(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、実施形態を通じて本発明を詳説するが、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではなく、また実施形態の中で説明される特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0010】
図1,
図2に示すように、遊技機の一例としてのパチンコ機1は遊技場の島設備に設置される縦長方形状の機枠2と、この機枠2の一側部においてヒンジ機構により開閉自在に取り付けられた本体枠3と、当該本体枠3内に収容された遊技盤30と、本体枠3の前方において開閉可能に軸着され、中央部に配設されたガラス窓4A及びガラス窓4Aの下方に設けられた受皿6を有するパネル枠4と、パネル枠4の下部一側部より前方に突設されたハンドルユニット7、及びパネル枠4の上部両側部に配設されたスピーカユニット8を主たる構成として備える。パネル枠4が本体枠3側に閉じられた状態において、パチンコ機1の前方に着座する遊技者からは、パネル枠4に配設されたガラス窓4Aを介して本体枠3内に収容された遊技盤30の遊技領域30aを視認することが可能である。
受皿6の中央部には、遊技者の任意によって操作可能な操作手段としての操作機構9が配設される。操作機構9は、遊技者による押下操作が可能な円形のプッシュボタン9Aと、当該プッシュボタン9Aの周囲において遊技者による回動操作が可能なダイアル9Bとにより構成される。操作機構9は、後述する演出制御装置300と接続されており、プッシュボタン9A、及びダイアル9Bから出力される信号は、演出制御装置300側に入力する。受皿6には、この他、球貸ボタンや返却ボタン等が配設されており、これらのボタン操作によって図外のCRユニットに投入されたICカード等の記録媒体に記録された貸し球可能数に対応する遊技球の貸し出し動作、或いは記録媒体の返却動作が実行される。
【0011】
[遊技盤の構成について]
図2に示すように、本体枠3内に収容された遊技盤30の後方には演出表示装置450が配設される。
演出表示装置450は、例えば1〜8までの数字、及び特定のキャラクター等からなる演出図柄Sを変動表示可能な液晶表示装置であって、表示画面である演出表示部45には、演出図柄Sの他、演出図柄Sの変動表示に伴って予告演出やリーチ演出とも呼ばれる画像や動画によって表現される多様な変動演出が表示され、遊技者は一般に演出表示部45上に表示される変動表示、及び変動演出を視認しながら遊技を楽しむこととなる。
【0012】
図3に示すように、遊技盤30の前側に、中央側環状ユニット遊技部品30A、右側ユニット遊技部品30B、右下側ユニット遊技部品30C、下側ユニット遊技部品30D、釘、風車等の遊技部品が配設されることによって、前面30Fに遊技球が流下する遊技領域30aを有した遊技盤30が形成される。
中央側環状ユニット遊技部品30Aは、遊技盤30の前面30Fへの取付ベース板30Zと、取付ベース板30Zに設けられた遊技球誘導壁部34及びステージ部47とを備える。
右側ユニット遊技部品30Bは、遊技盤30の前面への取付ベース板30Zと、取付ベース板30Zの前面に設けられた第2始動入賞部品52及び通過ゲート58とを備える。
右下側ユニット遊技部品30Cは、遊技盤30の前面への取付ベース板30Zと、取付ベース板30Zの前面に設けられた第1大入賞部品60とを備える。
下側ユニット遊技部品30Dは、遊技盤30の前面への取付ベース板30Zと、取付ベース板30Zの前面に設けられた第1始動入賞部品50と、中央アウト口69と、複合入球部品150と、一般入賞部品95と、第2大入賞部品120、右側アウト口140とを備える。
【0013】
遊技盤30は、遊技盤30の盤面(前面30F及び後面)のほぼ中央部に遊技盤30の盤面を貫通して形成された中央孔31Hを備え、この中央孔31Hを介して遊技者が遊技盤30の後方に配置された演出表示装置450の表示画面である演出表示部45を前方から目視可能なように構成されている。中央孔31Hの大きさは、遊技盤30の盤面全体の面積の4分の1程度を占めている。
さらに、遊技盤30は、遊技盤30の前面30Fに取付けられる右側ユニット遊技部品30B、右下側ユニット遊技部品30C、下側ユニット遊技部品30Dに設けられている入賞部品やアウト口に取り込まれる遊技球を遊技盤30の後方に配置された図外の球樋に導くための貫通孔31J;31K;31L:31Mを備える。
【0014】
遊技球誘導壁部34とステージ部47とを備えた中央側環状ユニット遊技部品30Aは、中央孔31Hを取り囲むように設けられて遊技盤30の前面30Fに取付けられている。
遊技球誘導壁部34は、中央孔31Hの孔左縁と孔右縁との間の孔上部側の孔縁に沿って延長し、かつ、遊技盤30の前面30Fより前方に突出する。
遊技球誘導壁部34の右下端部34yは遊技球誘導壁部34の左下端部34xよりも下方に位置される。
【0015】
ステージ部47は、中央孔31Hの孔左縁と孔右縁との間の孔下部側の孔縁に沿って延長し、遊技球誘導壁部34の左下端部34xと遊技球誘導壁部34の右下端部34yとを繋ぐように設けられる。
ステージ部47は、後述する環状壁体32の下端部に沿って遊技盤30の前後左右に延長する遊技盤30の前面30Fと交差する面により形成されたステージ47aと、ステージ47aの前端より遊技盤30の前面30Fに沿って下方に延長する前垂れ部47bと、ステージ47aの後端より遊技盤30の前面30Fに沿って上方に延長する後壁部47cと、後壁部47cの上端縁より前方に延長する庇部47dとを備える。
ステージ47aは、下方に膨らむように湾曲して左右方向に延長するように形成され、ワープ通路34Aを通過した遊技球を受けて、当該遊技球が遊技盤30の左右方向に往復移動可能でかつ演出表示部45の下方の遊技領域30aに流下可能なように形成された遊技球転動路面により構成される。
【0016】
遊技球誘導壁部34の左下端部34xには、上下方向に連通して後述する左側遊技領域ELにおける遊技盤30の前面30Fとステージ47aの左端部とを連通させるワープ通路34Aを備える。ワープ通路34Aは、後壁部と左壁部と右壁部と前壁部とで囲まれて上端及び下端が開口された筒状体により形成され、当該筒状体の内側を遊技球が通過可能に構成される。
ステージ47aにおける左右のほぼ中央位置には、中央落下誘導部47eが設けられ、この中央落下誘導部47eの真下位置に第1始動入賞部品50の入賞口50A(
図2参照)が位置される。この中央落下誘導部47eの左右両側にはサイド落下誘導部47g;47gが設けられる。
即ち、遊技球が中央落下誘導部47e又はサイド落下誘導部47g;47gを経由して遊技領域30aの下方に落下可能であり、中央落下誘導部47eを経由して遊技領域30aの下方に落下した場合、第1始動入賞部品50の入賞口50Aに入賞しやすくなる。
【0017】
ステージ部47の庇部47dと遊技球誘導壁部34とによって,遊技盤30の前面30Fよりも前方に突出して中央孔31Hを取り囲む環状壁体32が構成される。
上述のガラス窓4Aが閉じられた場合において、環状壁体32の前端とガラス窓4Aの後面とが遊技球の直径寸法未満の間隔で対向するように構成され、遊技球が遊技領域30aから環状壁体32で囲まれた環状壁体32の内側の領域(演出表示部45の前方)に移動することは不可能となっている。
上述のガラス窓4Aが閉じられた場合において、前垂れ部47bの前面とガラス窓4A後面とが遊技球の直径寸法より大きい間隔で対向するように構成され、遊技球が前垂れ部47bの前面を流下可能である。
【0018】
遊技盤30には、中央孔31Hを取り囲む環状壁体32と、外ガイド部27及び内ガイド部28とによって区画された遊技領域30aが形成される。
即ち、遊技領域30aは、外ガイド部27及び内ガイド部28の内側に位置してかつ環状壁体32の外側に位置される遊技盤30の前面30Fと閉じられたガラス窓4Aの後面との間において遊技球が流下可能となった領域、及び、ステージ部47の後壁部47cと閉じられたガラス窓4Aの後面との間において遊技球が流下可能となった領域により形成される。
また、遊技領域30a内における遊技盤30の前面30Fには、遊技盤30の前面30Fに稙設された多数の釘や風車が配置されており、遊技者のハンドルユニット7の操作に応じて駆動する図外の発射機構により発射され、遊技領域30a内に到達した遊技球は、多数の釘や風車によって不規則に誘導されつつ遊技領域30a内を流下する。
さらに、遊技領域30a内には、遊技盤30の前面30Fに取付けられた各ユニット遊技部品30A;30B;30C;30Dに搭載された、第1始動入賞部品50、第2始動入賞部品52、第1大入賞部品60、複合入球部品150、複数の一般入賞部品95、及び第2大入賞部品120が配設されており、これらの入賞部品に遊技球が入球すると、各入賞部品に対応した所定数の賞球が受皿6に払出される。
【0019】
遊技領域30aは、遊技球誘導壁部34の右下端部34yにより形成された上部壁構造体130Aと後述する下部壁構造体130Bと後述する第2大入賞部品120の一部とにより構成された壁構造体130によって、一方の遊技領域としての右側遊技領域ERと他方の遊技領域としての左側遊技領域ELとに区分けされている。
左側遊技領域ELは、遊技領域30aの左側を占める領域であり、遊技球誘導壁部34の上端近傍に形成された屈曲部34bよりも左側に遊技球が着弾した場合、多くの遊技球は概ね矢印X1で示す方向に向かって左側遊技領域EL内を流下する。
一方、右側遊技領域ERは、遊技領域30aの右側を占める領域であり、屈曲部34bよりも右側に遊技球が着弾した場合、多くの遊技球は概ね矢印X2で示す方向に向かって右側遊技領域ER内を流下する。
換言すれば、遊技盤30の左側下方から左側を通過して遊技盤30の上部の遊技領域30aに向けて発射される遊技球が遊技盤30の遊技領域30aの上端部における左右間のほぼ中央位置を通過した後に流下する右側の遊技領域を右側遊技領域ERといい、遊技球が遊技盤30の遊技領域30aの上端部における左右間のほぼ中央位置を通過せずに流下する左側の遊技領域を左側遊技領域ELという。
右側遊技領域ERの上流部には、通路幅が、遊技球の直径よりも僅かに広く遊技球の直径の2倍以下の寸法の右打ち通路36が形成されている。尚、遊技領域30aの上部において右打ち通路36と連通する右側遊技領域ERへの入球路34Tが、外ガイド部27と屈曲部34bとの間に形成された遊技球の直径よりも僅かに広く遊技球の直径の2倍以下の寸法の開口により形成される。従って、発射装置により発射された遊技球が入球路34T及び右打ち通路36を経由して右側遊技領域ERに流下する。
【0020】
遊技球誘導壁部34の右下端部34yは、左側遊技領域ELにおけるステージ47aと右側遊技領域ERとの境界に位置して、右側遊技領域ERから左側遊技領域ELにおけるステージ47aへの遊技球の移動を阻止する壁構造体130の上部側壁構造体130Aとして機能する。
上部側壁構造体130Aとして機能する遊技球誘導壁部34の右下端部34yは、上下方向に連通して左側遊技領域ELにおけるステージ47aの右端部と右側遊技領域ERにおける遊技盤30の前面30Fとを連通させる球通路51bを備える。
つまり、当該球通路51bは、上部側壁構造体130Aを上下方向に貫通するように形成されて、右側遊技領域ERの上方に位置する左側遊技領域ELであるステージ47aの右端部から当該ステージ47aの右端部の下方に位置する右側遊技領域ERへの遊技球の移動を許容する球通路である。
当該球通路51bは、左壁面132aと右壁面132bと後壁面132cと前壁面(カバー)132dとで囲まれて上端開口132e及び下端開口132fが開口された筒状体により形成され、当該筒状体の内側を遊技球が通過可能に構成される。
球通路51bの上端開口132eは、ステージ47aの右端部の前端より下方に位置され、かつ、球通路51bの下端開口132fは、右側遊技領域における第2大入賞部品前領域129に連通するように位置される。
ワープ通路34Aの入球路34aが、左側遊技領域ELにおける遊技盤30の前面30Fと連通し、かつ、球通路51bの下端開口132fが、ステージ47aの左端部と連通するように構成されているので、左側遊技領域ELにおける遊技盤30の前面30Fからワープ通路34Aの入球路34aに入球した遊技球は、ワープ通路34Aを通過してステージ47a上に導かれた後、球通路51bを介して右側遊技領域ERにおける第2大入賞部品前領域129に落下可能である。
このように、右側遊技領域ERの上方に位置する左側遊技領域ELであるステージ47aの右端部から当該ステージ47aの右端部の下方に位置する右側遊技領域ERへの遊技球の移動を許容する球通路51bが、上部側壁構造体130Aを上下方向に貫通するように形成されているので、遊技球が、ステージ47aの右端部から右側遊技領域ERに移動する際に当該上部側壁構造体130Aを上下方向に貫通する球通路51bを通過するため、遊技者が、ステージ47aの右端部から右側遊技領域ERに移動する遊技球を認識し易くなり、遊技球がステージ47aの右端部から右側遊技領域ERに移動する瞬間を捕らえやすくなるので、遊技球がステージ47aの右端部から右側遊技領域ERに移動するという遊技球の特殊な動きを楽しむことができる遊技盤及び遊技機を提供できる。
また、当該球通路51bの前側が前壁面(カバー)132dにより覆われているので、遊技球がステージ47aの右端部から右側遊技領域ERに移動する瞬間に遊技球が隠れるような効果を演出可能となる。
【0021】
図4に示すように、壁構造体130の下部側壁構造体130Bは、遊技盤30の前面30Fより前方に突出して球通路51bの下端開口132fである球出口と中央アウト口69との間に連続するように設けられ、下部側壁構造体130Bの前端とガラス窓4Aの後面との間の寸法が遊技球の直径よりも小さい寸法に形成されていることにより、左側遊技領域ELから右側遊技領域ERへの遊技球の移動、及び右側遊技領域ERから左側遊技領域ELへの遊技球の移動を阻止する壁である。
下部側壁構造体130Bは、球通路51bの左壁面132aの下端の真下位置より下方に垂直方向に延長する上部垂直壁131aと、当該上部垂直壁131aの上端より右上方向に延長する上部傾斜壁131bと、上部垂直壁131aの下端より左下方向に延長する傾斜壁131cと、傾斜壁131cの下端より中央アウト口69の右端に位置する遊技領域30aの下端部となる内ガイド部28の下端側内面131eまで延長するように設けられた下部壁131dとを備える。
尚、後述する第2大入賞部品120の一部である開閉体125が入賞部(第2大入賞口)120aへの入球を阻止する閉鎖状態では、当該開閉体125が壁構造体130の一部を構成して、右側遊技領域ERから左側遊技領域ELへの遊技球の移動を阻止する。また、当該第2大入賞部品120の一部である開閉体125が入賞部120aへの入球を許容する開放状態では、入賞部120aの壁の一部が下部壁131dの一部を構成して、右側遊技領域ERから左側遊技領域ELへの遊技球の移動、及び、左側遊技領域ELから右側遊技領域ERへの遊技球の移動が阻止され、入賞部120aへ入賞率が向上するように構成されている。即ち、壁構造体130の一部が第2大入賞部品120(可変入賞部品)の一部により形成されている。このように、第2大入賞部品120の一部を壁構造体130の一部として利用した構成とすることにより、遊技盤30の前面30Fのスペースを最大限有効に利用しつつ、第2大入賞部品120(可変入賞部品)への入賞率も高くすることができるようになる。
【0022】
即ち、遊技盤30が、遊技盤30の前面30Fよりも前方に突出して前端とガラス窓4Aの後面との間の寸法が遊技球の直径よりも小さい寸法に形成された壁構造体130を備え、当該壁構造体130が、左側遊技領域ELの一部であるステージ47aから当該ステージ47aの下方に位置する右側遊技領域ERの一部である第2大入賞部品前領域129に遊技球の流下を可能とする球通路51bを備えている。
換言すれば、遊技盤30は、遊技球が左側遊技領域ELの一部であるステージ47aの右端部から球通路51bを経由して右側遊技領域ERに移動可能であるが、右側遊技領域ERを流下する遊技球が球通路51bを経由して下方の右側遊技領域ERから上方に左側遊技領域ELに移動することを不可能とした構成である。
即ち、下部側壁構造体130B及び球通路51bが、ステージ47aの下方に位置される遊技盤30の前面30Fにおいてステージ47aの前縁と遊技領域30aの下端との間に連続するように設けられて、ステージ47aの下方に位置される遊技領域30aを左側遊技領域ELと右側遊技領域ERとに区切って遊技領域30aの上端側に設けられた入球路34Tを通過して右側遊技領域ER内に入った遊技球の左側遊技領域ELへの移動を阻止する壁構造体130として機能する。
このように、遊技領域30aの下方における遊技盤30の前面30Fにおいて右側遊技領域ERと左側遊技領域ELとを壁構造体130で区切ることによって、入球路34Tを介して右側遊技領域(一方の遊技領域)ERに着弾させた遊技球が左側遊技領域(他方の遊技領域)ELに流入してしまうという不安感や不快感を遊技者に感じさせ難い遊技盤及び遊技機を提供できる。
【0023】
例えば、球通路51bを形成する筒状体は、左壁面132aと右壁面132bとが右上側から左下側に向けて延長する互いに平行な傾斜面により形成される。
また、球通路51bの左壁面132aの下端部には右壁面132bに近づく方向に突出して球通路51bの通路幅を狭める障害壁133が設けられている。
さらに、上部傾斜壁131bと球通路51bの左壁面132aの下端及び障害壁133との間の寸法が遊技球の直径よりも小さい寸法に形成されていることで、上部側壁構造体130Aと下部側壁構造体130Bとの間を遊技球が通過不可能に構成されている。
そして、上部傾斜壁131bの右上端131tが障害壁133の右端の真下位置に位置されるように構成されることで、球通路51bの下端開口132fの開口幅が球通路51bの上端開口132eの開口幅よりも狭くなるように構成され、ステージ47aの右端部から球通路51bを経由して右側遊技領域ERに移動した遊技球が再び球通路51b内に移動することが困難なように構成されている。
さらに、第2大入賞部品前領域129は、遊技球誘導壁部34の右下端部34yと右下側ユニット遊技部品30Cと下側ユニット遊技部品30Dとで囲まれた領域内の遊技盤30の前面30Fとガラス窓4Aの後面との間の空間により形成され、当該遊技盤30の前面30Fが、遊技球誘導壁部34の右下端部34y、右下側ユニット遊技部品30C、下側ユニット遊技部品30Dの取付ベース板30Zの板厚分だけ当該取付ベース板30Zの前面より後方に位置されるので、ステージ47aの右端部から球通路51bを経由して右側遊技領域ERの第2大入賞部品前領域129に移動した遊技球が再び球通路51b内に移動しようとしても、遊技球誘導壁部34の右下端部34yの取付ベース板30Zの前面と第2大入賞部品前領域129を構成する遊技盤30の前面30Fとの段差が障害壁となるので、ステージ47aの右端部から球通路51bを経由して右側遊技領域ERに移動した遊技球が再び球通路51b内に移動することが困難なように構成されている。
第2大入賞部品前領域129には、ステージ47aの右端部から球通路51bを経由して流入した遊技球や、後述する第1大入賞部品60の流路構造体70の上側誘導壁74を経由して流入した遊技球を、後述する第2大入賞部品120の開閉体125の方向に誘導する誘導釘群129aが、遊技盤30の前面30Fに設けられている。
また、後述する第2大入賞部品120は、右側遊技領域ERの下端部における下部側壁構造体130Bの右側、即ち、右側遊技領域ERの下端部における最も左側であって、第2大入賞部品前領域129に流入した遊技球が誘導釘群129aによって誘導される方向の最終地点に位置するように設けられているので、第2大入賞部品120の開閉体125が開放状態となった場合に、入球路34Tを介して右側遊技領域ERに着弾させた遊技球が効率的に後述する入賞部(第2大入賞口)120aに導かれるようになって第2大入賞部品120(可変入賞部品)への入賞率が向上し、遊技者に優越感を与えることが可能な構成となっている。
【0024】
また、開閉体125が入賞部(第2大入賞口)120aへの入球を阻止する閉鎖状態では、開閉体125が傾斜壁131cの下方に位置されるように構成されたことにより、第2大入賞部品前領域129に流下した遊技球が閉鎖状態での開閉体125により構成されて壁構造体130の一部を形成する球誘導壁(右壁)に衝突して右側アウト口140に到達するように構成されている。
さらに、後述する第2大入賞部品120の開放状態での開閉体125の自由端と上部垂直壁131aの下端との間の寸法が遊技球の直径よりも大きい寸法に形成されていることで、第2大入賞部品前領域129に流下した遊技球が開放状態での開閉体125の自由端と上部垂直壁131aの下端との間を通過して入賞部120aに導かれるように構成される。
即ち、第2大入賞部品120の閉鎖状態においては、第2大入賞部品120の一部である開閉体125が、壁構造体130の一部を形成して、右側遊技領域ERから左側遊技領域ELへの遊技球の移動を阻止する機能を果たし、かつ、第2大入賞部品120の開放状態においては、第2大入賞部品120の一部である入賞部(第2大入賞口)120aの壁が、壁構造体130の一部を構成して、右側遊技領域ERから左側遊技領域ELへの遊技球の移動、及び、左側遊技領域ELから右側遊技領域ERへの遊技球の移動を阻止する機能を果たして、第2大入賞部品120(可変入賞部品)への入賞率が向上するように構成されている。
【0025】
このように、ステージ47aよりも下方に位置する遊技領域30aにおける左側遊技領域ELと右側遊技領域ERとの境界には、壁構造体130が設けられ、当該壁構造体130を備えたことにより、右側遊技領域(一方の遊技領域)ERを流下する遊技球の左側遊技領域(他方の遊技領域)ELへの移動が阻止される一方、上部側壁構造体130Aとして機能する遊技球誘導壁部34の右下端部34yには、上下方向に連通する球通路51bが設けられ、遊技球は左側遊技領域ELであるステージ47aの右端部から球通路51bを経由して右側遊技領域ERの第2大入賞部品前領域129に流下可能であるが、右側遊技領域ERの壁際領域に流下した遊技球が球通路51bを経由してステージ47aの右端部への移動することは不可能なように構成される。
また、左側遊技領域ELと右側遊技領域ERとの間には、関係法規との関係から遊技球の直径よりも僅かに大径な寸法を有し、左側遊技領域EL,右側遊技領域ER間に上下方向に連通する球通路51bが形成されているが、右側遊技領域ER内の遊技球が球通路51bを遡って左側遊技領域EL内に進入することは不可能とされ、第1始動入賞部品50への入球ルートは左側遊技領域ELからのルートに限定されている一方で、第2大入賞部品120への入球ルートとしては、入球路34Tを経由する入球ルートと、ステージ47a及び球通路51bを経由する入球ルートが設けられている。
このような球通路51bを備えていることにより、遊技球が左側遊技領域ELのステージ47aから右側遊技領域ERに移動するといった特徴的な遊技球の動きを楽しめるようになり、遊技性が向上する。
また、遊技者が遊技球を右側遊技領域ERに着弾させようとして左側遊技領域ELに着弾させてしまった場合でも、当該左側遊技領域ELに着弾した遊技球がステージ47a及び球通路51bを経由して右側遊技領域ERに流入する可能性を遊技者に提供できる。
【0026】
また、詳細については後述するが、遊技球が左側遊技領域EL内に位置する第1始動入賞部品50、又は右側遊技領域ER内に位置する第2始動入賞部品52に入球すると、上記賞球の払出しの他、右側遊技領域ER内に位置する第1大入賞部品60及び第2大入賞部品120を開放動作させ、遊技者にとって有利な状態を醸成する特別遊技の可否に関する抽選(特図当否抽選)や、当該特別遊技の態様を決定する抽選を始めとする各種の抽選が主制御装置200により実行される。即ち、第1始動入賞部品50、又は第2始動入賞部品52への遊技球の入球は、上記各種の抽選を受ける契機となるものである。
【0027】
[左側遊技領域ELの盤面構成について]
以下、左側遊技領域ELの盤面構成について具体的に説明する。左側遊技領域ELには、第1始動入賞部品50と、中央アウト口69と、複合入球部品150及び一般入賞部品95が配設される。第1始動入賞部品50は、遊技盤30の左右方向略中心部に位置する入賞部品であって、上記演出表示部45の下部に延設されたステージ部47の下方に配設される。第1始動入賞部品50は、遊技盤30の盤面より前方に突出し、上方が開口した入賞口50A(第1始動入賞口)と、第1始動口検出スイッチSW1とを備え、入賞口50Aより内部に取り込まれた遊技球は、内部に配設された第1始動口検出スイッチSW1によって検出される。第1始動入賞部品50の位置は、左側遊技領域ELを流下する遊技球のみが入球し得る位置に設定されており、右側遊技領域ERを流下する遊技球が第1始動入賞部品50に入球することはない。
【0028】
図8に示すように、第1始動入賞部品50の第1始動口検出スイッチSW1は、主制御装置200と接続されており、主制御装置200は第1始動口検出スイッチSW1からの検出信号に基づいて前述した各種の抽選処理や、賞球を例えば3個払い出す賞球払出処理を実行する。
【0029】
第1始動入賞部品50の下方には、中央アウト口69が盤面に平行な開口として開設されている。中央アウト口69は、後述の連釘群G1によって第1始動入賞部品50側に誘導された遊技球を機外に排出するための回収口である。また、当該中央アウト口69は後述する他のアウト口(152,158,140)の内、遊技領域30aにおいて最も下流側に開設されている。中央アウト口69の左右方向中心は、第1始動入賞部品50の左右方向中心と一致している。即ち、中央アウト口69は第1始動入賞部品50の直下に開設される
【0030】
次に、連釘群G1について説明する。連釘群G1は、遊技盤30の左右方向略中心に位置する第1始動入賞部品50の側部から当該第1始動入賞部品50から離れる側である遊技盤30の左側部に向かって上傾斜するように配設された複数の遊技釘によって形成された誘導路である。連釘群G1を構成する複数の遊技釘のうち、最も上流に位置する遊技釘の左上側部には、振分風車K1が配設されている。振分風車K1は、上流から流下してきた遊技球をその回転により前記連釘群G1側又は連釘群G1から離れる側に振分ける機能を有する。
【0031】
図5は、連釘群G1の周囲を拡大して示す正面図である。同図に示すように、振分風車K1によって連釘群G1側に振分られた遊技球P1は、概ね矢印X3乃至X5に示すルートを通って流下する。ここで、矢印X3に示すルートは、連釘群G1に設けられた間隙Q1,Q2から下方に落下することなく第1始動入賞部品50側に向かうルートであって、第1始動入賞部品50に入球する可能性のあるルートである。
また、矢印X4に示すルートは、連釘群G1の上流側に設けられた遊技釘の存在しない間隙Q1から下方に落下し、後述する流下阻止領域R3に至るルートである。
また、矢印X5に示すルートは、連釘群G1に設けられた遊技釘の存在しない間隙Q2から下方に落下して第1始動入賞部品50側に向かうルートであるものの、第1始動入賞部品50との位置関係(上下関係)から第1始動入賞部品50に入球する可能性の極めて低いルートである。
このように、連釘群G1は、遊技盤30の左側部の左側遊技領域ELを流下する遊技球を遊技盤30の左右方向略中心に配設された第1始動入賞部品50側に誘導するものであって、本実施形態においては以下に説明する流下阻止領域R3の存在により当該連釘群G1上を経由する遊技球のみが第1始動入賞部品50に入球する可能性がある遊技球となる。
【0032】
図5に示すように、流下阻止領域R3は、連釘群G1よりも下流側に広がる領域であって、当該領域には振分風車K1によって振分けられた遊技球P2や、連釘群G1の間隙Q1より落下した遊技球P3が進入する。流下阻止領域R3は、上記連釘群G1と、内ガイド部28と、左側流下阻止壁33、及び複合入球部品150によって囲まれた領域であり、当該領域に進入した遊技球は遊技盤30の左右方向略中心に配設された第1始動入賞部品50又は中央アウト口69に入球することなく複合入球部品150によって回収される。
【0033】
複合入球部品150は、遊技盤30の盤面より前方に突出するとともに、弧状に延在する内ガイド部28の内周面に沿って配設される。弧状に延長する複合入球部品150には、上流から下流に渡って上側アウト口152、上側一般入賞口154、下側一般入賞口156及び下側アウト口158が所定の間隔を有して形成されている。
【0034】
上側アウト口152は、流下阻止領域R3内の最も上流側に位置する回収口であって、概ね矢印X5に示すルートを通る遊技球P2を機外に排出する。また、上側一般入賞口154は、上側アウト口152よりも下流、かつ下側一般入賞口156よりも上流側に位置する入賞口であって、概ね矢印X6に示すルートを通る遊技球P2を取り込む。当該上側一般入賞口154に入球した遊技球は、一般入賞口検出スイッチSW7によって検出された後、機外に排出される。また、下側一般入賞口156は、上側一般入賞口154よりも下流、かつ下側アウト口158よりも上流側に位置する入賞口であって、概ね矢印X7に示すルートを通る遊技球P2を取り込む。当該下側一般入賞口156に入球した遊技球は、一般入賞口検出スイッチSW7によって検出された後、機外に排出される。
【0035】
下側アウト口158は、流下阻止領域R3内の最も下流、かつ前述の中央アウト口69よりも上流に位置に位置する回収口であって、概ね矢印X8に示すルートを通る遊技球P2、及び概ね矢印X9に示すルートを通る遊技球P2,P3を機外に排出する。
【0036】
左側流下阻止壁33は、流下阻止領域R3内の最も下流に形成された下側アウト口158と対応するように、複合入球部品150の下流側端部より上方に延長する壁部である。左側流下阻止壁33は、下流側端部より遊技盤30の中央方向に傾斜しつつ屈曲部を介して垂直に延長し、連釘群G1を形成する遊技釘と接近して終端する。左側流下阻止壁33のうち、連釘群G1を形成する遊技釘と最も接近する上側壁部33aと、直上に位置する遊技釘との距離は遊技球の直径よりも狭く設定され、連釘群G1と上側壁部33aとの間から遊技球が流下することは不可能とされる。また、左側流下阻止壁33に至った遊技球はその傾斜に沿って下側アウト口158に入球して回収されることとなる。
【0037】
以上説明した通り、流下阻止領域R3は連釘群G1よりも下流側に至った遊技球が第1始動入賞部品50及び中央アウト口69側に流下することを阻止する領域であって、当該領域に至った遊技球は全て複合入球部品150に形成された上側アウト口152、上側一般入賞口154、下側一般入賞口156及び下側アウト口158のいずれかに入球して機外に排出されることとなる。
そして、本実施形態においては、遊技球を第1始動入賞部品50の方向に誘導する連釘群G1よりも下流に至った遊技球を流下阻止領域R3よりも下流側に流下させることなく当該領域を区画する複合入球部品150によって全て回収する構成としていることから、遊技者に対して連釘群G1よりも下流側に至った遊技球(死に球)が中央アウト口69方向に流下する様子を視認させることがなく、死に球が次々に中央アウト口69に入球することによって生じる不快感を与えることがないという効果を奏する。
【0038】
図2に戻り、一般入賞口95は前述の振分風車K1の左上方に配設される。一般入賞部品95は、上方開口の入賞部95aと、一般入賞口検出スイッチSW7とを備えており入賞部95aの開口(一般入賞口)から入球した遊技球は内部に収容された一般入賞口検出スイッチSW7により検出される。当該一般入賞口検出スイッチSW7は主制御装置200と接続されており、主制御装置200は一般入賞口検出スイッチSW7からの検出信号に応じて賞球を例えば3個払い出す賞球払出処理を実行する。なお、一般入賞部品95はこの他、第2大入賞部品120の左側部にも配設されているが基本的構成が同様であるため、説明を省略する。
【0039】
[右側遊技領域ERの盤面構成について]
以下、遊技領域30aの右側遊技領域ERの盤面構成について説明する。右側遊技領域ERには、第2始動入賞部品52と、通過ゲート58と、第1大入賞部品60と、第2大入賞部品120及び右側アウト口140が配設される。
【0040】
第2始動入賞部品52は、右側遊技領域ER内において第1大入賞部品60よりも上方に配設される。第2始動入賞部品52は、遊技盤30の盤面より前方に突出し、側部開口の入賞口(第2始動入賞口)52aと、第2始動口検出スイッチSW2と、入賞口52aの側部において開閉動作可能に設けられた開閉体53とを備える。
図2に示すように、第2始動入賞部品52は、透明なケーシングにより形成されており、遊技者は入賞口52aへの遊技球の入球有無を視認可能である。入賞口52a内に入球した遊技球は、内部に配設された第2始動口検出スイッチSW2により検出される。第2始動口検出スイッチSW2は主制御装置200と接続されており、主制御装置200は第2始動口検出スイッチSW2からの検出信号に基づいて前述した各種の抽選処理や、賞球を例えば3個払い出す賞球払出処理を実行する。
【0041】
開閉体53は、遊技盤30の背面側に配設されたソレノイドSOL1の駆動によって閉鎖状態と開放状態とを取り得る羽根状部材である。
図2に示すように、開閉体53が直立した閉鎖状態においては、開閉体53の自由端部が、遊技盤30の盤面より前方に突出し、上下方向に延在する流下阻止壁57の下端部と遊技球の直径未満の間隔で接近することから、遊技球は入賞口52aに入球することはできない。一方、開閉体53が閉鎖状態から右下方向に倒伏した開放状態においては、開閉体53の自由端部が流下阻止壁57の下端部と遊技球の直径以上の間隔を有して離間することから、遊技球は入賞口52aに入球可能となる。
【0042】
第2始動入賞部品52の上方には、通過ゲート58が配設される。通過ゲート58は、上下が開放した門型の遊技部品であって、その内部にはゲート検出スイッチSW3が格納されている。通過ゲート58を通過した遊技球は、ゲート検出スイッチSW3によって検出される。詳細については後述するが、主制御装置200は、ゲート検出スイッチSW3からの検出信号の入力を契機として前述の開閉体53の開放の可否に関する各種の抽選を実行する。
【0043】
第1大入賞部品60は、第2始動入賞部品52の下流側、かつ、第2大入賞部品の上流側に配設される入賞部品である。
図4は、第1大入賞部品60の内部構造を透過して示す正面図、
図6は第1大入賞部品60の縦断面図である。各図に示すとおり、第1大入賞部品60は、遊技盤30の盤面に対して、略面一となるように図外の固定手段を介して取り付けられる取付基盤62と、当該取付基盤62の前方に対向して取着される流路構造体70と、流路構造体70の内部に形成された落下通路72の上流側を開閉する開閉機構80と、落下通路72内に進入した遊技球を落下通路72の途中に形成された特定領域R1、又は落下通路72よりも下流側に設けられた非特定領域R2に振分ける振分機構100を主たる構成として備える。
【0044】
流路構造体70は、取付基盤62に正対して組み付けられる箱型の構造体であって、取付基盤62側に延長する図外の複数の取付ボスと、取付基盤62の前方に突設された図外の複数の取付突起とが嵌め合わされることにより、取付基盤62に一体的に組み付けられる。流路構造体70の内部には、遊技球が流下(落下)可能な落下通路72が形成されており、流路構造体70内に入球した遊技球は、落下通路72内を流下する過程において特定領域R1に入球するか、又は、落下通路72よりも下流側に設けられた非特定領域R2内に入球することとなる。以下、第1大入賞部品60の流路構造体70の構造を詳細に説明する。
【0045】
図4に示すように、流路構造体70の上部には、上側誘導壁74が前後方向に突設される。
図2からも分かるように、上側誘導壁74は右側遊技領域ER側の外ガイド部27と接し、第1大入賞部品60方向に緩やかに下傾斜する球受け部74aと、当該球受け部74aと連接し、外ガイド部27と略平行に下傾斜する球落下部74bと、当該球落下部74bと連接し、第1大入賞部品60方向に緩やかに下傾斜する球誘導部74cとを有する。また、
図5に示すように、上側誘導壁74の前縁部には、当該上側誘導壁74の延長方向に沿って上方に延出する前側誘導壁75が形成されている。
【0046】
図4の矢印Y1に示すように、右側遊技領域ERを流下して球落下部74bや球誘導部74cに到達した遊技球Pは、通常時において取付基盤62と前側誘導壁75との間をその傾斜に沿って第2大入賞部品前領域129に流下することとなる。
【0047】
また、後述する特別遊技が実行されている場合において、右側遊技領域ERを経て球誘導部74c上に到達した遊技球Pは、矢印Y2に示すように、当該球誘導部74cの途中に設けられた第1大入賞口65aを介して落下通路72内に進入する可能性がある。第1大入賞口65aは、球誘導部74cに開設された平面視矩形状の開口であって、球誘導部74cに到達した遊技球を1個ずつ落下通路72内に導入可能な大きさを有する。
【0048】
第1大入賞口65aは、特別遊技実行中以外の通常時においては、後述する開閉機構80の開閉体81によって閉鎖され、遊技球の入球が阻止される。一方で、特別遊技実行中においては開閉体81が後方に向けて所定の周期により開放動作することにより、遊技球の入球が許容される。
【0049】
図4に示すように、第1大入賞口65aと連通する落下通路72は、一側壁72aと他側壁72bとの間に形成される内部通路である。一側壁72a及び他側壁72bは、互いに実質的に垂直方向に延在して対向するとともに、遊技球の直径よりも僅かに広く、遊技球の直径の2倍未満の間隔を有して離間する。
より具体的には、落下通路72の左右寸法及び前後寸法は、直径約11mmの遊技球に対して+2mm〜5mm程度に設定するのが望ましい。つまり、落下通路72は、2個以上の遊技球が左右方向又は前後方向に並列に流下することが不可能とされるとともに、流下中に振動等の衝撃が加わった場合でも前後左右方向へのブレが極力小さくなる寸法に設定される。
【0050】
上記構成により、第1大入賞口65aに入球した遊技球は、実質的に垂直に延在する落下通路72内を自由落下し、そのタイミングによって特定領域R1内に入球するか、或いは落下通路72よりも下流側において連続して形成された球排出通路76に至る。このように、本実施形態に係る落下通路72は、第1大入賞口65aと連通して垂直に延在する通路として形成されているため、第1大入賞口65aに入球した遊技球は、当該第1大入賞口65aから後述の球排出通路76に至るまでの間に通路内において滞留することなく、毎回ほぼ同じ速さで落下通路72を流下(落下)することとなる。なお、ここで実質的に垂直としたのは、製造誤差や遊技盤30配設時の前後左右方向の傾きの誤差等を考慮したものであり、水平面に対して直角である場合はもちろん、上記誤差によって生じる直角以外の角度を含むものであり、少なくとも第1大入賞口65aから特定領域R1までの遊技球の自由落下を保証し得る角度である。
【0051】
落下通路72の途中には、第1大入賞口検出スイッチSW4が配設される。第1大入賞口検出スイッチSW4は、他側壁72b側に形成された収容部73によって一側壁72a及び他側壁72b間に横架するように支持されており、落下通路72内を流下する全ての遊技球を検出する。また、第1大入賞口検出スイッチSW4は、主制御装置200と接続されており、主制御装置200側では、当該第1大入賞口検出スイッチSW4からの検出信号の入力に基づいて賞球を例えば15個払い出す賞球払出処理を実行する。
【0052】
垂直に延在する落下通路72と連通する球排出通路76は、一側壁72aと連続して第1始動入賞部品50側に向けて緩やかに下傾斜する上部壁76aと、他側壁72bと連続して上部壁76aと平行に第1始動入賞部品50側に向けて緩やかに下傾斜する下部壁76bとの間に形成される内部通路である。球排出通路76の終端部近傍には、遊技球を後方へ排出可能とする非特定領域R2を形成する排出口76cが開設されている。落下通路72を経て球排出通路76の排出口76cに至る全ての遊技球は、遊技盤30の後方に配設された図外の排出検出スイッチによって検出された後、排出機構を経由して機外に排出される。
【0053】
落下通路72に配設された第1大入賞口検出スイッチSW4よりも下方、かつ、球排出通路76よりも上流側の落下通路72の途中には、特定領域R1が設けられる。特定領域R1は、入球口としての特定領域取込口77と、当該特定領域取込口77の上方において前後方向に進退動作する取込阻止体102と、特定領域取込口77の下方において前後方向に進退動作する振分開閉体105とから構成される領域である。
詳細については後述するが、特別遊技の実行中において落下通路72を流下中の遊技球が振分開閉体105の進退動作によって特定領域R1を形成する特定領域取込口77内に入球すると、遊技状態を遊技者にとって有利な状態とする所定の遊技状態更新処理が主制御装置200により実行され、特別遊技終了後の遊技状態が遊技者にとって有利な遊技状態に切り替えられる。
以下、第1大入賞口65aを閉鎖又は開放する開閉体81を有する開閉機構80、及び取込阻止体102及び振分開閉体105を有する振分機構100について説明する。
【0054】
図6に示すように、開閉機構80及び振分機構100は、取付基盤62の後方に重ねて配設されたユニット板91の後面に対して上下方向に隔てて取り付けられる。
図6,
図7(a)に示すように開閉機構80は、下部ケーシング82内に格納されたソレノイドSOL2と、下部ケーシング82の上部に組み付けられた上部ケーシング83内に格納された開閉体81と、当該開閉体81と前記ソレノイドSOL2とを連結して開閉体81を前後方向に進退動作(開閉動作)させるリンク85とを主たる構成として備える。
ソレノイドSOL2は、導通時及び非導通時におけるプランジャp1の進退方向が前後方向となるように下部ケーシング82内に格納された開閉体81の駆動源であって、主制御装置200と電気的に接続される。プランジャp1の前端部には、リンク85の略中心部に形成された支持孔85aを介してリンク85が回転自在に取り付けられる。
【0055】
リンク85は、下部ケーシング82及び上部ケーシング83に渡って上下方向に延在する板状部材である。リンク85の下端部は、下部ケーシング82の側面に形成された支承部82aによって回転可能に支持されている。一方、リンク85の上端部は、スライダ86の側部に対して回転可能に接続されている。
【0056】
図6,
図7(a)に示すようにスライダ86は、両側部において前後方向に隔てて突設された軸部87a;87bが上部ケーシング83の両側部に開設されたガイド部83aに摺動可能に支持された状態で上部ケーシング83内に格納されており、上部ケーシング83内を前後方向に進退移動可能である。また、スライダ86の前部には、開閉体81が前方に向けて突設されている。
【0057】
開閉体81は、L字状に屈曲する部位を有して、その先端部がユニット板91に開設された開口部91aを介して取付基盤62に開設された突出開口62aよりも前方に突出する突出板部81aを有している。
図6に示すように、突出板部81aの平面形状は、球誘導部74cの途中に設けられた前述の第1大入賞口65aの平面形状と略対応する横長台形状に形成されており、突出板部81aが突出開口62aよりも前方に突出した状態では、第1大入賞口65aが閉鎖状態とされ、遊技球が第1大入賞口65aに入球することが阻止される。
【0058】
一方、主制御装置200による駆動制御によりソレノイドSOL2が通電された場合、プランジャp1はバネに抗して後方に吸引され、プランジャp1の前端部と連結されたリンク85は、支承部82aによって回転可能に支持された下端部を回転中心として後方に向かって回転する。そして、リンク85の上端部に接続されたスライダ86は、リンク85の後方への回転動作に伴って後方に移動する。そして、スライダ86の後方移動により開閉体81の突出板部81aの先端部は突出開口62a内に収容され、第1大入賞口65aは遊技球の入球が可能な開放状態とされる。
【0059】
このように開閉機構80は、第1大入賞口65aを閉鎖状態又は開放状態とする開閉体81を備えており、開閉体81の駆動源としてのソレノイドSOL2が主制御装置200によって駆動制御されることにより、第1大入賞部品60の第1大入賞口65a(落下通路72)内への遊技球の入球を阻止又は許容する。
【0060】
次に、上記開閉機構80の下方に配設された振分機構100について説明する。
振分機構100は、上述の下部ケーシング82に対して一体に組み付けられる上部ケーシング101内に格納されるソレノイドSOL3及び、当該ソレノイドSOL3の進退動作に連動して前後方向に進退動作する取込阻止体102と、上部ケーシング101の下部に組み付けられた下部ケーシング103内に格納された振分開閉体105と、当該振分開閉体105と前記ソレノイドSOL3とを連結して振分開閉体105を前後方向に進退動作(開閉動作)させるリンク110とを主たる構成として備える。
【0061】
図6に示すように、ソレノイドSOL3は、導通時及び非導通時におけるプランジャp2の進退方向が前後方向となるように上部ケーシング101内に格納された取込阻止体102及び振分開閉体105の駆動源であって、主制御装置200と接続される。プランジャp2の前端部には、取込阻止体102の後部から後方に延出する係止部102bが係止される。
【0062】
図7(b)に示すように、取込阻止体102は上部ケーシング101内において前後方向に延在する板部102aと係止部102bとからなる。板部102aは、前述の特定領域取込口77の上縁部の幅方向の寸法と略同一寸法に形成された矩形状であり、前端部中央には、前方に突出する凸部102cが形成される。係止部102bは、板部102aの後端部から上方に立ち上がる部位と水平に延在する部位とから構成され、リンク110の軸部110aを跨ぐL字状である。
図6に示すように、係止部102bの下面には溝部が形成されており、当該溝部を介してプランジャp2の先端と取込阻止体102とが接続される。
【0063】
図7(b)に示すように、振分開閉体105は、下部ケーシング103の前後方向に広がる内部空間の大きさに対応して前後方向に延長する矩形の板体であって、傾斜面として形成された先端部106と、先端部106から後方に向かって延在する枠部107とからなる。
先端部106は、前後方向中心部から前方に向かって下傾斜する前側面106aと、前後方向中心部から後方に向かって下傾斜する後側面106bとを有する。枠部107は、先端部106の左右端部から後方に向かって延長する上下開放の額縁状部材である。枠部107は、先端部106の左右端部から互いに対向して立ち上がる一対の左右壁107a;107aと、左右壁107a;107aの後端において左右壁107a;107a同士を接続する後壁107bとからなり、先端部106によって取り込まれた遊技球を後方に案内しつつ下方に流下させる。一対の左右壁107a;107aの外側面は下部ケーシング103の側壁と摺接するガイド面として形成されており、当該ガイド面には、内側方向に窪む図外の凹部が形成される。当該凹部にはリンク110のアーム部110bの先端部に突設された凸部112;112が回転自在にはめ込まれる。
【0064】
リンク110は、左右方向に延在する棒状の軸部110aと、当該軸部110aの両端より下方に延在する一対のアーム部110b;110bとを有するコの字状であって、一対のアーム部110b;110bが振分開閉体105を左右方向に跨ぐように取り付けられる。軸部110aとアーム部110b;110bとが交わる側面にはそれぞれ外側方向に突出する凸部114;114が突設され、当該凸部114;114は、下部ケーシング103の側壁に形成された図外の凹部により回転自在に支承される。
【0065】
次に、上記構成からなる振分機構100におけるソレノイドSOL3の非導通時及び導通時における取込阻止体102及び振分開閉体105の連動動作について説明する。
図6は、ソレノイドSOL3の非導通時の状態を示し、同図においてプランジャp2は、バネの付勢により伸長状態に維持され、取込阻止体102の板部102aは前方に押し込まれた状態となり、凸部102cの上面は、特定領域取込口77の上縁と近接、かつ、その前端面が取付基盤62の表面と略面一の状態となる。この状態において、凸部102cの下面から下方に位置する振分開閉体105の上下方向の寸法L1は、遊技球の直径よりも狭く、落下通路72を流下中の遊技球が特定領域取込口77内に入球することは不可能とされる。
【0066】
一方、ソレノイドSOL3が通電状態となると、プランジャp2がバネに抗して後方に吸引され、取込阻止体102の板部102aが後方に引き込まれた状態となる。そして、板部102aが後方に引き込まれた状態においてリンク110の軸部110aは、板部102aの裏面により後方に押し込まれる。当該軸部110aが後方に押し込まれることにより、アーム部110b;110bは、凸部114;114を中心として前方に傾動動作し、アーム部110b;110bの凸部112;112によって支持された振分開閉体105が前方に向かって押し込まれる。振分開閉体105が前方に押し込まれると、
図5の二点鎖線で示すように、振分開閉体105の先端部106が特定領域取込口77よりも前側に突出し、特定領域取込口77と落下通路72との間が先端部106によって橋渡しされた状態となる。
【0067】
さらに上記状態において、凸部102cが後方に退避することにより特定領域取込口77の上縁から下方に位置する振分開閉体105の上下方向の寸法L2は、遊技球の直径よりも広くなり、落下通路72を流下中の遊技球は、そのタイミングに応じて振分開閉体105によって後方に誘導され、下部ケーシング103内に取り込まれる。
下部ケーシング103内に取り込まれた遊技球は、振分開閉体105の下方に格納された特定領域検出スイッチSW5によって検出された後、図外の排出機構を通じて機外に排出される。詳細については後述するが、特定領域検出スイッチSW5は、主制御装置200と接続されており、主制御装置200は特別遊技中において当該特定領域検出スイッチSW5からの検出信号に基づいて遊技状態を遊技者にとって有利な遊技状態に更新する処理を実行する。
【0068】
このように、振分機構100はソレノイドSOL3の駆動制御に応じて進退動作する取込阻止体102及び振分開閉体105を備えており、振分開閉体105が落下通路72側に突出した開放状態において落下通路72を流下中の遊技球の特定領域取込口77への入球を許容する。一方、振分開閉体105が特定領域取込口77内に収容された閉鎖状態において落下通路72を流下中の遊技球の特定領域取込口77への入球を阻止して、落下通路72よりも下流側に設けられた非特定領域R2に振分ける。
【0069】
次に、第2大入賞部品120について概説する。
図2に示すように、第2大入賞部品120は、遊技盤30の盤面より前方に突出し、側部が開口した矩形状の入賞部(第2大入賞口)120aと、第2大入賞口検出スイッチSW6と、入賞部120aの側部において開閉動作可能に設けられた開閉体125とを備える。
図2に示すように、矩形状の入賞部120aは透明なケーシングにより形成されており、遊技者は入賞部120aへの遊技球の入球有無を視認可能である。入賞部120aの側部開口(第2大入賞口)に入球した遊技球は、内部に配設された第2大入賞口検出スイッチSW6により検出される。第2大入賞口検出スイッチSW6は、主制御装置200と接続されており、主制御装置200は第2大入賞口検出スイッチSW6からの検出信号に基づいて賞球を例えば15個払い出す賞球払出処理を実行する。
【0070】
開閉体125は、開閉体53と同様に遊技盤30の背面側に配設されたソレノイドSOL4の駆動によって閉鎖状態と開放状態とを取り得る羽根状部材である。
図2に示すように、開閉体125が直立した閉鎖状態においては、開閉体125の自由端部が、下部側壁構造体130Bと遊技球の直径未満の間隔で接近することから、遊技球は入賞部120aの第2大入賞口に入球することはできない。一方、開閉体125が左右方向に倒伏した開放状態においては、開閉体125の自由端部が下部側壁構造体130Bと遊技球の直径以上の間隔を有して離間することから、遊技球は第2大入賞口に入球可能となる。
【0071】
右側アウト口140は、上記右側遊技領域ERにおいて、上述の各入賞部品に入球することなく流下した遊技球の全てを機外に排出するための回収口であり、右側遊技領域ER内において最も下流側に開設されている。尚、
図4に示すように、中央アウト口69、右側アウト口140、開閉体125、入賞部(第2大入賞口)120aの前方には、透明な前カバー131R;131fが設けられ、これら前カバー131R;131fは下部側壁構造体130Bに固定されている。
このように、右側アウト口140が右側遊技領域ER内において最も下流側に開設され、閉鎖状態の開閉体125に衝突した遊技球が開閉体125によって右側アウト口140に誘導されるように構成されている。このため、直立した閉鎖状態の開閉体125の下端と遊技領域30aの下端との間に遊技球を中央アウト口69に誘導するための誘導路を形成する必要が無くなるので、開閉体125を遊技領域30aの下端側に配置でき、開閉体125の上方側の遊技領域30aのスペースを広く確保できるようになる。
【0072】
[パチンコ機の内部構成について]
図8は、パチンコ機1の制御を担う制御手段の構成を示すブロック図である。同図に示すように、パチンコ機1は、主として遊技全般に係る基本動作を制御する主制御装置200と、主として賞球の払出動作を制御する払出制御装置250と、主として遊技球の発射を制御する発射制御装置260と、前述の演出表示装置450を制御する演出制御装置300とを備える。
【0073】
主制御装置200は、(メイン)CPU200a、(メイン)ROM200b、及び(メイン)RAM200cを備えてなり、CPU200aが、各検出スイッチやタイマからの入力に対応してROM200bに予め格納されたプログラムを読み出して、当該プログラムに従った演算処理を行い、主制御装置200に接続された上述の各ソレノイドSOL1〜SOL4や、遊技盤30の遊技領域30aの外方に配設された第1特別図柄表示装置35a、第2特別図柄表示装置35b、第1特別図柄保留表示装置36a、第2特別図柄保留表示装置36b、普通図柄表示装置37、及び普通図柄保留表示装置38といった各表示装置を直接的に制御したり、他の制御装置に多様なコマンドを送信する。また、このときRAM200cは、CPU200aの演算処理時におけるワークエリアとして機能し、演算に必要な各種のデータや、コマンドを一時的に保持する。
【0074】
主制御装置200には、払出制御装置250、及び演出制御装置300が接続されている。払出制御装置250は、主制御装置200と同様に不図示のCPU、ROM、RAMを備えたマイクロコンピュータであって、主制御装置200と一方向通信可能に接続されている。当該払出制御装置250には、外部情報出力端子板251が接続されている。外部情報出力端子板251は、主制御装置200(CPU200a)及び払出制御装置250(払出CPU)から出力された遊技の進行に関する種々の情報をパチンコ機1の設置店等に設けられたホストコンピュータ側に送信する。
【0075】
また、払出制御装置250には、遊技者に対して賞球を払い出すための払出モータ252、及び賞球数計数スイッチ253が接続されている。払出制御装置250は、主制御装置200から送信される払出コマンドに含まれる賞球数情報に基づいて所定の賞球数が払い出されるように払出モータ252を制御する。当該払出モータ252の駆動により払い出された賞球は、賞球数計数スイッチ253により検出され、払出制御装置250側において、適正な賞球数が払い出されたかが把握される。なお、払出制御装置250には、この他、受皿6に許容数以上の遊技球が貯留されていることを検知する皿満タン検出スイッチや、本体枠3の扉が開放していることを検知する扉開放検出スイッチ等の各種のスイッチが接続される。
【0076】
発射制御装置260には、ハンドルユニット7内に搭載されたタッチセンサ261、発射ボリューム262、図外の発射機構内に受皿6に貯留された遊技球を送り込む球送りモータ263、及び発射機構内に格納された球発射モータ264が接続されており、発射制御装置260は、払出制御装置250からの発射許可およびタッチセンサ261からの入力を条件として、遊技者によるハンドルユニット7の操作量に応じて変化する発射ボリューム262からの入力信号に基づいて球発射モータ264を制御し、受皿6に貯留された遊技球を所定の発射力により遊技領域30a内に打ち出す。
【0077】
演出制御装置300は、遊技進行中や待機中における各種の演出を制御する。
演出制御装置300は、(サブ)CPU300a、(サブ)ROM300b、(サブ)RAM300cを備えてなり、主制御装置200に対して、主制御装置200から演出制御装置300に対してのみ通信(一方向通信)が可能なように接続されている。当該演出制御装置300は、主制御装置200から送信される演出に関する各種のコマンドや内部タイマからの入力信号に基づいて、ROM300bに予め格納されたプログラムを読み出して、当該プログラムに従った演算処理を行い、演出制御装置300に接続された演出表示装置450の演出表示部45の画像制御、遊技進行中における楽曲や効果音などの音声をスピーカユニット8から出力させる音声出力制御や、図外の可動体を動作させるソレノイドやモータ等の駆動手段を動作させる可動体駆動制御、或いは遊技盤30及びパネル枠4等の各所に配設された発光体(LED)57を多様なパターンにより発光させる発光制御を実行する。このときRAM300cは、CPU300aの演算処理時におけるワークエリアとして機能し、演算に必要な各種のデータや、コマンド等を一時的に保持する。
また、演出制御装置300は、CPU300aと接続され、当該CPU300aより送信される画像表示に係る各種のコマンドを受信して演出表示部45に多様な画像を表示するためのVDP、及び上記画像表示処理中に必要な各種のデータ等を一時的に保存するVRAM、音声制御のための音声合成LSI等、各種制御に必要なハードウェアを備えている。また、演出制御装置300には、遊技者の任意に操作可能な前述の操作機構9が接続されており、例えば当該操作機構9の操作タイミングに合せて前述の各制御を実行し、操作機構9の操作タイミングに従った所定の演出を表現することが可能である。
【0078】
以下、上記構成からなるパチンコ機1の遊技の流れについて概説する。
遊技者のハンドルユニット7の操作により遊技領域30a内を流下する遊技球が前述の第1始動入賞部品50又は第2始動入賞部品52に入球すると、主制御装置200では特別遊技(所謂大当り遊技)の実行可否に関する抽選(以下、特図当否抽選ともいう)、特別図柄の種類を決定する抽選(以下、特図種別決定抽選ともいう)、特別図柄の変動パターンを決定する抽選(以下、特図変動パターン決定抽選ともいう)等の種々の抽選を実行する。
そして、上記抽選のうち、特図当否抽選の結果が「当り」である場合には、前述の第1大入賞部品60及び第2大入賞部品120を開放動作させ、遊技球の入球を容易とする特別遊技が実行される。以下、各抽選の概要について説明する。
【0079】
まず、遊技球が第1始動入賞部品50又は第2始動入賞部品52に入球すると、上記特図当否抽選において参照される特図当否判定乱数や、特図種別決定乱数、第1変動パターン決定乱数、第2変動パターン決定乱数等、種々の乱数が同時に取得され、当該取得された乱数がRAM200cの保留記憶領域に格納される。なお、以下の説明においては、第1始動入賞部品50への入球を契機として取得される上記種々の乱数を総称して特1保留といい、第2始動入賞部品52への入球を契機として取得される上記種々の乱数を総称して特2保留という場合がある。
【0080】
上記保留記憶領域は、特1保留、及び特2保留をそれぞれ独立して記憶可能な第1特図保留記憶領域と第2特図保留記憶領域とを備えている。第1特図保留記憶領域および第2特図保留記憶領域は、それぞれ4つの記憶部(第1〜第4記憶部)を有している。
そして、第1始動入賞部品50に遊技球が入球すると、特1保留を第1特図保留記憶領域の第1記憶部から順に記憶し、第2始動入賞部品52に遊技球が入球すると、特2保留を第2特図保留記憶領域の第1記憶部から順に記憶する。ただし、第1特図保留記憶領域および第2特図保留記憶領域に記憶可能な特1保留数(Z1)および特2保留数(Z2)は、それぞれ4つに設定されており、各保留記憶領域の上限を超えて保留数(Z1,Z2)が増加することはない。
【0081】
[特図当否抽選について]
図9は、特図当否抽選に係る処理において参照される特図当否判定テーブルTBの概要を示す図である。遊技球が、第1始動入賞部品50又は第2始動入賞部品52に入球すると、0〜65535の範囲から1つの特図当否判定乱数が取得される。
同図に示すように特図当否判定テーブルTBは、遊技状態が特図低確率である場合に参照される低確率用特図当否判定テーブルTB1と、遊技状態が特図高確率である場合に参照される高確率用特図当否判定テーブルTB2とに細分化されている。特図当否判定テーブルTB1,TB2には、0〜65535までの特図当否判定乱数に対応する判定結果(「当り」又は「ハズレ」)が規定されている。例えば、低確率用特図当否判定テーブルTB1が参照された場合に判定結果が「当り」となる確率は、約399分の1であり、これに対して高確率用特図当否判定テーブルTB2が参照された場合に判定結果が当りとなる確率は、10倍の約39.9分の1である。そして、上記取得された特図当否判定乱数が、「当り」と対応する乱数である場合は判定結果が当りとなり、「ハズレ」と対応する乱数である場合は判定結果がハズレと判定される。上記特図当否判定乱数及び特図当否判定テーブルTBに基づいて、特別遊技の可否に関する所定の抽選結果(「当り」又は「ハズレ」)を決定する特図当否抽選に係る処理を実行するCPU200aが、本実施形態における当否抽選手段に相当する。
なお、上記特図当否判定テーブルTB1,TB2においては、判定結果を「当り」,「ハズレ」の2通りとしたがこの他、「小当り」を付加したテーブルとしてもよい。ここで、「小当り」とは、例えば第2大入賞部品120の開閉体125を開放動作させ、遊技球の入球を容易とする遊技の開放時間が特別遊技よりも少ない遊技であり、小当りによる遊技終了後に、小当り遊技開始前と遊技状態が変わることがない遊技である。
【0082】
また、詳細については後述するが、特図低確率状態とは、上記特図当否抽選において低確率用特図当否判定テーブルTB1を参照して抽選結果を判定する遊技状態である。一方、特図高確率状態とは、特図当否抽選において高確率用特図当否判定テーブルTB2を参照して抽選結果を判定する遊技状態であり、特図低確率状態と比べて判定結果が「当り」となり易く、前述の特別遊技を獲得し易い状態である。
【0083】
[特図種別決定抽選について]
図10は、特図種別決定抽選に係る処理において参照される特図種別決定テーブルTBの概要を示す図である。同図に示すように、特図種別決定テーブルTBは、特図種別決定乱数が第1始動入賞部品50への入球を契機として取得され、前述の特図当否抽選の結果が当りである場合に参照される特図種別決定テーブルTB1と、特図種別決定乱数が第2始動入賞部品52への入球を契機として取得され、前述の特図当否抽選の結果が当りである場合に参照される特図種別決定テーブルTB2と、特図当否抽選の結果がハズレである場合に参照される特図種別決定テーブルTB3とに細分化される。
【0084】
第1始動入賞部品50又は第2始動入賞部品52に入球すると、例えば0〜99の範囲から1つの特図種別決定乱数が取得される。同図に示すように、特図種別決定テーブルTB1,TB2には、0〜99までの特図種別決定乱数に対応する特別図柄種別が所定の割合(選択率)で規定されている。例えば、特図種別決定テーブルTB1が参照され、取得された特図種別決定乱数が0〜65の範囲である場合には、特図種別が特別図柄Aとして決定され、66〜99の範囲である場合には、特図種別が特別図柄Bとして決定される。
つまり、第1始動入賞部品50への入球を契機とする特図当否抽選の結果が「当り」となり、特図種別決定テーブルTB1が参照された場合の特別図柄A及び特別図柄Bの選択率は、それぞれ66%、34%となる。
【0085】
また、特図種別決定テーブルTB2が参照された場合、取得された特図種別決定乱数に関わらず、特図種別が特別図柄Bとして決定される。つまり、第2始動入賞部品52への入球を契機とする特図当否抽選の結果が当りとなり、特図種別決定テーブルTB2が参照された場合には、特別図柄Bの選択率が100%となる。上記特図種別決定乱数と特図種別決定テーブルTBとに基づいて特図種別を決定する特図種別抽選に係る処理を実行するCPU200aが、本実施形態における特図種別抽選手段に相当する。
【0086】
また、特図種別決定テーブルTB3は、上記特図当否抽選の結果が「ハズレ」である場合に参照され、取得された特図種別決定乱数の範囲、及び特図種別決定乱数の取得契機に関わらず特図種別が無条件に特別図柄X(ハズレ図柄X)に決定される。
【0087】
[特図変動パターン決定抽選について]
図11は、上記特図変動パターン決定抽選において参照される変動パターン決定テーブルTBの概要を示す図である。なお、同図では遊技状態が後述する特図低確率かつ普図低確率である場合に参照される変動パターン決定テーブルTB1を例示しているが、遊技状態が後述する特図高確率かつ普図高確率である場合に参照される変動パターン決定テーブルTB2や、例えば特別遊技の終了からの遊技回数が所定の回数に達するまでの間に参照される特殊なテーブル等、複数のテーブルが存在する。第1始動入賞部品50又は第2始動入賞部品52に入球すると、例えば0〜99の範囲から1つの第1変動パターン決定乱数が取得され、同じく0〜99の範囲から1つの第2変動パターン決定乱数が取得される。
【0088】
同図に示すように、変動パターン決定テーブルTBには、前述の抽選により決定された特図当否抽選の結果(特図判定結果)及び、特図種別抽選の結果、現在の保留記憶数に応じて、第1変動パターン決定乱数に対応して異なる複数の識別子によって表される第1変動パターンが規定されている。また、該規定される第1変動パターンと2変動パターン決定乱数に対応して異なる複数の識別子によって表される第2変動パターンが規定されている。なお、本実施形態では特図判定結果が「ハズレ」である場合には、特図種別に依らず、現在の保留記憶数に応じて各変動パターン(識別子)が決定される。また、本実施形態では、特図判定結果が「当り」である場合には、現在の保留記憶数に依らず各変動パターン(識別子)が決定される。
ここで、第1変動パターンとは、例えば演出図柄が変動を開始してから所定時間(前半部=リーチ形成前)までの演出態様を示すものであり、本例においては、第1変動パターンごとに例えば「弱予告1」〜「弱予告N」(Nは整数。以下同様),「強予告1」〜「強予告N」,「疑似1」〜「疑似3」等といった異なる複数の演出態様(演出系列)とともに、所定の秒数が規定されている。
また、第2変動パターンとは、例えば演出図柄が変動を開始してから前記所定時間経過後(後半部=リーチ形成後)の演出態様を示すものであり、本例においては第2変動パターンごとに「リーチ発展なし」,「スーパー1」〜「スーパーN」,「プレミア1」〜「プレミアN」等といった複数の異なる演出態様(演出系列)とともに、所定の秒数が規定されている。また、図示は省略しているが、第1変動パターンが「リーチなし」の場合の演出態様及び所定の秒数についても規定されている。
また、第1変動パターンの秒数、及び第2変動パターンの秒数を合算した秒数は、第1特別図柄表示装置35a又は第2特別図柄表示装置35b上で表示される特別図柄の変動表示時間、及び演出表示部45上で特別図柄の変動表示と略同期して変動表示される演出図柄Sの変動表示時間となる。
【0089】
上記変動パターン決定テーブルTBから、第1変動パターン決定乱数及び第2変動パターン決定乱数に対応する第1変動パターン及び第2変動パターンが決定されると、それぞれの変動パターンを表す識別子と秒数に関する情報を含む変動パターンコマンドが演出制御装置300側に送信され、演出図柄Sの変動表示とともに、各変動パターンに従った種々の演出を表現する変動演出が演出表示部45上に表示されることとなる。また、主制御装置200は、上記変動パターンコマンドの送信と同時に第1特別図柄表示装置35a又は第2特別図柄表示装置35bを制御し、いずれかの表示装置上において特別図柄の変動表示を開始させる。その後、主制御装置200は、上記変動表示時間が経過したことに基づいて、第1特別図柄表示装置35a又は第2特別図柄表示装置35bを制御して特別図柄の変動を停止させるとともに、演出制御装置300側に後述する特図停止指定コマンドを送信し、演出表示部45上において変動表示される演出図柄の変動を停止させる。なお、本例においては、第1変動パターン及び第2変動パターンを個別に決定するものとしたが、単一の変動パターンを決定し、その変動パターンにより変動パターンコマンドを送信してもよい。
上記第1変動パターン決定乱数及び2変動パターン決定乱数と、変動パターン決定テーブルTBとに基づいて、少なくとも図柄の変動時間を含む変動パターンを決定する特図変動パターン決定抽選に係る処理を実行するCPU200aが本実施形態に係る図柄変動情報決定手段に相当する。
【0090】
以上説明したとおり、主制御装置200は、特別図柄の変動開始時に上述の特図当否抽選,特図種別決定抽選、及び特図変動パターン決定抽選に係る処理を実行し、特別図柄及び演出図柄の最終的な停止の態様によって、特別遊技実行の可否と関連する特図当否抽選の結果を報知する。また、以下、これら特別遊技の実行に関わる各種の抽選処理を総称して特図遊技という場合がある。なお、一般的に遊技者は、特別図柄の変動表示と同期して変動表示される演出図柄Sの停止態様によって特図当否抽選の結果を認識することとなる。
【0091】
[特別遊技について]
図12は、前述の特図当否抽選の結果が「当り」であることを示す態様で特別図柄及び演出図柄Sが停止表示された後に、遊技者にとって有利な特別遊技(大当り遊技)が実行される場合に参照される特別遊技制御テーブルTBの概要を示す図である。特別遊技制御テーブルTBには、特別遊技を制御するための各種データが記憶されており、主制御装置200は、特別遊技中において当該テーブルを参照して第1大入賞部品60の開閉体81と対応するソレノイドSOL2及び振分開閉体105と対応するソレノイドSOL3、或いは、第2大入賞部品120の開閉体125と対応するソレノイドSOL4を駆動制御する。
なお、特別遊技制御テーブルTBは、特図種別ごとに複数設けられており、決定された特図種別に応じて対応するテーブルが特別遊技の開始時にセットされるが、ここでは1つのテーブルに全ての特図種別に対応する制御データを示す。
【0092】
本実施形態における特別遊技は、第1大入賞部品60の開閉体81が開放動作されるラウンド遊技と、第2大入賞部品120の開閉体125が開放動作される複数のラウンド遊技とが組み合わされて構成されている。本例においては、特別電動役物最大作動回数(1回の特別遊技中に実行されるラウンド遊技の最大回数)が特図種別に依らず15回(15R(ラウンド))に設定されており、例えば1R目から13R目までのラウンド遊技では第2大入賞部品120の開閉体125が開放動作され、14R目のラウンド遊技では第1大入賞部品60の開閉体81及び振分開閉体105が開放動作され、15R目には再び第2大入賞部品120の開閉体125が開放動作されるというように、1回の特別遊技において第1大入賞部品60と第2大入賞部品120とが切り替わって動作する。
また、特別遊技制御テーブルTBには、オープニング時間(最初のラウンド遊技が開始されるまでの待機時間)、特別電動役物開閉切替回数(1R中の開放回数)、各ソレノイド通電時間(第1大入賞口開放時間,振分開閉体開閉時間,第2大入賞口開放時間)、規定数(1R中の最大入賞可能数)、大入賞口閉鎖有効時間(ラウンド遊技間の大入賞口の閉鎖時間(インターバル時間))、エンディング時間(最後のラウンド遊技が終了してから、通常の遊技(特別図柄の変動表示)が再開されるまでの待機時間)が、特図種別ごとに予め記憶されている。
【0093】
[遊技状態について]
図13は、上述の特別遊技が実行された場合に、当該特別遊技後の遊技状態を設定するために参照される遊技状態設定テーブルTBの概要を示す図である。同図に示すように、遊技状態設定テーブルTBには、前述の特定領域R1への入球、より具体的には特定領域検出スイッチSW5からの検出信号の有無に対応して、特図低確率及び普図高確率と、特図高確率及び普図高確率とのいずれかの組み合わせに係る遊技状態が規定されている。
【0094】
ここで、特図低確率とは、前述の特図当否抽選において、
図9に示す低確率用特図当否判定テーブルTB1が参照される状態(当り確率=399分の1)である。また、特図高確率とは、
図9に示す高確率用特図当否判定テーブルTB2が参照される状態(当り確率=39.9分の1)である。
また、普図低確率とは、前述の特図変動パターン決定抽選において、
図11に示す変動パターン決定テーブルTB1が参照され、後述の普図当否抽選において、
図14に示す低確率用普図当否判定テーブルTB1が参照され、判定結果が「当り」の場合に
図15に示す低確率用普図変動パターン決定テーブルTB1が参照される状態である。
【0095】
また、普図高確率とは、前述の特図変動パターン決定抽選において、決定される変動時間(秒数)が相対的に短く規定された図外の変動パターン決定テーブルTB2が参照され、後述の普図当否抽選において、
図14に示す高確率用普図当否判定テーブルTB2が参照され、判定結果が「当り」の場合に
図15に示す高確率用普図変動パターン決定テーブルTB2が参照される状態である。
【0096】
図13に示す遊技状態設定テーブルTBによれば、特別遊技の14R目に動作する振分開閉体105により、遊技球が特定領域R1に振分けられなかった場合には、当該特別遊技後の遊技状態は、特図低確率、かつ、普図高確率の遊技状態となり、当該遊技状態は、前述の特別図柄及び演出図柄Sの変動が100回実行されるまで継続し、以降、特図低確率、かつ、普図低確率の状態に移行(転落)する。
一方、振分開閉体105の動作により遊技球が特定領域R1に振分けられた場合には、当該特別遊技後の遊技状態は、特図高確率、かつ、普図高確率の遊技状態となり、当該遊技状態は、前述の特別図柄及び演出図柄Sの変動が150回実行されるまで継続し、以降、特図低確率、かつ、普図低確率の状態に移行(転落)する。
なお、特図種別の数、及び遊技状態の組み合わせは上述のものに限られることなく、特図種別をさらに細分化して設定することにより、特別遊技の態様や特別遊技後の遊技状態をさらに細分化することも可能である。
【0097】
以上説明したとおり、パチンコ機1においては、第1始動入賞部品50又は第2始動入賞部品52への入球を契機とする各種の抽選が実行され、上記各種抽選の結果が所定の結果である場合に、遊技者にとって有利な特別遊技が実行され、さらに当該特別遊技後の遊技状態が切り替わる構成である。一方、パチンコ機1においては、上記特別遊技の実行等に関する種々の抽選(特図遊技)とは独立して、第2始動入賞部品52に設けられた開閉体53を開放動作させる普通遊技実行の可否等に関する抽選(普図当否抽選,普図変動時間パターン決定抽選)も実行される。以下、普通遊技実行の可否等に関する種々の抽選処理(普図遊技)の概要について説明する。
【0098】
遊技球が通過ゲート58を通過すると、後述の普図当否抽選において参照される普図当否判定乱数が取得され、当該取得された乱数がRAM200cの保留記憶領域に格納される。ここで、保留記憶領域は、上記普図当否判定乱数を記憶可能な普図記憶領域を有しており、当該普図記憶領域は4つの記憶部(第1〜第4記憶部)を有している。
そして、通過ゲート58を遊技球が通過すると、普図当否判定乱数を第1記憶部から順に記憶する。但し、普図保留記憶領域に記憶可能な普図保留数(Z3)は4つに設定されており、当該上限を超えて普図保留数Z3が増加することはない。
【0099】
図14は、普図当否抽選において参照される普図当否判定テーブルTBの概要を示す図である。遊技球が、通過ゲート58を通過すると、例えば0〜99の範囲から1つの普図当否判定乱数が取得される。同図に示すように普図当否判定テーブルTBは、遊技状態が前述の普図低確率である場合に参照される低確率用普図当否判定テーブルTB1と、遊技状態が普図高確率である場合に参照される高確率用普図当否判定テーブルTB2とに細分化されている。上記普図当否判定テーブルTB1,TB2には、0〜99までの普図当否判定乱数に対応する判定結果(「当り」又は「ハズレ」)が規定されている。例えば、低確率用普図当否判定テーブルTB1が参照された場合に判定結果が「当り」となる確率は、50分の1である。これに対して高確率用普図当否判定テーブルTB2が参照された場合に判定結果が当りとなる確率は、1.2分の1である。
そして、上記取得された普図当否判定乱数が、「当り」と対応する乱数である場合は判定結果が当りとなり、「ハズレ」と対応する乱数である場合は判定結果がハズレとなる。
上記普図当否判定乱数及び普図当否判定テーブルTBに基づいて、普通遊技の可否に関する所定の抽選結果(「当り」又は「ハズレ」)を決定する普図当否抽選に係る処理を実行するCPU200aが、本実施形態における普図当否抽選手段に相当する。
【0100】
図15は、普図変動パターン決定抽選において参照される普図変動パターン決定テーブルTBを説明する図である。上述の普図当否抽選が行われると、普図変動パターン決定テーブルTBに基づいて普通図柄の変動時間が決定される。同図に示すように、普図変動パターン決定テーブルTBは、遊技状態が普図低確率である場合に参照される低確率用普図変動パターン決定テーブルTB1と、遊技状態が普図高確率である場合に参照される高確率用普図変動パターン決定テーブルTB2とに細分化されており、それぞれのテーブルに単一の変動時間が規定されている。そして、低確率用普図変動パターン決定テーブルTB1によれば、普通図柄の変動時間が「30秒」に決定され、高確率用普図変動パターン決定テーブルTB2によれば、普通図柄の変動時間が「1秒」に決定される。このようにして普通図柄の変動時間が決定されると、当該決定された変動時間に渡って、普通図柄表示装置37上で表示される普通図柄の変動表示が開始され、変動時間経過後に上記普図当否抽選の結果を示す態様で停止表示される。
【0101】
ここで、普通図柄表示装置37は、例えば複数のLEDランプを配列した形態として構成されており、変動表示中においては複数のランプが点滅し、上記普図当否抽選の結果が当りである場合には、複数のランプのうち、いずれかLEDのランプが点灯して停止した状態となり、ハズレである場合には、例えば全てのLEDランプ又は一部のランプが消灯した状態となる。なお、上記説明においては遊技状態に応じて単一の変動時間が規定された例を示したが、各遊技状態において複数の変動時間を規定し、所定の乱数による抽選によって遊技状態ごとに異なる普通図柄の変動時間が決定される構成としてもよい。
【0102】
[普通遊技について]
図16は、前述の普図当否抽選の結果が当りとなり、普通図柄が当りであることを示す態様で停止した場合に実行される普通遊技において参照される開閉体作動テーブルTBの概要を示す図である。同図に示すように、開閉体作動テーブルTBには、開閉体53の開放回数、1回の開放動作当りの開放時間が規定されており、遊技状態が普図低確率である場合に参照される低確率用開閉体作動テーブルTB1と、遊技状態が普図高確率である場合に参照される高確率用開閉体作動テーブルTB2とに細分化されている。
そして、遊技状態が普図低確率である場合において、普通図柄が当りを示す態様で停止した場合、開閉体作動テーブルTB1が参照されることにより、ソレノイドSOL1が通電制御され、第2始動入賞部品52の開閉体53が0.3秒間1回開放動作される。一方、遊技状態が普図高確率である場合において、普通図柄が当りを示す態様で停止した場合、上記開閉体作動テーブルTB2が参照されることにより、ソレノイドSOL1が通電制御され、第2始動入賞部品52の開閉体53が1.8秒間開放する動作が3回繰り返されることとなる。つまり、遊技状態が普図高確率である場合、普図低確率と比較して普図当否抽選の結果が「当り」となり易く、普通図柄の変動時間が大幅に短縮され、かつ開閉体53の開放時間の合計が長くなることから、遊技球が第2始動入賞部品52に入球し易くなり、遊技球の消費を抑えながら第2始動入賞部品52への入球を契機とする上述の特図遊技を行うことが可能となる。
【0103】
以下、上記特別遊技中における第1大入賞部品60及び第2大入賞部品120の具体的な動作について説明する。
図17は、1回の特別遊技における第1大入賞部品60及び第2大入賞部品120の動作を示すタイムチャートであり、
図18は、特別遊技の14R目に動作する第1大入賞部品60の開閉体81及び振分開閉体105の開閉動作を示すタイムチャートである。なお、図示の例では、14R目に第1大入賞部品60を動作させるものとしているが、これに限られるものではなく、特別遊技中であればどのようなタイミングで第1大入賞部品60を動作させてもよい。
【0104】
図17に示すように、特別遊技が実行されると、まず1R目から13R目までの間、第2大入賞部品120の動作が繰り返し実行される。具体的には、
図12の特別遊技制御テーブルTBに従って、特別図柄及び演出図柄Sの変動表示が停止(確定)してから5秒後に1回目(1R目)のラウンド遊技が開始され、当該ラウンド遊技が合計13回(13R)まで繰り返し実行される。より詳細には、主制御装置200からの駆動信号により、第2大入賞部品120の開閉体125の駆動源としてのソレノイドSOL4が駆動し、開閉体125が開放状態となり、第2大入賞口への遊技球の入球を許容する。このときの開閉体125の開放は、開放開始から29秒が経過するか、規定数として設定された9個の遊技球が第2大入賞口検出スイッチSW6により検出されるまで継続する。また、各ラウンド間には、ソレノイドSOL2への駆動信号の出力が停止されることにより、開閉体125が2秒間閉鎖し遊技球の入球を阻止するインターバル時間が設けられる。同図に示すように、13回目(13R目)のラウンド遊技終了後には2秒間のインターバル時間を挟み、動作対象が第2大入賞部品120から第1大入賞部品60へと切り替わる。
【0105】
図18は、14回目(14R目)のラウンド遊技における第1大入賞部品60のソレノイドSOL2;SOL3の動作の関係を特図種別ごとに示す図である。
図18(a)に示すように、特図種別が特別図柄Aである場合、ラウンド遊技の開始から4秒間に渡ってソレノイドSOL2への駆動振動が繰り返し出力され、当該ソレノイドSOL2を駆動源とする開閉体81が合計10回分開放動作される。ここで、開閉体81の1回当りの開放時間は0.2秒であるからラウンド遊技開始から4秒間における開閉体81の実質的な開放時間の合計は2秒となる。また、当該期間においては開閉体81の1回当りの開放時間が0.2秒と極めて短時間であることから、遊技球が第1大入賞部品60の第1大入賞口65aに入球することは困難であるものの、流下のタイミングによっては入球する可能性がある。
【0106】
続いて上記開閉体81の開放動作終了後、さらに2秒が経過した時点からは8秒間に渡ってソレノイドSOL3への駆動信号が繰り返し出力され、当該ソレノイドSOL3を駆動源とする振分開閉体105が合計3回分開放動作される。ここで、振分開閉体105の1回当りの開放時間は2秒として設定されており、8秒間における振分開閉体105の実質的な開放時間の合計は6秒となる。
【0107】
一方、
図18(a)に示すとおり上記振分開閉体105が開放動作を複数回繰り返す8秒の期間においては、開閉体81は閉鎖状態に維持されているため、当該期間中に遊技球が第1大入賞口65aに入球する可能性は皆無であり、結果として8秒間に渡って開放動作される振分開閉体105により遊技球が特定領域R1に入球(振り分けられる)することも皆無となる。
一方、極めて低い可能性ながらも上記ラウンド遊技開始から4秒間における開閉体81の複数の開放動作によって、遊技球が第1大入賞口65aに入球した場合であっても、当該時期に入球した遊技球が振分開閉体105の開放動作が実行される時期まで第1大入賞部品60内に残存することは第1大入賞部品60の特有の構造により防止されるため、この場合においても遊技球が特定領域R1に入球する(振り分けられる)ことが皆無となる。
【0108】
即ち、前述のとおり第1大入賞部品60の落下通路72は、第1大入賞口65aと連通して実質的に垂直に延在する構造であり、さらにその幅寸法は遊技球の直径よりも僅かに広く、遊技球の直径の2倍未満に設定されているため、遊技球が第1大入賞口65aに正常に入球した場合は元より、パチンコ機1に対して外部から振動を加えるといった不正が行われた場合であっても、当該振動の影響を受けることなく落下通路72内を直ちに流下(落下)する。
よって、上記ラウンド遊技開始から4秒間における開閉体81の複数の開放動作によって、遊技球が第1大入賞口65aに入球した場合であっても落下通路72内(振分開閉体105よりも上流側)に遊技球が滞留している可能性は限りなく低く、8秒間に渡って開放動作される振分開閉体105により遊技球が特定領域R1に入球する(振り分けられる)ことを確実に防止することができる。
即ち、本実施形態に係る第1大入賞部品60によれば、落下通路72が実質的に垂直に延在する構成とされ、さらに当該落下通路72の途中に遊技球の入球が可能な特定領域R1と当該特定領域R1から落下通路72内に向かって進退動作(開閉動作)する振分開閉体105が設けられているため、落下通路72内における遊技球の滞留を考慮することなく、開閉体81と開閉動作と、振分開閉体105の開閉動作とのタイミングのみによってイレギュラー入賞(本例では特定領域R1に入球すること)が生じることを効果的に抑制することができる。
【0109】
続いて上記振分開閉体105の動作終了後には、開閉体81及び振分開閉体105の閉鎖状態が所定時間維持された後に14R目のラウンド遊技が終了し、2秒のインターバル時間を挟んで再び第2大入賞部品120の動作による15R目のラウンド遊技が開始される。
【0110】
次に、特図種別が特別図柄Bである場合について説明する。
図18(b)に示すように特図種別が特別図柄Bである場合、ラウンド遊技の開始から4秒間に渡ってソレノイドSOL2への駆動振動が繰り返し出力され、当該ソレノイドSOL2を駆動源とする開閉体81が合計9回分開放動作される。ここで、開閉体81の1回当りの開放時間は上記同様に0.2秒であるからラウンド遊技開始から4秒間における開閉体81の実質的な開放時間の合計は1.8秒となる。また、上記同様に、当該期間においては開閉体81の1回当りの開放時間が0.2秒と極めて短時間であることから、遊技球が第1大入賞部品60の第1大入賞口65aに入球することは困難である。
【0111】
続いて上記開閉体81の開放動作終了後、さらに2秒が経過した時点からは8秒間に渡ってソレノイドSOL3への駆動信号が繰り返し出力され、当該ソレノイドSOL3を駆動源とする振分開閉体105が合計3回分開放動作される。なお、振分開閉体105の開閉動作については前述の場合と同様である。
一方、
図18(b)に示すとおり、上記振分開閉体105が開放動作を複数回繰り返す8秒の期間においては、開閉体81は開放状態に維持されているため(10回目の開放)、当該期間中において遊技球は、第1大入賞口65aに容易に入球することが可能となり、結果として8秒間に渡って開放動作される振分開閉体105により遊技球が特定領域R1に入球する(振り分けられる)可能性が極めて高くなる。
【0112】
即ち、前述のとおり第1大入賞部品60の落下通路72は、遊技球の滞留を生じさせない構造であるため、第1大入賞口65aに入球した遊技球は、直ちに開放動作中の振分開閉体105に到達することとなり、当該遊技球は当該振分開閉体105によって特定領域R1内に適切に誘導されることとなる。つまり、本実施形態に係る第1大入賞部品60によれば、特別遊技後の遊技状態が遊技者にとって最も有利となり得る特図種別(特別図柄B)に基づいて特別遊技が実行された場合にあっても、落下通路72内における遊技球の滞留を考慮することなく、開閉体81と開閉動作と、振分開閉体105の開閉動作とのタイミングのみによってイレギュラー入賞(本例では非特定領域R2のみに入球すること)が生じることを効果的に抑制することができる。
【0113】
続いて上記振分開閉体105の動作終了後には、上記同様に、開閉体81及び振分開閉体105の閉鎖状態が所定時間維持された後に14R目のラウンド遊技が終了し、2秒のインターバル時間を挟んで再び第2大入賞部品120により15R目のラウンド遊技が開始される。
【0114】
主制御装置200は、上記特別遊技中において上述したようなソレノイドSOL2〜ソレノイドSOL4の駆動制御処理を実行するとともに、第1大入賞部品60が動作するラウンド遊技(特定ラウンド遊技)において、特定領域R1に対応して配設された特定領域検出スイッチSW5からの検出信号の有無に基づく特別遊技中処理を実行する。
【0115】
図19は、特別遊技中処理の概要を示すフローチャートである。
(ステップS100−1)
主制御装置200は、特定ラウンド遊技が開始されたかを判定し、開始された場合にはステップS100−3に処理を移し、開始されていない場合には当該判定を繰り返す。なお、当該判定は、特別遊技の開始前にセットされ、ラウンド遊技開始毎に減算又は加算して更新されるラウンド遊技カウンタの値に基づいて実行される。
【0116】
(ステップS100−3)
主制御装置200は、特定ラウンド中において振分開閉体105の開閉体動作が実行される時期が到来したかを判定し、到来したと判定した場合にはステップS100−5に処理を移し、到来していないと判定した場合には当該判定を繰り返す。なお、当該判定は、各ラウンド遊技の開始と同時にリセットされ、カウントを開始するラウンド遊技タイマの値に基づいて実行される。
【0117】
(ステップS100−5)
主制御装置200は、第1大入賞部品60が動作する特定ラウンド遊技中における振分開閉体105の動作開始時期と対応して特定領域入球監視処理を実行してステップS100−7に処理を移す。当該処理は、特定領域R1と対応して配設された特定領域検出スイッチSW5からの検出信号の入力有無を継続して監視する処理である。当該処理は、第1大入賞口検出スイッチSW4からの検出信号によって更新される入球数カウンタの値(合計入球数)と、非特定領域R2と対応して配設された図外の排出球検出スイッチからの検出信号によって更新される排出数カウンタ、及び特定領域検出スイッチSW5からの検出信号によって更新される特定領域排出カウンタの値(合計排出数)が一致するまで、換言すれば第1大入賞部品60内に入球した遊技球が全て排出されるまで継続する。
【0118】
(ステップS100−7)
主制御装置200は、上記特定領域監視処理の継続中に特定領域検出スイッチSW5からの検出信号の入力があったかを判定し、入力があった場合にはステップS100−9に処理を移し、入力がなかった場合にはステップS100−11に処理を移す。
【0119】
(ステップS100−9)
主制御装置200は、特定領域検出スイッチSW5からの入力があったことに基づいて遊技状態を特図高確率かつ普図高確率の状態に更新する遊技状態更新処理を実行して処理を終了する。具体的には、RAM200cの所定領域に記憶される特図遊技状態フラグの状態を特図高確率であることを示す値(例えば「1」)に更新するとともに、特図高確率の継続回数をカウントする特図遊技カウンタの値をリセット(本例では150回)する。
また、同様にRAM200cの所定領域に記憶される普図遊技状態フラグの状態を普図高確率であることを示す値(例えば「1」)に更新するとともに、普図高確率の継続回数をカウントする普図遊技カウンタの値をリセット(本例では150回)する。
当該処理が実行されることにより、特別遊技後の遊技状態が特図高確率かつ普図高確率の状態となり、当該状態は次回の特別遊技が実行されるか、或いは特別図柄及び演出図柄Sの変動が150回実行されるまで継続する。また、次回の特別遊技が開始されることなく、特別図柄及び演出図柄Sの変動が150回に達した場合には、特図遊技状態フラグ及び普図遊技フラグの状態がそれぞれ特図低確率、普図低確率であることを示す値(例えば「0」)に更新される。
【0120】
(ステップS100−11)
主制御装置200は、特定領域検出スイッチSW5からの入力がなかったことに基づいて遊技状態を特図低確率かつ普図高確率の状態に切り替える遊技状態更新処理を実行して処理を終了する。具体的には、RAM200cの所定領域に記憶される特図遊技状態フラグの状態を特図低確率であることを示す値(例えば「0」)に更新する。また、普図遊技状態フラグの状態を普図高確率であることを示す値(例えば「1」)に更新するとともに、普図高確率の継続回数をカウントする普図遊技カウンタの値をリセット(本例では100回)する。
当該処理が実行されることにより、特別遊技後の遊技状態が特図低確率かつ普図高確率の状態となり、当該状態は次回の特別遊技が実行されるか、或いは特別図柄及び演出図柄Sの変動が100回実行されるまで継続する。また、特別図柄及び演出図柄Sの変動が100回に達した場合には、普図遊技フラグの状態が普図低確率であることを示す値(例えば「0」)に更新される。
【0121】
尚、始動入賞部品が2つあるということは、それぞれの始動入賞部品に遊技球が入賞したことに基づいて、特別図柄の当否に係る抽選が行われるということになる。また、特別図柄の変動中に始動入賞部品に遊技球が入賞した場合、その入賞を契機として取得された乱数は、保留球乱数としてメモリ(保留球乱数記憶部)に最大4個まで記憶される。そして、始動入賞部品が2つ設けられた場合、保留球乱数を記憶するメモリも2つ設けられる。そうすると、2つの始動入賞部品のそれぞれに遊技球が入賞したことに基づく遊技をどのような順番で進行させるか、即ち、各メモリに記憶されている保留球乱数を読み出す順番をどうするかについては、大きく3つの制御方法がある。
【0122】
1つ目は、一方の始動入賞部品に遊技球が入賞したことに基づく遊技を、他方の始動入賞部品に遊技球が入賞したことに基づく遊技よりも優先的に進行させる制御方法である。つまり、2つのメモリの両方に保留球乱数が記憶されている場合、一方のメモリに記憶されている保留球乱数を他方のメモリに記憶されている保留球乱数よりも優先して読み出す制御方法である。この1つ目の制御は、優先消化制御、優先回し制御などと言われているものである。
2つ目は、遊技球が始動入賞部品に入賞した順番に従って遊技を進行させる制御方法である。つまり、2つのメモリの両方に保留球乱数が記憶されている場合、2つのメモリの何れに記憶されているかを問わず、先に記憶されたものから順番に保留球乱数を読み出す制御方法である。この2つ目の制御は、入賞順消化制御、入賞順回し制御などと言われているものである。
3つ目は、一方の始動入賞部品に遊技球が入賞したことに基づく遊技と、他方の始動入賞部品に遊技球が入賞したことに基づく遊技とを並行して進行させる制御方法である。つまり、一方のメモリに記憶されている保留球乱数を読み出す制御と、他方のメモリに記憶されている保留球乱数を読み出す制御とをそれぞれ別個に並行して行う制御方法である。この3つ目の制御は、同時消化制御、同時回し制御などと言われているものである。
【0123】
本発明において、同時回し制御を行う場合において、左側遊技領域ELに配置されている第1始動入賞部品50への遊技球の入賞を契機として、右側遊技領域ERに配置されている第2始動入賞部品52への遊技球の入賞を契機として取得可能なゲームよりも不利なゲームを取得する可能性があるように特図種別決定テーブルTBが設定されている場合、本発明のように、壁構造体130によって、右側遊技領域(一方の遊技領域)ERから左側遊技領域(他方の遊技領域)ELへの遊技球の移動が不可能なように構成されていれば、遊技者としては、遊技球を右側遊技領域ERに着弾させれば、左側遊技領域ELに配置されている第1始動入賞部品50への遊技球の入賞を契機として不利なゲームを取得してしまうことを防止できるので、安心して右打ち遊技を行える遊技機を提供できる。
また、本発明によれば、右側遊技領域ERから左側遊技領域ELへの遊技球の移動を阻止する壁構造体130を備えているので、右側遊技領域ERに配置された第1始動入賞部品50及び第2大入賞部品120に遊技球を安定に供給することができるようになる。また、第1始動入賞部品50と第2始動入賞部品52とが壁構造体130によって左右の遊技領域に隔離されて配置されているので、同時回し制御の場合において、遊技球を容易に左右の遊技領域に分かれさせることができるようになる。
【0124】
以上、本発明を実施の形態に基づいて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態に何ら限定されることはなく、実施形態を組み合わせて多様な変更、改良を行い得ることが当業者において明らかである。また、そのような多様な変更、改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが特許請求の範囲の記載から明らかである。
例えば、球通路51bは、下部側壁構造体130Bを貫通するように形成されて左側遊技領域(他方の遊技領域)ELから右側遊技領域(一方の遊技領域)ERへの遊技球の移動を許容する球通路であってもよい。
また、上記では、左壁面132aと右壁面132bと後壁面132cと前壁面(カバー)132dとで囲まれて上端開口132e及び下端開口132fが開口された筒状体の内側の貫通孔を遊技球が上下方向に通過可能に構成された球通路51b、即ち、上部側壁構造体130Aを上下方向に貫通するように形成されて、右側遊技領域ERの上方に位置する左側遊技領域ELであるステージ47aの右端部から当該ステージ47aの右端部の下方に位置する右側遊技領域ERへの遊技球の移動を許容する球通路51bを例示したが、壁構造体130の前面から後方に延長する溝により形成されて遊技球が当該溝内を上下方向に通過可能に構成された球通路、つまり、上述した前壁面(カバー)132dを備えない構成の球通路であってもよい。即ち、左側遊技領域EL(他方の遊技領域)から右側遊技領域ER(一方の遊技領域)への遊技球の移動を許容する球通路が、壁構造体に形成された構成であればよい。