(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
縦軸と遠位端部とを有し、互いに反対である第1及び第2の方向に前記縦軸を中心として前記遠位端部を回転させることが可能である細長いプローブに接続されたプロセッサであって、操作者が患者の体内にて前記プローブを操作する間、前記遠位端部に加えられた回転を自動的に感知するように、また、前記回転が前記第2の方向にあると感知すると警告を発し、感知した前記回転が前記第1の方向にあるときには警告を発しないように構成されたプロセッサと、
前記警告を前記操作者に提示するように構成された出力装置と、を含み、
前記遠位端部は、前記縦軸に対して斜めに方向付けられた平面内において円弧を画定し、フック形状の湾曲を含み、前記第1の方向は、前記遠位端部の先端が後退する方向であり、前記第2の方向は、前記遠位端部の前記先端が前進する方向である、機器。
前記プロセッサは、前記プローブに結合されたセンサーから信号を受信し、受信した前記信号に基づいて前記回転を判断することによって、前記回転を自動的に感知するように構成されている、請求項1に記載の機器。
前記プロセッサは、前記遠位端部に結合された少なくとも1つのセンサーと、前記患者の体に取り付けられた1つ又は2つ以上の電極との間のインピーダンスを測定するように、また測定した前記インピーダンスに基づいて前記回転を算出するように構成されている、請求項1に記載の機器。
前記プロセッサは、前記体内における前記遠位端部の組織への絡まりを検知するように、また前記絡まりの通知を前記操作者に発するように構成されている、請求項1に記載の機器。
前記プローブは、前記患者の心臓の心房にて操作するように指定されており、前記プロセッサは、前記プローブの位置を測定するように、また前記プローブが前記心臓の心室内に位置することを検知すると前記操作者に警告するように構成されている、請求項1に記載の機器。
【発明を実施するための形態】
【0010】
概論
医師が患者の体の内部でカテーテルを操作するとき、医師は多くの場合、カテーテルの縦軸を中心としてカテーテルを回転させる。しかしながら、一部のカテーテルのタイプにおいて、ある回転方向(時計回り又は反時計回り)は推奨され得るが、その反対方向は回避されるべきである。例えば、いくつかの投げ輪型カテーテルは、カテーテルの縦軸におおよそ垂直な平面においてフックに似た湾曲遠位端部を有する。この種のカテーテルにおいて、ある回転方向は、遠位端部が組織に係合するかあるいは引っ掛かる原因となる一方で、その反対方向の回転は通常、安全である。
【0011】
本明細書で説明する本発明の各実施形態は、推奨の回転方向を選択する上で操作者(例えば、医師)を支援する方法及びシステムを提供するものである。いくつかの実施形態において、プロセッサが、例えばカテーテル内に装着された位置センサーを使用して、カテーテルの遠位端部に加えられた回転の方向を感知する。プロセッサは、カテーテルが推奨の方向に回転されているか否かを判断し、それに応じて操作者に通知する。
【0012】
例えば、プロセッサは、感知した回転方向の指示をモニター表示装置又は他の出力装置上に表示してもよい。それに加えて、あるいはそれに代わって、プロセッサは、感知した回転方向が推奨の方向であるか否かに関する視覚的及び/又は聴覚的指示を発生させてもよい。そのような指示を使用して、操作者は、カテーテルによる組織の損傷及び/又はカテーテル挿入手技の中断を生じる危険性を低減するように、回転方向を選択することが可能となる。
【0013】
開示する他の実施形態において、プロセッサは、カテーテルの遠位端部の先端が組織に絡まるかあるいは引っ掛かる現象を検知し、適切な警告を生成する。プロセッサは通常、例えば、遠位端部に装着された位置センサー同士の間の距離の変化を検知することで、カテーテルの形状の変化を確認することによって、そのような現象を検知する。
【0014】
システムの説明
図1は、本発明の実施形態による、位置追跡を用いる心臓カテーテル法用のシステム20の概略絵画図である。本例において、システム20は磁気位置追跡を用いている。しかしながら、それに代わってシステム20は、インピーダンスに基づく位置追跡など、他の好適な位置追跡技術を用いてもよい。システム20は、例えば、バイオセンスウェブスター社(カリフォルニア州ダイアモンドバー(Diamond Bar))によって生産されているCARTO(商標)システムに基づくものであってもよい。システム20において、医師24(又は他の操作者)が患者30の体の中にカテーテル28(又は他の細長いプローブ)を挿入する。
【0015】
カテーテル28は、医師によって操作される近位端部と、患者の体全体に移動される遠位端部36とを有している。医師は、近位端部を操作することによってカテーテルの遠位端部を移動させる。具体的には、医師は、カテーテルの縦軸を中心として近位端部を回転させることができ、この回転が近位端部に加えられる。
【0016】
本例において、遠位端部36は投げ輪の形状を有している。典型的な投げ輪型カテーテルにおいて、遠位端部は、カテーテルの縦軸に対して斜めに方向付けられた円弧を画定するように形成された端部区間を有している。1個以上の電極、例えば、電位感知電極及び/又はアブレーション電極が、端部区間に沿って配設されてもよい。投げ輪型カテーテルは、例えば、肺静脈口などの解剖学的構造を囲む円弧上に存在する複数の点で電位を感知するために、かつ/又は、そのような円弧に沿って組織を焼灼するために使用されてもよい。
【0017】
例示的な投げ輪型カテーテルが、2009年12月30日に出願された米国特許出願第12/649,417号、及び2010年12月22日に出願された米国特許出願第12/975,787号に記載されており、これらの特許出願は、本特許出願の譲受人に譲渡されており、それらのすべての開示内容が参照によって本明細書に組み込まれる。
【0018】
カテーテル28は、ケーブル32を使用して制御コンソール44に接続されている。本明細書で説明する実施形態において、カテーテル28は、焼灼のために、かつ/又は、1つ又は2つ以上の心腔の電気生理学的マップを作成するために、患者の心臓の中に挿入され、使用されるものである。それに代わって、カテーテル28は、心臓内又は他の体器官内における他の治療及び/又は診断の目的で、必要に応じて変更を加えて使用されてもよい。
【0019】
図1の例において、コンソール44は、磁気位置感知を用いて心臓の内部における遠位端部36の位置座標を判断している。(上記のように、開示する技術は磁気位置追跡に限定されない。代替的な実施形態において、コンソール44は、任意の他の好適な位置追跡技術、例えば、インピーダンスに基づく技術を用いて遠位端部36を追跡してもよい。)
【0020】
位置座標を判断するために、コンソール44内の駆動回路が磁場発生器40を駆動して、患者30の体内に磁場を生成する。通常、磁場発生器40はコイルを備え、そのコイルは患者の胴体の下の既知の位置に置かれる。カテーテル28の遠位端部36内にある1つ又は2つ以上の磁気位置センサー(図示せず)が、これらの磁場に応答して電気信号を生成する。
【0021】
通常は位置と向きの座標の両方を含めて、遠位端部36の位置座標を判定するために、コンソール44内のプロセッサ48がこれらの信号を処理する。この種の磁気位置追跡の方法が、米国特許第5,391,199号、同第6,690,963号、同第6,484,118号、同第6,239,724号、同第6,618,612号及び同第6,332,089号、PCT国際公開第WO 96/005768号、並びに米国特許出願公開第2002/0065455号、同第2003/0120150号及び同第2004/0068178号に記載されており、これらの開示内容はすべて、参照によって本願に組み込まれる。
【0022】
カテーテル28から受信した信号に基づいて、プロセッサ44は、患者の体内における遠位端部36の位置に関する視覚的フィードバックと、進行中の手技に関する状況情報及び案内を提供すると共に、表示装置52を駆動して心臓の電気生理学的活動のマップを医師24に提示する。
【0023】
プロセッサ48は通常、カテーテル28から信号を受信しコンソール44の他の構成要素を制御するための好適なフロントエンド及びインターフェイス回路を有する汎用コンピュータを構成している。プロセッサ48は、本明細書で説明する機能を実行するようにソフトウェアでプログラムされてもよい。そのソフトウェアは、例えば、ネットワークを介して電子形式でプロセッサ48にダウンロードされてもよく、あるいは、光学的、磁気的又は電子的記憶メディアなどの非一時的な有形のメディア上に提供されてもよい。それに代わって、プロセッサ48の機能の一部又はすべてが、専用の又はプログラム可能なデジタルハードウェア構成要素によって実行されてもよい。
【0024】
投げ輪型カテーテルの推奨及び非推奨の回転方向
図2は、本発明の実施形態による、投げ輪型カテーテルの推奨及び非推奨の回転方向を示す略図である。この図は、カテーテル28の遠位端部36を示しており、遠位端部36はフックに似た形状を有している。カテーテルの縦軸を中心とした、取り得る2つの回転方向が矢印で記されている。遠位端部36の1つの回転方向は、可能な限り用いられるべきである推奨の方向として定義されている。その反対の回転方向は、できる限り回避されるべき非推奨の方向として定義されている。
【0025】
図2の例において、下方の矢印は、非推奨の回転方向を示している。遠位端部36の形状により、この方向にカテーテルを回転させると、遠位端部の先端が組織に引っ掛かるかあるいは係合することになる。その結果として、組織及び/又はカテーテルに損傷が生じることがあり、またカテーテル挿入手技が中断されることがある。上方の矢印は、推奨の回転方向を示している。カテーテルをこの方向に回転させることは、おそらくは安全であり、上述の複雑な状態を伴わない。
【0026】
図2の遠位端部の構成は、純粋に一例として選ばれたものである。代替的な実施形態において、開示する技術は、何らかの理由により、推奨及び非推奨の回転方向を有する任意の他の好適なカテーテルと共に使用され得る。例えば、半硬質の三日月形状の遠位端部を有するカテーテル、又は遠位端部が複数のアームを備えるカテーテルは、特定の推奨の方向に回転されなければ、組織に絡まることがある。
【0027】
非推奨のカテーテルの回転の通知
図3は、本発明の実施形態による、システム20の特定の要素の概略絵画図である。
図3は、カテーテル28とコンソール44の一部をより詳細に示している。本実施形態において、ハンドル56がカテーテル28の近位端部に装着されている。ハンドルは、医師がカテーテルを操作するために、特にカテーテルをその縦軸を中心として回転させるために使用される。コネクタ62がカテーテル28をケーブル32に接続している。上で説明したように、システム20による遠位端部の磁気位置追跡を実施するために、磁気位置センサー66がカテーテル28の遠位端部36内に装着されている。センサー66は通常、カテーテルシャフトの端部又はその近くに、すなわちカテーテルの遠位端部の根元に装着される。
【0028】
いくつかの実施形態において、プロセッサ48は、医師がカテーテル28に加えた回転を感知する。ある例示的な実施形態において、プロセッサ48は、遠位端部内にある磁気位置センサー66によって発生された信号に基づいて回転を感知する。この種の典型的な応用例において、システム20は、上述した磁気位置追跡の方法を用いて、遠位端部36の位置と方向の座標を測定する。具体的に言えば、プロセッサ48は、センサー66によって発生された信号に基づいて遠位端部の方向を追跡し、カテーテルの回転の角度又は速度を算出する。
【0029】
ある代替的な実施形態において、センサー66は加速度センサーを備えている。この実施形態において、信号は、縦軸を中心としたカテーテルの角加速度を示すものである。プロセッサ48は、カテーテルに加えられた回転の角度又は速度を推定するために、これらの信号を処理する(例えば、積分する)。
【0030】
代替的な実施形態において、プロセッサ48は、2つ又は3つ以上のセンサーからの入力に基づいて、例えば、遠位端部の投げ輪型ループに沿って配設された複数のセンサーに基づいてカテーテル回転を感知してもよい。そのようなセンサーは、それぞれが必ずしも回転情報を発生させない単純な(例えば、単軸)センサーを含んでもよい。
【0031】
更にそれに代わって、プロセッサ48は、任意の他の好適なセンサーに基づいて、また任意の他の好適な方法を用いて、例えば、投げ輪部の電極の各々と患者の体に取り付けられたパッチとの間のインピーダンスを測定することによって、カテーテル28に加えられた回転を測定又は推定してもよい。開示する技術は、システム20などの磁気位置追跡システムに決して限定されないことに留意されたい。例えば、本明細書で説明する方法は、いかなる種類の位置追跡システムも用いることなく、近位端部又は遠位端部にある加速度センサーと共に用いられ得る。
【0032】
感知した回転に基づいて、プロセッサ48は、カテーテルが推奨又は非推奨の方向に回転されているか否かを医師に通知する。ある回転方向を推奨されるものとして、また他の回転方向を推奨されないものとして識別することが通常、プロセッサ48にて予め定義されている。いくつかの実施形態において、プロセッサ48は、感知した回転方向の指示を医師24に提示する。いくつかの実施形態において、プロセッサ48は、現在の回転方向が推奨の方向であるか否かを指示する。
【0033】
図3の例示的な実施形態において、プロセッサ48は、カテーテルが推奨の方向に回転されているときには「OK」を、カテーテルが非推奨の方向に回転されているときには「WRONG」示す英数字フィールド67を、表示装置52上に表示する。別の実施形態において、プロセッサ48は矢印68を表示し、その矢印68の方向はカテーテルの回転方向を指示するものである。ある例示的な実施形態において、矢印は、回転方向が推奨のものか否かを指示する方式で表示される。例えば、非推奨の方向を指示する矢印は赤色に着色されてもよく、推奨の方向を指示する矢印は緑色に着色されてもよい。それに代わって、プロセッサ48は、例えば、好適な英数字又は図形による指示を用いて、任意の他の好適な指示を提示してもよい。
【0034】
いくつかの実施形態において、プロセッサ48は、カテーテルが非推奨の方向に回転されると警告を生成する。任意の好適な種類の警告、及びその警告を生成するための任意の好適な出力装置が用いられて、例えば、表示装置52上に視覚的警告が表示され得るか、あるいはラウドスピーカー又は他の音声出力装置を使用して聴覚的警告が発せられ得る。プロセッサ48によって生成された指示に基づいて、医師24は、可能な限り、推奨の回転方向を選ぶことが可能となる。
【0035】
いくつかの実施形態において、プロセッサ48は、遠位端部36の先端が組織と絡まる現象(カテーテルが非推奨の方向に回転されたか、又は他の任意の理由による)を検知する。カテーテル先端の絡まりを検知する例示的な方法について、以下で更に説明する。先端の絡まりを検知すると、プロセッサ48は、警告を医師に発する。回転方向の警告に関して上に示した例など、任意の好適な種類の警告及び任意の好適な種類の出力装置がこの目的で使用され得る。
図3の例において、プロセッサ48は表示装置52上に警報アイコン69を表示している。
【0036】
カテーテルの回転を測定しその回転を操作者に指示することの更なる態様については、米国特許出願第12/851,085号、名称「カテーテルの絡まりの指示(Catherter Entanglement Indication)」において扱われており、この米国特許出願第12/851,085号は、本特許出願の譲受人に譲渡されており、その開示内容は参照によって本明細書に組み込まれる。
【0037】
カテーテルの先端の絡まりの検知及び通知
場合によっては、遠位端部36の先端は、組織に突き刺さるか、あるいは係合することがあり、これは患者及び/又はカテーテルを危険にさらし得る現象である。例えば、投げ輪型カテーテルの先端は、心臓の乳頭筋に引っ掛かることがある。別の例として、マルチアームカテーテルの1つ又は2つ以上の先端が、心臓の乳頭筋又は心臓弁に引っ掛かることがある。この種の現象はすべて、本明細書においては「先端の絡まり」と呼ばれる。いくつかの実施形態において、プロセッサ48は、カテーテル遠位端部の形状の変化又は異常を確認することによって先端の絡まりを検知する。
【0038】
図4A及び4Bは、本発明の実施形態による、遠位端部36の組織への絡まりを検知する方式を示す略図である。
図4Aは、遠位端部36の正常な形状を示している。
図4Bは、遠位端部の先端71が組織72に絡まっているときの遠位端部36を示している。
【0039】
図から分かるように、先端の絡まりは、投げ輪型ループの形状に変化又は異常を生じさせる。プロセッサ48は通常、この異常を確認することによって、すなわち、遠位端部の形状が、許容量を超えて正常な基準形状から逸脱したことを確認することによって、先端の絡まりを検知する。
【0040】
ある例示的な実施形態において、位置センサー70が、投げ輪型ループ上の、通常は中間よりも先端71に近い側に装着される。この実施形態において、プロセッサ48は、上述の方法を用いてセンサー66及び70の位置を測定し、これら2つのセンサーの間の距離を算出する。この距離が既定の閾値を超えて基準距離(例えば、
図4Aに示すような正常状態下での距離)を上回る場合、プロセッサ48は、遠位先端部が絡まっていると判断する。
【0041】
別の例として、プロセッサ48は、投げ輪型ループが単一の平面から逸脱していることを確認することによって、例えば、投げ輪部の電極(又は投げ輪型ループに沿って装着された位置センサー)がすべて同じ平面内にないことを確認することによって、先端の絡まりを検知してもよい。これらの条件は通常、カテーテルがそのシースから突き出ている、すなわち展開位置にあると仮定して、絡まりを示唆するものと見なされる。
【0042】
カテーテルの投げ輪型ループが単一の平面から逸脱していることをプロセッサ48が検知するための、考えられる一法は、ループの最も遠位側の区間(例えば、半分)を探索から除外して、投げ輪型ループ上で先端71に最も近い点を検出することである。この点とカテーテル先端との距離が、ある閾値を超える場合、プロセッサ48は、ループが単一面から逸脱していると判断し得る。
【0043】
代替的な実施形態において、プロセッサ48は、任意の他の好適な方法を用いて先端の絡まりを検知してもよい。上で説明したように、先端の絡まりを検知したことに応答して、プロセッサ48は通常、警告を発する。
【0044】
図5は、本発明の実施形態による、非推奨の方向へのカテーテルの回転を防止する方法を概略的に説明する流れ図である。この方法は、カテーテル操作工程80にて、医師24が医療手技の一部として患者30の体内でカテーテル28を操作することで開始している。具体的に言えば、医師は、カテーテルの縦軸に対してカテーテルに回転を加える。
【0045】
プロセッサ48は、回転感知工程84にて、手技の間にカテーテルに加えられる回転の方向を感知する。上述の方式など、任意の好適な測定方法及びセンサーが用いられ得る。
【0046】
プロセッサ48は、方向確認工程88にて、感知した回転方向が推奨の方向であるか非推奨の方向であるかを確認する。感知した回転が推奨の方向にある場合、プロセッサ48は、推奨方向指示工程92にて、「OK」の指示を医師24に向けて表示装置52上に表示する。他方で、感知した回転が非推奨の方向にある場合、プロセッサ48は、非推奨方向指示工程96にて、警告指示を表示する。
【0047】
プロセッサ48は次いで、絡まり確認工程100にて、遠位端部36の先端71が組織に絡まっているか否かを確認する。プロセッサ48は、例えば、センサー66と70との距離を測定することによって、先端の絡まりを検知してもよい(
図4A及び4B)。先端の絡まりが検知されない場合、この方法は、上の工程80に戻る。先端の絡まりが工程100にて検知された場合、プロセッサ48は、絡まり警告工程104にて、絡まり警告を発する。この方法は次いで、上記の工程80に戻る。
【0048】
いくつかの実施形態において、プロセッサ48は、以下の方法を用いて、投げ輪型カテーテルが非推奨の方向に回転されていることを検知する。投げ輪型ループが平面で近似される。この平面に対する垂線は、投げ輪部の回転が測定されフィルタ処理される軸となる。反時計回り(CCW)のループの場合、非推奨の回転方向は、回転角の現在値と、現時点までの回転角の最小値との差として定義され得る。この差が、ある正の閾値を超えた場合、プロセッサ48は、カテーテルが非推奨の方向に回転されていると判断する。時計回り(CW)のループの場合、非推奨の回転方向は、回転角の現在値と、現時点までの回転角の最大値との差として定義され得る。この差が、ある負の閾値を下回る場合、プロセッサ48は、カテーテルが非推奨の方向に回転されていると判断する。
【0049】
いくつかの実施形態において、システム20は電気生理学的マッピングシステムを備え、その電気生理学的マッピングシステムにより、医師は、4つの心腔(すなわち、2つの心房と2つの心室)のマップを生成し、心臓内のカテーテルの位置を示すことが可能となる。いくつかのカテーテルは、心房でのみ使用されるように設計されており、心室には配置しないことが強く推奨されている。そのようなカテーテルを使用するとき、システム20のプロセッサ48は、測定したカテーテルの位置により、カテーテルが心室内に位置することが示されるとき、警告を発してもよい。
【0050】
本明細書で説明する実施形態は主として投げ輪型カテーテルを扱っているが、本明細書で説明する方法及びシステムはまた、推奨及び非推奨の回転方向を有する他の種類の医療用プローブにも用いられ得る。本明細書で説明する実施形態は主として医療用プローブの回転に関するものであるが、開示する技術は、他の装置において回転方向を推奨するために用いられ得る。
【0051】
本明細書で説明する実施形態は主として、投げ輪部の先端の絡まりを確認するために、カテーテルの投げ輪型ループの変形を検知することに関するものであるが、開示する技術は、心臓、脊椎、硬膜外腔、脳、又は任意の他の器官の中に柔軟な医療器具を挿入することを伴う手技などにおいて、様々な他の医療器具の変形を検知するために用いられ得る。例えば、開示する技術は、食道のうちの心臓に隣接する側部の加熱を測定するために食道の中に挿入される温度プローブの方向を確かめるために用いられ得る。この用途において、プローブが実際に心臓の方向に向いていることを確かめることが重要である。
【0052】
したがって、上述した実施形態は一例として記載されたものであり、本発明は、本明細書において上に具体的に図示及び説明した内容に限定されないことが明らかとなろう。むしろ、本発明の範囲には、上で説明した様々な特徴の組合わせと部分的組合わせの両方、並びにそれらの変形形態及び修正形態が含まれ、これらの変形形態及び修正形態は、上記の説明を読めば当業者には思いつくものであり、また従来技術では開示されていないものである。本明細書において明示的にあるいは黙示的に行われた定義と対立する形で、これらの組み込まれる文献に用語が定義されている限りにおいて、本明細書での定義が考慮されるべきであることを除き、参照によって本特許出願に組み込まれる文献は、本願の不可欠な部分と見なされるべきである。
【0053】
〔実施の態様〕
(1) 縦軸と遠位端部とを有し、互いに反対である第1及び第2の方向に前記縦軸を中心として前記遠位端部を回転させることが可能である細長いプローブを設けることと、
操作者が患者の体内にて前記プローブを操作する間、前記遠位端部に加えられた回転を自動的に感知することと、
前記回転が前記第2の方向にあると感知すると前記操作者に警告を発するが、感知した前記回転が前記第1の方向にあるときには警告を発しないことと、を含む、方法。
(2) 前記遠位端部は、前記縦軸に対して斜めに方向付けられた平面においてフック形状の湾曲を含む、実施態様1に記載の方法。
(3) 前記プローブは投げ輪型心臓カテーテルを含む、実施態様1に記載の方法。
(4) 前記回転を自動的に感知することは、前記プローブに結合されたセンサーから信号を受信し、受信した前記信号に基づいて前記回転を判断することを含む、実施態様1に記載の方法。
(5) 前記信号を受信することは、外部で生成された磁場に応答して前記信号を生成する位置センサーから前記信号を受け取ることを含む、実施態様4に記載の方法。
(6) 前記信号を受信することは、前記プローブの角加速度に応答して前記信号を生成する加速度センサーから前記信号を受け取ることを含む、実施態様4に記載の方法。
(7) 前記センサーは前記プローブの前記遠位端部に結合されている、実施態様4に記載の方法。
(8) 前記回転を感知することは、前記遠位端部に結合された少なくとも1つのセンサーと、前記患者の体に取り付けられた1つ又は2つ以上の電極との間のインピーダンスを測定し、測定した前記インピーダンスに基づいて前記回転を算出することを含む、実施態様1に記載の方法。
(9) 前記警告を発することは、前記操作者によって視認されるモニター表示装置上に視覚的警告を表示することを含む、実施態様1に記載の方法。
(10) 前記警告を発することは、前記操作者に聴覚的警告を発することを含む、実施態様1に記載の方法。
【0054】
(11) 前記体内における前記遠位端部の組織への絡まりを検知し、前記絡まりの通知を前記操作者に発することを含む、実施態様1に記載の方法。
(12) 前記絡まりを検知することは、前記遠位端部の形状の、基準形状からの逸脱を検知することを含む、実施態様11に記載の方法。
(13) 前記プローブは、前記患者の心臓の心房にて操作するように指定されており、前記方法は、前記プローブの位置を測定し、前記プローブが前記心臓の心室内に位置することを検知すると前記操作者に警告することを含む、実施態様1に記載の方法。
(14) 縦軸と遠位端部とを有し、互いに反対である第1及び第2の方向に前記縦軸を中心として前記遠位端部を回転させることが可能である細長いプローブに接続されたプロセッサであって、操作者が患者の体内にて前記プローブを操作する間、前記遠位端部に加えられた回転を自動的に感知するように、また、前記回転が前記第2の方向にあると感知すると警告を発し、感知した前記回転が前記第1の方向にあるときには警告を発しないように構成されたプロセッサと、
前記警告を前記操作者に提示するように構成された出力装置と、を含む、機器。
(15) 前記遠位端部は、前記縦軸に対して斜めに方向付けられた平面においてフック形状の湾曲を含む、実施態様14に記載の機器。
(16) 前記プローブは投げ輪型心臓カテーテルを含む、実施態様14に記載の機器。
(17) 前記プロセッサは、前記プローブに結合されたセンサーから信号を受信し、受信した前記信号に基づいて前記回転を判断することによって、前記回転を自動的に感知するように構成されている、実施態様14に記載の機器。
(18) 前記プロセッサは、外部で生成された磁場に応答して前記信号を生成する位置センサーから前記信号を受信するように構成されている、実施態様17に記載の機器。
(19) 前記プロセッサは、前記プローブの角加速度に応答して前記信号を生成する加速度センサーから前記信号を受信するように構成されている、実施態様17に記載の機器。
(20) 前記センサーは前記プローブの前記遠位端部に結合されている、実施態様17に記載の機器。
【0055】
(21) 前記プロセッサは、前記遠位端部に結合された少なくとも1つのセンサーと、前記患者の体に取り付けられた1つ又は2つ以上の電極との間のインピーダンスを測定するように、また測定した前記インピーダンスに基づいて前記回転を算出するように構成されている、実施態様14に記載の機器。
(22) 前記プロセッサは、前記体内における前記遠位端部の組織への絡まりを検知するように、また前記絡まりの通知を前記操作者に発するように構成されている、実施態様14に記載の機器。
(23) 前記プロセッサは、前記遠位端部の形状の、基準形状からの逸脱を検知することによって、前記絡まりを検知するように構成されている、実施態様22に記載の機器。
(24) 前記プローブは、前記患者の心臓の心房にて操作するように指定されており、前記プロセッサは、前記プローブの位置を測定するように、また前記プローブが前記心臓の心室内に位置することを検知すると前記操作者に警告するように構成されている、実施態様14に記載の機器。