【実施例】
【0059】
以下、図面を参照しながら、本発明の観察装置及び観察方法並びにコンピュータプログラムの実施例を説明する。尚、以下では、本発明の観察装置及び観察方法並びにコンピュータプログラムが、被験者の角膜の表面を撮像することで観察画像を取得すると共に当該取得した観察画像を解析することで角膜の表面に形成される涙液層の状態を推定する(言い換えれば、計測する)観察装置に適用されるものとする。
【0060】
但し、本発明の観察装置及び観察方法並びにコンピュータプログラムは、被験者の眼の状態を観察する任意の観察装置に対して適用されてもよい。例えば、本発明の観察装置及び観察方法並びにコンピュータプログラムは、被験者の角膜の表面を撮像することで観察画像を取得するとともに当該取得した観察画像をユーザ(例えば、眼科医)等に向けて表示する観察装置に対して適用されてもよい。この場合、ユーザは、観察装置が表示する観察画像に基づいて、眼の状態を推定してもよい。
【0061】
(1)第1実施例
はじめに、
図1から
図6を参照しながら、第1実施例の観察装置1について説明する。
【0062】
(1−1)第1実施例の観察装置1の構成
はじめに、
図1を参照しながら、第1実施例の観察装置1の構成について説明する。
図1は、第1実施例の観察装置1の構成を示すブロック図である。
【0063】
図1に示すように、第1実施例の観察装置1は、上述した実施形態中の「投影手段」の一具体例である投影部110と、上述した実施形態中の「投影手段」の一具体例である拡散板120と、上述した実施形態中の「投影手段」の一具体例である接眼レンズ124と、上述した実施形態中の「投影手段」の一具体例であるケーラー照明用レンズ131と、ビームスプリッタ132と、上述した実施形態中の「撮像手段」の一具体例である撮像部140と、上述した実施形態中の「制御手段」の一具体例である制御部150とを備える。尚、
図1では、投影部110、拡散板120、接眼レンズ124、ケーラー照明用レンズ131、ビームスプリッタ132及び撮像部140の夫々は、投影部110、接眼レンズ124、ケーラー照明用レンズ131又は撮像部140の光軸に沿った断面図を用いて記載されている。
【0064】
投影部110は、所望の投影画像を投影する。投影部110は、投影画像の少なくとも一部が後述する拡散板120上で結像するように、投影画像を投影する。投影部110は、投影画像の少なくとも一部が網膜上で結像するように、投影画像を投影する。投影画像を投影するために、投影部110は、表示素子111と、投影レンズ112と、投影絞り113とを備える。
【0065】
表示素子111は、投影部110が投影するべき投影画像を表示する。表示素子111は、例えば、液晶ディスプレイ等の任意のディスプレイ装置である。
【0066】
表示素子111は、投影画像が表示される表示面111aを備えている。第1実施例では、表示面111aは、涙液層の状態を観察するために用いられる検査画像(後述する
図3(a)から
図3(d)参照)を表示するための第1表示領域111a1と、撮像部140の撮像結果である観察画像(後述する
図4参照)を表示するための第2表示領域111a2とに仮想的に区分される。
【0067】
第1表示領域111a1は、第2表示領域111a2を取り囲むように分布する。言い換えれば、第1表示領域111a1は、第2表示領域111a2の周囲又は外側に分布する。第2表示領域111a2は、第1表示領域111a1よりも表示面111aの中心部に近接していることが好ましい。但し、第1表示領域111a1及び第2表示領域111a2の表示面111a上での分布態様は、
図1に示す分布態様に限定されることはない。
【0068】
表示素子111は、第1表示領域111a1に検査画像を表示する。更に、表示素子111は、第2表示領域111a2に観察画像を表示する。つまり、第1実施例では、表示素子111は、検査画像が観察画像を取り囲むように(言い換えれば、検査画像の中心部又は当該中心部の近傍に観察画像が位置するように)観察画像と検査画像とを合成することで得られる投影画像を表示する。その結果、第1表示領域111a1からは、検査画像を眼に投影する(より具体的には、検査画像を拡散板120に投影する)ための照明光L11が出射される。第2表示領域111a2からは、観察画像を眼に投影する(より具体的には、観察画像を網膜上に結像させる)ための照明光L12が出射される。
【0069】
投影レンズ112は、照明光L11を拡散板120上に結像させる。その結果、投影部110が投影する検査画像は、拡散板120上で結像する。加えて、投影レンズ112は、ケーラー照明用レンズ131及び接眼レンズ124と共に、照明光L12を網膜上に結像させる。その結果、投影部110が投影する観察画像は、網膜上で結像する。
【0070】
投影絞り113は、投影部110から出射する照明光L11及び照明光L12の光量を調整する。
【0071】
拡散板120は、拡散板120に入射してくる照明光L11を拡散する板(言い換えれば、スクリーン)である。具体的には、拡散板120は、投影部110側を向いている拡散板120の表面121に入射してくる照明光L11を、被験者側(角膜側)を向いている拡散板120の表面122から照明光L21として拡散する。拡散板120によって拡散された照明光L21の少なくとも一部は、角膜を照明する。
【0072】
第1実施例では、拡散板120の表面122の断面(具体的には、光軸に沿った断面)は、のこぎり状の断面となることが好ましい。つまり、表面122は、フレネルレンズの表面の如き形状を有していることが好ましい。特に、表面122の断面は、表面122の断面がのこぎり状の断面とならない場合と比較してより多くの照明光L11を照明光L21として角膜に向けて拡散することが可能なのこぎり状の断面となることが好ましい。その結果、
図1に示すように、照明光L11は、より多くの照明光L11が照明光L21として角膜に向かうように、拡散板120によって拡散される。
【0073】
第1実施例では、拡散板120には、開口123が形成されている。被験者の眼は、角膜が開口123に対向することが可能な位置に位置している。開口123は、表面121から表面122に向かって拡散板120を貫通する開口である。
【0074】
開口123は、角膜によって反射された照明光L21である反射光L31が通過する開口である。開口123には、反射光L31をビームスプリッタ132の反射面に導く接眼レンズ124が配置されている。
【0075】
開口123は更に、ビームスプリッタ132を透過した後に拡散板120に入射してくる照明光L12が通過する開口である。開口123を通過する照明光L12は、開口123に配置される接眼レンズ124によって、網膜に導かれる。その結果、照明光L12は、網膜上で結像する。つまり、投影部110から出射する照明光L12は、拡散板120によって拡散されることはない。但し、投影部110から出射する照明光L12の少なくとも一部が、拡散板120によって拡散されてもよい。
【0076】
尚、
図1では、拡散板120は、透過型の拡散板である。しかしながら、拡散板120は、反射型の拡散板であってもよい。また、観察装置1は、拡散板120に加えて又は代えて、拡散板120に入射してくる照明光L11を拡散することが可能な任意の光学素子を備えていてもよい。例えば、観察装置1は、拡散板120に加えて又は代えて、フレネルレンズを備えていてもよい。また、拡散板120の表面122の断面は、のこぎり状の断面でなくてもよい。例えば、拡散板120の表面122は、平面であってもよい。
【0077】
ケーラー照明用レンズ131は、投影レンズ112及び接眼レンズ124と共に、照明光L12を網膜上に結像させる。典型的には、ケーラー照明用レンズ131と接眼レンズ124との間には、照明光L12が結像する中間結像面が位置する。例えば、照明光L12は、ケーラー照明用レンズ131と接眼レンズ124との間に位置する接眼レンズ124の前側焦点と一致する中間結像面上で結像する。尚、照明光L11は、ケーラー照明用レンズ131を通過しない(つまり、ケーラー照明用レンズ131のレンズ面を通過しない)ことが好ましい。但し、照明光L11の少なくとも一部は、ケーラー照明用レンズ131を通過してもよい。
【0078】
ビームスプリッタ132は、投影部110から出射する照明光L11及び照明光L12を透過する。一方で、ビームスプリッタ132は、角膜によって反射された照明光L21である反射光L31を、撮像部140に向けて反射する。
【0079】
撮像部140は、検査画像が投影されている拡散板120の角膜反射像(つまり、角膜によって反射された照明光L21である反射光L31によって形成される画像であり、実質的には拡散板120の表面122)又は角膜の表面を撮像する。角膜の表面を撮像するために、撮像部140は、撮像絞り141と、撮像レンズ142と、撮像素子143とを備えている。
【0080】
撮像絞り141は、ビームスプリッタ130によって反射された反射光L31の光量(より具体的には、撮像素子143に向かう反射光L31の光量)を調整する。
【0081】
撮像レンズ142は、反射光L31を撮像素子143上に(より具体的には、撮像素子143の撮像面上に)結像させる。その結果、撮像素子143上では、検査画像が投影されている拡散板120の角膜反射像又は角膜の表面を示す画像が結像する。
【0082】
撮像素子143は、撮像素子143に入射してくる反射光L31を電気信号に変換するCCDセンサ又はCMOSセンサを備えている。その結果、撮像素子143は、検査画像が投影されている拡散板120の角膜反射像又は角膜の表面を示す画像である観察画像を取得する。撮像素子143が取得した観察画像は、制御部150に出力される。
【0083】
制御部150は、観察装置1の全体の動作を制御する。制御部150は、例えば、CPU(Central Processing Unit)を備えていてもよい。制御部150は、例えば、ROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)等のメモリを備えていてもよい。
【0084】
第1実施例では特に、制御部150は、撮像部140が取得した観察画像を解析することで、角膜の表面に形成される涙液層の状態を推定する。更に、制御部150は、被験者が瞬きをした場合に投影画像のうちの少なくとも一部の画像部分の輝度である投影輝度を調整するように、投影部110を制御する。制御部150は、主として涙液層の状態を推定するために、画像解析部151と、状態推定部152とを備えている。更に、制御部150は、主として被験者が瞬きをした場合に投影輝度を調整するように投影部110を制御するために、瞬き検出部153と、表示制御部154とを備えている。
【0085】
制御部150は、画像解析部151、状態推定部152、瞬き検出部153及び表示制御部154の動作をCPUに実行させるためのコンピュータプログラムを、CPU上で実行してもよい。制御部150は、このようなコンピュータプログラムをメモリ等の記録媒体から読み出してもよいし、ネットワークを介してダウンロードしてもよい。その結果、画像解析部151、状態推定部152、瞬き検出部153及び表示制御部154は、例えば、論理的な処理ブロックとしてCPU上で機能する。但し、画像解析部151、状態推定部152、瞬き検出部153及び表示制御部154のうちの少なくとも一つは、制御部150内に物理的に実現される回路ブロックであってもよい。
【0086】
画像解析部151は、撮像部140が取得した観察画像を解析する。例えば、後に詳述するように、全白色の検査画像が拡散板120に投影されている場合には、画像解析部151は、観察画像に現れる干渉色を解析してもよい。尚、観察画像に現れる干渉色は、油層の表面によって反射された反射光L31と油層の裏面(つまり、油層と水層との界面)によって反射された反射光L31との干渉光が呈する色を意味する。例えば、後に詳述するように、線状パターンを含む検査画像が拡散板120に投影されている場合には、画像解析部151は、観察画像に現れる線状パターンの経時的な変化(時間的な変化)を解析してもよい。
【0087】
状態推定部152は、画像解析部151の解析結果に基づいて、涙液層の状態を推定する(言い換えれば、計測する)。例えば、状態推定部152は、画像解析部151の解析結果の一例である「観察画像に現れる干渉色」に基づいて、涙液層の状態の一例である「油層(つまり、涙液層を構成する一つの層である油層)の厚さ」を推定してもよい。例えば、状態推定部152は、画像解析部151の解析結果の一例である「線状パターンの経時的な変化」に基づいて、涙液層の状態の一例である「BUT(tear film Break Up Time:涙液層破壊時間:被験者の眼が開いてから涙液層の表面に亀裂が入るまでの時間)」を推定してもよい。
【0088】
瞬き検出部153は、被験者の瞬きを検出する。つまり、瞬き検出部153は、被験者が瞬きをしたか否かを判定する。例えば、瞬き検出部153は、撮像部140が取得した観察画像を解析することで、被験者の瞬きを検出する。
【0089】
表示制御部154は、涙液層の状態を観察するために用いられる検査画像を表示するように、表示素子111を制御する。更に、表示制御部154は、撮像部140が取得した観察画像を表示するように、表示素子111を制御する。
【0090】
第1実施例では、表示制御部154は、第2表示領域111a2を取り囲む第1表示領域111a1に検査画像を表示するように、表示素子111を制御してもよい。更に、表示制御部154は、第1表示領域111a1によって取り囲まれる第2表示領域111a2に観察画像を表示するように、表示素子111を制御してもよい。従って、表示制御部154は、観察画像が検査画像の中心部(或いは、中心部の近傍)に重なるように観察画像と検査画像とを合成することで得られる投影画像を表示するように、表示素子111を制御してもよい。言い換えれば、表示制御部154は、検査画像が観察画像を取り囲むように観察画像と検査画像とを合成することで得られる投影画像を表示するように、表示素子111を制御してもよい。
【0091】
表示制御部154は更に、瞬き検出部153の検出結果に基づいて、投影画像のうちの少なくとも一部の画像部分の輝度である投影輝度を調整する。つまり、表示制御部154は更に、瞬き検出部153の検出結果に基づいて、投影輝度を調整するように表示素子111を制御する。具体的には、表示制御部154は、瞬き検出部153が瞬きを検出した場合に、瞬き検出部153が瞬きを検出した場合の投影輝度と瞬き検出部153が瞬きを検出していない場合の投影輝度との差分が所定閾値よりも小さくなるように、投影輝度を調整する。言い換えれば、表示制御部154は、瞬き検出部153が瞬きを検出した場合に、瞬き検出部153が瞬きを検出した場合の投影輝度を所定範囲内に収める(典型的には、瞬き検出部153が瞬きを検出していない場合の投影輝度を含む所定範囲内に収める)ように、投影輝度を調整する。
【0092】
(1−2)第1実施例の観察装置1の動作
続いて、
図2を参照しながら、第1実施例の観察装置1の動作について説明する。
図2は、第1実施例の観察装置1の動作の流れを示すフローチャートである。
【0093】
図2に示すように、表示制御部154は、表示面111に検査画像を表示するように、表示素子111を制御する(ステップS101)。このとき、表示制御部154は、表示面111の全面に検査画像を表示するように、表示素子111を制御してもよい。或いは、表示制御部154は、表示面111aのうちの第1表示領域111a1(つまり、表示面111aの中心部又は第2表示領域111a2を除く領域)に検査画像を表示するように、表示素子111を制御してもよい。その結果、表示素子111は、検査画像を表示する(ステップS101)。
【0094】
ここで、
図3(a)から
図3(d)を参照しながら、検査画像について説明する。
図3(a)から
図3(d)は、夫々、検査画像を示す平面図である。
【0095】
図3(a)は、観察装置1が涙液層の状態の一例である油層の厚さを推定する場合に表示される検査画像を示している。
図3(a)に示すように、観察装置1が油層の厚さを推定する場合には、表示制御部154は、全白色の画像(つまり、全体が白色となる画像)である検査画像を表示するように、表示素子111を制御する。
【0096】
図3(b)は、観察装置1が涙液層の状態の一例であるBUTを推定する場合に表示される検査画像の第1例を示している。
図3(b)に示すように、観察装置1がBUTを推定する場合には、表示制御部154は、同心円の複数のリングの画像(つまり、多重リング状パターン)である検査画像を表示するように、表示素子111を制御する。
【0097】
図3(c)は、観察装置1がBUTを推定する場合に表示される検査画像の第2例を示している。
図3(c)に示すように、観察装置1がBUTを推定する場合には、表示制御部154は、
図3(b)に示す多重リング状パターンである検査画像に代えて、互いに平行な複数の直線又は線分の画像(つまり、ストライプ状パターン)である検査画像を表示するように、表示素子111を制御してもよい。
【0098】
図3(d)は、観察装置1がBUTを推定する場合に表示される検査画像の第3例を示している。
図3(d)に示すように、観察装置1がBUTを推定する場合には、表示制御部154は、
図3(b)に示す多重リング状パターンである検査画像及び
図3(c)に示すストライプ状パターンである検査画像に代えて、格子の画像(つまり、格子状パターン)である検査画像を表示するように、表示素子111を制御してもよい。
【0099】
つまり、観察装置1がBUTを推定する場合には、表示制御部154は、複数の直線、線分又は曲線の画像(つまり、線状パターン)である検査画像を表示するように、表示素子111を制御する。
【0100】
尚、
図3(a)に示す検査画像は、観察装置1が油層の厚さを推定する場合に表示される検査画像の一例に過ぎない。従って、観察装置1が油層の厚さを推定する場合に、表示制御部154は、
図3(a)に示す検査画像とは異なる他の検査画像を表示するように、表示素子111を制御してもよい。
【0101】
同様に、
図3(b)から
図3(d)に示す検査画像は、観察装置1がBUTを推定する場合に表示される検査画像の一例に過ぎない。従って、観察装置1がBUTを推定する場合に、表示制御部154は、
図3(b)から
図3(d)に示す検査画像とは異なる他の検査画像を表示するように、表示素子111を制御してもよい。
【0102】
再び
図2において、表示素子111が検査画像を表示すると、表示面111a(或いは、第1表示領域111a1)からは、検査画像を拡散板120に投影するための照明光L11が出射される。照明光L11は、投影レンズ112及び投影絞り113を介して、拡散板120に入射する。その結果、拡散板120上では、検査画像が結像する。拡散板120は、拡散板120に入射してくる照明光L11を、照明光L21として拡散する。その結果、照明光L21は、被験者の角膜に入射する。従って、拡散板120は、投影部110が投影している検査画像に応じた明暗パターンで眼を照明する照明板として機能する。このとき、検査画像は、角膜上で結像してい手もよい。或いは、検査画像は、角膜上で結像していなくてもよい。
【0103】
その後、撮像部140は、検査画像が投影されている拡散板120の角膜反射像もしくは角膜の表面を撮像する(ステップS102)。その結果、撮像部140は、角膜の表面状態を反映した画像である観察画像を取得する(ステップS102)。
【0104】
ここで、
図4を参照しながら、観察画像について説明する。
図4は、観察画像を示す平面図である。
【0105】
図4は、
図3(b)に示す検査画像(多重リング状パターン)が拡散板120に投影されている場合に当該拡散板120の角膜反射像を撮像することで取得される観察画像を示している。
図4に示すように、観察画像中には、被験者の角膜(更には、眼)に映り込んでいる拡散板120上の検査画像(つまり、多重リング状パターン)のみならず、被験者の前眼部が含まれている。但し、後述するように観察装置1がBUTを推定する場合には、撮像レンズ142は角膜に映り込んでいる拡散板120にピントを合わせることが好ましいがゆえに、被験者の前眼部は多少ボケる可能性がある。
【0106】
再び
図2において、表示制御部154は、ステップS101で表示素子111が表示している検査画像とステップS102で撮像部140が取得した観察画像とを合成する(ステップS103)。その結果、表示制御部154は、検査画像と観察画像とを合成することで得られる投影画像を生成する(ステップS103)。
【0107】
ここで、
図5を参照しながら、検査画像と観察画像とを合成することで得られる投影画像について説明する。
図5は、検査画像と観察画像とを合成することで得られる投影画像を示す平面図である。
【0108】
図5に示すように、投影画像中において、多重リング状パターンである検査画像は、観察画像を取り囲む。投影画像中において、観察画像は、検査画像の中心部又は当該中心部の近傍に配置される。このため、表示制御部154は、検査画像が観察画像を取り囲むように(例えば、検査画像の中心部又は当該中心部の近傍に観察画像が位置する)ように、検査画像と観察画像とを合成する。言い換えれば、表示制御部154は、第2表示領域111a2を取り囲む第1表示領域111a1に検査画像が表示され且つ第1表示領域111a1によって取り囲まれる第2表示領域111a2に検査画像が表示されるように、検査画像と観察画像とを合成する。但し、表示制御部154は、検査画像の中心部又は当該中心部の近傍とは異なる位置に観察画像が位置するように、検査画像と観察画像とを合成してもよい。
【0109】
再び
図2において、その後、表示制御部154は、ステップS103で生成した投影画像(つまり、検査画像と観察画像とを合成することで得られる画像)を表示するように、表示素子111を制御する(ステップS104)。その結果、表示素子111は、投影画像(つまり、検査画像と観察画像とを合成することで得られる画像)を表示する(ステップS104)。
【0110】
表示素子111が投影画像を表示すると、表示面111aのうちの第1表示領域111a1からは、検査画像を眼に投影する(より具体的には、検査画像を拡散板120に投影する)ための照明光L11が出射される。このため、上述したように、拡散板120は、投影部110が投影している検査画像に応じた明暗パターンで眼を照明する照明板として機能する。
【0111】
一方で、表示素子111が投影画像を表示すると、表示面111aのうちの第2表示領域111a2からは、観察画像を眼に投影する(より具体的には、観察画像を網膜上に結像させる)ための照明光L12が出射される。照明光L12は、投影レンズ112、投影絞り113、ケーラー照明用レンズ131、ビームスプリッタ132及び接眼レンズ124を介して、被験者の角膜に入射する。その結果、照明光L12は、被験者の網膜上で結像する。従って、被験者は、検査画像が投影されている角膜の表面の画像である観察画像を視認することができる。
【0112】
その後、画像解析部151は、ステップS102で撮像部140が取得した観察画像を解析する(ステップS111)。
【0113】
例えば、観察装置1が油層の厚さを推定する場合には、撮像部140は、撮像レンズ142のピントを角膜の表面に合わせた上で、角膜の表面を撮像する。このため、観察画像は、全白色の画像である検査画像によって照明されている角膜の表面の画像となる。この場合、画像解析部151は、観察画像に含まれる検査画像に生ずる干渉色(つまり、観察画像に現れる干渉色)を識別するように、観察画像を解析する。但し、画像解析部151は、観察画像に含まれる検査画像の特徴のうち干渉色とは異なる特徴を推定するように、観察画像を解析してもよい。
【0114】
例えば、観察装置1がBUTを推定する場合には、撮像部140は、撮像レンズ142のピントを角膜に写った拡散板120に合わせた上で、拡散板120の表面122を撮像する。このため、観察画像は、多重リング状パターンである検査画像が投影されている拡散板120の角膜反射像となる。この場合、画像解析部151は、観察画像に含まれる複数のリングの経時的な変化(言い換えれば、時間的な変化)を判定するように、観察画像を解析する。特に、画像解析部151は、観察画像に含まれる複数のリングの経時的な破壊状況を判定するように、観察画像を解析する。尚、表示素子111がストライプ状パターン又は格子状パターンである検査画像を表示している場合においても、画像解析部151は、観察画像に含まれる複数のライン又は格子の経時的な変化(特に、破壊状況)を判定するように、観察画像を解析する。但し、画像解析部151は、観察画像に含まれる検査画像の特徴のうち複数の線の経時的な変化(特に、破壊状況)とは異なる特徴を推定するように、観察画像を解析してもよい。
【0115】
その後、状態推定部152は、ステップS111における画像解析部151の解析結果に基づいて、涙液層の状態を推定する(ステップS112)。
【0116】
例えば、観察装置1が油層の厚さを推定する場合には、画像解析部151は、観察画像に含まれる検査画像に生ずる干渉色を識別するように、観察画像を解析している。この場合、状態推定部152は、画像解析部151の解析結果に相当する干渉色に基づいて、油層の厚さを推定する。具体的には、全白色の画像である検査画像が投影されている拡散板120によって照明されている角膜を撮像することで得られる観察画像に現れる干渉色は、油層の厚さに固有の色となる傾向にある。従って、状態推定部152は、画像解析部151の解析結果に相当する干渉色に基づいて、油層の厚さを推定することができる。但し、状態推定部152は、油層の厚さとは異なる涙液層の状態を推定してもよい。
【0117】
例えば、観察装置1がBUTを指定する場合には、画像解析部151は、観察画像に含まれる検査画像に含まれる複数のリングの経時的な変化(特に、破壊状況)を判定するように、観察画像を解析している。この場合、状態推定部152は、画像解析部151の解析結果に相当する複数のリングの経時的な変化(特に、破壊状況)に基づいて、BUTを推定する。具体的には、涙液層の表面に亀裂が入ると、観察画像に含まれる複数のリングの形状が乱れる。従って、状態推定部152は、被験者の眼が開いてから観察画像に含まれる複数のリングの形状が乱れる(例えば、複数のリングのうちの少なくとも一つのリングの形状が所定態様で乱れる)までの時間を推定することで、BUTを推定することができる。但し、状態推定部152は、BUTとは異なる涙液層の状態を推定してもよい。
【0118】
尚、BUTは、上述したように、被験者の眼がドライアイであるか否かを診断するための指標の1つとして用いられる。従って、観察装置1は、状態推定部152が推定したBUTをユーザ(例えば、眼科医や被験者等)に提示することで、被験者の眼がドライアイであるか否かの診断をサポートしてもよい。
【0119】
一方で、油層の厚さは、BUTと一定の相関があることが知られている。従って、観察装置1は、状態推定部152が推定した油層の厚さをユーザに提示することで、被験者の眼がドライアイであるか否かの診断をサポートしてもよい。観察装置1は、状態推定部152が推定した油層の厚さに基づいてBUTを推定すると共に当該推定したBUTをユーザに提示することで、被験者の眼がドライアイであるか否かの診断をサポートしてもよい。
【0120】
第1実施例では更に、ステップS111における観察画像の解析動作及びステップS112における涙液層の状態の推定動作と並行して、表示制御部154は、瞬き検出部153の検出結果に基づいて、投影画像のうちの少なくとも一部の画像部分の輝度である投影輝度を調整する。
【0121】
具体的には、瞬き検出部153は、被験者が瞬きをしたか否かを判定する(ステップS121)。具体的には、瞬き検出部153は、被験者が眼を閉じているか否か及び被験者が眼を開いているか否かを判定する(ステップS121)。
【0122】
第1実施例では、瞳孔検出部153は、撮像部140が取得した観察画像を解析することで、被験者が瞬きをしたか否かを判定する。
【0123】
例えば、瞬き検出部153は、観察画像の少なくとも一部の変化を検出することで、被験者が瞬きをしたか否かを判定してもよい。具体的には、被験者の眼が開いている場合には、
図6(a)に示すように、観察画像は、黒い画像部分(例えば、瞳孔や虹彩に相当する画像部分)と白い画像部分(例えば、虹彩を取り囲む強膜に相当する画像部分)とを含んでいる。一方で、被験者の眼が閉じている場合には、
図6(b)に示すように、観察画像は、
図6(a)に示す黒い画像部分及び白い画像部分に代えて、肌色の画像部分(例えば、まぶたに相当する画像部分)を含んでいる。従って、瞬き検出部153は、観察画像中において黒い画像部分及び白い画像部分が肌色の画像部分に置き換わった場合に、被験者が眼を閉じたと判定する。瞬き検出部153は、観察画像中において肌色の画像部分が黒い画像部分及び白い画像部分に置き換わった場合に、被験者が眼を開いたと判定する。その結果、瞬き検出部153は、被験者が瞬きをしているか否かを判定することができる。
【0124】
或いは、例えば、瞬き検出部153は、観察画像の輝度の変化を検出することで、被験者が瞬きをしたか否かを判定してもよい。具体的には、被験者の眼が開いている場合には、照明光L11は、主として眼(特に、瞳孔や虹彩や角膜や強膜等)によって反射される。一方で、被験者の眼が閉じている場合には、照明光L11は、主としてまぶた(つまり、皮膚)によって反射される。ここで、一般的には、まぶたの反射率は、眼の反射率よりも高い。従って、主としてまぶたによって反射された照明光L11である反射光L31を撮像素子143が受光することで取得される観察画像の輝度は、主として眼によって反射された照明光L11である反射光L31を撮像素子143が受光することで取得される観察画像の輝度よりも高くなる。つまり、被験者の眼が閉じている場合に取得される観察画像の輝度は、被験者の眼が開いている場合に取得される観察画像の輝度よりも高くなる。従って、瞬き検出部153は、観察画像中において相対的に輝度の低い画像部分が相対的に輝度の高い画像部分に置き換わった場合に、被験者が眼を閉じたと判定する。瞬き検出部153は、観察画像中において相対的に輝度の高い画像部分が相対的に輝度の低い画像部分に置き換わった場合に、被験者が眼を開いたと判定する。その結果、瞬き検出部153は、被験者が瞬きをしているか否かを判定することができる。
【0125】
いずれにせよ、瞬き検出部153は、何らかの公知な又は新規の方法を用いて、被験者が瞬きをしたか否かを判定する。
【0126】
ステップS121の判定の結果、被験者が瞬きをした(特に、眼を閉じた)と判定される場合には(ステップS121:Yes)、表示制御部154は、投影画像のうちの少なくとも一部の画像部分の輝度である投影輝度を調整する(ステップS122)。例えば、表示制御部154は、投影画像を構成する観察画像の全体又は一部の画像部分の投影輝度を調整してもよい。例えば、表示制御部154は、投影画像を構成する検査画像の全体又は一部の画像部分の投影輝度を調整してもよい。例えば、表示制御部154は、投影画像の全体又は一部の画像部分の投影輝度を調整してもよい。
【0127】
第1実施例では、表示制御部154は、投影輝度が所定条件を満たすように投影輝度を調整する。
【0128】
例えば、表示制御部154は、被験者の瞬きの有無によらずに投影輝度が所定範囲内に収まる値となるように投影輝度を調整してもよい。尚、所定範囲とは、縮瞳を発生させることがない又は縮瞳を発生させる可能性が相対的に小さい投影輝度の範囲を示す。
【0129】
或いは、例えば、表示制御部154は、被験者の瞬きの有無によらずに投影輝度が概ね一定となるように投影輝度を調整してもよい。つまり、表示制御部154は、瞬き検出部153が瞬きを検出した場合の投影輝度と瞬き検出部153が瞬きを検出していない場合の投影輝度との差分が所定閾値よりも小さくなる(或いは、瞬き検出部153が瞬きを検出した場合の投影輝度と瞬き検出部153が瞬きを検出していない場合の投影輝度とが概ね一致する)ように、投影輝度を調整してもよい。言い換えれば、表示制御部154は、被験者が眼を閉じている場合の投影輝度と被験者が眼を開いている場合の投影輝度との差分が所定閾値よりも小さくなる(或いは、被験者が眼を閉じている場合の投影輝度と被験者が眼を開いている場合の投影輝度とが概ね一致する)ように、投影輝度を調整してもよい。
【0130】
尚、第1実施例における「投影輝度」は、投影輝度の時間平均値であることが好ましい。つまり、第1実施例における「投影輝度」は、投影部110が時間の経過に合わせて連続的に又は断続的に投影する複数の投影画像(或いは、複数の検査画像又は複数の観察画像)の全体又は一部の画像部分の輝度の平均値を意味する。但し、第1実施例における「投影輝度」は、投影輝度の瞬時値であってもよい。
【0131】
他方で、ステップS121の判定の結果、被験者が瞬きをしていない(特に、眼を開いている)と判定される場合には(ステップS121:No)、表示制御部154は、投影輝度を調整しなくてもよい。
【0132】
以降は、観察装置1による観察動作が終了するまでの間、ステップS102からステップS104、ステップS111からステップS112及びステップS121からステップS212の動作が繰り返し行われる(ステップS131)。
【0133】
以上説明したように、第1実施例の観察装置1は、瞬き検出部153の検出結果に基づいて、投影画像のうちの少なくとも一部の画像部分の輝度である投影輝度を調整することができる。従って、被験者が瞬きをする(特に、目を閉じる)ことで輝度が過度に高い観察画像が取得される場合であっても、観察装置1は、投影輝度が適切に調整された投影画像を投影することができる。その結果、被験者が眼を開いた後に投影輝度が過度に高い投影画像(つまり、輝度が過度に高い観察画像を含む投影画像)が眼に投影されることは殆ど又は全くない。
【0134】
具体的には、ある時点で被験者が瞬きをした(つまり、目を閉じた)場合を想定する。この場合、上述したように、撮像部140は、被験者が瞬きをしていない(つまり、眼を開いている)場合に取得される観察画像の輝度よりも高い輝度の観察画像を取得する。ここで、仮に表示制御部154が投影輝度を調整しなければ、投影部110は、撮像部140が取得した観察画像(つまり、輝度が過度に高い観察画像)を含む投影画像を投影する。つまり、被験者の角膜には、投影輝度が過度に高い可能性がある投影画像(言い換えれば、輝度が過度に高い可能性がある観察画像を含む投影画像)が投影される。その結果、縮瞳が発生するおそれがある。縮瞳の発生は、眼の状態の適切な検査にとって好ましくない。しかるに、第1実施例では、被験者が瞬きをした(つまり、目を閉じた)場合には、表示制御部154は、投影輝度を調整することができる。従って、投影部110は、投影輝度が過度に高い可能性がある投影画像に代えて、投影輝度が適切に調整された投影画像を投影することができる。従って、第1実施例では、被験者が瞬きをする(つまり、輝度が過度に高い観察画像が取得される)場合であっても、被験者の角膜には、投影輝度が適切に調整された投影画像が投影される。その結果、縮瞳が発生するおそれは殆ど又は全くない。このため、被験者が瞬きをする(つまり、輝度が過度に高い観察画像が取得される)場合であっても、観察装置は、眼の状態を好適に観察することができる。
【0135】
尚、以上説明した観察装置1の技術的効果を考慮すると、被験者が瞬きをした場合に投影輝度を調整する目的の一つは、輝度が過度に高い観察画像を含む投影画像が被験者の眼に投影されることを防ぐという目的である。そうすると、被験者が瞬きをした場合に加えて又は代えて、輝度が相対的に高い(例えば、所定閾値よりも高い)観察画像が取得された場合においても、輝度が過度に高い観察画像を含む投影画像が被験者の眼に投影される可能性がある。このため、観察装置1は、被験者が瞬きをした場合に加えて又は代えて、輝度が相対的に高い(例えば、所定閾値よりも高い)観察画像が取得された場合に、被験者が瞬きをしたと判定される場合と同様の調整態様で投影輝度を調整してもよい。つまり、観察装置1は、観察画像の輝度(例えば、輝度の瞬時値や輝度の時間平均値)に基づいて投影輝度を調整してもよい。その結果、被験者が瞬きをしているか否かに係らず、輝度が相対的に高い観察画像が取得される場合であっても、観察装置1は、投影輝度が適切に調整された投影画像を投影することができる。つまり、被験者が瞬きをしているか否かに係らず、輝度が相対的に高い観察画像が取得される場合であっても、観察装置は、眼の状態を好適に観察することができる。
【0136】
また、表示制御部154は、観察画像を第2表示領域111a2に表示するように表示素子111を制御することに加えて又は代えて、観察画像とは異なる任意の画像を第2表示領域111a2に表示するように表示素子111を制御してもよい。例えば、表示制御部154は、眼の状態の観察にとって有用な情報を示す画像を第2表示領域111a2に表示するように表示素子111を制御してもよい。その結果、被験者は、観察装置1が眼の状態を観察している間においても、様々な情報を好適に認識することができる。つまり、被験者は、拡散板120の接眼レンズ124から眼を離すことなく、様々な情報を好適に認識することができる。
【0137】
(2)第2実施例
続いて、
図7を参照しながら、第2実施例の観察装置2について説明する。
図7は、第2実施例の観察装置2の構成を示すブロック図である。尚、第1実施例の観察装置1が備える構成要件と同一の構成要件については、同一の参照番号を付することでその詳細な説明を省略する。
【0138】
図7に示すように、第2実施例の観察装置2は、第1実施例の観察装置1と比較して、拡散板120及び接眼レンズ124に代えて、上述した実施形態中の「投影手段」の一具体例である対物レンズ220を備えているという点において異なっている。第2実施例の観察装置2が備えるその他の構成要件は、第1実施例の観察装置1が備えるその他の構成要件と同一であってもよい。
【0139】
対物レンズ220は、投影レンズ112と共に、対物レンズ220に入射してくる照明光L11を被験者の角膜(或いは、その近傍、以下同じ)上に結像させる。具体的には、対物レンズ220は、投影レンズ112と共に、対物レンズ220に入射してくる照明光L11を、角膜に接する(特に、角膜の中心部又はその近傍に接する)又は角膜の近傍に位置する仮想的な結像面上に結像させる。
【0140】
対物レンズ220は更に、投影レンズ112及びケーラー照明用レンズ131と共に、対物レンズ220に入射してくる照明光L12を被験者の網膜上に結像させる。尚、典型的には、ケーラー照明用レンズ131と対物レンズ220との間には、照明光L12が結像する中間結像面が位置する。例えば、照明光L12は、ケーラー照明用レンズ131と対物レンズ220との間に位置する対物レンズ220の前側焦点と一致する中間結像面上で結像する。
【0141】
その結果、第2実施例においても、第1実施例と同様に、投影部110が投影している検査画像に応じた明暗パターンで眼を照明する照明板として対物レンズ220が機能すると共に、投影部110が投影している観察画像が網膜上で結像する。
【0142】
一方で、角膜によって反射された照明光L11である反射光L31は、対物レンズ220を介してビームスプリッタ132の反射面に入射する。このため、第2実施例においても、角膜によって反射された照明光L11である反射光L31は、撮像部140に入射する。その結果、撮像部140は、観察画像を取得することができる。
【0143】
第2実施例では、投影絞り113と角膜の曲率中心とは、共役の関係にあることが好ましい。この場合、照明光L11は、角膜に対してほぼ垂直に入射する。その結果、角膜によって反射された照明光L11である反射光L31は、照明光L11の光路とほぼ同一の光路を通って対物レンズ220を通過し且つビームスプリッタ132に入射する。但し、
図7では、角膜によって反射された照明光L11が反射光L31であることを明確に説明するという説明の便宜上、照明光L11の光路と反射光L31の光路とが大きく区別して記載されている。
【0144】
第2実施例の観察装置2は、上述した第1実施例の観察装置1が行う動作(つまり、
図2に示す動作)を行うことができる。その結果、第2実施例の観察装置2は、上述した第1実施例の観察装置1が享受することができる効果を好適に享受することができる。
【0145】
尚、第2実施例では、検査画像の中心部以外の位置に観察画像が位置する投影画像を表示素子111が表示する場合には、表示制御部154は、瞬き検出部153の検出結果に加えて又は代えて、観察画像の輝度(特に、輝度の時間平均値)に基づいて投影輝度を調整してもよい。その結果、投影輝度の発散が、好適に抑制される。
【0146】
また、観察装置2は、ケーラー照明用レンズ131を備えていなくてもよい。この場合、観察装置2は、投影レンズ112を投影レンズ112の光軸に沿って移動させてもよい。例えば、投影レンズ112は、投影レンズ112が第1位置に位置する場合に、対物レンズ220と共に照明光L11を角膜上に結像させることができる。同様に、例えば、投影レンズ112は、投影レンズ112が第1位置とは異なる第2位置に位置する場合に、対物レンズ220と共に照明光L12を網膜上に結像させることができる。従って、観察装置2は、投影レンズ112を移動させることで、検査画像が角膜の表面に投影され且つ観察画像が網膜上で結像するように、検査画像及び観察画像を含む投影画像を投影することができる。加えて、投影レンズ112の移動に同期して表示素子111が投影画像を表示するように、制御部150が表示素子111を制御してもよい。投影レンズ112が第1位置に位置する場合、照明光L11が角膜上に結像するがゆえに、撮像部140は観察画像を好適に取得することができる。しかしながら、照明光L12は網膜上に結像しないがゆえに、被験者は観察画像を視認することができない。一方、投影レンズ112が第2位置に位置する場合、照明光L12が網膜上に結像するがゆえに、被験者は観察画像を視認することができる。しかしながら、照明光L11は角膜上に結像しないがゆえに、検査画像にぼけが生じる。このため、投影レンズ112が第1位置に位置する場合に撮像部140が得た観察画像を、投影レンズ112が第2位置に位置する場合に表示素子111が表示すれば、フレームレートは落ちるもののケーラー照明用レンズ113を備えなくても被験者が観察画像を視認することができる。ここで、投影レンズ112が第1位置に位置する場合、表示素子111が表示する投影画像は被験者が視認できないので、観察画像を検査画像と合成する必要はなく、投影画像が検査画像と一致していてもよい。
【0147】
或いは、観察装置2がケーラー照明用レンズ131を備えていない場合には、対物レンズ220は、照明光L11が通過すると共に照明光L11を角膜に結像させるレンズ部分と、照明光L12が通過すると共に照明光L12を網膜に結像させるレンズ部分を備えていてもよい。或いは、対物レンズ220は、照明光L11が通過すると共に照明光L11を角膜に結像させるレンズ部分を備える一方で、照明光L12が通過する開口が対物レンズ220に形成されていてもよい。その結果、観察装置2は、検査画像が角膜の表面に投影され且つ観察画像が網膜上で結像するように、検査画像及び観察画像を含む投影画像を投影することができる。
【0148】
(3)第3実施例
続いて、
図8を参照しながら、第3実施例の観察装置3について説明する。
図8は、第3実施例の観察装置3の構成を示すブロック図である。尚、第1実施例の観察装置1が備える構成要件と同一の構成要件については、同一の参照番号を付することでその詳細な説明を省略する。
【0149】
図8に示すように、第3実施例の観察装置3は、上述した実施形態中の「投影手段」の一具体例である投影部310と、上述した実施形態中の「投影手段」の一具体例であるプラチド板320と、上述した実施形態中の「投影手段」の一具体例である接眼レンズ324と、ビームスプリッタ332と、撮像部140と、制御部350とを備えている。
【0150】
投影部310は、第1実施例の投影部110と比較して、リレーレンズ314を備えているという点において異なっている。投影部310は、第1実施例の投影部110と比較して、検査画像を投影しない(つまり、照明光L11を出射しない)という点において異なっている。第3実施例の投影部310が備えるその他の構成要件は、第1実施例の投影部110が備えるその他の構成要件と同一であってもよい。
【0151】
リレーレンズ314は、投影レンズ112及び接眼レンズ324と共に、観察画像を網膜上に結像させるための照明光L12を被験者の網膜上に結像させる。尚、典型的には、リレーレンズ314と対物レンズ220との間には、照明光L12が結像する中間結像面が位置する。例えば、照明光L12は、リレーレンズ314と接眼レンズ324との間に位置する接眼レンズ324の前側焦点と一致する中間結像面上で結像する。このため、リレーレンズ314は、実質的には、上述したケーラー照明用レンズ131と同様の機能を有するレンズであるとも言える。
【0152】
プラチド板320は、検査画像に対応する明暗パターン(照明パターン)で角膜の表面を照明する板である。以下、プラチド板320の一例である多重リング状パターンを投影するプラチド板320の構成例について説明する。被験者側(角膜側)を向いているプラチド板320の表面322は、凹面となっている。表面322には、所定幅のリングパターンを構成する透光部が形成されている。表面322のうち透光部以外の領域は、遮光部となる。プラチド板320は、その内部に不図示の光源を備えている。光源が発した照明光L11は、透光部を通過することで、角膜の表面に照射される。その結果、角膜の表面は、多重リング状パターンである検査画像に対応する明暗パターンで照明される。
【0153】
第3実施例では、プラチド板320には、開口323が形成されている。被験者の眼は、角膜が開口323に対向することが可能な位置に位置している。開口323は、表面322からプラチド板320の他方の表面に向かってプラチド板320を貫通する開口である。開口323は、角膜によって反射された照明光L11である反射光L31が通過する開口である。開口323には、反射光L31をビームスプリッタ132に導く接眼レンズ324が配置されている。
【0154】
ビームスプリッタ332は、投影部310から出射する照明光L12を、プラチド板320(特に、接眼レンズ324)に向けて反射する。一方で、ビームスプリッタ332は、角膜によって反射された照明光L11である反射光L31を透過する。
【0155】
制御部350は、上述した第1実施例の制御部150と比較して、検査画像を表示するように表示制御部154が表示素子111を制御しなくてもよいという点において異なっている。第3実施例の制御部350が備えるその他の構成要件は、第1実施例の制御部150が備えるその他の構成要件と同一であってもよい。
【0156】
第3実施例の観察装置3は、上述した第1実施例の観察装置1が行う動作(つまり、
図2に示す動作)を行うことができる。但し、第3実施例では、表示素子111が観察画像を表示する(つまり、眼に投影する)一方で、プラチド板320が検査画像に対応する明暗パターンで眼を照明する。この場合であっても、表示制御部154は、観察画像及び検査画像の少なくとも一方の投影輝度を調整してもよい。つまり、表示制御部154は、観察画像の投影輝度を調整するように表示素子111を制御してもよい。表示制御部154は、観察画像の投影輝度を調整するように表示素子111を制御することに加えて又は代えて、検査画像の投影輝度を調整するようにペプチド板320を制御してもよい。特に、表示制御部154は、検査画像に対応する明暗パターンの輝度を調整するようにペプチド板320が備える不図示の光源を制御してもよい。その結果、第3実施例の観察装置3は、上述した第1実施例の観察装置1が享受することができる効果を好適に享受することができる。
【0157】
本発明は、上述した実施例に限られるものではなく、請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能である。そのような変更を伴なう観察装置及び観察方法並びにコンピュータプログラムもまた本発明の技術的範囲に含まれるものである。