特許第6293607号(P6293607)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6293607
(24)【登録日】2018年2月23日
(45)【発行日】2018年3月14日
(54)【発明の名称】ミラーキャビネットおよび洗面台
(51)【国際特許分類】
   A47B 67/02 20060101AFI20180305BHJP
   A47K 1/02 20060101ALI20180305BHJP
【FI】
   A47B67/02 502E
   A47B67/02 502D
   A47K1/02 B
【請求項の数】5
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2014-157963(P2014-157963)
(22)【出願日】2014年8月1日
(65)【公開番号】特開2016-34343(P2016-34343A)
(43)【公開日】2016年3月17日
【審査請求日】2017年4月4日
(73)【特許権者】
【識別番号】000108661
【氏名又は名称】タカラスタンダード株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000280
【氏名又は名称】特許業務法人サンクレスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】秋 由隆
【審査官】 大谷 純
(56)【参考文献】
【文献】 実開平3−31675(JP,U)
【文献】 実開昭56−140663(JP,U)
【文献】 実開昭62−141344(JP,U)
【文献】 特開2011−177337(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2007/0013279(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47B 67/00−67/04
A47K 1/00− 1/14
E05D 1/00− 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャビネット本体と、
前面が鏡面とされた鏡板、およびその後面に固定される裏板を有し、前記キャビネット本体の前側に配置されるミラー扉と、
前記ミラー扉の上端縁および下端縁のうち少なくとも一端縁に沿って延びるように当該一端縁に固定されるサッシュと、
前記サッシュの長手方向一端部を前記キャビネット本体に対して水平方向に回動可能に支持する軸蝶番と、を備えたミラーキャビネットであって、
前記ミラー扉の裏板における前記一端縁側の端面は、前記鏡板の前記一端縁側の端面に対して上下方向の中央側に所定の段差をもって配置され、
前記サッシュは、前記鏡板の鏡面側において上下方向に延びる縦板部と、前記裏板の前記端面に沿って配置される横板部と、を有し、
前記軸蝶番の前記サッシュに接続される接続部が、前記サッシュの横板部に配置されることを特徴とするミラーキャビネット。
【請求項2】
前記サッシュは、前記鏡板の鏡面に沿って上下方向に延びる前記縦板部としての第1縦板部と、前記第1縦板部の上下方向の外側端部から前記鏡板の前記端面に沿って後方に延びる第1横板部と、前記第1横板部の後端部から前記鏡板の後面に沿って上下方向の中央側に延びる第2縦板部と、前記第2縦板部の上下方向の中央側端部から前記裏板の前記端面に沿って後方に延びる前記横板部としての第2横板部と、を有し、
前記第2縦板部の高さ寸法は、前記鏡板の鏡面に正対した利用者の視点から当該第2縦板部の死角となる範囲に、前記軸蝶番の接続部が配置される程度の寸法に設定されている請求項1に記載のミラーキャビネット。
【請求項3】
前記サッシュは、前記鏡板の鏡面に沿って上下方向に延びる前記縦板部としての第1縦板部と、前記第1縦板部の上下方向の外側端部から前記鏡板の前記端面に沿って後方に延びる第1横板部と、前記第1横板部の後端部から前記鏡板の後面に沿って上下方向の中央側に延びる第2縦板部と、前記第2縦板部の上下方向の中央側端部から前記裏板の前記端面に沿って後方に延びる前記横板部としての第2横板部と、を有し、
前記第1縦板部の高さ寸法は、前記第2縦板部の高さ寸法よりも小さく設定されている請求項1又は2に記載のミラーキャビネット。
【請求項4】
前記サッシュは、前記ミラー扉の上端縁および下端縁にそれぞれ固定され、
前記軸蝶番は、前記各サッシュの長手方向一端部を回動可能に支持するために、前記ミラー扉の上端縁および下端縁にそれぞれ接続され、
前記段差は、前記裏板の上端面と前記鏡板の上端面との間、および前記裏板の下端面と前記鏡板の下端面との間にそれぞれ形成され、
前記各軸蝶番の前記サッシュに接続される接続部が、対応する前記サッシュの横板部に配置される請求項1〜3のいずれか1項に記載のミラーキャビネット。
【請求項5】
洗面ボウルを有する洗面カウンターと、前記洗面カウンターの上方に配置される請求項1〜4のいずれか1項に記載のミラーキャビネットと、を備えていることを特徴とする洗面台。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ミラーキャビネットおよび洗面台に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、マンションや戸建て住宅の浴室に隣接する脱衣場等に設置された洗面カウンターの上方に配置されるミラーキャビネットとして、キャビネット本体と、このキャビネット本体の前面に水平方向に回動可能に取り付けられたミラー扉とを備えたものが知られている。(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
図11は、従来のミラーキャビネットのミラー扉を示す側面図である。図11に示すように、従来のミラー扉101の上端縁および下端縁には、当該上端縁および下端縁に沿って延びる一対のサッシュ102が固定されている。そして、各サッシュ102の長手方向一端部は、一対の軸蝶番103によってキャビネット本体104に対して回動可能に支持されている。
サッシュ102は、ミラー扉101の鏡板101aおよび裏板101bの各上面(各下面)に沿って配置される横板部102aと、鏡板101aの前面に沿って上方(下方)に延びて配置される縦板部102bと、を有している。
【0004】
サッシュ102の横板部102aには、軸蝶番103のサッシュ102に接続される接続部103aが配置されている。サッシュ102の縦板部102bの高さは、ミラー扉101を閉じた状態で正面から見たとき(図中の矢印方向から見たとき)に、軸蝶番103の接続部103aが隠れるように設定されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2011−206386号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記ミラーキャビネットにあっては、サッシュ102の縦板部102bの高さは、正面視において軸蝶番103の接続部103aが隠れるように長く設定する必要がある。このため、ミラー扉101を閉じた状態でミラーキャビネットを正面から見たときに、サッシュ102の縦板部102bが目立ち易く、ミラーキャビネット全体の外観が損なわれるという問題があった。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、正面視において軸蝶番を隠しつつ、外観性に優れたミラーキャビネットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するための本発明のミラーキャビネットは、キャビネット本体と、鏡板およびその後面に固定される裏板を有し、前記キャビネット本体の前側に配置されるミラー扉と、前記ミラー扉の上端縁および下端縁のうち少なくとも一端縁に沿って延びるように当該一端縁に固定されるサッシュと、前記サッシュの長手方向一端部を前記キャビネット本体に対して水平方向に回動可能に支持する軸蝶番と、を備えたミラーキャビネットであって、前記ミラー扉の裏板における前記一端縁側の端面は、前記鏡板の前記一端縁側の端面に対して上下方向の中央側に所定の段差をもって配置され、前記サッシュは、前記鏡板の前側において上下方向に延びる縦板部と、前記裏板の前記端面に沿って配置される横板部と、を有し、前記軸蝶番の前記サッシュに接続される接続部が、前記サッシュの横板部に配置されることを特徴としている。
【0009】
上記のように構成されたミラーキャビネットによれば、ミラー扉の上端縁および下端縁のうち少なくとも一端縁において、裏板の端面は鏡板の端面に対して上下方向の中央側に所定の段差をもって配置され、その裏板の端面に沿って配置されたサッシュの横板部に軸蝶番の接続部が配置される。すなわち、軸蝶番の接続部は、鏡板の上下方向の外側端部の後方に配置されるため、軸蝶番の接続部の少なくとも一部を鏡板によって隠すことができる。これにより、鏡板の前面に沿って上下方向に延びるサッシュの縦板部を、従来のように軸蝶番の接続部を隠すために上下方向に長く形成する必要がないので、従来よりも縦板部の上下方向の長さを短くすることができる。したがって、ミラー扉を閉じた状態でミラーキャビネットを正面から見たときに、サッシュが目立つことがないので、軸蝶番を隠しつつミラーキャビネット全体の外観を向上させることができる。
【0010】
前記サッシュは、前記鏡板の鏡面に沿って上下方向に延びる前記縦板部としての第1縦板部と、前記第1縦板部の上下方向の外側端部から前記鏡板の前記端面に沿って後方に延びる第1横板部と、前記第1横板部の後端部から前記鏡板の後面に沿って上下方向の中央側に延びる第2縦板部と、前記第2縦板部の上下方向の中央側端部から前記裏板の前記端面に沿って後方に延びる前記横板部としての第2横板部と、を有し、前記第2縦板部の高さ寸法は、前記鏡板の鏡面に正対した利用者の視点から当該第2縦板部の死角となる範囲に、前記軸蝶番の接続部が配置される程度の寸法に設定されているのが好ましい。
この場合、サッシュの第2縦板部により軸蝶番の接続部を確実に隠すことができる。
【0011】
前記サッシュは、前記鏡板の鏡面に沿って上下方向に延びる前記縦板部としての第1縦板部と、前記第1縦板部の上下方向の外側端部から前記鏡板の前記端面に沿って後方に延びる第1横板部と、前記第1横板部の後端部から前記鏡板の後面に沿って上下方向の中央側に延びる第2縦板部と、前記第2縦板部の上下方向の中央側端部から前記裏板の前記端面に沿って後方に延びる前記横板部としての第2横板部と、を有し、前記第1縦板部の高さ寸法は、前記第2縦板部の高さ寸法よりも小さく設定されているのが好ましい。
この場合、第1縦板部の高さ寸法が第2縦板部の高さ寸法と同一長さである場合に比べて、第1縦板部により隠れる鏡面の上下方向の長さを可及的に小さくすることができる。したがって、第2縦板部による接続部の隠蔽効果を確保しつつ、鏡面の上下方向における利用者の可視範囲を可及的に拡げることができる。
【0012】
前記サッシュは、前記ミラー扉の上端縁および下端縁にそれぞれ固定され、前記軸蝶番は、前記各サッシュの長手方向一端部を回動可能に支持するために、前記ミラー扉の上端縁および下端縁にそれぞれ接続され、前記段差は、前記裏板の上端面と前記鏡板の上端面との間、および前記裏板の下端面と前記鏡板の下端面との間にそれぞれ形成され、前記各軸蝶番の前記サッシュに接続される接続部が、対応する前記サッシュの横板部に配置されるのが好ましい。
この場合、ミラー扉の上端縁および下端縁にそれぞれ配置される軸蝶番の接続部の少なくとも一部を鏡板によって隠すことができるため、ミラー扉の上端縁および下端縁にそれぞれ固定されるサッシュの縦板部の上下方向の長さを、いずれも従来よりも短くすることができる。したがって、ミラー扉を閉じた状態でミラーキャビネットを正面から見たときに、上下の両サッシュが目立つことがないので、軸蝶番を隠しつつミラーキャビネット全体の外観をさらに向上させることができる。
【0013】
他の観点からみた本発明の洗面台は、洗面ボウルを有する洗面カウンターと、前記洗面カウンターの上方に配置される上記ミラーキャビネットと、を備えていることを特徴としている。
上記のように構成された洗面台によれば、上述したミラーキャビネットと同様の作用効果を奏する。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、正面視において軸蝶番を隠しつつミラーキャビネット全体の外観を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の一実施形態に係るミラーキャビネットを備えた洗面台を示しており、(a)はその洗面台の正面図、(b)はその洗面台の側面図である。
図2】ミラーキャビネットを正面上方から見た斜視図である。
図3】ミラーキャビネットを背面上方から見た斜視図である。
図4】ミラーキャビネットのミラー扉の側面図である。
図5】第1サイドミラー扉の開放途中の状態を上方から見た斜視図である。
図6】利用者の視点から死角となる範囲を示すミラー扉の側面図である。
図7】ミラーキャビネットの正面図である。
図8】ミラーキャビネットの背面図である。
図9】(a)はミラーキャビネットの左側面図であり、(b)はミラーキャビネットの右側面図である。
図10】(a)はミラーキャビネットの平面図であり、(b)はミラーキャビネットの底面図である。
図11】従来のミラーキャビネットのミラー扉の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
<全体構成>
次に、本発明の好ましい実施形態について添付図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係るミラーキャビネットを備えた洗面台1を示しており、(a)はその洗面台1の正面図、(b)はその洗面台1の側面図である。
本実施形態の洗面台1は、図1に示すように、洗面カウンター2と、洗面カウンター2の下方に配置されたボックス状の下部キャビネット3と、洗面カウンター2の後部に立設された横長のバックパネル4と、このバックパネル4の上側に設けられたミラーキャビネット5とを備えている。
【0017】
下部キャビネット3は、浴室で使用する洗剤や洗面具その他の備品を収納するためのものであり、床面の所要箇所に設置される。
本実施形態の下部キャビネット3は、正面開口状のボックス本体6と、このボックス本体6の正面開口部に開閉自在に取り付けられたスライド扉7と、ボックス本体6の下側に設けられた設置台8とを有している。
【0018】
洗面カウンター2には、洗面ボウル11が一体成形されており、この洗面ボウル11は洗面カウンター2の幅方向両端部に渡るワイド設計になっている。
バックパネル4には、流量や水温を調節可能な水栓12と、この水栓12で調節された水を吐出させるシャワーヘッド13が設けられている。水栓12には、給水管と給湯管(図示省略)が繋げられており、シャワーヘッド13から吐出された湯水が洗面ボウル11で受けられて、ボックス本体6内の排水管14で排出されるようになっている。
【0019】
ミラーキャビネット5は、キャビネット本体21と、キャビネット本体21の前側開口部に開閉自在に配置された複数のミラー扉25〜27と、これらのミラー扉25〜27の上方に配置された照明具23とを備えている。
照明具23は、キャビネット本体21の左右方向の全長にわたって横長に形成されており、キャビネット本体21の前部に取り付けられている。使用者が後述するスイッチ30を操作して照明具23を点灯させることで、正面からの光で整髪作業等がし易いようになっている。
【0020】
図2は、ミラーキャビネット5を正面上方から見た斜視図である。また、図3は、ミラーキャビネット5を背面上方から見た斜視図である。
図2および図3において、キャビネット本体21の内部には、複数の収納ラック21aが設けられている。この収納ラック21aにより、ミラー扉25〜27の裏側にタオルや歯ブラシ等を置いておくことができ利便性が高いものとなっている。
【0021】
<ミラー扉>
ミラーキャビネット5は、複数のミラー扉25〜27として、キャビネット本体21の前側の中央部に配置されたセンターミラー扉26と、センターミラー扉26の左右両側においてキャビネット本体21の前側に配置された一対の第1および第2サイドミラー扉25,27とを有している。各ミラー扉25〜27は、キャビネット本体21の前面に対して水平方向に回動可能に支持されている。その詳細については後述する。
【0022】
図4はミラーキャビネット5の各ミラー扉25〜27の側面図である。また、図5は第1サイドミラー扉25の開放途中の状態を上方から見た斜視図である。
図4および図5に示すように、各ミラー扉25〜27は、前面が鏡面41aとされた鏡板41と、この鏡板41の後面に固定された裏板42とによって構成されている。各ミラー扉25〜27の鏡面41a同士は、互いに面一となるように配置されている。
なお、裏板42の後面の上端部には、各ミラー扉25〜27を閉じたときにキャビネット本体21側に当接する円柱状のマグネットキャッチ43が固定されている。
【0023】
裏板42の上下方向の長さは、鏡板41の上下方向の長さよりも短く形成されている。そして、裏板42の上端面42bは、鏡板41の上端面41bに対して下側(上下方向の中央側)に所定の段差をもって配置されている。同様に、裏板42の下端面42cは、鏡板41の下端面41cに対して上側(上下方向の中央側)に所定の段差をもって配置されている。
なお、前記段差は、裏板42の上端面42bと鏡板41の上端面41bとの間、および裏板42の下端面42cと鏡板41の下端面41cとの間のうち、いずれか一方にのみ形成されていても良い。
【0024】
ミラーキャビネット5は、各ミラー扉25〜27の上端縁および下端縁に沿って延びるように当該上端縁および下端縁にそれぞれ固定されたサッシュ51,52と、各サッシュ51,52の長手方向一端部をキャビネット本体21の前面に対して水平方向に回動可能に支持する一対の軸蝶番53とをさらに備えている。
【0025】
<サッシュ>
サッシュ51(52)は、鏡板41の鏡面41aに沿って上下方向に延びる第1縦板部55と、第1縦板部55の上端部(下端部)から鏡板41の上端面41bに沿って後方に延びる第1横板部56と、第1横板部56の後端部から鏡板41の後面に沿って下方(上方)に延びる第2縦板部57と、第2縦板部57の下端部(上端部)から裏板42の上端面42bに沿って後方に延びる第2横板部58とを有している。
【0026】
第1縦板部55の高さ寸法H1は、第2縦板部57の高さ寸法H2よりも小さく設定されている。これにより、第1縦板部55の高さ寸法H1が第2縦板部57の高さ寸法H2と同一長さである場合に比べて、第1縦板部55により隠れる鏡面41aの上下方向の長さを可及的に小さくすることができる。したがって、第2縦板部57による接続部60の隠蔽効果を確保しつつ、鏡面41aの上下方向における利用者の可視範囲を可及的に拡げることができる。
【0027】
図6に示すように、第2縦板部57の高さ寸法H2は、鏡板41の鏡面41aに正対した利用者の視点Eから第2縦板部57の死角となる範囲Sに、軸蝶番53の接続部60が配置される程度の寸法に設定されている。これにより、サッシュ51(52)の第2縦板部57により軸蝶番53の接続部60を確実に隠すことができる。
第2横板部58は、その後端部が裏板42の後面側に折り曲げられた状態で、ネジ59により裏板42の上端面42b(下端面42c)に固定されている。
【0028】
<軸蝶番>
軸蝶番53は、断面L字形状に形成されたブラケット61と、ブラケット61に対して鉛直軸回りに回転可能に取り付けられたピン軸62と、サッシュ51(52)の第2横板部58に固定された支持プレート63と、支持プレート63と第2横板部58との間に介在するスペーサ64とを有している。
【0029】
ブラケット61は、キャビネット本体21の前面に複数のネジ65により固定された垂直部61aと、垂直部61aから前方に突出する水平部61bとを有している。水平部61bの左右方向の一端部には、その厚さ方向にピン軸62が貫通される被貫通部61cが形成されている。
支持プレート63は、第2横板部58の長手方向一端部に、複数のネジ66により固定されている。
【0030】
ピン軸62は、水平部61bの被貫通部61cおよびスペーサ64を貫通して、支持プレート63に固定されている。これにより、ピン軸62がブラケット61に対して鉛直軸回りに回転することで、支持プレート63およびサッシュ51(52)を介して、各ミラー扉25〜27が水平方向に回動するようになっている。
本実施形態の軸蝶番53では、水平部61bの被貫通部61c、ピン軸62、支持プレート63およびスペーサ64により、サッシュ51(52)に接続される接続部60が構成されている。
【0031】
第1サイドミラー扉25では、正面視において、その左端部の上端部および下端部に固定されたサッシュ51,52に、一対の軸蝶番53の接続部60がそれぞれ接続されている(図5参照)。したがって、第1サイドミラー扉25は、その左端部を中心にキャビネット本体21に対して水平方向に回動するようになっている。
【0032】
センターミラー扉26および第2サイドミラー扉27では、正面視において、その右端部の上端部および下端部に固定されたサッシュ51,52に、一対の軸蝶番53の接続部60がそれぞれ接続されている(図示省略)。したがって、センターミラー扉26および第2サイドミラー扉27は、その右端部を中心にキャビネット本体21に対して水平方向に回動するようになっている。
【0033】
以上のように、本実施形態の洗面台1およびミラーキャビネット5によれば、各ミラー扉25〜27の上端縁および下端縁にそれぞれ配置される軸蝶番53の接続部60の一部は、鏡板41の上下方向の外側端部の後方に配置されるため、軸蝶番53の接続部60の一部を鏡板41によって隠すことができる。これにより、各ミラー扉25〜27の上端縁および下端縁において鏡板41の前面41aに沿って上下方向に延びるサッシュ51,52の第1縦板部55を、従来のように軸蝶番53の接続部60を隠すために上下方向に長く形成する必要がないので、従来よりも第1縦板部55の上下方向の長さを短くすることができる。したがって、各ミラー扉25〜27を閉じた状態でミラーキャビネット5を正面から見たときに、上下の両サッシュ51,52が目立つことがないので、軸蝶番53を隠しつつミラーキャビネット5全体の外観を向上させることができる。
【0034】
<取付部材>
図2に示すように、ミラーキャビネット5は、ミラー扉25〜27の下方に配置された取付部材24をさらに備えている。
取付部材24は、第1サイドミラー扉25の下方に配置された第1取付部材としての取付プレート28と、センターミラー扉26および第2サイドミラー扉27の下方に配置された第2取付部材としての引出し29と、を有している。
【0035】
取付プレート28は、例えばコンセントカバーであり、その前面28aが露出した状態で、キャビネット本体21の前部に固定されている。取付プレート28の前面28aには、照明具23を操作するスイッチ30、およびドライヤーなどの各種電気器具を接続するための複数(図例では2個)のコンセント31が取り付けられている。
引出し29は、その前面29aが露出した状態で、キャビネット本体21の前部に出し入れ自在に取り付けられている。
【0036】
なお、本実施形態では、取付部材24は、取付プレート28と引出し29とを有しているが、いずれか一方のみを有するものであっても良い。また、本実施形態の取付プレート28には、スイッチ30およびコンセント31が取り付けられているが、いずれか一方のみが取り付けられていても良い。
【0037】
図7はミラーキャビネット5の正面図であり、図8はミラーキャビネット5の背面図である。また、図9(a)はミラーキャビネット5の左側面図であり、図9(b)はミラーキャビネット5の右側面図である。さらに、図10(a)はミラーキャビネット5の平面図であり、図10(b)はミラーキャビネット5の底面図である。
【0038】
図7および図9(b)に示すように、取付プレート28の前面28aは鏡面調とされ、その前面28aは、その上方に位置する第1サイドミラー扉25の鏡面41aと面一になるように配置されている。ここで、「面一」とは、前面28aが第1サイドミラー扉25の鏡面41aと面一である場合だけでなく、その面一の状態から前後方向に多少ずれている場合も含む。
【0039】
また、前面28aの左右方向の長さL1は、第1サイドミラー扉25の鏡面41aの左右方向の長さW1と同一長さに設定されている。ここで、「同一長さ」とは、前記長さL2が前記合計長さと同一長さである場合だけでなく、前記合計長さに対して多少長く形成されている場合、および前記合計長さに対して多少短く形成されている場合も含む。
【0040】
そして、取付プレート28の正面視において、前面28aの左端縁は第1サイドミラー扉25の鏡面41aの左端縁の延長線上に配置され、前面28aの右端縁は第1サイドミラー扉25の鏡面41aの右端縁の延長線上に配置されている。ここで、「延長線上に配置」とは、前面28aの左端縁(右側縁)が第1サイドミラー扉25の鏡面41aの左端縁(右側縁)の延長線上に配置されている場合だけでなく、その延長線に対して左右方向に多少ずれている場合も含む。
【0041】
以上のように、第1サイドミラー扉25の下方に配置される取付プレート28の前面28aは鏡面調とされ、かつ取付プレート28の前面28aは、その上方に位置する第1サイドミラー扉25の鏡面41aと面一になるように配置されるため、互いに上下に配置される第1サイドミラー扉25と取付プレート28との一体感が向上し、良好な外観を得ることができる。
また、第1サイドミラー扉25の鏡面41aの左端縁と取付プレート28の前面28aの左端縁とが一直線上に配置され、かつ第1サイドミラー扉25の鏡面41aの右端縁と取付プレート28の前面28aの右端縁とが一直線上に配置されるので、第1サイドミラー扉25と取付プレート28との一体感をさらに向上させることができる。
【0042】
なお、本実施形態の取付プレート28は、第1サイドミラー扉25の下方に配置されているが、センターミラー扉26または第2サイドミラー扉27の下方に配置されていても良い。
この場合、取付プレート28の前面28aの長さL1は、その上方に位置するミラー扉26(27)の鏡面41aの左右方向の長さW0(W1)と同一長さに設定され、前面28aの左端縁および右端縁は、当該ミラー扉26(27)の鏡面41aの左端縁および右端縁の延長線上にそれぞれ配置されていれば良い。
【0043】
図7および図9(a)に示すように、引出し29の前面29aは鏡面調とされ、その前面29aは、その上方に位置するセンターミラー扉26および第2サイドミラー扉27の各鏡面41aと面一になるように配置されている。ここで、「面一」とは、前面29aがセンターミラー扉26および第2サイドミラー扉27の各鏡面41aと面一である場合だけでなく、その面一の状態から前後方向に多少ずれている場合も含む。
【0044】
また、前面29aの左右方向の長さL2は、センターミラー扉26の鏡面41aの左右方向の長さW0と、第2サイドミラー扉27の鏡面41aの左右方向の長さW2と、両ミラー扉26,27の鏡面41a同士の間の隙間W3との合計長さと同一長さに設定されている。ここで、「同一長さ」とは、前記長さL2が前記合計長さと同一長さである場合だけでなく、前記合計長さに対して多少長く形成されている場合、および前記合計長さに対して多少短く形成されている場合も含む。
【0045】
そして、引出し29の正面視において、前面29aの左端縁は、第2サイドミラー扉27の鏡面41aの左端縁の延長線上に配置され、前面29aの右端縁は、センターミラー扉26の鏡面41aの右端縁の延長線上に配置されている。ここで、「延長線上に配置」とは、前面29aの左端縁(右側縁)が第2サイドミラー扉27(センターミラー扉26)の鏡面41aの左端縁(右端縁)の延長線上に配置されている場合だけでなく、その延長線に対して左右方向に多少ずれている場合も含む。
【0046】
以上のように、センターミラー扉26および第2サイドミラー扉27の下方に配置される引出し29の前面29aは鏡面調とされ、かつ引出し29の前面29aは、その上方に位置するミラー扉26,27の各鏡面41aと面一になるように配置されるため、互いに上下に配置されるミラー扉26,27と引出し29との一体感が向上し、良好な外観を得ることができる。
また、センターミラー扉26の鏡面41aの左端縁と引出し29の前面29aの左端縁とが略一直線上に配置され、かつ第2サイドミラー扉27の鏡面41aの右端縁と引出し29の前面29aの右端縁とが略一直線上に配置されるので、ミラー扉26,27と引出し29との一体感をさらに向上させることができる。
さらに、センターミラー扉26および第2サイドミラー扉27の両下端部のサッシュ52は上述のように目立つことがないため、ミラー扉26,27と引出し29との一体感をさらに向上させることができる。
【0047】
<変形例>
なお、本実施形態の引出し29は、センターミラー扉26および第2サイドミラー扉27の下方に配置されているが、センターミラー扉26および第1サイドミラー扉25の下方に配置されていても良い。
この場合、引出し29の前面29aの長さL2は、その上方に位置するセンターミラー扉26の鏡面41aの長さW0と第1サイドミラー扉25の鏡面41aの長さW1と、両ミラー扉26,27の鏡面41a同士の間の隙間W4(図7参照)との合計長さと同一長さに設定され、前面29aの左端縁および右端縁は、センターミラー扉26の鏡面41aの左端縁および第1サイドミラー扉25の鏡面41aの右端縁の延長線上にそれぞれ配置されていれば良い。
【0048】
また、引出し29は、取付プレート28と同様に、センターミラー扉26、第1サイドミラー扉25および第2サイドミラー扉27のいずれか一のミラー扉の下方に配置されていても良い。
この場合、引出し29の前面29aの長さL2は、その上方に位置する前記一のミラー扉の鏡面41aの左右方向の長さと同一長さに設定され、引出し29の前面29aの左端縁および右端縁は、前記一のミラー扉の鏡面41aの左端縁および右端縁の延長線上にそれぞれ配置されていれば良い。
【0049】
また、本実施形態の取付プレート28は、センターミラー扉26、第1サイドミラー扉25および第2サイドミラー扉27のいずれか一のミラー扉の下方に配置されているが、引出し29と同様に、センターミラー扉26および第1サイドミラー扉25の下方、または、センターミラー扉26および第2サイドミラー扉27の下方に配置されていても良い。
この場合、取付プレート28の前面28aの長さL1は、上述の引出し29の前面29aの長さL2と同様に設定され、取付プレート28の前面28aの左端縁および右端縁は、上述の引出し29の前面29aの左端縁および右端縁と同様に配置されていれば良い。
【0050】
また、今回開示した実施形態は例示であって制限的なものではない。本発明の権利範囲は特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲の構成と均等の範囲内での全ての変更が含まれる。
例えば、本実施形態では、ミラーキャビネット5を洗面台1に使用しているが、ミラーキャビネット5単体で使用してしても良い。
【符号の説明】
【0051】
1 洗面台
2 洗面カウンター
5 ミラーキャビネット
11 洗面ボウル
21 キャビネット本体
25 第1サイドミラー扉(ミラー扉)
26 センターミラー扉(ミラー扉)
27 第2サイドミラー扉(ミラー扉)
41 鏡板
41a 鏡面
41b 上端面
41c 下端面
42 裏板
42b 上端面
42c 下端面
51,52 サッシュ
53 軸蝶番
55 第1縦板部(縦板部)
56 第1横板部
57 第2縦板部
58 第2横板部(横板部)
60 接続部
H1 第1縦板部の高さ寸法
H2 第2縦板部の高さ寸法
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
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図9
図10
図11