(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6293303
(24)【登録日】2018年2月23日
(45)【発行日】2018年3月14日
(54)【発明の名称】動的ウィンドウ長さを用いるコンパレータ追跡制御方式
(51)【国際特許分類】
H03M 1/36 20060101AFI20180305BHJP
【FI】
H03M1/36
【請求項の数】21
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2016-562552(P2016-562552)
(86)(22)【出願日】2015年4月6日
(65)【公表番号】特表2017-515380(P2017-515380A)
(43)【公表日】2017年6月8日
(86)【国際出願番号】US2015024562
(87)【国際公開番号】WO2015160558
(87)【国際公開日】20151022
【審査請求日】2016年11月17日
(31)【優先権主張番号】14/255,912
(32)【優先日】2014年4月17日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】504371240
【氏名又は名称】シラス ロジック、インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107489
【弁理士】
【氏名又は名称】大塩 竹志
(72)【発明者】
【氏名】ヘ, ク
(72)【発明者】
【氏名】ザオ, シン
(72)【発明者】
【氏名】フェイ, シャオファン
【審査官】
▲高▼橋 義昭
(56)【参考文献】
【文献】
特開平04−108221(JP,A)
【文献】
国際公開第2009/136480(WO,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2011/0018752(US,A1)
【文献】
特開2004−056751(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2003/0218559(US,A1)
【文献】
特開平01−137832(JP,A)
【文献】
特開平09−098420(JP,A)
【文献】
特開平11−004166(JP,A)
【文献】
特開2006−262448(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2006/0187105(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H03M 1/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置であって、前記装置は、
アナログ信号を受信するように構成されたアナログ入力ノードと、
前記アナログ入力ノードに結合された複数のコンパレータであって、前記アナログ信号をデジタル信号に変換するように構成された複数のコンパレータと、
前記デジタル信号を受信し、前記デジタル信号の周波数コンテンツを分析するように構成された周波数検出ブロックと、
前記複数のコンパレータおよび前記周波数検出ブロックに結合されたコントローラと
を備え、
前記コントローラは、
前記周波数検出ブロックの出力に少なくとも部分的に基づいて、前記アナログ信号を変換するためのウィンドウサイズを動的に判定することであって、前記ウィンドウサイズを判定することは、前記周波数検出ブロックが高振幅変化を検出するとき、前記ウィンドウサイズを増加させることと、前記周波数検出ブロックが低振幅変化を検出するとき、前記ウィンドウサイズを減少させることとを含む、ことと、
前記アナログ信号を変換するためのウィンドウ位置を判定することと、
前記判定されたウィンドウサイズおよび前記判定されたウィンドウ位置によって定義されるウィンドウ内の前記複数のコンパレータのうちのコンパレータをオンにすることと
を行うように構成されている、装置。
【請求項2】
前記コントローラは、前記アナログ信号を変換するための第2のウィンドウサイズを動的に判定することによって、前記アナログ信号を変換するためのウィンドウサイズを更新するようにさらに構成されている、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記周波数検出ブロックは、ハイパスフィルタ(HPF)を備える、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記ハイパスフィルタ(HPF)は、約1−z−1の伝達関数を有する、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記周波数検出ブロックは、バンドパスフィルタ(BPF)を備える、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記コントローラは、
前記周波数検出ブロック出力が第1の閾値を上回るとき、前記ウィンドウサイズを増加させることと、
前記周波数検出ブロック出力が第2の閾値を下回るとき、前記ウィンドウサイズを減少させることと
を行うようにさらに構成されている、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記コントローラは、前記複数のコンパレータのうちの付加的コンパレータをオンにすることによって、前記ウィンドウサイズを増加させるように構成されており、前記コントローラは、前記複数のコンパレータのうちのコンパレータをオフにすることによって、前記ウィンドウサイズを減少させるように構成されている、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記コントローラは、
前記周波数検出ブロック出力に少なくとも部分的に基づいて、補正値を計算することと、
前記補正値を以前のウィンドウ位置に追加することにより、新しいウィンドウ位置を得ることと
によって、前記以前のウィンドウ位置から前記新しいウィンドウ位置に前記ウィンドウ位置を動的に判定するようにさらに構成されている、請求項1に記載の装置。
【請求項9】
方法であって、前記方法は、
複数のコンパレータを用いて、アナログ信号をデジタル信号に変換することであって、前記複数のコンパレータの第1の部分は、アクティブ化され、前記複数のコンパレータの第2の部分は、アクティブ化されず、前記複数のコンパレータの前記第1の部分は、ウィンドウサイズおよびウィンドウ位置によって定義される、ことと、
前記デジタル信号に少なくとも部分的に基づいて、前記複数のコンパレータの前記第1の部分のためのウィンドウサイズを動的に判定することであって、前記ウィンドウサイズは、前記第1の部分内の前記複数のコンパレータの数量を判定し、前記ウィンドウサイズを動的に判定するステップは、
前記デジタル信号内の振幅変化を検出することと、
前記デジタル信号内の前記振幅変化に基づいて、前記ウィンドウサイズを調節することであって、前記ウィンドウサイズを調節することは、前記デジタル信号内に低振幅変化が検出されるとき、前記ウィンドウサイズを減少させることと、前記デジタル信号内に高振幅変化が検出されるとき、前記ウィンドウサイズを増加させることとによって行われる、ことと、
前記デジタル信号に少なくとも部分的に基づいて、前記複数のコンパレータの前記第1の部分のためのウィンドウ位置を判定することであって、前記ウィンドウ位置は、前記複数のコンパレータのうちのどれが前記第1の部分内にあるかを判定する、ことと
を含む、方法。
【請求項10】
第2のウィンドウサイズを動的に判定することによって、前記複数のコンパレータの前記第1の部分のための前記ウィンドウサイズを更新することをさらに含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記ウィンドウサイズを更新するステップは、前記デジタル信号の周波数入力コンテンツに少なくとも部分的に基づいて、前記ウィンドウサイズを動的に判定することを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記ウィンドウサイズを減少させるステップは、前記複数のコンパレータのうちのコンパレータをオフにすることを含み、前記ウィンドウサイズを増加させるステップは、前記複数のコンパレータのうちのコンパレータをオンにすることを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項13】
前記振幅変化を検出するステップは、前記デジタル信号にハイパスフィルタリングを行うことを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項14】
前記ウィンドウサイズを調節するステップは、
前記ハイパスフィルタリングの出力が第1の閾値を上回るとき、前記ウィンドウサイズを増加させることと、
前記ハイパスフィルタリングの出力が第2の閾値を下回るとき、前記ウィンドウサイズを減少させることと
を含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記振幅変化を検出するステップは、前記デジタル信号にバンドパスフィルタリングを行うことを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項16】
前記デジタル信号内の検出された周波数変化に少なくとも部分的に基づいて、補正値を計算することと、
前記補正値を以前のウィンドウ位置に追加することにより、新しいウィンドウ位置を得ることと
によって、前記以前のウィンドウ位置から前記新しいウィンドウ位置に前記ウィンドウ位置を調節することをさらに含む、請求項9に記載の方法。
【請求項17】
装置であって、前記装置は、
アナログ信号をデジタル信号に変換するように構成された複数のコンパレータと、
前記デジタル信号を受信するように構成され、かつ、前記デジタル信号の周波数入力コンテンツを判定するように構成された処理ブロックであって、前記処理ブロックは、周波数検出ブロックを含む、処理ブロックと、
前記処理ブロックに結合され、かつ、前記複数のコンパレータに結合されたコントローラと
を備え、
前記コントローラは、
前記処理ブロックから受信された前記デジタル信号の周波数入力コンテンツを示すものに少なくとも部分的に基づいて、前記アナログ信号を変換するためのウィンドウサイズを動的に判定することであって、前記ウィンドウサイズを判定することは、前記周波数検出ブロックが高振幅変化を検出するとき、前記ウィンドウサイズを増加させることと、前記周波数検出ブロックが低振幅変化を検出するとき、前記ウィンドウサイズを減少させることとを含む、ことと、
前記アナログ信号を変換するためのウィンドウ位置を判定することと、
前記判定されたウィンドウサイズおよび前記判定されたウィンドウ位置によって定義されるウィンドウ内の前記複数のコンパレータのうちのコンパレータをオンにすることと
を行うように構成されている、装置。
【請求項18】
前記複数のコンパレータによって前記デジタル信号出力に結合されたスパークルコード補正ブロックと、
前記スパークルコード補正に結合されたサーモコードデコードブロックと
をさらに備える、請求項17に記載の装置。
【請求項19】
前記処理ブロックは、ハイパスフィルタ(HPF)を備え、
前記コントローラは、
前記ハイパスフィルタ(HPF)出力が第1の閾値を上回るとき、前記ウィンドウサイズを増加させることと、
前記ハイパスフィルタ(HPF)出力が第2の閾値を下回るとき、前記ウィンドウサイズを減少させることと
を行うように構成されている、請求項17に記載の装置。
【請求項20】
前記コントローラは、前記複数のコンパレータのうちのコンパレータをオンにすることによって、前記ウィンドウサイズを増加させるように構成されており、前記コントローラは、前記複数のコンパレータのうちのコンパレータをオフにすることによって、前記ウィンドウサイズを減少させるように構成されている、請求項19に記載の装置。
【請求項21】
前記コントローラは、
前記複数のコンパレータのうちのアクティブ化する一部を判定するように構成されたデジタル出力追跡および予測ブロックと、
前記複数のコンパレータの前記一部をアクティブ化するために制御シーケンスを生成するように構成されたアナログ/デジタルコンバータ(ADC)制御シーケンスブロックと
を備える、請求項17に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願への相互参照)
本出願は、2014年4月17日に出願された、Ku Heらによる「COMPARATOR TRACKING CONTROL SCHEME WITH DYNAMIC WINDOW LENGTH」という題名の米国特許出願第14/255,912号に対して優先権の利益を主張する。上記文献は、その全体として参照することにより、本明細書において援用される。
【0002】
(開示の分野)
本開示は、電子回路に関する。より具体的には、本開示は、アナログ/デジタルコンバータ(ADC)に関する。
【背景技術】
【0003】
(背景)
アナログ/デジタルコンバータ(ADC)は、デジタル電子機器による処理のために、アナログ信号を離散デジタル信号に変換する。例えば、ADCは、マイクロプロセッサまたはデジタル信号プロセッサ(DSP)等のデジタルプロセッサによる処理および操作のために、マイクロホンからのアナログオーディオ入力をデジタル信号に変換するために使用されてもよい。従来のADCの一実施例が、
図1に示される。
【0004】
ADC100は、デジタル信号への変換のために、入力信号V
inを受信し得る。入力信号V
inは、例えば、0〜5ボルトの範囲であり得る。ADCは、複数のコンパレータ102A−Nを通して、入力信号V
inをデジタル出力信号OUTに変換し得る。デジタル出力信号OUTは、コンパレータ102A−Nの数に対応するNビットを有し得る。コンパレータ102A−Nのそれぞれは、入力信号V
inを、レジスタ104A−Nによって定義された参照入力V
refのある割合である、参照レベルと比較する。例えば、入力信号V
inが、0〜5ボルトの範囲であり、4つのコンパレータが存在するとき、コンパレータ102Aは、入力電圧V
inを3.75ボルトと比較し得、コンパレータ102Bは、入力信号V
inを2.5ボルトと比較し得、コンパレータ102Cは、入力信号V
inを1.25ボルトと比較し得、コンパレータ102Nは、入力信号V
inを0ボルトと比較し得る。コンパレータ102A−Nのそれぞれは、入力信号V
inが、それぞれ、3.75、2.5、1.25、および0ボルトより高くない場合、ゼロの値を出力し得る。同様に、コンパレータ102A−Nのそれぞれは、入力信号V
inが、それぞれ、3.75、2.5、1.25、および0ボルトより高い場合、1の値を出力し得る。したがって、入力信号V
inが3.0ボルトであるとき、出力デジタル信号OUTは、「0111」となるであろう。正確度は、例えば、コンパレータ102A−Nの数を増加させることによって、ADC100内で改良され得る。
【0005】
前述に提供される実施例では、コンパレータ102A−Nのそれぞれは、入力信号V
inを参照レベルと継続的に比較する。したがって、コンパレータ102A−Nのそれぞれは、コンパレータ102A−Nのうちのいくつかの出力がほぼ変化し得ないという事実にもかかわらず、電力を消費している。前述の実施例では、入力信号V
inは、0〜5ボルトの範囲であり得るが、概して、約2.5〜3.0ボルトのままである。そのような信号に関して、コンパレータ102Aおよび102Bは、デジタル出力信号OUTを生成するために、その時間の一部に対して十分であり得、コンパレータ102Cおよび102Dは、パワーダウンされてもよい。
【0006】
従来の追跡ADCは、小サンプリング領域の変換に焦点を当てる、1つのタイプのADCである。追跡ADCは、着目領域の周囲でコンパレータをアクティブ化し、コンパレータ102A−Nの他のコンパレータをパワーダウンし、ADC100による電力消費を低減させ得る。例えば、フラッシュタイプの追跡ADCでは、入力信号V
inの電圧レベルに近い参照レベルを伴うコンパレータのみ、通常動作の間、オンにされ得る。制御信号CTRLが、本タイプのADCでは、コンパレータ102A−Nをオンおよびオフにするために使用されてもよい。
【0007】
従来の追跡ADCはまた、例えば、ADCの感知構成要素を入れ替える、または入力信号V
inを操作し、ADCの追跡範囲に適合させ、追跡正確度または分解能を改良し得る。例えば、ADCの感知構成要素の入替は、コンパレータ102A−Nのうちの設定された数(例えば、4つのコンパレータ)をオンにし、次いで、入力信号V
inのレベルに基づいて、パワーオンされる4つのコンパレータをシフトさせる、ウィンドウ追跡特徴の実装を含んでもよい。別の実施例では、ADCの追跡範囲の適合は、レジスタ104A−Nの抵抗を変動させること等によって、コンパレータ102A−Nの参照レベルの変更を含んでもよい。しかしながら、これらの従来の追跡ADCは両方とも、コンパレータ104A−Nのうちの固定数のアクティブコンパレータを有する。これは、急速に変化する入力信号V
inに応答するためのADCの柔軟性を低減させる一方、また、追跡ADCの電力節約潜在性の限界を設ける。
【0008】
ここに記載された欠点は、代表にすぎず、単に、改良されたアナログ/デジタルコンバータ(ADC)、特に、消費者レベルデバイスの必要性があることを強調するために含まれている。ここに説明される実施形態は、ある欠点に対処するが、必ずしも、ありとあらゆるものが、ここに説明される、または当技術分野において公知であるわけではない。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
(要約)
アナログ/デジタルコンバータ(ADC)のためのコンパレータ追跡方式は、経時的に、アナログ入力信号をデジタル出力信号に変換するためにパワーアップされるコンパレータの数を変動させることによって、動的ウィンドウサイズを実装し得る。アクティブ化されるコンパレータの数の変動は、アナログ入力信号が急速に変化しているとき、ADCが、コンパレータの数を増加させることを可能にすることにより、ADCのデジタル出力信号の正確度を増加させ得る。パワーアップされるコンパレータの数の変動はまた、アナログ入力信号が比較的に一定であるとき、ADCがコンパレータの数を減少させることを可能にすることにより、パワーアップされた構成要素の数を減少させることによってADCの電力消費を低下させ得る。本動的ウィンドウサイズは、ADCが、電力消費とアナログ入力信号内の急速に変化する信号を捕捉する能力との間のトレードオフを改良することを可能にし得る。
【0010】
コンパレータ追跡方式は、例えば、アナログ/デジタルコンバータ(ADC)内の複数のコンパレータに結合されるコントローラ内に実装されてもよい。例えば、コントローラは、ADCのためのウィンドウサイズを判定し、かつADCのためのウィンドウ位置を判定し得る。コントローラは、次いで、そのウィンドウ位置を中心とし、ある幅のウィンドウサイズを有する、ウィンドウ内のADCのコンパレータをアクティブ化し得る。一実施形態では、コントローラは、アナログ入力信号またはデジタル出力信号のいずれかに結合される、バンドパスフィルタ(BPF)またはハイパスフィルタ(HPF)等のフィルタの出力を分析することによって、ウィンドウサイズを判定し得る。フィルタ出力が、急速に変化するアナログ入力信号を示すとき、コントローラは、ADCのウィンドウサイズを動的に増加させてもよく、これは、パワーオンされるコンパレータの数を増加させ得る。コントローラは、フィルタ出力を再評価し、後に、ウィンドウサイズおよび/またはウィンドウ位置を更新し得る。一実施形態では、コントローラは、ウィンドウサイズおよび/またはウィンドウ位置を継続的に更新し得る。
【0011】
一実施形態によると、装置は、アナログ信号を受信するように構成される、アナログ入力ノード、アナログ入力ノードに結合され、アナログ信号をデジタル信号に変換するように構成される、複数のコンパレータ、および/または、複数のコンパレータに結合されるコントローラを含んでもよい。コントローラは、アナログ信号を変換するためのウィンドウサイズを判定すること、アナログ信号を変換するためのウィンドウ位置を判定すること、判定されたウィンドウサイズおよび判定されたウィンドウ位置によって定義されるウィンドウ内の複数のコンパレータのコンパレータをオンにすること、および/または、アナログ信号を変換するためのウィンドウサイズを更新することを行うように構成されてもよい。
【0012】
ある実施形態では、コントローラはまた、少なくとも部分的に、デジタル信号の周波数入力コンテンツに基づいて、アナログ信号を変換するためのウィンドウサイズを更新するように構成されてもよく、コントローラはまた、周波数検出ブロック出力が第1の閾値を上回るとき、ウィンドウサイズを増加させるように構成されてもよく、コントローラはまた、周波数検出ブロック出力が第2の閾値を下回るとき、ウィンドウサイズを減少させるように構成されてもよく、コントローラはまた、周波数検出ブロックが高振幅変化を検出すると、ウィンドウサイズを増加させるように構成されてもよく、コントローラはまた、周波数検出ブロックが低振幅変化を検出すると、ウィンドウサイズを減少させるように構成されてもよく、および/または、コントローラはまた、少なくとも部分的に、周波数検出ブロック出力に基づいて、補正値を計算し、および補正値を以前のウィンドウ位置に追加し、新しいウィンドウ位置を得ることによって、以前のウィンドウ位置から新しいウィンドウ位置にウィンドウ位置を更新するように構成されてもよい。
【0013】
いくつかの実施形態では、本装置はまた、コントローラに結合または統合され、デジタル信号を受信するように構成される、周波数検出ブロックを含んでもよく、コントローラは、少なくとも部分的に、周波数検出ブロックの出力に基づいて、ウィンドウサイズを更新するように構成され、周波数検出ブロックは、ハイパスフィルタ(HPF)を含んでもよく、ハイパスフィルタは、約1−z
−1の伝達関数を有し、および/または、周波数検出ブロックは、バンドパスフィルタ(BPF)を含んでもよい。
【0014】
別の実施形態によると、方法は、複数のコンパレータを用いて、アナログ信号をデジタル信号に変換することであって、複数のコンパレータの第1の部分は、アクティブ化され、複数のコンパレータの第2の部分は、アクティブ化されず、コンパレータの第1の部分は、ウィンドウサイズおよびウィンドウ位置によって定義される、こと、少なくとも部分的に、デジタル信号に基づいて、コンパレータの第1の部分のためのウィンドウサイズを判定することであって、ウィンドウサイズは、第1の部分内の複数のコンパレータの数量を判定する、こと、少なくとも部分的に、デジタル信号に基づいて、コンパレータの第1の部分のためのウィンドウ位置を判定することであって、ウィンドウ位置は、複数のコンパレータのうちのどれが第1の部分内にあるかを判定する、こと、および/または、コンパレータの第1の部分のためのウィンドウサイズを更新することを含んでもよい。
【0015】
ある実施形態では、ウィンドウサイズを更新するステップは、少なくとも部分的に、デジタル信号の周波数入力コンテンツに基づいて、ウィンドウサイズを更新するステップを含んでもよく、ウィンドウサイズを調節するステップは、低振幅変化がデジタル信号内で検出されると、ウィンドウサイズを減少させることと、高振幅変化がデジタル信号内で検出されると、ウィンドウサイズを増加させることとを含んでもよく、振幅変化を検出するステップは、デジタル信号にハイパスフィルタリングを行うことを含んでもよく、ウィンドウサイズを調節するステップは、ハイパスフィルタリングの出力が第1の閾値を上回ると、ウィンドウサイズを増加させることと、ハイパスフィルタリングの出力が第2の閾値を下回ると、ウィンドウサイズを減少させることとを含んでもよく、および/または、振幅変化を検出するステップは、デジタル信号にバンドパスフィルタリングを行うことを含んでもよい。
【0016】
いくつかの実施形態では、本方法はまた、デジタル信号内の振幅変化を検出すること、デジタル信号内の振幅変化に基づいて、ウィンドウサイズを調節すること、および/または、少なくとも部分的に、デジタル信号内で検出された周波数変化に基づいて、補正値を計算し、補正値を以前のウィンドウ位置に追加し、新しいウィンドウ位置を得ることによって、以前のウィンドウ位置から新しいウィンドウ位置にウィンドウ位置を調節することを含んでもよい。
【0017】
さらなる実施形態によると、装置は、アナログ信号をデジタル信号に変換するように構成される、複数のコンパレータ、デジタル信号を受信するように結合され、デジタル信号の周波数入力コンテンツを判定するように構成される、処理ブロック、および/または、処理ブロックに結合され、かつ複数のコンパレータに結合される、コントローラを含んでもよい。コントローラは、少なくとも部分的に、デジタル信号の周波数入力コンテンツに基づいて、アナログ信号を変換するためのウィンドウサイズを判定すること、アナログ信号を変換するためのウィンドウ位置を判定すること、判定されたウィンドウサイズおよび判定されたウィンドウ位置によって定義されるウィンドウ内の複数のコンパレータのコンパレータをオンにすること、および/または、少なくとも部分的に、デジタル信号の周波数入力コンテンツに基づいて、アナログ信号を変換するためのウィンドウサイズを更新することを行うように構成されてもよい。
【0018】
ある実施形態では、処理ブロックは、周波数検出ブロックを含んでもよく、処理ブロックは、ハイパスフィルタ(HPF)を含んでもよく、コントローラは、ハイパスフィルタ(HPF)出力が第1の閾値を上回ると、ウィンドウサイズを増加させ、およびハイパスフィルタ(HPF)出力が第2の閾値を下回ると、ウィンドウサイズを減少させるように構成され、および/または、コントローラは、アクティブ化するための複数のコンパレータの一部を判定するように構成される、デジタル出力追跡および予測ブロックと、制御シーケンスを生成し、複数のコンパレータの一部をアクティブ化するように構成される、アナログ/デジタルコンバータ(ADC)制御シーケンスブロックとを含んでもよい。
【0019】
いくつかの実施形態では、本装置はまた、複数のコンパレータによってデジタル信号出力に結合される、スパークルコード補正ブロック、および/または、スパークルコード補正に結合される、サーモコードデコードブロックを含んでもよい。
【0020】
前述は、続く発明を実施するための形態がより深く理解され得るために、本発明の実施形態のある特徴および技術的利点をかなり広範に概略している。本発明の請求項の主題を形成する、付加的特徴および利点は、本明細書に後述されるであろう。開示される概念および具体的実施形態は、同一または類似目的を実施するために修正もしくは他の構造を設計するための基礎として容易に利用され得ることが、当業者によって理解されるはずである。また、そのような均等物構造は、添付の請求項に記載の本発明の精神および範囲から逸脱しないことが、当業者によって認識されるはずである。付加的特徴は、付随の図と併せて検討されることによって、以下の説明からより深く理解されるであろう。しかしながら、図はそれぞれ、例証および説明の目的のためだけに提供されており、本発明を限定することを意図するものではないことが、明示的に理解されるはずである。
例えば、本願は以下の項目を提供する。
(項目1)
装置であって、前記装置は、
アナログ信号を受信するように構成されたアナログ入力ノードと、
前記アナログ入力ノードに結合され、かつ前記アナログ信号をデジタル信号に変換するように構成された複数のコンパレータと、
前記複数のコンパレータに結合されたコントローラであって、前記コントローラは、
前記アナログ信号を変換するためのウィンドウサイズを動的に判定することと、
前記アナログ信号を変換するためのウィンドウ位置を判定することと、
前記判定されたウィンドウサイズおよび前記判定されたウィンドウ位置によって定義されるウィンドウ内の前記複数のコンパレータのコンパレータをオンにすることと
を行うように構成されている、コントローラと
を備える、装置。
(項目2)
前記コントローラはさらに、前記アナログ信号を変換するための第2のウィンドウサイズを動的に判定することによって、前記アナログ信号を変換するためのウィンドウサイズを更新するように構成されている、項目1に記載の装置。
(項目3)
前記コントローラは、少なくとも部分的に、前記デジタル信号の周波数入力コンテンツに基づいて、前記アナログ信号を変換するためのウィンドウサイズを動的に判定するように構成されている、項目1に記載の装置。
(項目4)
前記コントローラに結合され、かつ前記デジタル信号を受信するように構成されている、周波数検出ブロックをさらに備え、前記コントローラは、少なくとも部分的に、前記周波数検出ブロックの出力に基づいて、前記ウィンドウサイズを動的に判定するように構成されている、項目3に記載の装置。
(項目5)
前記周波数検出ブロックは、ハイパスフィルタ(HPF)を備える、項目4に記載の装置。
(項目6)
前記ハイパスフィルタ(HPF)は、約1−z−1の伝達関数を有する、項目5に記載の装置。
(項目7)
前記周波数検出ブロックは、バンドパスフィルタ(BPF)を備える、項目4に記載の装置。
(項目8)
前記コントローラはさらに、
前記周波数検出ブロック出力が第1の閾値を上回るとき、前記ウィンドウサイズを増加させることと、
前記周波数検出ブロック出力が第2の閾値を下回るとき、前記ウィンドウサイズを減少させることと
を行うように構成されている、項目4に記載の装置。
(項目9)
前記コントローラはさらに、
前記周波数検出ブロックが高振幅変化を検出すると、前記ウィンドウサイズを増加させることと、
前記周波数検出ブロックが低振幅変化を検出すると、前記ウィンドウサイズを減少させることと
を行うように構成されている、項目4に記載の装置。
(項目10)
前記コントローラは、前記複数のコンパレータの付加的コンパレータをオンにすることによって、前記ウィンドウサイズを増加させるように構成され、前記コントローラは、前記複数のコンパレータのコンパレータをオフにすることによって、前記ウィンドウサイズを減少させるように構成されている、項目8に記載の装置。
(項目11)
前記コントローラはさらに、
少なくとも部分的に、前記周波数検出ブロック出力に基づいて、補正値を計算することと、
前記補正値を前記以前のウィンドウ位置に追加し、前記新しいウィンドウ位置を得ることと
によって、以前のウィンドウ位置から新しいウィンドウ位置に前記ウィンドウ位置を動的に判定するように構成されている、項目4に記載の装置。
(項目12)
方法であって、前記方法は、
複数のコンパレータを用いて、アナログ信号をデジタル信号に変換することであって、前記複数のコンパレータの第1の部分は、アクティブ化され、前記複数のコンパレータの第2の部分は、アクティブ化されず、前記コンパレータの第1の部分は、ウィンドウサイズおよびウィンドウ位置によって定義される、ことと、
少なくとも部分的に、前記デジタル信号に基づいて、前記コンパレータの第1の部分のためのウィンドウサイズを動的に判定することであって、前記ウィンドウサイズは、前記第1の部分内の前記複数のコンパレータの数量を判定する、ことと、
少なくとも部分的に、前記デジタル信号に基づいて、前記コンパレータの第1の部分のための前記ウィンドウ位置を判定することであって、前記ウィンドウ位置は、前記複数のコンパレータのうちのどれが前記第1の部分内にあるかを判定する、ことと
を含む、方法。
(項目13)
第2のウィンドウサイズを動的に判定することによって、前記コンパレータの第1の部分のための前記ウィンドウサイズを更新することをさらに含む、項目12に記載の方法。
(項目14)
前記ウィンドウサイズを更新するステップは、少なくとも部分的に、前記デジタル信号の周波数入力コンテンツに基づいて、前記ウィンドウサイズを動的に判定することを含む、項目12に記載の方法。
(項目15)
前記デジタル信号内の振幅変化を検出することと、
前記デジタル信号内の振幅変化に基づいて、前記ウィンドウサイズを調節することと
をさらに含む、項目12に記載の方法。
(項目16)
前記ウィンドウサイズを調節するステップは、
低振幅変化が前記デジタル信号内で検出されると、前記ウィンドウサイズを減少させることと、
高振幅変化が前記デジタル信号内で検出されると、前記ウィンドウサイズを増加させることと
を含む、項目15に記載の方法。
(項目17)
前記ウィンドウサイズを減少させるステップは、前記複数のコンパレータのコンパレータをオフにすることを含み、前記ウィンドウサイズを増加させるステップは、前記複数のコンパレータのコンパレータをオンにすることを含む、項目16に記載の方法。
(項目18)
前記振幅変化を検出するステップは、前記デジタル信号にハイパスフィルタリングを行うことを含む、項目15に記載の方法。
(項目19)
前記ウィンドウサイズを調節するステップは、
前記ハイパスフィルタリングの出力が第1の閾値を上回ると、前記ウィンドウサイズを増加させることと、
前記ハイパスフィルタリングの出力が第2の閾値を下回ると、前記ウィンドウサイズを減少させることと
を含む、項目18に記載の方法。
(項目20)
前記振幅変化を検出するステップは、前記デジタル信号にバンドパスフィルタリングを行うことを含む、項目15に記載の方法。
(項目21)
少なくとも部分的に、前記デジタル信号内の検出された周波数変化に基づいて、補正値を計算することと、
前記補正値を以前のウィンドウ位置に追加し、新しいウィンドウ位置を得ることと
によって、前記以前のウィンドウ位置から前記新しいウィンドウ位置に前記ウィンドウ位置を調節することをさらに含む、項目15に記載の方法。
(項目22)
装置であって、前記装置は、
アナログ信号をデジタル信号に変換するように構成された複数のコンパレータと、
前記デジタル信号を受信するように結合され、かつ前記デジタル信号の周波数入力コンテンツを判定するように構成された処理ブロックと、
前記処理ブロックに結合され、かつ前記複数のコンパレータに結合されたコントローラであって、前記コントローラは、
少なくとも部分的に、前記デジタル信号の周波数入力コンテンツに基づいて、前記アナログ信号を変換するためのウィンドウサイズを動的に判定することと、
前記アナログ信号を変換するためのウィンドウ位置を判定することと、
前記判定されたウィンドウサイズおよび前記判定されたウィンドウ位置によって定義されるウィンドウ内の前記複数のコンパレータのコンパレータをオンにすることと
を行うように構成されている、コントローラと
を備える、装置。
(項目23)
前記コントローラはさらに、少なくとも部分的に、前記デジタル信号の周波数入力コンテンツに基づいて、前記アナログ信号を変換するためのウィンドウサイズを更新するように構成されている、項目22に記載の装置。
(項目24)
前記複数のコンパレータによって前記デジタル信号出力に結合されたスパークルコード補正ブロックと、
前記スパークルコード補正に結合されたサーモコードデコードブロックと
をさらに備える、項目22に記載の装置。
(項目25)
前記処理ブロックは、周波数検出ブロックを備える、項目22に記載の装置。
(項目26)
前記処理ブロックは、ハイパスフィルタ(HPF)を備え、前記コントローラは、
前記ハイパスフィルタ(HPF)出力が第1の閾値を上回ると、前記ウィンドウサイズを増加させることと、
前記ハイパスフィルタ(HPF)出力が第2の閾値を下回ると、前記ウィンドウサイズを減少させることと
を行うように構成されている、項目25に記載の装置。
(項目27)
前記コントローラは、前記複数のコンパレータのコンパレータをオンにすることによって、前記ウィンドウサイズを増加させるように構成され、前記コントローラは、前記複数のコンパレータのコンパレータをオフにすることによって、前記ウィンドウサイズを減少させるように構成されている、項目26に記載の装置。
(項目28)
前記コントローラは、
アクティブ化するための前記複数のコンパレータの一部を判定するように構成されている、デジタル出力追跡および予測ブロックと、
制御シーケンスを生成し、前記複数のコンパレータの前記一部をアクティブ化するように構成されている、アナログ/デジタルコンバータ(ADC)制御シーケンスブロックと
を備える、項目22に記載の装置。
【0021】
開示されるシステムおよび方法のより完全な理解のために、ここで、付随の図面と関連して検討される以下の説明を参照する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】
図1は、従来のアナログ/デジタルコンバータ(ADC)の概略図である。
【
図2A】
図2Aは、本開示の一実施形態による、第1のウィンドウサイズを有するアナログ/デジタルコンバータ(ADC)のコンパレータのための制御方式を図示する、ブロック図である。
【
図2B】
図2Bは、本開示の一実施形態による、第2のウィンドウサイズを有するアナログ/デジタルコンバータ(ADC)のコンパレータのための制御方式を図示する、ブロック図である。
【
図3】
図3は、本開示の一実施形態による、アナログ/デジタルコンバータ(ADC)のウィンドウサイズを動的に制御する方法を図示する、フロー図である。
【
図4】
図4は、本開示の一実施形態による、アナログ/デジタルコンバータ(ADC)の動的ウィンドウサイズ制御を伴うコントローラを図示する、ブロック図である。
【
図5】
図5は、本開示の一実施形態による、ハイパスフィルタ(HPF)の出力に基づいて、アナログ/デジタルコンバータ(ADC)のウィンドウサイズを調節する方法を図示する、フロー図である。
【
図6】
図6は、本開示の一実施形態による、アナログ/デジタルコンバータ(ADC)内の動的ウィンドウサイズのための状態機械を図示する、ブロック図である。
【
図7】
図7は、本開示の一実施形態による、ウィンドウ位置の変化を図示する、ブロック図である。
【
図8】
図8は、本開示の一実施形態による、ウィンドウ位置を調節するための方法を図示する、フロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
(詳細な説明)
アナログ/デジタルコンバータ(ADC)のための動的ウィンドウサイズが、
図2A−2Bに概念的に示される。
図2Aは、本開示の一実施形態による、第1のウィンドウサイズを有するアナログ/デジタルコンバータ(ADC)のコンパレータのための制御方式を図示する、ブロック図である。複数のコンパレータはそれぞれ、デジタル出力信号OUTにおいて1ビットを出力し得る。すなわち、ビット202A−Nはそれぞれ、ADCの1つのコンパレータの出力に対応し得る。数ビットを有する、制御信号CTRLが、複数のコンパレータに提供され得る。コンパレータは、コンパレータに対応する制御ビット204A−Nのビットが「1」であるとき、アクティブ化し得る。例えば、
図2Aに示されるような制御ビット204B−Eは、「1」ビットであり、したがって、出力ビット202B−Eに対応するコンパレータは、アクティブ化される。「1」および「0」ビットが、制御ビット204A−Nに示されるが、値は、「0」ビットが対応するコンパレータをアクティブ化するように反転されてもよい。「1」制御ビット204B−204Eは、アクティブコンパレータのウィンドウ210を定義し得る。すなわち、ウィンドウ210内の出力ビット202B−Eに対応するコンパレータは、アクティブであり、パワーオンされる。
【0024】
制御ビット204A−Nは、コンパレータおよびADCに結合されるコントローラによって生成され得る。コントローラは、例えば、制御ビット204A−Nを変更することによって、ウィンドウ210のサイズを調節し得る。
図2Bは、本開示の一実施形態による、第2のウィンドウサイズを有するアナログ/デジタルコンバータ(ADC)のコンパレータのための制御方式を図示する、ブロック図である。制御ビット204A−Fは、コントローラによって「1」ビットとして設定され、更新されたウィンドウ220を定義する。ウィンドウ220は、ウィンドウ210より2ビット大きい。したがって、2つの付加的コンパレータが、制御信号CTRLによってアクティブ化され得る。ウィンドウ220は、ウィンドウ210と同一位置を中心として示されるが、ウィンドウ220の位置はまた、更新の間、変更されてもよい。例えば、ウィンドウ220は、制御ビット204A−Fから制御ビット204B−Gにシフトされてもよい。ウィンドウ220の位置が、ウィンドウ220のサイズとともに制御されるとき、サイズおよび位置は、独立して、制御され得る。
【0025】
動的ウィンドウサイズが、
図3に示される方法に従って、アナログ/デジタルコンバータ(ADC)内に実装されてもよい。
図3は、本開示の一実施形態による、アナログ/デジタルコンバータ(ADC)のウィンドウサイズを動的に制御する方法を図示する、フロー図である。方法300は、ブロック302から開始し、アナログ/デジタルコンバータ(ADC)のためのウィンドウサイズを判定する。次いで、ブロック304において、ウィンドウ位置が、ADCのために判定される。判定されたウィンドウサイズおよび位置は、
図2A−Bのウィンドウ210および220等のアクティブコンパレータのウィンドウを定義し得る。ブロック306において、ADCのコンパレータは、ブロック302の判定されたウィンドウサイズおよびブロック304の判定されたウィンドウ位置に対応してアクティブ化され得る。コンパレータは、
図2A−Bの制御ビット204A−N等のコントローラによって生成される制御信号によってアクティブ化され得る。後に、ブロック302の判定されたウィンドウサイズは、ブロック308において更新されてもよく、ブロック304の判定されたウィンドウ位置は、ブロック310において更新されてもよい。
図3の方法300は、例えば、ADCに結合されるコントローラ内で実行されてもよい。
【0026】
アナログ/デジタルコンバータ(ADC)を制御するためのコントローラの一実施例が、
図4に示される。
図4は、本開示の一実施形態による、アナログ/デジタルコンバータ(ADC)の動的ウィンドウサイズ制御を伴うコントローラを図示する、ブロック図である。システム400は、ADC404に結合されるコントローラ410を含んでもよい。ADC404は、複数のコンパレータを含んでもよく、コントローラ410は、アクティブ化(例えば、パワーオン)または非アクティブ化(例えば、パワーオフ)するように命令し得る。ADC404は、アナログ入力ノード402に結合され、アナログ入力信号V
inを受信し得る。ADC404は、コントローラ410によってさらに処理され、デジタル出力信号OUTを生成し得る、デジタル信号sigを出力し得る。例えば、コントローラ410は、バブルエラーを補正し得る、スパークルコード補正ブロック412と、温度計コードを2の補数コードに変換し、デジタル信号sigを処理し、デジタル出力信号OUTを生成し得る、サーモコードデコードブロック414とを含んでもよい。コントローラ410のブロックは、コントローラ410の別個の構成要素として示されるが、ブロックは、1つ以上の集積回路(IC)の一部として、1つ以上のコントローラ内に実装されてもよい。コントローラまたはICは、例えば、携帯電話およびモバイルオーディオプレーヤを含む、モバイルデバイス等の電子デバイスの中に統合されてもよい。
【0027】
コントローラ410はまた、デジタル出力信号OUTに結合されるフィルタ416を含んでもよい。フィルタ416は、例えば、バンドパスフィルタ(BPF)またはハイパスフィルタ(HPF)であってもよい。フィルタ416がHPFである一実施形態では、フィルタ416は、1−z
−1の伝達関数および約0.5MHz〜3MHzの更新率を有し得る。フィルタ416の出力は、ADC出力追跡および予測ブロック418に提供され得る。ADC出力追跡および予測ブロック418は、例えば、フィルタ416の出力を処理し、アナログ入力信号V
in内の変換の周波数を判定するための論理回路を含有する、周波数検出ブロックを含んでもよい。ADC出力追跡および予測ブロック418はまた、フィルタ416からの情報と、ADC404からの現在および以前の出力とに基づいて、ウィンドウサイズおよびウィンドウ位置を判定するための論理回路を含んでもよい。例えば、ブロック418は、フィルタ416およびスパークルコード補正ブロック412からデータを受信し、アナログ入力信号V
inの将来の値の予測を生成し、アナログ入力信号V
inの予測される将来の値のための適切なウィンドウサイズおよびウィンドウ位置を判定し得る。判定されたウィンドウサイズおよびウィンドウ位置は、ブロック418から、判定されたウィンドウサイズおよびウィンドウ位置をADC404に提供される制御信号に変換し得る、ADC制御シーケンスブロック420に出力され得る。ADC制御シーケンスブロック420からの出力制御信号は、例えば、
図2A−Bを参照して前述の制御ビット204A−Nであってもよい。
【0028】
フィルタ416が、ハイパスフィルタ(HPF)であるとき、ハイパスフィルタは、入力アナログ信号V
inにおける振幅変化を示す、出力デジタル信号OUTにおける振幅変化を判定し得る。閾値が、ハイパスフィルタ(HPF)の出力に基づいてADC404のウィンドウサイズを動的に調節するために、ADC出力追跡および予測ブロック418内に設定され得る。
図5は、本開示の一実施形態による、ハイパスフィルタ(HPF)の出力に基づいて、アナログ/デジタルコンバータ(ADC)のウィンドウサイズを調節する方法を図示する、フロー図である。方法500は、ブロック502から開始し得、ハイパスフィルタ出力が第1の閾値より高いかどうかを判定する。第1の閾値を超える場合、方法500は、ブロック504に進み、ADC404のためのウィンドウサイズを増加させ得る。ハイパスフィルタ出力が高いとき、アナログ入力信号V
inは、急速に変化し得る。したがって、ブロック504は、ADC出力追跡および予測ブロック418の周波数検出ブロックが高振幅変化を検出すると、ウィンドウサイズを増加させるように対応し得る。
【0029】
ブロック502において、第1の閾値が超えない場合、方法500は、ブロック506に進み、ハイパスフィルタ(HPF)の出力が第2の閾値を下回るかどうかを判定する。出力が第2の閾値を下回るとき、方法500は、ブロック508に進み、ADC404のためのウィンドウサイズを減少させ得る。ハイパスフィルタ(HPF)出力が第2の閾値を下回るとき、アナログ入力信号V
inは、比較的に一定であると見なされ得る。したがって、ブロック508は、周波数検出ブロックが低振幅変化を検出すると、ウィンドウサイズを減少させるように対応し得る。ウィンドウサイズの減少は、アクティブコンパレータの数を減少させ得、したがって、ADC404内の電力消費を低下させ得る。電力消費の低下は、熱消散のための空間がほぼ利用不可能である、小型デバイスにおいて有利となり得る。電力消費の低下はまた、バッテリ寿命を延長させるために、ポータブルデバイスにおいても有利となり得る。それぞれ、ブロック504および508においてウィンドウサイズの増加または減少後、方法500は、ブロック502に戻り、ウィンドウサイズを更新し続け得る。ブロック506において、ウィンドウサイズが変更されない場合、方法500は、ブロック502におけるハイパスフィルタ(HPF)の出力の試験に戻り得る。
【0030】
ブロック504および508におけるウィンドウサイズの増加ならびに減少は、状態機械内に実装されてもよい。状態機械では、それぞれ、ウィンドウサイズを増加または減少させるための第1の閾値および第2の閾値は、状態機械の現在の状態に基づいて調節され得る。
図6は、本開示の一実施形態による、アナログ/デジタルコンバータ(ADC)内の動的ウィンドウサイズのための状態機械を図示する、ブロック図である。状態機械600は、例えば、4つのコンパレータのウィンドウサイズに対応する状態602と、6つのコンパレータのウィンドウサイズに対応する状態604と、8つのコンパレータのウィンドウサイズに対応する状態606とを含んでもよい。3つのみの例示的状態602、604、および606が示されるが、付加的なより大きいまたは小ウィンドウサイズが、状態機械600内に含まれてもよい。加えて、2以外のサイズのウィンドウサイズの漸増もまた、状態機械600内で可能性として考えられる。状態機械600は、クロックサイクルあたり1回、状態602、604、および606間で遷移するかどうか判定するために更新され得る。前述の一実施形態では、クロックサイクルは、約0.5MHz〜3MHzであり得る。
【0031】
状態機械600は、例えば、4のウィンドウサイズを伴う状態602から開始し得る。ハイパスフィルタ(HPF)の出力が2を上回ると、状態機械600は、6のウィンドウサイズを伴う状態604に遷移し得る。ハイパスフィルタ(HPF)は、データのコンテンツを判定するために使用されるいくつかの異なる出力を生成し得る。一実施形態では、ハイパスフィルタ(HPF)出力は、信号の変化の相対的大きさを示す、離散値であり得る。例えば、状態602と604との間の遷移に対応する値「2」は、ハイパスフィルタ(HPF)を通して通過する信号の変化のある大きさを示し得る。状態604では、第1の閾値は、3に設定され得、第2の閾値は、1に設定され得る。ハイパスフィルタ(HPF)の出力が、3を上回るまたはそれに等しいとき、状態機械600は、8のウィンドウサイズを伴う状態606に遷移し得る。ハイパスフィルタ(HPF)の出力が、1未満またはそれに等しいとき、状態機械600は、4のウィンドウサイズを伴う状態602に戻り得る。状態機械600のものに類似する一般的状態機械は、ウィンドウサイズのための以下の方程式から公式化され得る。
【数1】
式中、W(n)は、現在のウィンドウサイズであり、W(n−1)は、以前のウィンドウサイズであり、閾値
1、閾値
2、および閾値
3は、動的ウィンドウサイズを変更するための閾値である。閾値は、ウィンドウサイズが変化するにつれて変化し得る。例えば、状態602では、閾値
1は、2であり得、閾値
3は、1であり得、状態604では、閾値
1は、3であり得、閾値
3は、1であり得る。
【0032】
前述のように、ウィンドウサイズは、動的に調節され得る。ウィンドウ位置もまた、ウィンドウサイズから独立して、動的に調節され得る。ウィンドウ位置の変化は、
図7に概念的に示される。
図7は、本開示の一実施形態による、ウィンドウ位置の変化を図示する、ブロック図である。ウィンドウ702は、最初に、ビットn、n−1、n−2、n−3、n−4、およびn−5の周囲に位置付けられ得る。デジタル出力信号OUTの対応する出力ビットは、それぞれ、0、0、0、1、1、および1であり得る。一実施形態では、ウィンドウ位置は、ウィンドウ702の中心にデジタル出力信号OUTの0から1の遷移を位置付けるように選択され得る。他の実施形態では、ウィンドウ位置は、信号が変化する方向に付加的ヘッドルームを提供するために、0から1の遷移を位置付けるように選択され得る。例えば、0から1の遷移が、下位ビット(LSB、例えば、
図7のビットの右)に向かって移動すると予期されると、ウィンドウ位置は、0から1の遷移を上位ビット(MSB、例えば、
図7のビットの左)に向かって置くように選択され得る。新しいウィンドウ位置が、判定され、ウィンドウ702は、ビットn−2、n−3、n−4、n−5、n−6、およびn−7を含む、ウィンドウ704にシフトされ得る。
図7に示されるように、ウィンドウ702および704のウィンドウサイズは、同じである。しかしながら、ウィンドウサイズの変化もまた、ウィンドウ位置が変化すると生じ得る。
【0033】
ウィンドウ位置制御は、
図4のコントローラ410の中にプログラムされ得る。コントローラによってウィンドウ位置を調節するための方法の1つが、
図8に示される。
図8は、本開示の一実施形態による、ウィンドウ位置を調節するための方法を図示する、フロー図である。方法800は、ブロック802から開始し得、ハイパスフィルタ(HPF)出力を受信する。ブロック804において、補正値が、ブロック802において受信されたHPF出力に基づいて判定され得る。補正値は、例えば、ウィンドウ位置をシフトさせるための量および方向を示す、デルタ差値であり得る。次いで、ブロック806において、補正値は、アナログ/デジタルコンバータ(ADC)の現在のウィンドウ位置に追加され得る。一実施例では、新しいウィンドウ位置は、以下に従って計算され得る:
位置(k)=位置(k−1)+Δ、
式中、Δは、補正値であり、位置(k−1)は、以前のウィンドウ位置であり、位置(k)は、新しいウィンドウ位置である。
【0034】
ファームウェアおよび/またはソフトウェア内に実装される場合、前述の機能は、コンピュータ可読媒体上の1つ以上の命令もしくはコードとして記憶され得る。実施例として、データ構造でエンコードされた非一過性コンピュータ可読媒体およびコンピュータプログラムでエンコードされたコンピュータ可読媒体が挙げられる。コンピュータ可読媒体は、物理的コンピュータ記憶媒体を含む。記憶媒体は、コンピュータによってアクセスされ得る、任意の利用可能な媒体であってもよい。一例として、限定ではないが、そのようなコンピュータ可読媒体は、RAM、ROM、EEPROM、CD−ROMもしくは他の光ディスク記憶、磁気ディスク記憶もしくは他の磁気記憶デバイス、または命令もしくはデータ構造の形態で所望のプログラムコードを記憶するために使用され得、かつコンピュータによってアクセスされ得る、任意の他の媒体を備えることができる。ディスク(diskおよびdisc)は、コンパクトディスク(CD)、レーザディスク、光学ディスク、デジタル多用途ディスク(DVD)、フロッピーディスク、およびブルーレイディスクを含む。概して、ディスク(disk)は、データを磁気的に再現し、ディスク(disc)は、データを光学的に再現する。前述の組み合わせもまた、コンピュータ可読媒体の範囲内に含まれるべきである。
【0035】
コンピュータ可読媒体上の記憶に加え、命令および/またはデータは、通信装置内に含まれる伝送媒体上の信号として提供されてもよい。例えば、通信装置は、命令およびデータを示す信号を有する、送受信機を含んでもよい。命令およびデータは、1つ以上のプロセッサに、請求項に概略される機能を実装させるように構成される。
【0036】
本開示およびある代表的利点が、詳細に説明されたが、種々の変更、代用、ならびに改変が、添付の請求項によって定義される本開示の精神および範囲から逸脱することなく、本明細書に成され得ることを理解されたい。例えば、アナログ/デジタルコンバータ(ADC)内のコンパレータのアクティブ化が、前述されたが、他の構成要素も、前述のコントローラを用いて制御されてもよく、および/またはアナログ/デジタル変換以外の目的のためのコンパレータが、前述のコントローラを用いて制御されてもよい。さらに、本願の範囲は、明細書に説明されるプロセス、機械、製造、組成物、手段、方法、およびステップの特定の実施形態に限定されることを意図するものではない。当業者が本開示から容易に理解するであろうように、本明細書に説明される対応する実施形態と実質的に同一機能を果たす、または実質的に同一結果を達成する、現在既存のもしくは後に開発されたプロセス、機械、製造、組成物、手段、方法、またはステップが、利用されてもよい。故に、添付の請求項は、その範囲内に、そのようなプロセス、機械、製造、組成物、手段、方法、またはステップを含むことが意図される。