【実施例】
【0020】
図1(a)、(b)には、それぞれ、本発明に係る熱源装置の一実施例に適用されている貯湯槽とその周辺構造を簡略化して示す模式的な縦断面図が示されており、
図1(c)には、
図1(b)のA−A断面図が、
図1(d)には、
図1(b)のB−B断面図がそれぞれ簡略化して示されている。また、
図1(a)は
図1(c)のC−C断面を示し、
図1(b)は
図1(c)のD−D断面を示す。
【0021】
なお、本実施例は、
図7に示した熱源装置と同様のシステム構成を有しており、
図7と同様に、貯湯槽2には水供給通路21や熱回収用通路23、湯の通路25等が接続されているが、それらの通路の記載は、
図1においては省略されている。また、本実施例においても、
図7に示した通路30に接続されるシステムの構成等も適宜の構成が適用されるものであり、発電装置1は燃料電池により形成されている。
【0022】
これらの図に示されるように、貯湯槽2は貯湯槽2の外周側を該貯湯槽2と間隔を介して覆うケース3内に配置されており、ケース3は、貯湯槽2の下部側に設けられる底板部17と、底板部17の上側に設けられて貯湯槽2の外周側を覆う筒状部18と、筒状部18の上側に設けられて貯湯槽2の上面側を覆うキャップ状部19とを有して構成されている。
【0023】
また、例えば
図2に示されるように、ケース3に収納されている貯湯槽2は、貯湯槽2に接続されている空気導入用の管路33や空気導出用の管路32と共に、外部ケース31内に収納することができ、本実施例ではこのような構成が適用されている。なお、
図2は、説明を分かりやすくするために、管路32,33の径を大きく示し、外部ケース31の幅をケース3の幅よりもかなり広めに示しているが、これらの大きさ(径や幅)は実際には同図に示される態様よりも小さく形成することもでき、また、必ずしも
図2に示される態様が適用されるとは限らず、この構成は限定されるものではない。
【0024】
図1(a)、(b)に示されるように、底板部17の底面側には空気導入部4が設けられており、
図1(b)、(d)に示されるように、筒状部18の下部側位置には空気導出部5,6が設けられている。この空気導出部5,6の形成部には、ケース3の外部側にファン10が設けられており、ファン10は該ファン10の吸引力によってケース3の外の空気を空気導入部4からケース3内に導入し、該空気によって貯湯槽2の少なくとも下部側を冷却する空冷手段として機能する。
【0025】
図1(d)に示されるように、ファン10の配設部の外側にはシャッタ35が設けられており、このシャッタ35は複数のルーバ(図示せず)を有し、シャッタ35の開動作時にはルーバが開き、シャッタ35の閉動作時にはルーバが閉じるように形成されている。なお、シャッタ35の図示は、
図1(a)〜(c)においては省略している。
【0026】
ケース3内には、筒状部18の内側に断熱材7が設けられており、その断熱材7が貯湯槽2の外周壁と間隔を介して設けられているところと貯湯槽2の外周壁に近接して設けられているところとがケース3内に形成されている。断熱材7が貯湯槽2の外周壁と間隔を介している部位には、貯湯槽2の外周壁と断熱材7との間隔によって空気通路8(8a)が複数形成されており、これらの空気通路8(8a)は貯湯槽2の外周方向に互いに間隔を介して形成されている。
【0027】
また、
図1(b)〜(d)に示されるように、ケース3内には空気通路8(8b)が貯湯槽2を断熱材7を介して両側から挟む態様で形成されており、これらの空気通路8bの上端側は筒状部18の上側の位置で空気通路8aと連通している(連通部は図示せず)。また、空気通路8(8b)の下端側は空気導出部5,6に連通している。
【0028】
図2に示されるように、空気導出部5は管路32を介して外部ケース31の外部に導通しており、空気導入部4が管路33を介して外部ケース31の外部に導通しており、管路32,33の一端側は共に外部ケース31の外側において同圧同風帯と成している。なお、
図2には、空気導出部6に接続されている管路についての記載がないが、空気導出部6にも空気導出部5と同様に管路が接続されて、その一端側(空気導出部6との接続側と反対側)が外部ケース31の外側において管路32,33と同圧同風帯と成している。
【0029】
本実施例において、空気導出部5,6に設けたファン10を駆動させると、
図2に示した通路33を介し、
図1(a)の矢印に示されるように、空気導入部4からケース3内に空気が導入されて空気通路8(8a)を通り貯湯槽2の外周側に沿って上側に進みながら貯湯槽2の熱を吸熱して貯湯槽2内を冷やす。また、この貯湯槽2の熱の吸熱によって暖められた空気は、
図1(b)に示されるように、空気通路8(8b)を通り、貯湯槽2とは間隔を介しながら貯湯槽2の外周側に沿って下側に進み、空気導出部5,6からケース3外に導出される。そして、この空気は、管路32を通り、外部ケース31の外に導出される。なお、空気通路8(8b)は、貯湯槽2とは断熱材7を介して配置されていることから、暖かい空気から貯湯槽2側に熱が伝わることを防ぐ構成と成している。
【0030】
このような空気の流れによって、貯湯槽2内の湯水は貯湯槽2の内壁を介して熱を奪われて(貯湯槽2の内壁が放熱面となって)冷却され、その冷却された水は貯湯槽2の内壁側に沿って下部側に移動して沈降し、貯留される。なお、このように、貯湯槽2の筒壁が放熱面となることから、その放熱面を大きく取るためには貯湯槽2の上側の方まで空気を送る方がよい。
【0031】
ところで、本実施例においては、空気導出部5,6にはファン10の外側にシャッタ35が設けられているので、シャッタ35が閉じているときには空気導出部5,6から空気が入ろうとしても入らないはずではあるが、強い風が吹くと、シャッタ35を形成するルーバ間の隙間から空気が入ろうとする方向に空気が流れようとする(前記風による空気が入り込もうとする)ことがある。
【0032】
しかしながら、ケース3は、空気導出部5,6の形成位置に対して逆U字型であり、たとえ前記ルーバ間の隙間から空風が入ったとしても、貯湯槽2の下部側に貯留されている水は冷たいので空気と貯湯槽内の水との熱交換は生じないし、外から入る冷たい風は空気導出部5,6の形成位置に対して逆U字型のケース3において空気通路8bを
図1(b)の矢印とは逆方向に進んで上側に上ることはなく、その結果、ファン10を止めると熱がこもり、放熱しない(ファン10を駆動させれば、前記の如く、空気導入部4から入る空気が上側に向かって空気通路8aを進み、その後、空気通路8bを通って下側に向かって空気導出部5,6から出ていく)。
【0033】
また、本実施例においては、空気導出部5,6と空気導入部4に、
図2に示したように管路32,33を接続し、その一端側(管路32,33の空気導出部5,6や空気導入部4との接続側と反対側)を同圧同風帯とすることにより、空気が入ろうとする力と出ようとする力とが均衡するために、例え強い風が吹いても、空気導出部5,6から空気が導入されることはなく、より一層確実に、ファン10の駆動停止時には空気の出入りがないようにできる。
【0034】
また、
図1、
図2には図示されていないが、本実施例において、ケース3の外(例えば外部ケース31の外)には、ケース3が設けられている領域の外気温を検出する外気温検出センサが設けられており、
図4に示されるような制御構成を有する制御装置11に信号接続されている。なお、
図4においては、外気温検出センサには符号12が付してある。
【0035】
同図に示されるように、制御装置11は貯湯槽空冷制御手段13とメモリ部14、ファン駆動手段15を有しており、ファン10と、貯湯槽内湯水温検出手段16に接続されている。貯湯槽内湯水温検出手段16は貯湯槽2内の湯水の温度を検出するものであり、貯湯槽2内または貯湯槽2の外壁側等において上下方向に互いに間隔を介した複数箇所に設けられている。
【0036】
貯湯槽空冷制御手段13は、貯湯槽の湯が予め定められる冷却基準温度(例えば70℃)以上の湯で満たされる(貯湯槽2内が満蓄となる)と予想される予想時刻に対応させて、該予想時刻よりも予め定められる空冷設定時間だけ早めにファン10を作動させて貯湯槽2の空冷を行う制御手段である。この制御に際し、メモリ部14に、例えば
図3に示されるような制御データが格納されている。
【0037】
図3に示される制御データは、例えば
図5に示されるように、ファン10の駆動による空冷時間と貯湯槽2内の湯水温との関係を求めた実験データ等に基づいて与えられるものである。このデータは、貯湯槽2のケース3の外の温度(外気温であり、ここでは外気温検出センサ12の検出温度)を様々に変えて求めており、
図5において、特性線aは外気温が35℃の場合の実験データ、特性線bは外気温が20℃の場合の実験データ、特性線cは外気温が0℃の場合の実験データをそれぞれ示す。
【0038】
これらの特性線a〜cからも明らかなように、外気温が高くなるにつれて貯湯槽2内の湯水温が低下するまでの空冷時間は長くかかるものである。例えば、貯湯槽2内の湯水温が50℃まで低下するまでに、外気温が35℃の場合は約3時間かかり(特性線a、参照)、外気温が0℃の場合は30分程度である(特性線c、参照)。このような実験データに基づいて設定された
図3に示される制御データは、ケース3の外の気温に基づく温度(ここではケース3の外の気温)が高くなるにつれて前記空冷設定時間が長くなるように設定された空冷設定時間設定情報となる。
【0039】
貯湯槽空冷制御手段13は、貯湯槽2の湯が前記冷却基準温度以上の湯で満たされると予想される予想時刻を、貯湯槽内湯水温検出手段16の検出温度に基づいて求め、
図3に示したような空冷設定時間設定情報とケース3の外の気温に基づく温度(ここではケース3の外であり、例えば外部ケース31の外の気温)とに基づいて、前記予想時刻よりも前記空冷設定時間だけ早く空冷を開始するようにファン駆動手段15に指令を加える。ファン駆動手段15は、この指令に基づいてファン10を駆動させる。
【0040】
なお、貯湯槽空冷制御手段13は、貯湯槽2の湯が予め定められる冷却基準温度以上の湯で満たされると予想される予想時刻を求める際に、例えば利用者の生活態様に基づく発電装置1の稼働状況や給湯利用状況を予め学習し、その学習データや外気温検出センサ12の検出温度等を考慮して求めてもよい。このようにすると前記予想時刻をより正確に求めることができる。
【0041】
本実施例は以上のように構成されており、例えば
図5の特性線cに示したように、貯湯槽2のケース3の外の気温が低ければ短時間で貯湯槽2内の湯水を冷却することができ、逆に、
図5の特性線aに示したように、貯湯槽2のケース3の外の気温が高いときには貯湯槽2内の湯水を冷却するための時間が長くかかるが、このような特性に対応させて、
図3に示したような、貯湯槽2のケース3の外の気温が高くなるにつれて空冷設定時間が長くなるように設定された空冷設定時間設定情報が与えられる。
【0042】
そして、このような空冷設定時間設定情報とケース3の外の気温とに基づいて、貯湯槽2の湯が前記冷却基準温度以上の湯で満たされると予想される予想時刻よりも前記空冷設定時間だけ早く貯湯槽の空冷を開始することによって、ケース3の外の気温が高くても低くても適切に空冷を開始して貯湯槽2内の湯水を冷却し、発電装置1の冷却水として利用することができる。
【0043】
そのため、発電装置1の発電時の廃熱を利用する湯の貯湯と、貯湯槽2から発電装置1に供給される冷却用の水を利用しての発電装置1による発電とを効率的に良好に行うことができる装置を実現できる。
【0044】
なお、本発明は、前記実施例に限定されるものでなく、適宜設定されるものである。例えば、前記実施例ではケース3内に空気を導入する空気導入部4を1つ設け、ケース3内から空気を導出する空気導出部を符号5,6で示すように2つ設けたが、これらの個数や配置位置、大きさ等の配設態様は特に限定されるものでなく適宜設定されるものであり、ケース3内に配置される貯湯槽2の少なくとも下部側を空冷できるように形成されればよい。また、ファン10の配設態様や管路32,33の接続態様等も特に限定されるものでなく適宜設定されるものである。
【0045】
また、前記実施例では、ケース3の外の気温として外部ケース31の外の気温を用いて制御を行ったが、外部ケース31内の気温を検出して用いてもよい。
【0046】
さらに、前記実施例では、ケース3の外の気温に基づく空冷設定時間設定情報として、ケース3の外の気温とが高くなるにつれて空冷設定時間が長くなるように設定された空冷設定時間設定情報を与え、この情報とケース3の外の気温とに基づいて貯湯槽空冷制御手段13が空冷開始のタイミングを制御したが、例えばケース3の外の気温に基づく温度を給水温度とし、給水温度に基づく空冷設定時間設定情報を与え、この情報と給水温度とに基づいて貯湯槽2の空冷開始のタイミングを制御してもよい。つまり、ケース3の外の気温である外気温が低いと給水温度も低く、外気温が高いと給水温度も高くなるため、給水温度もケース3の外の気温に基づく温度とすることができる。
【0047】
さらに、ケース3の外の気温(外気温)と給水温度の両方をケース3の外の気温に基づく温度とし、外気温と給水温度に基づく空冷設定時間設定情報と、外気温と給水温度とに基づいて貯湯槽2の空冷開始のタイミングを制御してもよい。
【0048】
また、季節に応じて外気温も変化するものであるので、季節情報をケース3の外の気温に基づく温度とし、季節情報に基づく空冷設定時間設定情報と季節情報とに基づいて貯湯槽2の空冷開始のタイミングを制御してもよい。この場合は、制御装置11にカレンダー機能を持たせることによって、外気温検出センサ12等のセンサを設けなくても貯湯槽2の冷却開始タイミングを制御できるので、その分だけコストを安くできる。
【0049】
さらに、空気通路8(8b)の形成位置は前記実施例のように限定されるものではなく、例えば
図6に示されるような位置に形成されていてもよい。なお、
図6には、空気導出部5,6は図示されていないが、空気導出部5,6も空気通路8bの形成位置に対応する位置に形成する。
【0050】
さらに、発電装置1はガスエンジンによっても形成することができる。