(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6293622
(24)【登録日】2018年2月23日
(45)【発行日】2018年3月14日
(54)【発明の名称】ジボランの除去方法およびジボラン除去剤
(51)【国際特許分類】
B01D 53/14 20060101AFI20180305BHJP
B01D 53/46 20060101ALI20180305BHJP
【FI】
B01D53/14 210
B01D53/14ZAB
B01D53/46
【請求項の数】3
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-181381(P2014-181381)
(22)【出願日】2014年9月5日
(65)【公開番号】特開2016-55217(P2016-55217A)
(43)【公開日】2016年4月21日
【審査請求日】2017年6月12日
(73)【特許権者】
【識別番号】000175607
【氏名又は名称】富士フイルムファインケミカルズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002505
【氏名又は名称】特許業務法人航栄特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100115107
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 猛
(74)【代理人】
【識別番号】100151194
【弁理士】
【氏名又は名称】尾澤 俊之
(72)【発明者】
【氏名】上田 洋平
(72)【発明者】
【氏名】青木 秀文
(72)【発明者】
【氏名】原田 奨
【審査官】
佐々木 典子
(56)【参考文献】
【文献】
特表2012−530598(JP,A)
【文献】
国際公開第2008/115250(WO,A2)
【文献】
国際公開第2008/018838(WO,A1)
【文献】
特開2002−137906(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2012/0134905(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 53/14−53/18
B01D 53/34−53/85
C01B 6/00
C01B 35/00
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ジボランまたはジボランを含む混合ガスを、下記一般式(I)で表されるケトン化合物と、下記一般式(II)または下記一般式(III)で表される化合物とを含む混合液に通過させるジボランの除去方法。
【化1】
式中、R1およびR2は各々独立して、水素原子、アルキル基、またはアリール基を表す。R1とR2とで結合して環を形成してもよい。
【化2】
式中、R3〜R9は各々独立して、水素原子、アルキル基、またはアリール基を表す。隣接した2つの基が結合して環を形成してもよい。
【請求項2】
ボラン錯体を合成する反応で発生するジボランを除去する請求項1のジボランの除去方法。
【請求項3】
下記一般式(I)で表されるケトン化合物と、下記一般式(II)または一般式(III)で表される化合物とを含むジボラン除去剤。
【化3】
式中、R1およびR2は各々独立して、水素原子、アルキル基、またはアリール基を表す。R1とR2とで結合して環を形成してもよい。
【化4】
式中、R3〜R9は各々独立して、水素原子、アルキル基、またはアリール基を表す。隣接した2つの基が結合して環を形成してもよい。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、爆発性があり、人体に有害なジボランの除去方法およびジボラン除去剤に関する。
【背景技術】
【0002】
ジボラン(B
2H
6)は半導体表面にホウ素をドープするための重要な材料ガスであり、その他重合触媒や還元剤等でも広く用いられている。しかし、ジボランは引火性が高く、爆発性があり、しかも人体への毒性が強い。半導体等の製造設備では、ジボランを直接燃焼して除去する方法も行われているが、燃焼するための特殊な装置や設備が必要であった。
【0003】
一方、単独では不安定なボラン(BH
3)は、ピリジンやアンモニア等の塩基、テトラヒドロフラン、ジメチルスルフィド、トリフェニルホスフィン等と錯体を形成することで安定化し、種々の有機合成反応、例えばカルボン酸化合物からアルコール化合物への還元、ケトン化合物からアルコール化合物への還元、アミド化合物からアミン化合物への還元、アルケンおよびアルキン化合物のヒドロホウ素化等に利用されている。このボラン錯体は多種市販されており、また、公知の方法、一例として水素化ホウ素塩と三フッ化ホウ素とを反応することにより容易に調製することも可能である。
しかし、ボラン錯体を調製する場合、ボランが二量化してジボランを発生する。従来では、発生したジボランを別容器に入れたアセトン中に導入して除去する方法がとられていたが(非特許文献1)、アセトン単独ではジボランを完全に除去することは困難であり、除去しきれなかったジボランが反応系外にそのまま排出されて健康を害したり、爆発する恐れがあった。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】新実験化学講座 1976年刊、丸善、第15巻 216〜244頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、ジボランを安全に、且つ効率良く除去する技術およびジボラン除去剤を提供することにある。
【0006】
本発明者らは上記目的を達成すべく創意検討した結果、一般式(I)で表されるケトン化合物と、一般式(II)または一般式(III)で表される化合物を含む混合液にジボランを通過させることにより、ジボランの除去能が向上し、ジボランの大気排出を防ぐことを見出し本発明を完成した。本発明は簡便、且つ特殊な技術および装置が不要であり、極めて有用な方法である。すなわち、本発明は以下によって達成される。
【0007】
<1>ジボランまたはジボランを含む混合ガスを、下記一般式(I)で表されるケトン化合物と、下記一般式(II)または一般式(III)で表される化合物とを含む混合液に通過させるジボランの除去方法。
【0008】
【化1】
式中、R1およびR2は各々独立して、水素原子、アルキル基、またはアリール基を表す。R1とR2とで結合して環を形成してもよい。
【0009】
【化2】
式中、R3〜R9は各々独立して、水素原子、アルキル基、またはアリール基を表す。隣接した2つの基が結合して環を形成してもよい。
<2>ボラン錯体を用いる反応で発生するジボランを除去する前記<1>のジボランの除去方法。
<3>下記一般式(I)で表されるケトン化合物と、下記一般式(II)または一般式(III)で表される化合物とを含むジボラン除去剤。
【0010】
【化3】
式中、R1およびR2は各々独立して、水素原子、アルキル基、またはアリール基を表す。R1とR2とで結合して環を形成してもよい。
【0011】
【化4】
式中、R3〜R9は各々独立して、水素原子、アルキル基、またはアリール基を表す。隣接した2つの基が結合して環を形成してもよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明の技術を用いれば、工業スケールで人体の健康を害することなく、また爆発の危険性を低減させ安全にジボランを除去することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明におけるジボラン除去の実験装置の構成例を表した図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に本発明について更に詳しく説明する。
本発明の方法は一般的なジボランの除去に有効であるが、特にボラン錯体を用いた合成反応で発生するジボランを除去するのに極めて効果的である。
本発明のボラン錯体とは、ボラン(BH
3)とピリジンやアンモニア等の塩基、テトラヒドロフラン、ジメチルスルフィド、トリフェニルホスフィン等との錯体を示すが、これらに限定されない。
ボラン錯体は種々市販されており、入手も容易である。または公知の方法(例えば「実験化学講座 第4版」1992年刊、丸善 第20巻、72〜73頁等)で調製することも可能である。
【0015】
以下にボラン錯体の調製の一例として、水素化ホウ素塩と三フッ化ホウ素とによる調製法を述べる。
用いる水素化ホウ素塩としては、具体的には水素化ホウ素リチウム、水素化ホウ素ナトリウム、水素化ホウ素カリウム、水素化ホウ素マグネシウム、水素化ホウ素カルシウム、水素化ホウ素アルミニウム、シアノ水素化ホウ素ナトリウム、水素化ホウ素亜鉛、水素化ホウ素ニッケル、水素化ホウ素アンモニウム、水素化トリメトキシホウ素リチウム、水素化トリメトキシホウ素ナトリウム、水素化トリメトキシホウ素カリウム、水素化トリエトキシホウ素リチウム、水素化トリエトキシホウ素ナトリウム、水素化トリエトキシホウ素カリウム、水素化トリエチルホウ素リチウム、水素化トリ(sec−ブチル)ホウ素リチウム、水素化トリ(sec−ブチル)ホウ素ナトリウム、水素化トリ(sec−ブチル)ホウ素カリウム等が挙げられる。
【0016】
用いる三フッ化ホウ素としては、具体的には三フッ化ホウ素、三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体、三フッ化ホウ素テトラヒドロフラン錯体、三フッ化ホウ素二水和物、三フッ化ホウ素酢酸錯体、三フッ化ホウ素アセトニトリル錯体、三フッ化ホウ素tert−ブチルメチルエーテル錯体、三フッ化ホウ素ジブチルエーテル錯体、三フッ化ホウ素メタノール錯体、三フッ化ホウ素ジメチルスルフィド錯体、三フッ化ホウ素プロパノール錯体、三フッ化ホウ素アンモニウム錯体等が挙げられる。
【0017】
これら水素化ホウ素塩と三フッ化ホウ素との組み合わせは任意に選択可能であるが、好ましくは水素化ホウ素ナトリウムと三フッ化ホウ素テトラヒドロフラン錯体の組み合わせである。
使用する三フッ化ホウ素の量は水素化ホウ素塩1molに対して、通常0.1〜10mol、好ましくは0.5〜5mol、より好ましくは0.5〜2molである。
【0018】
ボラン錯体を調製する場合の反応溶媒は、当該反応条件化において安定であり、かつ不活性で反応を妨げない反応溶媒であれば特に制限されない。例えば、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、デカリン等の炭化水素類;ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン等の芳香族炭化水素類;1,2−ジメトキシエタン(DME)、テトラヒドロフラン(THF)、ジメチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、tert−ブチルメチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル、ジグライム等のエーテル類;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル等のエステル類;ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン等のハロゲン炭化水素類が挙げられる。これらの溶媒は単独で使用しても2種類以上併用してもよい。使用する反応溶媒の量は水素化ホウ素塩1gに対して、通常1〜100ml、好ましくは5〜80ml、さらに好ましくは10〜50mlである。
【0019】
ボラン錯体を調製する場合、反応温度は0〜150℃、好ましくは0〜80℃、より好ましくは0〜30℃である。反応時間は仕込み量や反応温度により異なるが、通常0.5〜9時間である。反応は特に不活性な雰囲気下でなくとも行うことができるが、、アルゴンまたは窒素気流下で反応を行うのが好ましい。アルゴンまたは窒素気流下で反応を行う場合、アルゴンまたは窒素の流量は調製するボラン錯体の量や反応容器の大きさ等によって異なる。一例として、実験室規模で行う場合、通常0.1〜1000ml/分、好ましくは0.1〜500ml/分、より好ましくは0.1〜100ml/分である。
【0020】
本発明において、発生したジボランはまず一般式(II)または一般式(III)で表される化合物と錯体を形成し、次いで一般式(I)で表される化合物と反応して無害化すると考えられる。その後、一般式(II)または一般式(III)の化合物は、再び新しく発生したジボランと錯体を形成する。
一方、一般式(I)で表される化合物のみ(例えばアセトン単独)の場合、ジボランと反応はするが反応が遅く、そのため発生したジボランは全て除去しきれずに系外に放出されてしまっていると考えられる。
【0021】
本発明の一般式(I)、(II)および(III)で表される化合物において、R1〜R9が表すアルキル基としては、例えばメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、tert−ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル等の炭素数1〜12個の直鎖または分岐アルキル基;シクロプロピル、シクロブチル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロへキシル、シクロノニル、シクロデシル等の炭素数3〜10個のシクロアルキル基が挙げられる。
【0022】
R1〜R9が表すアリール基としては、例えば、フェニル、ナフチル等の6〜10員環のアリール基が挙げられる。
R1とR2とで結合して形成する環としては、シクロプロパン、シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン等が挙げられる。
R3〜R5、R6〜R9の隣接した2つの基が結合して形成する環としては、ピロリジン、ピペリジン等が挙げられる。、
R1〜R9は更なる置換基を有していても良い。更なる置換基は、副反応が起きないものであれば特に制限は無いが、好ましくは炭素数1〜10の直鎖、分岐または環状のアルキル基、6〜10員環のアリール基が挙げられる。
【0023】
本発明の一般式(I)で表されるケトン化合物は種々市販されており、容易に入手可能である。具体的には、アセトン、メチルエチルケトン(MEK)、ジエチルケトン、1−シクロプロピルエタノン、ジシクロプロピルケトン、3−メチル−2−ブタノン、2−ペンタノン、2−メチル−3−ペンタノン、2,2−ジメチル−3−ペンタノン、2,4−ジメチル−3−ペンタノン、2,2,4−トリメチル−3−ペンタノン、2,2,4,4−テトラメチルペンタノン、3−メチル−2−ペンタノン、3,3−ジメチル−2−ペンタノン、3,4−ジメチル−2−ペンタノン、4,4−ジメチル−2−ペンタノン、3,3,4−トリメチル−2−ペンタノン、3,4,4−トリメチル−2−ペンタノン、3,3,4,4−テトラメチル−2−ペンタノン、2−ヘキサノン、3−ヘキサノン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン、4−ヘプタノン、2−オクタノン、3−オクタノン、4−オクタノン、2−ノナノン、3−ノナノン、4−ノナノン、5−ノナノン、2−デカノン、3−デカノン、4−デカノン、5−デカノン、シクロブタノン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、またはシクロヘプタノン等が挙げられる。
これらの中でも好ましくは、アセトン、MEK、ジエチルケトンであり、より好ましくはアセトンである。
【0024】
一般式(II)で表される化合物も種々市販されており、容易に入手可能である。具体的には、ホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジエチルホルムアミド、N,N−ジプロピルホルムアミド、N,N−ジイソプロピルホルムアミド、N,N−ジブチルホルムアミド、N,N−ジイソブチルホルムアミド、N,N−ジ(tert−ブチル)ホルムアミド、N,N−ペンチルホルムアミド、N,N−ジヘキシルホルムアミド、N,N−ジオクチルホルムアミド、N,N−ジノニルホルムアミド、N,N−ジドデシルホルムアミド、アセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)、N,N−ジエチルアセトアミド、N,N−ジプロピルアセトアミド、N,N−ジイソプロピルアセトアミド、N,N−ジブチルアセトアミド、N,N−ジイソブチルアセトアミド、N,N−ジ(tert−ブチル)アセトアミド、N,N−ジペンチルアセトアミド、N,N−ジヘキシルアセトアミド、N,N−ジオクチルアセトアミド、N,N−ジノニルアセトアミド,N,N−ジドデシルアセトアミド、ベンズアミド、N,N−ジメチルベンズアミド、N,N−ジエチルベンズアミド、N,N−ジプロピルベンズアミド,N,N−ジイソプロピルベンズアミド、N,N−ジブチルベンズアミド、N,N−ジイソブチルベンズアミド、N,N−ジ(tert−ブチル)ベンズアミド、N,N−ジペンチルベンズアミド、N,N−ジヘキシルベンズアミド、N,N−ジオクチルベンズアミド、N,N−ジノニルベンズアミド、N,N−ジドデシルベンズアミド、N−メチルピロリドン、またはN−エチルピロリドン等が挙げられる。
これらの中で好ましくはDMF、DMAc、N−メチルピロリドン、N−エチルピロリドンであり、より好ましくはDMF、DMAcである。
【0025】
一般式(III)で表される化合物も同様に、種々市販されており容易に入手可能である。具体的には、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン(DMI)、尿素、1,1,3,3−テトラメチル尿素(TMU)、N,N’−ジメチルプロピレン尿素(DMPU)、メチル尿素、1,1−ジメチル尿素、1,3−ジメチル尿素、1,1,3−トリメチル尿素、エチル尿素、1,1−ジエチル尿素、1,3−ジエチル尿素、1,1,3−トリエチル尿素、1,1,3,3−テトラエチル尿素、プロピル尿素、1,1−ジプロピル尿素、1,3−ジプロピル尿素、1,1,3−トリプロピル尿素、1,1,3,3−テトラプロピル尿素、フェニル尿素、1,1−ジフェニル尿素、1,3−ジフェニル尿素、1,1,3−トリフェニル尿素、1,1,3,3−テトラフェニル尿素、ベンジル尿素、1,3−ジベンジル尿素、1,1,3−トリベンジル尿素、1,1,3,3−テトラベンジル尿素、1,3−ジシクロヘキシル尿素、または1,3−ジメチル−1,3−ジフェニル尿素等が挙げられる。
これらの中で好ましくはDMI、TMU、DMPUであり、より好ましくはDMIである。
【0026】
一般式(I)で表されるケトン化合物の使用量は、発生すると予測されるジボランの量(理論値)から適宜選択する。ケトン化合物の量は多いほど有効ではあるが、コストや装置の点も考慮すると、発生するジボランの理論値0.01molに対して、通常5〜1000ml、好ましくは8〜500ml、より好ましくは10〜100mlである。
一般式(II)または一般式(III)で表される化合物は、単独で使用しても、2種類以上を併用してもよい。これらの使用量は、基質や用いる装置によっても異なるが、本発明では一般式(I)で表されるケトン化合物との比率(v:v)で算出する。ケトン化合物と一般式(II)または一般式(III)で表される化合物との比率は、通常99.9:0.1〜50:50の範囲、好ましくは99.5:0.5〜70:30の範囲、より好ましくは97:3〜80:20の範囲である。
ジボランを除去する場合の温度は−10〜100℃、好ましくは−5〜50℃、より好ましくは0〜20℃である。
また、本発明において、前記除去剤を入れる装置は通常の合成実験で用いる器材や、化学合成を行う製造設備に設置されている装置をそのまま用いることができる。
【実施例】
【0027】
次に本発明を実施例を挙げて具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されない。なお、大気中のジボラン濃度測定は、市販の検知管(ガステック製、ジボラン用検知管No.22、測定範囲0.02〜5ppm)を用いて測定した。
【0028】
実施例1 アセトンおよびDMAcを用いたジボランの除去
窒素置換した300mlの四つ口フラスコに水素化ホウ素ナトリウム7.75g(204.9mmol)を入れ、続いてテトラヒドロフラン160mlを加えた。内温15℃以下に冷却し、13ml/分の窒素雰囲気下、攪拌しながら三フッ化ホウ素テトラヒドロフラン錯体33.75g(241.2mmol)を60分かけて滴下した。滴下開始直後に、四つ口フラスコ内のジボラン濃度を検知管で測定した。その後、四つ口フラスコから逆流防止用のクッションタンクを介し、ジボラン除去剤としてのアセトン240mlとDMAc60mlの混合溶媒の混合溶媒が入ったトラップへチューブを接続し、三フッ化ホウ素テトラヒドロフラン錯体滴下時に発生した気体をトラップ内でバブリングさせた(
図1参照)。三フッ化ホウ素テトラヒドロフラン錯体滴下30分後と滴下終了後に、それぞれトラップから排気されたガス中のジボラン濃度を測定した。なお、上記の反応条件で発生するジボランの理論値は120.6mmolであった。
【0029】
実施例2〜7
ジボラン除去剤を表1に示すものに変更した以外は、実施例1と同様の操作を行った。
【0030】
比較例1〜2
ジボラン除去剤を表1に示すものに変更した以外は、実施例1と同様の操作を行った。実施例1〜6、比較例1〜2の結果を表1に示す。
【0031】
【表1】
【0032】
表1の結果から、本発明のジボラン除去剤を用いることにより、ジボランの除去能が向上したことは明らかであり、本発明はジボランを除去するのに極めて実用的な方法である。