特許第6293608号(P6293608)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6293608
(24)【登録日】2018年2月23日
(45)【発行日】2018年3月14日
(54)【発明の名称】空気入りタイヤ
(51)【国際特許分類】
   B60C 11/00 20060101AFI20180305BHJP
   B60C 5/00 20060101ALI20180305BHJP
【FI】
   B60C11/00 F
   B60C5/00 H
【請求項の数】3
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2014-158657(P2014-158657)
(22)【出願日】2014年8月4日
(65)【公開番号】特開2016-34807(P2016-34807A)
(43)【公開日】2016年3月17日
【審査請求日】2017年4月13日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003148
【氏名又は名称】東洋ゴム工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100076314
【弁理士】
【氏名又は名称】蔦田 正人
(74)【代理人】
【識別番号】100112612
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 哲士
(74)【代理人】
【識別番号】100112623
【弁理士】
【氏名又は名称】富田 克幸
(74)【代理人】
【識別番号】100124707
【弁理士】
【氏名又は名称】夫 世進
(74)【代理人】
【識別番号】100163393
【弁理士】
【氏名又は名称】有近 康臣
(74)【代理人】
【識別番号】100189393
【弁理士】
【氏名又は名称】前澤 龍
(74)【代理人】
【識別番号】100059225
【弁理士】
【氏名又は名称】蔦田 璋子
(72)【発明者】
【氏名】島 聡史
【審査官】 鏡 宣宏
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−76594(JP,A)
【文献】 特開2006−176116(JP,A)
【文献】 特開2010−30477(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60C 11/00−11/24
B60C 9/00− 9/30
B60C 3/00− 3/08
B60C 5/00− 5/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
トレッドに、タイヤ周方向に伸びる複数の主溝と、前記主溝によって区画された複数の陸部とを有し、前記陸部として少なくともタイヤ幅方向両側のショルダー陸部と前記ショルダー陸部よりもタイヤ幅方向内側の陸部とを有する空気入りタイヤであって、
車両装着時にタイヤ赤道よりも車両幅方向内側となる部分のタイヤ基準輪郭線が、車両幅方向外側となる部分のタイヤ基準輪郭線よりも、タイヤ径方向内方にあり、
前記車両幅方向内側の前記ショルダー陸部に、タイヤ基準輪郭線よりもタイヤ径方向外方に突出する突出部が形成されている、空気入りタイヤ。
【請求項2】
前記突出部の中でタイヤ基準輪郭線からその法線方向へ最も突出している部分が、前記突出部が形成されている前記ショルダー陸部の幅方向の中心よりタイヤ赤道側の位置にある、請求項1に記載の空気入りタイヤ。
【請求項3】
前記突出部の中でタイヤ基準輪郭線からその法線方向へ最も突出している部分の突出高さが、(車両幅方向内側の接地端とタイヤ基準輪郭線のタイヤ最大径部分とのタイヤ径方向の距離−車両幅方向外側の接地端とタイヤ基準輪郭線のタイヤ最大径部分とのタイヤ径方向の距離)×定数で表され、定数が0.5以上1.2以下の値である、請求項1又は2に記載の空気入りタイヤ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は空気入りタイヤに関する。
【背景技術】
【0002】
空気入りタイヤの中には、図4に示すように、タイヤプロファイル(タイヤ幅方向断面におけるタイヤ外表面の輪郭のこと)が、タイヤ赤道Eからタイヤ径方向に引いた線(タイヤ幅方向断面のセンターラインC)に対して左右非対称のものがある(例えば特許文献1参照)。このような空気入りタイヤが路面に接地すると、トレッド102の接地面103の形状は、図5に示す形状になる。この形状では、接地面103のタイヤ周方向(図中の矢印Y方向)の長さがタイヤ赤道Eに対して左右非対称である。ここで、空気入りタイヤが路面に接地すると、トレッド102の溝104が路面によりタイヤ径方向外方から塞がれて、溝104内に気柱が形成される。トレッド102に溝104が複数あると、複数の気柱が形成される。そして、接地面103のタイヤ周方向の長さがタイヤ赤道Eに対して左右非対称であると、気柱の長さが、タイヤ赤道Eより右と左とで異なる長さとなり、気柱毎にばらつく。そのため、これらの気柱における気柱共鳴の振動数が気柱毎にばらつき、結果として気柱共鳴が原因での騒音が抑制される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−76594号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、このような空気入りタイヤでは、接地面103の形状が左右非対称であり、左右のうち一方の接地面積が狭くなるため、操縦安定性が悪くなることが懸念される。
【0005】
そこで本発明は、気柱共鳴が原因での騒音を抑制でき、操縦安定性も良い空気入りタイヤを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態の空気入りタイヤは、トレッドに、タイヤ周方向に伸びる複数の主溝と、前記主溝によって区画された複数の陸部とを有し、前記陸部として少なくともタイヤ幅方向両側のショルダー陸部と前記ショルダー陸部よりもタイヤ幅方向内側の陸部とを有する空気入りタイヤであって、車両装着時にタイヤ赤道よりも車両幅方向内側となる部分のタイヤ基準輪郭線が、車両幅方向外側となる部分のタイヤ基準輪郭線よりも、タイヤ径方向内方にあり、前記車両幅方向内側の前記ショルダー陸部に、タイヤ基準輪郭線よりもタイヤ径方向外方に突出する突出部が形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
実施形態の空気入りタイヤは、気柱共鳴が原因での騒音を抑制でき、操縦安定性も良い。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施形態の空気入りタイヤ1のタイヤ幅方向断面図。
図2】実施形態の空気入りタイヤ1のトレッド2の路面との接地面3を示す図。
図3】突出部23付近の拡大断面図。
図4】従来の空気入りタイヤのタイヤ幅方向断面図。
図5】従来の空気入りタイヤのトレッド102の接地面103を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(空気入りタイヤ1の構造)
図1に示すように、実施形態の空気入りタイヤ1は、ビード部10と、ビード部10を包む形でタイヤ幅方向内側から外側に折り返されたカーカス11を備える。カーカス11のタイヤ径方向外側には、ベルト層12及びトレッド2が積層されている。カーカス11よりタイヤ幅方向外側の部分にはサイドウォール13が設けられている。他にも必要に応じて様々な部材が設けられている。
【0010】
トレッド2には、タイヤ幅方向中央のセンター陸部20と、タイヤ幅方向両側のショルダー陸部21a、21bと、センター陸部20と両ショルダー陸部21a、21bとの間にそれぞれ位置するメディエイト陸部22a、22bが形成されている。これらの陸部は、タイヤ周方向に伸びる主溝により区分されている。主溝には、センター陸部20とメディエイト陸部22a、22bとをそれぞれ区分するセンター側主溝40a、40bと、メディエイト陸部22a、22bとショルダー陸部21a、21bとをそれぞれ区分するショルダー側主溝41a、41bとがある。なお本発明における主溝及び陸部の数は、この実施形態における数に限定されない。例えば主溝が3本の場合や5本の場合もある。
【0011】
センター陸部20にはタイヤ赤道Eが存在する。タイヤ赤道Eは、トレッド2の接地面3のタイヤ幅方向の中心で、タイヤ周方向に一周している。
【0012】
実施形態の空気入りタイヤ1のタイヤプロファイルは、タイヤ赤道Eからタイヤ径方向へ引いた直線、すなわちタイヤ幅方向断面のセンターラインCに対して非対称になっている。
【0013】
まず基準輪郭線について説明する。基準輪郭線は、後述する突出部23が無いと仮定した場合のタイヤ幅方向断面におけるタイヤ外表面の輪郭を表す線のことである。基準輪郭線では、タイヤ赤道E又はその付近の部分が、最もタイヤ径方向外側にある部分(タイヤ最大径部分とする)である。基準輪郭線はタイヤ幅方向断面のセンターラインCを基準として非対称となっている。具体的には、トレッド2のうち、車両装着時に前記センターラインCよりも車両幅方向内側(IN側とする)となる部分の基準輪郭線が、車両幅方向外側(OUT側とする)となる部分の基準輪郭線よりもタイヤ径方向内方となっている。このような非対称の基準輪郭線は、例えば、基準輪郭線の曲率を前記センターラインCに対して左右で異なるように設計することにより実現できる。基準輪郭線がこのように非対称であるため、接地面3のIN側の接地端Iと基準輪郭線のタイヤ最大径部分とのタイヤ径方向の距離(この距離をIN側落ち量WIとする)は、接地面3のOUT側の接地端Oと基準輪郭線のタイヤ最大径部分とのタイヤ径方向の距離(この距離をOUT側落ち量WOとする)よりも、長くなっている。
【0014】
以上の基準輪郭線を有する空気入りタイヤ1において、IN側のショルダー陸部21aが基準輪郭線Sよりもタイヤ径方向外方に突出し、突出部23が形成されている。突出部23が形成されたショルダー陸部21aにおける基準輪郭線Sは、タイヤプロファイルのうち、該ショルダー陸部21aのタイヤ赤道E側の端部Pと、該ショルダー陸部21aの隣のメディエイト陸部22aのタイヤ幅方向両端部Q、Rとを通過する円弧で表される。
【0015】
突出部23の中で、ショルダー陸部21aの基準輪郭線Sからその法線方向へ最も突出している部分を頂点24とする。頂点24の突出高さ(基準輪郭線Sから頂点24までの、基準輪郭線Sの法線方向への突出高さ)は、{(IN側落ち量WI)−(OUT側落ち量WO)}×(定数)で、定数が0.5以上1.2以下の値であることが望ましい。
【0016】
なお、基準輪郭線Sや突出部23の形状は、空気入りタイヤ1を正規リムに装着して正規内圧とした場合の無負荷でのものであり、この状態でのタイヤ形状をレーザー形状測定装置で計測することにより得られる。ここで正規リムとは、JATMA規格における「標準リム」、TRA規格における「Design Rim」、又はETRTO規格における「Measuring Rim」である。正規内圧とは、JATMA規格における「最高空気圧」、TRA規格における「TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES」に記載の「最大値」、又はETRTO規格における「INFLATION PRESSURE」である。また、以上の説明における接地面3とは、空気入りタイヤ1を前記正規リムに装着して前記正規内圧とし、前記正規内圧における最大負荷能力の80%の負荷を与えたときに平坦な路面に接する面のことであり、接地端とはその接地面3の端部のことである。
【0017】
なお、主溝及び陸部の数が本実施形態の数と異なる場合も、ショルダー陸部(最もタイヤ幅方向両側にある陸部)に突出部が形成される。突出部が形成されたショルダー陸部における基準輪郭線は、該ショルダー陸部のタイヤ赤道側の端部と、該ショルダー陸部の隣の陸部のタイヤ幅方向両端部とを通過する円弧で表される。
【0018】
以上のような空気入りタイヤ1を前記正規リムに装着して前記正規内圧とし路面の上で前記負荷をかけると、トレッド2の接地面3の形状は図2のようになる。このとき、トレッド2の各主溝が路面によってタイヤ径方向外方から塞がれ、各主溝内に気柱が形成される。
【0019】
OUT側では、センター陸部20の接地部分30、メディエイト陸部22bの接地部分32b、ショルダー陸部21bの接地部分31bが、この順にタイヤ周方向(図中の矢印Z方向)に長い。
【0020】
一方、IN側落ち量WIはOUT側落ち量WOより大きいため、IN側のメディエイト陸部22aの接地部分32aは、OUT側のメディエイト陸部22bの接地部分32bよりも、タイヤ周方向に短い。図示する実施形態では、IN側のメディエイト陸部22aの接地部分32aは、OUT側のショルダー陸部21bの接地部分31bよりも、タイヤ周方向に短い。またIN側では、ショルダー陸部21aに突出部23が形成されているため、その分ショルダー陸部21aの接地部分31aのタイヤ周方向の長さが長い。図示する実施形態では、IN側のショルダー陸部21aの接地部分31aは、IN側のメディエイト陸部22aの接地部分32aよりもタイヤ周方向に長く、OUT側のショルダー陸部21bの接地部分31bよりもタイヤ周方向に短い。
【0021】
以上をまとめると、各陸部の接地部分のタイヤ周方向の長さは、長い順に、センター陸部20、OUT側のメディエイト陸部22b、OUT側のショルダー陸部21b、IN側のショルダー陸部21a、IN側のメディエイト陸部22a、となっている。そのため、これらの陸部を区分する各主溝が路面との間で形成する気柱の長さは、長い方から順に、OUT側のセンター側主溝40b、OUT側のショルダー側主溝41b、IN側のセンター側主溝40a、IN側のショルダー側主溝41a、となっている。
【0022】
ただし、IN側落ち量WI、OUT側落ち量WO、突出部23の突出高さ次第で、これらの長さ関係は変化する。例えば、IN側のショルダー陸部21aの接地部分31aがIN側のメディエイト陸部22aの接地部分32aよりもタイヤ周方向に短い場合や、これらがタイヤ周方向に同じ長さである場合がある。
【0023】
なおここで、気柱共鳴における開口端補正に留意することが望ましい。すなわち、共鳴する気柱の長さは、気柱を形成する管の実際の長さより、管の開口端の開き角に比例する長さだけ長いとみなすことができる。本実施形態について見ると、突出部23の頂点24の位置は、図3(a)に示すように、IN側のショルダー陸部21aの幅方向の中心(ショルダー陸部21aにおける基準輪郭線Sの長さを等分する位置から該基準輪郭線Sの法線方向に引いた線L上の点のこと)よりOUT側(つまりタイヤ赤道E側)にある場合や、図3(b)に示すように、前記中心よりIN側にある場合がある。これらを比較すると、図3(b)の場合の方が、気柱を形成する管の開口端の開き角が大きいため、管長がより大きい場合と類似すると考えることができる。そのため、図3(b)の場合の方が、図3(a)の場合よりも、共鳴する気柱の長さが長いとみなすことができる。
【0024】
(効果)
以上の空気入りタイヤ1では、タイヤプロファイルが、タイヤ幅方向断面のセンターラインCに対して非対称になっているため、トレッド2が接地した際に、トレッド2の接地面3の形状や面積がタイヤ赤道Eに対して非対称となる。そのため、トレッド2の主溝が路面に塞がれて形成される複数の気柱のタイヤ周方向の長さが、気柱毎にばらつく。その結果、気柱共鳴の振動数が気柱毎にばらつき、気柱共鳴が原因での騒音が抑制される。
【0025】
ここで、トレッド2のOUT側の接地面3の面積が小さいと、IN側の接地面3の面積が小さい場合よりも、車両旋回時の操縦安定性に悪影響を与える。しかし上記の空気入りタイヤ1では、トレッド2のIN側の接地面3の面積が小さく、OUT側の接地面3の面積が大きいため、車両旋回時の操縦安定性への悪影響が小さい。
【0026】
さらに、IN側のショルダー陸部21aに突出部23が形成されているため、その分だけIN側のショルダー陸部21aの接地部分31aのタイヤ周方向の長さが長くなり、該接地部分31aの面積が広くなる。そのため、空気入りタイヤ1の操縦安定性が、突出部23が無い場合と比較して良くなる。
【0027】
また、突出部23の突出高さが、{(IN側落ち量WI)−(OUT側落ち量WO)}×(定数)であり、IN側落ち量WIとOUT側落ち量WOとの差の倍数であれば、プロファイルの異なるタイヤ毎に適切な突出高さが決められる。ここで、定数が0.5より小さい場合、突出部23が、IN側のメディエイト陸部22aに対してタイヤ径方向外方へほとんど突出せず、操縦安定性にあまり寄与しないおそれがある。また、定数が1.2より大きい場合、IN側のショルダー陸部21aがIN側のメディエイト陸部22aに対して大きく突出する可能性があり、その結果トレッド2の接地性が悪くなり、操縦安定性が良くならないおそれがある。しかし定数が0.5以上1.2以下の値であれば、このような問題は生じ難い。
【0028】
また、突出部23の頂点24の位置が、IN側のショルダー陸部21aの幅方向の中心よりOUT側(タイヤ赤道E側)にある場合(図3(a)の場合)は、IN側にある場合(図3(b)の場合)よりも、IN側のショルダー側主溝41aにおける気柱の長さが短いとみなすことができる。そのため、IN側のショルダー側主溝41aにおける気柱の長さと、OUT側のショルダー側主溝41bやIN側のセンター側主溝40aにおける気柱の長さとの差が大きくなり、その結果気柱共鳴の振動数が気柱毎に大きくばらつき、気柱共鳴が原因での騒音がより抑制される。
【0029】
(実施例)
表1に示す実施例及び比較例の空気入りタイヤの性能を調べた。表1におけるマル印はその条件を満たしていることを表している。実施例1、2の空気入りタイヤは上記実施形態の空気入りタイヤである。実施例2の空気入りタイヤでは、突出部の頂点がショルダー陸部の幅方向の中心よりタイヤ赤道側にあるのに対し、実施例1の空気入りタイヤではそうではない点が異なる。比較例1の空気入りタイヤは、タイヤプロファイルがタイヤ赤道に対して左右非対称であって、突出部が無いものである。
【0030】
試験方法は次の通りである。
【0031】
ノイズ:空気入りタイヤを装着した実車を走行させてノイズレベルを計測した。ここでのノイズは、凹凸路面を走行する際にタイヤが振動して車内に伝わる音で、空気伝播音と固体伝播音からなる。測定結果を比較例1の結果を100とする指数で示した。指数が大きいほどノイズが小さいことを示している。
【0032】
操縦安定性:コーナリングパワー、すなわち横滑り角を単位量変化させた時に生じるコーナリングフォースの変化量を調査した。調査結果を比較例1の結果を100とする指数で示した。指数が大きいほどコーナリングパワーが大きく操縦安定性が良いことを示している。
【0033】
試験結果を表1に示す。ノイズに関しては、比較例1と実施例1、2とで指数が同等であった。このことから、タイヤプロファイルが左右非対称な空気入りタイヤでは、突出部の有無にかかわらず、気柱共鳴が原因での騒音を抑制できることが確認できた。また、実施例2の方が実施例1よりもノイズの指数が若干大きいことから、突出部の頂点がショルダー陸部の幅方向の中心よりタイヤ赤道側にある方が、気柱共鳴が原因での騒音を抑制できることが確認できた。また、操縦安定性に関しては、実施例1、2の指数は比較例1の指数よりも高かった。このことから、突出部のある空気入りタイヤは、突出部の無い空気入りタイヤよりも、操縦安定性が良いことが確認できた。
【0034】
【表1】
【符号の説明】
【0035】
1…空気入りタイヤ、10…ビード部、11…カーカス、12…ベルト層、13…サイドウォール、2…トレッド、20…センター陸部、21a、21b…ショルダー陸部、22a、22b…メディエイト陸部、23…突出部、24…頂点、3…接地面、30…センター陸部の接地部分、31a、31b…ショルダー陸部の接地部分、32a、32b…メディエイト陸部の接地部分、40a、40b…センター側主溝、41a、41b…ショルダー側主溝、102…トレッド、103…接地面、104…溝、C…センターライン、E…タイヤ赤道、I…IN側の接地端、O…OUT側の接地端、P…ショルダー陸部21aのタイヤ赤道E側の端部、Q、R…メディエイト陸部22aのタイヤ幅方向端部、S…基準輪郭線、WI…IN側落ち量、WO…OUT側落ち量
図1
図2
図3
図4
図5