(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
同じタイプの複数の電気的に相互接続されたモジュール(101〜124)を含む電気回路であって、前記モジュール(101〜124)は、それぞれ、少なくとも1つの電気エネルギー貯蔵体(202、204、206、302、304、306)または少なくとも1つの電気エネルギー貯蔵ユニット(1817)と、少なくとも2つの電気スイッチ(213〜317、318〜328、1801、1802、1803、1804、1812、1813、1814、1815)とを有し、前記少なくとも2つの電気スイッチ(213〜317、318〜328、1801、1802、1803、1804、1812、1813、1814、1815)は、前記少なくとも1つの電気エネルギー貯蔵体(202、204、206、302、304、306)または前記少なくとも1つの電気エネルギー貯蔵ユニット(1817)の接続性を、他のモジュールの前記エネルギー貯蔵体(202、204、206、302、304、306)またはエネルギー貯蔵ユニット(1817)に対して変更可能にし、前記モジュールは、
少なくとも1つのモジュール(101〜124)が、少なくとも2つの電気的に直列接続された電気エネルギー貯蔵体(1806、1807、1808)を有する電気エネルギー貯蔵ユニット(1817)を含み、前記電気エネルギー貯蔵体(1806、1807、1808)のそれぞれが、前記電気エネルギー貯蔵ユニット(1817)から電荷を排出する能力を有し、および/または前記電気エネルギー貯蔵ユニット(1817)に電荷を導入する能力を有する補正素子(1809、1810、1811、2336、2431〜2442、2531、2535、2539、2631、2636、2639)を有し、それにより、前記エネルギー貯蔵ユニット(1817)の前記電気エネルギー貯蔵体のいくつかは、それらを流れる電流が前記エネルギー貯蔵ユニット(1817)の他の電気エネルギー貯蔵体より小さく、
前記複数のモジュールが、以下の3つの状態:
モジュールの前記少なくとも1つの電気エネルギー貯蔵体(202、204、206、302、304、306)または前記少なくとも1つの電気エネルギー貯蔵ユニット(1817)が、別のモジュールの前記少なくとも1つの電気エネルギー貯蔵体(202、204、206、302、304、306)または前記少なくとも1つの電気エネルギー貯蔵ユニット(1817)と直列接続される状態と、
モジュールの前記少なくとも1つの電気エネルギー貯蔵体(202、204、206、302、304、306)または前記少なくとも1つの電気エネルギー貯蔵ユニット(1817)が、別のモジュールの前記少なくとも1つの電気エネルギー貯蔵体(202、204、206、302、304、306)または前記少なくとも1つの電気エネルギー貯蔵ユニット(1817)と並列接続される状態と、
モジュールの前記少なくとも1つの電気エネルギー貯蔵体(202、204、206、302、304、306)または前記少なくとも1つの電気エネルギー貯蔵ユニット(1817)が、モジュールの前記少なくとも1つの電気エネルギー貯蔵体(202、204、206、302、304、306)または前記少なくとも1つの電気エネルギー貯蔵ユニット(1817)が、別のモジュールの少なくとも1つの電気エネルギー貯蔵体(202、204、206、302、304、306)または少なくとも1つの電気エネルギー貯蔵ユニット(1817)に導電接続されるその少なくとも2つの電気接点の1つ以下のみを有し、かつ、別のモジュールの少なくとも1つの電気エネルギー貯蔵体(202、204、206、302、304、306)または少なくとも1つの電気エネルギー貯蔵ユニット(1817)との完成回路が存在しないようにバイパスされる状態と
のうちの少なくとも2つを表現するために、前記それぞれの少なくとも2つの電気スイッチ(213〜317、318〜328、1801、1802、1803、1804、1812、1813、1814、1815)の適切な作動を利用できるように構成され、
少なくとも1つの補正素子(1809、1810、1811)が少なくとも1つの電気エネルギー貯蔵体(1806、1807、1808)と電気的に並列に具現化され、
前記補正素子の少なくとも1つが、電圧依存性または温度依存性のインピーダンスを有し、
前記回路が少なくとも1つの電子制御ユニットをさらに含み、
電気エネルギー貯蔵ユニット(1817)の少なくとも1つの補正素子(1809、1810、1811)を制御する前記電子制御ユニットが、前記関連する電気エネルギー貯蔵ユニット(1817)の少なくとも1つの電気エネルギー貯蔵体(1806、1807、1808)の温度を検出する少なくとも1つの温度センサの少なくとも1つの出力ラインに接続される、電子回路。
前記補正素子(1809、1810、1811)の少なくとも1つが、それと電気的に並列接続される前記少なくとも1つのエネルギー貯蔵体(1806、1807、1808)の電圧を所定の範囲に制限する、請求項1または2に記載の電気回路。
前記電気回路が、前記電気エネルギー貯蔵体の電圧を検出し、およびそれを少なくとも1つの電子制御ユニットに伝送する少なくとも2つの電圧センサをさらに含む、請求項5に記載の電気回路。
【発明を実施するための形態】
【0006】
本発明は、モジュールの電気回路が「マイクロトポロジー(microtopology)」によって記述されるモジュールの相互接続から構成される。このモジュールは、相互接続されてマクロトポロジーとなり、より大きいユニットを形成する。マクロトポロジーの例は、
図1にM2SPC回路用として示される「マルクアルト(Marquardt)トポロジー」、または少なくとも2つのモジュールの相互接続用として生じる簡単な「変換器アーム(converter arm)」である(Marquardtトポロジーについては、米国特許第7,269,037号明細書、またはS.Goetz,A.Peterchev,T.Weyh(2015).Modular Multilevel Converter With Series and Parallel Module Connectivity)」、Topology and Control、IEEE Transactions on Power Electronics,30(1)、203−215参照)。この場合、モジュールは、通常、1つのモジュールのモジュール接続部のいくつかが別のモジュールのモジュール接続部のいくつかに導電接続される(例えば
図4参照)ように直列接続される。
図4は、概念を限定することなく、モジュールがそのモジュール接続部によって接続されてチェーンを形成するマクロトポロジーを示す。その結果、各モジュールは両側の端部の外側で、正確に2つの他のモジュールと接続される。前記マクロトポロジーは、チェーンの端部間において任意の電圧形状を発生させることができるが、任意の他のマクロトポロジーを、モジュール接続部の適切な電気的接続によって生成することも可能である。有利なマクロトポロジーは、2つのモジュールのすべての可能な対が相互に直接電気接続されるか、またはそれぞれ同じ組のモジュールに、従って間接的に電気接続されるマクロトポロジーである。1つのマクロトポロジーにおいては、異なるモジュールタイプ、すなわち異なるマイクロトポロジーのモジュールを組み合わせることも可能である。しかし、組み合わされたモジュールは、少なくとも2つの共通の状態を有するべきである。モジュールの状態は、異なるモジュールの関連する電気エネルギー貯蔵体または電気エネルギー貯蔵ユニットが、モジュールの関連する電気スイッチの適切な作動によって、どのように相互に電気接続されるかを決定する。
【0007】
複数の電気エネルギー貯蔵体または電気エネルギー貯蔵ユニットの、関連するモジュールの電気スイッチの適切な作動による電気的直列、電気的並列、電気的バイパスなどにおける電気的相互接続は、接続性と呼称される。急速電気スイッチを使用すると、接続性をきわめて急速に動的に変えることができる。接続性の動的変化は、1ミリ秒未満で起こり得ることが好ましく、本発明は、接続性の動的変化が5μs未満で起こると特に有利である。
【0008】
本明細書の以下の部分においては、電気エネルギー貯蔵体という用語は、電気エネルギー貯蔵ユニットも包含するように意味付けされる。
【0009】
例えばMarquardtトポロジー(
図1参照)における複数の電気的相互接続モジュールに関する接続性、または簡単な径路(しばしば変換器アームと呼称される。この変換器アーム内に、負荷、電源または電気ネットワークなどの外部電気システムに対する接続部が、通常、その経路の2つの端部に存在する)に関する接続性の変化は、接続部(
図1における(125、126、129、130、131、132))の電圧の必要に応じた動的調整を可能にする。電圧は、モジュール電圧、すなわち、モジュールの電気エネルギー貯蔵体が供給する電圧に合致する段階において調整できる。さらに、この複数の段階間の急速な変化も、接続部の電圧の中間レベルの生成を可能にする。
【0010】
すでに述べたように、このシステムは、例えば、電荷平衡化と、エネルギー変換またはエネルギー変形と、すべての電気エネルギー貯蔵ユニットおよび/または電気エネルギー貯蔵体の内部における特定の負荷分布とを可能にするために、異なるモジュールの電気エネルギー貯蔵ユニット間において電荷を交換できる。本発明は、さらに、電気エネルギー貯蔵ユニットおよび/または電気エネルギー貯蔵体を、直列の相互接続の混合体中に、かつ、使用するマイクロトポロジーに応じて並列の相互接続において動的に再構成する選択肢を提供する。多数の電気エネルギー貯蔵体の相対的に高い内部抵抗と、その動的特性の制約とのために、並列状態が、システムの全体的な効率増進のために、電気的負荷を複数のモジュールまたは電気エネルギー貯蔵体に分布させ、かつ、複数の個別セルの充電状態を平衡化するための特に有利な特性である。
【0011】
並列状態、従って電気エネルギー貯蔵体および/または電気エネルギー貯蔵ユニット間の可能な並列の接続性は、さらに2つの利点を有する。それは、有効な内部抵抗を低減することによってシステムの電流搬送能力を増大させる。さらに、並列状態は、例えば、モジュール電圧などの電気的パラメータを測定および監視する必要なしに、個々のモジュールの電荷を平衡化する方法を提供する。本発明は、モジュールにおける電荷の内向きおよび外向きの流れに関する正確な情報を必要としないため、それは、閉ループ制御なしでも、開ループ制御器においてシステムの平衡化された状態を提供でき、例えば、システム全体を通した電荷の監視を単純化できる。
【0012】
特定の条件下では、1つ以上の電気エネルギー貯蔵体を単一のモジュールに組み込むことが有利である。有利には、この複数の電気エネルギー貯蔵体は、単一の電気エネルギー貯蔵体より高い共通電圧を生成するために、電気的に直列接続し得る。さらに、この場合、1つのモジュールにおいて組み合わされた個別の電気エネルギー貯蔵体が、同じタイプのものではなく、またはその運転挙動もしくはその特性(電圧、キャパシタンス、最大整合電圧、温度)の点で、少なくとも僅かに相互に異なると有利であり得る。この僅かな差異は、1つのモジュールにおいて組み合わされた個別の電気エネルギー貯蔵体における引用したパラメータの少なくとも5%の相互の差異のために、すでに存在している。
【0013】
1つのモジュールにおいて組み合わされた個別の電気エネルギー貯蔵体における引用したパラメータの10%の僅かな差異が存在することが有利である。先行技術の解決策と比較すると、本発明は、構成要素およびまたモジュールを節減し、制御を単純化し、多数の個別モジュールに伴って、モジュールの作動において、かつ、モジュールからのおよびモジュールへの信号のDC絶縁された伝達において生じる損失を低減する。
図5は、本発明によるモジュールの一例を示す。前記モジュールは、関連する補正素子(1809、1810、1811)とそれぞれ電気的に並列接続された複数の電気エネルギー貯蔵体(1806、1807、1808)を含む。電気エネルギー貯蔵体および関連する補正素子を含む複数の対にされたユニットは、電気的に直列接続されて電気貯蔵ユニット(1817)を形成する。電気エネルギー貯蔵ユニット(1817)においては、個別の電気エネルギー貯蔵体を例外なしに直列接続する必要はない。各個別の電気エネルギー貯蔵体は、それと並列に電気接続される別の電気エネルギー貯蔵体によって電圧強化することも可能である。すでに述べたように、電気エネルギー貯蔵ユニット(1817)は、本発明に従って、他のマイクロトポロジー、例えば
図2および3のそれと組み合わせることもできる。この場合、電気エネルギー貯蔵ユニットは、マイクロトポロジーにおける電気エネルギー貯蔵体、例えば(202、204、206、302、304、306)を置換または増補する。
【0014】
さらに、複数の類似または異なる電気エネルギー貯蔵ユニットを、相互に電気的に並列または直列接続してモジュールに組み込むことも可能である。これによって得られた電気エネルギー貯蔵ユニットの組み合わせは、本発明に関連して電気エネルギー貯蔵体になる。
【0015】
補正素子に関する典型的な要求は、それと並列接続される電気エネルギー貯蔵体からの電荷の消失(排出とも呼称される)である。これは、例えば、電気エネルギー貯蔵体の各接続部を介して生じるピーク電圧を所定の限界値未満に維持することによって、電気エネルギー貯蔵体に対する電圧ストレスを低減し、および/または電気エネルギー貯蔵体に対する電気負荷を制限し、および/または電気エネルギー貯蔵体の温度を制限するためのものである。補正素子の制御または調整は、補正素子内における1つ以上の電気スイッチ用の信号、および/または補正素子における制御可能インピーダンス用の信号を供給する別個の電子制御ユニットによって遂行できる。さらに、補正素子の制御または調整は受動的に行うことができる。すなわち、別個の電気制御ユニットは必要ではなく、補正素子の1つ以上の素子の物理的または化学的特性、例えば、抵抗、インピーダンスまたは半導体の特定の温度依存性または電圧依存性が、補正素子の制御または調整をもたらす。
【0016】
例として、補正素子(1809、1810、1811)を、
図6および7に示すように実施できる。補正素子は、電気接続部(1902)および(1903)を有する電気的2極のネットワークとすることができる。同時電荷除去を備えた電圧制限の場合には、例えば、次のような電気素子を用いることが可能である。すなわち、
(a)ツェナーダイオード(1908)、および特定の限界値を超えた電圧用の低抵抗の類似の電気素子、
(b)サプレッサダイオード(1904)、
(c)電圧依存性(通常非線形)コンプレックスインピーダンス(すなわち、抵抗性および/または反応性構成成分を有する)(1905)、
(d)アレスタ(1909)、または抵抗性および/もしくは反応性構成成分を含有し得る他の電圧または温度依存性のインピーダンス、
(e)電気スイッチ、または制御可能インピーダンス(特に、リレー、電界効果トランジスタ、バイポーラトランジスタ、および他の制御可能抵抗)(1911)、
(f)電気スイッチ、または抵抗性および/もしくは反応性構成成分を有し得ると共に非線形であるコンプレックスインピーダンス(1912、1913)と組み合わされた制御可能インピーダンス。
【0017】
制御可能インピーダンスの例は、スイッチ(すなわち、良好な電導度[1Ω未満の有効抵抗、有利には0.1Ω未満の有効抵抗]を有する閉状態と、電導度が低い開状態[1000Ωより大きい有効抵抗、有利には少なくとも1000000Ωの有効抵抗]との2つのみの状態を有する)としてではなく、その抵抗範囲内の中間において操作し得る電気スイッチおよび半導体素子であり、または複数の抵抗もしくはインピーダンス間で切り替わるスイッチ、および制御可能ツェナーダイオード(調整可能ツェナーダイオードとして知られるもの)である。
【0018】
電気スイッチまたは制御可能インピーダンス(1911、1912/1913)を含む解決策の場合は、制御ユニットが、制御信号を供給することができ、および/または閉ループ制御もしくは開ループ制御を遂行できる。
【0019】
受動的な解決策、すなわち、別個の測定、監視および/または制御ユニットを必要としない特定の解決策は、重要な利点を有し、コストを低減すると共に複雑さを制限する。
図7は、スイッチまたは制御可能なインピーダンスを実施するいくつかの実施形態を、それらを制御する手段、例として、エネルギー貯蔵ユニットの部品としての1つ以上の特定のエネルギー貯蔵体の電圧を制限できる手段と共に示している。電圧制限システム(2001)はスイッチまたは制御可能インピーダンスとして実施でき、この場合、これは、電界効果トランジスタ(2002)、レジスタ(2004)およびツェナーダイオード(代替的には、電圧サプレッサ、アレスタなども)(2003)として示されている。トランジスタのゲート電圧は、素子(2003)によって規定される特定の電圧レベルだけ、その補正素子に関係するエネルギー貯蔵体の電圧より低い電圧V
Sによって制御される。トランジスタの閾値電圧V
tおよび素子(2003)の降伏電圧V
Sを適切に選択することによって、エネルギー貯蔵体の最大電圧をほぼV
t+V
Sに制限できる。スイッチまたは制御可能インピーダンス(2002)と逆並列接続されたフリーホイーリングダイオードによって、反応電流による電圧スパイクを防止できる。
【0020】
素子(2003)は、同様に、従来型レジスタによって置き換えることができる。さらに、(2005)に示すように、インピーダンス(2006)を、電気スイッチまたは制御可能インピーダンス(2007)の電流径路内に挿入できる。(2010)および(2016)においては、電気スイッチまたは制御可能インピーダンスがバイポーラトランジスタ(2012、2018)として具現化され、(2022)においては、電気スイッチまたは制御可能インピーダンスが、制御可能なツェナーダイオード(調整可能ツェナーダイオードとも呼称される)(2024)として具現化されており、この制御可能なツェナーダイオード(2024)は、少なくとも1つの制御入力によってその降伏電圧の変化を可能にし、多くの製造メーカによって市販されている。
【0021】
インピーダンス(2006、2011、2017、2023)は任意選択であり、ゼロの近くまたはゼロに等しくできる。同様に、ゲート、ベースおよび類似の入力抵抗(2013、2019、2025)も、ゼロの近くまたはゼロにすることができる。
【0022】
同じモジュールの少なくとも2つの電気エネルギー貯蔵体(2113、2114、2115、2213、2214、2215)の補正素子は、例えば、少なくとも1つのトランジスタをそれぞれ含み、好ましくは少なくとも1つのインピーダンスをさらにそれぞれ含み、その補正素子は、一緒に、1つの補正ユニット(2116、2216)(例えば
図8および9参照)を形成できる。補正ユニットは、さらに、少なくとも2つの電圧センサを含むことが好ましい(
図9参照)。この電圧センサは、単独の電気エネルギー貯蔵体の電圧と、複数の電気エネルギー貯蔵体の例えば直列または並列の電気的組み合わせとを測定できる。この少なくとも2つの電圧センサは、さらに、マルチプレクサを備えた単一の電圧センサとしても具現化できる。このようなマルチプレクサおよびセンサの組み合わせは、本発明に関連して、類似の挙動のために複数のセンサと解釈される。本発明の具体的な一実施形態においては、少なくとも2つのモジュールの少なくとも2つの電気エネルギー貯蔵体が、それぞれ、少なくとも1つのそれぞれの補正ユニットと、それと電気的に並列接続された少なくとも1つのそれぞれの電圧センサとを有する。本発明の別の実施形態においては、補正ユニットが、関連するモジュールの少なくとも1つの電気エネルギー貯蔵体に流入する、またはそれから流出する電流を測定する少なくとも1つの電流センサを含む。
【0023】
図10に示すように、補正素子は、代替方式として、電気スイッチ(2336)を含むことができる。この電気スイッチ(2336)は、作動すると、少なくとも2つの電気エネルギー貯蔵体(2314、2315)用の接続ノード(2324)をモジュール端子(2310)に導電接続する。その方法によって、前記接続ノード(2324)と正のモジュール母線(2361)との間の電気エネルギー貯蔵体、および前記接続ノード(2324)と負のモジュール母線(2362)との間の電気エネルギー貯蔵体を、異なる程度に放電または充電することが可能になる。この放電または充電は、モジュール端子を通って流れる電流であって、例えば、別のモジュールまたは電気負荷から到来する電流を、電気スイッチ(2336)を介して部分的にまたは完全に前記接続ノード(2324)に導き、またはそれから切り離すことによって行われる。これによって、1つのモジュールに統合された電気エネルギー貯蔵体における異なる充電状態と、物理的および/または化学的差異 − 冒頭において同様に引用した − との均等化が可能になる。
【0024】
4個のモジュール端子(2409、2410、2411、2412)を有するモジュールの例として
図11に示すように、補正素子は、正のモジュール母線(2461)または負のモジュール母線(2462)と直接同一でない少なくとも2つの電気エネルギー貯蔵体の各接続ノード(2423、2424、2425)が、少なくとも間欠的に、少なくとも1つのそれぞれの電気スイッチ(2431〜2442)を介してモジュール端子(2409〜2412)のそれぞれに導電接続されるように具現化できる。従って、この状況の場合、2つのみのモジュール端子(2509、2511)を有するモジュールは、
図12に示すように、少ない個数の電気スイッチ(2531、2533、2535、2537、2539、2541)を必要とし、この個数は、当業者には分かるように、モジュール端子の個数の増大と共に上昇する。
【0025】
本発明者は、さらに、同時に1つの母線に合致することはない少なくとも2つの電気エネルギー貯蔵体の各接続ノードと、各モジュール端子との間にそれぞれ専用の電気スイッチを設けると、確かに広範な柔軟性が得られるが、モジュールの電気エネルギー貯蔵体の充電および放電を独立に確実に行うためには、それは必ずしも必要でないことを認めた。接続ノードからモジュール端子への広範な開閉可能電気接続部が設けられる上記の変形形態では、場合により、すべての電気スイッチの半分より多くを省略することが可能である。
【0026】
同時に1つの母線 − それ自体すでに、電気スイッチを介してモジュール端子に少なくとも間欠的に導電接続可能である − に合致することはない少なくとも2つの電気エネルギー貯蔵体の各接続ノードを、少なくとも1つの任意のモジュール端子に、少なくとも1つの電気スイッチを介して少なくとも間欠的に導電接続することが可能である実施形態が好ましい。
【0027】
多数個のスイッチを避けるために、少なくとも2つの電気エネルギー貯蔵体用の接続ノードの単にいくつかを、電気スイッチを介して少なくとも1つのモジュール端子と導電接続することも可能である。
【0028】
図13はランダムに選択した一実施形態を示す。この実施形態においては、少なくとも2つの電気エネルギー貯蔵体(2613、2614、2615)用の少なくとも3つの、好ましくはすべての接続ノードを、少なくとも1つの電気スイッチ(2631、2636、2639)を介して少なくとも1つのモジュール端子(2609、2610)に、少なくとも間欠的に導電接続できる。
図13においては、電気スイッチは、可能な組み合わせに関する柔軟性を例示するために、例として、図示される3つの接続ノードのうちの2つを異なるモジュール端子(2609、2610)に接続している。さらに、少なくとも1つの電気エネルギー貯蔵体(2613、2614、2615)は、少なくとも1つのそれぞれの電圧センサ(2651、2652、2653)を有することができる。少なくとも1つの電圧センサは、モジュールのそれぞれの電気エネルギー貯蔵体と電気的に並列接続することが好ましい。このような電圧センサは、単一の電気エネルギー貯蔵体の電圧と、複数の電気エネルギー貯蔵体の例えば直列または並列における電気的組み合わせとの両方を測定できる。少なくとも2つの電気エネルギー貯蔵体用の接続ノードと少なくとも1つのモジュール端子との間には、前記電気スイッチを介して、ごく僅かな平衡化電流が流れる必要があるだけであるため、電気スイッチはきわめて安価に具現化できる。開閉速度が上昇して、電気エネルギー貯蔵体の平坦でない放電または充電の付随する急速平衡化が生じるようになると、前記電気スイッチの電流搬送能力をさらに低減できる。前記電気スイッチの必要絶縁耐力は、少なくとも2つの電気エネルギー貯蔵体用の接続ノードに対するスイッチの接続位置に応じてモジュール電圧より低い。例えば、同じ電圧を有する4個の電気エネルギー貯蔵体の直列の相互接続の中央の接続ノードと、モジュール端子との間の電気スイッチが受ける最高電圧は、単に、モジュール電圧の約1/2である。
【0029】
少なくとも2つの電気エネルギー貯蔵体用の接続ノードと、モジュール端子との間の電気スイッチは機械的な電気スイッチとして具現化することができる。が、前記このスイッチは、電気ラインの単なる接続および断路だけでなく、例えばパルス幅変調(PWM)などのスイッチング変調も可能にする半導体スイッチであることが好ましい。これは、電圧または電流を調整するため、すなわち、モジュール端子における高い負荷電流にも拘らず、小さい平衡化電流を調整して電気エネルギー貯蔵体の異なる充電または放電を平衡化するための小さい平衡化電流を調整するためである。特に、半導体スイッチは、電流を一方向においてのみ開閉するスイッチ、または電流を双方向において開閉できるスイッチのいずれかとして実現できる。
図14は、例として、電流を双方向において開閉し得る3個の電気スイッチ(2731、2736、2739)を示す。双方向スイッチは、電流を両方向において、すなわち、モジュールの電気エネルギー貯蔵体の電源モードおよび充電モードの両方者において制御できるという利点を提供する。
【0030】
少なくとも2つの電気エネルギー貯蔵体用の接続ノードおよび少なくとも1つのモジュール端子(
図10〜14参照)を間欠的に導電接続できる電気スイッチを含む補正素子の組み合わせと、個々の電気エネルギー貯蔵体と並列に配置される、あるは、複数の電気エネルギー貯蔵体(
図5〜9参照)の例えば直列または並列の組み合わせと並列に配置される補正素子とが、非常に大きい利点を有することができる。例えば、前者の補正素子は、他のものより高度に個別の電気エネルギー貯蔵体を充電することが可能であるが、使用する構成部品に応じて高い製造コストを生じる可能性があるのに対して、後者の補正素子は、一義的には放電を強制実施でき、現時点では安価に製造可能である。組み合わせは両方の利点を組み合わせることができる。
【0031】
本発明の一実施形態は、類似のタイプの複数の電気的に相互接続されたモジュール(101〜124)を含み、そのモジュール(101〜124)は、それぞれ、少なくとも1つの電気エネルギー貯蔵体(202、204、206、302、304、306)または少なくとも1つの電気エネルギー貯蔵ユニット(1817)と、少なくとも1つの電気スイッチ(213〜317、318〜328、1801、1802、1803、1804、1812、1813、1814、1815)とを有し、
少なくとも1つのモジュール(101〜124)が、少なくとも2つの電気的に直列接続された電気エネルギー貯蔵体(1806、1807、1808)を有する電気エネルギー貯蔵ユニット(1817)を含み、これらの電気エネルギー貯蔵体(1806、1807、1808)のそれぞれが、それぞれの電気的に並列接続された電気エネルギー貯蔵体(1806、1807、1808)から/に電荷を排出および/または導入する能力を有する電気的に並列接続された補正素子(1809、1810、1811)を有するように構成され、
複数のモジュールは、それぞれの少なくとも1つの電気スイッチ(213〜317、318〜328、1801、1802、1803、1804、1812、1813、1814、1815)の適切な作動によって、以下の3つの状態:
モジュールの少なくとも1つの電気エネルギー貯蔵体(202、204、206、302、304、306)または少なくとも1つの電気エネルギー貯蔵ユニット(1817)が、別のモジュールの少なくとも1つの電気エネルギー貯蔵体(202、204、206、302、304、306)または少なくとも1つの電気エネルギー貯蔵ユニット(1817)と直列接続される状態と、
モジュールの少なくとも1つの電気エネルギー貯蔵体(202、204、206、302、304、306)または少なくとも1つの電気エネルギー貯蔵ユニット(1817)が、別のモジュールの少なくとも1つの電気エネルギー貯蔵体(202、204、206、302、304、306)または少なくとも1つの電気エネルギー貯蔵ユニット(1817)と並列接続される状態と、
モジュールの少なくとも1つの電気エネルギー貯蔵体(202、204、206、302、304、306)または少なくとも1つの電気エネルギー貯蔵ユニット(1817)が、モジュールの少なくとも1つの電気エネルギー貯蔵体(202、204、206、302、304、306)または少なくとも1つの電気エネルギー貯蔵ユニット(1817)が、別のモジュールの少なくとも1つの電気エネルギー貯蔵体(202、204、206、302、304、306)または少なくとも1つの電気エネルギー貯蔵ユニット(1817)に導電接続されるその少なくとも2つの電気接点の1つ以下のみを有し、かつ、別のモジュールの少なくとも1つの電気エネルギー貯蔵体(202、204、206、302、304、306)または少なくとも1つの電気エネルギー貯蔵ユニット(1817)との完成回路が存在しないようにバイパスされる状態と
のうちの少なくとも2つを表現し得る場合には、類似のタイプであると見なされる。
【0032】
本発明の別の一実施形態は、類似のタイプの複数の電気的に相互接続されたモジュール(101〜124)を含み、そのモジュール(101〜124)は、それぞれ、少なくとも1つの電気エネルギー貯蔵体(202、204、206、302、304、306)または少なくとも1つの電気エネルギー貯蔵ユニット(1817)と、少なくとも2つの電気スイッチ(213〜317、318〜328、1801、1802、1803、1804、1812、1813、1814、1815)とを有し、この少なくとも2つの電気スイッチ(213〜317、318〜328、1801、1802、1803、1804、1812、1813、1814、1815)は、少なくとも1つの電気エネルギー貯蔵体(202、204、206、302、304、306)または少なくとも1つの電気エネルギー貯蔵ユニット(1817)の接続性を、他のモジュールのエネルギー貯蔵体(202、204、206、302、304、306)またはエネルギー貯蔵ユニット(1817)に対して変更可能にし、モジュールは、すなわち、少なくとも1つのモジュール(101〜124)が、少なくとも2つの電気的に直列接続された電気エネルギー貯蔵体(1806、1807、1808)を有する電気エネルギー貯蔵ユニット(1817)を含み、これらの電気エネルギー貯蔵体(1806、1807、1808)のそれぞれが、電気エネルギー貯蔵ユニット(1817)から電荷を排出する能力を有し、および/または電気エネルギー貯蔵ユニット(1817)に電荷を導入する能力を有する補正素子(1809、1810、1811、2336、2431〜2442、2531、2535、2539、2631、2636、2639)を有し、それにより、その電気エネルギー貯蔵ユニット(1817)の電気エネルギー貯蔵体のいくつかは、他の電気エネルギー貯蔵ユニット(1817)より小さい電流を負荷されるように構成され、
複数のモジュールは、それぞれの少なくとも2つの電気スイッチ(213〜317、318〜328、1801、1802、1803、1804、1812、1813、1814、1815)の適切な作動によって、少なくとも以下のスイッチング状態:
モジュールの少なくとも1つの電気エネルギー貯蔵体(202、204、206、302、304、306)または少なくとも1つの電気エネルギー貯蔵ユニット(1817)が、別のモジュールの少なくとも1つの電気エネルギー貯蔵体(202、204、206、302、304、306)または少なくとも1つの電気エネルギー貯蔵ユニット(1817)と直列接続される状態と、
モジュールの少なくとも1つの電気エネルギー貯蔵体(202、204、206、302、304、306)または少なくとも1つの電気エネルギー貯蔵ユニット(1817)が、モジュールの少なくとも1つの電気エネルギー貯蔵体(202、204、206、302、304、306)または少なくとも1つの電気エネルギー貯蔵ユニット(1817)が、別のモジュールの少なくとも1つの電気エネルギー貯蔵体(202、204、206、302、304、306)または少なくとも1つの電気エネルギー貯蔵ユニット(1817)に導電接続されるその少なくとも2つの電気接点の1つ以下のみを有し、かつ、別のモジュールの少なくとも1つの電気エネルギー貯蔵体(202、204、206、302、304、306)または少なくとも1つの電気エネルギー貯蔵ユニット(1817)との完成回路は存在しないようにバイパスされる状態と
を表現し得る場合には、類似のタイプであると見なされる。
【0033】
少なくとも2つのモジュールによって、モジュールの少なくとも1つの電気エネルギー貯蔵体(202、204、206、302、304、306)または少なくとも1つの電気エネルギー貯蔵ユニット(1817)が、別のモジュールの少なくとも1つの電気エネルギー貯蔵体(202、204、206、302、304、306)または少なくとも1つの電気エネルギー貯蔵ユニット(1817)と並列接続されたスイッチング状態をさらに付加的に可能にすることが好ましい。
【0034】
好ましい一実施形態においては、少なくとも1つの補正素子(1809、1810、1811)が少なくとも1つの電気エネルギー貯蔵体(1806、1807、1808)と電気的に並列に具現化される。
【0035】
別の好ましい一実施形態においては、少なくとも1つの補正素子が、少なくとも2つの電気エネルギー貯蔵体用の少なくとも1つの接続ノードを、少なくとも1つのモジュール端子に間欠的に導電接続できる少なくとも1つの電気スイッチを有する。
【0036】
さらに別の好ましい一実施形態においては、補正素子(1809、1810、1811)の少なくとも1つが、それと電気的に並列接続される少なくとも1つの電気エネルギー貯蔵体(1806、1807、1808)の電圧を所定の範囲に制限する。前記電圧制限において、本発明は、例えば、電圧依存性および/または温度依存性のインピーダンスを含むことができる。
【0037】
さらに別の好ましい一実施形態においては、補正素子の少なくとも1つが、少なくとも1つの電気制御可能素子(1907、1911、1913、2002、2007、2011、2018、2024)と、少なくとも1つのインピーダンス(1905、1912、2006、2011、2017)とを有し、その少なくとも1つの電気制御可能素子(1907、1911、1913、2002、2007、2011、2018、2024)は、良好な電導度を有する状態と、伝導度が低い状態との少なくとも2つの状態を有する電気スイッチとして具現化される。
【0038】
特に好ましい一実施形態においては、少なくとも1つの電気制御可能素子(1907、1911、1913、2002、2007、2011、2018、2024)が、電気制御可能なインピーダンスとして具現化される。
【0039】
さらに別の好ましい一実施形態においては、少なくとも1つの電気制御可能素子(1907、1911、1913、2002、2007、2011、2018、2024)が、電子制御ユニットによって作動される。
【0040】
代替的な一実施形態においては、少なくとも1つの電気制御可能素子(1907、1911、1913、2002、2007、2011、2018、2024)が、そのインピーダンスを外部からの物理的または化学的影響に基づいて変化させる少なくとも1つのインピーダンス素子を含む回路によって制御される。
【0041】
特に好ましい一実施形態においては、そのインピーダンスを外部からの物理的または化学的影響に基づいて変化させる少なくとも1つのインピーダンス素子が、電圧依存性および/または温度依存性のインピーダンスを有する。
【0042】
さらに別の好ましい一実施形態においては、電気エネルギー貯蔵ユニット(1817)の少なくとも1つの補正素子(1809、1810、1811)を制御または調整する電子制御ユニットが、関連する電気エネルギー貯蔵ユニット(1817)の少なくとも1つの電気エネルギー貯蔵体(1806、1807、1808)の電圧を検出する少なくとも1つの電圧センサの少なくとも1つの出力ラインに接続される。
【0043】
さらに別の好ましい一実施形態においては、電気エネルギー貯蔵ユニット(1817)の少なくとも1つの補正素子(1809、1810、1811)を制御または調整する電子制御ユニットが、関連する電気エネルギー貯蔵ユニット(1817)の少なくとも1つの電気エネルギー貯蔵体(1806、1807、1808)の温度を検出する少なくとも1つの温度センサの少なくとも1つの出力ラインに接続される。