(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般的な回転体駆動装置においては、回転体に作用する回転反力に伴うモーター負荷を軽減し、あるいは回転体を好適な駆動回転数に変速するために、モーターと回転体との間に減速機構を設けることが多い。特許文献1の回転体駆動装置においても、モーターとブラシ板との間に減速機構を設けることで、モーター負荷を軽減し、ブラシ板を洗浄に適した駆動回転数で駆動できる。しかし、単にモーターと回転体の間に減速機構を配置するのでは、ブラシ装置の駆動中心軸方向の長さが大きくなるのを避けられない。そのため、装置全体が大型化し、手持ちで使用した場合の操作性の悪化を招いていた。また、ブラシの回転による洗浄だけでは、毛穴の奥の汚れなどを効果的に洗浄することができず、この点でも改良の余地があった。
【0005】
本発明の目的は、モーターの動力を回転体に伝動する伝動構造をコンパクトにして装置全体を小型化できる回転体駆動装置を提供することにある。
本発明の目的は、回転体が回転することに加えて回転体を振動させることにより、例えば回転体による泡立て、洗浄、あるいはマッサージ機能などを効果的に発揮できる回転体駆動装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る回転体駆動装置は、本体部21と、本体部21の外面に配置される回転体20とを備えている。本体部21にモーター28と、モーター28の動力を回転体20に伝動する伝動構造Tとが設けられている。回転体20は、伝動構造Tの終段の駆動軸39に連結されている。駆動軸39の駆動中心軸Bは、モーター28の出力軸301の出力中心軸Mに対して偏寄配置されている。そして、伝動構造Tが、出力中心軸Mと駆動中心軸Bに沿って配置した多段状の動力伝動要素で構成されていることを特徴とする。
【0007】
出力中心軸Mと駆動中心軸Bとを、本体部21の中心軸Qを間に挟む状態で平行に配置する。伝動構造Tを、出力中心軸Mと駆動中心軸Bに沿って交互に配置したギヤトレインで構成する。
【0008】
伝動構造Tを、モーター28の動力を減速する複数の減速ギヤ対で構成する。初段減速ギヤ対T1の噛合部E1の上方を、次段減速ギヤ対T2の第2減速ギヤ37で覆うようにする。
【0009】
初段減速ギヤ対T1の噛合部E1と第2減速ギヤ37との間に、第1遮音壁42を設ける。
【0010】
初段減速ギヤ対T1の噛合部E1、および終段減速ギヤ対T3の上方を、本体部21に固定した第2遮音壁43で覆うようにする。
【0011】
次段減速ギヤ対T2の第2減速ギヤ37を支持する第2ギヤ軸41を、第1遮音壁42と第2遮音壁43とで軸支する。
【0012】
第2遮音壁43の上方を、本体部21に装着した第3遮音壁24で覆うようにする。
【0013】
駆動軸39を第2遮音壁43に設けた軸受ボス316で回転自在に支持して、その上端を第2遮音壁43の外方へ突設する。第2遮音壁43は本体部21に設けた連結部319に嵌係合する状態で締結する。第2遮音壁43と連結部319の嵌係合面を弾性体325で封止する。
【0014】
駆動軸39は軸受ボス316に固定された軸受44で回転自在に支持する。軸受44よりも駆動軸39の先端側に、駆動軸39と第2遮音壁43との間をシールする第1パッキン326を設ける。
【0015】
駆動軸39の連結端を、軸受44を支持する軸受ボス316のボス開口317から突出して、第3遮音壁24に設けた連結穴45に臨ませる。駆動軸39と軸受ボス316の外面に第2パッキン47を配置する。駆動軸39とボス開口317との間の隙間と、連結穴45を囲む筒壁328の下端と軸受ボス316の上端との間の隙間とを、第2パッキン47で同時に封止する。
【0016】
第2遮音壁43と第3遮音壁24との間に、本体部21で囲まれる筒内空間を設ける。
第3遮音壁24と本体部21の接合部分に、筒内空間に浸入した液体を本体部21の外へ排出する排水口330を形成する。
【0017】
本体部21の内部に回転体20を振動させる起振構造を設ける。起振構造を、伝動構造Tの終段ギヤ38を支持する終段ギヤ軸302の下側に配置する。
【0018】
本体部21の内部に内フレーム27を収容し、終段ギヤ38の終段ギヤ軸302と起振構造とを内フレーム27に固定する。
【0019】
本体部21の中心軸Qの一側にモーター28を偏寄配置し、前記中心軸Qの他側に起振構造を配置する。起振構造を、モーター28に隣接し、かつ、モーター28の上下範囲内に収まる状態で配置する。
【0020】
起振構造を、本体部21の中心軸Qと平行な回転軸を有する第1振動モーター51と、本体部21の中心軸Qと直交する回転軸を有する第2振動モーター52とで構成する。
【発明の効果】
【0021】
本発明の回転体駆動装置においては、モーター28と、モーター28の動力を回転体20に伝動する伝動構造Tとを本体部21に設け、回転体20を伝動構造Tの終段の駆動軸39に連結した。また、駆動軸39の駆動中心軸Bを、モーター28の出力軸301の出力中心軸Mに対して偏寄配置して、出力中心軸Mと駆動中心軸Bに沿って配置した多段状の動力伝動要素で伝動構造Tを構成した。このような回転体駆動装置によれば、多段状の動力伝動要素で構成される伝動構造Tを出力中心軸Mと駆動中心軸Bに沿って振り分けて配置できるので、伝動構造Tの構成部材を並列させた状態で設けることができる。これにより、モーターと駆動軸とが同軸上に配置された従来の回転体駆動装置に伝動構造を追加する場合に比べて、駆動中心軸B方向の寸法を小さくすることができ、従って、伝動構造Tをコンパクトにして装置全体を小型化することができる。
【0022】
本体部21の中心軸Qを間に挟む状態で出力中心軸Mと駆動中心軸Bとを平行に配置し、出力中心軸Mと駆動中心軸Bに沿って交互に配置したギヤトレインで伝動構造Tを構成した。これによれば、本体部21の中心軸Qの両側に伝動構造Tを構成するギヤを振り分けることにより、伝動構造Tを本体部21の一側に偏ることなく配置できるので、本体部21の中心軸Qに直交する方向の寸法が大きくなるのを回避できる。従って、本体部21が例えば前後方向や左右方向に太くなるのを防止して、装置全体をさらに小型化することができる。また、伝動構造Tを中心軸Qの両側に振り分けて配置するので、重心位置が本体部21の一側に大きく偏寄するのを回避できるので、本体部21を片手で持って使用する際の操作性を軽快なものとすることができる。
【0023】
モーター28の動力を減速する複数の減速ギヤ対で伝動構造Tを構成し、初段減速ギヤ対T1の噛合部E1の上方を、次段減速ギヤ対T2の第2減速ギヤ37で覆うと、駆動回転数が最も大きな初段減速ギヤ対T1の噛合部E1で発生する噛合騒音が、外部へ漏れ出ようとするのを第2減速ギヤ37で遮断して、噛合騒音が本体部21の外へ漏れ出るのを防止できる。
【0024】
初段減速ギヤ対T1の噛合部E1と第2減速ギヤ37との間に第1遮音壁42を設けると、初段減速ギヤ対T1における噛合部E1で発生する噛合騒音が外部へ漏れ出ようとするのを、第2減速ギヤ37に加えて第1遮音壁42でも遮断して、噛合騒音が本体部21の外へ漏れ出るのを効果的に防止できる。
【0025】
初段減速ギヤ対T1の噛合部E1、および終段減速ギヤ対T3の上方を、本体部21に固定した第2遮音壁43で覆うと、噛合部E1で発生する噛合騒音が外部へ漏れ出ようとするのを、第2減速ギヤ37および第1遮音壁42に加えて第2遮音壁43でも遮断して、噛合騒音が本体部21の外へ漏れ出るのをより効果的に防止できる。また、伝動構造Tで発生する噛合騒音が本体部21の外へ漏れ出るのを確実に防止して、使用時の回転体駆動装置を静音化できる。
【0026】
第1遮音壁42と第2遮音壁43とで次段減速ギヤ対T2の第2減速ギヤ37を支持する第2ギヤ軸41を軸支すると、第2ギヤ軸41の上下を第1および第2遮音壁42・43で確りと軸支して、第2減速ギヤ37をがたつくことなく円滑に回転させることができる。従って、次段減速ギヤ対T2のバックラッシュや回転振れに起因する振動や噛合騒音の発生をよく防止できる。また、第1および第2遮音壁42・43を第2ギヤ軸41で一体化して、両壁42・43の構造強度を向上できるので、伝動構造Tの動力伝動に伴って、第1および第2遮音壁42・43が振動し騒音が発生するのを防止できる。
【0027】
本体部21に装着した第3遮音壁24で第2遮音壁43の上方を覆うようにすると、第2遮音壁43に加えて第3遮音壁24で、伝動構造Tで発生する噛合騒音が本体部21の外へ漏れ出るのをさらに確実に防止して、使用時の回転体駆動装置をさらに静音化できる。
【0028】
本体部21に設けた連結部319に嵌係合する状態で締結される第2遮音壁43と連結部319の嵌係合面を弾性体325で封止すると、第2遮音壁43に設けた軸受ボス316で回転自在に支持される駆動軸39の回転駆動に伴う振動が、第2遮音壁43を伝って本体部21に伝播するのを弾性体325で阻止できる。従って、使用時の回転体駆動装置の振動が、手に伝わるのをよく防止できる。また、弾性体325は、第2遮音壁43と本体部21との間のシールとして機能するので、第2遮音壁43より下方の本体部21内に液体や塵埃が侵入するのを弾性体325で阻止できる。さらに、伝動構造Tで発生した噛合騒音が、第2遮音壁43と本体部21の嵌係合面から漏れ出るのを確実に防止できる。
【0029】
軸受44よりも駆動軸39の先端側に駆動軸39と第2遮音壁43との間をシールする第1パッキン326を設けると、液体が回転体20の側から駆動軸39に沿って軸受44の側へ浸入するのを阻止できる。従って、軸受44や伝動構造Tの減速ギヤ群が先の液体で腐食され、あるいは機能不良に陥るのを防止できる。
【0030】
駆動軸39とボス開口317との間の隙間と、連結穴45を囲む筒壁328の下端と軸受ボス316の上端との間の隙間とを、駆動軸39と軸受ボス316の外面に配置した第2パッキン47で同時に封止すると、液体が回転体20の側から駆動軸39に沿って軸受44の側へ浸入するのを確実に阻止しながら、筒壁328の外側へ液体が漏れ出るのを阻止できる。また、1個の第2パッキン47で、異なる2箇所をシールするので、部品点数が少ない分だけ回転体駆動装置の製造コストを削減できる。
【0031】
第3遮音壁24と本体部21の接合部分に、筒内空間に浸入した液体を本体部21の外へ排出する排水口330を形成した。これによれば、第3遮音壁24と本体部21の接合部分の隙間、あるいは第2パッキン47の外表面に沿って筒内空間に液体が浸入した場合でも、排水口330から液体を排出することができる。従って、本体部21の内部で液体が腐敗することによる異臭の発生を防いで、回転体駆動装置を衛生的に保つことができる。
【0032】
伝動構造Tの終段ギヤ38を支持する終段ギヤ軸302の下側に、回転体20を振動させる起振構造を配置すると、起振構造で発生させた振動を、終段ギヤ軸302を介して終段ギヤ38に固定された駆動軸39に効率よく伝播して、駆動軸39に連結した回転体20を確実に振動させることができる。従って、例えば回転体20による泡立て、洗浄、あるいはマッサージ機能などを効果的に発揮できる。
【0033】
終段ギヤ38の終段ギヤ軸302と起振構造とを内フレーム27に固定すると、起振構造で発生させた振動を、内フレーム27から終段ギヤ軸302へと伝播させて、さらに効率よく駆動軸39に伝播することができ、回転体20に対してさらに確実に振動を付与することができる。
【0034】
本体部21の中心軸Qの一側にモーター28を偏寄配置し、前記中心軸Qの他側に起振構造を配置した。また、モーター28に隣接し、かつ、モーター28の上下範囲内に収まる状態で起振構造を配置した。これによれば、モーター28の側方の空間を利用して起振構造を配置できるので、本体部21の内部にデッドスペースが生じるのを防止できる。従って、起振構造を備える回転体駆動装置でありながら、本体部21の内部にモーター28および伝動構造Tと起振構造を集約配置して、装置全体を小型化することができる。
【0035】
本体部21の中心軸Qと平行な回転軸を有する第1振動モーター51と、本体部21の中心軸Qと直交する回転軸を有する第2振動モーター52とで起振構造を構成すると、互いに直交する異なる方向の振動を回転体20に付与することができる。これによれば、両振動モーター51・52を同時に駆動した場合には、回転体20に複雑な振動を付与することができる。また、第1振動モーター51と第2振動モーター52を別々に駆動した場合には、本体部21の中心軸Qに直交する成分の振動、あるいは本体部21の中心軸Qに平行な成分の振動のいずれかを選択して回転体20に付与することができる。従って、例えば回転体20による泡立て、洗浄、あるいはマッサージ機能をより効果的に発揮できる。
【発明を実施するための形態】
【0037】
(第1実施形態)
図1から
図15は本発明の回転体駆動装置を泡立器の撹拌体に適用した第1実施形態を示す。本発明における前後、左右、上下とは、
図2および
図5の交差矢印と、交差矢印の近傍に表記した前後、左右、上下の表示に従う。
図2において泡立器は、泡立容器1と、泡立容器1に装着される撹拌体(回転体駆動装置)と、撹拌体を撹拌姿勢に支持するホルダー3とで構成される。泡立容器1は、平面視が円形で上向きに開口する泡生成部4と、泡生成部4を支持するスタンド5と、泡生成部4の後上部に連続して形成されるホルダー3を一体に備えたカレーポット状のプラスチック成型品からなる。
【0038】
ホルダー3は、滑らかに連続するホルダー底壁8と、ホルダー底壁8に連続して上向きに延びるホルダー側壁9とで断面U字形の樋体状に形成される。ホルダー底壁8とホルダー側壁9とは、その後端から泡生成部4へ向かって下り傾斜されており、ホルダー底壁8の後端の下面側には、後述するブラシ体(回転体)20を吊下げ支持する丸軸状のブラシ支持具10が下向きに突設されている。撹拌体の本体ケース(本体部)21をホルダー3に装着して撹拌姿勢に保持した状態において、本体ケース21の下半周面はホルダー底壁8およびホルダー側壁9でしっかりと支持される。従って、泡立時に本体ケース21に作用する回転反力をホルダー側壁9で受止めて、撹拌体をホルダー3で安定した状態に支持できる。
【0039】
図3に示すようにホルダー3の内部空間と泡生成部4の内部空間との間には、両空間を前後に区分する逆V字状の区分壁11が形成され、その左右中央に前記両空間を連通する連通溝12が、区分壁11と直交する状態で凹み形成されている。ホルダー3の内部空間に臨む区分壁11のうち、連通溝12を囲む傾斜壁は、ホルダー3に装着した撹拌体を受止めるための規制部13として機能する。規制部13はホルダー3の内部空間の傾斜下端に位置されている。区分壁11で前後に区分されたホルダー3の内部空間と泡生成部4の内部空間とは、泡生成部4の上開口面より下方で連通されている。区分壁11とホルダー底壁8との交差部分、つまり、ホルダー3の内部空間の傾斜下端で最も低い個所には排液口14が上下貫通状に形成されており、本体ケース21から流れ落ちてホルダー3内へ流下した液体は、先の排液口14から排出される。
【0040】
泡生成部4は、器底壁15と、器底壁15に連続して上向きに延びる器周囲壁16とで、上向きに開口する容器状に構成されており、先の区分壁11と対向する器周囲壁16の前半周面の複数個所に、ブラシ体20に強い圧力を付加し、その圧力で発泡要素に強い圧力を作用させながら泡立てを行う泡立リブ17が設けられている。この実施形態では、器周囲壁16の前半周面の6個所において、連続波型の泡立リブ17を器周囲壁16の開口縁から器底壁15にわたって形成した。泡立リブ17が形成された器底壁15から器周囲壁16にわたる部分が、後述するブラシ束61と共同して泡を発生させる起泡部Fとして機能する。なお、泡立リブ17と対向する器周囲壁16の後半周面は平滑な2次元平面で形成されている。上記のように、泡立リブ17は上下方向に連続する断面が山形のリブで形成するが、上下方向に断続する断面が山形のリブで形成してあってもよい。
【0041】
スタンド5は泡生成部4の下方からホルダー3の下方にわたって連出されて、前後に長い楕円形の伏皿状に形成されており、先に説明した排液口14と対向するスタンド5の壁面に、後述する化粧カバー80を収納保管する円形のカバー収納部18が設けられている(
図14参照)。なお、楕円形のスタンド5の後端は、ブラシ支持具10の真下に位置している。このように、スタンド5を泡生成部4の下方からホルダー3の下方にわたって、前後に長く形成することにより、泡立容器1とホルダー3に装着した撹拌体を安定した状態で支持でき、泡立器の全体の印象を優美でありながらシンプルなものとすることができる。
【0042】
図4、
図5に示すように撹拌体は、ブラシ体20を支持する上下に長い本体ケース21と、本体ケース21の上端(外面)に配置されて泡生成部4に収容した発泡要素を回転しながら撹拌するブラシ体20と、本体ケース21の内部に設けられてブラシ体20を駆動するブラシ駆動構造などで構成する。本体ケース21はグリップを兼ねており、上半の上ケース22と、上ケース22に対して着脱される有底筒状の下ケース23と、上ケース22の上端に装着固定されて、本体ケース21上端の化粧蓋を兼ねるエンドカバー(第3遮音壁)24とで構成されている。上ケース22の右側面にはスイッチ凹部25が凹み形成されており、その下部にモーター28への給電状態を切換えるメインスイッチ26が設けられている。
【0043】
図4、
図7に示すように、本体ケース21の内部には内フレーム27が収容されている。内フレーム27は、上端壁307と、上端壁307の前側下方に設けられるモーターホルダー333と、モーターホルダー333の下方に設けられる電池ホルダー334とを一体に備えている。また、内フレーム27は、モーターホルダー333の後側の上下に、後述する第1振動モーター51および第2振動モーター52が固定される第1取付部331と第2取付部332とを一体に備えている。この内フレーム27を基体としてモーター28、電池29、起振構造、およびモーター28の回転動力を減速した状態で出力する伝動構造Tなどが組込まれている。ブラシ駆動構造は、モーター28と伝動構造Tと起振構造で構成される。
図5に示すように、モーター28は、本体ケース21の上下方向の中心軸Qより肩部34の側(前側)へ偏寄した位置に配置されている。符号30は撹拌体の運転モードに応じて発光表示するLED灯である。図示していないが、スイッチ凹部25と正対する上ケース22の内部には、モーター28および第1、第2の振動モーター51・52の駆動状態を制御する制御基板が配置されている。該制御基板は、内フレーム27に固定されている。
【0044】
上ケース22は前後に長い楕円筒状に形成されており、ケース上端における楕円の長軸寸法は、ケース下端における楕円の長軸寸法より大きく設定されており、上ケース22の全体が上広がり筒状に形成されている。エンドカバー24の上面には、ブラシ体20を連結するためのボス壁33が膨出形成され、ボス壁33の前側下縁に沿って三日月状の肩部34が前向きに張出されている。
図14に示すように、本体ケース21をホルダー3に装着して撹拌姿勢に保持した状態において、本体ケース21の周面はホルダー底壁8およびホルダー側壁9で受止め支持されており、同時に肩部34が先の規制部13で受止められて位置決めされている。このように、ホルダー3に装着した撹拌体を泡生成部4に対して位置決めすることにより、起泡部Fの器底壁15および器周囲壁16に接触したブラシ束61の弾性変形量を常に一定にして均一化できる。これにより、撹拌体をホルダー3に装着した状態において、ブラシ束61が過剰に変形されて劣化するのを防止できる。装着状態における撹拌体の重量の大半は、肩部34と接合する規制部13で受止められる。
【0045】
伝動構造Tは、減速ギヤ対を動力伝動要素として、多段状の減速ギヤ対からなるギヤトレインで構成されている。
図1、
図6に示すように、モーター28の回転動力は、その出力軸301に固定した原動ギヤ35と、第1減速ギヤ36と、第2減速ギヤ37と、終段ギヤ38とからなる伝動構造Tで減速されて、終段ギヤ38に固定した駆動軸39から出力される。駆動軸39の駆動中心軸Bは、モーター28の出力軸301の出力中心軸Mに対して偏寄配置されている。具体的には、出力中心軸Mと駆動中心軸Bとは、本体ケース21の中心軸Qを間に挟む状態で平行に配置されている。伝動構造Tを構成する第1減速ギヤ36は、駆動中心軸Bに沿って配置される第1中間軸(第1ギヤ軸)40で回転自在に支持されており、第2減速ギヤ37は、出力中心軸Mに沿って配置される第2中間軸(第2ギヤ軸)41で回転自在に支持されている。また、第1中間軸40は、終段ギヤ38を支持する終段ギヤ軸302を兼ねている。このように、原動ギヤ35と第2減速ギヤ37は出力中心軸M上に配置され、第1減速ギヤ36と終段ギヤ38は駆動中心軸B上に配置してある。
【0046】
上記のように、駆動軸39の駆動中心軸Bを、モーター28の出力軸301の出力中心軸Mに対して偏寄配置して、出力中心軸Mと駆動中心軸Bに沿って配置した多段状の動力伝動要素で伝動構造Tを構成すると、伝動構造Tを出力中心軸Mと駆動中心軸Bに沿って振り分けて配置できるので、各構成部材を並列させた状態で設けることができる。これにより、モーターと駆動軸とが同軸上に配置された従来の回転体駆動装置に伝動構造を追加する場合に比べて、駆動中心軸B方向の寸法を小さくすることができ、従って、伝動構造Tをコンパクトにして装置全体を小型化することができる。
【0047】
また、伝動構造Tを減速ギヤ対からなるギヤトレインで構成し、本体ケース21の中心軸Qを間に挟む状態で出力中心軸Mと駆動中心軸Bに沿って交互に配置すると、本体ケース21の中心軸Qの両側に伝動構造Tを構成するギヤを振り分けることにより、伝動構造Tを本体ケース21の一側に偏ることなく配置できるので、本体ケース21が前後方向に太くなるのを防止して、装置全体を小型化することができる。さらに、伝動構造Tを本体ケース21の中心軸Qの両側に振り分けて配置すると、重心位置が本体ケース21の一側8に大きく偏寄するのを回避できるので、本体ケース21を片手で持って撹拌体を使用する際の操作性を軽快なものとすることができる。
【0048】
伝動構造Tは、原動ギヤ35と第1減速ギヤ36とで初段減速ギヤ対T1を構成し、第1減速ギヤ36と第2減速ギヤ37とで次段減速ギヤ対T2を構成し、第2減速ギヤ37と終段ギヤ38とで終段減速ギヤ対T3を構成している。第1減速ギヤ36と第2減速ギヤ37は、それぞれ大径ギヤ361・371と小径ギヤ362・372を一体に備えており、原動ギヤ35と第1減速ギヤ36の大径ギヤ361とで第1噛合部(噛合部)E1を形成している。同様に、第1減速ギヤ36の小径ギヤ362と第2減速ギヤ37の大径ギヤ371とで第2噛合部E2を形成し、第2減速ギヤ37の小径ギヤ372と終段ギヤ38とで第3噛合部E3を形成している。初段減速ギヤ対T1の噛合部E1の上方には、第1噛合部E1を覆う状態で第2減速ギヤ37が配置されており、駆動回転数が最も大きな第1噛合部E1で発生する噛合騒音を第2減速ギヤ37で遮断して、噛合騒音が本体ケース21の外へ漏れ出るのを防止している。
【0049】
図6、
図8、
図10に示すように、内フレーム27の上端には、ギヤフレーム(第1遮音壁)42が固定されている。ギヤフレーム42は、四隅が丸められた長方形状の水平壁303と、水平壁303の周縁から下方に向かって延出される周囲壁304とで構成されており、周囲壁304には、内フレーム27の上端壁307に突接した4個の締結ボス308に対応するボス逃げ部305が形成されている。内フレーム27の上端壁307は、水平壁303と同様に四隅が丸められた長方形状に形成されており、ギヤフレーム42は、同フレーム42の上方から締結ボス308にねじ込まれる4個のビス309で内フレーム27に締結固定される。原動ギヤ35と第1減速ギヤ36とは、ギヤフレーム42と上端壁307とで画成される空間に収容された状態で配置されている。このように、第1噛合部E1と第2減速ギヤ37との間にギヤフレーム42を設けると、第1噛合部E1で発生する噛合騒音が外部へ漏れ出ようとするのを、第2減速ギヤ37に加えて第1遮音壁42でも遮断できるので、噛合騒音が本体ケース21の外へ漏れ出るのをさらに確実に防止できる。
【0050】
図7に示すように、水平壁303には、第1減速ギヤ36の小径ギヤ362を収容する膨出壁311が形成されており、膨出壁311には、小径ギヤ362の一部を水平壁303の上面に露出させる窓312が形成されている。第1減速ギヤ36の小径ギヤ362と第2減速ギヤ37の大径ギヤ371とは、窓312の内部で噛合して第2噛合部E2を形成している。膨出壁311の上方には、終段ギヤ38が配置されており、終段ギヤ38と膨出壁311の間には、第1中間軸40に挿通した状態でカラー313を設けている。
【0051】
図6、
図8、
図9に示すように、ギヤフレーム42の上方には、シール蓋(第2遮音壁)43が本体ケース21に固定されており、本体ケース21の内部は、終段減速ギヤ対T3の上方を覆うシール蓋43で密封されている。シール蓋43は蓋壁315を備えており、蓋壁315には軸受ボス316が一体に形成されて、その内部に駆動軸39を軸支するベアリング(軸受)44が固定されている。軸受ボス316の上端には、ボス開口317が形成されており、駆動軸39はボス開口317を上下に貫通する状態で、ベアリング44で支持されている。ベアリング44よりも駆動軸39の先端側、具体的には、ベアリング44とボス開口317との間には、駆動軸39とシール蓋43との間をシールするOリング(第1パッキン)326が設けられている。Oリング326を設けることにより、液体がブラシ体20の側から駆動軸39に沿ってベアリング44の側へ浸入するのを阻止して、ベアリング44や伝動構造Tの減速ギヤ群が浸入した液体で腐食され、あるいは機能不良に陥るのを防止できる。
【0052】
シール蓋43は、ギヤフレーム42と共に上ケース22に設けた連結部319に嵌係合されて、締結構造320で締結固定される。具体的には、締結構造320は、ギヤフレーム42およびシール蓋43にそれぞれ形成される締結座321・322と、上ケース22に形成されるねじボス323と、ねじボス323にねじ込まれるビス48とからなる。
図10に示すように締結構造320は、シール蓋43の前縁部および左右縁部の3ヶ所に形成されている。連結部319の嵌係合面とシール蓋43の蓋壁315の周面との間にはシールリング(弾性体)325が設けてあり、前記嵌係合面と前記周面との間を封止している。
【0053】
上記のように、終段減速ギヤ対T3の上方を、本体部21に固定したシール蓋43で覆うと、伝動構造Tを構成する初段減速ギヤ対T1、次段減速ギヤ対T2、および終段減速ギヤ対T3のそれぞれの噛合部E1・E2・E3の全部をシール蓋43で密封することができる。従って、各噛合部E1・E2・E3で発生する噛合騒音が外部へ漏れ出ようとするのを、第2減速ギヤ37およびギヤフレーム42に加えてシール蓋43でも遮断して、噛合騒音が本体部21の外へ漏れ出るのをより効果的に防止できる。また、伝動構造Tで発生する噛合騒音が本体部21の外へ漏れ出るのを確実に防止して、使用時の撹拌体を静音化できる。また、シール蓋43と連結部319の嵌係合面をシールリング325で封止すると、駆動軸39の回転駆動に伴う振動が、シール蓋43を伝って本体ケース21の上ケース22に伝播するのをシールリング325で阻止できる。従って、使用時の伝動構造Tの振動が、泡立容器1や撹拌体を持った手に伝わるのをよく防止できる。シールリング325は、シール蓋43と本体ケース21との間のシールとして機能するので、シール蓋43より下方の本体ケース21内に液体や塵埃が侵入するのをシールリング325で阻止できる。伝動構造Tで発生した噛合騒音が、シールリング325と連結部319の嵌係合面から漏れ出るのを確実に防止できる。
【0054】
第1減速ギヤ36を回転自在に支持する第1中間軸40は、第1減速ギヤ36の上下に突出する部分が、内フレーム27の上端壁307とギヤフレーム42の膨出壁311とで軸支されている。このように、内フレーム27とギヤフレーム42とで第1中間軸40を軸支すると、第1中間軸40の上下を確りと固定支持して、第1減速ギヤ36を円滑に回転させることができる。従って、次段減速ギヤ対T2の回転振れに起因する振動や噛合騒音の発生をよく防止できる。
【0055】
第2減速ギヤ37を回転自在に支持する第2中間軸41は、第2減速ギヤ37の上下に突出する部分が、ギヤフレーム42の水平壁303とシール蓋43の蓋壁315とで軸支されている。このように、ギヤフレーム42とシール蓋43とで第2中間軸41を軸支すると、第2中間軸41の上下を確りと固定支持して、第2減速ギヤ37を円滑に回転させることができる。従って、次段減速ギヤ対T2のバックラッシュや回転振れに起因する振動や噛合騒音の発生を確実に防止できる。また、ギヤフレーム42とシール蓋43の中央部付近を第2の中間軸41で一体化して構造強度を向上できるので、伝動構造Tの動力伝動に伴って、ギヤフレーム42、およびシール蓋43が振動し騒音が発生するのを防止できる。
【0056】
図6に示すように、先に説明したエンドカバー24は、シール蓋43の上方を覆うように上ケース22の上開口を密閉する状態でシール蓋43にビス32で締結されている。このように、エンドカバー24を上ケース22の上開口を密閉するように設けると、シール蓋43に加えてエンドカバー24でも本体ケース21の上開口を密封して、各噛合部E1・E2・E3で発生する噛合騒音が外部へ漏れ出ようとするのを、第2減速ギヤ37およびギヤフレーム42、シール蓋43に加えてエンドカバー24でも遮断して、噛合騒音が本体部21の外へ漏れ出るのを確実に防止して、使用時の撹拌体を静音化できる。
【0057】
図8に示すように、軸受ボス316のボス開口317から突出する駆動軸39の連結端は、エンドカバー24に設けた連結穴45に臨んでいる。連結穴45の周縁には、連結穴45を囲むように下方に向かって延出される筒壁328が形成されており、筒壁328の下端は、軸受ボス316と僅かな隙間を介して対向している。駆動軸39と軸受ボス316の外面には、軸受ボス316の上端に被さるようにキャップ状の防水シール(第2パッキン)47が配置されており、防水シール47で、駆動軸39とボス開口317との間の隙間と、連結穴45を囲む筒壁328の下端と軸受ボス316の上端との間の隙間とを、同時に封止している。
【0058】
上記のように、駆動軸39とボス開口317との間の隙間、および筒壁328の下端と軸受ボス316の上端との間の隙間を、防水シール47で同時に封止すると、液体が回転体20の側から駆動軸39に沿ってベアリング44の側へ浸入するのを確実に阻止しながら、筒壁328の外側へ液体が漏れ出るのを阻止できる。また、1個の防水シール47で、異なる2箇所をシールするので、部品点数が少ない分だけ撹拌体の製造コストを削減できる。
【0059】
図6に示すように、シール蓋43とエンドカバー24との間には、本体ケース21で囲まれる筒内空間が設けられている。防水シール47の外表面に沿って前記筒内空間に侵入した液体を排出するために、エンドカバー24と本体ケース21との接合部分に排水口330を設けている。具体的には、排水口330は、エンドカバー24の前端下部に形成した切欠きからなり、エンドカバー24を上ケース22に組付けた状態において、本体ケース21の前面に排水口330が開口している。このように筒内空間と連通する排水口330を設けると、前記筒内空間に浸入した液体を排水口330から排水できるので、本体ケース21の内部で液体が腐敗することによる異臭の発生を防いで、撹拌体を衛生的に保つことができる。
【0060】
図1、
図6に示すように、ブラシ駆動構造を構成する起振構造は、本体ケース21の中心軸Qと平行な回転軸を有する第1振動モーター51と、本体ケース21の中心軸Qと直交する回転軸を有する第2振動モーター52とで構成されている。第1振動モーター51では、本体ケース21の前後方向の振動を発生し、第2振動モーター52では、本体ケース21の上下方向の振動を発生する。第1振動モーター51は、シリンダー型のモーター53と偏心錘54とで構成されており、第2振動モーター52は、コイン型のモーター55と偏心錘56とを円盤状のケースに封入して構成されている。このように、互いに直交する、異なる方向の振動を発生させる第1振動モーター51と第2振動モーター52とで起振構造を構成すると、両振動モーター51・52を同時に駆動した場合には、回転体20に複雑な振動を付与することができる。また、第1振動モーター51のみを駆動した場合には前後方向の振動をブラシ体20に付与することができ、第2振動モーター52のみを駆動した場合には上下方向の振動をブラシ体20に付与することができる。従って、例えばブラシ体20による泡立て、洗浄、あるいはマッサージ機能をより効果的に発揮できる。また、ブラシ体20を肌面に接触させて洗浄を行う場合には、振動で毛穴に入込んでいる汚れや化粧料などを、肌を傷めることなく洗い落すことができる。
【0061】
起振構造は、本体ケース21の中心軸Qの一側に偏寄配置されたモーター28の他端側に配置されている。具体的には、第1振動モーター51と第2振動モーター52のそれぞれは、モーター28の後側(側方)に隣接し、かつ、モーター28の上下範囲内に収まる状態で配置されている。このように配置した起振構造によれば、モーター28の後方の空間を利用して起振構造を配置できるので、本体ケース21の内部にデッドスペースが生じるのを防止でき、起振構造を備える撹拌体でありながら、装置全体を小型化することができる。
【0062】
第1振動モーター51と第2振動モーター52とは、内フレーム27に設けた第1取付部331と第2取付部332とにそれぞれ固定されている。第1振動モーター51は、終段ギヤ軸302(第1中間軸40)の下側に配置されている。具体的には、
図11に示すように終段ギヤ軸302下端の水平面上において、終段ギヤ軸302の中心軸Nから本体ケース21(上ケース22)の後壁内面までの寸法をU、本体ケース21の前後方向の垂直平面上において、終段ギヤ軸302下端から本体ケース21(下ケース23)の下壁内面までの寸法をVとしたとき、第1振動モーター51の駆動状態における偏心錘52の重心G1、および第2振動モーター52の駆動状態における偏心錘54の重心G2を、U/2よりも終段ギヤ軸302側かつ、V/2よりも終段ギヤ軸302側に寄せて配置している。本実施形態においては、終段ギヤ軸302の中心軸Nは、駆動軸39の駆動中心軸Bと一致している。このように、各偏心錘54・56の駆動状態における重心位置G1・G2を終段ギヤ軸302の下側に寄せて配置すると、起振構造で発生させた振動を、終段ギヤ軸302を介して終段ギヤ38に固定される駆動軸39に効率よく伝播して、駆動軸39に連結したブラシ体20を確実に振動させることができる。また、終段ギヤ軸302は、内フレーム27で軸支されているので、起振構造で発生させた振動を、内フレーム27から終段ギヤ軸302へと伝播させて、さらに効率よく駆動軸39に伝播することができ、ブラシ体20に対してさらに確実に振動を付与することができる。なお、起振構造は第1振動モーター51、または第2振動モーター52のいずれか一方で構成することができる。第1振動モーター51を廃して第2振動モーター52のみで起振構造を構成した場合には、第2振動モーター52を第1取付部331に固定することにより、振動を終段ギヤ軸302を介して終段ギヤ38に固定される駆動軸39に効率よく伝播することができる。
【0063】
図4においてブラシ体20は、ブラシベース60と、ブラシベース60に装着した一群のブラシ毛からなるブラシ束61を備えており、ブラシベース60の下面中央には継手体64が突設されている。
図12に示すように、継手体64は、回転力を受ける3個の受動壁70と、駆動ピース46に係合する3個の弾性腕71とを交互に配置して六角筒状に形成されており、各弾性腕71の内面の下端寄りに係合片72が突設されている。なお、継手体64は、ブラシ体20をブラシ支持具10に係合装着するための装着構造93を兼ねている。
【0064】
ブラシ束61は、ブラシベース60から上方へ延びる棒状のブラシ軸部76と、ブラシ軸部76の先端に形成される外突湾曲状のブラシ先端部77と、ブラシ先端部77の中央に凹み形成される保持凹部78とを備えている。この実施形態においては、ブラシ束61をブラシベース60の側からブラシ先端部77へ向かって上広がり状に形成して、ブラシ軸部76を逆円錐台状に形成し、ブラシ先端部77を部分球面状に形成した。また、保持凹部78は部分球面状の凹曲面で形成して、その内部に洗顔剤などの発泡剤を保持できるようにした。ブラシ軸部76は、より多くの泡や洗浄剤を含むことに役立っており、ブラシ先端部77は洗浄剤を効果的に泡立てることに役立っている。
【0065】
ブラシ体20は、
図6に示すように、ブラシベース60の継手体64を駆動ピース46に連結して、ブラシ体20を本体ケース21と一体化して使用する。ブラシ体20を駆動軸39に連結した状態においては、各弾性腕71の係合片72が駆動ピース46の下端面に係合して、ブラシ体20が駆動軸39から分離するのを防止している。上記とは異なり、ブラシ体20を駆動軸39から取外して、ブラシベース60を片手で持った状態で、ブラシ体20を単体で使用することができる。このように、単独で使用する際のブラシ体20の外観上の体裁を向上し、さらに、ブラシベース60の下面に突出する継手体64を保護するために、ブラシベース60の下面に化粧カバー80を着脱自在に装着している(
図4参照)。なお、化粧カバー80は、泡立てに使用する水を計量する計量容器を兼ねている。
【0066】
以上のように構成した泡立器を用いて洗顔を行う場合について、泡立容器1と撹拌体による泡立作用の詳細と、ブラシ体20による肌洗浄作用の詳細を以下に説明する。まず、ブラシ体20を駆動軸39に連結し、クリーム状の適量の洗顔用の洗浄剤を保持凹部78に付着させて、
図14に示すように本体ケース21をホルダー3に装着したのち、ブラシ体20に適量の水または湯を含浸させる。この時、化粧カバー80で水または湯を計量することにより、洗浄剤に対する水または湯を過不足なくブラシ体20に含ませることができる。給水後の化粧カバー80は、その開口面が上向きになる状態でカバー収納部18に収納保管する。収納保管状態における化粧カバー80は、排液口14から排出されて落下する水滴を受止める水受94を兼ねている。この状態でメインスイッチ26をオン操作すると、
図13に示すように、モーター28が起動して、その回転動力が伝動構造Tで減速されたのちブラシ体20に伝動される。このときのモーター28は、低速回転(5000rpm)するように設定されており、モーター28が起動してから1分が経過するまで、その状態を維持する。そして、低速回転時間が1分に達するとモーター28は増速されて高速回転(10000rpm)する。さらに、高速回転モードに移行して1分が経過すると、モーター28を停止させて泡立モードを終了する。なお、モーター28が低速で駆動されているときの駆動軸39およびブラシ体20の駆動回転数は150rpmであり、モーター28が高速で駆動されているときの駆動軸39およびブラシ体20の駆動回転数は300rpmである。
【0067】
泡立モードが終了したら、本体ケース21をホルダー3から取外す。この時、ホルダー3に装着した状態の本体ケース21のグリップ遊端側が、ホルダー3の突端から突出しているので、突出するケース部分を手掛かりにして本体ケース21を容易にホルダー3から取外すことができる(
図15参照)。ホルダー3から分離した状態のブラシ体20のブラシ束61には生成した大量の泡が保持されている。とくにブラシ軸部76は多くの泡を含んで膨らんでおり、さらにブラシ軸部76やブラシ先端部77の周面には肌理細かな弾力に富む泡が付着している。従って、撹拌体をホルダー3から分離したのち、余分な泡を器周囲壁16の開口縁でしごいてブラシ体20の外形を整え、ブラシ体20に保持されている泡を顔肌や肌面に直接塗付することができる。ブラシ体20に含まれる泡の残量が少なくなってきたら、泡生成部4内の泡塊をブラシ体20で掬いとって、頬回り、額、あご、鼻などの顔肌に塗付する。
【0068】
上記の状態で、ブラシ体20のブラシ軸部76の軸周面(ブラシ束61の周側面)を洗浄すべき顔肌にあてがい、メインスイッチ26をオン操作すると、第1振動モーター51と第2振動モーター52が起動して、本体ケース21およびブラシ体20を、前後および上下方向へ振動させて、肌洗浄モードに移行する。これにより、顔肌に付着している皮脂、古い角質、あるいは毛穴に入込んでいる汚れや化粧料などを、肌を傷めることなく洗い落すことができる。肌洗浄モードを開始してから1分が経過すると、第1振動モーター51と第2振動モーター52を停止させて肌洗浄モードを終了するので、それまでの間に頬回りや額などをブラシ軸部76で洗浄する。最後に、本体ケース21をホルダー3に再装着して、水または湯を使用して顔肌に付着している泡を洗い流し、水気を取り除いた状態で化粧水などを顔肌に塗付して洗顔を終了する。洗浄時には、ブラシ体20の振動作用によって、顔肌をマッサージできるので血行を促進できる効果もある。なお、肌洗浄モードでは、起振構造でブラシ体20を振動させたが、必ずしもその必要はない。例えば、肌洗浄モード時に、ブラシ体20を再び回転駆動して顔肌の洗浄を行うことができる。その場合のブラシ体20の回転速度は、泡立モード時のブラシ体20の回転速度よりさらに小さな回転速度で回転駆動して、顔肌に対する刺激を小さくすることが好ましい。また、肌洗浄モード時のブラシ体20の駆動時間は1分前後とすることが好ましい。より強い刺激を与えた状態で肌洗浄を行う必要がある場合には、ブラシ体20を起振構造で振動させ、さらにブラシ体20を回転駆動した状態で肌洗浄を行うことができる。
【0069】
洗顔が終了したら、本体ケース21から取外したブラシ体20と泡立容器1を水洗いし、泡立容器1およびブラシ体20に付着している泡を洗い流して水切りする。次に、
図15に示すように、ブラシ体20の継手体64を泡立容器1のブラシ支持具10に係合して、ブラシ束61が下向きになる状態でブラシ体20を泡立容器1に固定し、ブラシ束61を乾燥させその状態のままで保管する。本体ケース21はホルダー3に装着してもよいし、泡立容器1から分離した状態で保管してもよい。なお、泡立モードが終了したのち、一定時間が経過した時点で自動的に肌洗浄モードに移行して、第1振動モーター51と第2振動モーター52を起動して肌洗浄を行い、さらに一定時間が経過したのちに両モーター51・52を停止させて自動的に肌洗浄モードを終了することができる。
【0070】
以上のように構成した泡立器は、洗顔用の洗浄剤を泡立てる以外に、シェービング用の洗浄剤を泡立てる際や、毛染め剤を泡立てる際にも使用することができる。
【0071】
(第2実施形態)
図16は、本発明の回転体駆動装置を手持ち型のマッサージ器に適用した第2実施形態を示す。本実施形態では、回転体20を第1実施形態のブラシ体に変えてマッサージヘッドとした点が異なる。マッサージヘッド20は、円盤状のヘッドベース340と、ヘッドベース340の上面に回転自在に埋め込み装着された8個のマッサージボール341で構成されている。ヘッドベース340の下面中央には継手体64が突設されており、継手体64を駆動ピース46に連結して、マッサージヘッド20を本体ケース21と一体化して使用する。使用時には、モーター28を駆動してマッサージヘッド20を回転させることにより、マッサージボール341で肌面を揉みほぐすことができる。また、起振構造を駆動してマッサージヘッド20を振動させることにより、マッサージボール341で肌面に振動刺激を与えることができる。より強いマッサージを行う場合には、モーター28と起振構造とを同時に駆動すればよい。他は第1実施形態と同じであるので、同じ部材に同じ符号を付して、その説明を省略する。
【0072】
上記の各実施形態のように、回転体20は、ブラシ体やマッサージヘッドなどの形態を採ることができ、使用用途に応じた回転体20を用意することで、様々な機能を発揮させることができる回転体駆動装置を得ることができる。
【0073】
上記の実施形態の減速ギヤ対からなる動力伝動要素に替えて、一対のプーリーと無端ベルトからなる巻掛伝動機構を動力伝動要素とした伝動構造Tを採用することができる。この場合には、ギヤトレインで構成した伝動構造Tよりも発生する騒音を低減することができ、回転体駆動構造をさらに静音化できる。また、回転体20に過度の回転反力が作用した場合には無端ベルトがスリップするので、モーターの負荷を軽減することができる。