【実施例】
【0016】
プリント基板に電子部品を配置して電子回路基板を製作する電子部品実装装置(チップマウンタ)は、電子部品供給装置(フィーダ、テープフィーダ)を備えている。また、電子部品実装装置は、電子部品供給装置が供給する電子部品を取り出してプリント基板上に移動させ、所定の位置に配置するヘッドを備えている。
【0017】
電子部品供給装置は、電子部品を内包する部品収納テープを部品取り出し位置に移動させる機能と、ヘッドが電子部品を取り出すことが可能なように、部品収納テープに内包された電子部品を露出させる機能とを有する。電子部品実装装置は多種多様な電子部品を取り扱うので、取り扱う電子部品に対応して、電子部品供給装置は電子部品実装装置に複数台搭載される。
【0018】
このような電子部品実装装置では、作業効率の向上、すなわち、単位時間当たりに作製する電子回路基板数の増加が求められている。この要求に応えるためには、電子部品を取り扱う時間、すなわちヘッドの動作時間を短縮する必要がある。ここで、ヘッドの動作時間は、電子部品を電子部品供給装置から取り出す時間と、取り出した電子部品をプリント基板上に移動させる時間と、電子部品をプリント基板に配置する時間と、電子部品を配置後に電子部品供給装置へ移動する時間と、からなる。
【0019】
そこで、本願発明者らは、ヘッドの動作時間を短縮する一手段として、電子部品を電子部品供給装置から取り出す時間を短縮すること、を検討した。電子部品を電子部品供給装置から取り出す時間を短縮するためには、1回の電子部品取り出し動作で、複数の電子部品を電子部品供給装置から取り出すことが必要となる。従って、複数の電子部品を電子部品供給装置から短時間で、かつ、正確に取り出すことが重要となる。
【0020】
≪電子部品供給装置≫
(1).電子部品供給装置の構成
図1から
図3、および
図33を用いて、本実施例の電子部品供給装置の第1の例について説明する。
図1は本実施例における電子部品供給装置の第1の例を示す図である。
図2は
図1に示す矢視1から見たときの電子部品供給装置の一部を拡大して示す上面図である。
図3は
図2に示すA−A線に沿った断面図である。
図33は本実施例における電子部品供給装置の部品収納テープの構成を示す斜視図である。
【0021】
図1に示すように、電子部品供給装置10は、電子部品を収納する部品収納テープ1と、部品収納テープ1を巻きつける収納テープリール2と、を備える。
図33に示すように、部品収納テープ1は、キャリアテープ15と、カバーテープ6と、を備え、キャリアテープ15は、電子部品を収納する部品収納部17と、部品収納テープ1を移動させる動力を伝達するための送り孔16と、からなる。カバーテープ6は、キャリアテープ15と密着し、部品収納部17に収納されている電子部品が部品収納部17から飛び出すことを防止している。
【0022】
さらに、前述の
図1に示すように、電子部品供給装置10は、部品収納テープ1を部品取り出し位置まで移動する送り部3と、電子部品露出部7と、電子部品露出部7によって剥離されたカバーテープ6を移動するカバーテープ送り部8と、カッター部4と、を備える。電子部品露出部7は、部品取り出し位置より上流(収納テープリール2)側で電子部品を取出すことが可能なように電子部品を露出させる。カッター部4は、電子部品を取り出した後のキャリアテープ15を裁断する。
【0023】
電子部品供給装置10の動作は以下の通りである。
【0024】
まず、収納テープリール2に巻き付けられた部品収納テープ1は、ガイド(図示は省略)により支持されながら、送り部3により矢印Dir1の方向に搬送される。収納テープリール2と送り部3との間に設けられた電子部品露出部7は、電子部品を部品収納部17(
図33参照)に保持しているキャリアテープ15からカバーテープ6を剥離することにより、電子部品を露出させる。露出した電子部品は、部品吸着装着部9が矢印Dir4の方向のように上下に移動することにより、部品吸着装着部9の先端部に保持される。部品吸着装着部9が電子部品を先端部に保持する手段は、例えば真空圧を利用した真空保持または機械的に把持するチャック機構などである。
【0025】
剥離されたカバーテープ6は、カバーテープ送り部8により矢印Dir3の方向へ移動して、収納庫(図示は省略)に収納される。カバーテープ送り部8は、例えば収納テープリールのようなリール状に形成され、リールが駆動源により回転してカバーテープ6を巻き取るようにする。カバーテープ6が剥離したキャリアテープ15は、矢印Dir2の方向のようにカッター部4へ移動して、カッター部4により裁断される。裁断されたテープ5aは、電子部品露出部7によりカバーテープ6を分離しているので、キャリアテープ15のみである。
【0026】
図2に示すように、電子部品供給装置10は、部品収納テープ1が移動する方向(矢印Dir2の方向)に電子部品露出部7と、部品取り出し部である2個の部品取り出し孔13,14が矢印Dir2の方向に離間して配置された部品押さえ部12と、を備える。部品収納テープ1が矢印Dir2の方向に移動すると、電子部品露出部7によってカバーテープ6は部品収納テープ1が移動する方向と異なる方向(矢印Dir3の方向)に移動する。その結果、部品収納テープ1に収納されている電子部品は露出して取り出し可能となり、部品取り出し位置へ移動する。部品押さえ部12は、部品収納テープ1が移動した時に電子部品が飛び出すことを防止する蓋部材として機能する。
【0027】
図3に示すように、2個の部品取り出し孔13,14は、離間して配置されている。また、部品取り出し孔13と部品取り出し孔14との間の距離P(ピッチ)は、部品収納テープ1に設けられた部品収納部17の配列ピッチの整数(1、2、3、・・・)倍である。また、前述の
図1に示した部品吸着装着部9は、2個の部品取り出し孔13,14の距離P(ピッチ)に合わせて複数配置されていることが望ましい。
【0028】
以上のように、部品収納テープ1が移動する方向に2個の部品取り出し孔13,14を設けることにより、2個の電子部品を同時または連続して取り出すことが可能となる。なお、前述の説明では、部品取り出し孔が2個である場合を例示したが、3個以上の複数の部品取り出し孔を矢印Dir2の方向に設けても良い。このように複数の部品取り出し孔を設けることで、複数の電子部品を同時に、または部品吸着装着部9を移動させることなく連続して電子部品供給装置10から取り出すことができるようになるため、電子部品を取り出す時間を短縮することができる。
【0029】
次に、
図4から
図7を用いて、本実施例の電子部品供給装置の第2の例について説明する。基本的な構成は、前述の
図1から
図3を用いて説明したものと同様であるため、異なる点を説明する。
図4は本実施例における電子部品供給装置の第2の例を示す図である。
図5は
図4に示す矢視2から見たときの電子部品供給装置の一部を拡大して示す上面図である。
図6は
図5に示すB−B線に沿った断面図である。
図7は
図5に示すC−C線に沿った断面図である。
【0030】
図4に示すように、電子部品露出部20は、部品収納テープ1が移動する方向(矢印Dir1の方向)に配置されている。また、電子部品露出部20は、部品収納テープ1のカバーテープ(
図33参照)をキャリアテープ(
図33参照)から引き剥がすことなく電子部品を露出させる手段を備える(詳細は後述の
図5を用いて説明する)。部品吸着装着部9によって電子部品が取り出されてカバーテープとキャリアテープのみとなった部品取り出し済みテープ18は、矢印Dir2の方向に移動して、カッター部4により裁断される。この時、裁断されたテープ5bは、カバーテープと、キャリアテープと、からなる。
【0031】
図5に示すように、電子部品露出部20は、カバーテープを切断するカッター19と、カッター19によって切断されたカバーテープをキャリアテープから剥がすことなく、電子部品を露出させて取り出し可能とするカバーテープ開口部21と、からなる。部品収納テープ1が移動してカッター19に到達した時、電子部品を保護しているカバーテープは、カッター19によって部品収納テープが移動する方向(矢印Dir2の方向)に直交する方向の概略中央で切断される。概略中央で切断され2つに分離されたカバーテープは、部品取り出し孔13,14に飛び出さないようにカバーテープ開口部21によって押し広げられる。部品取り出し孔13,14は、部品収納テープ1が移動する方向(矢印Dir2の方向)であって、電子部品露出部20の下流側に離間して配置されている。離間して配置された部品取り出し孔13と部品取り出し孔14との間には、部品収納テープ1が移動した時に電子部品が飛び出すことを防止する蓋部材として機能する部品押さえ部12が設けられている。
【0032】
図5には、カバーテープ開口部21に部品取り出し孔14を配置し、部品押さえ部12に部品取り出し孔13を配置した構成を示しているが、部品押さえ部12に複数の部品取り出し孔を設けた構成でも良い。また、カバーテープ開口部21と部品押さえ部12とを一体化して、カバーテープを押し広げる機能と、カバーテープに代わって電子部品が飛び出さないように保護する機能と、を備えた部材とし、その部材に複数の部品取り出し孔を設けるように構成しても良い。
【0033】
図6に示すように、2個の部品取り出し孔13,14は、離間して配置されている。また、部品取り出し孔13と部品取り出し孔14との間の距離P(ピッチ)は、部品収納テープ1に設けられた部品収納部17の配列ピッチの整数(1、2、3、・・・)倍である。また、前述の
図4に示した部品吸着装着部9は、2個の部品取り出し孔13,14の距離P(ピッチ)に合わせて複数配置されていることが望ましい。
【0034】
図7に示すように、前述の
図5に示したカッター19で概略中央を切断されたカバーテープ6は、カバーテープ開口部21によって、キャリアテープ15に一端が接続されたままカバーテープ開口部21の両側に部品取り出し孔14に干渉しないように押し広げられる。カバーテープ6が部品取り出し孔14に干渉しないように押し広げられることによって、電子部品22を取り出すことが可能となる。
【0035】
以上のように、電子部品供給装置の第2の例においても、電子部品供給装置の第1の例と同様の効果を得ることができる。
【0036】
(2).部品収納テープを移動させる部品送り部
図8から
図10を用いて、本実施例の部品収納テープを移動させる部品送り部について説明する。
図8は本実施例における電子部品供給装置の部品送り部の第1の例を示す上面図および側面図である。
図9は本実施例における電子部品供給装置の部品送り部の第2の例を示す上面図および側面図である。
図10は本実施例における電子部品供給装置の部品送り部の第3の例を示す上面図および側面図である。
【0037】
それぞれの図では、前述の
図4から
図7を用いて説明した電子部品露出部20を例示しているが、前述の
図1から
図3を用いて説明した電子部品露出部7であっても良い。また、2個の部品取り出し孔を設けているが、3個以上設けても良い。
【0038】
まず、電子部品供給装置10の部品収納テープ1を移動させる部品送り部の第1の例を説明する。
【0039】
図8に示すように、部品収納テープ1を移動させるために、電子部品供給装置10は、第1の部品送り部23と、第2の部品送り部24と、第1の部品送り部23と第2の部品送り部24とを連結するリンク部材25と、を備える。第1の部品送り部23および第2の部品送り部24は、部品収納テープ1に設けられている送り孔(
図33参照)と嵌合して部品収納テープ1に移動するための駆動力を与える歯車状の形状であっても良いし、部品収納テープ1に圧接して移動するための駆動力を与えるローラ状の形状であっても良い。第1の部品送り部23の回転中心と、部品取り出し孔13の中心(孔の形状が長方形ならば、対角線の交点)は、部品収納テープ1が移動する方向と直交する同一平面内または部品収納テープ1が移動する方向と直交する近接した2平面内に存在するように構成されている。同様に、第2の部品送り部24の回転中心と、部品取り出し孔14の中心(孔の形状が長方形ならば、対角線の交点)は、部品収納テープ1が移動する方向と直交する同一平面内または部品収納テープ1が移動する方向と直交する近接した2平面内に存在するように構成されている。また、リンク部材25は、第1の部品送り部23が矢印Dir5の方向に、第2の部品送り部24が矢印Dir6の方向に同期して回転するように配置されている。
【0040】
このように部品収納テープ1を移動させる手段を構成することにより、次のような有利点があると考える。すなわち、それぞれの部品取り出し孔13,14の直下に、部品収納テープ1を移動させる駆動力を付与する第1および第2の部品送り部23,24を設けることにより、第1および第2の部品送り部23,24の移動精度と同等の部品収納テープ1の送り精度を実現できる。これは、部品収納テープ1に作用する移動方向と反対方向に作用する抵抗力(ガイドの走行抵抗および収納テープリールから部品収納テープ1を引き出す時に作用する抵抗力)の影響を回避できるからである。また、部品収納テープ1を移動させる駆動力を複数の部品送り部、例えば第1および第2の部品送り部23,24により付与することができるので、部品収納テープ1を安定して矢印Dir2の方向へ移動させることが可能である。
【0041】
次に、電子部品供給装置10の部品収納テープ1を移動させる部品送り部の第2の例を説明する。
【0042】
図9に示すように、第2の例の構造は、前述の
図8に示した第1の例の構造とほぼ同一であるが、第1の部品送り部23と第2の部品送り部24とがギア27で連結されたものである。第1の部品送り部23と第2の部品送り部24は、ギア27とかみ合うギア(図示は省略)を内蔵している。部品取り出し孔13と第1の部品送り部23との位置関係および部品取り出し孔14と第2の部品送り部24との位置関係は前述の
図8に示した第1の例と同様である。
【0043】
次に、電子部品供給装置10の部品収納テープ1を移動させる部品送り部の第3の例を説明する。
【0044】
図10に示すように、第3の例の構造は、前述の
図8に示した第1の例の構造とほぼ同一であるが、第1の部品送り部23の回転軸に内蔵された所定の回転方向のみ動力を伝達するワンウエイクラッチ33と、第1の部品送り部23と第2の部品送り部24とを連結するリンク部材31と、第1の部品送り部23に駆動力を伝達する動力伝達部材32と、を備える。また、第1の部品送り部23には連結ピン35が取り付けられ、動力伝達部材32の一端に設けられた嵌合長穴34と嵌合するようになっている。動力伝達部材32が矢印Dir7の方向に往復移動すると、一方向に移動した時は動力伝達部材32が第1の部品送り部23に動力を伝達し、他方向に移動した時は嵌合長穴34を連結ピン35が移動することで第1の部品送り部23に動力を伝達しない。すなわち、第1の部品送り部23は、部品収納テープ1を間欠送りする。
【0045】
(3).部品送り部を駆動させる動力源
図11および
図12を用いて、本実施例の部品送り部を駆動させる動力源について説明する。
図11は本実施例における電子部品供給装置の部品送り部と部品送り部を動作させる直動モータの第1の例を示す上面図および側面図である。
図12は本実施例における電子部品供給装置の部品送り部と部品送り部を動作させる直動モータの第2の例を示す上面図および側面図である。
【0046】
まず、電子部品供給装置10の部品送り部を駆動させる動力源の第1の例を説明する。
【0047】
図11に示すように、前述の
図8に示した部品送り部に、モータ固定子37とモータ可動子38からなる直動モータ39と、直動モータ39の動力を第1の部品送り部23に伝達する動力伝達部材36と、を備える。直動モータ39のモータ可動子38が矢印Dir7の方向に往復移動すると、第1の部品送り部23を矢印Dir5の方向に回転させ、その結果、リンク部材25で連結された第2の部品送り部24も第1の部品送り部23と同期して回転する。
【0048】
次に、電子部品供給装置10の部品送り部を駆動させる動力源の第2の例を説明する。
【0049】
図12に示すように、前述の
図10に示した部品送り部に、直動モータ39と、直動モータ39の動力を第1の部品送り部23に伝達する動力伝達部材32と、を備える。直動モータ39は、モータ固定子37と、モータ可動子38と、からなる。モータ可動子38が矢印Dir7の方向に往復移動することによって、動力伝達部材32の嵌合長穴34が第1の部品送り部23に設けられた連結ピン35に間欠的に動力を伝達するので、第1の部品送り部23は部品収納テープ1を矢印Dir2の方向に間欠的に移動させることができる。また、第1の部品送り部23は、一方向にのみ回転力を伝達するワンウエイクラッチ33を内蔵しているので、矢印Dir5の方向には回転するが、逆方向には回転しないようになっている。また、第2の部品送り部24は、リンク部材31によって第1の部品送り部23と連結されているので、第1の部品送り部23の回転に同期して回転する。
【0050】
前述の
図11および
図12に示した電子部品供給装置10に搭載するモータとして、直動モータが好適である。その理由は以下の通りである。
【0051】
本実施例の電子部品供給装置10は、部品収納テープ1が移動する方向に複数の部品取り出し孔、例えば部品取り出し孔13,14を設けている。また、複数の部品取り出し孔がある部品取り出し位置で部品収納テープ1が安定して移動停止するために、部品取り出し孔の直下に部品送り部、例えば第1および第2の部品送り部23,24を設けている。このため1つの部品送り部を備える従来の電子部品供給装置よりも駆動力が大きいモータが必要と考える。
【0052】
さらに、電子部品供給装置10は、部品収納テープの幅(部品収納テープの複数の部品収納部が形成された面において、部品収納テープが移動する方向と直交する方向の長さ)とほぼ同等程度の幅(例えば部品収納テープの幅として8mmがある)であることが要求される。なぜならば、電子部品供給装置10の幅を狭くできれば、所定の空間内により多くの電子部品供給装置10が配置できて、多くの種類の電子部品を一度に取り扱うことができる。これにより、電子部品の入れ替えの時間を無くすことができて、作業時間の短縮につながる。一方で、電子部品供給装置10が電子部品を供給する速度は高速化が求められており、モータ出力は大きくなる傾向にある。
【0053】
以上のように、モータは小サイズ化、高出力化、および高速化が求められているが、従来の電子部品供給装置は回転モータを利用している。回転モータは幅方向の制約から部品送り部を直接回転させるのではなく、ウオームギア等により動力軸を直交方向に変換して使用する。そのため、高出力は可能であるが高速化は困難である。
【0054】
これに対して、直動モータは平面上に配置されたコイルと、同じく平面上に配置されたマグネットとを、平面と直交する方向に配置するため、モータを薄型化することができる。また、薄型を保持したまま、コイルおよびマグネットの個数を増やすことにより出力を増加することが可能である。
【0055】
なお、ここでの説明は省略したが、前述の
図9に示した部品送り部に、直動モータ39を配置しても良い。
【0056】
(4).部品収納テープを部品取り出し位置まで移動させる部品送り部
図13および
図14を用いて、本実施例の部品収納テープを部品取り出し位置まで移動させる部品送り部について説明する。
図13は本実施例における電子部品供給装置の部品収納テープを部品取り出し孔まで移動させる部品送り部の第1の例を示す上面図および側面図である。
図14は本実施例における電子部品供給装置の部品収納テープを部品取り出し孔まで移動させる部品送り部の第2の例を示す上面図および側面図である。
【0057】
図13に示す電子部品供給装置10は、前述の
図11に示した電子部品供給装置10を基本構造として、これに直動モータ39の動力を伝達する動力伝達部材40と、第3の部品送り部41と、を備える。
【0058】
また、
図14に示す電子部品供給装置10は、前述の
図12に示した電子部品供給装置10を基本構造として、これに直動モータ39の動力を伝達する動力伝達部材40と、一方向に回転力を伝達するワンウエイクラッチ44を内蔵した第3の部品送り部41と、を備える。また、第3の部品送り部41には連結ピン45が取り付けられ、動力伝達部材40の一端に設けられた嵌合長穴46と嵌合するようになっている。
【0059】
前述の
図13に示した電子部品供給装置10は、直動モータ39が矢印Dir7の方向に往復移動することにより、直動モータ39の動力が動力伝達部材40によって第3の部品送り部41に伝達され、矢印Dir8の方向に間欠的に回転するように構成されている。第3の部品送り部41と第1の部品送り部23とは、直動モータ39および動力伝達部材36,40によって連結されているため、同期して動作するようになっている。
【0060】
同様に、前述の
図14に示した電子部品供給装置10は、直動モータ39が矢印Dir7の方向に往復移動することにより、直動モータ39の動力が動力伝達部材40によって第3の部品送り部41に伝達され、矢印Dir8の方向に間欠的に回転するように構成されている。第3の部品送り部41と第1の部品送り部23とは、直動モータ39および動力伝達部材32,40によって連結されているため、同期して動作するようになっている。
【0061】
部品収納テープ1を移動させる動作は以下の通りである。
【0062】
部品収納テープ1がガイド(図示は省略)に沿って第3の部品送り部41に移動する。この時、部品収納テープ1の先端を検知して自動的に直動モータ39が動作開始するようにしても良い。また、直動モータ39を起動するスイッチを設けておき、手動で直動モータ39を動作開始させても良い。第3の部品送り部41によって移動した部品収納テープ1は、第2の部品送り部24によりさらに移動し、第1の部品送り部23によって電子部品が取り出し可能な位置に停止する。この時、電子部品を検知するセンサ(図示は省略)によって、先頭の電子部品が部品取り出し孔13の位置に到着したことを検知して直動モータ39を停止させても良い。
【0063】
なお、ここでの説明は省略したが、前述の
図9に示した部品送り部に、直動モータ39を配置した電子部品供給装置10を基本構造として、これに直動モータ39の動力を伝達する動力伝達部材40と、第3の部品送り部41と、を備えても良い。
【0064】
(5).電子部品供給装置の動作
図15および
図16を用いて、本実施例の電子部品供給装置の動作の一例について説明する。
図15は本実施例における電子部品供給装置の部品収納テープから電子部品を取り出す動作を説明する図である。
図16は本実施例における電子部品供給装置の部品送り部の動作波形を説明する図である。
【0065】
図15に示す電子部品供給装置の動作では、2つの部品取り出し孔の間にN個(N=3)の部品収納部がある場合を考える。黒丸(●)は電子部品が部品収納部に入っている状態を示し、白丸(○)は電子部品が部品収納部に入っていない状態を示す。
【0066】
まず、部品収納テープは、例えば前述の
図13または
図14を用いて説明した第3の部品送り部により第1の部品送り部の位置まで移動して、「(1)移動」の状態となる。「(1)部品取り出し」のように、部品取り出し孔位置にある電子部品が2個取り出される。
【0067】
2個の電子部品の取り出しが完了すると、さらに、部品収納テープに収納されている電子部品の収納ピッチであるδLだけ部品収納テープが移動して「(2)移動」の状態となる。移動が完了すると、「(2)部品取り出し」のように、部品取り出し孔位置にある電子部品が2個取り出される。
【0068】
2個の電子部品の取り出しが完了すると、さらに、δLだけ部品収納テープが移動して「(3)移動」の状態となる。移動が完了すると、「(3)部品取り出し」のように、部品取り出し孔位置にある電子部品が2個取り出される。
【0069】
2個の電子部品の取り出しが完了すると、さらに、δLだけ部品収納テープが移動して「(4)移動」の状態となる。移動が完了すると、「(4)部品取り出し」のように、部品取り出し孔位置にある電子部品が2個取り出される。
【0070】
(N+1)×2個の電子部品の取り出しが完了すると、「(5)移動」に示すように、部品収納テープをδL×(N+2)だけ移動させることによって、前述の「(1)移動」と同じ状態になる。以下、同様の動作を繰り返すことにより、部品収納テープから電子部品を取り出す。
【0071】
従って、部品送り部は、
図16に示すように、電子部品を取り出した後に微動動作パターン47により、部品収納テープをδLだけ移動させる。そして、(N+1)×2個の電子部品を取り出した後に粗動動作パターン48により、部品収納テープをδL×(N+2)だけ移動させる。この動作を繰り返すことにより、部品収納テープに収納されている電子部品を順次取り出して行く。
【0072】
以上のように、電子部品の取り出しを部品収納テープが移動する方向の複数個所で同時または連続して行うことにより、電子部品を取り出す時間を短縮することが可能である。また、複数の電子部品を同時または連続して取り出すことができるので、電子部品を1個ずつ連続して取り出す時の部品送り部の動作時間と比較すると、本実施例のほうがより長い時間で動作させることが可能である。すなわち、部品送り部の最高送り速度を低減して、振動の発生を抑えるように部品収納テープを移動させることが可能である。
【0073】
≪電子部品実装装置≫
(1).部品取り扱い部
図17を用いて、本実施例の電子部品実装装置に備わる部品取り扱い部の一例について説明する。
図17は本実施例における電子部品実装装置に搭載される部品取り扱い部の構成を示す斜視図である。なお、部品取り扱い部の内部構造を説明するため、筐体(部品取り扱い部を固定、カバーする部材)を省略している。
【0074】
部品取り扱い部100は、矢視3の方向への直線往復運動と、軸線1a回りの回転運動と、を行うことが可能なアクチュエータである。部品取り扱い部100は、直動装置102と、回転装置101と、直動装置102と回転装置101とを連結する可動部材108と、からなる。
【0075】
矢視3方向へ直線往復運動する直動装置102は、回転モータ103と、回転モータ103の回転軸と連結されたねじ軸106と、ねじ軸106に挿入されたナット107と、からなる。また、ねじ軸106とナット107とは、組み合わせてボールねじを構成する。また、回転モータ103の回転軸、ねじ軸106の回転軸、およびナット107の移動中心軸は、軸線1bと同軸に配置されている。また、回転モータ103は、筐体(図示は省略)に固定されている。回転モータ103の回転軸が、軸線1b回りに回転すると、ねじ軸106が回転する。ねじ軸106が回転すると、ねじ軸106の回転運動が直線運動に変換されてナット107が軸線1b方向に直線移動する。
【0076】
回転装置101は、回転モータ104と、回転モータ104の回転軸と連結されたシャフト105と、シャフト105と連結された部品吸着装着部9と、からなる。また、回転モータ104の回転軸は、軸線1a回りに回転して、シャフト105および部品吸着装着部9を軸線1a回りに回転させる。また、回転装置101は、軸線1a方向に直線移動することができ、ガイド(図示は省略)によって支持されている。
【0077】
また、軸線1aと軸線1bとは、平行である。直動装置102のナット107と回転装置101の回転モータ104とは、可動部材108によって連結されており、回転モータ103が回転することによってナット107が軸線1b方向に直線移動すると、回転装置101は可動部材108とともに軸線1a方向に直線移動する。
【0078】
以上のように、部品取り扱い部100は、矢視3方向に直線往復運動する直動装置102を備えるので、シャフト105の端部に取り付けられた部品吸着装着部9によって、電子部品を部品収納テープから取り出すこと、および電子部品をプリント基板に配置することが可能である。なお、電子部品を取り出す際の電子部品支持方法は、例えば真空力を利用して真空吸着しても良い。
【0079】
また、部品取り扱い部100に備わる回転装置101は、部品収納テープから取り出された電子部品を軸線1a回りに回転させることによって、電子部品の姿勢(配置角度)を制御することが可能である。また、部品取り扱い部100は、矢視4の方向の厚さが小さく構成されていること、および回転装置101の回転軸である軸線1aは筐体(図示は省略)の幅方向である矢視5の方向の一端側に(矢視5の方向の筐体壁の1つに近接して)配置されていること、を特徴としている。従って、隣り合うシャフト105を近接して配置する場合、部品取り扱い部100を矢視4の方向の筐体壁を近接させるとともに、矢視5の方向から見た筐体壁どうしを近接させることが望ましい。
【0080】
なお、本実施例では、直動装置102は、直動動作をさせる手段として、ボールねじ機構と回転モータとを組合せた構成を一例として開示したが、コイルとマグネットとを平面状に配置して可動子および固定子を形成するリニアモータであっても良い。また、このリニアモータの可動子と回転装置とを接続して連動するようにしても良い。
【0081】
(2).ヘッド
図18および
図19を用いて、本実施例の部品吸着装着部を配置したヘッドの第1の例について説明する。
図18および
図19は本実施例における電子部品供給装置と部品取り扱い部を複数配置したヘッドとの位置関係の第1の例を示す模式図である。
【0082】
図18に示すように、部品取り扱い部100は、X方向に複数台配置されている(
図18ではN台配置している)。また、部品取り扱い部100は、Y方向に複数台配置されている(
図18では2台配置している)。また、電子部品供給装置10は、X方向に複数台配置されている(
図18では2台配置している)。それぞれの電子部品供給装置10は、Y方向(部品収納テープが移動する方向)に複数の部品取り出し孔210を備えている(
図18では2個の部品取り出し孔を記載している)。ヘッド200は、部品取り扱い部100を複数配置したものである。部品取り扱い部100は、前述の
図17で示した矢視4の方向に複数配置されるとともに、矢視5の方向からみた筐体壁面どうしを近接させて配置される。
【0083】
以上のように、部品取り扱い部100に備わる部品吸着装着部9を格子状に近接して配置することが可能である。また、部品吸着装着部9を格子状に近接して配置することができるため、複数配置した電子部品供給装置10のそれぞれの部品取り出し孔210に対応して、部品取り扱い部100を配置することができる。
【0084】
また、電子部品供給装置10が部品収納テープに内包されている電子部品を取り出し可能にするとともに、部品取り出し孔210まで電子部品を移動させ、X方向に配置した部品取り扱い部100が部品吸着装着部9を上下動させることで、X方向の複数の電子部品を同時にあるいは短時間で連続的に取り出すことができる。この時、部品収納テープの種類を電子部品供給装置10ごとに異なるように装填することで、異なる電子部品を短時間で取り出すことができる。また、同一種類の部品収納テープを複数の電子部品供給装置10に装填することで、同じ種類の電子部品を短時間で取り出すことができる。
【0085】
また、Y方向に配置した部品取り扱い部100が部品吸着装着部9を上下動させることで、Y方向の複数の電子部品を同時にまたは短時間で連続的に取り出すことができる。この時、同じ種類の部品を複数同時にまたは短時間で連続的に取り出すことが可能である。
【0086】
さらに、X方向およびY方向に配置した部品取り扱い部100が部品吸着装着部9を上下動させることで、X方向およびY方向の複数の電子部品を同時にまたは短時間で連続的に取り出すことが可能である。従って、
図18に示すように部品取り扱い部100を配置すると、異なる電子部品を同時または短時間に連続的に取り出す動作時間が短縮される。
【0087】
図19に示すように、複数の部品取り扱い部100は、部品吸着装着部9を移動可能にする複数の穴部202を備えたヘッドフレーム201に取り付けられており、ヘッド200を構成する。それぞれの部品取り扱い部100は、電子部品供給装置10の部品取り出し孔210から電子部品を取り出し可能に配置されている。ヘッド200は矢印Dir9の方向に移動して、部品取り出し孔210と部品吸着装着部9との位置が一致したところで停止し、電子部品を取り出す。以上のように配置することにより、ヘッド200は、X方向の寸法を小さく構成することができる。
【0088】
次に、
図20および
図21を用いて、本実施例の部品吸着装着部を配置したヘッドの第2の例について説明する。
図20および
図21は本実施例における電子部品供給装置と部品取り扱い部を複数配置したヘッドとの位置関係の第2の例を示す模式図である。
【0089】
図20に示すように、部品取り扱い部100は、X方向に複数台配置されている(
図20では2台配置している)。また、部品取り扱い部100は、Y方向に複数台配置されている(
図20では3台配置している)。また、電子部品供給装置10は、X方向に複数台配置されている(
図20では2台配置している)。それぞれの電子部品供給装置10は、Y方向(部品収納テープが移動する方向)に複数の部品取り出し孔210を備えている(
図20では2個の部品取り出し孔を記載している)。ヘッド200は、部品取り扱い部100を複数配置したものである。部品取り扱い部100は、前述の
図17で示した矢視4の方向に複数配置するとともに、矢視5の方向からみた筐体壁面どうしを近接させて配置される。
【0090】
以上のように、前述の
図18を用いて説明した第1の例と同様に、部品収納テープの種類を電子部品供給装置10ごとに異なるように装填することで、異なる電子部品を同時または短時間に連続的に取り出す動作時間が短縮される。また、同一種類の部品収納テープを複数の電子部品供給装置10に装填することで、同じ種類の電子部品を同時または短時間に連続的に取り出す動作時間が短縮される。
【0091】
図21に示すように、複数の部品取り扱い部100は、部品吸着装着部9を移動可能にする複数の穴部202を備えたヘッドフレーム201に取り付けられており、ヘッド200を構成する。それぞれの部品取り扱い部100は、電子部品供給装置10の部品取り出し孔210から電子部品を取り出し可能に配置されている。ヘッド200は矢印Dir9の方向に移動して、部品取り出し孔210と部品吸着装着部9との位置が一致したところで停止し、電子部品を取り出す。以上のように配置することにより、ヘッド200は、Y方向の寸法を小さく構成することができる。
【0092】
次に、
図22および
図23を用いて、本実施例の部品吸着装着部を配置したヘッドの第3の例について説明する。
図22および
図23は本実施例における電子部品供給装置と部品取り扱い部に部品吸着装着部を複数配置したヘッドとの位置関係の第3の例を示す模式図である。
【0093】
図22に示すように、回転ヘッド203は、複数の部品吸着装着部9を備え、軸線2回りに矢印Dir11の方向に回転するように構成されている。複数の部品吸着装着部9は、軸線2を中心とした円周上に所定の角度おきに配置されている。部品吸着装着部9は、駆動部(図示は省略)によって、矢印Dir10の方向に往復移動することが可能である。また、電子部品供給装置10は、X方向に複数台配置されている(
図22では2台配置している)。それぞれの電子部品供給装置10は、Y方向(部品収納テープが移動する方向)に複数の部品取り出し孔210を備えている(
図22では2個の部品取り出し孔を記載している)。
【0094】
図23に示すように、回転ヘッド203は、部品吸着装着部9を
図22の矢印Dir11の方向に回転および矢印Dir10の方向に往復移動可能にする穴部を備えたヘッドフレーム201に取り付けられている。隣り合う部品吸着装着部9のY方向の距離P(ピッチ)は、電子部品供給装置10の隣り合う部品取り出し孔210のY方向の中心間距離と等しい。
図23では、隣り合う部品吸着装着部9の距離P(ピッチ)と隣り合う部品取り出し孔210の中心間距離とを等しくしたが、1個または複数個離れた部品吸着装着部9間を距離P(ピッチ)としても良い。回転ヘッド203は矢印Dir9の方向に移動して、部品取り出し孔210と部品吸着装着部9との位置が一致したところで停止し、電子部品を取り出す。
【0095】
以上のように配置することにより、回転ヘッド203は、複数の電子部品を同時または短時間に連続して取り出すことが可能である。
【0096】
(3).部品吸着装着部の動作
図24(a)および(b)を用いて、本実施例の部品吸着装着部の電子部品の取り出し動作の第1の例について説明する。
図24(a)は本実施例における第1および第2の部品吸着装着部の部品取り出し孔直上への移動と第1の部品吸着装着部の電子部品の取り出し動作を示す側面図であり、
図24(b)は本実施例における第2の部品吸着装着部の電子部品の取り出し動作を示す側面図である。
図24(a)および(b)は、部品収納テープ1が移動する方向に複数配置された部品取り出し孔から電子部品を短時間に連続して取り出す動作を示している。電子部品供給装置10は、前述の
図11を用いて説明したとおりであるので、詳細な説明は省略する。
【0097】
図24(a)に示すように、第1の部品吸着装着部9aおよび第2の部品吸着装着部9bは、矢印Dir12の方向に移動して電子部品供給装置10の部品取り出し孔の直上に位置決めされる。この時、第1の部品吸着装着部9aおよび第2の部品吸着装着部9bの先端部が移動する際の位置は、電子部品供給装置10に到達するまでの移動経路上の最大凸部に接触しないように凸部高さに所定の余裕高さを加えた第1の待機位置L1である。
【0098】
第1の部品吸着装着部9aが電子部品を取り出すために移動している時に第2の部品吸着装着部9bは、第1の待機位置L1よりも部品取り出し孔に近い第2の待機位置L2へ移動する。第2の待機位置L2は、第2の部品吸着装着部9bの先端部が電子部品供給装置10に接触する位置より所定の余裕高さを加えた位置としても良い。
【0099】
続いて、
図24(b)に示すように、第1の部品吸着装着部9aが電子部品を吸着して取り出すために移動している時に、第2の部品吸着装着部9bは、第2の待機位置L2から部品取り出し孔に向けて移動して電子部品を取り出す。電子部品を吸着して取り出した第2の部品吸着装着部9bは、第1の待機高さL1まで移動して電子部品をプリント基板に装着するために移動する。
【0100】
以上のように、第2の部品吸着装着部9bは、第1の部品吸着装着部9aが吸着取り出し動作をしている時に、第1の待機位置L1から第2の待機位置L2へ移動するので、第2の部品吸着装着部9bが電子部品を吸着取り出しする時の移動距離を短くすることができる。従って、電子部品を取り出す作業時間を短縮することが可能である。
【0101】
次に、
図25(a)および(b)を用いて、本実施例の部品吸着装着部の電子部品の取り出し動作の第2の例について説明する。
図25(a)は本実施例における第1および第2の部品吸着装着部の部品取り出し孔直上への移動を示す側面図であり、
図25(b)は本実施例における第1および第2の部品吸着装着部の電子部品の取り出し動作を示す側面図である。
図25(a)および(b)は、部品収納テープ1が移動する方向に複数(
図25(a)および(b)では2個)配置された部品取り出し孔から電子部品を同時に取り出す動作を示している。電子部品供給装置10は、前述の
図11を用いて説明したとおりであるので、詳細な説明は省略する。
【0102】
図25(a)に示すように、第1の部品吸着装着部9aおよび第2の部品吸着装着部9bは、電子部品供給装置10の部品収納テープが移動する方向に移動して電子部品供給装置10の部品取り出し孔の直上にそれぞれ位置決めされる。この時、第1の部品吸着装着部9aおよび第2の部品吸着装着部9bの先端部が移動する際の位置は、電子部品供給装置10に到達するまでの移動経路上の最大凸部に接触しないように凸部高さに所定の余裕高さを加えた第1の待機位置L1である(前述の
図24(a)参照)。
【0103】
続いて、
図25(b)に示すように、第1の待機位置L1から第1の部品吸着装着部9aおよび第2の部品吸着装着部9bは、同時に移動を開始して電子部品を吸着して取り出し、第1の待機位置L1に復帰する。その後、電子部品をプリント基板に装着するために移動する。
【0104】
以上のように、第1の部品吸着装着部9aおよび第2の部品吸着装着部9bが同時に電子部品の取り出しを行うことで、作業時間を短縮することが可能である。
【0105】
(4).撮像部
図26(a)および(b)を用いて、本実施例の電子部品供給装置に備わる撮像部を説明する。
図26(a)は本実施例における部品吸着装着部および電子部品供給装置に備わる撮像部の位置を示す側面図であり、
図26(b)は本実施例における部品吸着装着部の撮像の様子を示す側面図である。電子部品供給装置10の構成は、前述の
図11および前述の
図24を用いて説明したとおりであるので、詳細な説明は省略する。
【0106】
図26(a)および(b)に示すように、電子部品供給装置10は、部品収納テープ1が移動する方向であって、部品送り部の下流側に撮像部204を搭載したものである。撮像部204は、例えば撮像素子および照明装置などで構成される。部品収納テープ1は、撮像部204と干渉しないように部品送り部を通過後に進行方向を略90度変更する。撮像部204と部品取り出し孔との位置関係は、予め設定されている。
【0107】
図26(a)に示すように、第1の部品吸着装着部9aおよび第2の部品吸着装着部9bは、矢印Dir13の方向に移動して、電子部品供給装置10に設けられた部品取り出し孔の直上に位置決めされる。この時、
図26(b)に示すように、第2の部品吸着装着部9bは、移動中に下方から撮像部204によって撮像される。同じように、第1の部品吸着装着部9aも移動中に下方から撮像部204によって撮像される。撮像された情報は、情報保持部(図示は省略)によって保存される。
【0108】
次に、
図27を用いて、本実施例の部品吸着装着部の位置決め方法について説明する。
図27は本実施例における撮像部が撮像した情報をもとにした部品吸着装着部の位置決め方法を説明する図である。電子部品供給装置10およびヘッド200の構成は、前述の
図19に記載した構成を基本とするため、詳細な説明は省略する。
【0109】
図27に示すように、ヘッド200において、それぞれの部品取り扱い部100は、矢印Dir14に示すX方向およびY方向に移動できるように移動装置205に取り付けられている。また、移動装置205は、ヘッドフレーム201に固定されている。それぞれの電子部品供給装置10には、撮像部204が搭載されている。
【0110】
前述の
図26(a)および(b)を用いて説明したように、ヘッド200が移動して、それぞれの部品吸着装着部9は、対応する部品取り出し孔210の位置に位置決めされる。位置決めされる前に、それぞれの部品吸着装着部9はそれぞれの撮像部204の上を通過することで部品吸着装着部9の位置情報が撮像される(工程P1)。撮像された情報は画像処理をされて部品吸着装着部9の情報が抽出される(工程P2)。抽出された情報に基づいて、部品吸着装着部9の電子部品を取り扱う中心位置が算出される(工程P3)。算出された位置情報と、撮像部204と部品取り出し孔210との位置関係から事前に算出されている初期値と、を比較する(工程P4)。比較した結果、部品吸着装着部9の位置ずれ量をそれぞれ計算する(工程P5)。計算された位置ずれ量に基づいて、それぞれの移動装置205に対して移動指令を出す(工程P6)。移動装置205に出された移動指令に基づいて移動装置205が動作した結果、部品吸着装着部9と部品取り出し孔210との位置関係は、電子部品を安定に吸着して取り出し可能なものとなる。
【0111】
以上のように、電子部品供給装置10に撮像部204を設け、ヘッド200に搭載された部品取り扱い部100に移動装置205を取り付けることにより、部品吸着装着部9の位置と部品取り出し孔210の位置とを正確に合致させることが可能となる。部品吸着装着部9の位置と部品取り出し孔210の位置とを正確に合致させることにより、電子部品を安定に吸着して取り出しができるようになるため、電子部品実装装置の生産性および信頼性が向上する。また、撮像部204を、電子部品をプリント基板上へ移動する時に使用しても良い。この場合、撮像した情報をもとに電子部品の有無を判定すること、電子部品の種類を判別すること、および電子部品の姿勢を検出することが可能となる。これにより、電子部品の取り出し異常の有無、電子部品の誤配置の防止、配置不可の電子部品の姿勢判定、および電子部品の姿勢補正等により電子部品実装装置の生産品質を向上させることができる。
【0112】
(5).電子部品配置方法
図28および
図29を用いて、本実施例の電子部品実装装置の電子部品配置方法について説明する。
図28および
図29は本実施例における部品吸着装着部の動作を説明する図である。
【0113】
図28および
図29に示すように、部品吸着装着部9を備えるヘッド200は、予定された順番および経路で電子部品22をプリント基板152に配置する。予定された順番および経路が矢印(1)から矢印(7)であるとして説明する。
【0114】
本実施例は、経路に従って電子部品22を配置する時、経路上でもっとも高さがある電子部品22を基準にして第2の待機位置を設定し、部品吸着装着部9の位置を第1の待機位置から第2の待機位置へ移動させるものである。第1の待機位置とは、ひとつ前の動作にて設定された待機位置のことであり、例えば矢印(1)の経路では、第1の待機高さは、電子部品供給装置から電子部品22を取り出した後の部品吸着装着部9の位置のことである。具体的には、第2の待機位置は、移動経路上で既に配置されている電子部品22のうち、もっとも高さがある電子部品22を基準にして、部品吸着装着部9の位置をその高さよりδだけ余裕高さを持った位置のことである。矢印(1)から矢印(7)までの経路に従ってそれぞれを説明する。
【0115】
矢印(1)の経路の場合、第1の待機位置は電子部品供給装置で電子部品22を取り出した時の高さである。また、矢印(1)の経路上には既に4個の電子部品22が配置されており、その中でもっとも高さが高い電子部品22は通過順序で2番目と4番目である。従って、前記2番目と4番目の高さを基準として、配置する電子部品22の下面が基準とした高さよりも余裕高さδだけ高い第2の待機位置を設定して部品吸着装着部9の位置を変更する。その後、配置すべき位置に位置決めして電子部品22を配置する。
【0116】
次に、矢印(2)の経路の場合、第1の待機位置は矢印(1)で設定した第2の待機高さである。また、矢印(2)の経路上には既に5個の電子部品22が配置されており、その中でもっとも高さが高い電子部品22は通過順序で3番目である。従って、前記3番目の高さを基準として、配置する電子部品22の下面が基準とした高さよりも余裕高さδだけ高い第2の待機位置を新たに設定して部品吸着装着部9の位置を変更する。その後、配置すべき位置に位置決めして電子部品22を配置する。
【0117】
次に、矢印(3)の経路の場合、第1の待機位置は矢印(2)で設定した第2の待機高さである。また、矢印(3)の経路上には既に1個の電子部品22が配置されている。この電子部品22の高さを基準として、配置する電子部品22の下面が基準とした高さよりも余裕高さδだけ高い第2の待機位置を新たに設定して部品吸着装着部9の位置を変更する。その後、配置すべき位置に位置決めして電子部品22を配置する。
【0118】
次に、矢印(4)の経路の場合、第1の待機位置は矢印(3)で設定した第2の待機高さである。また、矢印(4)の経路上には既に3個の電子部品22が配置されており、その中でもっとも高さが高い電子部品22は通過順序で1番目と2番目である。従って、前記1番目と2番目の高さを基準として、配置する電子部品22の下面が基準とした高さよりも余裕高さδだけ高い第2の待機位置を新たに設定して部品吸着装着部9の位置を変更する。その後、配置すべき位置に位置決めして電子部品22を配置する。
【0119】
次に、矢印(5)の経路の場合、第1の待機位置は矢印(4)で設定した第2の待機高さである。また、矢印(5)の経路上には既に2個の電子部品22が配置されており、その中でもっとも高さが高い電子部品22は通過順序で2番目である。従って、前記2番目の高さを基準として、配置する電子部品22の下面が基準とした高さよりも余裕高さδだけ高い第2の待機位置を新たに設定して部品吸着装着部9の位置を変更する。
【0120】
矢印(5)の場合、経路上に既に配置されている電子部品22のうち、最も高さが高い電子部品22の高さが前経路上のものと変わらない。このため、矢印(4)で設定した第2の待機位置と矢印(5)で新たに設定した第2の待機位置とが等しくなり、部品吸着装着部9の位置は固定したままである(変更しない)。その後、配置すべき位置に位置決めして電子部品22を配置する。
【0121】
次に、矢印(6)の経路の場合、第1の待機位置は矢印(5)で設定した第2の待機高さである。また、矢印(6)の経路上には既に4個の電子部品22が配置されており、その中でもっとも高さが高い電子部品22は通過順序で1番目と3番目である。従って、前記1番目と3番目の高さを基準として、配置する電子部品22の下面が基準とした高さよりも余裕高さδだけ高い第2の待機位置を新たに設定して部品吸着装着部9の位置を変更する。
【0122】
矢印(6)の場合、経路上に既に配置されている電子部品22のうち、最も高さが高い電子部品22の高さが前経路上のものと変わらない。このため、矢印(5)で設定した第2の待機位置と矢印(6)で新たに設定した第2の待機位置とが等しくなり、部品吸着装着部9の位置は固定したままである(変更しない)。その後、配置すべき位置に位置決めして電子部品を配置する。
【0123】
次に、矢印(7)の経路の場合、第1の待機位置は矢印(6)で設定した第2の待機高さである。また、矢印(7)の経路は電子部品供給装置へ戻る経路であるため、その経路上で最も高さがある部材を基準として、部品吸着装着部9の端面の位置が余裕高さδだけ高い第2の待機位置を新たに設定して部品吸着装着部9の位置を変更する。その後、部品取り出し位置にヘッド200を位置決めして電子部品22の取り出し動作を開始する。
【0124】
次に、
図30を用いて、本実施例の電子部品実装装置の部品吸着装着部の動作フローについて説明する。
図30は本実施例における部品吸着装着部の動作フローを示す工程図である。
【0125】
図30に示すように、まず、電子部品をプリント基板に配置する前に、電子部品の配置情報を入力する(工程S1)。次に、電子部品の種類および形状(横幅、奥行き、高さ)等の情報を入力する(工程S2)。次に、電子部品を配置する時間を最小にする電子部品配置順序を作成する(工程S3)。次に、部品吸着装着部が移動する経路上の既に配置した電子部品の有無および高さ情報に基づいて、部品吸着装着部の待機高さを算出する(工程S4)。次に、前述の
図28に示すように、プリント基板152が高さHの反りを持っている場合は、測定したプリント基板の反り情報を入力する(工程S5)。工程S5で入力したプリント基板の反り情報に基づいて、工程S4で算出した待機高さを補正する(工程S6)。工程S6で補正した待機高さに基づいて、部品吸着装着部の位置を変更する(工程S7)。次に、ヘッドを移動する(工程S8)。次に、電子部品を配置する(工程S9)。次に、ヘッドが全ての電子部品の配置を完了したかを判断し(工程S10)、全ての電子部品を配置していなければ(no)、工程S7に戻って、次の電子部品の配置に備える。全ての電子部品を配置していれば(yes)、電子部品供給装置に移動して、電子部品の取り出し作業を開始する(工程S11)。
【0126】
以上のように、電子部品を配置する経路によって部品吸着装着部の位置を変更することができる(部品吸着装着部が電子部品を配置する時の移動量を最小にすることができる)ので、電子部品を配置する時間を短縮することができる。また、プリント基板の反り情報を取り入れることにより、プリント基板の状態に関わらず部品吸着装着部の位置を設定できるため、安定して電子部品を配置できるとともに、電子部品を配置する時間を短縮することができる。
【0127】
(6).部品吸着装着部の動作状態を取得する方法
図31を用いて、本実施例の部品吸着装着部の動作状態を取得する方法について説明する。
図31は本実施例における部品吸着装着部の動作状態を取得する方法を説明する図である。
【0128】
図31に示すように、電子部品供給装置に好適なヘッドは、複数の部品取り扱い部100を搭載する。それぞれの部品取り扱い部100の動作状態をセンサを用いて検出し、異常の有無を判断することは、電子部品を安定して配置するためには必須である。しかし、異常の有無を判断すべき装置が多くなると情報を伝達する配線が煩雑となり、さらに、配線が原因で新たな障害を引き起こすことが予想される。
【0129】
そこで、本実施例では、部品取り扱い部100の端面にセンサからの情報を取得して判断した結果を表示する状態表示装置207を備え、状態表示装置207が表示する情報を情報読み取り装置206で読み取る構成とした。状態表示装置207は、状態の良否を明暗で示す発光素子で構成しても良く、また、異常の有無に関する情報を2次元バーコードのような図形情報に変換して、変換した図形情報を表示する機能を持たせても良い。また、情報読み取り装置206は、状態表示装置207に対応して、画像処理機能を持った撮像素子(例えば、CCDカメラなど)であっても良く、また、2次元バーコードを読み取り可能なバーコードリーダーであっても良い。
【0130】
(7).電子部品実装装置の構成
図32を用いて、本実施例の電子部品実装装置の一例について説明する。
図32は本実施例における電子部品実装装置の一例を示す上面図である。
【0131】
図32に示すように、電子部品実装装置150の基台159上に、種々の電子部品をそれぞれの電子部品の取り出し位置に供給する電子部品供給装置が、部品供給部153に着脱可能に複数並んで固定されている。対向する部品供給部153との間には、基板搬送コンベア151が設けられている。基板搬送コンベア151は、プリント基板152を搬送する搬送部と、矢印Fの方向から搬送されてくるプリント基板152を所定の位置に位置決めして保持するプリント基板保持部と、を備え、プリント基板152に電子部品が装着された後、矢印Gの方向にプリント基板152を搬送する。
【0132】
プリント基板152が搬送される方向と同方向に長い一対のXビーム155が設置され、その両端部には、例えばリニアモータなどのアクチュエータ(図示は省略)が取り付けられている。このアクチュエータによりXビーム155は、プリント基板152が搬送される方向と直交する方向に、Yビーム157に沿って移動可能に支持されており、部品供給部153とプリント基板152との間を行き来することが可能である。さらに、Xビーム155には、アクチュエータにより、Xビーム155の長手方向に、Xビーム155に沿って移動する部品取り扱い部を複数搭載したヘッド154が設置されている。
【0133】
部品供給部153と基板搬送コンベア151との間には、認識カメラ156およびノズル保管部158が配置されている。
【0134】
認識カメラ156は、部品供給部153においてヘッド154に吸着した電子部品の部品情報および位置ずれ情報を取得するためのもので、基板搬送方向および基板搬送方向と直交する方向の吸着した電子部品の位置ずれ量および回転角度を、電子部品を撮影することにより確認できる。また、撮影することにより、電子部品が吸着されているか否かを確認することもできる。Xビーム155およびYビーム157が並行して動作することにより、部品供給部153からプリント基板152上に移動する際に、ヘッド154は認識カメラ156上を通過し、電子部品の位置ずれ情報を取得する。
【0135】
ノズル保管部158は、種々の電子部品を吸着および装着するために必要な、ヘッド154に取り付けられた複数の吸着ノズル(図示は省略)を保管しておくところである。電子部品に対応した吸着ノズルを取り付けるように指示された場合、ヘッド154はXビーム155およびYビーム157が独立して並行動作することにより、ノズル保管部158まで移動して、吸着ノズルを交換する。
【0136】
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。