(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本発明に係る、画像読取装置の光源ユニット、及びこの光源ユニットを備える画像読取装置の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、以下の図面において、同一または相当する部分には同一の参照番号を付し、その説明は繰り返さない。
【0010】
[実施形態]
まず
図1〜3を参照して、本実施形態に係る光源ユニット9,15が適用される画像読取装置100の構成を説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る光源ユニットが適用される画像読取装置の概略構成を示す縦断面図であり、
図2は、
図1中の光源ユニットの近傍を拡大視した図であり、
図3は、
図1,2中の光源ユニットの模式図である。以降の説明では、
図1の左方向を画像読取装置100の「前面側」、右方向を「背面側」と表す。また、
図1の上方向を画像読取装置100の上側、下方向を下側と表す。
【0011】
画像読取装置100は、読取対象の媒体を読み取って、この媒体の画像データを生成する装置であり、本実施形態ではスキャナ装置を例示して説明する。なお、媒体とは、例えば、原稿や名刺等のシート状の読み取り対象物や印刷用紙、枚葉紙等のシート状の被記録媒体を含む。
図1に示すように、画像読取装置100は、シュータ1と、媒体供給部2と、搬送ローラ3と、第一画像読取部4と、第二画像読取部5と、スタッカ6とを含んで構成されている。
【0012】
シュータ1は、画像読取装置100の背面側に設けられている。シュータ1は、載置台であり、載置面1a上に複数の媒体が重ねて載置される。媒体供給部2は、シュータ1に載置された媒体を1枚ずつ、背面側から前面側への方向である媒体搬送方向に送り出す。搬送ローラ3は、媒体供給部2によって送り出された媒体を媒体搬送方向に搬送する。第一画像読取部4は、媒体の表面(上側面)の画像を読み取り、媒体表面の画像データを生成する。第二画像読取部5は、媒体の裏面(下側面)の画像を読み取り、媒体裏面の画像データを生成する。スタッカ6は、画像読取装置100の前面側に設けられている。画像読取部4,5による画像の読み取りが終了した媒体は、搬送ローラ3によって画像読取装置100の前面側に排出され、スタッカ6に載置される。すなわち、画像読取装置100は、読取対象の媒体を媒体搬送方向に移動させることで、第一画像読取部4及び第二画像読取部5に対して媒体を相対移動させる自動給紙スキャナである。
【0013】
媒体供給部2は、ピックローラ7とブレーキローラ8とを含んで構成されている。ピックローラ7は、シュータ1に載置された媒体を媒体搬送方向に送り出す繰り出し部である。ブレーキローラ8は、ピックローラ7に接圧して配置される。ブレーキローラ8は、ピックローラ7によって複数の媒体が重なって送り出されようとした場合に、重なり合った複数の媒体を分離して重送を抑制する分離部である。
【0014】
画像読取装置100は、机上等の設置面上に設置される本体部100aと、本体部100aの上側に配置される回動部100bとを有する。回動部100bは、本体部100aに対して回動可能に支持されており、
図1に示すように開閉方向に回動することができる回動部100bの開閉方向は、媒体搬送方向と直交し、かつ、画像読取装置100が設置される設置面に対して平行な回動軸を中心とする回転方向である。この回動部100bの回動軸は、媒体供給部2のピックローラ7及びブレーキローラ8の回転軸と、搬送ローラ3の回転軸に対して平行に配置されている。
図1に示すように、媒体供給部2のピックローラ7、及び第二画像読取部5は、本体部100aに設けられている。媒体供給部2のブレーキローラ8、及び第一画像読取部4は、回動部100bに設けられている。すなわち、画像読取装置100において、媒体を背面側のシュータ1から前面側のスタッカ6まで媒体搬送方向に搬送するための搬送経路は、本体部100aと回動部100bとの間、すなわち、媒体供給部2のピックローラ7とブレーキローラ8との間を経由し、さらに第一画像読取部4と第二画像読取部5との間を経由するよう設けられている。
【0015】
第一画像読取部4と第二画像読取部5とは、媒体の搬送経路を挟んで互いに対向して設けられる。第一画像読取部4は、媒体の搬送経路の上側に設けられ、上述のように、搬送経路を媒体搬送方向に搬送される媒体の表面(上側面)の画像の読み取りを行う。第二画像読取部5は、媒体の搬送経路の下側に設けられ、搬送経路を媒体搬送方向に搬送される媒体の裏面(下側面)の画像の読み取りを行う。第一画像読取部4及び第二画像読取部5は、媒体搬送方向と直交し、かつ、画像読取装置100が設置される設置面に対して平行な方向を主走査方向とし、媒体搬送方向を副走査方向として、搬送経路上を媒体搬送方向に搬送される媒体の表面及び裏面の画像の読み取りを行う。
【0016】
第一画像読取部4は、
図1に示すように、光源ユニット9と、ミラー10a,10b,10c,10dと、レンズ11と、イメージセンサ12(撮像部)とを備える。光源ユニット9は、上側から搬送経路に向かって主走査方向に沿って直接光を照射するよう配置されており、搬送経路に媒体が存在する場合、媒体の表面に向かって主走査方向に沿って直接光を照射する。光源ユニット9から媒体の表面に照射された光は、媒体の表面で反射された後に、ミラー10a、ミラー10b、ミラー10c、ミラー10dを介して、レンズ11に導入される。レンズ11は、媒体の表面で反射した光源ユニット9からの光が通過することで、イメージセンサ12上に媒体表面の画像を結像させる。イメージセンサ12は、複数のセンサ素子が主走査方向に直線状に配置されるラインセンサであり、レンズ11を介して入射される光に応じて、主走査方向に沿った媒体の表面のライン画像を生成する。そして、媒体の媒体搬送方向(副走査方向)への移動によって、媒体表面全体のライン画像を生成して、これらを合成することで媒体表面の画像データを生成する。
【0017】
第二画像読取部5は、
図1に示すように、光源ユニット15と、ミラー16a,16b,16c,16dと、レンズ17と、イメージセンサ18(撮像部)とを備える。光源ユニット15は、下側から搬送経路に向かって主走査方向に沿って直接光を照射するよう配置されており、搬送経路に媒体が存在する場合、媒体の裏面に向かって主走査方向に沿って直接光を照射する。光源ユニット15から媒体の裏面に照射された光は、媒体の裏面で反射された後に、ミラー16a、ミラー16b、ミラー16c、ミラー16dを介して、レンズ17に導入される。レンズ17は、媒体の裏面で反射した光源ユニット15からの光が通過することで、イメージセンサ18上に媒体裏面の画像を結像させる。イメージセンサ18は、複数のセンサ素子が主走査方向に直線状に配置されるラインセンサであり、レンズ17を介して入射される光に応じて、主走査方向に沿った媒体の裏面のライン画像を生成する。そして、媒体の媒体搬送方向(副走査方向)への移動によって、媒体裏面全体のライン画像を生成して、これらを合成することで媒体裏面の画像データを生成する。
【0018】
第一画像読取部4の光源ユニット9及び第二画像読取部5の光源ユニット15は、それぞれ同様の構成要素から成り、
図2,3に示すように、それぞれLEDアレイ基板21(光源部)と、LED拡散ケース22とを備える。LEDアレイ基板21は、媒体に対して光を照射する発光素子としてのLED23を主走査方向に直線状に複数配列する(
図5参照)。光源ユニット9、15は、複数のLED23により媒体に向かって主走査方向に沿った直線状の光を照射するよう構成されたLEDアレイ照明である。
【0019】
LED拡散ケース22は、LEDアレイ基板21の周囲をその長手方向に沿って覆って配置される(
図4参照)。LED拡散ケース22は、
図3に示すように、LED23の光軸上の媒体の搬送経路までの間に、LED23から照射される光を透過し、この光を媒体へ照射したい範囲まで内部で拡散させるための拡散部22aを有する。拡散部22aは、LED23から光軸上に照射された光を、主走査方向の所定の範囲まで照射領域を広げた上で媒体に照射させることができる。同様に、拡散部22aは、LED23から光軸上に照射された光を、副走査方向の所定の範囲まで照射領域を広げた上で媒体に照射させてもよい。このように拡散部22aは、LED23から光軸上に照射された光を、広範囲に均一に分散させて媒体に照射させることができる。拡散部22aは、所望の光の拡散度合いを実現するために、LED拡散ケース22の他の部分と異なり拡散用の厚みがとられている。
【0020】
図3に示すように、LED23から照射される光は、拡散部22aにて所望の照射範囲に拡散された後に、媒体に照射される。そして、媒体にて反射された光は、第一画像読取部4の場合はミラー10aへ導かれ、また、第二画像読取部5の場合はミラー16aへ導かれ、上述したように媒体の表面及び裏面の画像読取処理に利用される。
【0021】
本実施形態の画像読取装置100では、装置や画像読取部のサイズの小型化を図るために、
図3に示すように、光源ユニット9,15から照射された光を媒体に向かって直接的に照射する、すなわち光源ユニット9,15から直接光を媒体に照射する構成をとる。同様にサイズ小型化のための構成として、光源から照射された後にミラー等の反射手段を介して反射させた光(反射光)を媒体に照射する構成も考えられる。本実施形態における直接光を媒体に照射する構成は、反射光を媒体に照射する構成と比較して、媒体に照射される光(以降「照射光」とも表記する)を反射させないので、照射光の光量の損失を低減でき、照射光の光量をより一層効率良く利用できる。また、光路長を短くできるため、コンパクトなユニットを設計でき、より一層好適に画像読取装置100や画像読取部のサイズの小型化を図ることができる。
【0022】
ここで、本実施形態では、照射光の照度ムラであるリップルの発生を抑制するために、上述のようにLEDアレイ基板21の各LED23の光軸上において、LED23と媒体の搬送経路との間に拡散部22aが配置され、各LED23から照射された光が照射領域を広げられた上で媒体に照射される構成をとる。しかしながら、画像読取装置100のサイズ小型化のために、光源ユニット9,15の各LED23と媒体との間の光路長が短く設定されているため、拡散部22aの機能だけでは照射光の拡散が不十分となって、照射光の照度が均一とならず、リップルを抑制し切れない状況が考えられる。そこで本実施形態では、リップルの抑制をより一層好適に行うべく、光源ユニット9,15の拡散部22aにおいて、LEDアレイ基板21の複数のLED23のそれぞれに対向する位置に、拡散部22aから外部への光の照射を抑制してリップル発生を抑制するためのパターン24が形成されている。
【0023】
以下、
図4〜7を参照して、本実施形態の光源ユニット9,15の構成についてパターン24を中心にさらに詳細に説明する。
図4は、本発明の一実施形態に係る光源ユニットの斜視図であり、
図5は、
図4に示す光源ユニットの構成要素であるLEDアレイ基板及びLED拡散ケースの斜視図であり、
図6は、
図5のLEDアレイ基板上の各LEDの配置と、LED拡散ケース上のパターンの配置との関係を示す図であり、
図7は、LEDの光軸に対するパターンの中心位置のずれ(中心ずれ)の許容範囲を説明するための模式図である。
【0024】
図4,5に示すように、LED拡散ケース22は筒状部材であり、LEDアレイ基板21はLED拡散ケース22の端面の開口から内部に収容できる。LED拡散ケース22の拡散部22aにおいて、媒体と対向する側の面である外周面上には、LEDアレイ基板21を収容したときの各LED23の光軸が通る位置にパターン24が印刷されている。
【0025】
パターン24は、
図6に示すように、LED23の配列ピッチと一致するよう印刷されている。言い換えると、パターン24は、
図7に示すように、LEDアレイ基板21をLED拡散ケース22に収容した状態において、パターン形状の中心位置が、各LED23の光軸が通る位置と一致するよう配置されている。つまり、パターン24は、照射光の照度が大きくなる各LED23の光軸の近傍において、拡散部22aから媒体へ照射される光の照射を部分的に抑制することで、照射光の照度ムラを抑制することができるよう構成されている。
【0026】
また、パターン24は、パターン形状の中心位置、すなわちLED23の光軸が通る位置から主走査方向に離れるにつれて、拡散部22aから外部への光の照射量の抑制の度合いが低減するよう形成される。同様に、パターン24は、パターン形状の中心位置、すなわちLED23の光軸が通る位置から副走査方向に離れるにつれて、拡散部22aから外部への光の照射量の抑制の度合いが低減するよう形成される。ここで、「抑制の度合いを低減する」とは、例えば、パターンの色、濃度、形状、配置、占有面積率などを変更することにより、拡散部22aから外部への光の透過率を増加させることを意味する。つまり、パターン24は、主走査方向及び副走査方向からそれぞれパターン形状の中心位置に近づくにつれて、拡散部22aから外部への光の照射量の減衰を滑らかに増加させてゆき、中心位置において照射量を最も減衰させることができるよう構成されている。
【0027】
上述のパターン形成の条件を満たすべく、本実施形態では、パターン24は、網点印刷によって菱形形状に網点を配置して形成されている。より詳細には、
図7に示すように、パターン24は、主走査方向及び副走査方向に沿った対角線を有し、LED23の光軸を通る位置を対角線の交点とする菱形の内部に網状に配置される複数のドット(点)からなるドットパターンである。パターン24を形成する網点のそれぞれは、すべて同一面積の円形状である。本実施形態のパターン24では、
図7に示すように、LED23の光軸が通る副走査方向に沿った対角線上に最大個数である3個のドット27aが配置され、この対角線から主走査方向の両側の所定間隔を置いた位置にて2個のドット27bが配置され、さらに所定間隔を置いた位置にて1個のドット27cが配置される。すなわち、本実施形態では、LED23の光軸が通る位置から主走査方向に沿ってドットの個数を1個ずつ減少させることで、主走査方向において拡散部22aから外部への光の照射を抑制する度合いを滑らかに低減させている。同様に、LED23の光軸が通る位置から副走査方向に沿ってドットの個数を1個ずつ減少させることで、副走査方向において拡散部22aから外部への光の照射を抑制する度合いを滑らかに低減させている。
【0028】
本実施形態では、パターン24をこのような菱形形状で形成することによって、照射光の照度が大きくなる各LED23の光軸の近傍において、拡散部22aから媒体へ照射される光の照射を部分的に抑制することができると共に、主走査方向及び副走査方向からそれぞれパターン形状の中心位置に近づくにつれて、拡散部22aから外部への光の照射量の減衰を滑らかに増加させてゆき、中心位置において照射量を最も減衰させることができるので、照射光の照度ムラをより一層抑制させてリップルの発生をより一層抑制することが可能となる。
【0029】
さらに、パターン24をこのような網点印刷の菱形形状で形成することによって、主走査方向において、LED23の光軸位置に対するパターン形状の中心位置のずれ(以下「中心ずれ」とも表記する)を、
図7に示す所定の許容範囲Aまで許容できる。すなわち、パターン24のパターン形状の中心位置が、主走査方向の許容範囲A内でLED23の光軸位置からずれたとしても、パターン形状の中心位置がLED23の光軸位置と一致する場合と同様のリップル抑制効果を発揮できる。ここで、許容範囲Aとは、
図7に示すように、ドット27aの中心位置から、ドット27bの外周のうち最もドット27aに近い側の位置までの距離である。同様に、副走査方向における中心ずれも、パターン24のドット間隔に基づく所定の許容範囲内で許容できる。これにより、LEDアレイ基板21及びLED拡散ケース22の製造時や組み立て時のばらつきを十分に許容できる。
【0030】
パターン24の形状内の網点の占有面積率(「網点の濃度」または「網点率」ともいう)は、例えば50〜60%程度が好ましい。また、パターン24の菱形形状は、主走査方向の対角線を長軸とし、副走査方向の対角線を短軸として、主走査方向の光の減衰範囲を相対的に広くとり、主走査方向のリップル発生を好適に抑制できるよう構成するのが好ましい。
【0031】
次に、
図5,6及び、
図8〜10を参照して、第一画像読取部4の光源ユニット9を例示して、光源ユニット9,15の画像読取装置100への組み付けについて説明する。
図8は、光源ユニットの画像読取装置への組み付けを説明するための分解斜視図であり、
図9は、
図8に示す各要素をフレームに組み付けた状態を示す斜視図であり、
図10は、光源ユニットをフレームに組み付けた状態での光源ユニットの切り欠き部とフレームのリブとの嵌め合い部分を示す斜視図である。
【0032】
図5,6に示すように、光源ユニット9,15のLEDアレイ基板21には、複数のLED23の他に、主走査方向の一端にコネクタ25が設けられ、他端に切り欠き部26が設けられている。コネクタ25は、LEDアレイ基板21に電源を供給する。また、コネクタ25は、LEDアレイ基板21をLED拡散ケース22に挿入する際にLED拡散ケース22の端面と当接可能に配置されている。すなわち、LED拡散ケース22の端面がコネクタ25に突き当たるまでLEDアレイ基板21をLED拡散ケース22に挿入すれば、LEDアレイ基板21に対するLED拡散ケース22の主走査方向のコネクタ25側への移動を規制できる。これにより、LEDアレイ基板21上のLED23と、LED拡散ケース22上の抑制パターン24との位置合わせを容易に行うことができる。
【0033】
LED拡散ケース22の主走査方向の寸法が、コネクタ25と切り欠き部26との間の距離以下である。したがって、切り欠き部26は、LEDアレイ基板21をLED拡散ケース22に挿入したときに、LED拡散ケース22から露出する位置に設けられている。この切り欠き部26は、光源ユニット9,15を画像読取装置100に組み付ける際に、LEDアレイ基板21を画像読取装置100のフレーム100cに固定して、組み付け容易性を向上できるよう構成されている。
【0034】
図8,10に示すように、画像読取装置100(回動部100b)のフレーム100cには、第一画像読取部4の光源ユニット9を組み付ける際に切り欠き部26が対向する位置に、突起状のリブ100dが設けられている。光源ユニット9の切り欠き部26をフレーム100cのリブ100dに嵌め合わせることによって、画像読取装置100に対する光源ユニット9の取り付け位置を容易に特定することができるので、光源ユニット9を画像読取装置100に組み付ける際の作業容易性を向上できる。また、切り欠き部26とリブ100dとの嵌合によって、画像読取装置100に対して光源ユニット9の主走査方向の移動を規制できる。
【0035】
図8,9に示すように、画像読取装置100は、放熱板金13及び固定部材14をさらに備える。放熱板金13は、光源ユニット9の発光により発生する熱を放熱するための金属材料であり、LED拡散ケース22の長手方向に沿って、少なくとも拡散部22aを除く周囲に密着して配置されている(
図2参照)。固定部材14は、光源ユニット9を画像読取装置100(回動部100b)のフレーム100cに固定させるための部材である。固定部材14は、スクリュー等の別体の固定用部品を使用せずに、例えばスナップフィットなどの手法によってフレーム100cに係止可能に構成されている。
【0036】
図8に示すように、光源ユニット9をフレーム100cに組み付ける際には、まずLED拡散ケース22の端面がコネクタ25に突き当たるまでLEDアレイ基板21をLED拡散ケース22に挿入させた状態で、LEDアレイ基板21の切り欠き部26をフレーム100cのリブ100dに嵌め合わせて、光源ユニット9をフレーム100cに載置する。次に、光源ユニット9の周囲を覆うように放熱板金13を載置する。そして、放熱板金13を覆うように固定部材14をフレーム100cに固定する。
【0037】
このように、本実施形態では、スクリュー等の固定用部品を使用せずに光源ユニット9を画像読取装置100に組み付けることが可能であり、組み付け容易性を向上できる。また、光源ユニット9のLED拡散ケース22は、フレーム100cに設けられたリブ100dとLEDアレイ基板21のコネクタ25との間に配置される。LEDアレイ基板21のコネクタ25と切り欠き部26の位置の精度、LED拡散ケース22の主走査方向の長さの制度を考慮しても、パターン24の中心ずれの許容範囲A内の精度で十分に組み上げることが可能であり、リップル抑制効果を十分に発揮できる。
【0038】
なお、第二画像読取部5の光源ユニット15も、第一画像読取部4の光源ユニット9と同様の構成で画像読取装置100に組み付けられる。すなわち、光源ユニット15の切り欠き部26を、画像読取装置100の本体部100aの筐体に設けられたリブに嵌合させて、放熱板金19(
図2参照)や図示しない固定部材によって、画像読取装置100に組み付けることができる。
【0039】
このように、本実施形態の光源ユニット9,15は、イメージセンサ12,18により画像が読み取られる媒体に対して光を照射するLED23が主走査方向に複数配列されたLEDアレイ基板21と、LED23から照射される光を透過し、内部で拡散する拡散部22aと、を備える。拡散部22aは、複数のLED23のそれぞれに対向する位置に、外部への光の照射を抑制するパターン24が形成されている。
【0040】
この構成により、拡散部22aから媒体に照射される光の照度が大きくなる位置にて、パターン24によって照射光の透過量を低減させて、照射光の照射を部分的に抑制することができるので、照射光の照度ムラを抑制できる。この結果、複数の発光素子(LED23)を直線状に配列する構成において、照明対象の媒体に照射する直線状の光にリップルが発生するのを抑制できる。
【0041】
このような本実施形態の効果について
図11,12を参照してさらに説明する。
図11は、拡散部22aにパターン24が無い比較例としての媒体読取装置において生成された媒体の画像データのRGB階調を示す図であり、
図12は、拡散部22aにパターン24が有る本実施形態の媒体読取装置において生成された媒体の画像データのRGB階調を示す図である。
図11,12において、横軸は画像データの主走査方向の位置(mm)を示し、縦軸は階調を示す。また、
図11,12では、各位置における赤の階調値の推移(R_ave)を細かい点線で図示し、緑の階調値の推移(G_ave)を粗い点線で図示し、青の階調値の推移(B_ave)を一点鎖線で図示している。
【0042】
図11に示すように、拡散部22aにパターン24が無い比較例では、主走査方向に沿ってRGB階調が周期的に変動しており、媒体に照射する光にリップルが発生していることがわかる。一方、
図12に示すように、拡散部22aにパターン24が有る本実施形態の構成では、比較例でみられたRGB階調の周期的な変動が低減され、リップルが抑制できていることがわかる。つまり、
図11,12によれば、本実施形態の光源ユニット9,15のように、LED拡散ケース22の拡散部22aにパターン24を形成することによって、媒体に照射する光にリップルが発生するのを抑制できることが確認できた。
【0043】
[変形例]
次に、
図13を参照して、実施形態の変形例を説明する。
図13は、LED拡散ケースの拡散部に印刷するパターンの形状の変形例を示す模式図である。
図13に示すように、LED拡散ケース22の拡散部22aに印刷するパターンの形状は、上記実施形態の菱形形状のパターン24とは異なる他の形状としてもよい。
【0044】
例えば
図13に示すパターン24aのように、LED23の光軸の直上に1個のドットを配置する構成としてもよいし、パターン24bのように、網点を方形状に配置し、この方形の中心位置を光軸の位置と一致させるよう配置する構成としてもよい。つまり、パターン形状の中心位置が、各LED23の光軸が通る位置と一致するよう配置されるという条件を満たせばよい。
【0045】
また、
図13に示すパターン24cのように、実施形態のパターン24と同様の菱形形状を取りつつ、パターン24と比較して網点の各ドットの面積を大きくすると共にパターン内に配置するドットの個数を減らした構成としてもよいし、または、パターン24dのように、網点の各ドットの面積を小さくすると共にパターン内に配置するドットの個数を増やした構成としてもよい。この場合、パターン内の網点の濃度を実施形態のパターン24のものと同一としてもよい。
【0046】
また、
図13に示すパターン24eのように、網点を方形状に配置し、網点の各ドットの大きさを、パターン形状の中心位置において最大とし、この中心位置から主走査方向及び副走査方向に離れるにつれて段階的に小さくする構成としてもよい。
【0047】
以上、本発明の実施形態を説明したが、上記実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。上記実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。上記実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【0048】
上記実施形態では、LED拡散ケース22の拡散部22aの媒体側の外周面上にパターン24を印刷する構成を例示したが、拡散部22aのLEDアレイ基板21側の内周面上にパターン24を印刷する構成としてもよい。また、パターン24は印刷以外の手法でLED拡散ケース22の拡散部22aに形成してもよい。
【0049】
また、上記実施形態では、パターン24の形状が、主走査方向及び副走査方向の両方向において、拡散部22aから外部への光の照射を抑制する度合いが低減するよう形成されることを例示したが、主走査方向のみで抑制の度合いを低減する構成でもよい。
【0050】
上記実施形態では、光源ユニット9,15が複数のLED23を有するLEDアレイ照明である構成を例示したが、光源ユニット9,15は、媒体に直線状の光を照射できる複数の発光素子を有していればよく、LED以外の発光素子を用いてもよい。
【0051】
上記実施形態では、画像読取装置100の一例としてスキャナ装置を挙げ、より詳細には、読取対象の媒体をイメージセンサに対して移動させることで、イメージセンサと媒体とを相対移動させる自動給紙スキャナを挙げたが、スキャナ装置は他の構成でもよく、例えば、イメージセンサを媒体に対して移動させるフラットベッドスキャナであってもよい。
【0052】
上記実施形態では、画像読取装置100の一例としてスキャナ装置を例示したが、画像読取装置は、読取対象の媒体を読み取って画像データを生成するか、または、別媒体に印刷できる装置であればよく、スキャナ装置の他にも複写機、ファクシミリ、文字認識装置などを含めることができる。