特許第6293609号(P6293609)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6293609
(24)【登録日】2018年2月23日
(45)【発行日】2018年3月14日
(54)【発明の名称】発電機能付き熱源装置
(51)【国際特許分類】
   F24H 1/00 20060101AFI20180305BHJP
【FI】
   F24H1/00 631A
【請求項の数】2
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-159513(P2014-159513)
(22)【出願日】2014年8月5日
(65)【公開番号】特開2016-38112(P2016-38112A)
(43)【公開日】2016年3月22日
【審査請求日】2017年4月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】000129231
【氏名又は名称】株式会社ガスター
(74)【代理人】
【識別番号】100093894
【弁理士】
【氏名又は名称】五十嵐 清
(72)【発明者】
【氏名】斉藤 寿久
(72)【発明者】
【氏名】澤中 裕介
(72)【発明者】
【氏名】玉井 由
【審査官】 大谷 光司
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−154554(JP,A)
【文献】 特開2007−010177(JP,A)
【文献】 特開2009−047338(JP,A)
【文献】 特開2005−063675(JP,A)
【文献】 特開2015−075244(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24H1/00,1/18−1/20,4/00−4/06
H01M8/04−8/0668
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
発電装置と、貯湯槽と、該貯湯槽の下部側から前記発電装置に冷却用の水を供給する水供給通路と、前記発電装置の廃熱により加熱された湯を前記貯湯槽の上部側から該貯湯槽に導入する熱回収用通路と、前記貯湯槽の上部側から給湯先に湯を供給するための湯の通路とを備え、前記貯湯槽は該貯湯槽の外周側を該貯湯槽と間隔を介して覆うケース内に配置されており、該ケースの外の空気をケース内に導入し該空気によって前記貯湯槽の少なくとも下部側を冷却する空冷手段と、前記貯湯槽の湯が予め定められる冷却基準温度以上の湯で満たされると予想される予想時刻よりも予め定められる空冷設定時間だけ早めに前記空冷装置を作動させて前記貯湯槽の空冷を行う貯湯槽空冷制御手段とを有し、該貯湯槽空冷制御手段は、前記ケースの外の気温に基づく温度が高くなるにつれて前記空冷設定時間が長くなるように設定された空冷設定時間設定情報と前記ケースの外の気温に基づく温度とに基づいて前記予想時刻よりも前記空冷設定時間だけ早く前記貯湯槽の空冷を開始することを特徴とする発電機能付き熱源装置。
【請求項2】
発電装置は燃料電池としたことを特徴とする請求項1記載の発電機能付き熱源装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発電装置と貯湯槽とを備えた発電機能付き熱源装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
タンク内に湯水を収容する貯湯槽(貯湯タンク)や、その貯湯槽を備えた熱源装置が様々に提案されており(例えば特許文献1、参照)、図7には、貯湯槽を備えた熱源装置の一例が示されている。この熱源装置は、貯湯槽2と発電装置1とを有しており、貯湯槽2は例えばケース内に配置される。発電装置1は、例えば固体高分子形燃料電池(PEFC)や固体酸化物形燃料電池(SOFC)等の燃料電池(FC)や、ガスエンジン等により形成されている。燃料電池は、水の電気分解の逆反応で、都市ガス等の燃料から取り出された水素と空気中の酸素とを反応させて発電する発電装置である。
【0003】
また、この熱源装置は、給水供給源からの水を貯湯槽2の下部側から貯湯槽2に供給する給水通路20と、貯湯槽2の下部側から発電装置1に冷却用の例えば50℃以下(好ましくは45℃以下)の水を供給するための水供給通路21と、発電装置1の廃熱により加熱された湯を貯湯槽2側に送って該貯湯槽2の上部側から該貯湯槽2に導入する熱回収用通路23と、貯湯槽2の上部側から給湯先に湯を供給するための湯の通路25とを有している。湯の通路25は、接続ユニット27を介し、前記給水供給源から分岐した分岐通路29と接続されており、接続ユニット27には電磁弁26等が設けられている。
【0004】
接続ユニット27には通路30が接続され、通路30を通して給湯先に湯を直接供給する熱源装置や、バーナ等を備えた給湯器等の補助熱源装置の入水側を通路30に接続して通路30を通った湯を必要に応じて補助熱源装置によって追い加熱して給湯先に給湯する熱源装置等、様々な構成が提案されている。なお、図7の図中、符号24は、貯湯槽2内の圧力が許容圧力を超えたときに該圧力を外部に逃がすための過圧逃がし弁を備えた過圧逃がし用通路を示し、符号28は排水弁を備えた排水通路をそれぞれ示している。
【0005】
この種の熱源装置においては、例えば、発電装置1の廃熱により加熱されて貯湯槽2に貯湯された湯を、湯の通路25を通して導出し、この湯と、給水供給源から分岐通路29を通して導出される水とを必要に応じて接続ユニット27により混合し、前記の如く通路30を通して給湯先に供給することにより給湯設定温度の湯を供給することができる。また、発電装置1により発電した電力を利用者の電力負荷装置に供給することにより、電力利用もできるため、利便性と省エネ性とを備えた装置である。
【0006】
なお、貯湯槽2には上下方向に温度の層が形成されるものであり、貯湯槽2の上部側の層(高温層)に、発電装置1の発電時に生じる廃熱によって加熱された高温Ta(例えば80℃)の湯が貯湯され、貯湯槽2の下部側の層(低温層)には貯湯槽2内に給水される給水温度と同じ温度Tc(例えば15℃)の水が貯水され、その間に、温度Taから温度Tcまでの急な温度勾配を持つ層(温度中間層)が形成される。図7の破線Bは、高温層と温度中間層との境界を示しており、破線Bの上側の水(湯)が実質的に給湯に利用される温度層である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2012−209173号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、前記のような熱源装置において、貯湯槽2内の大部分が高温層により満たされてしまうといったように、図7の境界線Bが図に示す位置よりもずっと下側まで移動して貯湯槽2の下部側に達すると、水供給通路21を通って発電装置1に供給される水の温度が50℃より高くなり(例えば70℃程度となり)、発電装置1を稼働させることができなくなってしまうため、発電装置1の稼働による電力利用ができなくなってしまうといった問題があった。
【0009】
そこで、水供給通路21にラジエータを設ける構成が提案されているが、貯湯槽2から発電装置1に供給する水を十分に冷却できる能力のラジエータは大型であるために、例えば大型のラジエータの上に、ケース内に収容された貯湯槽2を設けるには大型のラジエータの配設分だけ貯湯槽2の容量を小さくする必要が生じ、利用者に供給するに十分な量の湯を貯湯できなくなってしまうことになる。
【0010】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、発電装置を所望のタイミングで効率的に稼働させることができ、かつ、利用者に供給するに十分な量の湯を貯湯槽に貯湯できる発電機能付き熱源装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は上記目的を達成するために、次の構成をもって課題を解決する手段としている。すなわち、第1の発明は、発電装置と、貯湯槽と、該貯湯槽の下部側から前記発電装置に冷却用の水を供給する水供給通路と、前記発電装置の廃熱により加熱された湯を前記貯湯槽の上部側から該貯湯槽に導入する熱回収用通路と、前記貯湯槽の上部側から給湯先に湯を供給するための湯の通路とを備え、前記貯湯槽は該貯湯槽の外周側を該貯湯槽と間隔を介して覆うケース内に配置されており、該ケースの外の空気をケース内に導入し該空気によって前記貯湯槽の少なくとも下部側を冷却する空冷手段と、前記貯湯槽の湯が予め定められる冷却基準温度以上の湯で満たされると予想される予想時刻よりも予め定められる空冷設定時間だけ早めに前記空冷装置を作動させて前記貯湯槽の空冷を行う貯湯槽空冷制御手段とを有し、該貯湯槽空冷制御手段は、前記ケースの外の気温に基づく温度が高くなるにつれて前記空冷設定時間が長くなるように設定された空冷設定時間設定情報と前記ケースの外の気温に基づく温度とに基づいて前記予想時刻よりも前記空冷設定時間だけ早く前記貯湯槽の空冷を開始する構成をもって課題を解決する手段としている。
【0012】
また、第2の発明は、前記第1の発明の構成に加え、前記発電装置は燃料電池としたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、貯湯槽の下部側から発電装置に冷却用の水を供給して発電装置を稼動させるが、貯湯槽を該貯湯槽の外周側を該貯湯槽と間隔を介して覆うケース内に配置し、空冷手段によってケースの外の空気をケース内に導入し、該空気によって前記貯湯槽の少なくとも下部側を冷却することによって、貯湯槽の下部側に貯えられている水を冷却し、例えば燃料電池により形成されている発電装置を稼働させることによって発電することができる。
【0014】
また、本発明において、空冷手段による空冷は、貯湯槽の湯が予め定められる冷却基準温度以上の湯で満たされると予想される予想時刻よりも予め定められる空冷設定時間だけ早めに行うものであり、その制御は、貯湯槽のケースの外の気温に基づく温度が高くなるにつれて前記空冷設定時間が長くなるように設定された空冷設定時間設定情報と、前記ケースの外の気温に基づく温度とに基づいて、前記予想時刻よりも前記空冷設定時間だけ早く貯湯槽の空冷を開始するため、ケースの外の気温に基づく温度に基づいて、貯湯槽内の湯水の冷却を適切なタイミングで行うことができる。
【0015】
つまり、貯湯槽のケースの外の気温が低ければ短時間で貯湯槽内の湯水を冷却することができ、逆に、貯湯槽のケースの外の気温が高いときには貯湯槽内の湯水を冷却するための時間が長くかかるものであり、貯湯槽のケースの外の気温に基づく温度が高くなるにつれて前記空冷設定時間が長くなるように設定された空冷設定時間設定情報と、前記ケースの外の気温に基づく温度とに基づいて、前記予想時刻よりも前記空冷設定時間だけ早く貯湯槽の空冷を開始することによって、ケースの外の気温が高くても低くても適切なタイミングで空冷を開始して貯湯槽内の湯水を冷却し、発電装置の冷却水として利用することができ、発電装置による発電を行えるようにすることができる。
【0016】
すなわち、仮に、例えば貯湯槽のケースの外の気温に基づく温度に関わらず、前記予想時刻よりも一定の時間早めに空冷を開始するようにした場合、気温が低い冬等には貯湯槽を空冷しすぎて貯湯槽内の給湯等に利用できる湯の量を少なくしてしまうといった無駄や不具合が生じる可能性があり、気温が高い夏等には貯湯槽の空冷が足りずに発電ができない事態が生じる可能性があるのに対し、本発明はこのようなことを防ぐことができ、また、大型のラジエータを設ける場合のように貯湯槽の容量を小さくする必要もなく、利便性と省エネ性を兼ね備えた熱源装置を実現できる。
【0017】
また、発電装置を燃料電池により形成することにより、燃料電池を用いて効率的な発電を行うことができる発電機能付き熱源装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明に係る熱源装置の一実施例に適用されている貯湯槽の配置構造を簡略化して示す模式的な縦断面図(a)、(b)と横断面図(c)、(d)である。
図2】実施例に適用されている貯湯槽の外部ケースへの収納態様例を模式的に示す縦断面図である。
図3】実施例の熱源装置に与えられる空冷設定時間設定情報の一例を示すグラフである。
図4】本発明に係る熱源装置の要部制御構成を示すブロック図である。
図5】貯湯槽のケースの外の気温が異なる場合の、空冷時間と貯湯槽内の湯水温との関係例を示すグラフである。
図6】熱源装置の他の実施例に適用されている貯湯槽のケース内を図1(b)のA−A断面図に対応させて示す模式的な横断面説明図である。
図7】発電機能付き熱源装置のシステム構成例を模式的に示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき説明する。なお、本実施例の説明において、これまでの説明の例と同一構成要素には同一符号を付し、その重複説明は省略または簡略化する。
【実施例】
【0020】
図1(a)、(b)には、それぞれ、本発明に係る熱源装置の一実施例に適用されている貯湯槽とその周辺構造を簡略化して示す模式的な縦断面図が示されており、図1(c)には、図1(b)のA−A断面図が、図1(d)には、図1(b)のB−B断面図がそれぞれ簡略化して示されている。また、図1(a)は図1(c)のC−C断面を示し、図1(b)は図1(c)のD−D断面を示す。
【0021】
なお、本実施例は、図7に示した熱源装置と同様のシステム構成を有しており、図7と同様に、貯湯槽2には水供給通路21や熱回収用通路23、湯の通路25等が接続されているが、それらの通路の記載は、図1においては省略されている。また、本実施例においても、図7に示した通路30に接続されるシステムの構成等も適宜の構成が適用されるものであり、発電装置1は燃料電池により形成されている。
【0022】
これらの図に示されるように、貯湯槽2は貯湯槽2の外周側を該貯湯槽2と間隔を介して覆うケース3内に配置されており、ケース3は、貯湯槽2の下部側に設けられる底板部17と、底板部17の上側に設けられて貯湯槽2の外周側を覆う筒状部18と、筒状部18の上側に設けられて貯湯槽2の上面側を覆うキャップ状部19とを有して構成されている。
【0023】
また、例えば図2に示されるように、ケース3に収納されている貯湯槽2は、貯湯槽2に接続されている空気導入用の管路33や空気導出用の管路32と共に、外部ケース31内に収納することができ、本実施例ではこのような構成が適用されている。なお、図2は、説明を分かりやすくするために、管路32,33の径を大きく示し、外部ケース31の幅をケース3の幅よりもかなり広めに示しているが、これらの大きさ(径や幅)は実際には同図に示される態様よりも小さく形成することもでき、また、必ずしも図2に示される態様が適用されるとは限らず、この構成は限定されるものではない。
【0024】
図1(a)、(b)に示されるように、底板部17の底面側には空気導入部4が設けられており、図1(b)、(d)に示されるように、筒状部18の下部側位置には空気導出部5,6が設けられている。この空気導出部5,6の形成部には、ケース3の外部側にファン10が設けられており、ファン10は該ファン10の吸引力によってケース3の外の空気を空気導入部4からケース3内に導入し、該空気によって貯湯槽2の少なくとも下部側を冷却する空冷手段として機能する。
【0025】
図1(d)に示されるように、ファン10の配設部の外側にはシャッタ35が設けられており、このシャッタ35は複数のルーバ(図示せず)を有し、シャッタ35の開動作時にはルーバが開き、シャッタ35の閉動作時にはルーバが閉じるように形成されている。なお、シャッタ35の図示は、図1(a)〜(c)においては省略している。
【0026】
ケース3内には、筒状部18の内側に断熱材7が設けられており、その断熱材7が貯湯槽2の外周壁と間隔を介して設けられているところと貯湯槽2の外周壁に近接して設けられているところとがケース3内に形成されている。断熱材7が貯湯槽2の外周壁と間隔を介している部位には、貯湯槽2の外周壁と断熱材7との間隔によって空気通路8(8a)が複数形成されており、これらの空気通路8(8a)は貯湯槽2の外周方向に互いに間隔を介して形成されている。
【0027】
また、図1(b)〜(d)に示されるように、ケース3内には空気通路8(8b)が貯湯槽2を断熱材7を介して両側から挟む態様で形成されており、これらの空気通路8bの上端側は筒状部18の上側の位置で空気通路8aと連通している(連通部は図示せず)。また、空気通路8(8b)の下端側は空気導出部5,6に連通している。
【0028】
図2に示されるように、空気導出部5は管路32を介して外部ケース31の外部に導通しており、空気導入部4が管路33を介して外部ケース31の外部に導通しており、管路32,33の一端側は共に外部ケース31の外側において同圧同風帯と成している。なお、図2には、空気導出部6に接続されている管路についての記載がないが、空気導出部6にも空気導出部5と同様に管路が接続されて、その一端側(空気導出部6との接続側と反対側)が外部ケース31の外側において管路32,33と同圧同風帯と成している。
【0029】
本実施例において、空気導出部5,6に設けたファン10を駆動させると、図2に示した通路33を介し、図1(a)の矢印に示されるように、空気導入部4からケース3内に空気が導入されて空気通路8(8a)を通り貯湯槽2の外周側に沿って上側に進みながら貯湯槽2の熱を吸熱して貯湯槽2内を冷やす。また、この貯湯槽2の熱の吸熱によって暖められた空気は、図1(b)に示されるように、空気通路8(8b)を通り、貯湯槽2とは間隔を介しながら貯湯槽2の外周側に沿って下側に進み、空気導出部5,6からケース3外に導出される。そして、この空気は、管路32を通り、外部ケース31の外に導出される。なお、空気通路8(8b)は、貯湯槽2とは断熱材7を介して配置されていることから、暖かい空気から貯湯槽2側に熱が伝わることを防ぐ構成と成している。
【0030】
このような空気の流れによって、貯湯槽2内の湯水は貯湯槽2の内壁を介して熱を奪われて(貯湯槽2の内壁が放熱面となって)冷却され、その冷却された水は貯湯槽2の内壁側に沿って下部側に移動して沈降し、貯留される。なお、このように、貯湯槽2の筒壁が放熱面となることから、その放熱面を大きく取るためには貯湯槽2の上側の方まで空気を送る方がよい。
【0031】
ところで、本実施例においては、空気導出部5,6にはファン10の外側にシャッタ35が設けられているので、シャッタ35が閉じているときには空気導出部5,6から空気が入ろうとしても入らないはずではあるが、強い風が吹くと、シャッタ35を形成するルーバ間の隙間から空気が入ろうとする方向に空気が流れようとする(前記風による空気が入り込もうとする)ことがある。
【0032】
しかしながら、ケース3は、空気導出部5,6の形成位置に対して逆U字型であり、たとえ前記ルーバ間の隙間から空風が入ったとしても、貯湯槽2の下部側に貯留されている水は冷たいので空気と貯湯槽内の水との熱交換は生じないし、外から入る冷たい風は空気導出部5,6の形成位置に対して逆U字型のケース3において空気通路8bを図1(b)の矢印とは逆方向に進んで上側に上ることはなく、その結果、ファン10を止めると熱がこもり、放熱しない(ファン10を駆動させれば、前記の如く、空気導入部4から入る空気が上側に向かって空気通路8aを進み、その後、空気通路8bを通って下側に向かって空気導出部5,6から出ていく)。
【0033】
また、本実施例においては、空気導出部5,6と空気導入部4に、図2に示したように管路32,33を接続し、その一端側(管路32,33の空気導出部5,6や空気導入部4との接続側と反対側)を同圧同風帯とすることにより、空気が入ろうとする力と出ようとする力とが均衡するために、例え強い風が吹いても、空気導出部5,6から空気が導入されることはなく、より一層確実に、ファン10の駆動停止時には空気の出入りがないようにできる。
【0034】
また、図1図2には図示されていないが、本実施例において、ケース3の外(例えば外部ケース31の外)には、ケース3が設けられている領域の外気温を検出する外気温検出センサが設けられており、図4に示されるような制御構成を有する制御装置11に信号接続されている。なお、図4においては、外気温検出センサには符号12が付してある。
【0035】
同図に示されるように、制御装置11は貯湯槽空冷制御手段13とメモリ部14、ファン駆動手段15を有しており、ファン10と、貯湯槽内湯水温検出手段16に接続されている。貯湯槽内湯水温検出手段16は貯湯槽2内の湯水の温度を検出するものであり、貯湯槽2内または貯湯槽2の外壁側等において上下方向に互いに間隔を介した複数箇所に設けられている。
【0036】
貯湯槽空冷制御手段13は、貯湯槽の湯が予め定められる冷却基準温度(例えば70℃)以上の湯で満たされる(貯湯槽2内が満蓄となる)と予想される予想時刻に対応させて、該予想時刻よりも予め定められる空冷設定時間だけ早めにファン10を作動させて貯湯槽2の空冷を行う制御手段である。この制御に際し、メモリ部14に、例えば図3に示されるような制御データが格納されている。
【0037】
図3に示される制御データは、例えば図5に示されるように、ファン10の駆動による空冷時間と貯湯槽2内の湯水温との関係を求めた実験データ等に基づいて与えられるものである。このデータは、貯湯槽2のケース3の外の温度(外気温であり、ここでは外気温検出センサ12の検出温度)を様々に変えて求めており、図5において、特性線aは外気温が35℃の場合の実験データ、特性線bは外気温が20℃の場合の実験データ、特性線cは外気温が0℃の場合の実験データをそれぞれ示す。
【0038】
これらの特性線a〜cからも明らかなように、外気温が高くなるにつれて貯湯槽2内の湯水温が低下するまでの空冷時間は長くかかるものである。例えば、貯湯槽2内の湯水温が50℃まで低下するまでに、外気温が35℃の場合は約3時間かかり(特性線a、参照)、外気温が0℃の場合は30分程度である(特性線c、参照)。このような実験データに基づいて設定された図3に示される制御データは、ケース3の外の気温に基づく温度(ここではケース3の外の気温)が高くなるにつれて前記空冷設定時間が長くなるように設定された空冷設定時間設定情報となる。
【0039】
貯湯槽空冷制御手段13は、貯湯槽2の湯が前記冷却基準温度以上の湯で満たされると予想される予想時刻を、貯湯槽内湯水温検出手段16の検出温度に基づいて求め、図3に示したような空冷設定時間設定情報とケース3の外の気温に基づく温度(ここではケース3の外であり、例えば外部ケース31の外の気温)とに基づいて、前記予想時刻よりも前記空冷設定時間だけ早く空冷を開始するようにファン駆動手段15に指令を加える。ファン駆動手段15は、この指令に基づいてファン10を駆動させる。
【0040】
なお、貯湯槽空冷制御手段13は、貯湯槽2の湯が予め定められる冷却基準温度以上の湯で満たされると予想される予想時刻を求める際に、例えば利用者の生活態様に基づく発電装置1の稼働状況や給湯利用状況を予め学習し、その学習データや外気温検出センサ12の検出温度等を考慮して求めてもよい。このようにすると前記予想時刻をより正確に求めることができる。
【0041】
本実施例は以上のように構成されており、例えば図5の特性線cに示したように、貯湯槽2のケース3の外の気温が低ければ短時間で貯湯槽2内の湯水を冷却することができ、逆に、図5の特性線aに示したように、貯湯槽2のケース3の外の気温が高いときには貯湯槽2内の湯水を冷却するための時間が長くかかるが、このような特性に対応させて、図3に示したような、貯湯槽2のケース3の外の気温が高くなるにつれて空冷設定時間が長くなるように設定された空冷設定時間設定情報が与えられる。
【0042】
そして、このような空冷設定時間設定情報とケース3の外の気温とに基づいて、貯湯槽2の湯が前記冷却基準温度以上の湯で満たされると予想される予想時刻よりも前記空冷設定時間だけ早く貯湯槽の空冷を開始することによって、ケース3の外の気温が高くても低くても適切に空冷を開始して貯湯槽2内の湯水を冷却し、発電装置1の冷却水として利用することができる。
【0043】
そのため、発電装置1の発電時の廃熱を利用する湯の貯湯と、貯湯槽2から発電装置1に供給される冷却用の水を利用しての発電装置1による発電とを効率的に良好に行うことができる装置を実現できる。
【0044】
なお、本発明は、前記実施例に限定されるものでなく、適宜設定されるものである。例えば、前記実施例ではケース3内に空気を導入する空気導入部4を1つ設け、ケース3内から空気を導出する空気導出部を符号5,6で示すように2つ設けたが、これらの個数や配置位置、大きさ等の配設態様は特に限定されるものでなく適宜設定されるものであり、ケース3内に配置される貯湯槽2の少なくとも下部側を空冷できるように形成されればよい。また、ファン10の配設態様や管路32,33の接続態様等も特に限定されるものでなく適宜設定されるものである。
【0045】
また、前記実施例では、ケース3の外の気温として外部ケース31の外の気温を用いて制御を行ったが、外部ケース31内の気温を検出して用いてもよい。
【0046】
さらに、前記実施例では、ケース3の外の気温に基づく空冷設定時間設定情報として、ケース3の外の気温とが高くなるにつれて空冷設定時間が長くなるように設定された空冷設定時間設定情報を与え、この情報とケース3の外の気温とに基づいて貯湯槽空冷制御手段13が空冷開始のタイミングを制御したが、例えばケース3の外の気温に基づく温度を給水温度とし、給水温度に基づく空冷設定時間設定情報を与え、この情報と給水温度とに基づいて貯湯槽2の空冷開始のタイミングを制御してもよい。つまり、ケース3の外の気温である外気温が低いと給水温度も低く、外気温が高いと給水温度も高くなるため、給水温度もケース3の外の気温に基づく温度とすることができる。
【0047】
さらに、ケース3の外の気温(外気温)と給水温度の両方をケース3の外の気温に基づく温度とし、外気温と給水温度に基づく空冷設定時間設定情報と、外気温と給水温度とに基づいて貯湯槽2の空冷開始のタイミングを制御してもよい。
【0048】
また、季節に応じて外気温も変化するものであるので、季節情報をケース3の外の気温に基づく温度とし、季節情報に基づく空冷設定時間設定情報と季節情報とに基づいて貯湯槽2の空冷開始のタイミングを制御してもよい。この場合は、制御装置11にカレンダー機能を持たせることによって、外気温検出センサ12等のセンサを設けなくても貯湯槽2の冷却開始タイミングを制御できるので、その分だけコストを安くできる。
【0049】
さらに、空気通路8(8b)の形成位置は前記実施例のように限定されるものではなく、例えば図6に示されるような位置に形成されていてもよい。なお、図6には、空気導出部5,6は図示されていないが、空気導出部5,6も空気通路8bの形成位置に対応する位置に形成する。
【0050】
さらに、発電装置1はガスエンジンによっても形成することができる。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明の熱源装置は、発電装置を稼働と貯湯槽への貯湯とを効率的に行うことができるので、使い勝手が良好であり、例えば家庭用の熱源装置として利用できる。
【符号の説明】
【0052】
1 発電装置
2 貯湯槽
3 ケース
4 空気導入部
5,6 空気導出部
7 断熱材
8 空気通路
10 ファン
11 制御装置
12 外気温検出センサ
13 貯湯槽空冷制御手段
14 メモリ部
15 ファン駆動手段
16 貯湯槽内湯水温検出手段
21 水供給通路
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7