特許第6293323号(P6293323)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 三星ディスプレイ株式會社の特許一覧

特許6293323表示装置用ウィンドウパネル、およびこれを含む表示装置
<>
  • 特許6293323-表示装置用ウィンドウパネル、およびこれを含む表示装置 図000003
  • 特許6293323-表示装置用ウィンドウパネル、およびこれを含む表示装置 図000004
  • 特許6293323-表示装置用ウィンドウパネル、およびこれを含む表示装置 図000005
  • 特許6293323-表示装置用ウィンドウパネル、およびこれを含む表示装置 図000006
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6293323
(24)【登録日】2018年2月23日
(45)【発行日】2018年3月14日
(54)【発明の名称】表示装置用ウィンドウパネル、およびこれを含む表示装置
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/041 20060101AFI20180305BHJP
   B32B 27/00 20060101ALI20180305BHJP
   B60J 1/00 20060101ALI20180305BHJP
   G09F 9/00 20060101ALI20180305BHJP
【FI】
   G06F3/041 460
   B32B27/00 101
   B60J1/00 Z
   G09F9/00 302
【請求項の数】14
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2017-29909(P2017-29909)
(22)【出願日】2017年2月21日
(62)【分割の表示】特願2012-212136(P2012-212136)の分割
【原出願日】2012年9月26日
(65)【公開番号】特開2017-151984(P2017-151984A)
(43)【公開日】2017年8月31日
【審査請求日】2017年2月21日
(31)【優先権主張番号】10-2012-0002634
(32)【優先日】2012年1月9日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】512187343
【氏名又は名称】三星ディスプレイ株式會社
【氏名又は名称原語表記】Samsung Display Co.,Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】110000408
【氏名又は名称】特許業務法人高橋・林アンドパートナーズ
(74)【代理人】
【識別番号】100070024
【弁理士】
【氏名又は名称】松永 宣行
(74)【代理人】
【識別番号】100159042
【弁理士】
【氏名又は名称】辻 徹二
(72)【発明者】
【氏名】平井 彰
(72)【発明者】
【氏名】李 東 昊
(72)【発明者】
【氏名】李 揆 宅
(72)【発明者】
【氏名】韓 尚 佑
(72)【発明者】
【氏名】金 相 九
【審査官】 ▲高▼瀬 健太郎
(56)【参考文献】
【文献】 特許第4803036(JP,B2)
【文献】 特開2010−170515(JP,A)
【文献】 特開2011−221477(JP,A)
【文献】 特開2008−037101(JP,A)
【文献】 特開2001−243016(JP,A)
【文献】 特開2004−038561(JP,A)
【文献】 特開2001−147777(JP,A)
【文献】 特開2009−169974(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/041
B32B 27/00
B60J 1/00
G09F 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一の表面と第二の表面とを有する透明基材層と、
前記透明基材層の前記第一の表面上に積層され、10MPa以下のヤング率を有する第一の透明高弾性層と、
前記透明基材層の前記第二の表面上に積層され、10MPa以下のヤング率を有する第二の透明高弾性層と、
前記第一の透明高弾性層上に積層され、表面硬度が鉛筆硬度6H以上である第一の透明高硬度層と、
前記第二の透明高弾性層上に積層され、表面硬度が鉛筆硬度6H以上である第二の透明高硬度層
とを含む、表示装置用ウィンドウパネルであって、
前記透明基材層は、偏光板および前記偏光板の両面に直接積層されたプラスチックフィルム層を含み、
前記第一の透明高硬度層及び前記第二の透明高硬度層はそれぞれ、シルセスキオキサン層の単一層構造、またはプラスチック基材層およびシルセスキオキサン層を含む積層構造である、表示装置用ウィンドウパネル。
【請求項2】
前記透明基材層は、有機材料層または無機材料層の単一層構造であるか、複数の有機材料層、複数の無機材料層、または有機材料層と無機材料層との組み合わせが積層されて形成された積層構造である、請求項1に記載の表示装置用ウィンドウパネル。
【請求項3】
前記透明基材層は、1GPa以上のヤング率を有する、請求項1または2に記載の表示装置用ウィンドウパネル。
【請求項4】
前記透明基材層の厚さが10μm〜2mmである、請求項1から3のいずれか1項に記載の表示装置用ウィンドウパネル。
【請求項5】
前記第一の透明高弾性層及び前記第二の透明高弾性層は粘着材層である、請求項1から4のいずれか1項に記載の表示装置用ウィンドウパネル。
【請求項6】
前記第一の透明高弾性層及び前記第二の透明高弾性層の厚さがそれぞれ1μm〜100μmである、請求項1から5のいずれか1項に記載の表示装置用ウィンドウパネル。
【請求項7】
前記第一の透明高弾性層及び前記第二の透明高弾性層のそれぞれの厚さが同じであるか異なる、請求項1から6のいずれか1項に記載の表示装置用ウィンドウパネル。
【請求項8】
単一層構造または積層構造の前記シルセスキオキサン層は、5μm〜250μmの厚さを有する、請求項1から7のいずれか1項に記載の表示装置用ウィンドウパネル。
【請求項9】
積層構造の前記プラスチック基材層は、25μm〜100μmの厚さを有する、請求項1から8のいずれか1項に記載の表示装置用ウィンドウパネル。
【請求項10】
前記透明基材層の第一の表面に印刷処理された第一の印刷部、および/または
前記透明基材層の第二の表面に印刷処理された第二の印刷部
をさらに含む、請求項1から9のいずれか1項に記載の表示装置用ウィンドウパネル。
【請求項11】
前記透明基材層の前記第一の表面を向く前記第一の透明高硬度層の内側面に印刷処理された第一の印刷部、および/または
前記透明基材層の前記第二の表面を向く前記第二の透明高硬度層の内側面に印刷処理された第二の印刷部
をさらに含む、請求項1から9のいずれか1項に記載の表示装置用ウィンドウパネル。
【請求項12】
請求項1から11のいずれか1項に記載の表示装置用ウィンドウパネルを含む、表示装置。
【請求項13】
第一の表面と第二の表面とを有する透明基材層と、
前記透明基材層の前記第一の表面上に積層され、10MPa以下のヤング率を有する第一の透明高弾性層と、
前記透明基材層の前記第二の表面上に積層され、10MPa以下のヤング率を有する第二の透明高弾性層と、
前記第一の透明高弾性層上に積層され、表面硬度が鉛筆硬度6H以上である第一の透明高硬度層と、
前記第二の透明高弾性層上に積層され、表面硬度が鉛筆硬度6H以上である第二の透明高硬度層
とを含む、透明積層体であって、
前記透明基材層は、偏光板および前記偏光板の両面に直接積層されたプラスチックフィルム層を含み、
前記第一の透明高硬度層及び前記第二の透明高硬度層はそれぞれ、シルセスキオキサン層の単一層構造、またはプラスチック基材層およびシルセスキオキサン層を含む積層構造である、透明積層体。
【請求項14】
表示装置用、自動車用または窓用として用いられる、請求項13に記載の透明積層体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置用ウィンドウパネル、およびこれを含む表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
モバイル電話やタブレットPCなどのモバイル機器は、タッチパネルの装着によって大型化している。ディスプレイの表面を保護するウィンドウパネルとして強化ガラスを使用することができる。しかし、強化ガラスは外部衝撃によって割れやすく、モバイル電話のような携帯用機器に適用した場合には破損が起こることがある。また、強化ガラスは、破損した場合には圧縮層が一度に解放するため爆発的に飛散する場合があり、飛散防止フィルムなどを使用することがある。さらに、強化ガラスの比重は2.5程度と一般的なプラスチック材料の2倍以上となり、薄くて軽いモバイル機器には適さない場合がある。このため、最近では、ガラスの代わりにプラスチック素材で製造されたウィンドウパネルが研究されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−155452号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の一目的としては、軽量ながらも高強度を実現した表示装置用ウィンドウパネルを提供する。
【0005】
本発明の他の目的としては、上記表示装置用ウィンドウパネルを含む表示装置を提供する。
【0006】
本発明のさらに他の目的としては、強化ガラスの問題点を解決した透明積層体を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一側面によれば、透明基材層、前記透明基材層の両面に積層され、10MPa以下のヤング率を有する透明高弾性層、および前記透明基材層の両面に積層された透明高弾性層上に積層され、表面硬度が鉛筆硬度6H以上である透明高硬度層を含む、表示装置用ウィンドウパネルが提供される。
【0008】
前記透明基材層は、有機材料層または無機材料層の単一層構造であってもよく、複数の有機材料層、複数の無機材料層、または有機材料層と無機材料層との組み合わせが積層されて形成された積層構造であってもよい。
【0009】
前記透明基材層は、約1GPa以上のヤング率を有してもよい。
【0010】
前記透明基材層の厚さが約10μm〜約2mmであってもよい。
【0011】
前記透明高弾性層は粘着材層であってもよい。
【0012】
前記透明高弾性層の厚さが約1μm〜約100μmであってもよい。
【0013】
前記透明基材層の両面に積層された前記透明高弾性層それぞれの厚さが同じであってもよく、異なってもよい。
【0014】
前記透明高硬度層は、シルセスキオキサン層の単一層構造、プラスチック基材およびシルセスキオキサン層を含む積層構造、または一面または両面がハードコーティング層で積層されたプラスチック基材の積層構造であってもよい。
【0015】
前記シルセスキオキサン層および前記ハードコーティング層は、約5μm〜約250μmの厚さを有してもよい。
【0016】
前記プラスチック基材層は、約25μm〜約100μmの厚さを有してもよい。
【0017】
前記ハードコーティング層は、アクリル系化合物、エポキシ系化合物、有機無機複合化合物、またはこれらの組み合わせを含んでもよい。
【0018】
前記透明基材層の一面または両面が印刷処理された印刷部をさらに含んでもよい。
【0019】
前記透明基材層を向く前記透明高硬度層の内側面で印刷処理された印刷部をさらに含んでもよい。
【0020】
本発明の他の側面によれば、上記表示装置用ウィンドウパネルを含む、表示装置が提供される。
【0021】
本発明の他の側面によれば、透明基材層、前記透明基材層の両面に積層され、約10MPa以下のヤング率を有する透明高弾性層、および前記透明基材層の両面に積層された透明高弾性層上に積層され、表面硬度が鉛筆硬度6H以上である透明高硬度層を含む透明積層体が提供される。
【0022】
前記透明積層体は、表示装置用、自動車用または窓用として用いてもよい。
【発明の効果】
【0023】
本発明による表示装置用ウィンドウパネルは、薄型軽量ながらも耐衝撃性が高い表面硬度を有することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明の一実施形態に係る透明積層体を示す断面図である。
図2】本発明の他の実施形態に係る表示装置用ウィンドウパネルを示す断面図である。
図3】本発明のさらに他の実施形態に係る表示装置用ウィンドウパネルを示す断面図である。
図4】本発明のさらに他の実施形態に係る表示装置用ウィンドウパネルを示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、添付の図面を参照しながら、本発明の実施形態について、本発明が属する技術分野において通常の知識を有する者が実施できるように詳しく説明する。しかし、本発明は多様な形態で実現することができ、ここで説明する実施形態に限定されることはない。
【0026】
図面では、多様な層および領域を明確に表現するために厚さを拡大して示す。明細書全体にわたって共通する部分については同一の図面符号を付与する。層、膜、領域、板などの部分が他の部分の「上」に存在するとするとき、これは他の部分の「直ぐ上に」存在する場合だけではなく、その中間にさらに他の部分が存在する場合も含む。これとは反対に、ある部分が他の部分の「直ぐ上に」存在するとするときには、中間に他の部分が存在しないことを意味する。
【0027】
図1は、本発明の一実施形態に係る透明積層体100を示す断面図である。
【0028】
上記透明積層体100は、透明基材層10、上記透明基材層10の両面に積層され、約10MPa以下のヤング率を有する透明高弾性層20、および上記透明基材層10の両面に積層された透明高弾性層20上に積層され、表面硬度が鉛筆硬度6H以上である透明高硬度層30を含む。
【0029】
上記透明積層体100は、図1に示すように、透明基材層10を中心として透明高弾性層20および透明高硬度層30が順に対称的に積層された構造を形成することにより、同等な厚さであっても、より軽量かつ高強度の特性を実現することができ、耐衝撃性を劇的に向上させる。このように、上記透明積層体100は、対称構造であるためカーリングの発生がなく、単独で使用するときに耐衝撃性が弱い透明基材層10の材料を使用する場合にも、大幅に耐衝撃性を向上させることができる。
【0030】
上記透明積層体100は、例えば、強化ガラスを必要とする用途に使用することができるが、具体的に、自動車用や窓用などの用途に適するだけでなく、特に、薄型軽量ながらも耐衝撃性が高い表面硬度を保有しなければならない表示装置用ウィンドウパネルに効果的に適用することができる。
【0031】
表示装置には、液晶表示装置(LCD)、プラズマ表示装置(PDP)、有機発光表示装置(OLED)、電界効果表示装置(FED)、電気泳動表示装置などがある。このような表示装置は、画像を表示する表示モジュールと上記表示モジュールを保護するウィンドウパネルを含むが、上記ウィンドウパネルとして上記透明積層体100を用いてもよい。
【0032】
上記表示装置が適用される携帯電話やタブレットPCなどのモバイル機器は、タッチパネルの装着によって次第に大型化しているが、上記透明積層体100はこれら表示装置の表面を保護するための強化ガラスに代わって表示装置の前面に設置され、外部の衝撃から表示装置をより効果的に保護したり、タッチパネルの入力時に発生しやすい表面の傷をより効果的に防ぐことができる。
【0033】
図2は、本発明の他の実施形態に係る表示装置用ウィンドウパネル200を示す断面図である。
【0034】
本発明の他の実施形態では、透明基材層110、上記透明基材層110の両面に積層され、約10MPa以下のヤング率を有する透明高弾性層120、および上記透明基材層110の両面に積層された透明高弾性層120上に積層され、表面硬度が約鉛筆硬度6H以上である透明高硬度層130を含む表示装置用ウィンドウパネル200を提供する。
【0035】
上記透明基材層110は、約1GPa以上のヤング率を有する低弾性層であってもよく、例えば、約1GPa〜約20GPaのヤング率を有する材料を含んでもよいが、これに限定されることはなく、全体表示装置用ウィンドウパネル200の構成と目的とする物性に応じて選択されてもよい。
【0036】
具体的に、上記透明基材層110は、ポリカーボネート(PC)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリスチレン(PS)、またはこれらを構成するモノマーの共重合体、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルスルホン(PES)、アリール樹脂などの熱可塑性または熱硬化性樹脂を用いてもよい。また、ガラスなどの無機基材も使用可能である。
【0037】
上記透明基材層110は、有機材料層または無機材料層の単一層構造であってもよく、複数の有機材料層、複数の無機材料層、または有機材料層と無機材料層との組み合わせが積層されて形成された積層構造であってもよい。上記透明基材層110が積層構造である場合、減圧性粘着剤などによって積層した複合層であってもよい。例えば、ガラス繊維基材を樹脂に含浸した構造、またはポリビニルアルコール(PVA)偏光子をプラスチックフィルムで積層した構造などを用いてもよい。
【0038】
上記透明基材層の厚さが約10μm〜約2mmであってもよい。
【0039】
上記透明高弾性層120は、ヤング率約10MPa以下の高弾性を有する層であり、具体的に約1kPa〜約10MPaヤング率を有してもよい。上記透明高弾性層120は粘着材層で形成されてもよく、いわゆる感圧性粘着材(PSA)を用いてもよい。具体的に、上記透明高弾性層120は、アクリル系樹脂、α−オレフィン系樹脂、またはウレタン系樹脂、エチレンビニルアセテート(EVA)系統樹脂、水系エポキシ系樹脂、シアノアクリレート系樹脂、シリコーン系樹脂など、またはこれらの変性タイプの高分子溶液を基材に塗布した後、乾燥させたり無溶剤でUV硬化させて製造してもよい。上記透明高弾性層120は、このように列挙された材料に限定されるものではなく、全体表示装置用ウィンドウパネル200の構成と目的とする物性に応じて選択されてもよい。
【0040】
上記透明高弾性層120が挿入されることにより、各層の熱拡張係数の差に起因するストレスを吸収することができる。このように、上記透明高弾性層120の厚さは、全体表示装置用ウィンドウパネル200の構成、パネルを構成する各層の材料の熱拡張係数(CTE)、使用温度範囲、上記透明高硬度層130の硬度、目的とする物性などに応じて決定してもよい。例えば、上記透明高弾性層120の厚さは、約1μm〜約100μmであってもよい。
【0041】
一実施形態において、上記透明基材層110の両面に積層した上記透明高弾性層120それぞれの厚さを異なる厚さで構成してもよい。一般的に、上記透明基材層110を中心として上下対称構造であることがカーリング防止の対策になるが、実際の使用状態によっては、最上層には反射防止層(AR層)と防汚層(AF層)をさらに含み、下層には光学用透明接着剤(OCA)などのタッチパネル層を形成するなど対称構造でないこともあるが、このような対称構造でない場合の全体構造からカーリング対策を設けるために、上記透明高弾性層120それぞれの厚さを異ならせてもよい。
【0042】
また、上記透明高弾性層120は、上下のカーリング応力を吸収することにより、上層の透明高弾性層120は硬度確保を重点的な目的とする厚さで構成し、下層の透明高弾性層120はカーリング対策を重点的な目的とする厚さで構成することが可能である。
【0043】
上記透明高硬度層130は、高い表面硬度を有する材料であるシルセスキオキサン層の単一層構造であってもよく、プラスチック基材131およびシルセスキオキサン層132を含む積層構造であってもよく、またはプラスチック基材131の一面または両面がハードコーティング層132で積層されて高硬度に実現された積層構造であってもよい。このように構成された上記透明高硬度層130は、約鉛筆硬度6H以上の表面硬度を有するものであって、例えば、約鉛筆硬度6H〜約鉛筆硬度8Hの表面硬度を有するようにしてもよい。
【0044】
上記シルセスキオキサン層132を構成するシルセスキオキサン化合物は、バスケット型、ラダー型、ランダム型などであってもよく、好ましくはバスケット型であってもよいが、これに限定されることはなく、目的とする物性に合わせてバスケット型、ラダー型、ランダム型などを混合して用いてもよい。
【0045】
一実施形態において、上記透明高硬度層130は、プラスチック基材131上に所定のシルセスキオキサンを一定の膜厚で塗布し、紫外線照射によって硬化して製造してもよく、表面特性や成膜安定および硬化反応安定化のために酸素遮断層として透明基板やフィルムを挟んでもよい。例えば、バスケット型のシルセスキオキサンモノマを光反応開始剤と共にプラスチック基材131の上に塗布する。プラスチック基材131の表面には、必要に応じて密着性を向上させるプライマ処理がなされてもよい。シルセスキオキサンの硬化時に上記プラスチック基材131フィルムとの密着性を向上させ、シルセスキオキサン132およびプラスチック基材131積層構造の透明高硬度層130全体の撓み強度を改善し、上記透明高硬度層130全体の強度強化を図ることができる。
【0046】
上記プラスチック基材131は、PET、PC、PMMA、PENなどの透明フィルムを用いてもよい。上記プラスチック基材131は、反応温度が高い場合、これに耐えることができる耐熱性が要求されることがある。上記プラスチック基材131の厚さは約25μm〜約100μmであってもよい。上記プラスチック基材131が上記透明高弾性層120を向くように積層される。
【0047】
また、酸素遮断層が必要な場合、塗布されたシルセスキオキサン上に透明フィルム(図示せず)をカバーしてもよい。上記透明フィルムは、硬化したシルセスキオキサンを保護するフィルムとして用いてもよい。通常、このような処理はロールで処理されてもよく、高い生産性を確保することができる。上記透明フィルムは、PET、PMMA、PC、PENなどが用いられてもよい。
【0048】
上記シルセスキオキサン層132および上記ハードコーティング層132は、約5μm〜約250μmの厚さを有してもよい。このように、上記厚さ範囲を有するシルセスキオキサン層を単一層で透明高硬度層(図1の30に該当する構造である)として用いてもよい。
【0049】
上記プラスチック基材131フィルムから剥離し、シルセスキオキサン層のみを上記透明高硬度層130として用いてもよい。図2に示すように、上記透明高硬度層130は、上記シルセスキオキサン層132がプラスチック基材131に積層された形態、またはプラスチック基材131の両面にハードコーティング層132が積層された積層構造が示されたものであってもよく、上述したように、シルセスキオキサン層の単一層(図1の30に該当する構造である)も可能である。
【0050】
上記ハードコーティング層132は、有機化合物または有機無機複合化合物を含んでもよいが、ここで、有機化合物は、例えば、アクリル系化合物、エポキシ系化合物、またはこれらの組み合わせを含んでもよく、有機無機複合化合物は、例えば、ポリシルセスキオキサンのようなケイ素化合物を含んでもよい。
【0051】
図3は、本発明のさらに他の実施形態に係る表示装置用ウィンドウパネル300を示す断面図である。上記表示装置用ウィンドウパネル300は、上記透明基材層210の一面または両面が印刷処理された印刷部240をさらに含む。上記印刷部240は、上記透明基材層210の断面にデザイン的な印刷、例えば、周囲のブラックマーク(BM)やロゴマークなどを印刷してもよい。このような場合は、印刷部240の高さが約10〜約30μm程度となるため、透明高弾性層220の厚さがこの段差を吸収するほどの厚さが要求される。
【0052】
上記表示装置用ウィンドウパネル300が透明な素材が積層されて形成されたものであるため、上記印刷部240は制限されることなく自由に位置することができる。他の実施形態において、上記表示装置用ウィンドウパネルは、上記透明基材層を向く上記透明高硬度層の内側面で印刷処理された印刷部をさらに含んでもよい。
【0053】
図4は、本発明のさらに他の実施形態に係る表示装置用ウィンドウパネル400を示す断面図である。上記表示装置用ウィンドウパネル400は、積層構造の複合基材で形成された透明基材層310を含む。上記透明基材層310は、上記ガラス繊維基材を樹脂に含沈して形成された構造であって、ガラス繊維基材311の両面にプラスチックフィルム312が積層された構造であってもよい。また、透明基材層310は、偏光板311の両面にプラスチックフィルム312が積層された構造であってもよい。上記プラスチックフィルム312上に印刷処理して印刷部340を形成してもよい。
【0054】
上記透明高弾性層および上記透明高硬度層は、ロール状態の製作が容易であり、透明基材層とロールツーロールまたはロールツーシートによる製造が可能であり、ガラスまたは強化ガラスからなるカバー−ウィンドウに比べて生産性を大幅に向上させることができる。
【0055】
具体的に、完成した透明高硬度層のプラスチック基材の面に透明高弾性層、例えば、粘着剤などの接着性を保有する材料を設ける。上記透明高弾性層材料は、剥離可能な処理をしたフィルム上に最終性状が柔らかくて粘着性を保有する材料を所定の膜厚で形成し、上記透明高硬度層のプラスチック基材にロールツーロールによって接合する。上記透明高弾性層面に再び透明基材層を接合するために、透明高硬度層−透明高弾性層の積層品をロール形状で2枚を準備し、その間にシート形態またはロール形状の透明基材層をロールツーロールまたはロールツーシートに両面が同時に接合する方法を用いてもよい。上記方法は生産性が極めて高く、さらに層間のストレスを最小化することができる。もちろん、順次的に接合や各材料をシート状にカットして接合することも可能である。
【0056】
上述したウィンドウパネルは、多様な表示装置に適用されてもよい。上記表示装置は、画像を表示する表示モジュールと上記表示モジュールを保護するウィンドウパネルを含む。ウィンドウパネルは表示モジュール上に配置されるが、ここで、表示モジュールは、液晶表示モジュール、有機発光表示モジュール、プラズマ表示モジュール、電界効果表示モジュール、電気泳動表示モジュールなどであってもよい。
【実施例】
【0057】
以下、実施例を例示しながら本発明を詳しく説明するが、本発明は以下の実施例のみに限定されるものではない。
【0058】
(実施例1)
図2に示す構造で表示装置用ウィンドウパネルを製造した。シルセスキオキサン層(製品名:Silplus、NSCC社製)100μm)およびPET(50μm)の積層体の透明高硬度層(新日鉄化学制製)に、アクリル系透明粘着剤(透明高弾性層、10μm)を接合し、ここに透明基材層としてPC(200μm)を積層した。これを炭酸ガスレーザで150mm×70mmに切断して試験サンプルを作製した。
【0059】
(実施例2)
透明基材層としてアリール樹脂(200μm)を用いた点を除いては、上記実施例1と同じように試験サンプルを作製した。
【0060】
(比較例1)
PMMAを単一層として500μmで作製した。
【0061】
(比較例2)
アリール樹脂を単一層として500μmで作製した。
【0062】
<評価>
上記実施例1、実施例2、比較例1および比較例2で製造されたサンプルの中心の部分に130gの鋼球を落下させて破壊する高さを5cmずつ高めて測定した。その結果を下記表1に示す。
【0063】
【表1】
【0064】
上記結果から分かるように、比較例1および比較例2の単一層では耐衝撃性が低く、積層構造の実施例1および実施例2では衝撃耐性が大幅に向上することが分かった。したがって、上記積層構造により、ガラスよりも耐衝撃性が低い樹脂を透明基材層として用いても、ガラス水準の剛性が得られることが分かった。
【0065】
本発明を実施例を参照しながら説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、添付の特許請求の範囲の概念と範囲を逸脱しない限り、多様な修正および変形が可能であるということは、本発明が属する技術分野に従事する者であれば理解することができる。
【符号の説明】
【0066】
10、110、210、310:透明基材層
20、120、220、320:透明高弾性層
30、130、230、330:透明高硬度層
100:積層体
131、231、331:プラスチック基材
132、232、332:シルセスキオキサン層またはハードコーティング層
200、300、400:表示装置用ウィンドウパネル
240、340:印刷部
311:偏光板またはガラス
312:プラスチックフィルム
図1
図2
図3
図4