフラップ弁装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記特許文献1の逆流防止弁は、金属製のケースに対して、樹脂製の支持体が取付けられ、該支持体の軸受け部に、軸部を介して弁体が開閉可能に取付けられており、軸受け部を設けた支持体の分だけ、部品点数が多くて構造が複雑であるという不都合がある。
【0008】
ところで、ポリエチレン等で形成された樹脂タンクの場合には、逆流防止弁のケースを樹脂タンクに溶着可能なポリエチレン等の樹脂製として、軸受け部をケースと一体的に形成して、部品点数を減らすことができる。
【0009】
しかしながら、逆流防止弁に燃料が浸漬すると、ケースに一体形成された軸受け部の内径が拡径する一方で、弁体が燃料膨潤しにくいポリオキシメチレン(POM)等で形成されている場合には、軸部の外径はあまり変化しないので、軸受け部から軸部が抜け外れやすくなってしまう可能性があった。
【0010】
したがって、本発明の目的は、本体部や弁体がどのような材料で形成されていても、支軸が軸受孔から抜け外れにくくすることができるフラップ弁装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するため、本発明のフラップ弁装置は、内部が液体の流路をなす筒状の本体部と、この本体部の一端開口部に開閉可能に取付けられるフラップ状の弁体と、この弁体を常時は本体部の前記一端開口部に向けて閉じる方向に付勢するバネ部材とを備え、前記本体部は、前記弁体を開閉可能に軸支する支軸を有しており、前記弁体は、前記支軸が挿入される軸受部を有しており、該軸受部は、前記支軸の軸方向から見たときに、前記支軸が挿通支持される、前記支軸の外径よりも大きな内径の軸受孔と、前記弁体のシール面側に開口し、前記支軸の外径よりも小さい幅で、かつ、弾性的に拡径して前記支軸を導入可能な連通路を介して、前記軸受孔に連通する導入溝とを有しており、前記連通路の前記軸受孔への開口は、前記支軸の軸方向から見たときに、前記本体部の軸心寄りの位置にあることを特徴とする。
【0012】
本発明のフラップ弁装置においては、前記軸受部は、前記導入溝の開口部の一端が前記弁体の本体部に連結され、前記導入溝の開口部の他端が前記弁体の本体部から離れており、前記軸受部の一端又はその近傍に位置する前記弁体の本体部と、前記軸受部の他端とを連結する帯状部が設けられ、この帯状部は、前記弁体のシール面側から見たとき、前記支軸の前記導入溝への挿入を妨げないように形成されていることが好ましい。
【0013】
本発明のフラップ弁装置においては、前記本体部は、一対の前記支軸を有していると共に、前記弁体は、該一対の支軸が挿入される一対の前記軸受部を有しており、一対の前記支軸には、一対の前記軸受部の外側に配置され、前記軸受孔の外径方向に向けて突出する突部がそれぞれ設けられており、前記帯状部は、前記弁体のシール面側から見たとき、前記突部が通過可能となるように形成されていると共に、前記弁体が開く方向に回動したときには、前記突部が前記帯状部から抜けないように構成されていることが好ましい。
【0014】
本発明のフラップ弁装置においては、前記突部は、前記本体部の軸方向で且つ前記流路の下流側に向けて伸びていることが好ましい。
【0015】
本発明のフラップ弁装置においては、前記軸受孔は、前記弁体で前記本体部の一端開口部を閉じた状態で、前記支軸の軸方向から見たときに、前記本体部の軸方向に長い長軸を有する長孔状をなしていることが好ましい。
【発明の効果】
【0016】
本発明のフラップ弁装置によれば、弁体の軸受部には、弁体のシール面側に向けて開口する導入溝が形成されているので、弁体の軸受部を本体部の支軸に整合させて、本体部に対して弁体を押し込むことで、支軸が導入溝及び連通路を通過して軸受孔に導入されて、本体部に弁体を開閉可能に取付けることができる。
【0017】
そして、本体部に支軸が形成され、弁体に軸受孔が形成されているので、例えば、本体部が燃料膨潤しやすいポリエチレン等で形成され、弁体が燃料膨潤しにくいポリオキシメチレン(POM)等で形成されている場合であって、本体部が燃料に浸漬して、支軸が膨潤しても、軸受孔が支軸の外径よりも大きな内径を有しているので、軸受孔が押し広げられて、支軸が軸受孔から抜け外れることを抑制することができる。
【0018】
また、上記のように、支軸が膨潤しても、軸受孔が支軸の外径よりも大きな内径を有しているので、弁体の軸受孔内周と支軸外周との摩擦力が高まることが抑制され、スムーズな弁体の開閉動作を維持することができる。
【0019】
更に、導入溝の連通路の軸受孔への開口は、支軸の軸方向から見たときに、本体部の軸心寄りの位置にあるので、弁体が本体部の一端開口部を閉じた状態はもちろんのこと、弁体が開く方向に回動したり、弁体に流体の圧力が加わって弁体を本体部から引き離す力が作用しても、支軸が、導入溝のの連通路の軸受孔への開口に押し付けられることが抑制されて、導入溝から支軸を抜けにくくすることができる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照して、本発明に係るフラップ弁装置の一実施形態について説明する。
【0022】
図6に示すように、この実施形態におけるフラップ弁装置10(以下、「弁装置10」という)は、燃料逆流防止弁として用いられるもので、燃料タンクTに燃料を注入するための燃料注入パイプP(以下、「パイプP」という)の下流側に取付けられ、パイプ上流側の給油口からパイプP内に注入された燃料を、パイプPを通して燃料タンク内へと流入させると共に、燃料タンク内に流入した燃料を、パイプP側へ逆流するのを防止する役割を果たすものである。以下の説明中、「上流側」及び「下流側」とは燃料の流れる方向を示し、具体的にはパイプPにおいて弁装置10が設けられた側を下流側とし、パイプPの給油口が接続される側(弁装置10とは反対側)を上流側として説明する。
【0023】
図1に示すように、この実施形態における弁装置10は、内部が液体の流路21(
図6参照))をなす筒状の本体部20と、この本体部20の一端開口部22に開閉可能に取付けられるフラップ状の弁体40と、この弁体40を常時は本体部20の一端開口部22に向けて閉じる方向に付勢するバネ部材70とを備えている。なお、バネ部材70は、コイル部71と、該コイル部71の両端から延出した一対の脚部72,72とからなる。
【0025】
図1及び
図6に示すように、この実施形態の本体部20は、上流側及び下流側が共に開口し、内部に流路21を設けた略円筒状に形成されており、下流側開口部が一端開口部22をなし、弁体40が取付けられる部分とされ、同一端開口部22の周縁部がやや突出しており、この突出部分が、弁体40が接離する弁座23をなしている。
【0026】
また、本体部20の上流側開口部寄りの外周からは、環状のフランジ部25が突設されており、
図6に示すように、本体部20を燃料タンクTの取付孔Taに差し込んで、該取付孔Taの表側周縁に前記フランジ部25を溶着させることにより、燃料タンクTに本体部20、ひいては弁装置10が取付けられるようになっている。
【0027】
なお、本体部20は、別体の取付部材を介して、燃料タンクTに取付けるようにしてもよい。
【0028】
また、
図2や
図6に示すように、本体部20の下流側端部の周壁の一部には、一端開口部22に向けて次第に縮径したテーパ状をなした座部27が形成されている。更にこの座部27からは、一対の取付アーム29A,29Bが、所定間隔をあけて平行に、一端開口部22に向けて延設されており、その先端部は一端開口部22から所定長さ突出している。
【0029】
図2に示すように、一対の取付アーム29A,29Bの外面側(両アームの対向面とは反対側)からは、円柱状をなした一対の支軸31A,31Bがそれぞれ突設されている。これら一対の支軸31A,31Bは、弁体40の、後述する一対の軸受部41A,41Bの軸受孔43,43(
図3参照)にそれぞれ挿入されて、弁体40を開閉可能に軸支するようになっている(
図5〜7参照)。
【0030】
なお、上記一対の取付アーム29A,29B及び一対の軸受部41A,41Bは、フランジ部25を介して弁装置10を燃料タンクTに取付けたときに、上方に配置されるようになっている(
図6参照)。
【0031】
また、
図2及び
図4〜6に示すように、各支軸31A,31Bの先端部からは、弁体40の、一対の軸受部41A,41Bの先端に配置され、軸受孔43の外径方向に向けて突出する突部33,33がそれぞれ設けられている。
図5及び
図6に示すように、各突部33は、本体部20の軸方向で且つ前記流路21の下流側に向けて伸びている。また、
図2に示すように、各突部33の先端部には、テーパ面33aが形成され、各突部33の上面にはテーパ面33bが形成されており、各軸受部41A,41Bと後述する帯状部47,47との間に形成された隙間49,49に、突部33,33を挿入しやすくなっている(
図3及び
図4参照)。
【0032】
図2に示すように、一方の軸受部31Aの内面側からは、バネ部材70のコイル部71を支持するバネ支持部35が突設されており、その先端からはコイル部71を抜け止め保持する抜け止め片35aが伸びている。更に
図2、
図4及び
図5に示すように、一対の取付アーム29A,29Bの間には、2つの連結リブ37,37が連結されており、両アーム29A,29Bの補強が図られている。なお、連結リブ37,37の一側部には、バネ部材70の一方の脚部72を係止するための、バネ係止溝37aが形成されている(
図2参照)。
【0033】
次に上記構成の本体部20に開閉可能に取付られる弁体40について説明する。
【0034】
図3、
図4及び
図9に示すように、この弁体40は、本体部20の一端開口部22に適合する形状をなし、同一端開口部22を開閉する弁本体40aを有している。この実施形態の弁本体40aは、一端開口部22に設けた弁座23よりもやや大きな円板状をなしている。なお、この弁本体40aが、本発明における「弁体の本体部」をなしている。
【0035】
また、この弁本体40aの周方向所定箇所から、所定幅の板状部40bが外径方向に向かって延設されており(
図3(b)参照)、この板状部40bの幅方向両側部よりも、やや弁本体内方の位置に、前記一対の支軸31A,31Bが挿入される一対の軸受部41A,41Bが設けられている(
図3(a)参照)。
【0036】
図3及び
図6に示すように、この実施形態における各軸受部41A,41Bは、全体として、弁体40のシール面側が開口した、略U字枠状をなしている。なお、本発明において、「シール面側」とは、弁体40の、本体部20の一端開口部との当接面側、ここでは弁座23に接離する面側(弁体の裏面側)を意味する。
【0037】
図6及び
図8に示すように、各軸受部41A,41Bは、前記本体部20の支軸31A,31Bの軸方向から見たときに、同支軸31A,31Bが挿通支持される、支軸31A,31Bの外径よりも大きな内径の軸受孔43,43を有している。この実施形態における軸受孔43は、弁体40で本体部20の一端開口部22を閉じた状態で、支軸の軸方向から見たときに、本体部20の軸方向に長い長軸を有していると共に、軸方向両端が円弧状に丸みを帯びた長孔状をなしている(
図6及び
図8参照)。なお、軸受孔43は長孔でなくともよく、特に限定はされない。
【0038】
上記のような軸受孔43を設けた結果、
図6及び
図8(a)に示すように、支軸31A,31Bが軸受孔43,43に挿通されて、弁体40が回動可能に軸支され、かつ、同弁体40により本体部20の一端開口部22が閉塞された状態においては、弁体40が自重によって自然に下がり、軸受孔43,43の上方中央の内周面に支軸31A,31Bの外周面が当接するようになっている。
【0039】
また、軸受部41A,41Bには、上記軸受孔43に加えて、
図6及び
図8に示すように、支軸31A,31Bの軸方向から見たときに、弁体40のシール面側に開口した導入溝45,45を有している。各導入溝45は、前記支軸31A,31Bの外径よりも小さい幅で、かつ、弾性的に拡径して支軸31A,31Bを軸受孔43へと導入可能な通路を介して軸受孔43に連通している。
【0040】
更に
図6及び
図8に示すように、各導入溝45の軸受孔43への開口45aは、支軸31A,31Bの軸方向から見たときに、弁体40のシール面側であって、かつ、本体部20の軸心C(
図6参照)寄りの位置に形成されている。そして、開口45aが位置する部分は、導入溝45の内径を狭める幅狭部45bをなしている。更に、幅狭部45bからシール面側の開口端縁に向かって次第に拡開するテーパ面45cが形成されており、支軸31A,31Bを導入溝45に導入しやすくなっている。
【0041】
また、各軸受部41A,41Bは、導入溝45のシール面側の開口部の一端が、弁本体40aに連結されて固定端をなしており、導入溝45のシール面側の開口部の他端が、弁本体40aから離れて延出されて自由端をなしている(
図3(a)参照)。
【0042】
更に、
図3(a),(b)に示すように、各軸受部41A,41Bの近傍に位置する弁本体40aと、各軸受部41A,41Bの他端(自由端)とを、連結する帯状部47,47が設けられている。
【0043】
この実施形態における帯状部47,47は、
図9に示すように、弁体40のシール面側から見て、前記本体部20の支軸31A,31Bの、各軸受部41A,41Bの導入溝45,45への挿入を妨げないように湾曲形成されていると共に、
図7に示すように、弁体40が開く方向に回動したときには、突部33,33が帯状部47,47から抜けないように構成されている。
【0044】
なお、この実施形態では、帯状部47は湾曲形成されているが、この帯状部は、例えば、直線状に形成されていてもよく、軸受部の導入溝への挿入を妨げない形状であれば、特に限定されるものではない。
【0045】
図3及び
図9に示すように、この実施形態における帯状部47は、板状部40bの側部から弁体外側に向けて突出した基部47aと、該基部47aの先端から各軸受部41A,41Bの自由端部に向けて斜めに延出した傾斜部47bとから構成されており、本体部20に設けた、テーパ面33a,33bを有する突部33(
図2参照)に適合する形状をなしている。また、各軸受部41A,41Bと帯状部47,47との間に、隙間49,49が形成されるようになっており、該隙間49,49に、本体部20の突部33,33が挿通されるようになっている。更に帯状部47,47は、
図7に示すように、弁体40が開く方向に回動したときに、突部33,33の下方に配置されるようになっており、それによって突部33,33が帯状部47,47から抜けないようになっている。
【0046】
なお、この実施形態の帯状部47は、弁本体40aと軸受部41A,41Bの他端とを連結しているが、これに限定されるものではなく、軸受部の一端と他端とを連結するように帯状部を設けてもよい。
【0047】
更に
図3(a)に示すように、前記板状部40bの、一対の軸受部41A,41Bの内面側(対向した面側)に隣接した位置には、回動規制片51,51が形成されており、
図7に示すように、弁体40が最大限開いたときに、本体部20の一対の取付アーム29A,29Bの先端部に当接して、弁体40の開き角度が規制されるようになっている。
【0048】
また、
図3(a)に示すように、板状部40bの、軸受部41B側の回動規制片51に隣接した位置には、バネ脱落防止片53が形成されている。
図5に示すように、このバネ脱落防止片53は、本体部20に弁体40が取付けられたときに、本体部20のバネ支持部35の抜け止め片35aと、取付アーム29Bとの間に配置されるようになっており、バネ部材70のコイル部71が、バネ支持部35の抜け止め片35aを乗り越えてしまった場合でも、コイル部71がバネ脱落防止片53に当接することで、コイル部71の脱落を防止するようになっている。
【0049】
更に
図3(a)に示すように、弁体40のシール面とは反対側(弁体の表面側)の中央部分には、バネ部材70の他方の脚部72を保持するための複数のバネ保持壁55が突設されている。また、弁体40の、バネ保持壁55の周囲には、複数の係止孔57が形成されている(
図3(a),(b)参照)。
【0050】
なお、以上説明した弁体40の軸受部41A,41Bは、略U字枠状をなしているが、この形状に限定されるものではなく、軸受孔及び弁体のシール面側に開口した導入溝を有するものであればよい。
【0051】
図1に示すように、上記弁体40のシール面側には、ゴムやエラストマー等からなる薄肉環状のシール部材60、及び、その裏面側に固定部材65が配置され、固定部材65から突設した複数の係止爪65aを、シール部材60の中央貫通部を通して、弁体40の複数の係止孔57にそれぞれ係止させることによって(
図4参照)、弁体40及び固定部材65の間に、シール部材60が挟み込まれて固定される(
図6参照)。そして、
図6に示すように、シール部材60の外周縁が弁座23に当接することで、本体部20の一端開口部22が閉じた状態にシールされるようになっている。なお、シール部材60を設けずに、弁体40のシール面側を本体部20の弁座23に直接当接させてもよく、特に限定はされない。
【0052】
なお、上記弁装置10を構成する本体部20は、燃料タンクTとの溶着性を考慮して、ポリエチレン(PE)等の合成樹脂が好ましく用いられる。一方、弁体40は、燃料が浸漬しても燃料膨潤しにくい、ポリオキシメチレン(POM)や、ポリアミド(PA)等の合成樹脂が好ましく用いられる。
【0053】
次に、上記構成からなる本発明の弁装置10の組付け手順及び作用効果について説明する。
【0054】
まず、本体部20のバネ支持部35に、バネ部材70のコイル部71を外装して、その一方の脚部72を本体部20のバネ係止溝37aに係止させ、他方の脚部72を弁体40のシール面とは反対側(表面側)に係止させる。
【0055】
その状態で、
図4に示すように、弁体40の軸受部41A,41Bを、本体部20の支軸31A,31Bに整合させると共に、弁体40に形成された隙間49,49を、本体部20の突部33,33に整合させ、本体部20に対して弁体40を押し込んでいく。
【0056】
すると、テーパ面45c(
図8参照)を介して支軸31A,31Bが、軸受部41A,41Bの導入溝45,45に導入されていくと共に、突部33,33が隙間49,49に挿入されていく。
【0057】
更に弁体40が押し込まれると、支軸31A,31Bが幅狭部45b,45bを通過する際に、内側から押圧されて、軸受部41A,41Bの自由端部が外方に広がるように撓み変形して、導入溝45,45が弾性的に拡径する。その後、支軸31A,31Bが、開口45a,45aを通過して、軸受孔43,43に導入されると、軸受部41A,41Bが弾性復帰して、導入溝45,45が縮径すると共に、突部33,33が、隙間49,49を通過して、軸受部41A,41Bの外側に配置される。その結果、
図5及び
図6に示すように、本体部20に弁体40を開閉可能に取付けることができる。
【0058】
このように、この弁装置10においては、本体部20側に支軸31A,31Bが設けられていると共に、弁体40の軸受部41A,41Bに設けた導入溝45,45が、弁体40のシール面側に開口しているので、軸受部41A,41Bを支軸31A,31Bに整合させた後、本体部20に対して弁体40を押し込むだけの簡単な作業で、弁体40を取付けることができ、本体部20に対する弁体40の取付け作業性を高めることができる。
【0059】
このとき、この実施形態においては、帯状部47,47は、
図3(b)に示すように、弁体40のシール面側から見て、軸受部41A,41Bとの隙間49,49を、本体部20の突部33,33が通過可能となるように形成されている。そのため、支軸31A,31Bを弁体40のシール面側から、導入溝45,45を通して軸受孔43,43に挿入する際に、軸受部41A,41Bと帯状部47,47との隙間49,49を通して、突部33,33を通過させることでき、本体部20に対して弁体40をスムーズに取付けることができる。
【0060】
そして、この弁装置10においては、本体部20に支軸31A,31Bが形成され、弁体40に軸受孔43,43が形成されているので、例えば、本体部20が燃料膨潤しやすいポリエチレン等で形成され、弁体40が燃料膨潤しにくいポリオキシメチレン等で形成されている場合であって、本体部20が燃料に浸漬して、支軸31A,31Bが膨潤しても、軸受部41A,41Bに設けた軸受孔43,43が、支軸31A,31Bの外径よりも大きな内径を有しているので、軸受孔43,43が内側から押し広げられて、支軸31A,31Bが軸受孔43,43から抜け外れることを抑制することができる。
【0061】
また、
図5及び
図6に示すように、本体部20に弁体40を取付けた状態では、バネ部材70の付勢力によって、シール部材60が弁座23に当接して、本体部20の一端開口部22が閉じた状態にシールされ、この状態では上述したように、弁体40が自重によって、軸受孔43,43の上方中央の内周面に支軸31A,31Bの外周面が当接するようになっている(
図8(a)参照)。
【0062】
そして、パイプP(
図6参照)から燃料が供給されると、バネ部材70の付勢力に抗して、支軸31A,31Bを中心として軸受孔43,43を介して弁体40が回動する。このとき、弁体40にかかる荷重は、燃料の流れ方向である本体部20の軸方向となる。一方、この弁装置10においては、導入溝45の軸受孔43への開口45aが、支軸31A、31Bの軸方向から見たときに、弁体40のシール面側であって、かつ、本体部20の軸心C(
図6参照)寄りの位置に形成されているので、支軸31A,31Bは、
図8(b),(c)に示すように、弁体40の開き角度に応じて、軸受孔43,43の上方中央から
図8中の右方向の内周面に当接する。
【0063】
そして、弁体40にかかる荷重が、
図8(d),(e)に示されるように、下方から斜め上方にかかることはないので、支軸31A,31Bが、導入溝45の軸受孔43への開口45aに押し当てられることはほとんどない。また、車両の揺動などによって、仮に、
図8(d),(e)に示される状態になったとしても、導入溝45の開口45aは、幅狭部45bをなしているので、支軸31A,31Bが、導入溝45に入り込みにくくなっている。
【0064】
また、この実施形態においては、軸受部41A,41Bに設けた軸受孔43,43は、弁体40で本体部20の一端開口部22を閉じた状態で、支軸の軸方向から見たときに、本体部20の軸方向に長い長軸を有する長孔状をなしているので(
図6及び
図8参照)、弁体40のシール面側に、本体部20の一端開口部22に対するシール性向上のためのシール部材60を装着しても、このシール部材60の板厚分だけ、弁体40が本体部20の軸方向にずれることができ、弁体40の姿勢を安定化させることができ、弁体40の、本体部20の一端開口部22に対するシール性を維持することができる。
【0065】
更にこの実施形態においては、軸受部41A,41Bは、導入溝45の開口部の一端が弁本体40aに連結され、導入溝45の開口部の他端が弁本体40aから離れており、弁本体40aと、軸受部41A,41Bの他端とを連結する帯状部47,47が設けられ、この帯状部47,47は、弁体40のシール面側から見たとき、支軸31A,31Bの導入溝45,45への挿入を妨げないように湾曲形成されているので(
図9参照)、軸受部41A,41Bの変形を抑制することができ、導入溝45,45から支軸31A,31Bが抜け外れることを、より効果的に抑制することができる。
【0066】
また、この実施形態においては、
図5に示すように、一対の支軸31A,31Bには、一対の軸受部41A,41Bの外側に配置された突部33,33がそれぞれ設けられているので、本体部20の軸心Cに対して交差する方向に、弁体40が位置ずれしても、突部33,33が軸受部41A,41Bの外側に当接するため、軸受孔43,43から支軸31A,31Bを抜けにくくすることができる。更に、
図7に示すように、弁体40が開く方向に回動したときには、突部33,33が帯状部47,47から抜けないように構成されているので、この状態でも軸受孔43,43から支軸31A,31Bを抜けにくくすることができる。
【0067】
更にこの実施形態においては、
図5及び
図6に示すように、突部33,33は、本体部20の軸方向で且つ流路21の下流側に向けて伸びているので、本体部20の支軸31A,31Bを、弁体40のシール面側から、導入溝45,45を通して軸受孔43,43に挿入する際に、突部33,33を通過させるために形成される、軸受部41A,41Bと帯状部47,47との隙間49,49を比較的小さくすることができ、帯状部47,47を短くして、軸受部41A,41Bの強度を高めることができる。