(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6293310
(24)【登録日】2018年2月23日
(45)【発行日】2018年3月14日
(54)【発明の名称】レーザビームを用いてワークピース上にデータマトリックスコードをマーキングするための方法
(51)【国際特許分類】
B23K 26/00 20140101AFI20180305BHJP
B23K 26/08 20140101ALI20180305BHJP
【FI】
B23K26/00 B
B23K26/08 Z
【請求項の数】9
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2016-571087(P2016-571087)
(86)(22)【出願日】2015年5月29日
(65)【公表番号】特表2017-520406(P2017-520406A)
(43)【公表日】2017年7月27日
(86)【国際出願番号】EP2015061982
(87)【国際公開番号】WO2015185454
(87)【国際公開日】20151210
【審査請求日】2017年2月27日
(31)【優先権主張番号】102014210611.7
(32)【優先日】2014年6月4日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】502300646
【氏名又は名称】トルンプフ ヴェルクツォイクマシーネン ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング ウント コンパニー コマンディートゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Trumpf Werkzeugmaschinen GmbH + Co. KG
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ヴォルフ ヴァデーン
(72)【発明者】
【氏名】コアビニアン ヴァイス
(72)【発明者】
【氏名】マークス ツィマーマン
【審査官】
岩見 勤
(56)【参考文献】
【文献】
特開2004−130355(JP,A)
【文献】
特開2008−42032(JP,A)
【文献】
特開2004−9054(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23K 26/00
B23K 26/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザビーム(5)を用いてワークピース(6)上に、それぞれs×t個のブライト又はダークピクセルマトリックスからなるブライト及びダークセルからn×m個のセルマトリックス(9)の形態でデータマトリックスコードをマーキングするための方法であって、
前記レーザビーム(5)を前記ワークピース(6)に配向するレーザ加工ユニット(3)は、マーキングすべきワークピース領域を、ピクセル行毎にそれぞれ一定のマーキング速度(v)で交互に逆方向に掃引し、
前記掃引中に前記レーザビーム(5)の一時的なスイッチオンにより、ブライトピクセル(10a)及び/又はダークピクセル(10b)が、前記ワークピース(6)上にマーキングされる、方法において、
前記レーザ加工ユニット(3)が、既に掃引したピクセル行から、その曲線直径(d)がピクセル行間隔の少なくとも2倍であるアーチ状又はループ状の曲線(12,14)上を、次に掃引すべきピクセル行まで誘導されることを特徴とする方法。
【請求項2】
前記レーザ加工ユニット(3)は、既に掃引したピクセル行から、半円状の曲線(12)上を、前記セルマトリックス(9)の次に掃引すべきピクセル行まで誘導される、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記曲線(12,14)に沿った前記レーザ加工ユニット(3)のコーナリング速度は、前記一定のマーキング速度(v)の少なくとも50%、好ましくは少なくとも90%である、請求項1又は2記載の方法。
【請求項4】
前記レーザ加工ユニット(3)は、既に掃引したピクセル行から、前記セルマトリックス(9)の、2以上のピクセル行間隔分だけ離れたピクセル行まで動かされる、請求項1から3いずれか1項記載の方法。
【請求項5】
前記レーザ加工ユニット(3)は、前記セルマトリックス(9)の前記ピクセル行を、それぞれ行対毎に逆方向に掃引し、前記各行対の2つの行は、それぞれ2以上の行間隔分だけ、好ましくは常に同じ行間隔分だけ、相互に離れている、請求項1から4いずれか1項記載の方法。
【請求項6】
列方向(13)において、前記行対の第1の行は、それぞれ相互に接続され、及び/又は、前記行対の第2の行は、それぞれ相互に接続される、請求項5記載の方法。
【請求項7】
前記ワークピース(6)上で前記ピクセル(10a,10b)はそれぞれ、ドットとして又はラインとして、マーキングされる、請求項1から6いずれか1項記載の方法。
【請求項8】
レーザビーム発生器(2)と、
レーザビーム(5)をワークピース(6)に配向する、X及びY方向に移動及び/又は旋回可能なレーザ加工ユニット(3)と、
機械制御部(15)と、
を備えたレーザマーキング機械(1)であって、
前記機械制御部(15)が、請求項1から7いずれか1項記載の方法に従って前記レーザ加工ユニット(3)の運動を制御するようにプログラミングされていることを特徴とする、レーザマーキング機械(1)。
【請求項9】
プログラムが、レーザマーキング機械(1)の機械制御部(15)上で実行される場合に、請求項1から7いずれか1項記載の方法の全てのステップの実施のために適合化されたコード手段を含んでいる、コンピュータプログラム製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーザビームを用いてワークピース上に、それぞれs×t個のブライト又はダークピクセルマトリックス(s,t≧1)からなるブライト及びダークセルからn×m個のセルマトリックス(n,m≧2)の形態でデータマトリックスコード(以下DMCとも称する)をマーキングするための方法に関しており、レーザビームをワークピースに配向するレーザ加工ユニットは、マーキングすべきワークピース領域を、ピクセル行毎にそれぞれ一定のマーキング速度で、及び交互に逆方向に掃引し、掃引中にレーザビームの一時的なスイッチオンにより、ブライトピクセル及び/又はダークピクセルが、ワークピース上にマーキングされる。
【背景技術】
【0002】
DMCの場合、複数の情報が非常にコンパクトに、正方形又は長方形の面において、ブライト及びダークセルのパターンとして符号化され、各セルは、唯一つのピクセルによって、又はピクセルマトリックスによって形成されている。
【0003】
公知のマーキング方法の場合、DMCは、レーザビームをワークピースに配向するレーザ加工ユニットが、DMCの隣接するピクセル行を順次連続してそれぞれ逆方向に掃引し、その際レーザビームの一時的なスイッチオンにより、ダークピクセルが、ブライトワークピース表面上にマーキングされることによってワークピース上にもたらされる。1つの行から直接隣接する次のピクセル行までの移行の際には、レーザ加工ユニットは、その移動方向の反転のために、ほとんど停止状態まで減速されなければならず、その後は再びマーキング速度まで加速されなければならない。この、大抵においてスムーズではない改行毎の制動及び加速過程には時間がかかり、全体的にDMCのマーキング持続時間の増大につながる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
それに対して、本発明の課題は、冒頭に述べたような形式の方法において、DMCを、より短縮された時間でワークピース上にもたらすことである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この課題は、本発明により、レーザ加工ユニットが、既に掃引したピクセル行から、その曲線直径がピクセル行間隔の少なくとも2倍であるアーチ状又はループ状の曲線上を、次の掃引すべきピクセル行まで誘導されることによって解決される。好ましくは、前記曲線直径は、ピクセル行間隔の少なくとも5倍、特に好ましくは少なくとも10倍である。
【0006】
本発明による、少なくとも2倍のピクセル行間隔の大きな曲線直径は、レーザ加工ユニットに、行移行の際の速い速度の維持を可能にさせ、それによって、改行時間の最短化を可能にさせる。直接連続するピクセル行を伴うピクセル行毎の処理の場合には、2つのピクセル行間の行移行がループ状の曲線を介して行われる。これは、2つの直接隣接するピクセル行間のループなしの行移行に比べて、確かにそれよりも長い距離となるが、しかしながら、著しく速い速度でスムーズに掃引することが可能となり、このことは全体的に、より短縮されたマーキング持続時間の結果をもたらす。直接連続しないピクセル行を伴うピクセル行毎の処理の場合には、2つのピクセル行間の行移行がアーチ状、特に半円状の曲線を介して行われる。これは、2つの直接隣接するピクセル行間の行移行に比べて、確かにそれよりも長い距離となるが、しかしながら、著しく速い速度でスムーズに掃引することが可能となり、このことは全体的に、より短縮されたマーキング持続時間の結果をもたらす。
【0007】
好ましくは、レーザ加工ユニットは、既に掃引したピクセル行から半円状の曲線上をセルマトリックスの次に掃引すべきピクセル行まで誘導される。
【0008】
好ましくは、曲線に沿ったレーザ加工ユニットのコーナリング速度は、一定のマーキング速度の少なくとも50%、好ましくは少なくとも90%である。
【0009】
特にアーチ状又は円弧状の行移行の場合には、レーザ加工ユニットは、セルマトリックスのピクセル行を、好ましくはそれぞれ行対毎に逆方向に掃引し、各行対の2つの行は、それぞれ2以上の行間隔分だけ、特に常に同じ行間隔分だけ、相互に離れている。特に好ましくは、列方向において、行対の第1の行は、それぞれ相互に接続され、及び/又は、行対の第2の行は、それぞれ相互に接続される。このマーキング過程は、例えばDMCの最上位のピクセル行において開始され、その後、半円が、逆方向に掃引される中間のピクセル行まで移動する。引き続き半円は、2番目の上位ピクセル行まで戻り、そこから半円を介して次に低位の中間ピクセル行まで移動する。このローテーション式処理戦略は、DMCの最後のピクセル行まで継続する。
【0010】
これらのピクセルは、それぞれドット又はラインとして、ワークピース上にマーキング可能であり、その際、丸いピクセルドットは、その良好なプロセス安定性に基づいて、材料誤差及び表面品質の点でピクセルラインよりも優遇される。
【0011】
本発明によるマーキング方法は、様々な出力クラスにおける、全ての一般的波長のビーム源、例えば固体レーザ(例えば0.5μm乃至1μmの波長)又はCO
2レーザ(10.6μmの波長)を用いて変換することが可能である。
【0012】
本発明のさらなる態様は、レーザマーキング機械(「マーキング用レーザ」)にも関しており、これは、レーザビーム発生器と、レーザビームをワークピースに配向する、X及びY方向に移動及び/又は旋回可能なレーザ加工ユニットと、機械制御部とを備え、この機械制御部は、本発明による方法に従ってレーザ加工ユニットの運動を制御するようにプログラミングされている。
【0013】
本発明は最終的にコンピュータプログラム製品にも関しており、これは、プログラムが、レーザマーキング機械の機械制御部上で実行される場合に、本発明によるマーキング方法の全てのステップの実施のために適合化されたコード手段を含んでいる。
【0014】
本発明の態様のさらなる利点及び有利な構成は、明細書、図面及び特許請求の範囲から明らかとなる。また前記の特徴及び以下でさらに説明する特徴は、各特徴自体でもあるいは複数の任意の組み合わせにおいても適用可能である。図面に示し以下で説明する実施形態は、最終的な構成の列挙として理解されるべきではなく、むしろ本発明の説明のための例示的な特徴を備えたものである。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明によるマーキング方法の実施に適したマーキング用レーザ。
【
図2】ブライト及びダークピクセルからなる22×22セルマトリックスの例におけるデータマトリックスコード。
【
図3a】ワークピース上へデータマトリックスコードをもたらすための本発明による第1のマーキング方法の個々の方法ステップ。
【
図3b】ワークピース上へデータマトリックスコードをもたらすための本発明による第1のマーキング方法の個々の方法ステップ。
【
図3c】ワークピース上へデータマトリックスコードをもたらすための本発明による第1のマーキング方法の個々の方法ステップ。
【
図3d】ワークピース上へデータマトリックスコードをもたらすための本発明による第1のマーキング方法の個々の方法ステップ。
【
図3e】ワークピース上へデータマトリックスコードをもたらすための本発明による第1のマーキング方法の個々の方法ステップ。
【
図3f】ワークピース上へデータマトリックスコードをもたらすための本発明による第1のマーキング方法の個々の方法ステップ。
【
図4a】ワークピース上へデータマトリックスコードをもたらすための本発明による第2のマーキング方法の個々の方法ステップ。
【
図4b】ワークピース上へデータマトリックスコードをもたらすための本発明による第2のマーキング方法の個々の方法ステップ。
【
図4c】ワークピース上へデータマトリックスコードをもたらすための本発明による第2のマーキング方法の個々の方法ステップ。
【
図4d】ワークピース上へデータマトリックスコードをもたらすための本発明による第2のマーキング方法の個々の方法ステップ。
【
図5a】ピクセルドットからなるデータマトリックスコード。
【
図5b】ピクセルラインからなるデータマトリックスコード。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下の図面に基づく説明において、同じ又は機能的に同じ構成要素には同一の参照符号が使用される。
【0017】
図1にフラットベッド型機械として透視図で示されたマーキング用レーザ1は、例えばCO
2レーザ、ダイオードレーザ又は固体レーザとして実施されるレーザビーム発生器2と、X及びY方向に移動可能なレーザ加工ユニット3と、ワークピース載置台4とを含んでいる。レーザビーム発生器2では、レーザビーム5が生成され、このレーザビームは、光ファイバケーブル(図示せず)又は偏向ミラー(図示せず)を用いて、レーザビーム発生器2からレーザ加工ユニット3まで誘導される。レーザビーム5は、レーザ加工ユニット3内に配置された集束光学系を用いて、ワークピース載置台4に載置されたワークピース6に配向される。このマーキング用レーザ1には、さらにプロセスガス7、例えば酸素と窒素が供給される。このプロセスガス7は、レーザ加工ユニット3のプロセスガスノズル8に供給され、そこからレーザビーム5と一緒に放出される。
【0018】
マーキング用レーザ1は、レーザビーム5を用いてワークピース6上に二次元データマトリックスコード(DMC)9をもたらすために用いられる。
図2に示されているように、このDMC9は、例えばブライト及びダークセルからなるn×m個のセルマトリックス(n,m=22)であり、この場合、各セルは、単一のブライト若しくはダークピクセルによって、又はs×t個(s,t≧1)のブライト若しくはダークピクセルマトリックスによって形成されていてもよい。以下では、単なる簡略化の理由から、各セルは単一のピクセル10a,10bによって形成されているものとする。すなわち、s,t=1である。
【0019】
図3a乃至
図3fには、本発明によるマーキング方法の個々の方法ステップが示されている。ここではレーザ加工ユニット3が、マーキングすべきワーク領域を、ピクセル行毎に、それぞれ一定のマーキング速度vで、交互に逆方向に掃引し、この掃引中にレーザビーム5の一時的なスイッチオンにより、ダークピクセル10bが、ワークピース6上にマーキングされる。
【0020】
マーキング過程は、レーザ加工ユニット3が、DMC9の最上位の1番目のピクセル行11−1を、一定のマーキング速度vで掃引することによって開始される。その際、レーザビーム5の一時的なスイッチオンによって、ダークピクセル10bが、ワークピース6上にマーキングされる(
図3a)。
【0021】
その後半円状の曲線12が、DMC9の12番目のピクセル行11−12まで移動し、それにより曲線直径dは、11個のピクセル行間隔になる。12番目のピクセル行11−12は、1番目のピクセル行11−1とは逆方向に、一定のマーキング速度vで掃引され、その際、レーザビーム5の一時的なスイッチオンによって、ダークピクセル10bが、ワークピース6上にマーキングされる(
図3b)。
【0022】
その後半円状の曲線12は、DMC9の2番目のピクセル行11−2まで戻され、それによって曲線直径dは、ここにおいて10個のピクセル行間隔になる。この2番目のピクセル行11−2は、1番目のピクセル行11−1と同じ方向に一定のマーキング速度で掃引され、その際、レーザビーム5の一時的なスイッチオンによって、ダークピクセル10bが、ワークピース6上にマーキングされる(
図3c)。
【0023】
その後半円状の曲線12は、DMC9の13番目のピクセル行11−13まで移動し、それによって曲線直径dは、11個のピクセル行間隔になる。この13番目のピクセル行11−13は、12番目のピクセル行11−12と同じ方向に一定のマーキング速度vで掃引され、その際、レーザビーム5の一時的なスイッチオンによって、ダークピクセル10bが、ワークピース6上にマーキングされる(
図3d)。
【0024】
その後半円状の曲線12は、DMC9の3番目のピクセル行11−3まで戻され、それによって曲線直径dは、10個のピクセル行間隔になる。この3番目のピクセル行11−3は、1番目のピクセル行11−1と同じ方向に一定のマーキング速度vで掃引され、その際、レーザビーム5の一時的なスイッチオンによって、ダークピクセル10bが、ワークピース6上にマーキングされる(
図3e)。
【0025】
このローテーション式処理戦略は、下方に向けて列方向13で、最終的にDMC9の最後のピクセル行、すなわち最下位の22番目のピクセル行11−22もマーキングされるまで、継続する(
図3f)。
【0026】
レーザ加工ユニット3の、半円状の曲線12に沿ったコーナリング速度は、いずれにせよ、それによって、2つの直接隣接するピクセル行間の狭い行移行と比較して、それよりも長い曲線距離にもかかわらず、マーキング持続時間が大幅に短縮される位に高速である。このコーナリング速度は、例えば、一定のマーキング速度vの少なくとも50%であり得る。「スキップ改行」即ち曲線直径は、必ずしもDMC9の第1のピクセル行から中間ピクセル行までジャンプする位の大きさである必要はなく、ただ、レーザ加工ユニット3の速いコーナリング速度を維持するために必要とされる大きさであれば十分である。
【0027】
図4a乃至
図4dには、
図3に対して変更された本発明によるマーキング方法の個々の方法ステップが示されており、ここではレーザ加工ユニット3が、マーキングすべきワークピース領域を、ピクセル行毎にそれぞれ一定のマーキング速度vで交互に逆方向に掃引し、この掃引中にレーザビーム5の一時的なスイッチオンにより、ダークピクセル10bが、ワークピース6上にマーキングされる。
【0028】
このマーキング過程は、レーザ加工ユニット3が、DMC9の最上位の1番目のピクセル行11−1を、一定のマーキング速度vで掃引することによって開始される。ここでは、レーザビーム5の一時的なスイッチオンによって、ダークピクセル10bが、ワークピース6上にマーキングされる(
図4a)。
【0029】
その後ループ状の曲線14が、DMC9の2番目のピクセル行11−2まで移動し、この場合、曲線直径dは、約10個のピクセル行間隔である。この2番目のピクセル行11−2は、1番目のピクセル行11−1とは逆方向に、一定のマーキング速度vで掃引され、その際、レーザビーム5の一時的なスイッチオンによって、ダークピクセル10bが、ワークピース6上にマーキングされる(
図4b)。
【0030】
その後同じ曲線直径dの同じループ状の曲線14は、DMC9の3番目のピクセル行11−3まで移動する。この3番目のピクセル行11−3は、1番目のピクセル行11−1と同じ方向に一定のマーキング速度vで掃引され、その際、レーザビーム5の一時的なスイッチオンによって、ダークピクセル10bが、ワークピース6上にマーキングされる(
図4c)。
【0031】
このスイング式処理戦略は、下方に向けて列方向13で、最終的にDMC9の最後のピクセル列、すなわち最下位の22番目のピクセル行11−22もマーキングされるまで、継続する(
図4d)。
【0032】
レーザ加工ユニット3の、ループ円状の曲線14に沿ったコーナリング速度は、いずれにせよ、それによって、2つの直接隣接するピクセル行間のループなしの行移行と比較して、それよりも長い曲線距離にもかかわらず、マーキング持続時間が大幅に短縮される位に高速である。この「ループ状の改行」は、行間隔よりも大きな曲線直径を移動するために、2つの直接隣接していないピクセル行間でも可能である。
【0033】
図5aは、それらのダークセルが、それぞれ、各1つのレーザパルスでパルス制御されたレーザマーキングによって、丸いピクセル10bとして形成されている、12×12個のセルマトリックス9の形態のデータマトリックスコードを示している。
図5bもまた、それらのダークセルが、1つの行内で相互に隣接する複数のレーザパルスでパルス制御されたレーザマーキングによって、ピクセルライン10bとして形成されている、12×12個のセルマトリックス9を示している。
【0034】
図1に示すように、レーザ加工機械1は、さらに、上述したマーキング方法に従ったレーザ加工ユニット3の掃引運動を制御するようにプログラミングされた機械制御部15を含んでいる。
【0035】
レーザ加工ユニット3は、
図1に示されているようにX及びY方向に掃引可能な代わりに、例えばレーザビーム5をX及びY方向に偏向するスキャナ光学系を用いて、X及びY方向に旋回可能に構成されていてもよい。